23 : 渡来人(関東):2007/03/13(火) 23:45:37.80 ID:ppKL0F31O
第二十二話


新制首都高湾岸線、


川 ゚ -゚)「………」


クーは相変わらず冷たい目をして前方を見据えながら、

あくまで冷静にハンドルを握る。

まるで、何かに取り衝かれているかのように

('A`)「………」

ドクオは先程からずっと黙ったままだ。何かを言える空気ではない。そう感じていた


川 ゚ -゚)「……一般車だ、」


遥か前方、第二車線に一般車、カローラの姿を捕えたクー、
25 : 渡来人(関東):2007/03/13(火) 23:47:55.27 ID:ppKL0F31O
川 ゚ -゚)「…頼むから第三車線に出てきてくれるなよ…」


クーのZ32が第三車線に移る。


一般車…カローラの姿を認めたプギャーの911とモララーのS15も続いて第三車線へ


ギュオッ!ガルルァ!ブオアアア…


\(^o^)/「………」


\(^o^)/「ナンテコッタイ」


右側から物凄いスピードで三台立て続けにブチ抜かれたカローラのドライバーは、バケモノでも見たかのように慌てて第一車線へと逃げていった


『この先5キロ、湾岸線終点』
の看板の下を抜け、三台はなおも疾走し続ける

26 : 渡来人(関東):2007/03/13(火) 23:53:11.18 ID:ppKL0F31O
( ^Д^)「………」

プギャーはデジタル式スピードメーターをチラ、と確認した

『327km/h』

( ^Д^)「327キロか…大台だな」


前のZ32のスリップストリームが効いているおかげで、じわじわと近付くポルシェ

( ^Д^)「い、いける…」


左側から抜きにかかるプギャー。


( ^Д^)「これで…トップだ!」

頭の中が真っ白になるような感覚が…少しずつプギャーを襲いはじめる
28 : 渡来人(関東):2007/03/13(火) 23:55:51.25 ID:ppKL0F31O


('A`)「!!」


Z32の助手席に座るドクオは、左側から迫りくる排気音でポルシェの気配を感じた


(;'A`)(このポルシェ…スピードが乗ってる…速い!)


( ^Д^)(…ついにオレが前に出るときがきやがった!

前に出たらオレはどうなっちまうんだ?

オレのなにかが変わってしまうのか?

それともなんにも変わらねえのか?


考えただけで頭が突き抜けちまいそうだ…


あと五秒…あと五秒すればオレは突き抜ける…)

29 : 渡来人(関東):2007/03/13(火) 23:58:03.05 ID:ppKL0F31O
( ・∀・)「……美しいテールだ。」


モララーの前方には、二台のテール、Z32と911ターボ


( ・∀・)(いま、この二台のテールは私になにを語りかけている?

そして私はどうすればいい?

私はどう応えるべきなのだ?)


『前には出さない…』

『前に出られるものなら出てこい』

( ・∀・)「ふふ…それが本音かね…」



モララーのS15もまた、スリップストリームを使い、一番左から二台を抜きにかかった



Z32、911ターボ、S15、三台が横に並ぶ

30 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:01:27.42 ID:9cA2roeZO
川 ゚ -゚)「……これだ。この感覚、これが無くては私は生きられない」





( ^Д^)「……あと少し」




( ・∀・)「素晴らしい…ペロティーを感じるほどに」





31 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:05:31.60 ID:9cA2roeZO
並走するZ32、911ターボ、S15、

湾岸線終点まであと3キロ


一番右を走るクルマ…Z32の音が、突然ひときわ高くなった。

まるで世界の終焉のような響きを含ませて


…ゆっくりと前に出る

( ・∀・)「……!」


( ^Д^)「………!」


左を走る二台は驚きを隠せない
34 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:08:56.57 ID:9cA2roeZO
('A`)(そ…それは)
ドクオは見ていた。Z32が更に加速するのを、そしてクーの左手を


川 ゚ -゚)「もっと、その先へ……」


クーは、機械式ブーストコントローラーのツマミを右にひねっていた


いままで1.6で抑えられていたブーストが、クーの指先によって1.8まで解放される。


VG30DETT改3.1リッターは排気量換算で、じつに8160ccということになり、更なるパワーを解き放つ

35 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:13:26.92 ID:9cA2roeZO
( ^Д^)「…まじかよ」



絞り出すように言葉を発するプギャー、ポルシェの速度計は330km/hを示している。

それでも離れていくZ32に動揺を隠せない



( ・∀・)「……あのZ…アクセルを余していた?

いや違う、ブーストを上げたのか」

Z32の加速に感づいたモララーは、自分も、とばかりブーストコントローラーのスイッチをひねり、2.0にセットする


( ・∀・)「ふふ…こうでなくてはな」

突然加速したZ32を冷静に判断する
37 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:19:33.56 ID:9cA2roeZO
( ・∀・)「………これはいいものだ」


頭打ちしていたスピードメーターが再び回りはじめるS15

Z32に負けずとも劣らない加速


ほんの13秒でアタマはZ32、それを追うS15、しんがりは911ターボになってしまった


( ・∀・)「追いつく…いよいよだ」


黒いZ32のテールを目前に捕え、ブースト2.0キロで過吸されるS15が迫る



∈三亘三∋0 300ZX 0∈三亘三∋
∈三三三∋0      0∈三三三∋


( ・∀・)(Z32…お前のテールは…私に何を言っている?)

38 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:24:08.01 ID:9cA2roeZO
川 ゚ -゚)(……ついてこれるものなら…来てみろよ)


( ・∀・)(……追い抜けるさ)



三台が縦に連なっての最高速トライ、S15がいままさにZ32に食いかかろうとしていた。

『…………………』



( ・∀・)「……!」
その時、S15のエンジンルーム内でわずかな異音、


( ・∀・)「!?」


シュウウーーー……

( ^Д^)「!?」

プギャーの目の前のS15がマフラーから白煙を吹いて減速する。

アクセルオフか?
ブレーキか?

ステアリングでかわせる状況ではない。そう判断してブレーキを踏むプギャー
40 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:26:08.87 ID:9cA2roeZO
( ;・∀・)「ブローか…」


『終わった』

そう感じたモララーはアクセルを放し、減速する…




離れていくZ…


( ;^Д^)「モララーのS15…ブローしちまったか…」


911ターボとS15は共にブレーキを踏み、みるみるうちに減速する。

Zはもう視界の彼方に行ってしまった

41 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:28:07.73 ID:9cA2roeZO
( ・∀・)「………ふぅ」


車内で深呼吸するモララーは、なにか充足感に満ちたような…そんな表情だった


( ・∀・)「すまないなプギャー、先に行かせてやるべきだった」


一人、そう呟きモララーはハザードを焚き、路肩にS15を停める。


( ^Д^)「………世話がやけるな」

プギャーもそれに続いてポルシェを停めるのであった


42 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:31:58.67 ID:9cA2roeZO

〜深夜、新制首都高湾岸線〜


湾岸の路肩に停められた二台のマシン、



S15とポルシェ911ターボがハザードをチカチカさせている


ハザードが光るたびに夜の空気がオレンジ色に揺らめくなか…



( ・∀・)「なんだ、よかった。タービンブローで済んだようだ」

( ^Д^)「そうか、じゃあ自走でなんとか帰れそうだな」


二人の男がS15のボンネットを開けて言葉を交わす


( ・∀・)「………すまなかったな。私のせいでオジャンになってしまって」

短い沈黙のあと、モララーがプギャーに詫びた

43 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:33:42.31 ID:9cA2roeZO
( ^Д^)y ̄~「………いいさ」


プギャーもまた、モララーと同じような充足感に包まれていた


最高速トライの極度の緊張感から解放されたせいか、タバコを持つ指が震えている


( ^Д^)y ̄~(…楽しかったさ、オレは…満足した
口に出してまで言わねえけどな)


プギャーはタバコをくわえながら満足げに夜景を見て目を細める

( ・∀・)「……腹、減ったな」


( ^Д^)「…ラーメンでも、いくか?」


( ・∀・)「……」
モララーは軽く微笑んで

短く「ああ」と答え、二人はそれぞれの愛車に乗って高速を降りるのであった

44 : わさび栽培(関東):2007/03/14(水) 00:35:53.75 ID:9cA2roeZO
( ・∀・)(……私は…奴の言葉、たしかに理解したよ、ふふ…)


ここは新制首都高湾岸線


勝負が決まるのは…いつだって運と、実力と、タイミング…


そういう場所である


第二十二話  完

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