33 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:18:59.89 ID:UzavDZljO
第十七話


( ^ω^)「いかんお…すっかり夜になってしまったお」



やっとこアクアラインを抜け、東名の渋滞をクリアしてVIP市新制首都高に戻ってきたときには…

Z31のデジタル時計は22時頃を示していた。


ξ--)ξ「ZZZ……」

ツンは木更津を抜けたあたりからずっとこうして眠っている


( ^ω^)「僕もさすがに眠いお…てかそのイビキは…まあいいお」

34 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:20:02.20 ID:UzavDZljO
( ^ω^)


いい加減疲れてきたぼくは看板の『この先500メートル、港湾パーキング』の表示を発見し、少し休んでいこうと決めたお



('A`)「…ん?」

港湾パーキング、缶コーヒーで休んでいたドクオはパーキングに入ってきたZ31を見て目を細めた

('A`)「あれ?ブーンのZだ」

川 ゚ -゚)「あのZ31か」

同じく缶コーヒーを飲んでいたクーが呼応する。

今日はクーとドクオがZ32のシェイクダウンに来ていたようだ

36 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:23:29.58 ID:UzavDZljO
( ^ω^)「とりあいずオシッコしなきゃだお」


ブーンはZ31から降りてトイレ、自販機エリアに小走りに近寄る


('A`)「よお、ブーンじゃねえか」


( ^ω^)「わお!ドクオじゃないかお!」

('A`)「奇遇だな、こんなとこで会うなんて。ツンさんとデートでもしてたのか?」

37 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:24:50.43 ID:UzavDZljO
( *^ω^)「まあ、その…なんていうかアレだお。コーヒーでも飲んでくれお」


ブーンは例のごとく顔を赤くして自販機に120円を投入する


('A`)「いやあ、いいって、てかすでに飲んでるし」

川 ゚ -゚)「君が…ブーンか」

( ^ω^)「あ、あなたは…はじめまして…じゃなくて三度目まして?ですおね」

川 ゚ ー゚)「それくらいになるのかな?」

( ^ω^)「あの〜?今日はドクオとデート…ですかお」

(*'A`)「まあなんだ、ブーン君、コーヒーでも飲みたまえ」

ドクオは鼻の穴を膨らませながら自販機に120円を投入した

( ^ω^)「すまんおドクオ、一本頂くお」

38 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:28:49.40 ID:UzavDZljO
('A`)「うん、今夜はクーさんのZ32のシェイクダウン…といったところかな」


川 ゚ -゚)「そうだな。よかったらブーンもZ31で付いてくるか?」

( ^ω^)「いやいや…とても追い付けないですお」


缶コーヒーのプルトップを開け、一口含むブーン


('A`)「あ、ブーンほんとにツンさんと来てたんだなぁ」

ドクオがブーンのZ31の助手席で寝ているツンを確かめ、いまさら納得する


( ;^ω^)「だからそうだお…」

39 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:31:48.42 ID:UzavDZljO
( ・∀・)

私はさきほどプギャーと別れ、一人でS15で新制首都高港湾パーキングに来ていた。

うむ、すぐに気がついたよ

あの漆黒のZ32がいることに


間違いなくあの時のZ32だ。ナンバーもVIP301さ・154だということも覚えている

( ・∀・)y ̄~「今夜はじつに…タイミングがいいじゃないか…」

プギャーが不在ではあるが、こんなにタイミングよく遭遇できたのだからぜひとも今宵あのZ32を追撃したい…

あのZ32がパーキングを出たらすぐに追撃体制がとれるようにS15のエンジンは掛けてある

来るなら…いつでも来い


ビルの上の赤い照明の点滅が…
やたらと精神にリンクするような…

今宵はそんな夜だ
41 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:41:42.77 ID:UzavDZljO
クーがタバコの火を消した



川 ゚ -゚)「…そろそろ、行くか」

('A`)「はい」

( ^ω^)「把握したお」


クーとドクオはZ32へ、ブーンはZ31へとそれぞれ向かった

スドドドーン!
グワワアアン!

二台のエンジンがかかり、ゆっくりとパーキングを出る。先頭はZ32、追うのはZ31だ


( ^ω^)「あ、トイレ行くの忘れてたお」

ξ--)ξ「ZZZ……」
43 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:42:43.75 ID:UzavDZljO
( ・∀・)「行った!」


黒いZ32が動き出したのを見たモララーもすぐにシートに座り、S15を出した



( ・∀・)「さあZ32…頼むから飛ばしていってくれよ…」

港湾パーキングから出るとすぐに新制首都高湾岸線。

土曜のこの時間帯はトラックやタクシーが少し走っている程度、

流れは悪くない

その湾岸を走る黒いZ32、シルバーのZ31、青いS15

速度的には、まだ90キロ前後で流している、といった程度か
45 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:43:57.10 ID:UzavDZljO
川 ゚ -゚)「ドクオ…踏むぞ」


('A`)「ここから…ついに上まで回すんですね…」


クーが5速から3速に落とし、アクセルを床まで踏みぬく


フワッ…

一瞬だけ気の抜けるようなわずかな加速

しかしその直後


ズダダダダダ!!パンパンパンパンパン!


フルブーストがかかった。4500だったエンジン回転数がクルリと7500を指し
猛烈なホイールスピンとアフターファイヤーを巻き散らしながら黒いZ32は前へと瞬間移動した

('A`)「うごおっ!」

思わずうめくドクオ。瞬時にして体がバケットシートに圧迫されたからだ

46 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:47:58.74 ID:UzavDZljO
( ;^ω^)「な、なんですとお?」


後ろを走っていたブーンは黒いZ32がバケモノのような加速体勢に入ったのを見て思わず叫んだ

( ;^ω^)「速すぎるお」

とにもかくにもブーンはギアを3速に落とし、アクセルを床まで踏む、

これがブーンにとっては初めての全開走行になる

ギュオオオオー…!


( ゚ω゚)「のわおっ!」

Z31のVG30ETが覚醒し、トラストマフラーが爆音を響かせる

左右の景色はほとんど消え、前方の一点だけがかろうじて見える。
視野狭窄を引き起こすスピード


( ω )「お……はええおこのZ31」
48 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:53:13.21 ID:UzavDZljO
一番先頭のZ32が加速し始めたのを見計らってすかさずアクセルを踏み抜いたモララー


( ・∀・)「……始まったか」


アクセルを踏んだことによってエンジン内に入っていく空気、

歓喜のエキゾーストをあげるRB26DETT、


( ・∀・)「……ふふ」

タービンが稼働し、一気に上がるスピード、

このパワー感は人を一気に廃人にしてしまいそうな勢いだ

目の前の景色がバキバキバキッと迫ってくるような加速感がモララーを襲う

49 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:55:52.31 ID:UzavDZljO
湾岸線をフルスロットルで駆ける三台


Z32、Z31、S15


川 ゚ -゚)「………」


前方にクルマがいないことを確認し、クーは5速に入れてアクセルを踏み込む


('A`)(…こ、これがこのZ32のフルパワー…)

ただただパワーに圧倒されるドクオ、

このZ32に比べれば以前の70スープラの加速が子供用に感じられた。
51 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:57:55.63 ID:UzavDZljO
( ^ω^)「追い付けないお…このZ31もすごく速く感じるのに離れていくお」


スピードメーターは220を指している。


これ以上踏める勇気は、ブーンには無かった



ξ--)ξ「ん〜…もご…」



( ;^ω^)「…無理だお」


隣のツンの寝顔を見て、ブーンはアクセルを緩めたのだった
53 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 23:59:53.22 ID:UzavDZljO
( ・∀・)「…素晴らしい…ペロティーを感じるほどのこのパワー感…」

事実加速が凄まじく良い。

良いなんてものじゃない。狂気だ

前を走っていたジャマなZ31が減速し、見えるのは黒いZ32のみになったモララー

( ・∀・)「…追いついて…いるぞ、フッフッフ…」


川 ゚ -゚)「後ろ…Z31か?」

('A`)「いや…あのライトは…シルビアかな?」

猛烈な加速の中、まるで怒鳴るような会話だった

川 ゚ -゚)「シルビアだと…このZに追いついてきてる!?」

スピードメーターは280キロ、この速度からZを追い上げてくるシルビアなどいるはずが無い。

クーは加速Gを受けながら思考を巡らした

54 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/09(金) 00:03:43.76 ID:L7hBiZZMO
川 ゚ -゚)「!!」


クーが前方の視界に違和感を覚えた。

遠くでトラックが三台、三車線を全て塞いでいる


川 ゚ -゚)「…くそ」

アクセルを抜くクー



( ・∀・)「やれやれ…トラックか」

S15もペースを落とす

ここで勝負は仕切り直し、といったところだろう。

トラックが道を開けたとき…そのときが再スタートだ

55 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/09(金) 00:05:09.80 ID:L7hBiZZMO
( ^ω^)「あの二台…あっという間に消えちゃったお。あのシルビアはなんなんだお」

早々とついていくことを諦めていたブーンは130キロほどでZ31を流していた

ξ--)ξ「ぐー…」

( ^ω^)「ツンも…あきれるほど寝っぱなしだお。一体どんな夢見てるんだお」


( ^ω^)「……ん?」

後ろからすごい勢いで迫るハイビームに、ブーンは気付いた

シュオワアアーン…

そのクルマはあっという間にブーンのZをブチ抜いた

( ^ω^)「33R…だお」

とんでもないスピードだった。

…その33Rをブーンは以前も見た気がしていた

( ^ω^)「…どうしようかお、ドクオたちとはぐれちゃったし…オシッコしたいし…」

56 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/09(金) 00:10:50.31 ID:L7hBiZZMO
川 ゚ -゚)「………」


( ・∀・)「………」

Z32とS15、
二台は前のトラックがどくのを待って流していた


川 ゚ -゚)「……」

( ・∀・)「……」

チラ、と一瞬二人の目が合う、

お互いの目に、魂が籠っていることを、お互いが悟った


('A`)「あのシルビア…なんであんなに速いんでしょうね…このZに追いつくなんて…」

川 ゚ -゚)「SR20じゃ、無理な芸当だな…だとすれば」

57 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/09(金) 00:11:54.67 ID:L7hBiZZMO
その時、前方のトラックの一台が譲った。道が開けたのだ


( ・∀・)「先に行くぞ!」

全開、まるでこじ開けるようにトラックの隙間を抜けて加速していくS15。

その後に続くZ32


川 ゚ -゚)「……この音!」

前方で加速するS15からビィィィィィ……という独特の金属音、

川 ゚ -゚)「この独特な音はRB26だ。あれはGT-Rのエンジンを積んだシルビアだったのか」

('A`)「た、たしかにSRエンジンと違って音が割れていない…」
61 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/09(金) 00:18:49.37 ID:L7hBiZZMO
( ・∀・)「残念だがここから先は前には出れないんじゃあないかなあ…フフ」


3速から4速、わずかにS15がZ32を引き離す。

('A`)「………!?」

ドクオは気づいた。前から浴びせられるGT-R特有の排気音が…


後ろからも聞こえたことに


川 ゚ -゚)「!」


( ・∀・)「!」


シュバアアアァーーーーー…

白い33RがZ32とS15に追いつく


川;゚ -゚)「あいつも…いたのか」


('A`)「あの33Rは!」


62 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/09(金) 00:21:39.23 ID:L7hBiZZMO
( ・∀・)「…なんだと?」



モララーにとっては初めて見た相手だった。

今までZ32と張り合っていたのに突如として現れた33Rに多少の動揺を隠せない



が、すぐに軽い興奮に変わった、



( ・∀・)「でもなんでかな…今夜は俺が一番速い気がするんだよ…」



Z32、33R、S15、
三台が、湾岸を疾走する


第十七話  完

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