- 5 :
◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:09:44.31 ID:UzavDZljO
- 第十六話
〜一週間後〜
川 ゚ -゚)「…終わったか、今までありがとうドクオ」
('A`)「どういたしまして…これからいよいよ踏み切れるんですね、このZ」
川 ゚ -゚)「ああ、ドクオも隣に乗ってみるか?」
(*'A`)「はい!ぜひお願いします」
ドクオは任されていたZ32の3000キロの慣らし運転を終え、ようやくクーのガレージに返しに来たところだった
- 7 :
◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:11:10.30 ID:UzavDZljO
- 川 ゚ -゚)「…そういえば、お前の友達のブーンもZを買ったとか言ってなかったかな?」
('A`)「ああ、アイツが買ったのはZ31ですよ」
川 ゚ ー゚)「…若いのにシブいな。やっぱり湾岸に行ってたりするのか?」
('A`)「いやあ、アイツはついこないだ納車になったばかりだから
…そろそろ行こうとしてるんじゃないですかね?」
川 ゚ -゚)「…そうか、」
('A`)「まあ俺みたいに事故らないといいんですけどね、はは…」
川 ゚ -゚)「……そうだな」
ドクオが事故のことを口にしたせいか、多少気まずい空気になってしまった。
しかし、そういう空気が必要であることは二人とも分かっていた
川 ゚ -゚)「…さっそく今夜あたり行ってみるか、オイル交換してから…な」
- 9 :
◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:13:57.57 ID:UzavDZljO
- ( ^ω^)「どうだったお?木更津は」
ξ゚听)ξ「のんびりしてていいとこだったわよね、でもアンタはアクアラインを走りたかっただけなんじゃないの?」
( ^ω^)「まあそれもあったけどだお…どうしても木更津港の海鮮丼が食べたかったんだお」
ξ゚听)ξ「あれは美味しかったわね」
夕暮れ、海ほたるを出てアクアラインにて帰路につくブーンとツン
- 10 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:14:39.34 ID:UzavDZljO
- ( ^ω^)「しかし参ったお。土曜の夕方ってあんまり空いてないお。
せっかく3000円も払ってアクアライン通ってるのに…」
ξ゚听)ξ「おあいにくさまね。私は寝るわ」
ツンは助手席のシートを倒し、目を閉じた
ひとりハンドルを握るだけのブーン。
( *^ω^)「……」
- 11 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:16:22.05 ID:UzavDZljO
- ( *^ω^)「……」
回りはミニバンやコンパクトカーばかり、行楽帰りのファミリーカーということだ
犬を乗せて家族四人でドライブに行ってきたであろうエスティマ、
カップルが乗るフィット
談笑する老夫婦を乗せたサニー
渋滞気味だというのに、そんな和やかなムードの中、ブーンもまた和んでいた。
自分もまた、それらのクルマ達と同じ楽しい時間を共有している…と
( *^ω^)(クルマ買ってよかったお…ドライブっていいお)
エスティマの中の子供がブーンのZ31を指差して助手席の母親になにか言っている
旧いスポーツカーが珍しいのだろう
( *^ω^)ノシ
ブーンはその子供に軽く手を振り、夕暮れのアクアラインでアクセルを踏むのであった
- 13 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:21:02.43 ID:UzavDZljO
- ( ゚∀゚)
ああ…ギコ?最近アイツはウチにゃとんと来なくなっちまったな
まああんだけの事故を起こしてFCオシャカにしちまったくらいだからしばらくは立ち直れないだろうな。
無理もない
まあ…アイツのFCは俺がコツコツ組んだやつだから…アイツはきっと俺に『合わせる顔がない』て気分なんだろうな。
うん、たしかに俺も多少ガッカリはしたが、事故は仕方ねぇことだと思う。
俺だって何回もクルマオシャカにしてきたしな。
もちろんギコを責める気なんかない。
- 15 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:25:37.73 ID:UzavDZljO
- ( ゚∀゚)
だからアイツがまたなんかクルマ持ってきて『こいつをチューンしてくれよ』とでも言ってくれりゃ俺だって喜んでやるさ
…ただ、気掛かりなのは、ギコがクルマをやめちゃったんじゃないか?ってことなんだよな。
アイツFCを廃車にするとき『クルマにはもう乗らない』みたいなこと言ってたし…
そうなっちまうと俺としては少々ツラい。
楽しみが減る…なんて言ったら軽薄かもしれんが…なんていうか張り合いがなくなっちまうんだよな。
今までギコと俺でクルマ仕上げて毎週のように湾岸に遊びに行ってたってのによぅ
- 17 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:29:12.94 ID:UzavDZljO
- ( ゚∀゚)
だからって別にアイツになにがなんでもクルマに乗れなんて押し付ける気はまっさら無い。
クルマはあくまで本人の意思で楽しくやるもんだからな。
まあそんなこんなでここ一ヶ月ばかりはギコが来ることもなく、
俺は黙々とカローラとかセレナのツマンねぇ車検整備をしているときに現れたのが、あの男だった
993型の911ターボのフルチューンの依頼。しかも予算は青天井らしい
俺は体内の血がたぎるのが分かった。
- 21 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:33:05.00 ID:UzavDZljO
- ( ゚∀゚)
以前からずっとやってみたいと思っていたけど…できなかった911ターボ
また…以前のような熱い日々が戻ってきそうだ
俺はさっそく出入りの部品販売屋にパーツを発注した。ガスケット、オイル、タービン、足回り、ロールバー、タイヤ、ホイール、内装…
ほとんどデモカー製作の勢いだ。
なにしろ予算なんか気にスンナ!みたいなこと言ってたから考えられる最高のパーツを使い、
毎晩三時すぎまでガレージに籠って作業していたのさ
そして、ようやく昨日完成した。
試運転した感じもバッチリだ。
あとは今日あのお客が取りに来るのを待つばかり…
- 22 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:35:53.58 ID:UzavDZljO
- ( ^Д^)
昨日、例のクルマ屋から電話があった。どうやらオレのポルシェが出来あがったらしい
…なんでかな
こんなに楽しみなのは久しぶりだった。
幼稚園のときに葛西臨海公園に行ったとき以来かもしれない
オレは『ジョルジュオート』に代車のプリメーラで乗りつけ、wktkする心を押さえつつ事務所に入った
- 23 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:36:58.54 ID:UzavDZljO
- ( ゚∀゚)「長いことお待たせしましたね。まあ見てもらいましょうか」
そいつはオレの姿を確かめるなりそう言った。
相当自信がありそうな顔をしてやがる。こりゃいいもんだ
ガレージの中にはオレの911がテラテラと光りながら佇んでいた
そこの社長…ジョルジュは911のエンジンルームを開き、解説を始める
( ゚∀゚)「まず鍛造ピストンにI断面コンロッドを交換、ガスケットを換えて圧縮比を低くしました。
タービンはTD08、ほかはインタークーラー、燃料ポンプ、インジェクターやらツインプラグ化やら加工して室内はロールバーやシート、メーター類、足回りは…」
- 24 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:38:29.93 ID:UzavDZljO
- ( ^Д^)「ふむふむ…なるほどな」
たしかにクオリティの高い仕上がりだ。
早くコイツに乗ってみてぇと思った
ソイツの説明があらかた終わったところでオレはすかさず尋ねた
( ^Д^)「いくらだ?」
( ゚∀゚)「784万円です」
( ^Д^)「…これで足りるはずだ」
オレはアタッシュケースから束を8個取りだし、ソイツに手渡した
( ゚∀゚)「…たしかに受け取りました。とりあえず慣らしが終わったらまた来てください」
( ^Д^)「ああ…またな。」
オレはサッサと911に座り、エンジンを掛けて立ち去った
- 25 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
22:47:28.06 ID:UzavDZljO
- ( ^Д^)
オレは今組み上がったばかりのポルシェを転がしている
…なるほど、エンジンの回転感がかなりシャープになっている気がする。
マフラーが変わったから余計そうなのかもしれないな
しかし今はナラシをしなきゃならんので回せないのがなんとももどかしい。
( ^Д^)「踏んでみてぇ…」
これじゃストレスが溜って死にそうだ。どーしたもんか…
( ^Д^)「とりあえずモララーんとこでも行ってみるか」
- 27 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
23:00:43.30 ID:UzavDZljO
- モララーの駐車場
( ・∀・)y ̄~「よう、ひさしぶりだな。ついにポルシェが組み上がったみたいだね」
( ^Д^)「ああ、これから毎晩ナラシだ。お前のS15は?」
( ・∀・)y ̄~「私のS15はそこにある…」
モララーはS15のドアを開け、ボンネットを開いた
( ・∀・)y ̄~「…こういったものが…無事収まったようだよ…」
( ^Д^)「…ほう、もう終わってたのか」
S15のエンジンルームは眩いパイピングが為され、RB26と刻印された赤いヘッドが見えた
( ^Д^)「…面白そうだな」
( ・∀・)「…面白いとも」
( ^Д^)「もう湾岸には行ったのか?」
( ・∀・)「…ああ、三日ほど通い続けてるが…あの黒いZはまだいない」
( ^Д^)「そうか、オレが先に撃墜してやんよ」
- 29 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木)
23:01:45.62 ID:UzavDZljO
- ( ・∀・)「それも面白いがな」
( ^Д^)y ̄~「まあいい、しばらくオレはナラシやらなきゃだから適当に青森あたり行ってくるわ」
( ・∀・)「…唐突な男だな相変わらず…なぜ青森?」
( ^Д^)「むこうの方なら道もすいてんだろ。」
( ・∀・)「まあ…いい、じゃあどこかでメシでも食うか?」
( ^Д^)y ̄~「おう」
オレはポルシェに、モララーはS15に乗って街道のファミレスへとやかましい音をたてながら向かうのであった
第十六話 完
戻る