282 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:33:42.89 ID:fgjxpZCIO
第十五話

〜一週間後〜

('A`)


お盆が終わって一週間、俺はあのZを預かって今も慣らしの最中だ

もうだいたい2300キロくらい走ったかな?

しかしあのクーさんが俺にZを預けてくれたなんて今だに信じられないよ…、もしぶつけたらどーすんだ俺

でも、すごい嬉しかったよ。クーさんはたぶん俺を信用(?)してくれたってことだと思うし、

俺にとってもあんな大層なクルマは滅多に近付けるもんじゃないからな。

283 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:34:49.31 ID:fgjxpZCIO
('A`)

しかもガス代と高速代はクーさんがくれたチケットのおかげで俺の負担はまったく無い。

まあ洗車は自分でやってるけどね、あと一回クーさんとこ持ってってオイル交換もしたな。

そんときクーさんはちょこっとコンピューター書き換えて『これからは4000まで回してくれ』って言ってたっけ


なにより、あのZを借りたことによってクーさんとの縁が続く…これが一番嬉しい。


元来俺とクーさんは…住む世界が違いすぎる。たぶん家柄からして俺とは違うんだろう…

クルマがなければ…絶対に会えなかった人だ…


まあ、それはいい、今日も仕事とバイトでクタクタだけど、

これからZで気晴らしがてら新制首都高に慣らしにいかなきゃな。
285 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:37:13.14 ID:fgjxpZCIO
( ^ω^)



ついにこのときが来たんだお…
と初めてそう言える瞬間だお

エンジンを掛け、一速に入れてクラッチを繋ぐ…


ぬるぽ…ガッ、プスン


( ^ω^)「エンストktkr」


/ ,' 3「……へたくそ」


( ;ω;)「うっ…ぼくとZ31のファーストコンタクトが…」
290 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:42:08.45 ID:fgjxpZCIO
ここは『@ramaxオート』

そして今日はついにぼくのZ31の納車の日…

全ての手続きを終え、いよいよZ31に乗って帰ろうとしてたところだったんだお


( ^ω^)ノシ「まあいいお、お世話になりましたお、おじさんばいぶ〜!」



/ ,' 3「……」



再びVG30ETに火を入れ、僕はその場を立ち去ったお
292 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:43:58.44 ID:fgjxpZCIO
( ^ω^)


Zの直進安定性、トルク感、排気音…

( ^ω^)「問題ないお…いいクルマだお」

走らせてみると本当にいいクルマに感じるお。

パワー感も申し分ないしハンドルもピシッと真っ直ぐ安定してるお

とりあえずガソリンスタンドで燃料を補給しなきゃならないお

店員「いらっしゃいませ…」

( ^ω^)「ハイオク満タン現金!」

店員「はい…」

( *^ω^)(一度言ってみたかったんだお)

店員「8543円になります…」

( ;^ω^)「mjd?高いお…」

明細を見るとハイオク71リッターと書いてあったお…こりゃ入りすぎだお

( ^ω^)「さてさてだお…このあとはドクオでも呼び出してみるかお」

293 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:45:39.55 ID:fgjxpZCIO
と、思ったときにケータイの着メロが鳴った。相手はドクオだお、いいタイミングだお


( ^ω^)「おいすー、元気かお?」


('A`)「ああ、元気だ。突然だが今日はヒマか?」


( ^ω^)「ヒマだお。ちょうど僕もドクオに用があったから丁度いいお」


('A`)「おおそうか、じゃあ…昼にバーボンハウス集合でいいかな?」

( ^ω^)「把握したお」



( ^ω^)(ついにこのマイカーをドクオに見せるときがきたお)


('A`)(このZに俺が乗って行ったらブーン驚くだろうなあ…)
298 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:52:22.58 ID:fgjxpZCIO
〜昼、バーボンハウス駐車場〜



( ;^ω^)「おおお!?」

(;'A`)「えええ!?」

駐車場にはシルバーのZ31と漆黒のZ32。お互いのクルマを見比べ驚愕する二人


( ^ω^)「うはwwwwおまwwなんだおこの速そうなZ32」


('A`)「ちょwwwおまwwwお前こそそのシブいZ31をどこから」



300 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:55:12.84 ID:fgjxpZCIO
(´・ω・`)「やあ、ようこs…どうした?二人とも」


( ^ω^)「なんか僕とドクオがZに乗ってきたんだお」


('A`)「そうなんだよ。訳がわかんないんだよ」



(´・ω・`)「わけがわからないね。とりあえずこのお冷やはサービスだからまずは飲んで落ち着いて欲しい」

マスターは相変わらず冷静だ。そうでなくては業界を生きていけないことを分かっている

( ^ω^)「ありがとうだおマスター、うん、じつはZ31を買ってしまったんだお」

301 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:57:12.60 ID:fgjxpZCIO
('A`)「…ついにブーンもクルマを買ったか。おめっとさん」


水を飲んで落ち着いたドクオはようやく状況を飲みこめたようだ


( ^ω^)「ありがとうだお。ところであの黒いZ32はなんなんだお?

ドクオも二台目を買ってしまったのかお?」

('A`)「ああ、あれはクーさんに借りてんだ。借りてるっつうか慣らし代行だけどな」


(´・ω・`)「そうなのか、ちょっと見ないうちにクルマが変わっちゃったからびっくりしたよ」

302 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:58:33.96 ID:fgjxpZCIO
( ^ω^)「じゃあドクオ。ちょっくらドライブにでも行こうかお」


('A`)「おう。いいなそれ、海のあたり適当に流そうぜ」


( ^ω^)「よし、いくお」


そう言うなり二人はお冷やを飲み干してさっさと席を立ち、駐車場へ向かう




(´・ω・`)「………水だけ飲んでおさらばか…」

ほとんど空気扱いだったマスターの影は、ふっと哀しげに和むのであった

303 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:03:22.28 ID:UzavDZljO
('A`)「このZ31は…前期型か」



バーボンハウスの駐車場でドクオはブーンのZのボンネットを開け、エンジンルームを覗きこんでいた

('A`)「タワーバーやパイピング、プラグコードが交換されててイイ感じだな…、このタービンは…ひょっとして…」


昭和60年式走行7万キロのVG30DET、トラストマフラー、ボックス型エアクリ、BBSホイール、タイヤはネオバ、コンピュータはセントラル製、他はブーストコントローラー、
ナルディステアリング、レカロシート、WILLANSの四点式シートベルト、300km/hフルケールメーターが付いているのをドクオは確認し

( ^ω^)「そんなに見てないで早くいくお」
ブーンの運転でドライブに出た

304 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:05:26.88 ID:UzavDZljO
( ^ω^)「どうだお?なかなかいいパーツ付いててお得だったと思うんだお」


街中を運転しながらブーンが言った。

('A`)「…たしかに、しかしコレいくらしたんだ?」


( ^ω^)「全部込みで40万だったお。ローンにしようかと思ったけど思いきって一括で払っちゃったお」



('A`)「40か…ちょっと安いな…事故車かな」


( ^ω^)「…事故車かもしれんお」

305 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:08:03.83 ID:UzavDZljO
('A`)「まあ改造車だしそうだとしても仕方ないかもな。
でも年式も年式だから注意したほうがいいぞ」

( ^ω^)「把握だお」


('A`)「しかし走るとき道路の左側に寄りすぎだぞ…」

( ^ω^)「まだ慣れてないんだお…」

('A`)「…止まるときもブレーキ遅くて怖いんですけど」

( ^ω^)「なにしろ免許とって以来はじめて運転してるんだお。大目にみてくれお」

('A`)「…このZのデフ…LSDまで入ってたのか、」

( ^ω^)「??」

('A`)「…まあぶつけなきゃいいんだ。あとで初心者マークちゃんと張っとけよ」


免許とりたてのドライバーの横に乗るのはやはり疲れるものだ


306 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:09:07.36 ID:UzavDZljO
二人はそのへんを少し走り回ってから解散した。

ドクオがZ32をバーボンハウスに置きっぱなしなのが気になっていたからだ


('A`)「クーさんの大事なクルマだからな。やっぱり家においとかないと不安だよ」


( ^ω^)「たしかにそうだおね。じゃあまた今度遊ぼうお!」


('A`)「おう!またな〜」

こうしてその日は珍しく日の出ている時間に解散となった。


もう八月の終わりが見えていた…そんな時期の納車のひとときだった
311 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:16:16.86 ID:UzavDZljO
( ・∀・)


私のS15は今、知り合いのガレージで大手術が終わったところだ。
プギャーの911も今どっかのガレージに預けているらしいがね


うむ、さすがに時間がかかったよ。意外かもしれんが私はプギャーとは違ってポンポンクルマを変えられない男だから…

どうしても変なこだわりがでてきてしまってね。S15で行きたいと思ってしまったんだ。

私の悪い癖かもしれん

312 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:17:44.42 ID:UzavDZljO
( ・∀・)


たしかに、『依存はただの停滞』という名言もある。S15に対するこだわりを捨てなければ新しい進化も生まれないだろう。本来ならば



そういったことで私のS15はエンジンを載せ変えた。

やはり最高速で勝負するとなると今までの2リッターではキツい。

今度のエンジンはGT-Rに積まれているRB26DETTだ。それに合わせてボディ補強や足回りも見直した。

かなり下品でズルいチューンかもしれんがやってみる価値はある。
そう判断したんだ。

315 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:20:18.06 ID:UzavDZljO
( ・∀・)



RB26DETT載せ換え…ある意味保守的で…それでいて革新的でもある。

まあ中途半端といってしまえば所詮それまでだがな。どうすれば正しいかなんてのは無い

しかしこれでこちらの準備は整った。


…あの日湾岸で敗北した黒いZに今度はS15のテールを拝ませてやることができるかもしれない。

あとは腕を磨いて『その時』を待つばかりだ。


316 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:22:53.46 ID:UzavDZljO
ξ゚听)ξ



今日も一日ヒマだ…


大学もバイトもない今、一体どうやってこの退屈をまぎらわすべきか…


ヒマな時は大概NSXに乗りたくなっちゃうんだけど…

なんだか癖になっちゃうとまずい気がして心のリミッターがかかっちゃう…


さてさてどうしたものか…

317 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 00:25:35.52 ID:UzavDZljO
ξ゚听)ξ「…バーボンハウスに…お茶でもしに行こうかな…」


結局ヒマなときに行き着く考えはブーンと一緒……

ξ///)ξ「な、なんで私がアイツなんかとお茶しようかなんて考えなきゃならないのよっっ!」


自分でその考えに行き着いたことがなぜか恥ずかしい…
なぜ勝手にそんな考えが出てきちゃうんだろう

チャッチャッチャラ〜チャ〜♪

その時、ケータイの着信が来た



なんとブーンからだった



( ^ω^)「もしも…」


ξ///)ξ「な、なによなんか用でもあるのっ!?」



( ;^ω^)(機嫌悪そうだお…女の子の日かお…?)
328 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:21:56.27 ID:UzavDZljO
ξ///)ξ「よ、用事があるなら早くいいなさいよっ!」


( ^ω^)「あ、あのねだお。ツンが今日ヒマならバーボンハウスで(ry」


ξ///)ξ「ひ、ヒマで悪かったわねっ!わ、わたしだって忙しいんだから突然誘われても困るんだからねっ!

…どうしてもって言うなら行ってやってもいいけど」



べ、べつに私はブーンが気になってるってわけじゃないんだからっ!誤解しないでよね!

329 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:23:01.03 ID:UzavDZljO
ξ゚听)ξ


それでも私はそれなりに支度を整えてバーボンハウスへ行く時間までシャワーを浴びたりお化粧したり…


ブーンと会うというだけのことでこんなに心ときめいてしまうというのがなんだか恨めしかった。


約束の時間まであと二時間もあるというのもまた恨めしい…


ξ*゚听)ξ「…もう」

330 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:25:49.33 ID:UzavDZljO
バーボンハウス



(´・ω・`)「やあ、ようこそバーボンハウスへ、

今日はずいぶんお召かしして来たねツンちゃん」


ξ///)ξ「そ、そんなことないわよっ!こんなの普段着よっ!」


(´・ω・`)「ふふ…今日はNSX乗ってきてないのかな」


ξ///)ξ「今日は歩きたい気分だっただけよっ」


ξ*゚听)ξ(待ち合わせまで時間がありすぎて…つい暇潰しに歩いてきたなんてことないんだから)

332 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:28:32.51 ID:UzavDZljO
(´・ω・`)「ああ、そういえばこないだは店を閉めてて失礼したね。

お盆休みにプリン・ア・ラモードをブーンにご馳走してもらうはずだったらしいとか…

…このプリン・ア・ラモードと紅茶はサービスだからまず食べて落ち着いてほしい」



ξ*゚听)ξ「…………どうも」



カランカラン…来客を知らせながらドアが開く


( ^ω^)ノシ「おいすー、お、ツンもうきてたのかお」


ξ*゚听)ξ「あ、あんた来るの遅いわよっ!レディを待たせるなんて何様のつもり!?」
334 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:30:13.39 ID:UzavDZljO
( ;^ω^)「……」
え…待ち合わせ時間まであと30分くらいあるのに…

とブーンは思ったがそれを言ったらまた引っ掻かれてしまうだろう、

男には無言の時も必要だ…



(´・ω・`)「ようこそブーン。とりあえずコーヒーでものんで落ち着こうか、」



335 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:31:57.29 ID:UzavDZljO
ξ゚听)ξ「納車?」


( ^ω^)「そうだお。やっと買ったんだお。
じつは昨日納車されたんだお」


ようやく喧騒(?)も収まり、二人でゆっくりカップを傾けていたとき、ブーンがZ31の話を出したようだ


(´・ω・`)「Z31か…シブいね。ブーンに似合ってると思うよ。」


( ^ω^)「そうかお?」


ξ゚听)ξ「…どんなクルマなの?それ」

336 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:33:22.53 ID:UzavDZljO
( ^ω^)「ニ世代前のフェアレディZだお。なかなかいかついクルマだお…3リッターシングルカムシングルターボで…うんぬん」

ξ゚听)ξ「ふ〜ん…まあよかったじゃない。クルマ買えて」


( ^ω^)「よかったら帰り送っていくお」


ξ*゚听)ξ「あ…そう、それは助かるわね」

( ^ω^)「じゃあマスター、お勘定してくれお」


(´・ω・`)「今日はサービスしておくよ。納車おめでとう、ということでね…そのかわり」

( ^ω^)「ありがとうだお!それでなんだお?」

(´・ω・`)「や  ら  な  い  か  ?」


( ^ω^)「だが断る」
338 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/08(木) 01:36:23.08 ID:UzavDZljO
お決まりのやりとりを終え、店を出るブーンとツン、

ξ゚听)ξ「これがアンタのZね…」

( ^ω^)「そうだお」

ツンはしげしげとZ31を眺めて助手席のシートに座る

ξ゚听)ξ「なんだか古めかしい感じだけど…迫力はあるわね」

( ^ω^)ニコニコ

ブーンも運転席に座り、エンジンを掛けた

( ^ω^)「じゃあこれから木更津にでもドライブに行くかお」


ξ;゚听)ξ「なんで木更津なのよ…」


( ^ω^)「気分だお」


ξ゚听)ξ「わたしを送ってくれるんじゃ……まあいいけどね…」

こうして、初心者マークの貼られたZ31は新制首都高東VIP料金所へと走りだすのであった


第十五話  完

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