245 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 22:16:36.91 ID:fgjxpZCIO
第十四話



川 ゚ -゚)「そのまま降ろして…ぶつけないようにな」

エンジンクレーンのチェーンが少しずつ降りていく

('A`)「はい」

慎重にエンジンを収めるドクオ

ドクオとクーはZ32のエンジンを組み上げ、いままさにZのエンジンルームに載せているところだった


('A`)「…さっき付けかえてたタービンはなんなんですか?」


川 ゚ -゚)「あれはIHIのRX6タービンだ。」

('A`)「え〜と…」

ドクオは作業で頭が回らない

246 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 22:18:24.72 ID:fgjxpZCIO
川 ゚ -゚)「今回エンジン内部もかなり強化品に交換したから…仮にブースト1.8かかったら730馬力くらいはイクだろう。

あとクラッチもOSのトリプルプレートに交換しておいた」


('A`)「mjsk!」


マーチのノーマルが70〜80馬力程度

Z32のノーマル車は280馬力、

それをこのZはヘタすりゃ730馬力までいってしまうというのか、

('A`)「これはすごい」


川 ゚ -゚)「だが最初はあまりブーストはかけられないがな。しばらく様子を見なくてはならん」


クーは黙々とエンジンマウントの締め付けをおこないながら答える

川 ゚ -゚)「もうあと一息だ。ここいらで一服休憩しようか」


('A`)「はい!」
250 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 22:22:40.72 ID:fgjxpZCIO
〜二時間後〜


川 ゚ -゚)「…ふぅ、ようやく載ったな」



休憩を終え、エンジンを車体に組みつけてホース類を繋ぎ、

オイルと冷却水を入れ終わったクーはタオルで顔を拭きながら呟く

('A`)「のりましたね…もう動かせるんですか?」


川 ゚ -゚)「…いや、冷却水のエア抜きとコンピューターの書き換えをしなきゃならない。

まあとりあえず今回燃調は安全マージンをとってかなり濃い目にするからそんなに時間はかからん、
夜にはテストできるはずだ」


今回のようにエンジンをバラし、タービンまで交換したとなると燃料を送る量を変えなくてはブローしてしまう。

だからコンピューターの設定を変える、ということもしなくてはならない

251 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 22:24:04.94 ID:fgjxpZCIO
('A`)「そうなんですか…、いや、自分は全然わかってなくてすいません」


川 ゚ -゚)「いや、気にすることはない。ドクオには手伝ってもらって本当に感謝しているよ。」

(*'A`)「……」


そうこうしてるうちにクーはロムを書き換え、エンジンを掛けた

キュルルルルルル………

一度燃料ホースを外したためになかなか燃料が回らずエンジンがかからない

キュルルル…ズドドドーン!!

('A`)「かかりましたね!」

川 ゚ -゚)「ああ、とりあえず変な異音もしていない。あとは冷却水が回るまで待とう。」
太陽は既に西に傾きかけている。クルマをいじっていると時間がたつのは…早い
253 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 22:25:32.67 ID:fgjxpZCIO
〜一時間後〜

川 ゚ -゚)「よし、もういいだろう」

クーは冷却水のホースを手で摘みながらエアの有無を確認して言った。

('A`)「それじゃあ…」

川 ゚ -゚)「うん、試運転がてら晩ごはんでも食べにいこうか」

(*'A`)「はい!」


ドクオにしてみればクーとドライブに出かけるのは初めてのことだった。

そしてあのZの戦闘力を知るのも…


二人、シートに座りガレージからZを出す。

川 ゚ -゚)「とりあえず組んだばかりだからな。しばらく慣らし運転しなきゃならないから3000回転ほどしか回せない」


('A`)「そういえば…たしかに慣らしが必要ですね」

254 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 22:26:45.05 ID:fgjxpZCIO
クーは宣言通りキッチリ3000回転しか回さずに街中を走った


(;'A`)(3000でもこのパワー感か…もし7000まで回したら失神…しそうだな)


クーは近くのガソリンスタンドにZを入れ、『ハイオク満タン、カードで』と店員に告げ、なにやら金色のクレジットカードを渡していた


(;'A`)(ご、ごご、ごーれむかーど…)
259 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:03:59.82 ID:fgjxpZCIO
その後、二人はファミレスに入り、食事をとっていた


川 ゚ -゚)「…Zは今のところ問題はなさそうだ。

とりあえず今夜は新制首都高を軽く流して様子を見て帰ろう」


('A`)「そうですね。お供させていただきます」


しかしドクオはどことなく残念そうな表情を浮かべている。

今夜の慣らし運転が終わったらクーさんとしばらく会えなくなってしまいそう…そんな予感があったからだ。

260 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:04:52.40 ID:fgjxpZCIO
('A`)(二日間一緒にいたのに…俺は結局何もアプローチできなかったな…あ〜あ、チキンな自分がウツダ)



川 ゚ -゚)「…どうかしたのか?」

('A`)「あ、なんでもないです」

川 ゚ -゚)「そうか、それじゃそろそろ出るか」


クーの奢りで支払いを終え、二人はZで新制首都高へ向かう


川 ゚ -゚)「………」


慣らしだけにトバすわけにいかず、自然とクルージング走行をする黒いZ32。

261 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:05:54.46 ID:fgjxpZCIO
VG30DETTが低く唸り、夜景がゆっくり後ろに流れていく…


川 ゚ -゚)「………」

涼しい顔をしながらハンドルを握るクーを見て、ドクオは思った


('A`)(ああ…クーさんと共有するこの空気…

…やはり俺の選択は間違っていないんだな…、)


相変わらず野太いサウンドを響かせるZは夜の高速をひたすら流していくのであった
264 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:08:58.35 ID:fgjxpZCIO
〜新制首都高東VIPパーキング〜


川 ゚ -゚)「ドクオ、ちょっと運転してみるか?」

缶コーヒーで休憩していたとき、クーはなんの気負いもなくドクオに言った


(;'A`)「mjsk!!」
(なんでこの人は俺がなにか飲んでるときに限って爆弾発言するんだ…)


川 ゚ -゚)「ああ、せっかくだからどうだ?エンジンあんまり回せないから少し退屈かもしれんが」


(;'A`)(お、お、俺がクーさんのVG30DETT改3.1リッタータービン交換フルチューンZを運転…大丈夫かな…でもせっかくのチャンス…)

265 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:09:54.10 ID:fgjxpZCIO
('A`)「そ、それではお言葉に甘えて少しだけ…」


川 ゚ -゚)「ああ、」


ドクオはZの運転席に座り、エンジンを掛けた


川 ゚ -゚)「自分のクルマの助手席は久しぶりだな…」


('A`)(wktkガクブル…)


ドクオは異様に重いクラッチ…トリプルプレートクラッチを踏み、静かに一速を繋ぐ…

ここまでチューンしてあるエンジンはノーマルのままのクラッチだとすぐに滑ってしまうため、強化クラッチを使わなくてはならない。

しかし強化の代償としてクラッチは重くシビアになってしまうのだ
267 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:11:22.81 ID:fgjxpZCIO
ガルルル…ガウガウ、プスン


('A`)「どう見ても」

川 ゚ -゚)「エンストです」

(;A;)「本当にありがとうございました」


川;゚ -゚)「…泣くほどのことじゃないだろう…常識的に考えて」

('A`)「は、はい…もう一度トライします」

ガルルル…ガウガウ、ガッガッガッ…


かなりシビアな発進となったが、今度はちゃんと進むことが出来たようだ

川 ゚ -゚)「まあ強化クラッチは慣れだからな。しばらく乗れば慣れるさ」

('A`)「は、はい」
269 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:12:13.50 ID:fgjxpZCIO
ドクオはそのままハンドルを任され、夜の新制首都高に合流する。


('A`)「……いいクルマだ」


川 ゚ -゚)「……ドクオ」


('A`)「はい?」


川 ゚ -゚)「…せっかくだから、このまま3000キロくらい慣らし運転してくれないか?」


('A`)「ええっ?今夜ですか?」


川 ゚ -゚)「そんなわけないだろう。」
271 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/07(水) 23:15:44.69 ID:fgjxpZCIO
('A`)「それじゃあ…?」

川 ゚ -゚)「お前さえ良ければしばらくZを預ける。
十日くらい慣らし運転して持ってきてくれれば良い」


(;'A`)「mjsk?」


川 ゚ -゚)「ああ、嫌なら断ってくれて構わないが…」


('A`)「いや、クーさんがそうおっしゃるなら是非、お借りしようかと…」


川 ゚ -゚)「…そうか、じゃあ私を家まで送ってってくれ。もう眠くてかなわん」


('A`)「ははは…わかりました」
(俺がクーさんの大事なZをしばらく預かってナラシ?……そんな夢みたいな話…)

様々な思いを胸に、葛藤するドクオだが一度イエスと言ってしまった言葉は取り消せない。

こうして、クーのZはしばしドクオの手に任されることになった


第十四話  完

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