145 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:31:42.41 ID:9jmF3RmUO
第十三話


( ^Д^)「…ふぁ、朝か…」


プギャーはホテルの一室で目を覚ました

窓から差しこむ夏の日差しにプギャーは目を細める


( ^Д^)「11時か…」


眠っている間に女の姿は消えていた。
昨夜、モララーと別れたあとに寄ったカジノで知り合った女だった。

ただ、ベッドサイドテーブルに紙切れが置いてあった。

なにやら電話番号とメルアドが書いてある

146 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:33:08.96 ID:9jmF3RmUO
( ^Д^)「……」


プギャーには女の顔すらよく思い出せない。

おおかたいつものように勢いと成り行きでこういうことになったんだろう。


そしてそれでいい。とプギャーは思った


( ^Д^)y ̄~「…さて、ポルシェに取り掛からないとな」


プギャーはタバコを吸いながら服を着て、
メルアドの書かれた紙を丸めてゴミ箱に捨ててから部屋を出た
149 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:37:21.18 ID:9jmF3RmUO
( ^Д^)


ホテルから出て駐車場の白いポルシェ911ターボに向かう


これからの予定は…昨日電話で予約を入れておいたチューニングショップに向かうことだ。



( ^Д^)「……いいクルマだが…やっぱりノーマルじゃ物足りねえよな」


ホテル街に控え目な音を発散しながら白いポルシェはゆっくりと進んでいった


150 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:39:29.02 ID:9jmF3RmUO
( ^Д^)「…ここか」


あまり大きくはないがオイルにまみれたイイ感じの工場。


オイルまみれの工場のどこがイイのかって?

キレイな工場なんてロクなもんじゃねえんだぜ?オレの持論だがな

オレは『ジョルジュオート』の看板を確かめると、つかつかと中に入っていった



( ゚∀゚)「あれ?ひょっとして昨日予約してくれたお客さんですか?」

事務所の中にはツナギを着た男が一人、タバコとコーヒーで一服していた


( ^Д^)「ああ、993型の911ターボなんだが…」
153 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:42:08.46 ID:9jmF3RmUO
( ゚∀゚)「…いいクルマですね…どんな仕様にしたいんで?」


( ^Д^)「とにかく速くしてくれ。最高速も馬力もいくら上げてくれても構わん」


オレは椅子にも座ろうとせずに言った。

とにかく速くして欲しいだけ、注文はたったそれだけなんだから長居は無用だ


( ゚∀゚)「…だいぶお金がかかりますが…予算はどのくらいで?」


( ^Д^)「……オレがカネなんか気にするように見えるか?」



( ゚∀゚)ニヤリ「…まかしといてもらいましょうか」



そいつはニヤリと笑った、

その顔が気に入った。

ああいう顔なら相当インチキなクルマを作ってくれるだろう
こりゃ楽しみだ

オレは代車のプリメーラのキーを渡され、さっさとその場を後にした
157 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:51:51.34 ID:9jmF3RmUO
( ;^ω^)「はあ…はあ…ここはどこだお?」



Z31を積んだ車載トラックを追っているうちにブーンはいつの間にかどこか見知らぬ場所に来てしまっていた


( ;^ω^)「やっぱりいくら走っても追い付くのは無理だったお。トラック見失ったお」



ブーンはバス停のベンチに腰掛け、休みながらバスを待った

真夏だというのにあんなに走ってしまったから体中が汗まみれだ


夏の風は草の匂いと…水の匂いがした



( ^ω^)「……牛乳とタマゴ買って帰んなきゃだお…」
159 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 22:53:52.64 ID:9jmF3RmUO
( ^ω^)「…あのZ31、どこにいっちゃったんだお」



あのZ31が買えるものならなんとしても欲しい。

今ならローンも組めるし、手を伸ばせば届くはず…


いろいろ考えているうちにバスがやってきた

バス内は冷房が効いていて汗をかいた肌にはやたら心地よかった


( ^ω^)「このへんは…昨日歩いたところだお」

ブーンが昨日、ランエボを見にいったやる気のない中古車屋の通り…

( #^ω^)「昨日のことを思い出すだけで腹がたってきたお」



( ゚ω゚)「………!!」


見てしまった。


ブーンは、大慌てで運転手にバスを停めさせた
161 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 23:00:37.81 ID:9jmF3RmUO
( ^ω^)「これは……」



バスから降りたブーンは、昨日のあの中古車屋の前に立っていた。


さきほどの車載トラックがZ31を降ろして店から出ていくところをバスの中から見てしまったからだ


昨日は気がつかなかったがその中古車屋には『@ramaxオート』と書いてある



( ;^ω^)「これはすごい名前負けだお…、てか今はそんなことよりZ31だお」


ブーンは多少気後れしながらも店の敷地内へと入っていくのであった
164 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 23:03:29.89 ID:9jmF3RmUO
昨日と同じ中古車屋。唯一違うのはZ31があるかないかだ。



すぐにあった。シルバーのZ31



( ^ω^)「……やっぱりかっこいいお」


ブーンはしばらく立ちつくしたままZ31を見つめる


300ZXターボ前期型、5速マニュアル

ホイールはBBSの17インチ、タイヤはADVANネオバ、マフラーはトラスト、車高調はTEIN

外観だけでもこれだけのものが付いていた

165 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 23:04:54.13 ID:9jmF3RmUO
/ ,' 3「……なんの用じゃな?」



いつの間に迫っていたのか、昨日のオヤジがブーンの背後から声をかける



( ^ω^)「このZを…売ってくださいお」


ブーンはZを見つめたまま答える



/ ,' 3「………ふーん」



夏の昼間の日差しはかなりキツイ。すでに汗がうっすらにじむブーン


( ^ω^)「…お願いしますお」

ブーンは振り返らない
168 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 23:06:46.65 ID:9jmF3RmUO
ジリジリジリジリ…
どこかでセミが鳴いている



/ ,' 3「……」



ブーンがオヤジの方を振り返る


( ^ω^)「どうしてもこのZに乗りたいんですお」





/ ,' 3「………ふーん」



( ^ω^)「…………」



/ ,' 3「…………」
172 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/06(火) 23:13:59.83 ID:9jmF3RmUO
ジリジリジリジリ…
セミの声だけが二人の会話を紡いでいる



( ^ω^)「……お願いしますお」



砂利道は太陽の照り返しで…熱い



/ ,' 3「…………」





/ ,' 3「…それがお前の竜になるのか?」


セミの鳴き声が、止まった


第十三話  完

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