- 43 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
22:45:29.07 ID:zM70kwzLO
- 第十二話
( -ω-)「……」
内藤ホライゾンの自宅、
ブーンは万年床でいつものようにスヤスヤと眠っていた
( ^ω^)「………」
ブーンは…どこかの草原に立っていた
360度全て草原。
地平線が見えるほどの広い草原
( ^ω^)「………このクルマはなんだお?」
彼の前には…なぜか一台のクルマが存在していた
いつかどこかで見たはずのスポーツカー
- 44 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
22:46:28.35 ID:zM70kwzLO
- ( ^ω^)「…名前が思い出せないお…」
ブーンは車種の分からないそのクルマのシートに座る
( ^ω^)「………キーがついたまんまだお。不用心だお」
ブーンはイグニッションに刺さったキーを捻る
キュルルルルル……
キュルルル……
キュル…
( ^ω^)「…エンジンかからないお」
- 46 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
22:50:41.18 ID:zM70kwzLO
- もう一度、キーを捻るブーン
キュルルル…
キュルル……グオオーン!!
( ^ω^)「かかったお!」
ブーンはクラッチを踏み、ギアを1速に入れ、静かにクラッチを繋ぐ
ゆっくりと動きはじめるクルマ。
スピードをあげて2速、3速とシフトアップするブーン
いつの間にか草原は新制首都高に変わっていた
( ^ω^)「………」
- 47 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
22:53:40.24 ID:zM70kwzLO
- すべての操作が綺麗につながっていく。
気がつくとブーンのクルマの横に黄色いクルマ…NSXが併走していた
ξ゚ー゚)ξ「……ふふ」
聞こえるはずはないのに、ツンの声がハッキリ聞こえる
ツンのNSXはブーンを追い抜き、消えてゆく
( ^ω^)「………」
気がつくと横にもう一台、さらにもう一台
黒いZ32と…白い33R…白いポルシェ911ターボ、赤いインプレッサにS15…
数多くのクルマが…みんなブーンを追い抜いていった
- 48 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
22:55:32.73 ID:zM70kwzLO
- ( ^ω^)「これは………」
アクセルを踏むブーン、
スピードは上がっていく
みんなのテールが少しずつ近付いてくる
( ω )「…追い……つ……くぉ」
…同時に意識も遠くなった
( ^ω^)「あれっ?」
気がついたら目を覚ましていたようだ
( ^ω^)「夢かお…」
ただ…暗い室内で突然の目覚めに戸惑うブーンだった
( ^ω^)「僕が乗っていたあのクルマは…なんだったんだお」
- 52 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:13:59.97 ID:zM70kwzLO
- 起きたばかりだというのに目も、頭もヤケに冴えていた。
( ^ω^)「あのクルマ…ひょっとするとだお…」
ブーンは起き上がって部屋の電気をつけて押し入れを開けた
( ^ω^)「…あったお」
ガムテープで封印された一つの段ボール箱。それには『ブーンのおもちゃばこ』と書かれていた
慎重にガムテープを剥がし、箱の中身を見るブーン
- 54 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:15:51.55 ID:zM70kwzLO
- ( ^ω^)「…あ」
記憶のページがめくられた
あの夢を見なければ思い出すことはなかっただろう。
10年前に死んでしまったトーチャンが買ってくれた数少ないクルマのおもちゃがあった
( ^ω^)「お……」
四歳くらいのころに近所のおもちゃ屋さんで買ってもらったミニカー
遊びすぎてところどころ塗装が剥げてたり、ホイールもグラグラだ
- 55 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:18:22.61 ID:zM70kwzLO
- またブーンの記憶のページがパラパラとめくられた
おもちゃ屋
(*^ω^)『クルマのミニカーだおー。これかっこいいお!』
( )『…ブーンはそんなにこのミニカーが欲しいのかい?』
(*^ω^)『うん、ぼくはクルマが好きなんだおー。トーチャン買ってほしいお』
( )『そうか。…じゃあ今日はとくべつだぞ』
(*^ω^)『買ってくれるのかお?やったおー!トーチャンありがとうだお!』
( )『ああ、買ってあげるよ。でもカーチャンには内緒だぞ』
(*^ω^)『やったおー!トーチャンありがとうだお!』
- 58 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:21:05.79 ID:zM70kwzLO
- ( ;ω;)ブワッ「…これだお…夢に出てきたのは間違いなくこのクルマだお…」
ブーンは慈しむように…ミニカーを両手で受けていた
そのミニカーの裏側には…こう刻印してある…
『Z31 FAIR LADY Z』
- 62 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:41:51.99 ID:zM70kwzLO
- (-A`)「んあ…朝かよ…」
目が覚めたら自分の部屋…では無くクーさんの家だったんで一瞬うろたえたが、すぐに昨夜のことを思い出した
昨日はファミレスから帰るとエンジン内部の洗浄にとりかかった…
ひたすら地道な作業だった。
だからクーさんは『手伝ってくれてとても助かるよ』と言ってくれた。
しかし二人がかりでもやっぱり深夜一時くらいまではかかったかな
- 65 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:44:00.91 ID:zM70kwzLO
- ('A`)
今日はこれからエンジンを組み、うまくいけば夕方くらいにはZに載せられるそうだ
俺が寝てた場所?ああ、ガレージの中だよ。なんかマーチかなんかのリヤシートが置いてあったからそれに寝っころがってたんだ。
いや、クーさんは
川 ゚ -゚)「自分と一緒の部屋でもよければそこで寝てくれてもかまわんが…」
(;゚A゚)「!!」
と有り難い爆弾発言を下さったんだが…
そんなことになったら俺は間違いなく狼になるか、手は出さないまでも異様に興奮して寝れないか…というのはわかりきってたから、
あえて
(;'A`)「い、い、いえ、ガレージに寝させてくだささい!ガレージで寝るの大好きなんで!」
を貫き通した…
反省は…わからん…俺ってチキンだよなぁ
- 66 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:46:31.02 ID:zM70kwzLO
- ('A`)
やっぱりいくら泊めてくれるったってクーさんと同じ部屋→ktkrなんて期待はしちゃイカンよな…うん
でもシャワーは浴びたぞ。入ったんだぞクーさんちの浴室に!むろん一人でだけど
おかげで妙に興奮しちゃって我慢するのが大変(ry
分別ある男を心がけるのは大変だ
まあ馬鹿な話はそのへんにしといて…とにかく何故かよく眠れたよ。
マーチのリヤシートはいいなぁ…あれ?目から汗が…
…と
クーさんが起きてきた。すでにツナギに着替えてらっしゃる
- 67 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:47:12.04 ID:zM70kwzLO
- 川 ゚ -゚)「やあ、おはよう。すまなかったな。こんなとこで寝てもらって」
('A`)「おはようございます。いえいえ無理に泊めてもらって申し訳ないです」
川 ゚ -゚)「それじゃ昨日コンビニで買ってきた朝ごはん食べて一服したら…はじめようか」
('A`)「はい!」
今日もアツイ一日になりそうだ
- 68 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:50:48.63 ID:zM70kwzLO
- ( ^ω^)
目が覚めてから…ぼくはまず中古車雑誌をかたっぱしから読みあさってみたお
Z31…やっぱりなかなか見つからないお…
gooやらカーセンサーやら…どれを見てもせいぜい3台くらいしか載ってなかったお…
がんばって探してみたけどだお…どれも廃車寸前とかやたら遠くの店だったりとか…いろいろ折り合いがつかないんだお…
( ^ω^)「煮詰まったお」
- 69 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:52:43.53 ID:zM70kwzLO
- ( ;^ω^)「ふぅ……」
仕方がないから気晴らしに散歩にでもいくお…
( ^ω^)「カーチャン、ちょっと散歩してくるお」
J( 'ー`)し「そうなの?じゃあついでに牛乳とタマゴ買ってきてくれる?」
( ^ω^)「把握」
- 70 : ◆rHi47N9WYc :2007/03/05(月)
23:55:29.97 ID:zM70kwzLO
- 家を出て数分…いつも車の往来の多い産業道路に出たお。お盆だけにいつもよりは空いてるけど…
営業車のカローラバン、
清掃車
宅配便のトラック…
( ^ω^)「…もっと面白いクルマは通らないもんかお」
ガラガラガラ……
車載トラックが…走り抜けた
( ゚ω゚)「!!」
車載トラックの荷台に載っていたのは…Z31!
シルバーの…Z31だった
( ;^ω^)「あ……あ…」
⊂⊂⊂ニニニニニ( ^ω^)ニニ⊃⊃ぶーーーーーーん!!!
頭の中の記憶のページをまたしても紐解きながら…ぼくはひたすら産業道路を走ったお
第十二話 完
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