- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:36:44.64 ID:67i0D3Yt0
ドクオが仕度を終えてテレビを眺めていると呼び鈴が鳴りドアを開けるとブーンが待っていた
二人はいつもの道を歩きながらこれからの事について話し込んでいた
もっともブーンは途中で浮いたり着地したりを繰り返してはいたが。
ブーンも家に帰って食事を取りながら脇目でテレビを眺めたようで、ようやく事の重大さを朝食と一緒に咀嚼し終わったようだ
( ^ω^)「ってな訳でテレ東も流石に右端に速報ゾーンが出来てたお」
('A`)「流石のテレ東も今回ばかりはなぁ」
( ^ω^)「これから世界はどうなるおね?」
('A`)「さぁ?モナーみたいに指先から緑茶が出るくらいの能力の奴が多数ならそんなに変わらないだろうよ」
( ^ω^)「マジかおwwwモナーの能力そんなんかおwww」
('A`)「お前なぁ、お前が宙に浮くのよりモナーの指先グリーンティーのほうが現代科学にとっては悪夢のような出来事なんだぞ?」
( ^ω^)「ゆwwびwwさwwきwwぐwwり−wwんwwてぃーwwwwwwwwwwwwww」
- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:45:36.56 ID:67i0D3Yt0
- ('A`)「だってあれだぜ?質量保存則完全無視じゃね?実物見たわけじゃないけど」
( ^ω^)「シツリョウホゾンソク?」
('A`)「・・・つまり、無から有を生み出してるって事だ、モナーの体液が緑茶になってない限り」
( ^ω^)「・・・それはちょっとグロイのは分かるお」
('A`)「つまりだ、お前も朝にあの脳みそに直接固定概念をぶち込まれたみたいな感覚で理解した通り」
('A`)「完全な超常現象って事だ」
( ^ω^)「おー、ブーンが飛ぶのもそうだお?」
('A`)「それは現代科学でも電磁気力やらなんやらプラズマがどうたらで説明らしきものもでっち上げれるが」
('A`)「いや待てよ、モナーの場合も空気中の水分を取り込み緑茶の成分に・・・」
( ^ω^)「・・・まぁ超能力なのはドクオも分かってるお?いまさら無理に科学で考えたって意味無いお?」
('A`)「・・・そうなんだよなぁ」
そういいながらドクオは深くため息を吐き、うなだれる
- 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:52:51.80 ID:67i0D3Yt0
- ('A`)「そもそも俺は科学の信奉者だったんだ、非科学的なものは信用しないのが信条だったんだ」
('A`)「科学も宗教じゃん?とか言う輩もいるがそれは科学の何たるかを理解していない証拠でありそもそもかがくt」
( ^ω^)「あ、ツンだお、おいすー!」
ドクオが傍らでブツブツと何かを呟いているのを聞き流しつつ、ブーンは交差点の対角に、金髪に縦ロールの少女を見つけて手をふった
( ^ω^)「おーいwwww」
さらに地面から1メートルほど浮き上がって見せる
ξ゚听)ξ
少女は声に気づき、ブーンが浮いているのを見ると、驚いた表情をしながら小さく華奢な手をふって見せた
- 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:01:55.96 ID:67i0D3Yt0
- 横断歩道を2つ渡り、少女と合流してさいど挨拶をする
( ^ω^)「ツン、おはようだおwwww」
ξ゚听)ξ「おはようブーン、連絡網の電話で聞いてはいたけどほんとに飛ぶのね・・・」
驚いた表情のままツンは挨拶を返す
('A`)「コイツ、いきなり俺のアパートまで飛んできやがったんだ、3階の窓を開けたら外に人間が浮かんでるんだぜ?」
( ^ω^)「あのときのドクオもなかなかの驚きっぷりだったおwww」
ξ゚听)ξ「・・・アンタ、いきなり飛べなくなってその高さから落ちたらどうしよう、とか考えなかったわけ?」
今度は呆れ顔で言う
( ^ω^)「ブーンには分かってたお、そんなことないって」
('A`)「無鉄砲というかなんと言うかねぇ・・・」
( ^ω^)「そこがブーンのいいトコだお?wwで、ツンの能力はなんだお?」
- 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:09:47.51 ID:67i0D3Yt0
- ξ゚听)ξ「そうねぇ・・・」
そういいながらツンは宙に手をかざす
すると手のひらの前で細かな塵が渦を巻きはじめた
ξ゚听)ξ「ま、こんな感じね、口で言うよりわかりやすいでしょ?」
( ^ω^)「ツンは風使いかお!かっけぇおwwwそしてわかりやすいおwww」
('A`)「確かに分かりやすいな」
ブーンとドクオはツンが作り出している小さな竜巻を凝視する
ξ*゚听)ξ「本気出せばもっと大きいのも作れるわよ」
ツンがすこし誇らしげに言う
(;^ω^)「ザ・ツイスター みたいなやつもかお?」
ξ゚听)ξ「うーん・・・そんなのは無理だと思うわ」
- 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:16:06.90 ID:67i0D3Yt0
- ( ^ω^)「まぁそんなもん作れたら既に兵器だおwww怖いおwww」
ξ゚听)ξ「まぁそうよねー、って話し込んでると遅刻しちゃうわよ!」
ツンが手首の時計を見ると、ホームルームまであと5分を切っていた
(;^ω^)「げ、マジかおwwwブーンは飛んでいくおwwww」
そういうとブーンは浮き上がり、学校への最短コースを飛び始める
ξ#゚听)ξ「ちょっ!ずるいわよ!まちなさいよ!」
ツンもそれを追いかけて走り出す
('A`) (・・・そんなもん作れたら既に兵器、か)
('A`) (正直、そんなもん1/100秒以内に消せる気がするわ・・・)
('A`) 「・・・兵器・・・か」
- 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:24:52.29 ID:67i0D3Yt0
ドクオが教室の入り口をくぐったとき、既にホームルーム開始時間から10分が経過していた
( ^ω^)「ドクオ、遅刻だお」
('A`)「まだ始まってねーじゃねーか」
ドクオが教室を見渡すと、所々に生徒が固まって、自由に話し込んでいるようだった
ξ゚听)ξ「全力疾走したのに無駄だったわ・・・」
入り口近くの席に座るツンが下敷きで顔を扇ぎながら言う
('A`)「まぁ行ってみれば非常時だからなぁ」
そういいながらドクオは窓際の自分の席に荷物を置いた
( ´∀`)「ドクオ、お茶飲むかお」
(;'A`)「え?」
- 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:33:44.22 ID:67i0D3Yt0
- ( ´∀`)「モナの能力だモナ、ご親切にも右手の指から温茶、左から冷茶が出るモナ・・・」
(;'A`)「え、あ、うーん・・・」
( ´∀`)「どうやら玉露入りらしいモナ、モナは伝説のお茶汲みとして生きていく事を決意したんだモナ・・・」
(;'A`)「モナーおまえ・・・」
( ´∀`)「さぁ、遠慮せずにぐぐっといけモナ」
そういいながら自分の鞄の中から茶碗を沢山取り出し始める
(;'A`)「じゃ、じゃあ冷茶・・・・」
( ´∀`)「了解だモナ」
机の上で空の茶碗にモナーの左人差し指からお茶が注がれていく様は、
なかなかに超現実、まさにシュールでドクオは昨日までの現実が完全に過去のものとなってしまったことをその光景を眺めながら再認識した
( ´∀`)「で、ドクオの能力は何だったモナ?」
なおも茶碗に指からじょぼぼぼ、と冷茶を注ぎながら目線だけドクオに向けてモナーが問いかけた
- 86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:41:41.81 ID:67i0D3Yt0
- モナーのその眼差しは、どこか哀愁を帯びていた
(;'A`) 「こ、コーヒーを・・・おいしく淹れる能力・・・」
(*´∀`)「モナ!?」
それを聞いた瞬間、モナーの表情がぱっと明るくなった
( ´∀`)「ドクオ・・・モナとドクオは友達だモナっ・・・!」
左手でお茶を注ぎながら、空いている右手をドクオに差し出す
(;'A`) 「お、おう!」
ドクオがモナーの手を握ると、モナーはがっしりと握り返してきた
(*´∀`)「モナとドクオで世界のお茶産業を壊滅させてやるモナ!」
(;'A`) 「それはどうかと思うぞ、俺は普通に入れておいしくなる能力だから・・・」
無駄に【おいしいコーヒーを淹れる能力】のディティールが決まっていく
(;´∀`)「モナ!?指から出ないモナ!?」
('A`)「出ない」
- 88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 09:52:22.28 ID:67i0D3Yt0
- ( ´∀`) 「そうモナか・・・、でも同じドリンク系能力者として、お互い切磋琢磨していこうモナ」
再びモナーが握手を求めてくる
(;'A`) 「ああ、そうだな・・・っツ!!!!?」
ドクオが右手を差し出そうとした瞬間、ドクオの背中に針で刺したような小さな痛みが走った
(;'A`)「なんっ・・・!」
とっさに振り返ると、前の席でハインリッヒ高岡が椅子に逆にまたがり、ドクオの背中に指を当ててニヤニヤしていた
从 ゚∀从「ようwwwww」
(;'A`) 「お前か今のは!?」
从 ゚∀从「あったりーwwww電話で言ったろ?」
そういいながらドクオの目の前に手を差し出し、人差し指と親指の間で電気をスパークさせて見せる
(;'A`) 「あ、あぶなっ!」
从 ゚∀从「かっけーだろ?」
- 92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:01:52.75 ID:67i0D3Yt0
- 从 ゚∀从「で、お前の能力・・・コーヒーをおいしく淹れる?だって?」
(;'A`)「そ、そうだよ・・・」
从 ゚∀从「うーん・・・」
(;'A`)「悪いかよ・・・」
从 ゚∀从「いや、なんつーか・・・お前ならもっと面白能力でもいいとおもったんだけどなー?」
ハインが銀髪をかきながら首をかしげる
从 ゚∀从「まぁ・・・いいんじゃね?アタシもコーヒー好きだし」
(;'A`)「やめろよ、逆に凹むわ」
( ^ω^)「正直しょぼいお」
ξ゚听)ξ「まぁ、しょぼいっちゃしょぼいわよね」
(#´∀`)「ドリンク系能力を馬鹿にするなモナ」
( ^ω^)「モナー、お茶おかわりだお」
( ´∀`)「まかせろモナ」
何時のまにか周りに立っていたブーンとツンが会話に加わってくる
- 96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:11:14.35 ID:67i0D3Yt0
- ('A`)「つーか先生来ないな、こんな日に学校こさせたくせに」
ξ゚听)ξ「こんな事になったからとりあえず集めてみたって感じなんじゃない?」
从 ゚∀从「来るときみたけど職員会議やってるみたいだったぜ?」
( ^ω^)「まぁとりあえずだべってればいいお?」
( ´∀`)「お茶だモナ」
('A`)「そんな感じか、そういや他の奴らの能力ってどんな感じだ?」
( ^ω^)「ちょっと聞いて回るかお?」
そんな感じで聞いて回っていると、他の生徒も他人の能力に興味があったらしく、いつの間にか能力発表会のようになっていた
( ^ω^)「内藤、空を飛びますおwww」
「おぉー」
その中でも空を飛ぶ、風を起こす、電気を発生させる、といったブーンたちの能力は飛びぬけたものだったらしく、
それを披露すると歓声が上がった
从 ゚∀从「はっはっはー!」
調子に乗って大電流を発生させて、蛍光灯を割る者もいたりした
- 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:20:47.46 ID:67i0D3Yt0
- ざっとクラス全員の能力を聞いたり見たりしたところ、物をある程度動かせたり、分身できたりする割と派手な能力や、
モナーのように何かを出したりするものや、動物と会話できたり、耳がでっかくなっちゃったりする奴なんかが居たりした
从 ゚∀从「マジシャン失業だな」
( ・∀・)「僕は料理がうまくなる能力さ」
( ^ω^)「ドクオと同じで将来くいっぱぐれないお」
('A`)「堅実な能力なのだよ」
一通り能力紹介が終わると、やはり話題は再びこれからの世界がどうなるか、に収束するようだった
だいたいこういうとき未来の予測をするものは大別して3つに分けられるようだ
戦争がおこるよ派
素敵世界になるよ派
大して変わらないよ派
- 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:25:09.91 ID:67i0D3Yt0
- 素敵世界になるよ派の主張
空が飛べたりする人がいて便利になる、エネルギー問題解決、魔法世界だもの
大して変わらないよ派の主張
だって学校に来たりしてるんだし、それほど大掛かりに役に立つ能力はなくね?
戦争になるよ派の主張
神っぽい者の存在が確定されちゃったよ、宗教間対立がわけの分からない事になるよ
科学とのすりあわせが不安だよ
- 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:33:07.28 ID:67i0D3Yt0
('A`)「まぁしばらくの間の混乱は避けられないだろ、どうやっても」
从 ゚∀从「結局はそんな感じだな」
ξ゚听)ξ「問題はその規模よね」
( ^ω^)「まぁたんとかなるもんだお」
( ´∀`)「目から破壊光線出す奴でも現れない限り安心だモナ」
从;゚∀从「どんな怪物だよwww」
- 105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:38:43.39 ID:67i0D3Yt0
- / ,' 3 「お前ら席につけー、ホームルームをーはじめるー」
教室の入り口から声が聞こえて、生徒たちが一斉に振り向く、担任の荒巻先生が会議を終えてやってきたところだった
( ^ω^)「お、先生きたお」
/ ,' 3 「おらー、ささっと席につけー、先生の足を正座1時間した状態にする力使っちゃうぞー」
ξ;゚听)ξ「地味に嫌な能力ですね・・・」
/ ,' 3 「なーに、罰正座の時間が短縮できて実に経済的じゃろうが」
('A`) 「ビリビリでもハインのとは方向性が違うな・・・」
( ´∀`)「せんせーお茶のむかモナ」
- 107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:46:09.34 ID:67i0D3Yt0
- ホームルームに荒巻が生徒たちに話した内容も、やはり確たる方向性のないものだった
総じて言うならば
/ ,' 3 「無用の混乱を起こさないように、冷静に生活する事」
といった感じである
その後全校集会が行われたが、そこで校長が話した内容も大体同じものだった
とにかく冷静に、落ち着け、という事である
从 ゚∀从「大人共は現実に対応し切れてないな、ありゃ」
('A`)「俺たちとは積み上げてきた年月って物が違うんだろうさ」
教室で下校の準備をしながらドクオが言う
( ^ω^)「でも今日は昼で帰れる事になってよかったおwwww」
ξ゚听)ξ「結局集会だけでおわったものね」
- 108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 10:51:09.36 ID:67i0D3Yt0
- ('A`)「じゃーせっかく早く終わったし、今日はウチでゲームでもすっか?」
( ^ω^)「やるおwwwCod4で四人対戦やろうおwww」
从 ゚∀从「廃人のドクオは一人チームで3対1なwww」
ξ゚听)ξ「暇になっちゃったしそうしましょっか」
从 ゚∀从「いーよなー、一人暮らし」
('A`)「いろいろ面倒な事が多いんだぞ・・・」
ξ゚听)ξ「じゃー一回荷物を家に置いたらドクオのアパートに行けばいいのね?」
('A`)「それでヨロシク」
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