1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 06:41:27.64 ID:67i0D3Yt0

日本時間で7月18日午前7時8分31秒

人類は唐突に進化を遂げた




あるものは食事をとりながら、あるものはシャワーを浴びながら、またあるものは便座に座りながら、

自分が、人類が未知なる力を授かった事を唐突に理解したのだ。

おそらく神と呼ばれるだろう存在から、既存の科学では到底説明しえない力を全人類が授かった事を。





欝田ドクオは制服のワイシャツに右腕を通しながら理解した。

しかし、自分に与えられた力の大きさに、「与えられた」という絶対的な確信を感じつつも、

やはり理性的に、これまでの経験的に信じきる事が出来ないでいた。


(;'A`)「邪気眼ってレヴェルじゃねーぞ・・・」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 06:47:47.47 ID:67i0D3Yt0
自分の両手のひらを見つめながらつぶやく、

何故だか知らないが力を授かった、それも全人類が。

それは確実だ、何故だか知らないがそうなのだとわかる、理由はわからないが。

(;'A`)「それとも・・・ネトゲのしすぎで俺の脳がついにイカレたのか・・・?」

(;'A`)「いやいや・・・とりあえずは・・・」

起動しっぱなしのPCを操作し、専用ブラウザから2chのVIPを覗いてみる

(;'A`)「更新・・・っと」

すこし間をおいて、スレッド一覧が更新される

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 06:53:58.56 ID:67i0D3Yt0
! |番号| タイトル                       |レス| 勢い |

    1    うはwwww超能力wwwwキタwwwwwww   996 123566.7
    2    手から炎が出た県wwww 789 117728.3
    3    神 は 存 在 し た ! ! ! ! 766 100343,2
    4    みなぎってwwwwきwwたwwwwwww      456 100023.0



(;'A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

(;'A`) 「現実っ!!!!やはり現実っ!!!」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:01:10.82 ID:67i0D3Yt0
ついでテレビのリモコンを拾い上げ、適当にチャンネルを変えていく

しかしどのチャンネルを見てもニュースキャスターが「あ、ありのまま 今起こった事をry」的な事を訳がわからない、

といった表情でひたすら話し続けているだけだった

(;'A`)「や、やっぱりか・・・!」

(;'A`)「いや、まだ一つだけ可能性があるっ・・・!」

(;'A`)「すべての論理を完璧なものにする解決法っ・・・!」

(;'A`)「これは夢っ・・・!まさしく夢オチっ・・・!」

(;'A`)「それならば何があっても許されるっ・・・!」


そう自分に言い聞かせるように呟くと、窓枠においてあったサボテンを、思いっきり握り締めてみた

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:06:13.22 ID:67i0D3Yt0


おそらく世界中で同じようにこれは夢だと思い、

セオリーどおりに自分の頬をつねってみたり、はたいてみたりした人間は、億単位で居ただろう。


しかしつねろうがはたこうが、サボテンを握り締めようが、結果は同じで、違うところといえばダメージくらいだった



(;'A`)「この痛みは間違いなく夢オチではない・・・・」

ドクオは左手のひらに満遍なく突き刺さったサボテンの棘をピンセットで抜きながら、再度夢でない事を確認し

これがまぎれも無い事実であることを認めることになった


('A`) 「・・・この場合・・・学校とかいってる場合じゃないよな・・・?」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:12:46.35 ID:67i0D3Yt0


考え込んでいると、隣の部屋から派手な物音が響いた。

少し間を置いて「うっわ!マジでできた!」なんていう声も聞こえてくる

(;'A`)「あー・・・、俺も一応・・・試してみるとか?」

少し考え込む、『与えられた』という認識が現実な事は確認した、次は実際に使ってみるというのは自然な流れだろう

(;'A`)「しかしなぁ・・・大丈夫かこれ・・・?」


('A`)「アパート、消滅したりしないよな?」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:20:21.46 ID:67i0D3Yt0


考え込んでいると、不意に携帯電話が鳴った

驚きつつも発信先を確認すると、数少ない友人の内藤だった

('A`)】 「もしもし、ブーンか、何の用だ?」

( ^ω^)】 「決まってるおwwwww超能力のことだおwwwwwドクオちょっと窓の外を見てみるおwwwww」

('A`)】 「はぁ?超能力とそれが何の関係が・・・」

( ^ω^)】 「いいからカーテンあけろおwwww」

('A`)】 「あぁ?」

不審に思いつつも、遮光カーテンをあけると、窓の外に内藤が浮いていた。


( ^ω^)「おいすーwwwww」

( ゚A゚)
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:27:03.45 ID:67i0D3Yt0

( ^ω^)「見ろおwwwwブーン浮いてるおwwwww」

( ゚A゚)

( ^ω^)「これがwwwwブーン様のwww能力だおwwwうはwwwwwwwwwwwww」

( ゚A゚)

小太りの青年内藤ブーンは、ドクオの部屋の窓の前で、上にいったり下に行ったりとぷかぷか移動して見せる

ちなみにドクオの部屋はアパートの3階にあり、ベランダも無い

( ^ω^)「なんか言えおwwwwwwww」

呆然と見つめるドクオにブーンが携帯を切り、直接話しかける

(;'A`)「いや、なんつーか・・・」

( ^ω^)「すげーお?」

(;'A`)「頭では理解したんだが、いや理解はしてないんだけど、でもわかってるんで、何言ってるのかわからなくなってきたが・・・」

(;'A`)「自分の目で直接見ちまうと、こう・・・くるものがあるな・・・」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:31:40.92 ID:67i0D3Yt0
( ^ω^)「ブーンもマジで飛べた時は笑ったおwwww」

('A`)「いや、笑えるお前はマイノリティーなはず」

( ^ω^)「サーセンwwwwww」

('A`)「テンションたけぇな」

( ^ω^)「あたりまえだおwwwブーンは前から空を飛びたかったんだおwww」

( ^ω^)「それが飛べるようになったんだおwww」

( ^ω^)「きっと神様が願いを叶えてくれたんだおwww」

ブーンは目を輝かせながら言う

( ^ω^)+「サンキュージーザス!」

('A`)「いつからキリスト教に」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:37:36.29 ID:67i0D3Yt0
( ^ω^)「こまけぇことはきにすんなおwwwとりあえず中に入れろおwww」

('A`)「把握」

ドクオが窓を開けると、内藤は空中で器用に靴を脱ぎ、するりと窓をくぐるとドクオの部屋に着地した

( ^ω^)「おじゃましますだお」

('A`)「ウチに窓から入ったのはお前が初めてだな、確実に」

( ^ω^)「空から他人の部屋に入った初の人類かもしれないおww」

('A`)「ないとも言い切れん」

( ^ω^)「うはwww」

('A`)「・・・とりあえずコーヒーでも飲むか?」

( ^ω^)「ミルクと砂糖たっぷりで頼むおww」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:42:29.85 ID:67i0D3Yt0
('A`)「せっかくいい豆が手に入ったのに・・・」

( ^ω^)「ブラックで飲むほどブーンは年老いてないお」

('A`)「別に年寄りになったらミルクと砂糖入りが駄目になるわけでもあるめぇ」

コーヒーミルで豆をひきながら愚痴る

( ^ω^)「相変わらすコーヒーにはうるさいお、今はそんな事にこだわってる場合じゃねぇお?」



( ^ω^)「ドクオはどんな能力が手に入ったんだお?」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:47:14.15 ID:67i0D3Yt0

ミルのハンドルを回すドクオの手が止まる。

( ^ω^) 「お?」

('A`) (俺の能力・・・)

('A`) (正直、壮大すぎでよく分からないというか・・・)

(;'A`) (つーかさっきブーンは言ってたな)


                  ( ^ω^)「きっと神様が願いを叶えてくれたんだおwww」


(;'A`) (じゃあ・・・このバカバカしい、つってもまだ試してないけど・・・)

(;'A`) (圧倒的なこの破壊の力は俺が欲しかったって?)
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:51:23.88 ID:67i0D3Yt0
  _,
( ^ω^)「もったいぶってないでさっさと教えろお」

(;'A`)「え、ああ、えーと・・・」

視線が部屋の中をさ迷う、テレビ画面の中ではニュースキャスターが手のひらから何か出したりしているようあったりした

(;'A`) (何か、何か、バレなくて、俺が欲しそうな能力・・・・!)

('A`) ( あ )



(;'A`)「コーヒーを・・・うまく淹れる能力・・・」


( ^ω^)「は?」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 07:54:46.99 ID:67i0D3Yt0
(;'A`)「だから・・・コーヒーをおいしく淹れる能力・・・」

( ^ω^)「・・・」

(;'A`)「・・・」


( ^ω^)「ショボwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

(;'A`)「だまれ」

( ^ω^)「ブーンはwwww飛べるwwのにwww」

(;'A`)「お、俺のコーヒーは現時点では世界一なんだぞ!多分!」

( ^ω^)「コーヒーの味なんてwwwwわかんwwwねwwww」

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:00:13.55 ID:67i0D3Yt0

('A`)「お前の舌がお子ちゃまだからだろうがこの人間ポリバケツが」

( ^ω^)「コーヒーなんて苦いだけだおwwww」

('A`)「お前がコーヒー語んな」

ブーンはドクオのベッドの上で笑い転げている

('A`) (なんとかごまかせたか・・・)

('A`) (さすがに破壊願望があるとは思われたくねぇ)


('A`)「お前笑いすぎだろ・・・」

ブーンはひとしきり笑い終えるとドクオの方に向き直る

( ^ω^)「ごめんだおwでもそんな能力とか予想GUYだったおw」

('A`)「お前の能力よりよっぽど将来の役に立つと思うがな、将来職には困らん」

( ^ω^)「なるほど」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:06:04.08 ID:67i0D3Yt0
('A`)「きっと『世界一うまい珈琲を淹れる男の店』としてコーヒーショップを開けば大繁盛間違いなしだろ」

( ^ω^)「ブーンだってきっと何かできるお?その・・・バイク便的なものとか」

(;'A`)「その辺はもっとイロイロあるんじゃねぇの?」

( ^ω^)「そうかお?たとえば何だお?」

('A`)「そうだな・・・たとえば・・・」

( ^ω^)「たとえば?」

ブーンに向かい合い、胡坐をかいて座り腕を組んで考える

( ^ω^)「空飛ぶタクシーとかどうだお?」

('A`)「危険きわまりなさそうだな」

などと話しているとドクオの携帯がひたたび鳴る
52 :以 下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/11(火) 08:14:27.49 ID:67i0D3Yt0
('A`)「もしもし、なんだ?」

発信先は二人のクラスメイトのハインリッヒ高岡だった

从 ゚∀从】 「あー、ドクオか?連絡網、こんな時だってのに学校あるってよw」

('A`)】 「マジかー・・・」

从 ゚∀从】 「学校なんか行ってる場合じゃねぇよなー、つー訳で次の奴にヨロシクな」

('A`)】 「おう」

从 ゚∀从】 「で、お前の能力何だった?アタシは電気なんかの力だったぜ?」

('A`)】 「それはまたすげぇな」

从*゚∀从】 「だろだろ〜?アタシに電話してきたモナーの奴は指先から緑茶が無限に出る能力だってよwwww」

从*゚∀从】 「マジでうけるよなwwwwwwwwww」

(;'A`)】 「は、はは・・・」

从 ゚∀从】 「で、ドクオはどんな能力だった?」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:20:38.17 ID:67i0D3Yt0
(;'A`)】 「あ゛−・・・その辺は学校で」

从*゚∀从】 「オイオイオイオイ、もったいぶるねぇ?たのしみにしとくかんな?じゃーなー」


うなだれながら通話終了ボタンを押し、携帯を閉じる

('A`) (モナー・・・奴とは仲良くなれそうだ・・・)


( ^ω^)「何の電話だったお?」

('A`)「あー、連絡網、俺の次ってお前だったよな?今日学校あるってよ、次の人に回せ」

(;^ω^)「げ、マジかお、学校行ってる場合じゃねぇお?」

('A`)「しゃーねーだろ、とりあえず早く回しとけって」

(;^ω^)「把握だお、じゃあブーンはとりあえず家に戻るお、後で登校するときに寄るお」

('A`)「把握した」


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:25:07.69 ID:67i0D3Yt0
( ^ω^)「じゃ、また後でだお」

そう言って玄関に向かうブーン

( ^ω^)「靴が無いお?」

('A`)「飛んできたんだから窓んとこにあるだろ」

(;^ω^)「お、そうだったおww」

('A`)「まぁいきなり適応ってわけにもいかないわな」

( ^ω^)「そうだおね」

そういいながらブーンは靴を持つとふわりと浮き上がり、窓の外で器用に履く

( ^ω^)「じゃああらためて、また後でだお」

('A`)「おう」

( ^ω^)「ブーンwwwwwwwwwww」

そういいながらブーンは電線を飛び越えて飛んでいってしまった


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /11(火) 08:28:13.69 ID:67i0D3Yt0
('A`)「・・・さて、俺は朝飯の準備をすっか・・・」

のそのそとテーブルの上を片付け、食パンをトースターに放り込み、さっき淹れたコーヒーを一口すする

('A`) (・・・さすがに【コーヒーを上手に入れる能力】は無かったか・・・)

ドクオは一人テーブルの前でうなだれた。

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