翌朝。すがすがしい太陽の光が窓辺から降り注ぐ。  その光に照らされたブーンはもそもそとソファから起き上がった。 ( ^ω^)「ふわっ……もう朝かお」  ゆっくりと伸びをして体を動かし、少しずつ体をほぐしていく。  ツンはまだ目覚めていない。それもそのはず、まだ時刻的には午前5時ぐらいなのだ。  ブーンはいつもの習慣で朝早く目が覚めたのだ。 ( ^ω^)「さて、ちょっと暇だお。散歩にでもいくお!」  ブーンはささっと身支度を整えると、外へと出かけていった。 ( ^ω^)「ふぅ、いい空気だお。100年経っても変わらないもんなんだおね」  誰もいない静かな田園風景を独り占めしている気分は中々に爽快のようだ。  村中を探索する勢いで、あちこちを見て回った。  村民の憩いの場となっていそうな公園や、家畜ひしめく小屋、まだ寝静まった民家 に、青々とした実がなる果樹園。  小さい村ながらもそこに生きる人たちのエネルギーのようなものが感じられた。 ( ^ω^)「僕の住む時代も、きっといつかこういう風になれるんだお! 僕もその ために頑張らないと!」  ブーンは自分の住む世界を救う意思を新たにしていた。 ( ^ω^)「さて、そろそろツンもおきてるかお?」  ブーンは嬉々とした表情で帰路に着くのである。 ξ#゚听)ξ「どこ行ってたのよバカ!! 勝手にフラフラ出歩かないでよね!!」  帰ってきて早々の罵声で、ブーンのさっきまでの気分は一気に沈みこんでしまった。 ξ#゚听)ξ「あんまり心配させないでよね!」 (;^ω^)「ご、ごめんお」 ξ゚听)ξ「で、どうすんの?」 ( ^ω^)「お?」  なんとかブーンはツンの怒りを静めた後。  ツンはいきなり話題を切り出してきた。 ξ゚听)ξ「あの地面に埋まってた紙よ。あれ、信用するの?」 ( ^ω^)「うーん……」  昨晩、地面の中から発見した『輝きの剣は朽ち果てた姿で城の宝物庫にしまわれて いる』と記された手紙。  手がかりがない現状、ブーンにとってはとりあえず確かめてみる価値のありそうな ものだった。 ( ^ω^)「だめもとで調べてみるお!」 ξ゚听)ξ「それじゃあ、どうやって城の宝物庫を見せてもらうかよね。女王様は心 優しい方だから謁見ぐらいならなんとかなりそうだけど……」  この国の女王、つまり今は亡き国王の妻ペニサス。  慈愛に満ち、まさに国民の母と言える立派な人物である。 ( ^ω^)「だめもとでお願いしてみるお!」 ξ;゚听)ξ「さっきから全然計画性がないわね……」  そして。 ξ゚听)ξ「城まで来たのはいいんだけどねぇ……なんとかなるのかしら」  白い壁面が清潔さを感じさせ、真っ赤な屋根が美しく映える。左右にそびえる二本 の塔は中央を守るかのように凛とそびえ立っている。  豪華さはないが訪れるものに大きなものを感じさせる城だった。 (=゚ω゚)ノ「ぃょぅ、お前ら城の前で何やってんだょぅ」  門番と思しき人物が、二人のことを不審に思ったのか声をかけてきた。  陽気そうな人物だが門番だけあって隙のない動きをしている。 ξ゚听)ξ「あ、どうも。私たち女王様に謁見したいのですが」 (=゚ω゚)ノ「ぉぅ、そういうことかょぅ。ちょっと中で聞いてくるから待ってろょぅ」  そういうと、門番はもう一人の門番に声をかけてから巨大な木製の門に備えられた 人一人通れるサイズの扉を通って入っていった。  もう一人の門番は先ほどから直立不動でまるで彫像のように静かに佇んでいた。 ( ^ω^)「しかし突然押しかけてきて謁見おkもらえるのかお?」 ξ゚听)ξ「多分大丈夫だと……思うけど」 ( ФωФ)「……女王様は国民への愛に溢れるお方に。よほどのことがない限り無碍 にはしないに」  突然もう一人の門番が言葉を発した。  驚いて二人が門番のほうを見ると、門番は先ほどとかわらず、佇んでいた。 ( ФωФ)「女王様の信条は”民あっての国と王”。民を軽んじることは国を軽んじ ることにつながるとのお考えに」  そのままの姿勢でゆっくりと、静かに話す。その表情は固いが、かすかにやわらか さを感じる。  きっと女王への大きな忠誠心を持っているのだとブーンは思っていた。 ( ^ω^)「この国の主は素晴らしい人なんだおね……」 ( ФωФ)「そうに。あなたは話のわかる人みたいに」  そこへ、先ほど中へ入っていった門番が戻ってきた。 (=゚ω゚)ノ「ぃょぅ、お前ら話がついたょぅ。謁見の許可が下りたょぅ」 ( ^ω^)「おっおっ、やったお!」  とりあえずの第一関門を突破する事が出来たブーンは喜びの声をあげる。  ツンもホッと胸をなでおろしている。 (=゚ω゚)ノ「女王様もそんなに暇じゃないからさっさといくょぅ!」 ( ^ω^)「わかったお、ありがとうだお!」  ブーンはそのまま走るように中へと飛び込んでいった。 ξ゚听)ξ「あ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」  ツンも慌てて後を追う。  そして訪れる静寂。門前は先ほどまでのように静かになった。 (=゚ω゚)ノ「お前があんなにしゃべってるのなんて久しぶりだょぅ」  陽気な門番は遠くを見つめながら隣の仲間に語りかける。 ( ФωФ)「……なんだか、あの男は変な感じがするに。いい意味で」 (=゚ω゚)ノ「お前もそう思うかょぅ」  白。一面の白。純白に輝く城壁は荘厳さをかもし出している。  そして白い中にしかれた真っ赤なカーペットはアクセントとして鮮やかさを増し ている。  左右の壁面には金で作られた蝋燭台が、天井には豪華なつくりのシャンデリアが きらきらと輝きながら鎮座していた。  進む道には絵画や骨董などの調度品が上品に並べられている。 ξ;゚听)ξ「……すごすぎ」 ( ^ω^)「中々立派なお城だお」  二人から漏れる感想は少々意味合いが違うようだ。 ξ゚听)ξ「え? これで中々?」 ( ^ω^)「僕が今まで見た中では5番目くらいだお」  ツンは信じられないという形相をしている。一般庶民にとっては城というだけで 特別な存在だ。  しかし今現在目の前にあるそれよりもさらに上を行くものが存在しているという 事実。  脳みそはオーバーヒート寸前である。 ,(・)(・),「お前たち、うるさいナリだす。お城は騒がしくする場所ではないナリ だすよ」  謁見の間まで二人を案内している、少しちんまりした人物は振り返って二人をし かりつける。 (;^ω^)「すみませんお……」  自己紹介でシャーミン松中と名乗った彼は、そのままくるりと前に向き直ると、 そのまま静かに歩き始めた。 ξ゚听)ξ「……(なによあいつ超感じ悪ー)」  と内心毒を吐いたりしてるツンであった。 ,(・)(・),「さぁ、ついたナリだすよ。謁見が終わったらまた外まで案内するナリ だす」  そういって玉座の間へのドアをゆっくりと開き、二人を奥へと促した。  ツンは緊張の面持ちで、ブーンはいつもどおり飄々とした様子で顔を見合わせて うなずいた。  二人はゆっくりと室内へと足を踏み入れる。ツンはなるべく優雅に見えるように 気をつけて歩いているようだが、どこか少しぎこちない様子である。  一方のブーンは、すでにもう慣れているようで颯爽と歩みを進めていた。  玉座には、長くて鮮やかな赤髪をして、純白のドレスに身を包んだ女性が座って いた。  その姿は決して美貌にあふれているといえるものではなかったが、慈愛と包容力 に満ちた優しげな、まるで母親のような女性であった。 ('、`*川 「ようこそいらっしゃいました。私がこの国を治めるペニサスです」  朗らかな笑顔で二人を見る女王ペニサス。ツンは彼女の表情を見て、体の緊張が とけていくのを感じていた。 ( ^ω^)「お初にお目にかかりますおペニサス女王。私はブーンと申しますお」  片膝をつき、深々と頭を垂れるブーン。それを見たツンもあわてて同じように頭 を下げた。 ξ゚听)ξ「あ、えと。はじめまして女王様。私は城下町のはずれにある村に住ん でいるツンと申します」  ペニサスはそんな二人を交互に見つめた後に、 ('、`*川「そのようにかしこまらなくてもよいのですよ、二人とも。ここには私た ちしかおりませんから」  そう言って、いたずらっ子のように優しく微笑んでいた。 ('、`*川「では・・・あなたたちがなぜ私の元に訪れたのか、その理由を聞かせてもら えますか?」  そう問われて、ツンは返答に困った。どうやって宝物庫の話題を切り出せばいい のかまったく思い当たらなかったからだ。  ブーンはというと、先ほどから強いまなざしでペニサスを見つめていたかと思う と、不意に本題を切り出した。 ( ^ω^)「まことに失礼なことを申し上げているとは重々承知ですが、私に宝物 庫に眠っている朽ちた剣を譲っていただきたいのですお」  直球。ど真ん中ストレートだ。  ツンは驚きのあまりに口がパクパクしている。そんなことをいきなり切り出した らなんと思われるかわからない。いくらペニサスが心優しき女王であれ、宝物を狙 う賊として牢屋に放りこまれてしまうかもしれない。  しかしブーンは強いまなざしのままペニサスを見据えている。 ('、`*川「・・・そうですか。あれを・・・・」  思い当たる節があるのか、首をかしげて悩ましい表情をしている。  と、そこへ。 ???「おか〜さまぁ!」  少女がブーンたちの後ろにある扉を開けて駆け込んできた。スカートの端をつま んで駆ける様は、中々に絵になっている。  ブーンたちの角度からではうまく顔が見えないが、まだ14、5歳といったとこ ろだろうか。 ('、`*川「こら、ワタナベ。今は謁見の途中です。それにあんなに走ったりして、 はしたないでしょうに。一国の姫なのですよあなたは」 ???「ご、ごめんなさいお母様〜。でも、私どうしてもこの方たちに会わなくて はと思って〜・・・・」  ペニサス、ブーン、ツンは三者とも頭にはてなマークを浮かべている。  そんなことはお構いなしとでも言うかのように、少女はくるりと振り返るとゆっ くりとブーンとツンにお辞儀をした。 从'ー'从「昨日振りですね〜。昨日は本当にありがとうございました〜」  その少女は昨日、悪漢に襲われていた少女だった。 ξ;゚听)ξ「えええええええええぇっ!?」 (;^ω^)「ぶふぅ!?」  両者驚きを隠せないようである。事態を飲み込めていないペニサスは一人困惑す るばかりである。 ('、`*川「ワタナベ、お二人とはどういったご関係ですか?」 从'ー'从「お母様、昨日お話したことを覚えてらっしゃいますか〜?」 ('、`*川「あなたがならず者にお母様のネックレスを・・・・まさか」  ペニサスは何かしらを悟ったようだ。それを見たワタナベは得意満面の笑みを 浮かべて 从'ー'从「そうなんです〜! このお二人が私を助けてくれたんです〜!」  とつげた。  ツンは何がなにやらと言う顔をしている。 ( ^ω^)「あなたは、この国の姫君だったんですかお。昨日は非礼を――」 从'ー'从「いいのですよ〜。私はお忍びで外に出ていたのですからわからなくて も当然のことなんですから〜。それに助けていただいたのですから、謝らないで くださいな〜」  ワタナベはやんわりと微笑み、ブーンと会話を交わしている。ツンはそんな二 人を見てただ呆然とするしかなかった。 ξ゚听)ξ「(こんな超展開、一般人じゃついていけないわ・・・・)」 続く