ぬくぬくと暖かい午後の陽気の中、ツンはホライゾンを連れてFOXを案内していた。  なぜそうなったかというと―― ( ^ω^)「この世界のことを詳しく知りたいんだお!」  お互いの自己紹介がすんでから、ホライゾンはそう繰り出した。  彼は過去からやってきた存在。当然、現代の色々なことに関しては疎い。  そこで彼はツンを頼りにすることに決めたらしい。 ( ^ω^)「手がかりも何もないから輝きの剣を探せないし……だから手始めに町を 案内して欲しいんだお!」  と、言い出したのである。  ツンは最初面倒くさいなぁと思っていたが、結局ホライゾンの懇願に折れたわけで ある。 ξ#゚听)ξ「何で私がこんな面倒なことしなきゃいけないのよ、ったく……」 (;^ω^)「すいませんお……ボソ(この子怒りっぽいお)」 ξ#゚听)ξ「なんか言った、ブーン!?」 (;^ω^)「いえ、何も」  ツンがなぜブーンと彼を呼んでいるかと言うと、至極簡単なことだ。  勇者ホライゾンとして名が通っている彼は、意外なことにもフルネームのブーン・ ホライゾンのほうは知られていないのだ。  それを逆手にとって、ブーンと呼んでいるわけである。 ξ゚听)ξ「あー、えーっと。まぁこのあたりは商店街でー、あっちのほうに行くと 広場があってー、こっちに行くと学校があってー。」  ツンに案内されて街中を連れまわされるブーン。と言ってもその案内は至極適当 でさらにここのスイーツはおいしいだとかここの喫茶店は店員の態度が悪いとかも のすごく偏った案内になっている。 ξ゚听)ξ「あ! そうそうここのアクセがすごい評判良くてねー!」 (;^ω^)「あの、ツン?」 ξ゚听)ξ「何よ?」 (;^ω^)「出来たら図書館とか博物館みたいなところを案内して欲しいんだけど ……」 ξ゚听)ξ「え、あ、ああ! そっか、普通そういうとこ連れて行くわよね」  ツンはいまさら気がついたかのように一人うんうんと納得していた。 ξ゚听)ξ「と、言ってもこの国にはそんな大層なものがないのよねぇ。」 ( ^ω^)「どういうことだお?」  問われたツンは一通りのことを説明して見せた。  この国はラウンジとニュー速、二つの国が建国されるさいに、そのどちらにも属 さず、第三の国として初代の王によって建国された国なのだ。  もともと辺境の地にあるこの国はそういった世界の歴史関連のものがあまり残さ れていなかったのだ。 ξ゚听)ξ「というわけで、ニュー速かラウンジに行かないとだめなのよね、そう いうのが見たければ」 ( ^ω^)「そうなのかお……」 ξ゚听)ξ「まぁこの国の歴史に関しては学校の教科書とかにもあるし、調べられ なくもないけどね」 ξ゚听)ξ「うーん……」 ( ^ω^)「さて、どうするかおn ???「キャァーッ!!」  二人がどうしたものかと思案をめぐらせていると、突然絹を裂くような悲鳴が街 中を響き渡った。 ξ゚听)ξ「な、なに!?」  ブーンは声を聴きつけた瞬間にもうその声の方向へと走り出していた。  ツンはそんなブーンにあっけにとられてしまい、数秒出遅れてからブーンに続い た。  ツンはブーンに追いつこうと必死に走ったが、ブーンのスピードは常人のそれを 超えていた。 ξ゚听)ξ「なんなの、あいつ速過ぎよ! こうなったら……スピアガ!」  ツンは呪文を唱えると足元が白く輝き、一気に加速しました。彼女が使ったのは 行動速度増加呪文。  グングンと走り、ブーンに並ぶころには現場についていた。  現場では酒に酔った2人の悪漢が、一人の少女につかみかかっていた。  悪漢の一人の手にはキラキラと輝くネックレスがつかまれていた。 从'ー'从「か、返してください〜! それは大切なおばあちゃんの形見なんです〜!」  少女は必死にネックレスを取り返そうと飛び跳ねていたが、悪漢たちはそれをあ ざ笑うかのようにひょいひょいとそれをかわしていた。 ( ,,゚Д゚)「そんなこと言われて返すオレ様だと思ってんのかゴルァ!」 从゚∀从「ヒャッハッハーッ!! 姉ちゃんきれいだなぁ、おいぃ!! 俺と甘い 一夜をすごさないかぁ!?」  ネックレスを持った悪漢とは別の悪漢が、にじりと歩み出て、少女へと迫る。 从'ー'从「いや……いやです〜」  周りで見ている人たちは見て見ぬふりをして通り過ぎていく。 ξ゚听)ξ「はぁ、はぁ……何よあいつら……」 ( ^ω^)「……」  ブーンは隣にたったツンの問いかけにも答えず、そのまま一歩踏み出した。  さらにツカツカと二人の悪漢に歩み寄る。  ふたりはそれにまったく気づく様子がなく、少女をもてあそんでゲラゲラと下品な笑 いを浮かべてる。 ( ^ω^)「おい、君たち。その子にネックレスを返してあげるお」  ブーンが凛と通った声で二人に声をかける。 (,,゚Д゚)「ああ? なんだてめぇは!? 邪魔するつもりか?」 从゚∀从「ヒャハハハァ!! おもしれぇぜぇ!!」  悪漢たちは斧や鞭と言ったそれぞれが得意とする武器を取り出してブーンと対峙した。 ξ;゚听)ξ「(あんの馬鹿! こんなに目立ってどうすんのよ!)」  ブーンは二人をギロリと睨みつけると腰にかけてある鉄製の重い剣を地面に投げ捨て ると、二人を見据えて叫んだ。 ( ^ω^)「お前らみたいな奴ら、剣なんて使わなくても勝てるお!」  そう叫ぶやいなや飛び出していく。 (,,゚Д゚)「あんまなめんじゃねぇぞゴルァ!!」  悪漢がやすやすと挑発に引っかかり、怒りに任せて斧を振り下ろした。  ブーンは鎧を着ているとは思えないスピードでそれをひらりとかわしたかと思うと、 頑丈そうな籠手がついた右手でそのまま殴りつけた。 (,,゚Д(#)「うごあぁぁあぁぁぁ!!?」  殴られた勢いでそのまま吹き飛んで、店先に並べてあったタルに突っ込んでいく悪 漢。  ブーンはそのままくるりと振り返るともう一人の悪漢へと飛び掛っていった。 从゚∀从「ヒャハハハ! やるじゃねぇのぉ!! そうこなくっちゃ楽しみがいがない ぜぇぇ!!」  もう一人の悪漢はまるで自分の手を使うかのようにムチを自在に操り、ブーンを近 づけさせない。  ブーンは鎧をしているため、顔を狙われていたが、その攻撃を着実にかわしていた。 从゚∀从「けっ! ならこいつでどうだぁ!!」  悪漢はムチを思い切り振りかぶると、ブーンの腕にぐるぐると巻きつけて捕らえつ けてしまった。 ( ^ω^)「……」 从゚∀从「ヒャッハー!! もうこれで動けねぇぜぇ!!」  そういうと悪漢は懐からナイフを取り出し、投擲の構えを取った。 从゚∀从「これでもくらえぇ!!」  叫び、思い切り投げつける。  が。 ( ^ω^)「はぁっ!」  腕に巻きついたムチを思い切り引っ張ると、操り人形のように悪漢は地面に倒され た。  そして投げられたナイフは、ムチの巻きついたほうとは逆の手で弾き飛ばされてい た。 ξ;゚听)ξ「す、すごい……」 ( ^ω^)「……ふぅっ」 (,,゚Д(#)「動くなぁ!! 動いたらこの娘を殺す!!」 从;ー;从「やめてください〜」  突然叫びが聞こえたかと思うとさきほどの悪漢が、少女を捕らえて首に銀色に鈍く 輝く鋭い殺意のこもった刃を押し付けていた。 ( ^ω^)「くっ!?」  ブーンはとっさの事態に何も出来ず、言われるまま、その場にとどまることしか出 来なかった。 (,,゚Д(#)「ハッハッハッ! これで形勢逆転だなぁ!!」  高らかに叫ぶ悪漢の後ろ、人影が躍り出た。 ξ゚听)ξ「それはどうかしら? ライズマ!!」  ツンが構えた携帯用の小さな杖の先端からイナズマがほとばしり、見事に悪漢に命 中する。 (,,*Д(#)「ウギャアァアァァァアアァ!!」  それを受けた悪漢は真っ黒焦げになって地面にばたりと倒れこんだ。 ξ゚听)ξ「ふん、どんなもんよ」 ( ^ω^)「おおー! ツンすごいおー!」  ブーンはそのままツンに駆け寄って賞賛の言葉を浴びせる。  周囲にいた人々もわぁっと歓声をあげていた。  だがツンはじぃっとブーンをにらみつけて言い放った。 ξ#゚听)ξ「あんたばかじゃないの!? なに考えてんの!! 自分が誰か知ってる の!? 目立ったらまずいでしょうが!」 (;^ω^)「あ」 ξ#゚听)ξ「あ、じゃないわよ! 本当に馬鹿ね!」 从'ー'从「あ、あのー……」  先ほどの少女が申し訳なさそうに話しかけてくる。  今、鬼のように怒っているツンに話しかけるなんて結構な勇気があるものだと周り を取り巻いて見ていた人々は感心していた。  ツンも自分が話しかけられていることに気づいたようである。 ξ゚听)ξ「え、あ、ごめんなさい。何かしら?」 从'ー'从「あの、助けてもらってありがとうございます〜! 本当になんてお礼を言 ったらいいか……」 ξ゚听)ξ「いいのいいの、気にしないで。私はあの馬鹿が勝手に出てったから手伝 っただけだしね」  そういってブーンを指す。当のブーンは怒られたショックでしゃがみこんでいじけ ていた。 ( ^ω^)「僕いいことしたのに……」 从'ー'从「あの、あなたもありがとうございます〜。よろしかったらお名前を伺って もいいでしょうか〜?」 ( ^ω^)「え、ああ、僕はホr……ブーンですお」  ブーンは即座に立ち上がり、ゆっくりと一礼をしてみせた。 ( ^ω^)「僕は別にお礼を言われたくて助けたわけじゃないんですお。気にしない で欲しいですお」 从'ー'从「でも……」  少女は絶対にお礼をしなきゃ気がすまないと言う表情でブーンを見据えていた。  だがブーンも別にお礼をして欲しいわけじゃないので、お互いを見つめてにうーん うーんとうなっていた。 ( ^ω^)「お? その本は何ですかお?」  ブーンは少女が抱えているバックにおさまっている古そうな本を見つけた。  表面カバーはボロボロで、印字がところどころかすれていた。 从'ー'从「これですか〜? これは古本屋に売ろうと思ってる歴史書ですけど……」 ( ^ω^)「それだお! それを僕にくださいお!」 从'ー'从「え、これでいいんですか〜?」  ブーンは超高速でぶんぶんと頭をふってうなずいている。 从'ー'从「じゃあ、これ差し上げます〜」 ( ^ω^)「わぁ、ありがとうですおー!」  ブーンはそれを受け取るとうれしそうにその表紙を見つめていた。 ξ゚听)ξ「良かったじゃない」 ( ^ω^)「うんだお!」 从'ー'从「それじゃあ私はこれで〜。本当にありがとうございました〜」  少女は何度も頭を下げながら立ち去っていきました。 ( ^ω^)「さて、一旦家に戻ろうお。これをゆっくり読みたいお」 ξ゚听)ξ「そうねぇ、私もお隣さんに頼まれたものを作りたいし、帰るかぁ」 こうしてだんだんと日が暮れていく中、二人は帰路へとついたのであった。 続く