(;^ω^)「うはwwwwこの季節に海とかテラサムスwwwwwwwww」
(´・ω・`)「どうしようかね」
白い白い砂浜。ところどころに漂着している流木や散乱しているゴミを見る限り、利用し
ているものはそれなりに多いようだ。しかし、今の季節は冬。そんな場所に用のあるものな
どおらず、寂しい限りだ。
そこに立ち尽くす二人の青年。名はショボンとブーン。二人は今、途方にくれていた。
(´・ω・`)ショボンはタコに出会うようです
(´・ω・`)「僕と一緒に旅に い か な い か」
この一言からすべては始まった。
昼時の大学の食堂で、安くてそこそこのランチセットを向かい合って食べていたショボンの
口からそんな言葉が出てきたとき、ブーンは思わず味噌汁を取りこぼしてしまった。
(;^ω^)「うおおおおおお! あっちぃいいいぃぃいいぃぃぃっ!!」
(´・ω・`)「ほら、ティッシュ」
( ^ω^)「あ、dクス」
せっせかと味噌汁の具やらなにやらを取り除きながらブーンは問う。
( ^ω^)「で、なんで旅行なんだお?」
(´・ω・`)「僕、この間彼女に振られちゃってさ。冬休み中暇なんだよね。ブーンは彼女いな
いしちょうど良いかなって」
(#^ω^)「どーせ彼女いない暦=年齢だお!! ふん!」
(´・ω・`)「まぁまぁ……で、どう? 行く?」
( ^ω^)「行くって言われてもどこに行くんだお?」
ショボンはそう聞かれると虚をつかれた顔をする。
(;^ω^)「何も考えてなかったのかお?」
(´・ω・`)「そうなんだ、すまない。しかし僕らは若い! 若さの情熱に任せてあてのない
旅に出るのもまた一興ではないか!!」
そう叫びながら思い切り立ち上がるショボン。当然周囲の人たちの視線を集める。遠くの席
からはヒソヒソと話し声が聞こえてきたり。
(;^ω^)「わかったから座れお! 恥ずいお!」
(´・ω・`)「おお、すまないすまない」
その後、ショボンからの猛烈なアピールにより、結局ブーンは折れることになり二人旅は
始まることになる。
しかし、計画なし、考えなしに行動をするということはとても危険なことだ。若い二人は
それでもなんとかなるなんて甘い考えで旅をしていたが、そんなに簡単に事は進まない。
ショボンが買った古い車は何もない海辺の道でガス欠を起こしてしまったのだ。当然予備
のガソリンなど積んでおらず、今こうして二人は浜辺で途方にくれているわけなのである。
(;^ω^)「とりあえず腹減ったお」
無計画に始まったこの旅。予想がつくとおり、二人は食料の買い込みもしていなかった。
(´・ω・`)「じゃあ僕は何か食べられそうなものを探してくるよ。ここは母なる海だ。探
せば魚とかエビとかカニとかアワビとかイクラとかいるよ!」
(;^ω^)「イクラはシャケのお腹の中だからここら辺にはいないお」
ショボンは少しほかの人と脳みそのつくりが違うようだと、ブーンは常々感じていた。言
っちゃうとちょっとオカしい。
昔マンガの真似をして「ショボンゾーン!!」とか叫びながら放課後のテニスコートでラ
ケットを振り回しているのをブーンは見たことがある。
声をかけようか迷ったが、変に触れないほうがいいと思ったブーンはそのままその場を立
ち去ったが、ほかの友人に聞いた話によると夜遅くまでやっていて守衛さんに怒られたらし
い。
そんなショボンに任せるのは不安だったが、自分で捕りに行くのも面倒なのでブーンはシ
ョボンに任せることにした。
( ^ω^)「じゃあ僕は薪でも集めて火を起こせるようにしておくお」
(´・ω・`)「うん、そうしてくれ。じゃあ待っててねマイハニー! 君のためにご飯をと
ってくるよ!」
(;^ω^)「いいからさっさと行けお……」
海岸沿いを一人で歩くショボン。足元や波打ち際を注視しながらゆっくりと歩を進めてい
く。しかし、落ちているのはゴミばかりで食べられそうなものはなかった。
(´・ω・`)「汚いなぁ。ゴミはちゃんと自分で持ち帰らないとだめなのに」
???「まったく持ってそのとおりや! あんちゃん、ええやっちゃな!」
唐突に聞こえてくる声。ショボンはあたりを伺うが人影らしきものはない。
???「あんちゃん! 下や下や!!」
ショボンはその声の導くままに足元を見た。
ヘ(・ω・ヘ)「どうもどうも」
そこには大きなタコが鎮座していた。
(´・ω・`)「あ、どうもこんにちは」
ヘ(・ω・ヘ)「おう!」
それにしてもやけに威勢のいいタコである。ねじり鉢巻が似合いそうな性格をしている。
とショボンは思っていた。
本来、普通の人間ならタコがしゃべるという怪奇現象に驚くなり逃げるなり何かのドッキ
リかと疑ってみたりするものだが、ショボンは目の前の状況をごく自然に受け入れた。
(´・ω・`)「えっと、あなたのお名前は?」
ヘ(・ω・ヘ)「ワイか! ワイはタコのほわっちょ相田や! かまきり拳法の使い手やねん!」
もう存在自体が謎である。しゃべるタコのくせに、かまきり拳法などという通信教育空手
なみにうさんくさい技を持っているという。だいたいなんでタコ拳法じゃないんだ。
などとは露ほどにも思わないショボンは素直に感動していた。
(´・ω・`)「へえ、すごいですね! 僕はそういうのはからっきしだめでして。毎日波動拳
の練習してるんですけど一向に使えるようにならないんです」
ヘ(・ω・ヘ)「あー、波動拳なぁ。ありゃ一般ピーポーには使われへんで。わしも習得するの
に3年はかかったわ」
もう一切突っ込まないことにする。
(´・ω・`)「相田さんほどすごいタコさんが3年かかるなんて、僕じゃ無理ですね」
ヘ(・ω・ヘ)「まぁそんなに落ち込みなや! にいちゃんやったら筋斗雲呼べると思うで!
まぁ亀仙人にもらわんといかんけどな!」
などなど、しばらく武術やらスタンドやら魔法やらコスモやらの話で盛り上がっていた。
( ^ω^)「ショボンまだかお……」
ショボンは会話が一段楽したころ、何気なく携帯で時刻を確認した。
(´・ω・`)「あ、もうこんなに時間が経っていたのか」
1時間以上も相田との会話で盛り上がっていたようです。
ヘ(・ω・ヘ)「お、どないしたんや?」
(´・ω・`)「今、僕は友達と旅をしているんですけど、近くに食べ物屋どころか家もないので
何か食べるものはないかと探していたんですよ」
ヘ(・ω・ヘ)「ほー、そいつぁ難儀やのぅ……」
(´・ω・`)「じゃあ僕はそろそろ食べ物を探しに行かなきゃいけないので、これで失礼させて
もらいます」
ヘ(・ω・ヘ)「おう、がんばりやー」
相田は8本の足のうちの2本を器用に振り、ショボンを見送った。
( ´ω`)「も、もうだめだお……空腹のあまり死んでしまうお」
ずーっとまたされ続けていたブーンは砂浜に倒れこんでまさに虫の息といった状態だった。
(´・ω・`)「おーい、ブーン」
するとそこへショボンが帰ってきた。手にはなにかをつかんでいる。
( ´ω`)「お、おかえりだお……なんか食いものあったかお?」
(´・ω・`)「はい、これ」
ショボンが差し出したのは大きなタコだった。そのタコはなんか波動拳とかかめはめ波とか
ザ・ワールドが使えそうな雰囲気だったが、すでに死んでいるようである。
そのタコの立派な8本足はとてもおいしそうだ。
(´・ω・`)「これを焼いて食べよう!」
( ^ω^)「うおーーー!! タコーーー!!」
こうして二人は空腹を逃れた。とってもおいしくておかしなタコの犠牲によって。
END
あまりの内容のひどさに俺が泣いた