- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 21:57:12.58
ID:F6kcurTT0
- 光陰矢のごとしとはよく言ったもので、
乗り鞍のないブーンには東スポ杯の日がくるのは速かった。
おなじみの調整ルームにて、ブーンは遠足前の小学生のように興奮していた。
( ^ω^)「初めて重賞出れるお。重賞ってやっぱりふいんき(ry違うのかお?」
('A`)「いや、だるさはとくに変わんないと思う」
( ^ω^)「・・・ドクオに聞くのが間違いだったお」
ソファにもたれかかって話す二人の前を、見知らぬ顔が通り過ぎようとしていた。
( ^ω^)「ちょっと、待つお!そこのかわいい君!誰だお」
('A`)「・・・ナンパかよ」
ξ゚听)ξ「私のこと?」
( ^ω^)「そうだお」
ξ゚听)ξ 「私は明日の東スポ杯に出るチホーツンツンに乗るツンよ」
('A`)「あの五戦五勝の地方馬か。まさか騎手が女だったとは」
ξ゚听)ξ 「ふん!地方だから、女だからってなめないでね」
ツンはそういい残し、去っていった。
( ^ω^)「どんな奴が相手でもピサノブーンは負けないお!」
(´・ω・`) 「うん、燃えているところ悪いけど消灯なんだよね。なんか波乱が起きそうだね」
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 21:59:04.39
ID:F6kcurTT0
- (穴)「第##回東スポ杯二歳ステークス。あいにくの空模様ですが、
たくさんの人が来ていますね。解説のYさん」
(Y)「よろしくどうぞ。新馬戦圧倒的だったピサノブーン。
地方馬のチホーツンツン。この二頭はぜひ生で見ておくべきですからね」
(穴)「Yさん本命は?」
(Y)「ピサノブーンです。前から注目しているんですけど、今日はいいですね」
(穴)「・・・さすが、攻めのYさんです。
さあ、順調にゲート入りが進んでいます」
(ピザノ)「ぶるっ!ぶるるる!」
首を高速で左右に振るピザノブーン。
ブーンが優しく首を撫でる。
( ^ω^)「落ち着くお。すぐ始まるお」
ξ゚听)ξ 「そんなんで勝てるのかしら」
( ^ω^)「レースが終わったらピザノの強さにびびることになるお」
ξ゚听)ξ 「どっちがびびるかしら」
(穴)「さあ、最後に一頭入りまして、スタートしました!」
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 21:59:38.31
ID:F6kcurTT0
- スタートは前走よりはよかったが、決して良いほうではなかった。
ピザノブーンは大方の予想通り後方でレースを進めることになった。
逆に、チホーツンツンはフライングかのように、一頭抜群のスタートを切り、先頭を走っていた。
( ^ω^)(・・・悪くはないお。泥をかぶってもかかる様子もない。
ただ、この馬場で切れ味が殺されないか心配だお)
向こう正面、チホーツンツンが軽快に逃げる。
平均ペースの逃げだった。
馬郡は先頭から最後方まで一団となっていた。
( ^ω^)(ここで、つめるお)
ブーンが鞭を見せる。ピサノブーンは瞬時に反応する。
新馬戦の再現だった。
あっという間に先頭に並びかけるピサノブーン。
人気馬二頭が並ぶ形で走り、場内から歓声があがる。
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 22:01:26.86
ID:F6kcurTT0
- ξ゚听)ξ(まだ3コーナーだというのに!大丈夫、競り合いなら望むところ)
馬を追うツン。
チホーツンツンがペースを上げ、後ろの馬を突き放し始める。
( ^ω^)(逃がさないお!ここで潰す!)
同様にペースを上げるピザノプーン。
二頭は他の馬を置き去りにした。
二頭並んで直線に入る。
人気馬二頭のマッチレースに東京競馬場は沸いた。
飛沫を上げ走る二頭と二人。
葦毛のチホーツンツン、青毛のピサノブーン。
このコントラストがまた、観客を沸かせた。
ξ゚听)ξ(二着でも、朝日杯には出られる。でも、それでは地方に人は戻らない
無敗で中央GT制覇!これが今の地方には必要なんだ!)
( ^ω^)(しぶといお。でも、こんなところで負けては!)
(穴)「坂を駆け上がって残り200!地方の熱意か!中央の力か!
白と黒の馬体が重なり合って譲らない!!」
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 22:03:17.52
ID:F6kcurTT0
- 懸命に鞭を入れる二人。
それに答える二頭。
( ^ω^)(負けるなおピザ!お前が刻むのは黒星じゃなくて歴史だお!)
ξ゚听)ξ (ツンツン!頑張れ!あなたの努力をここで実らせるんだ!)
(穴)「譲らない!譲らない!先頭を譲らない!
!!!!!!!!!!!!!!!!!」
歓声がさらに大きくなる。
その歓声は今までレースを盛り上げていた内ラチ沿いで競り合う二頭に向けられたものではなかった。
(穴)「大外強襲スーパークオリティ!!!!!!!!!!!!!!!」
( ^ω^)(!!!!!!!!!!)
ξ゚听)ξ(!!!!!!!!!!!)
(穴)「一着はスーパークオリティ!!!ものすごい脚だぁぁぁぁ!!!!!!!
そして、二着争いは二頭並んでゴールイン!!!どちらが勝ったか全くわかりません!!」
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 22:05:06.14
ID:F6kcurTT0
- (穴2)「勝利ジョッキーインタビューです。
いや〜ものすごい脚でしたね」
('A`)「そうですね」
(穴2)「これは暮れの大一番も期待しても?」
('A`) 「そうですね」
(穴2)「ドクオさん自身初めての重賞勝利ですが」
('A`) 「えっ!」
(穴)「通信が切れてしまいましたね。え〜ドクオ騎手はこれで重賞4勝目ですね。
久々の勝利です」
(金言)「いや〜すごい脚だったね。これは将来楽しみだグヒヒヒヒ」
(穴)「え〜と、どうやら二着はチホーツンツンですね。
連勝は途切れましたが、朝日杯の権利見事にゲットです」
(金言)「これは朝日杯楽しみだね。グヘヘヘヘ」
(穴)「ではまた来週」
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/10/05(木) 22:06:43.42
ID:F6kcurTT0
- ( ^ω^)(負けたお・・・それも二頭に。ツンツンや馬場を意識しすぎて仕掛けが・・・)
メットをかぶったまま落ち込むブーンに人影が近づく。
(F)「騎乗ミスだな」
その声に顔を上げるブーン。
( ^ω^)「先生・・・はい。おろされても仕方がないお」
(F)「Iさんが、熱いレースだった、競馬らしい競馬だったと言っていた。
私は認めたくないが・・・続投だそうだ。よかったな」
認めたくない、常に上を目指すFだからこその厳しい言葉だった。
だがよかったなという言葉にFの本音がこもっていたのも事実だった。
( ^ω^)「・・・ありがとうございますお」
ξ゚听)ξ(スーパークオリティ。次こそは絶対に勝たなきゃ・・・絶対に)