- 121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:56:48.09 ID:xnCYoyQIO
- 「6:キノコの森」
まだ小さかったころ、お母さんにこう聞いたらしい。
「ねえ、ぼくはどこで生まれたの?」
お母さんは答えてくれた。
「わたしたちはね、キノコの森で生まれたのよ」
そんな話を聞いてからというもの、
森で迷う夢ばかり見つづけたっけ。
夜中に起きて、泣きついたお母さんの胸の温もりは、いまでも憶えている。
――Fungi Forest――
- 123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 11:59:34.92 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「うおおぉぉぉ!!!」
(・∀ ・;)「モラ、後ろ後ろ!」
「ギィー!ギィー!」
(;・∀・)「痛ぇ!くそ、こいつめッ!『サンダー』!」
「ギァァァ!」
(;・∀・)「とりあえず距離を……」
(・∀ ・;)「やべ、モラ、前崖だ!」
(;・∀・)「マジかよ……っ!」
- 125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:07:41.49 ID:xnCYoyQIO
- ……………
話を数分前に戻そう。
僕らはマール峠での数日の滞在の後に、3日間をかけてキノコの森と呼ばれる所にたどり着いた。
( ・∀・)「うわぁ……」
森とはいえ普通の木は一本も生えていないのだが、それでも大樹のようなキノコが何百何千と生い茂っていて、それはまさに森と呼んで差し支えない様相である。
しかし、巨大なキノコの側に立ってみると、まるで自分が小人になったかのような錯覚を覚える。ファンタジーの世界だ。
でも、足元から景色までが見ていてゲンナリするほどに毒々しい色の黄色やオレンジのキノコに覆われているというのは、正直気が滅入りそうなファンタジーである。
- 126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:09:10.23 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・;)「食いたくない色だなー」
( ・∀・)「僕はむしろ食われそうで怖い」
魔物がキノコを食べさせてくる攻撃をしてこないことを祈りつつ、二本の剣といつもの装備を身に付け、ケージをマタンキに任せて森へと足を踏み入れた。
- 127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:10:50.39 ID:xnCYoyQIO
- ……………
( ・∀・)「うーん……」
リバーベル街道とは違って道が整備されていないため、ミルラの木までは手探りでの探索になる。
一応、目立つキノコに剣で目印をつけながら進んでいるのだが、これが本当に対策になるのかは分からない。
(;・∀・)「うわっ、変な汁が出てきた!」
(・∀ ・;)「えんがちょ、えんがちょ!」
というのも、例えばキノコの胞子の中に幻覚作用を与えるものがあった場合、それを吸ってしまった瞬間アウトになってしまうからだ。
道に迷って、いずれキノコになって発見されるだろう。
……まぁ、そういうキノコは無いと、ロマネスクさんから聞いてはいるが。
- 129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:12:07.32 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・)「モラ、魔物が来たぞー」
( ・∀・)「おぅ、来たか」
と、そこにゴブリンとは違う、頭に紫色の頭巾を被った小柄な魔物が現れた。
おそらく、グレムリンというやつだ。
「キーキー!」
どうやらこちらに気付いたようだ。
早速、貰った剣を試してみることにする。
( ・∀・)「いくぞっ」
- 130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:13:29.85 ID:xnCYoyQIO
- 相手はこちらに素早く近付いてきて、頭突きのような攻撃を仕掛けてきた。
( ・∀・)「よっ、と」
難なくバックステップでかわしてから再度接近し、攻撃後の隙を逃さずに剣で横に薙いだ。
(;・∀・)「おぉう」
スパーン、という効果音がついてもおかしくないほど鮮やかに敵の身体が真っ二つに斬れて、敵は消滅した。
(・∀ ・)「おー、切れ味すげーなー」
( ・∀・)「やるな、ベルベット君」
攻撃力はなかなかだが、やはり見た目に繊細さが感じられる。
荒い攻撃は、丈夫そうなィョゥの父さんの剣の方ですることにしよう。
敵の消えた後に魔石が転がっていたので、拾っておく。
紫色だからサンダーの魔石だ。
( ・∀・)「じゃあ、先へ進もう」
(・∀ ・)「おー」
どれぐらい広いのだろうか、迷わなければいいのだが。
そんなことを考えながら、またその辺のキノコに×印を付けた。
- 132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:18:58.86 ID:xnCYoyQIO
- ……………
( ・∀・)「オゥ、またか」
先程から順調に魔物を倒しながら歩みを進めていたのだが、とうとう歩みを止めざるを得ない、魔物の集団に出会った。
アーリマンという、巨大な目玉に羽根と足が生えたような見た目の化け物が一匹と、先程のグレムリンが2匹。そして、僕の腰までぐらいの大きさの芋虫、プチワームが数匹だ。
リバーベル街道で一対多の構造がいかに厳しいものかを少し学んだ僕としては、あれ以上に敵の数が多い状態で戦いぬく自信があまり無い。
- 133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:20:43.84 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・;)「多いぞー」
(;・∀・)「……気を引き締めてかかろう」
とはいえ、やるしかないのだ。
今回は攻撃力を重視し、ベルベット君の剣を抜き、構える。
まず、プチワームががさがさという音をたてて、芋虫とは思えないほどのスピードで迫ってきた。
次いで、二匹のグレムリンとアーリマンが割と速いスピードで近付いてくる。
引き付けて、なんて悠長なことは言ってられない。遠距離から攻撃を開始しておこう。
(;・∀・)「気持ち悪いんだよ、『サンダー』!」
- 135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:22:12.18 ID:xnCYoyQIO
- プチワームの集団の中心に小さな紫色の雷が発生した。
バチッという音を立てて一匹のプチワームに、雷が直撃し、それは消滅した。
周りの数匹のプチワームにも流れた雷が当たったようで、消滅こそしないものの、ダメージと痺れを与えられたようだ。
「!」
(;・∀・)「っ、と」
それでも数匹は怯むことなくこちらに迫り、さらにグレムリンも既に間合いの中に入ってきてしまった。
慌てて剣を数度横に薙ぐ。しかし、周りを取り囲んだプチワームを消滅させるのがやっとで、気付けばグレムリン二匹とアーリマンに取り囲まれてしまっていた。
さらに、痺れのとれたプチワームまで迫って来だす始末である。
(;・∀・)「ピンチ再び」
(・∀ ・;)「パイルで切り抜けよー」
- 136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:23:02.13 ID:xnCYoyQIO
- 事前にマタンキと打ち合わせておいたマジックパイルの方法で、離脱を試みることにした。
先日、攻撃魔法は魔法を詠唱した者には影響を及ぼさない、という事実を本で学んだ。
ならば囲まれた際に、足元に、範囲が広く敵の足止めにもなる魔法、例えばサンダラなどを打てば離脱の大きな足掛かりになるのでは、と考えたのだ。
(;・∀・)「いくぞ」
マタンキと呼吸を合わせ、サンダーを打つタイミングをはかる。
と、そこで二匹のグレムリンがこちらに走ってきて攻撃を仕掛けようとしてきた。
(;・∀・)oO(!)
心の乱れを押さえつけ、敵の頭が僕に迫る直前に、魔法を放つ。
- 137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 12:25:04.15 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「『サンダー』!」(・∀
・;)
予定通りマジックパイルは成功し、上位魔法『サンダラ』の詠唱に成功したのだが、
(; ∀ )「が…ッ!」
グレムリン二匹の頭突きをモロに食らってしまい、一瞬頭に火花が散ったのが分かった。
(・∀ ・;)「モラ!」
(;-∀・)「だ、いじょうぶ。逃げよう」
クラクラする頭で必死に走り、敵と間合いを取る。
だが、アーリマンとプチワームには当たらなかったのか、思った以上に間合いを取れていなかった。
- 145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:11:20.91 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「うわわっ」
と、突如アーリマンが目から体に悪そうな光線を放ってきた。
確か、スロウの効果を持っていたはずだ。この状況で当たる訳にはいかない。
何とかかわして、とにかく走って逃げる。
(;・∀・)「くっそー……」
(・∀ ・;)「モラ、疲れたー」
(;・∀・)「ああもう、ケージ渡せ!」
必死に逃げながら、やっぱり仲間が欲しいな、なんて改めて思った。
- 147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:19:56.74 ID:xnCYoyQIO
- ……………
ここで話は冒頭部分に戻る。
(;・∀・)「うおおぉぉぉ!!!」
その後、前から横から、といった感じで敵がウジャウジャとわいてきて、今や僕の後ろには大量の魔物が列をなしている状態となっている。
魔物カーニバル的な感じだ。
(・∀ ・;)「モラ、後ろ後ろ!」
「ギィー!ギィー!」
いつの間にかアーリマンがすぐそこまで切迫していて、飛びながら足で蹴りを加えてきた。
(;・∀・)「痛ぇ!くそ、こいつめッ!『サンダー』!」
「ギァァァ!」
敵が一瞬怯んだ隙に、少し細い道へ逃げ込む。せめて、囲まれるのだけは避けたい。
(;・∀・)「とりあえず距離を……」
肺は呼吸をする度に悲鳴をあげ、体は重りを下げているかのように動かしづらくなってきた。
すると、少し開けた場所が見えてきた。この道で足止めをできればいい感じなのだが……
- 148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:21:57.00 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・;)「! やべ、モラ、前崖だ!」
(;・∀・)「マジかよ……っ!」
もはや背水の陣である。いや、崖だから水より洒落になっていないのだが。
魔物達がわらわらと僕の周りに集まってきた。
(;-∀・)oO(またしても万事休す、かよ……)
じりじりと後退り、とうとう崖っぷちに生えていた大きめのキノコの上に立ってしまった。
これ以上下がったら、崖から落ちてほぼ間違いなく死んでしまうだろう。
- 150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 13:29:43.01 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)oO(……ん?)
と、不意に足元のキノコに違和感があるのを感じた。
グラグラして安定しないというか、何だかトランポリンの上にでも立っているような気分だ。
(・∀ ・;)「モラ……」
(;・∀・)「……賭けに出よう。マタンキ、僕に捕まって」
これだけの種類のキノコがあるのだ、特殊な構造のキノコがあってもおかしくはないはずだ。
……例えば、バネみたいな。
- 158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:00:44.19 ID:xnCYoyQIO
- 魔物達が目を見合せ、次々と僕に飛びかかってきた。
(♯・∀・)「いくぞっ!」
「!?」
僕は高く飛び上がり、そして、キノコの上に勢いよく着地した。
(;・∀・)「っ!」
キノコは僕の落下の衝撃に合わせて大きく縮み、そして、その反動によって大きく伸び上がった。
そして、その衝撃によって僕の体は空高く放り出された。
- 155 :すみません、戻りました:2009/05/03(日) 13:50:52.65 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「うわぁぁぁぁ!」
(・∀ ・;)「高いぞー」
予想通り、キノコはバネの構造をしていたようなのだが、予想外にバネの力が強く、高く飛びすぎてしまったみたいだ。
斜めに飛ぶ意識をしたから魔物に追いかけられる心配は無くなったけど、落ちた時が痛そうだ。
(;-∀-)oO(ああ、やだなぁ……)
頂点に達した後、黄色い地面が猛スピードで迫ってきて、それが段々とはっきり見えてくるようになった。
奇妙な柔らかさを持った地面に体が叩き付けられ、僕は意識を失っていく感覚を覚えた。
- 162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:10:38.75 ID:xnCYoyQIO
- ……………
(;う∀-)「……ん」
モク*´ω`)゙「クポ、お目覚めクポ?」
目が覚めると、そこはどこか小さな建物の中のようだった。
マタンキでないモーグリが、僕の顔を覗き込んでいる。
(;-∀・)「……ここは?」
僕は確かキノコの森に居たハズなのだが、ここはそこではなさそうだ。
周りはキノコで覆われていないし、何よりここは木造の建物なのである。
モク*´ω`)゙「クポポ、ここはモグのおうちクポ〜」
( ・∀・)「おうち……」
- 164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:13:01.68 ID:xnCYoyQIO
- 確かに、モーグリの家と言われればそう思える見た目である。
小さな暖炉に小さなソファー。細い階段の先には、おそらく小さなベッドがあるのだろう。
さっきまでの小人の感覚と一転して、今度は巨人になった気分だ。
(・∀ ・)「お、モラ起きたかー」
二階からマタンキがふわふわと降りてきて、何とか起き上がった僕の膝の上に座った。
モク*´ω`)゙「元気になってよかったクポ〜」
( ・∀・)「……もしかして、君が助けてくれたの?」
モーグリは羽をぱたぱたさせて「そうクポ〜」と、飛び回った。
- 166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:16:26.09 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・)「モラが気絶しちゃったから、ここに入れさせてもらったんだー」
( ・∀・)「あぁ…ありがとう、助かったよ」
鞄からナッツを10粒ほど取りだし、「お礼に」と言って、モーグリに差し出した。
モク*´ω`)゙「クポ! どういたしましてクポ〜」
(・∀ ・)「俺には?」
( ・∀・)「後であげるよ」
モーグリはひとしきりふわふわと飛び回った後、ソファーの向かいにある椅子に腰掛けてナッツを頬張り始めた。
- 168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:19:31.91 ID:xnCYoyQIO
- 少し落ち着いた所で、先程から気になっていたことをモーグリ君に聞くことにした。
( ・∀・)「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな」
モグ*´ω`)゙「何クポ〜?」
( ・∀・)「ここ……君のおうちって、もしかしてキノコの森にあるの?」
モク*´ω`)゙「そうクポ〜。モグはキノコが好きだからここに住んでるんだクポ〜」
( ・∀・)「へぇー」
モーグリは瘴気を受けない生物だと聞いていたが、本当にクリスタル無しでも生存できるんだな、と思った。
しかし、キノコが好きだからという理由でここに住むというのはどうなのだろう。
僕には理解できないセンスだ。
- 170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:25:13.70 ID:xnCYoyQIO
- ( ・∀・)「ああ、ありがとう。ちょっと場所が気になってね」
モク*´ω`)゙「クポ。お兄さん、キャラバンの人クポね?モグ、ミルラの木の場所なら知ってるクポ」
( ・∀・)「本当?よければ、教えてくれないかな」
モク*´ω`)゙「いいクポ、ナッツのお礼クポ。モグが案内するクポ〜」
願ってもいない申し出だ。ここは、ミルラの木まで彼(彼女?)に案内してもらうことにしよう。
(・∀ ・)「よかったなー」
(;・∀・)「ああ、助けられてばっかりだよ」
いずれは、僕も誰かを助けられるようになるのだろうか。
成長していきたいものである。
- 172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:29:25.75 ID:xnCYoyQIO
- ……………
( ・∀・)「うわっ」
家から出た所に、アーリマンが二匹、飛んでいるのが見えた。
アーリマンはこちらに気付いたらしく、ばっさばっさと羽根を動かしてこちらへ飛んできた。
モク;´ω`)゙「クポ、あいつら苦手クポ〜」
(;・∀・)「一応、僕らでやってみるから。君は隠れてて」
モク;´ω`)゙「わかったクポ〜」
モーグリ君がキノコの影に身を隠したのを確認して、アーリマンと対峙する。
(;・∀・)「うーむ……」
任せろとは言ったものの、一対二で、さらに敵は空を飛んでいるという過酷な状況である。
(・∀ ・;)「やりづらいぞー」
- 173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:31:01.83 ID:xnCYoyQIO
- 剣では届かないし、魔法も当たりはするものの、照準がなかなか合わないため目立ったダメージを与えられない。
さらに片方に集中している間にもう片方が攻撃を仕掛けてくるため、非常に苦しい戦いを強いられている。
(;・∀・)「どうすりゃいいんだ……」
そんな感じでモタモタと戦っていると、後ろの方から
「『グラビデ』がよく効くクポ〜」
というモーグリ君の声が聞こえた。
(;・∀・)「……グラビデ?」
(・∀ ・;)「二種類の違う攻撃魔法を合体したやつだー」
名前は聞いたことがある。確か、重力を強めて敵を圧迫する魔法だったはずだが……
(;・∀・)「そうか、重力……マタンキ、ファイアを頼む」
(・∀ ・;)「はいはーい」
- 174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:32:16.11 ID:xnCYoyQIO
- いつもの間合いに入るため軽く離れてから、サンダーの詠唱を始める。
(;・∀・)「目標は右側のやつ!いくぞ!」
(;・∀・)「『サンダー』!」「『ファイア』!」(・∀
・;)
「ギィー!」
右側のアーリマンに二種類の魔法が炸裂し、それは合体して黒い球体……『グラビデ』を生み出した。
アーリマンは強い重力を受けて、なす術無く地面に叩きつけられた。
(;・∀・)「よしっ!」
- 175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:35:34.53 ID:xnCYoyQIO
- ィョゥの父さんの剣の方を掴み、アーリマンへと切迫する。
そして、大きく見開かれた目に剣を思い切り突き立てた。
「!!!」
(;・∀・)「次っ!」
振り替えってもう一匹の方のアーリマンを一睨みした。
すると、アーリマンは怯えたような眼をしてその場から逃げてしまった。
(;・∀・)「……何だよ」
モク*´ω`)゙「お見事だクポ〜」
キノコの影からモーグリ君がふわふわと現れて、僕の前で止まった。
( ・∀・)「逃げちゃったんだけど……」
モク*´ω`)゙「クポポ、飛んでる敵にとってグラビデは脅威なんだクポ。一発でも打てれば十分すぎる威嚇になるんだクポ〜」
なるほど、そうだったのか。
魔物の弱点をつくのも効率のよい戦いをするには重要なんだな。
改めて勉強になった。
( ・∀・)「そうなんだ、知らなかったよ」
モク*´ω`)゙「クポポ。それじゃあ、行くクポ〜」
モーグリ君の後について、僕らは森の奥の方へと進んでいった。
- 176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:36:39.64 ID:xnCYoyQIO
- ……………
モク*´ω`)゙「ここから先は一本道クポ。もう迷うことはないと思うクポ〜」
( ・∀・)「ありがとう、本当に助かったよ」
道中何度か魔物に襲われたが、それは難なく退けて、ようやくミルラの木の側まで近づいた。
ここまで案内までしてくれたモーグリ君には本当に感謝しなければ。追加でナッツを五粒ほど渡した。
モク*´ω`)゙「クポポ、こちらこそクポ〜」
モーグリ君はふわふわと踊るように飛び回って、
モク*´ω`)゙「じゃあモグは帰るクポ。頑張るクポ〜」
と言って、頭のボンボンを差し出してきた。
- 178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 14:37:22.79 ID:xnCYoyQIO
- 軽くぽんぽんと触れてから、
( ・∀・)「ありがとう、また来たときはお邪魔させてもらうよ」
と言うと、嬉しそうに「絶対に来るクポ〜」と言って、元来た道を戻っていった。
( ・∀・)「……それじゃ、行こうか」
(・∀ ・)「おー」
淀んだ中に、微かに清浄な空気を感じる。
ミルラの木はもうすぐそこだ。
- 200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:04:01.79 ID:xnCYoyQIO
- ……………
( ・∀・)「……あれは?」
しばらく歩いた所、大きく開けた場所の真ん中に緑色の小さな魔物が居るのが見えた。
近づいてみると、どうやらモルボルという魔物の幼体のようだった。
(・∀ ・)「まだ子供みたいだなー」
( ・∀・)「まぁ、大きくなったら厄介だ。かわいそうだけど、ここで倒しておこう」
巨大なモルボルというのは本当に厄介なのだ。
触手のような蔓を何本も伸ばして攻撃してくるわ、体の半分ほどもある口から吐かれる息には毒が含まれているわで、昔から旅人はコイツに悩まされてきた。
さっさと倒してしまおう。肉質は柔らかそうなので、ベルベット君の剣の方を引き抜く。
( ・∀・)「……ん?」
と、いきなりモルボルが震え始め、短い触手をいっぱいに伸ばして何かしら魔法の詠唱を始めた。
- 201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:04:52.87 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「……マズい!」
(・∀ ・;)「え、モラ、え?」
慌ててモルボルの方へと駆け出す。
何がマズいのかは分からない。分からないからこそ嫌な予感がする。
しかし。
……僕の反応はほんの少し遅かったらしく、
(;・∀・)「うっ!」
突如、ぐんぐんと巨大化を始めたモルボルの皮膚の前に僕の攻撃は弾かれてしまい、
「キシャァァァ!!!」
とんでもない悪臭を放ちながら太い触手を伸ばして威嚇をして、そいつは僕の前に立ちはだかった。
- 203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:09:29.65 ID:xnCYoyQIO
- ……………
……モルボルはその巨体から、あまり動くことはしない。
しかし、足元から触手を突き出して広範囲に攻撃を加えてくるし、近づけばブレスで攻撃してきたりする……と、何かの本で読んだ気がする。
(;・∀・)「何でだよっ!」
が、今はそんなことより、モルボルが突如巨大化したというショックの方が大きかった。
(・∀ ・;)「こんなの聞いたことないぞー」
(;・∀・)「くそ…でも、やるしかないよな、っ!」
気を取り直し、モルボルとしっかり間合いをとって対峙する。
- 205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:11:00.04 ID:xnCYoyQIO
- 足元から一本、二本、三本。先の鋭い触手が突き出てくる。
危なっかしくもなんとか見切ってかわし、突き出ている触手を斬りつけてみた。
(;・∀・)「お……っ」
ぶちり、と、微妙な手応えではありつつも、触手を叩き斬るのには成功した。
(・∀ ・;)「……いや、ダメだぞー」
(;・∀・)「……ダメだなー」
が、触手はウネウネと動き回りすぐさまその鋭い先端を復活させた。
再生能力を持っているのか……旅人が鬱陶しがるのも無理はない。
(;・∀・)「ううん、本体を狙うしかないのか……?」
(・∀ ・;)「そうだなー」
- 206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:11:58.57 ID:xnCYoyQIO
- 「シャァァァ……!」
しかし、あれに近付きすぎるとあの悪臭漂うブレスを受けてしまうかもしれない。
それは、なんというか精神的に嫌だ。
(;・∀・)「魔石もサンダーとケアルしか無いし……」
先程学んだ、弱点とする魔法で攻撃するという基礎事項。
だが、残念なことにその条件を満たす魔石を、僕は持っていない。
モルボルの見た目から特性から、全てが「ファイアに弱い」という事実を指しているのに、その肝心のファイアの魔石が無いのだ。
(;・∀・)「くっそぉ……」
(・∀ ・;)「……モラ、ブレスはあきらめよう」
ああ。あんな悪臭を食らったら、間違いなく3日は臭いが残ってしまうだろう。
潔癖症という訳ではないが、汚いのはあまりいただけない。
- 207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:15:53.53 ID:xnCYoyQIO
- だが……
(;-∀・)「……ちくしょう」
このままじり貧でいる訳にもいかない。ある部分での妥協は必要だ。
先程の肉質の変化を考慮し、ィョゥの父さんの剣に持ちかえる。
本体は再生しないといいんだけど……
(♯・∀・)「いくぞ……『パワーソード』!」
「ギャァァァ!」
悪臭をかわすのを諦め、さらに突きだしてきた触手を見切りつつ、一気に斬り込む。
(;・∀・)「うぇ」
鼻をつく異臭に顔をしかめたのは束の間のこと。
さらに顔をしかめざるを得なかったのは、グサリとモルボルの体に突き刺さった部分と剣の隙間から、深緑色の汚い液体が飛び散ってきたことである。
その液体を慌てて盾で防ぐと、盾が微妙に傷んでしまったのが見えた。
- 208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:16:53.60 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「うっわ」
あの毒液を直接浴びてしまったらどんなことになってしまうのだろう。
少し身震いしながら鼻を押さえつつ、少し距離をとった。
(;・∀・)「無理無理無理!なんだよアレ!」
(・∀ ・;)「えんがちょ!えんがちょ!」
(;・∀・)「えんがちょじゃねーよ!」
本体の傷は治りが遅いようだが、あのような光景を見てしまったからには、またしてもじり貧にならざるを得ない。
ファイア無しで戦うというのが、そもそも無謀なのだ。
- 209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:18:38.14 ID:xnCYoyQIO
- だが、何とかして一撃でも強力な火のダメージを与えたい。
火……火だるま……?
(;・∀・)「……マタンキ、ファイアは打てるか?」
(・∀ ・;)「……あと一発が限界だぞー」
ここで、ある可能性に賭けてみることにした。
攻撃魔法は詠唱した者には影響しない……ということは、味方からの攻撃魔法なら、それは影響を受けるという話だ。
(;・∀・)「……よし、ちょっと距離を取るぞ。そこで作戦を伝える」
(・∀ ・;)「はあくー」
目眩ましにモルボルの目の前にサンダーを打とう……としたが、モルボルの目が見つからなかったから適当にサンダーを放ち、逃げ出した。
- 210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 17:19:47.82 ID:xnCYoyQIO
- 「シャァァァ……!」
モルボルは、下腹部の触手をウネウネと動かし、ゆっくりとこちらに迫ってくる。
僕は、逃げながらマタンキにこれからの行動を伝えた。
(;・∀・)「……いいか。今から、『パワーソード』と『ファイア』でマジックパイルをする」
(・∀ ・;)「! それ本気かー?」
(;・∀・)「あぁ。パワーソード……あの必殺技も、どこか魔法に似た攻撃なんだ。もしかしたら、いけるかもしれない」
(・∀ ・;)「でも、無謀だぞー」
(;・∀・)「大丈夫、こっちにはケアルだってあるんだ。失敗しても何とかなる」
(・∀ ・;)「……わかったー」
振り向いて、モルボルと再び対峙する。
……正直、ファイアのあの炎を剣に纏わせるのは無謀であると思う。
しかし、ファイアで生まれた炎をより強く叩きつけるというのは不可能ではないのではないか?そう思ったのだ。
- 219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:04:50.56 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・;)「……やるぞー」
(;・∀・)「あぁ。こっちはちょっとタイミングを遅らせるから、僕が合図したら打ってくれ」
モルボルの動きをよく見る。
先程から見ていて分かったのだが、触手は地面からは三本しか生えてこないようだ。
(・∀ ・;)「……いけるぞー」
モルボルが雄叫びをあげ、触手を地面に突き刺した。
次々と生えてくる触手。1、2、3本目。
(;・∀・)「今だ!」
(・∀ ・;)「『ファイア』!」
(;・∀・)「『パワーソード』!」
火の玉が、モルボルの体の中心部に現れた。
しかし、斬るのはモルボルではない。ファイアを斬るのだ。
- 220 :猿田…:2009/05/03(日)
18:06:08.77 ID:xnCYoyQIO
- (;・∀・)「!?」
が、ここで、予想だにしていなかった事態が発生した。
なんと、ファイアが剣に纏わりついてきたのだ。
だが、これは何とも嬉しい誤算である。
(;・∀・)「うおぉぉぉ!」
炎の剣を大きく振りかぶり、モルボルに真上から叩きつける。
(♯・∀・)「『ファイア剣』っ!」
「シギャァァァ!!!」
斬りつけた瞬間、ドォン、という爆音が響き渡り、モルボルが炎に包まれた。
やった。間違いなく大ダメージを与えられた。
- 222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:16:08.66 ID:xnCYoyQIO
- (;-д・)「……っ!」
しかし僕もタダでは済む筈がなく、やはりあの液体が大きく飛び散ってきて、僕の体に付着してしまった。
焼け付くような痛みが皮膚を犯していく。
だが、まだ倒れる訳にはいかない。
(;-∀・)「トドメがまだだからな……」
再度的確な間合いをとって、ィョゥの父さんの剣を捨てて、ベルベット君の剣を手に取る。
火だるまになり肉質が弱っている、そのチャンスを狙うのだ。
- 223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:17:21.74 ID:xnCYoyQIO
- (;・д・)「くぅっ……」
肉斬骨断。少々意味合いは違うが、似たようなものだ。
モルボルは躍起になって火を消そうともがいている。
だが、その火が消える前に。その前に、奴の体を断ち斬るのだ。
モルボルの巨体な口が開いた。体に電流が走った。
(♯・Д・)「いくぞ、『払い抜け』ッ!」
剣を腰に構えてモルボルに肉薄し、そのまま大きく開いた口の中に飛び込む。
そして、勢いを殺さぬまま、剣を右斜め上へと薙いだ。
異国に伝わる剣技、『抜刀』の亜種である。
- 68
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 22:08:37.68 ID:6SQbq4jcO
- 細胞がブチブチと千切れる、気色悪い感触を右腕に覚える。
だが、僕は痛む右腕に構うことなく、そのまま剣を振り抜いた。
と、いきなり暗かったモルボルの体内に光が差してきた。肉体を断ち斬ったのだ。
そして、何とかその隙間から抜け出し、僕の体はモルボルを貫通した。
(,; Д )「っ……しゃあ!」
とはいえ、モルボルの体内の濃厚な毒液に触れてしまい、それは防具すら貫通して僕の肉体を蝕み始めた。
耐え難い激痛が体に走る。だが、視線だけは決してモルボルから外さず、その最期まで見届けようと、気力を振り絞った。
「!!!!!」
モルボルはもはや限界だったのか、甲高い断末魔を上げてゆっくりと消滅を始めた。
やった。勝てた。
- 225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:23:50.82 ID:xnCYoyQIO
- (; ∀ )「はは…やった……」
(・∀ ・;)「モラー!」
マタンキが心配そうにこちらに飛んでくる。
マタンキの力を借りたとはいえ、自分一人で勝った。
その満足感が身体中を支配していたのだが、それ以上に耐え難い痛みが体を襲ってくる。
(・∀ ・;)「モラ…!」
(; ∀ )「はは…痛ぇ。なぁ、解毒作用のあるキノコとか無いかな?」
(・∀ ・;)「モラ、死ぬな!」
皮膚が溶けていく感覚がいやに気持ち悪い。
死にたくはないから、ケアルだけでも唱えておこう。
- 227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:32:03.11 ID:xnCYoyQIO
- と、仰向けになろうと寝返りをうった時、
(; ∀ )「てっ」
何か針のような物が太股に刺さった感触がした。
何だろう?……あぁ、シィのお守りか。お陰でちょっと目が覚めた。
物は使いようだな。さて、体を起こすか。
(,;・∀・)「……ん?」
(・∀ ・;)「モラ?」
ふと気付いたのだが、何だか体が軽くなっている。
相変わらず皮膚は所々溶けかけているが、焼け付くような痛みが消えていた。
- 229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:37:15.30 ID:xnCYoyQIO
- (,;・∀・)「あれ……?」
ふと思いつき、ポケットにしまっていたシィのお守りを取り出してみた。
(,;・∀・)「……角が消えてる?」
シィが縫い針と称していたあの針が消えていたのだ。
もしかして、あれは何か特別な効果を持った代物だったのだろうか?
(,; ∀ )「……ははっ」
急に力がふっと抜けて、キノコにまみれた地面にばたりと倒れた。
(・∀ ・;)「モラ!?」
(,; ∀ )「あぁ、大丈夫。ちょっと気が抜けただけさ」
また助けられてしまったなぁ、なんて考える。
奇跡は何度も起きないと知りつつも、結局それに頼って、それに助けられている自分が歯痒くて仕方ない。
(,う∀-)
……催涙作用のあるキノコでもあるのだろうか。
最近涙もろくなって仕方ない。
何故か無性に、村の皆に会いたくなった。そして、「ありがとう」の一言を伝えたくなった。
- 232 :死んだ:2009/05/03(日)
18:48:15.13 ID:xnCYoyQIO
- ……………
【マール峠:ラウンジ亭】
モク〒´ω`)゙「『もららー』さん、お手紙クポ〜」
( ・∀・)「どうもでーす」
あの後無事にミルラの雫を手に入れて、来たときと同様に3日かけてマール峠まで戻ってきた。
そして今は、クロニクルにキノコの森での冒険記をまとめている所である。
( ・∀・)「二通、か」
手紙は、シィとギコからであった。ちょうど幼馴染み二人から手紙が来るというのは、何かしら縁のようなものを感じる。
とりあえず、久しぶりのギコからの手紙が気になったので、そちらから読んでみることにした。
- 236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 18:57:22.06 ID:xnCYoyQIO
- (,,゚Д゚)《おう、3年ぶりぐらいだな。こうやって手紙を書くのもなんか久しぶりだから何となく気恥ずかしい気もするな。
それにしても、まさかお前がキャラバンになって、それも一人旅をしていたなんて。シィからの手紙を読んでびっくりしたぜ。
俺もこっちの用事が終わったら村に戻るから、またその時は一緒にキャラバンとして旅に出ような、約束だぜ?
役目をきっちり果たして、村の皆を守ってやってくれよな!》
( ・∀・)「……あいつらしくない文章だなw」
( ・∀・)oO(辛いことが多いけど何とか頑張ってる。お前も早く帰ってこいよ、と)
書いてみて気付いたが、こういう仲での手紙はなかなか気恥ずかしいもので、僕も何となく固い文章になってしまった。
( ・∀・)「……まぁ、いいか」
同時に、こんなことを気にするような仲でもないことを思い出す。
大丈夫。送ってしまえばそれでよし。
- 238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:12:07.12 ID:xnCYoyQIO
- ( ・∀・)「シィ……か」
あれのすぐ後であるということもあって、何とも読みづらい気分になる。
……でも、読みたい気もしてしまう。うん、読もう。
( *゚ー゚)《やっほー、元気?うん、元気だよね、知ってる。
今日はモラちゃんにビッグニュースがあるんだ。何と、来年から私もキャラバン入りが許されたんだよ!
今のところは、私とモラちゃんの二人だけってことになってるんだけど……まぁ、モラちゃんが居たら大丈夫だよね、期待してるよ♪
それじゃ、またね。元気で帰ってきて、旅のお話聞かせてよね。》
( ・∀・)「……」
(;-∀-)「あー、もうっ!」
何だろう、この心のモヤモヤは。
今まで感じたことのないタイプで、正直処理に困る。
- 242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:20:52.41 ID:xnCYoyQIO
- (;-∀・)「守れるかはともかく、仲間が増えるのは心強いな、と、お守り役に立った、ありがとう、と」
自分の文字を直視するのがやけに気恥ずかしく、何だか雑な文章になってしまった。
……そうだ、ついでに何かお守りのお礼がしたいな。何がいいだろう。
( ・∀・)「お」
机の上に、アニジャさんに譲ってもらったファイアリングの偽物が転がっているのが見えた。
あれで一応女の子だし、喜んでくれるかもしれないな。うん、これにしよう。
( ・∀・)「追伸も書いて……と。これでいいかな」
( ・∀・)「じゃあ、2人にお願いします」
ポーチに手紙とナッツ数粒を入れてやる。
モク〒´ω`)゙「いつもありがとうクポ〜」
モーグリ君はそうして踊るように飛び回った後、「またよろしくクポ!」と言って、窓から飛んでいった。
- 245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:37:17.14 ID:xnCYoyQIO
- (・∀ ・)「そういや俺のナッツ…」
(;・∀・)「あ」
そういえばすっかり忘れていた。
さっきのでストックが尽きかけているんだけど、どうしようかな……
(;・∀・)「あ…今ちょーっと切らしてるんだけど……」
(・∀ ・)「ぶーぶー」
と、下から美味しそうな匂いがしてきたのに気付いた。
(;・∀・)「あ、ほら。夕食ができたみたいだし、それから町に買いにいこうぜ?」
(・∀ ・)「不服だぞー」
(;・∀・)「まぁまぁ」
- 246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/03(日) 19:37:58.58 ID:xnCYoyQIO
- マタンキを何とかなだめつつ、部屋を出て階段を降りる。
ちょうど、ロマネスクさんがひょこっと階段の下から顔を出してきた所だった。
( ФωФ)「おぉ、モララー殿。ちょうど出来上がった所であるから、夕食を食べようではないか」
( ・∀・)「はい、いただきます。今日のメニューは何ですか?」
( ФωФ)「ああ、今日は新鮮なキノコ鍋である。おいしいぞ」
(;・∀・)oO(キノコ!)
……何となくキノコがトラウマになってしまったかもしれない。
帰ってから初めてまともにありついた夕食は、何となくしょっぱかった。
「6:キノコの森」 終
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