2 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:11:47.60 ID:5s73NyC70
第二話

〜コーネリアの町〜

( ;^ω^)「ほひぃほひぃ…疲れたお…」
('A`)「お疲れさん。
   さて、王様に会いにいくぞ。宿とって体を綺麗にしてこい」
( ;^ω^)「ちょ、まじかお」
('A`)「ったりまえだ。王様も光の戦士の登場を今か今かと待ちわびていたんだからな。」
( ;^ω^)「今日はもう疲れたお…明日じゃ駄目かお?」
('A`)「駄目」
二人がこんな会話を交わしていると、たまたまこの場を通り掛かった地味な格好の女性が近付いてきた。
おそらくこの町の民だろう。

3 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:13:04.74 ID:5s73NyC70
女性「あらドクオ様、お帰りなさいませ。
   お目当ての物は見つかりましたか?」
('A`)「ああただいま。見つかったよ。これで新しい魔法を習得できそうだ」
女性「それは良かったですね。
   ところで…そちらにいらっしゃる方は?」
( ^ω^)「ん?僕のことかお?」
女性は、ブーンの全身をなめ回すように観察しながら言った。
ドクオの言う通り、部外者が少ないために見慣れない人間が珍しいのだろう。
('A`)「あぁ、草原で倒れていたところを俺が介抱したんだ。
    だが、どうやらただの行き倒れではなさそうでな…
    これから王様んところに連れて行こうと思ってたところだ。」
女性「まあ、王様に…?その方は一体…」
('A`)「光の戦士…って言ったらわかるよな。ブーン、あれを見せてやれよ」
( ^ω^)「ほいほい」
ブーンは袋からクリスタルを取り出し、それを女性の前に差し出した。


4 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:13:47.93 ID:5s73NyC70
女性「まあ、あなたが…?」
( ^ω^)「僕もよくわかんないけど、どうやらそうらしいお」
('A`)「ま、そういう訳なんで。じゃあな」
女性「あ、お待ち下さいませドクオ様」
この場から離れようとしたドクオ達を、女性が慌てて引き止めた。
('A`)「あ?どうした?」


5 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:14:27.37 ID:5s73NyC70
女性「二時間ほど前から兵士達が慌ただしい様子でお城から出たり入ったりを繰り返しています。
   もしかすると、何か事件があったのかも知れません…」
('A`)「何だと…それは本当か?」
女性「はい。気になりましたので兵士の一人に話しかけてみたのですが、
   『国民には後で詳しく話す。今はそれどころじゃない!』と、一蹴されてしまいました」
('A`)「ほう…聞いたか?ブーン」
( ^ω^)「モチのロンだお!こりゃ体を洗ってる場合じゃないお」
('A`)「ああ、すぐに城に向かおう。ありがとな!」
女性「いえ。…あ、光の戦士様」
( ^ω^)「お?」


6 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:14:48.77 ID:5s73NyC70
女性「クリスタルに祝福を…」

( ^ω^)「??」
('A`)「おい、行くぞ!」
( ;^ω^)「あ、ちょっと待ってお!」
二人は駆け足で城へと向かった。

太陽は完全に沈み、通り掛かった家々からは光が漏れ、談笑の声が聞こえてきた。


7 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:15:32.04 ID:5s73NyC70
〜コーネリア城〜

(;'A`)「はぁはぁ…着いたぞ。ここがコーネリア城だ」
( ;^ω^)「ふぅふぅ…間近で見るとすごくでっかいお」
ブーンは城を見上げながら言った。
高さは10階建てのマンションくらいだろうか。
だが、マンションやビルとは違った、何とも言えない威圧感がこの城にはあった。
周りを見渡すと、なるほど、いつも以上に兵士がウロウロしていた。
隊列を組んで、そのまま町の外へ出て行くこともあった。



8 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:16:09.33 ID:5s73NyC70
ブーンが城に圧倒されてると、若い門番の一人がこちらに気付き、近付いてきた。
門番「ドクオ様!大変です!」
('A`)「どうやら事件みたいだな。何があった?」
門番「それが…自分もとても信じることができず、困惑しているのですが…」
('A`)「いいから話しな」
門番「その…セーラ姫がさらわれてしまったのです…」
('A`)「何だと…!姫が!?」
門番「それも、…ううう」
門番は目を赤くし、鼻をぐずつかせながら続けた。


9 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:16:52.47 ID:5s73NyC70
門番「ぐずっ、ガ…ガーランド様が…ぐずっ、連れさったと…」
('A`)「馬鹿な!!」
ドクオは裏返った声をあげた。
('A`)「ふざけるな!ガーランドはそんな大それたことをする男じゃない!!
   奴とは何度も話したことがあるが、奴ほど国や王達を守ろうという意志が強い男はいない!!」
門番「ですが、ぐずっ、目撃証言も多いそうです。ぐずっ、ガーランドが姫を連れ去る場面を見たと…」
門番の目から涙がこぼれた。
('A`)「なんてこった…あのガーランドが…」
門番「王様はショックのあまり病気にかかられてしまいました。
   今はドクタロウ様が看病をなさっているそうです…ぐずっ」
11 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:17:20.11 ID:5s73NyC70
('A`)「親父がか。じゃあ今、王様は寝室におられるんだな?」
門番「はい…」
('A`)「よし。ブーン、行くぞ。お前さんもつらいだろうが、しっかりしろよ」
門番「はい…あ、そちらの方は…?」
('A`)「説明は後だ。じゃあな」
二人は王の寝室へと向かった。


12 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:18:01.37 ID:5s73NyC70
( ^ω^)「ガーランドって誰だお?」
('A`)「ああ、コーネリアいちの剣の腕前を持つと言われている王直属の親衛隊長だ。
    コーネリアで奴を知らない奴はいないとまで言われている。
    奴にあこがれて兵士を志願する奴は少なくない。さっきの門番もそのクチだろう」
( ^ω^)「すごい人だお。そんな人がお姫様をさらったとしたら確かに大事件だお」
('A`)「俺はまだ信じていない。いや、信じられる筈がない。奴ほどの男が何故…?」


13 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:19:53.36 ID:5s73NyC70


長い階段を上り、ようやく二人は王の寝室の前までやってきた
('A`)「ブーンはここでちょっと待っててくれ」
ドクオはそう言うと、寝室を見張っている兵に近付いていった。

('A`)「よう、ご苦労さん」
近衛兵「おおドクオか。ここに来るってことは、お前も話を聞いたみたいだな」
('A`)「ああ。
    …本当なのか?ガーランドが姫をさらったってのは」
近衛兵「残念ながら本当だ。俺も見ちまった。奴と姫が歩いているところをな…
     あの二人は度々噂になっていたからな。最初は散歩でもしてるのかと思ったが…
     気付いた時には手遅れだった」


14 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:20:40.00 ID:5s73NyC70
('A`)「そうか…
    王様の容態は?」
近衛兵「お前の親父さんが付きっきりで看病してるみたいだが、どうも思わしくないようだな」
('A`)「王様に会わせたい奴がいるんだが、いいか?」
近衛兵「何?誰だ」
('A`)「おい、ブーン」
ドクオがブーンを呼ぶと、物陰から様子をうかがっていたブーンが顔を出した。
( ^ω^)「初めまして、ブーンですお」
近衛兵は顔を曇らせた
近衛兵「誰だ?」
('A`)「光の戦士様さ。こいつをぜひ王様に会わせてやりたいんですがかまいませんかね」
近衛兵「いまいち信じがたいが…お前が嘘をつくとは思えんな。ちょっと待ってろ」
そう言うと、近衛兵は寝室の中に入っていった。


15 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:21:03.54 ID:5s73NyC70
( ;^ω^)「王様かお…緊張するお」
('A`)「お前初めてかこういう場は。力抜けよ。
   大丈夫だ。王様は気難しい方ではないさ」

それから2〜3分ほど後、中から「入れ」と声が聞こえてきた
('A`)「よし、入るぜ」
( ^ω^)「おお」


16 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:21:54.97 ID:5s73NyC70
寝室では、王が屋根のついた豪華なベットに横たわっていた。
60代くらいの好好爺といった印象の白い髭を顎に蓄えたその顔は、
色つやが悪く、幾分か頬がこけている様に見えた。
その横には白装束を着た50代くらいの年配の男が立っていた。恐らくドクオの父親だろう。
王「ご苦労であった。下がってよい。引き続き警備を頼むぞ」
近衛兵「はっ」
先程の兵は部屋から出ていった。



17 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:22:33.83 ID:5s73NyC70
王「ドクオよ、魔法の薬草を取りに行っていたそうじゃな。目当ての物は見つかったか?」
('A`)「はっ、お陰様で…」
王「それは良かった」
王はにっこりと笑った。
('A`)「お気遣いの言葉、ありがとうございます。
   ところで、お体の具合はいかがでしょうか?」
今度は隣りの男…ドクオの父親が口を開いた
('ハ`)「王様の御病気は精神的なショックよるものが大きい。
    事件が解決さえすれば回復に向かわれるだろう」
王「だそうだ。お前の父親には本当に世話になってるよ」
('ハ`)「いえ、滅相もございません…」


18 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:23:01.91 ID:5s73NyC70
王「さて、そちらにおられるのが光の戦士様ですかな?」
王はブーンを見て言った。
( ^ω^)「はいお。ブーンと申しますお」

ドクオは今までの経緯を王に話した。草原の真ん中で倒れていたこと、それを自分が助けたこと、クリスタルのこと、ゴブリンとの戦いで見せたブーンの強さ…
王はそれを黙ってじっくりと聞いていた。
そしてブーンは袋からクリスタルを取り出し、王に見せた。

王「おぉ、これが…」


19 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:24:05.73 ID:5s73NyC70
王は目を輝かせた。心なしか、先程より顔色が良くなったように見えた。
王「悪い事の後には良い事が起こるとはよく言ったものだな…
  さて光の戦士様、早速頼みたいことがあるのですが…宜しいですかな?」
( ^ω^)「…ガーランドって男のことですかお?」
王「うむ…奴から孫のセーラを是非とも助けて頂きたいのだ」
( ^ω^)「把握しましたお」
王「病気で倒れた儂に変わって政治を行っているのは、息子のジョーンズ王子だ。
  報告は向こうにいっている筈だ。
  困ったことがあったら彼に聞くといい」
( ^ω^)「わかりましたお」
王「近衛兵隊長を連れて行くと良い。ガーランドほどではないが、剣に確かな腕を持つ男だ」


20 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:24:35.56 ID:5s73NyC70
('A`)「あの、王様」
ドクオが口を挟んだ。
('A`)「自分もブーン、いや光の戦士様と同行したいのですが」
すると、ドクオの父親が物凄い剣幕で怒鳴った。
(#'ハ`)「馬鹿を言うな!貴様もガーランドがどれだけ強いかは知っておろう!
     半人前の貴様が行ったところで光の戦士様の荷になることは目に見えている!」
王「これ、大声を出すでない」
(;'ハ`)「はっ…申し訳ありません」
王「ドクオよ、光の戦士様と同行したいか」
王はドクオの顔をじっと見据えながら言った。
('A`)「はい!
   ガーランドは俺の友です。何故そんなことをしたのかを、直接この耳で聞きたいのです」
王「ふむ…」
('ハ`)「…」


21 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:25:16.78 ID:5s73NyC70
王はしばらく考え込み、口を開いた
王「よし、同行を許そう」
('ハ`)「なっ…!王様!?」
王「ドクタロウよ、お前が息子を思う気持ちは分かる。
  だがな、ドクオが友を思う気持ちも同じだ。
  それに、これも心身の修行になろう」
('ハ`)「…」
('A`)「あ、ありがとうございます!」
王は見張りの近衛兵を呼び、隊長を呼ぶよう命令した。
1〜2分後、濃い顔をした20代後半くらいの男が入ってきた。
25 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:27:14.23 ID:5s73NyC70
  ./  ̄/〃__〃   /  ̄/       /
    ―/  __ _/   ./ ―― / /
    _/   /   /   _/    _/ /_/
    /\___/ヽ
   /''''''   '''''':::::::\
  . |(●),   、(●)、.:| +
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|    
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::| +
   \  `ニニ´  .:::::/     +
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
    >   ヽ. ハ  |   ||

ダディ「王様、どうなさいましたか?警備の方なら心配はいりませんぞ」
王「いや、そうではない。ガーランドのことはお前も知っておろう」
ダディ「はい。もちろん」
王「そちらの方を見てくれ。どう思う?」
王はブーンを見ながら言った。
ダディ「は…?どうとおっしゃられましても…そのような男は存じておりませんが…


    まさか『すごく……大きいです』なんて答えは返せませんし…」ボソッ


26 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:29:33.01 ID:5s73NyC70
王「なんか言ったか?」
ダディ「ああ、いえいえ」
王「その方こそが光の戦士様だ。一緒にガーランドの討伐に向かって欲しい」
ダディ「何ですと!?この弱そうな男が光の戦士ですか?」
ダディと呼ばれた男は、ブーンをまじまじと見ながら言った。
( #^ω^)ピキピキ(こいつムカつくお…!)
王「ダディよ、口を慎め。この方は紛れもなく光の戦士様だ」
ダディ「はっ。申し訳ありません。
    しかし、私の任務は王の護衛です。それに、もう兵は向かわせたのでは…」
王「ガーランドがどれほど強いかはお前も知っておろう。
  それに、あまりこのようなことは言いたくないのだが…
  先に出発した兵では、束になってかかってもガーランドにはかなうまい。
  この城に残っている者の中で、一番剣の腕が立つお前を呼んだ訳だ」


27 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:30:25.80 ID:5s73NyC70
ダディ「はぁはぁなるほど。王様も私の剣技には一目置いていた訳ですね!?
     わかりました!私にお任せ下さい!!」
王は渋い顔をした。
王「全く、相変わらず口の減らぬ男だな…
  儂の警護については心配するな。ここにドクタロウがおるし、お前の部下もおろう。

  では、三人とも、くれぐれも宜しく頼む!!」

('A`)
( ^ω^)「は(いお)っ!」
ダディ     


28 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:31:45.84 ID:5s73NyC70
三人は王の寝室を後にし、ジョーンズ王子のいる玉座の間へと向かった。

とても広い空間の真ん中に、豪華な金色の刺繍がされた赤い絨毯が敷かれており、
それは入口から部屋の奥にある玉座まで続いていた。
玉座には40代くらいの中年の男が座っていた。


29 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:33:53.49 ID:5s73NyC70

(’e’)「話は聞いている。あなたが光の戦士様だな?
    私がジョーンズだ。『セント』は頭に付かないから気をつけてくれよ」
( ^ω^)(セント?)「ブーンですお。宜しくですお」
('A`)「ジョーンズ様、ぶしつけではありますが、ガーランドがどこに行ったかを教えて頂けませんか?」
ブーンの後ろにいたドクオが聞いた。
(’e’)「ドクオか…?お前も行く気なのか?」
王子は信じられないといった表情でドクオを見た。
(’e’)「……まぁそれはいいだろう。
    ガーランドの行き先についての報告はまだない。だが、奴は北西へ向かったとの報告があった。
    ダディ、ドクオ……北西には何があるか知っているな?」


30 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:34:55.00 ID:5s73NyC70
ダディ「カオス神殿…ですな?」
(’e’)「うむ。だが、まだそこへ行ったと決まった訳ではない。
    北西には他に、ドワーフの里があるし、あるいはキャンプを張っているのかもしれない。
    だが、ドワーフの里に行くには、船を使うか険しい山を越えなければならない。
    奴は船を持っていないし、姫と険しい山を越えられるとはとても思えない。
    それに、曲がった事が嫌いなドワーフの性分からして、ガーランドを受け入れるとは思えん。
    従って、カオス神殿に向かったか、道中でキャンプをしているかどちらかであることは間違いないだろう」


31 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:36:09.94 ID:5s73NyC70
三人はジョーンズに礼を言い、玉座の間を後にした。
外に出ると、夜はすっかり更けており、家々から漏れる明かりは消えつつあった。

ブーンはふと、空を見上げた。
空には眩しいほどの月がこうこうと照っており、数多くの星々が、我先とばかりにまたたいていた。

大きな黒い紙に、砂をぶちまけたかのような空一面に広がる素晴らしい世界に、都会育ちのブーンは溜め息をつかずにはいられなかった。
( ^ω^)「すごい星空だお!
      プラネタリウムに来たみたいだお」
('A`)「…そーいや俺も久し振りだ。こんなに星を見るの」
( ^ω^)「そうなのかお?」
('A`)「ああ。いつもはもっと曇ってるからな。…つーか月を見たのも久し振りだわ」
( ^ω^)「へえ。そんなに曇ってるのかお?」
('A`)「この世界は晴れること自体が珍しいんだ。今日みたいに雲一つないなんて以ての外さ。
    あまりに天気がいいから、町の人は『今日は良い事が起きるに違いない』なんて噂すらしてみたいだ。
    まあ、それは当たったみたいだけどな」
ドクオは嬉しそうにブーンを見ながら言った。


32 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:36:57.06 ID:5s73NyC70
ダディ「さて…」
ダディが口を開いた。
ダディ「自己紹介がまだだったな。光の戦士よ。
    私の名はダディ=クール。王を警護する『近衛兵』の隊長を務めている。
    先ほどの軽率な発言はすまなかった。私は、相手を見た目だけで判断する癖があってな」
( ^ω^)「いえ、気にしてませんお。
      ブーンですお。宜しくお」
二人は握手を交わした。ダディの握力は凄まじく、ブーンは手を握りつぶされる錯覚さえ感じた。


33 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:38:12.81 ID:5s73NyC70
ダディ「さて、できれば今すぐにでも出発をしたいところだが、既にもう遅い時間だ。明日の明朝に出発するとしよう。
    ブーン君、宿は確保してあるかな?」
( ^ω^)「いえ、まだですお」
ダディ「そうか。では私の家に来るといい。客室を貸そう。ドクオ、君はどうする?」
('A`)「あー俺はいいよ。人ん家って落ち着かないし。
   それに、今日採ってきた薬草の調合もしたいしな。自分の家に戻ることにするよ」
( ^ω^)「あれ?ドクオって城で寝泊まりしてるんじゃないのかお?」
('A`)「いや、今は借家で暮らしてる。
   城の中だと優遇され過ぎで、どうも落ち着かなくてな」
( ^ω^)「そうだったのかお」


34 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:39:19.74 ID:5s73NyC70
その後、ブーンはドクオと別れ、ダディ邸で一晩を過ごした。
その際に、ブーンは闘いについてはど素人であることをダディに伝え、簡単な剣術や体術などを教わった。
ダディ『ふむ…なかなか筋が良いな。
    流石は光の戦士に選ばれた男といったところか』
( ;^ω^)『ほへぇほへぇ…疲れましたお…』
ダディ『だが、この程度ではガーランドに瞬殺されるのがオチだな。
    さあ、かかって来い。今夜はオールナイトだ』
( ;^ω^)「ちょwww氏ぬwwww」




35 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:41:15.67 ID:5s73NyC70


翌朝、なんとか睡眠時間を確保したブーンは、眠気眼を擦りながら身支度を整え、ダディと共に邸宅を後にした。
二人が城門に着くと、既に到着していたドクオがなにやらブツブツと呟いていた。
('A`)「いn……j……うーん」
( ^ω^)「おいすードクオ。何ブツブツ言ってんだお?」
('A`)「おおブーン。昨日習得した魔法の練習をしてたのさ」
( ^ω^)「練習?」
ダディ「さて、ドクオは既に来ていたようだな。では出発するとしよう。二人とも準備はいいな?」
('A`)「ああ」
( ^ω^)「OK牧場」
ダディ「よし。手掛かりが少ない故、まずはカオス神殿を目指そう。では出発だ」
三人は歩を進め始めた。
その時。

36 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:41:55.14 ID:5s73NyC70
('ハ`)「待て」
後方…城の方から声が聞こえてきた。これはドクオの父親の声だ。
三人は振り返ると、少し息を切らした様子のドクオ父の姿を認めた。
('A`)「親父か……
    まさか、今更止めるんじゃねーだろうな?」
('ハ`)「馬鹿を言え。私も既に覚悟はしている。
    お前に渡したい物があってな」
ドクオ父はそう言うと、懐から不思議な色をした大振りのハンマーを取り出した。
ドクオが使っているハンマーより一回り大きい。


37 ◆0q32MjEv.A :2006/04/06(木) 20:43:09.37 ID:5s73NyC70
('ハ`)「これだ。
    私が若い頃に使っていた物だが、手入れは欠かさなかった故、今でも充分に使うことができる。
    持って行くがいい」
('A`)「…?それは?」
('ハ`)「魔法の金属、ミスリルでできたハンマーだ。
    白魔術師は直接の戦闘では全くの役立たずだが、これがあれば幾らかはマシに闘えるだろう」
ドクオがミスリルハンマーを受け取ると、ドクオ父は微かに微笑んだ。
('A`)「親父…」
('ハ`)「ドクオよ。絶対に帰ってくるのだぞ…!」
('A`)「ああ!もちろんだ。」
ドクオはミスリルハンマーを懐にしまい、二人に向き直った。

('A`)「すまないな二人とも。さあ出発しよう!」

三人は再び歩を進め始めた。

ドクオ父は三人をいつまでも見送った。
三人が見えなくなっても暫くはその場に立ち続け、三人が歩いていった方角をじっと見つめていた。

第二話 終
inserted by FC2 system