- 3 :
◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:44:59.88 ID:OxlwBThG0
- 第十三話
ブーンとオーガチーフ。二人が闘いを始めてから数分。
体力のないブーンは既にスタミナが切れ、防戦一方の状態にあった。
だが、オーガチーフも先ほどのツンの魔法の影響か、時間を追うごとに動きが徐々に鈍くなっているのが目に見えた。
( ゚∀゚)「……」
ドクオの白魔術により不完全ながらも傷を回復させたジョルジュ。彼は加勢のチャンスをじっと伺っていた。
ツンとドクオもまた然りである。ついでにモツ煮も。
- 5 :
◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:45:38.68 ID:OxlwBThG0
- 門番兵B「……」
だが門番兵Bは、自分のかなわない相手に完全に闘志を失っていた。体を小刻みに震わせ、青い顔でブーンの戦いぶりをただ見守るのみである。
天津飯はというと、相棒の餃子を失った悲しみに打ちひしがれ、彼の亡骸のそばで涙するだけであった。
彼らがこの闘いに再び加わることはもうないだろう。
- 8 :
◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:47:13.29 ID:OxlwBThG0
- (;^ω^)「はぁ…はぁ…」
チーフ「どうした。守るだけか?」
(;^ω^)「く…おおっ!」
ブーンが振った剣は空を切る。
チーフ「……ふん。最初は手応えがあると感じたのだがな」
(;^ω^)「……」
チーフ「まあ少しは楽しませてもらった…。流石は光の戦士だな。だが…」
チーフ「所詮は人間だったな。死ね!」
チーフの太い右腕が振りおろされる。
( ^ω^)(やばい…受け止められるかお…)
- 9 :
◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:48:32.19 ID:OxlwBThG0
- ξ゚听)ξ( ゚∀゚)「そうはいかんざき!」
それに割って入ったのは、二本のナイフ。
チーフ「ふん…」
オーガ族にナイフは通用しない。彼らの並外れた生命力の前には、ナイフの一本二本では心臓を突いても殺すことができない。
それは、昨日チーフと直接闘ったジョルジュにはよくわかっていた。
チーフはナイフを無視し、腕をそのままブーンに振り下ろす。
チーフの腕に深く突き刺さるナイフ。普段なら、この程度では彼は全く物怖じしない。
だが、この時は別だった。
- 12 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:50:10.54 ID:OxlwBThG0
- チーフ「ぐ……何だと?」
ぴたりと腕を止めるチーフ。顔は苦悶の表情と共に脂汗が浮かんでいる。
チーフ「何故だ…ナイフ如きが…」
( ゚∀゚)「教えてやろう!」
( ゚∀゚)「ナイフを二本投げて二倍の力!ツンさんの魔法の力を借りて三倍の力!いつもより回転を加えて二倍の力!!
合 計 で 12 倍 の 力 だ !!
これはさすがに効いたようだな」
(;'A`)「んなアホな」
ξ゚听)ξ「いいじゃない。効果あったんだから」
- 17 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:52:10.82 ID:OxlwBThG0
- チーフ「チッ。右腕が動かん」
右腕をだらりとさせるチーフ。
。
( ゚∀゚)「へへ。ざまあみやがれってんだ!」
次の瞬間。
ぶちっ!
(;^ω^)「なっ…」
滴り落ちる鮮血。ゴミのようにぼとりと地面に転がる肉塊。
なんとチーフは右腕を自ら千切ったのだった。
- 19 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:53:39.38 ID:OxlwBThG0
- チーフ「動けない腕など必要ない」
まさかの行動に圧倒されるブーン達。
だが、それはブーン達が有利になったことに他ならない。
チーフ「貴様等など片腕で充分だ」
( ^ω^)「それはどうかお?」
ブーンは数日前の闘いを思い出していた。
『ぐっ……な…に…?』
『目がああぁぁぁぁ!』
ガーランドとの死闘。
この時もまた、ガーランドの片腕がつぶされたことによりブーンと互角の戦いになったのだった。
いける。ブーンを始めこの場にいる人間はそう思った。
- 21 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:54:16.83 ID:OxlwBThG0
その頃、この二人は…
ヽ(・∀ ・)「どう見ても迷子です。本当にありがとうございました」
(´・ω・`)「海っていいよね」
再び港に戻っていた。
- 25 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:56:43.23 ID:OxlwBThG0
TNOK「魔物のくせによー、人間様に逆らいやがって。ほーら気持ちいいんだろ?早くしゃぶれよ!」
オーガ「や…やめ…アッー!」
プラボカの町を襲ったオーガたち。
一時は町の存続も危ぶまれた。
だが、海賊達とプラボカの住民との協力により、どうにか撃退をすることに成功したのだった。
残ったオーガ達も形勢不利と見るや、あるものはヤケになり突撃して散り、あるものはチーフがこの場にいないことをいいことに逃げ出し……。
そして闘いは終わったのだった。
わずか数十分の出来事。だが、人間の意地を見せつけるには充分な時間だった。
- 26 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:57:35.76 ID:OxlwBThG0
- 無残にも転がる、いくつもの紫色のマッチョハゲ親父の暑苦しい死体。
凄まじい光景である。中には首のないものも混じっている。
そしてそれは、ヤムとTNOKの活躍を物語っていた。
ちなみに、他の海賊達はキャプテン翼でいう西尾くらいしか役に立っていなかった。
プラボカの住民?浦辺くらいは活躍してたんじゃね?
わかりにくいですかそうですか。
- 27 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/30(月)
23:58:46.63 ID:OxlwBThG0
- 人間側も少なからずの者が使命と共に殉じた。
彼らはプラボカの住民によって手厚く埋葬され、後々の世にも語り継がれることだろう。
辺りが完全に闇に包まれしばらく時間が経過した今現在、町はほぼ完全に落ち着きを取り戻していたのだった。
門番兵A「Bは…大丈夫かな。助けに行かなきゃ……」
ヤム「そういやこいつらを指揮してた奴ってどこにいるんだ?TNOKのいる方か…?」
TNOK「てめぇらの頭はどこにいやがる?言え!でなきゃ…」
オーガ某「ひー!言うから!!言うから離して!!お願い!!」
TNOK「まあいいや。とりあえず四つん這いになれ。おぅ早くしろよ」
一部を除いては……。
- 29 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:02:29.01 ID:1gGRc93J0
チーフは強かった。
片腕を失い、ジョルジュ達が加勢したにも関わらず、である。
いくら白魔術とは言え、体力の回復はできない。
疲れたままのブーンとジョルジュ達の攻撃は片手で軽々いなされ、そしてその腕で先程よりも強力な攻撃を仕掛けてくる。
ツンの残り少ない魔法力で絞りに絞った攻撃はもはや効かず、ドクオの魔法力も底をついてしまった。
('(;゚∀゚∩「あ…うぅ」
(;゚∀゚)「くそ…」
ξ;゚听)ξ「もう…駄目」
(;'A`)「くっ…」
(;^ω^)「これまでかお…」
地を舐めるブーン達。もはやだれも起き上がることはできなかった。
- 30 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:03:06.20 ID:1gGRc93J0
ゆっくりとブーンに近づくオーガチーフ。
チーフ「貴様等はよく頑張った。今までこれほどの者に出会ったことはない。貴様等のことは忘れないだろう」
(;´ω`)(やられるお…)
ブーンは覚悟を決めた。
- 32 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:05:06.75 ID:1gGRc93J0
- 門番兵B「……」
この光景をじっと見つめる門番兵B。
チーフ「今度こそとどめだ」
そして脳裏をよぎる、一つの疑問。
門番兵B(……光の戦士がやられる。彼は俺ら人類の希望…。もし死ねば、この世界はどうなってしまうんだ…?)
思考はさらに流れる。
門番兵B(他の奴はもう動けない…。ならばこいつに誰が立ち向かう…?誰が光の戦士を守る…?)
- 33 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:06:10.66 ID:1gGRc93J0
- 門番兵B(俺 し か い な い ! !)
Bの足の震えが止まった。顔色はみるみる元の色に戻っていく。
チーフ「死ね」
門番兵B「待て!!」
チーフ「?」
Bは槍を拾い上げ、チーフに向けた。
門番兵B「まだ俺がいる。俺が相手だ!」
- 34 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:07:08.61 ID:1gGRc93J0
- チーフは興味がなさそうな顔をした。
チーフ「ほう。これはこれは。震えてただけの貴様がまた俺に立ち向かうか」
門番兵B「うるせえっ!それに俺は貴様なんて名前じゃねえ……」
門番兵B「俺が親から貰った名前…バビントンだ。バビントン…それが俺の名だ!!」
チーフ「貴様の名前など興味ない」
バビ「忘れられない名前にしてやるぜ…」
チーフ「貴様に何ができる。この俺に屈し、屠殺場の家畜のように震えていた貴様にな…」
- 35 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:07:42.23 ID:1gGRc93J0
- バビ(………)
バビ(恐らく…いや、ほぼ確実に俺は死ぬ。
親父、お袋…すいません。先立つ俺を許して下さい。
Aよ……これからの門の番は任せたぜ…。新しい奴にいじめられんじゃねーぞ…)
バビ「行くぜ!!」
チーフ「いつでも来い」
- 36 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:08:09.30 ID:1gGRc93J0
- 走り出す門番兵B、バビントン。
バビ「おあああああああああああああ!!」
バビ(奴に槍は効かない。だが、脳…頭を攻撃すれば…いくら奴でも…。チャンスは一度。やってやる…!)
チーフ「特攻か。それもいいだろう」
チーフの左腕がバビントンを襲う。
バビ「舐めんな!」
完全にバビントンに舐めた一撃。ただ真っ直ぐを突いただけの拳。スピードも数段遅い。
バビントンはこれをかわし、槍を伸ばして身長3メートルはあろうチーフの頭を突いた。
- 37 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:08:27.81 ID:1gGRc93J0
- バビ「……」
チーフ「……」
吹き出す鮮血。バビントンの顔が返り血で赤く染まる。
バビ(……やった…のか?)
- 38 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:08:54.87 ID:1gGRc93J0
- あっけなく決まった一撃。バビントンはおもわず気を緩める。
チーフ「残念だったな」
次の瞬間。
バビ「…がぶっ」
突然襲いかかる激痛。そして宙に浮かぶ自らの身体。
チーフの左腕が、バビントンの背中から飛び出していた。
バビ「馬鹿な…」
チーフ「そうだ…馬鹿だ貴様は。この俺が頭を貫かれたくらいで死ぬと思ったか」
- 39 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:09:15.05 ID:1gGRc93J0
- バビ(ああ思ったさ…。そりゃあな…)
バビントンは心の中で悪態をついた。同時に、口からはどっと血が溢れ出す。
チーフ「フン…」
腕を引き抜きにかかるチーフ。
だが、バビントンの目はまだ死んでいなかった。
バビ(俺は……このままじゃ死ねない…!!)
- 40 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:10:29.03 ID:1gGRc93J0
- バビ「おりゃあ!」
バビントンは腕が体から引き抜かれるよりも早く、槍を頭から引き抜き、再びチーフの頭部に突き刺した。
チーフ「……!?」
バビ「へへ…」
そして再び槍を引き抜き、三たび突き刺した。
片腕がないチーフはこれを抗うことができない。
チーフ「貴様…!」
バビ「言ってんだろ…?俺の名はバビントン……」
必死にバビントンを振り解こうとするチーフに、更なる一撃。
チーフ「あがっ!」
バビ「おっ…さすがに効いてきたか。それ、もういっちょ」
- 41 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:11:03.89 ID:1gGRc93J0
- チーフ「くそったれめ…。調子に乗るな!人間が!!」
辺りに響き渡るチーフの怒号。
そして更なる攻撃がチーフを襲う寸前。
( ^ω^)「……!」
グシャリと、何かのひしゃげる音。
チーフの頭突きがバビントンの顔面に突き刺さっていた。
バビ「んごぅっ」
バビントンの身体は勢い余って左腕からずるりと抜け落ち、地面に身体を叩きつけた。
胸の傷口からは大量の血が溢れ出し、地面に赤い花を咲かせる。
そして、頭突きを食らったバビントンの顔面はもはや原型を留めていなかった。
- 42 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:12:05.94 ID:1gGRc93J0
- バビ(これまでか…。いや、ここまでやれたと言うべきか……)
ゆっくりと意識が薄くなっていく中、バビントンが感じていたのは充実感だった。
仲の良い両親のもとに生まれ、平凡に育てられ、平凡に生き、特筆すべき点のない人生を送ってきたバビントン。
ある人は平凡である日常こそが幸せであると言う。
だが、若いバビントンにはそれが理解できず、ただひたすら人生に物足りなさを感じていた。
そして、転機は訪れる。
門番兵を任せられることになったのである。
どういった経緯で門番兵を任されることになったかは省略するが、バビントンは町を守るという使命に燃え、新たな人生の幕開けを感じたのだった。
- 43 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:12:26.94 ID:1gGRc93J0
- だが、特に何かが起こることもなく、ただ門の側に立ち、同僚である門番兵Aや天津飯、餃子とだべりながら過ごす毎日。
勿論、何も起こらないことに越したことはない。平和であることが一番良いのは当たり前なのだから。
だが、門番兵として何かしらの手柄を立て、町民の役に立ちたいと考えていたバビントンにとって、それは今までの平凡な人生と何ら変わりはなかった。
そんな思いとは裏腹に過ぎていく日々。1日に吸う煙草の本数が日を追うごとにに増えていく。
そして数日前に事件は起こる。突如海賊達が港に現れ、この町の占領を始めたのである。
バビントンはついにやって来たチャンスとばかりに、不謹慎と感じながらも胸を踊らせ、海賊を相手に勇敢に闘った。
- 44 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:13:58.02 ID:1gGRc93J0
だが、そこにTNOKと名乗る海賊の幹部と思しき男が現れた。
男はこの世界ではあまり普及していない鉄砲を巧みに扱い、バビントンと門番兵Aを追い詰めた。
その飛び道具としての性能に槍では全く相手にならず、遂に二人はTNOKに屈してしまったのだった。
だが、TNOKは条件をつけ、二人の命を助けた。
バビントンは命が助かったことに安堵したと同時に、自分自身に疑問を感じていた。
- 45 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:14:28.75 ID:1gGRc93J0
- 自分は町民を守るためなら命を投げ出しても良いのではなかったのか、と。
町民の役に立ちたいのではなかったのか、と。
だが、結局は鉄砲に屈してしまった自分がいる。
バビントンは悩みに悩み抜いた末に、一つの結論に達した。
- 46 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:14:54.34 ID:1gGRc93J0
それは、覚悟。
自分には『覚悟』が全くなかったのだ。
ただ刺激的で充実した日常を欲するだけの自分。
町民の役に立ちたい気持ちなど、その延長線上に存在するに過ぎない。
こんな人間に、命を投げ出す覚悟などある筈がなかった。
- 47 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:15:28.39 ID:1gGRc93J0
- だが、覚悟と簡単に言っても、それを背負うには並大抵の気持ちでは不可能である。
だが、バビントンは覚悟を決めた。光の戦士を守るため。そしてそれは、町の人々…いや、世界を救うことに共通する。
この時、バビントンに『刺激的な、充実した日常』の考えはなかった。ただ、「光の戦士を助けるのだ…」と。
そして、それは結果的に充実感に繋がった。
こんな自分でも、ここまでやれたのだ…と。
今まで味わったことない充実感と共にあの世に行けることに、バビントンは幸せすら感じていた。
バビ(天津飯…。悲しんでる暇はない。後は任せたぜ。この場にいる中でまともに闘えるのはお前だけだ。
さっきの技、あれがありゃあこいつにだっ…て…)
バビントンの思考はここで途切れた。
- 48 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:16:25.94 ID:1gGRc93J0
(´・ω・`)「……!」
ヽ(・∀ ・)ノ「どうしたん?」
(´・ω・`)「おしっこ」
ヽ(・∀ ・)ノ「うわ、きったねー!ショボ菌バリー!」
(´・ω・`)「バリアなんてないもんねー」
ヽ(;・∀ ・)ノ「うわ!こいつ本当に小便しやがった!」
(´・ω・`)(………)
(´・ω・`)「あ、ウンコも」
- 49 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:19:40.52 ID:1gGRc93J0
チーフ「く……おのれ」
バビントンの死体の側で、足元をふらつかせ後ろによろめくチーフ。
バビントンの命を賭けた攻撃の効果は大きかった。
チーフ(目の焦点が合わん。足の震えが止まらん…。体が思うように動かん…!これほどまでに脳へのダメージを受けたのは初めてだ…!)
チーフ「バビントン…か。貴様の名前、確かに覚えたぞ……くっ」
思わず膝を地面につくチーフ。立つこともままならない。
チーフ(こ…ここは一時撤退をするべきか…?)
チーフは心の中で首を振った。
チーフ(いや、オーガ族の首領であるこの俺が逃げ腰でどうする…。それに…この場にいる人間は皆、虫の息…)
チーフは天津飯に視線を移した。
チーフ(いや、一人元気な奴がいたか…。だが奴如きならば今の俺でも…)
チーフ「始末は可能だ…!」
チーフは10メートルほど離れた天津飯に向け、歩を進め始めた。
- 50 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:20:21.99 ID:1gGRc93J0
- 天津飯(バビントン…)
近づいてくるオーガチーフを見据える天津飯。
この時、既に彼の心境には変化が起こっていた。
天(バビントンは命を賭して奴に立ち向かった。俺も悲しんでいる場合じゃない。
餃子……。おまえに寂しい思いをさせん。俺もそっちに行く。こいつを連れてな…!)
天津飯は両手の指を付けて三角形を作り、ゆっくりと魔法の力を込め始めた。
('A`)「あれは…」
ξ゚听)ξ「さっきの…?」
- 51 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:20:56.34 ID:1gGRc93J0
ヤム「おっ、TNOK。生きてたか」
TNOK「生きてただぁ?コノヤロウ!俺を誰だと思ってんだ!?」
ヤム「はっはっは。わかってるって」
TNOK「へっ。テメェこそしぶとい野郎だぜ」
ここは、町の中心部にある噴水広場。
普段は子供の遊び場や待ち合わせ場所として利用されるプラボカの人気スポットであるが、現在は海賊の影響により管理されておらず、噴水は止まっている
偶然にこの場所で出会った二人は、互いの生存を喜び合った。
- 53 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:22:39.64 ID:1gGRc93J0
- ヤム「しかし変な場所で会ったな。何でこんなとこにいたんだ?」
TNOK「そんなのはこっちが聞きてえ。それに俺はここに来たくて来たんじゃねえ。ただの通り道だ」
ヤム「それは俺も同じだ。どこへ行くんだ?アジトはこっちじゃないぜ」
TNOKはニヤリと笑った。
TNOK「笑わせんな。わかってるくせによ。目的はテメェと同じだ」
ヤムも笑みを浮かべる。
ヤム「やっぱりな」
闇へと消える二人。
その影を追うように、新たな影が一つ、現れた。
門番兵A「バビントン…無事でいてくれ」
そしてまた、闇へと消えていった。
- 55 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:25:22.85 ID:1gGRc93J0
天津飯「……」
魔法力を込める天津飯に、オーガチーフが立ちはだかる。
チーフ「さっきのをやるつもりか?そうはさせん」
天津飯「いや、貴様を殺すにはこれしかない」
チーフ(いくらこの俺とて、今の状態であれを食らってしまうのはまずい…)
天津飯(時間が必要だ。力をもっと…溜めるための…)
- 56 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:26:46.82 ID:1gGRc93J0
チーフ「はあっ!」
チーフの前蹴りが炸裂する。
だが、この蹴りに今までの力強さはない。天津飯は両手に三角形を作ったまま後ろに下がり、それをかわした。
…が。チーフの狙いはこれだった。
蹴りと同時に巻き上げられた大量の土。
そう、最初からこの蹴りは当てるつもりはなく、目潰しが目的だったのだ。
- 58 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:28:14.94 ID:1gGRc93J0
天津飯「おおおおおおおお!」
三つの目全てを潰され、悶絶する天津飯。
だが、溜めた魔法力を台無しにするわけにはいかない。二の腕で必死に瞼をこすり、目を見開いた。
間髪入れず、次の攻撃が既に天津飯に迫っていた。
今度は、バビントンを葬った左腕の一撃。
間一髪でそれを避けるも、鎧の一部が削り取られてしまった。
- 59 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:29:13.26 ID:1gGRc93J0
- いくら弱っているとは言え、やはりオーガチーフは強い。天津飯は冷や汗を流した。
天津飯(ひたすら攻撃を避け続ける…。できるだろうか…。いや、やるしか…ない…!)
(;^ω^)「く…そお…。体さえ動けば…」
これをただ見守ることしかできないブーン達。
だが、思いとは裏腹に体は全く動かない。
そして再び繰り出されるチーフの攻撃。必死に避ける天津飯。
天津飯(く……力を思うように溜められない…この調子ではやられてしまう…)
- 61 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:30:28.11 ID:1gGRc93J0
『ヒーローは遅れて現れる!』
その時である。
突如響き渡る謎の声。
皆、一斉に声のする方を向いた。
- 62 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:31:46.52 ID:1gGRc93J0
(´・ω・`)ヽ(・∀ ・)ノ「それが…メキシコ式!!」
そこにいたのは、町を迷い続けていたまたんきとショボ。
二人はようやく、ここ――門にたどり着いたのだった。
- 66 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:36:16.27 ID:1gGRc93J0
- チーフ「クッ…援軍か…!」
天津飯「奴は…確か海賊の…」
(´・ω・`)「ちょっと借りるよ」
ξ゚听)ξ「え…」
ショボはツンの側に転がる杖を拾い上げた。そして…
*'``・* 。
| `*。
,。∩ * もうどうにでもな〜れ
+ (´・ω・`) *。+゚
`*。 ヽ、 つ *゚*
`・+。*・' )゚ +゚
☆ \/ 。*゚
`・+。*・ ゚
- 67 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:37:48.92 ID:1gGRc93J0
- ( ^ω^)「これは…」
( ゚∀゚)「おお…」
驚くべきことに、なんとショボが魔法を唱えたのだ。それも白魔術。
ブーン達は僅かながら傷を回復させ、立ち上がった。
チーフ「な…何だと…」
チーフも動揺を隠せない。
('A`)「…お前…いつからこんなのができるようになったんだ?」
(´・ω・`)「そりゃあ俺はドクオのスタンドなんだから。これくらいできなきゃね」
('A`)(……説明になってない)
(´・ω・`)「フヒヒ!すいません!!11!」
- 69 : ◆0q32MjEv.A :2007/07/31(火)
00:38:50.94 ID:1gGRc93J0
- ( ^ω^)「よっし!とにかく、これで動けるようになったお!!」
ずっと横になっていたせいか、体力もある程度回復させたブーン達。
ヽ(・∀ ・)「俺がいるのも忘れんなよー」
そしてまたんき。
( ^ω^)「時間は僕たちが稼ぐお!だからその間にあの魔法の準備をするお!」
天津飯「あ…ああ、頼む」
光の戦士一行 対 オーガチーフ。紛れもない最終ラウンドが今、始まろうとしていた。
第十三話 終