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名前:「『Seihai
days 「ランサーVSライダー」』 :2008/05/20(火) 01:16:51.86 ID:EWAhZLvk0
- ランサーの持つ鎌が、直前までクーがいた空間を切り裂いた。
地面に一瞬足をつき、そのまま低空を駆けるランサー。手にした武器は、いつのまにかその形状を槍へと変えている。
川 ゚ -゚)「(面白い武器だ……)」
幾度もつきだされる穂先を2本の武器でいなしていく。防戦一方のまま二合、三合。
ランサー「はあっ」
川 ゚ -゚)「甘いっ」
一瞬の隙間を見逃さず、クーが一歩前に踏み出した。
ランサー「……やらせない」
レイピアを避けるため、ランサーは大きく上に跳ぶ──否。
重力の戒めから開放され、文字通り空へと舞い上がった。
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名前:「『Seihai
days 「ランサーVSライダー」』 :2008/05/20(火) 01:19:13.45 ID:EWAhZLvk0
ランサー「バルディッシュ、いくよ」
『All right, my master.』
ランサーの声に『知的魔術装置<バルディッシュ>』が応える。
光珠に文字が浮かび上がり、魔力が集中してゆく。
ランサー「(何発も打つ力は残っていない……だったら)」
川 ゚ -゚)「(来るか……)
ランサー「これでっ!!」
クーに向けられた杖先。収束した魔力がエネルギーに変換され、成人男性の腕ほどの太さの光線が放たれた。
川 ゚ -゚)「(……これはッ)」
- 48
名前:「『Seihai
days 「ランサーVSライダー」』 :2008/05/20(火) 01:22:13.16 ID:EWAhZLvk0
- 川 ゚ -゚)「(……!)」
判断は一瞬だった。初撃を避けると、続く二発目にダガーをぶつけて相殺。道路の壁にひと飛びで乗りあがる。
まるでその動きを予知していたかのように、一旦高度をあげたランサーはクーに向かって突貫する。
ランサー「はぁぁぁぁぁぁっ!」
彼女の『知的魔術装置<バルディッシュ>』の刃はすでにない。
空中からの加速分を加えて元の杖の姿のまま、クーのレイピアにありったけを叩きつける。
川;゚ -゚)「くうっ……」
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名前:「『Seihai
days 「ランサーVSライダー」』 :2008/05/20(火) 01:22:47.58 ID:EWAhZLvk0
不安定な足場にたまらず、おされる形でクーの足が塀から離れる。
『知的魔術装置<バルディッシュ>』の先端に集まる光。
ランサー「サンダー・レェェェェェイジっ!!」
────残った力を振り絞った射撃魔術はクーの肩をかすめ、地面に大きな穴を開けた。
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名前:「『Seihai
days 「ランサーVSライダー」』 :2008/05/20(火) 01:25:47.80 ID:EWAhZLvk0
全てがスローモーションで再生される。
下腹部に刺さった敵サーヴァントの刃。
空中で半回転して背中から地面へと落ちる。
貫かれた時に離したのか、『知的魔術装置<バルディッシュ>』はもう、ない。
川 ゚ -゚)「……ハンデがあるとはいえ、お前はよく戦った。幼き『槍兵<ランサー>』」
自らを打破したサーヴァント・『騎兵<ライダー>』が目の前に立っていた。
光線が掠めたせいか、半分ほど削られた肩当部分以外は全くの無傷。
マスター・プギャーの不在を言い訳をするつもりはないが、本来の1割の力で敵うはずもなかった騎乗兵。
そう。相手も本気ではなかったのだろう。両手の装備は宝具でない普通の細身剣と短刀。
聖杯戦争の原則を考えるに放っておけば魔力不足で霧消する相手と対峙し、
止めを刺してくれたことだけでも本来なら僥倖に値する。
ランサー「私のことはいいから……はやく貴女のマスターを助けにいったほうがいい。
貴女の仲間が戦っているサーヴァントはおそらく昨日私を破った相手──あれは尋常じゃない」
川 ゚ -゚)「……忠告、痛み入る」
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名前:「『Seihai
days 「ランサーVSライダー」』 :2008/05/20(火) 01:27:56.58 ID:EWAhZLvk0
- 川 ゚ -゚)「ではさらばだ。時間と世界を超えた世界の、好敵手よ」
ライダーが去っていく。
ランサー「…………」
体内の魔力はすでにほぼ枯渇状態。血が止まる気配はない。
視界が薄れ行く中で少女が見たものは、やさしかった母親、写し身である自らの本身。
そして。
屈託ない笑みを浮かべる、白い服を着たひとりの少女の姿だった。
【End.】
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