- 3 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:01:10.22 ID:7FscZWJJ0
アサシン──弁慶は直接飛び込まず、ひとつ前の踊り前に一度着地した。
体勢を低くして剣をまっすぐかまえ、勢いをつけて下段のドクオに刺突を放つ。
('A`)「(……怖っ!!)」
恐怖心を相手に悟られぬよう、無表情に後ろへドクオが飛ぶ。地面へと突き刺さる長刀。
石階段の一部が崩れ、鈍い音とともにアサシンの長刀が折れていた。
(,,゚Д゚)「角度が悪かったかゴルァ……」
('A`)「よぉし」
アサシンの武器が使用不能になったのを飛びながら確認し、無動作で魔力弾を飛ばす。
半分になった刀でアサシンがそれを弾く間に、ドクオはポケットからはみ出していた20センチほどの棍を手に取った。
('A`)「ちゃーちゃーちゃらららー」
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/18(火) 00:02:53.31 ID:7FscZWJJ0
ヴォン
魔力を流し込むと、どこかで聞いたようなSEとともに、柄から青白く光輝く刀身が姿をあらわした。
('A`)「ツンの箪笥から拝借したんだ。魔力を刀身に見立てて作る魔術道具・通称『ライトセイバー』。
普通の魔術道具レベルならサーヴァントに傷ひとつつけることはできないだろうね。でも、これはボクが改造した特別製だ。
魔力容量もすごく強化してるし、出力や持続力も市販品の比じゃない。だから……」
屈んだアサシンの左手が折れた長刀から離れ、ほんの僅か、ドクオへと動く。
黒い影。ドクオの腕が動く。
次の瞬間、ドクオを狙って放たれた鉄球は、“ライトセイバー”に真っ二つにされて力なく後ろへ転がった。
('A`)「そっちもちゃんとした宝具じゃないと勝てないよ」
(,,゚Д゚)「……面白いモノ持ってるじゃねぇかゴルァ」
- 8 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:06:02.69 ID:7FscZWJJ0
- 長刀を投げ捨て、再びアサシンは背中へ手を伸ばす。
手にしたのはドクオの“ライトセイバー”によく似た、黒い柄。
(,,゚Д゚)「はっ!」
気合──元の持ち主達の呼び方を習うのなら“フォース”をこめると、ドクオのそれと同じように、青白い刀身が姿を現した。
('A`)「本家本元、ライトセイバーか」
('A`)「(ボクも欲しいなぁ……)」
(,,゚Д゚)「刀身を安定させるのが少し難しいが……まぁ。打ち合ってりゃなんとかなるだろ」
二、三度黒いライトセイバーを振るってにやりと笑う。
(,,゚Д゚)「行くぞ」
ドクオが直に構え、アサシンが踏み込み、二つの光の刃がぶつかった。
では、戦いをここから2レスかけて表現してみよう。
- 11 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:08:48.92 ID:7FscZWJJ0
ヴォンヴォンヴォンヴォン
ヴォンヴォンヴォン
ヴォンヴォンヴォン ヴォン ヴォンヴォン
('A`)「しゅーこーしゅーこー」
ヴォンヴォン
(,,゚Д゚)「どうした、防戦一方なのにもう息切れかゴルァ」
('A`)「いや、なんとなくね」
ヴォンヴォンヴォンヴォン ヴォン
ヴォンオン ヴォンヴォン
(,,゚Д゚)「……よくわからんが、ペースを上げるぞ」
('A`)「それなら……」
ヴォーン(←ドクオが二本目の“ライトセイバー”を取り出した音)
- 12 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:10:28.99 ID:7FscZWJJ0
ヴォンヴォンヴォン ヴォンヴォン
ヴォンヴォン
(#'A`)「ララァは私の母親になってくれるかもしれない人だった!」
(,,゚Д゚)「(このプレッシャー……よくわからんが、ただ者じゃない)」
(#'A`)「エゴだよ、ボクの!!」
ヴォンヴォンヴォン ヴォンヴォン
ヴォンヴォンヴォン ヴォンヴォン
ヴォンヴォン
作者「(これはヒドいwwww)」
- 17 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:15:20.61 ID:7FscZWJJ0
二人がルーク・スカイウォーカーとダースヴェイダー、あるいはアムロ・レイとシャア・アズナブルを再現している頃。
遅い時間にもかかわらず、ブーン達は屋敷で魔力供給魔術の特訓をつづけていた。
(;^ω^)「はぁ……はぁ……どうだお?」
川 ゚ -゚)「十分だ。私とブーンとの間に作った魔力を伝え合う回路が十分機能している」
(;^ω^)「本当かお! これでブーン達も聖杯戦争に本格参戦できるお」
川 ゚ -゚)「ああ。ブーンがさらに安定して私に送り続けれるようになったら、だがな」
(;^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「魔力補充だけで疲れ果てて倒れるようでは正直、長期戦闘は無理だ」
(;^ω^)「面目ないお」
川 ゚ -゚)「気にするな。立てるか?」
武装を解き、クーはブーンに手を差しのべる。
- 20 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:18:16.25 ID:7FscZWJJ0
川 ゚ -゚)「魔力を放出しすぎたんだな。ほら、肩をかしてみろ」
(;^ω^)「おっおっ……うまく力がはいらないお」
川 ゚ -゚)「全く、しょうがないマスターだな。どれ、おぶってやろう」
そういいながらしゃがみこんで、へたれているブーンの足の下に手をとおし、だらりとんびた腕をつかむ。
川 ゚ -゚)「よいしょっと」
男子中学生として普通の体格のブーンをあっさりとかつぎあげ、クーは縁側へ歩いていく。
( ^ω^)「…………ありがとうだお」
川 ゚ -゚)「気にするな。生前、訓練で気絶した部下をよくこうして運んだものだ」
( ^ω^)「(……ブーンも、よくママにおんぶしてもらっていたお)」
子供の頃と違って目の前の頭は金色だが、その背中から見える庭の景色と温かさは昔のままだった。
- 21 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:22:27.35 ID:7FscZWJJ0
( ^ω^)「(……クーの背中、あったかいお。このまま眠ってしまいそうだお)」
( ^ω^)「(そういえば、明日も学校だお。ツンも早く帰らないと寝過ごしてしまうお……)」
まさか従弟に命ではなくて明日の学校の心配をされているともしらず。
ツンはアサシンのマスター──魔術師・ハインリッヒ高岡と対峙していた。
从 ゚∀从「いやぁ、真正面から討って出てくる相手でよかったわ。前この寺に来たランサーのマスターなんか
姿ぜんぜん見せへんでサーヴァントけしかけてきただけの根性ナシやったからなぁ」
ξ゚听)ξ「聖杯戦争のシステム考えたらそれが普通だけどね。
あなたみたいにマスター同士の一騎打ちを望むほうが間違いなく稀有よ」
从 ゚∀从「それに乗る姐ちゃんも十分レアもんやで。わざわざ日本に帰ってきたかいあったってもんや」
話をしながら体の力を抜き、左手を軽く握り締める。右足を引いて魔力を全身に通わせて相手を見据える。
アサシンの守る門をくぐってラウン寺内に入る。目標である敵マスターを探す必要はなかった。
探すも何も、入ったところで両腕を組んで待ちかまえていたのである。
- 24 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:26:02.51 ID:7FscZWJJ0
- 昼間見たときと同じ、季節を無視した無地の白Tシャツに少々色の落ちたジーンズ。別にツンは格闘家でないのだが、
その両手に装着された彼女の髪と同じ赤色のグローブ、そして彼女のまわりの張り詰めた空気で感じ取った。
それは、あるいは聖杯を賭けて戦いあうマスターとしての共感だったのかもしれない。
直接戦闘によるガチンコ。魔術師らしからぬタイマン。
目の前のマスターは自分と同じく、魔術師らしからぬ直接対決を望んでいた。
从 ゚∀从「早々に終わったらおもろないから最初から全力で来るんやで。
ちゃんと半殺しにした後、降参の意思は聞いたるから命の心配はせんでええかんな」
ξ゚听)ξ「冗談」
ハインリッヒはポケットからコインを取り出し、雲がかった月に向かって指で弾く。少々古典すぎるかもしれない戦闘合図。
ツンはそれに従った。
コインが地面に落ちる。
ξ゚听)ξ「やあっ!」
先手を打ったのはツンだった。
- 25 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:28:48.95 ID:7FscZWJJ0
- 先のアヤカスフィール&セイバー戦と同じよう、左手の人差し指を
ハインリッヒにむけ、そこから魔力の弾丸を連射する。質よりも量と速度を重視した機関銃のような攻撃。
もちろんハインリッヒも馬鹿正直に先制攻撃をうけるつもりはさらさらない。十メートルほど離れた距離から放たれた
ツンの魔力弾が着弾する寸前、その場を移動して攻撃を逃れる。
回避ではない。言葉の通り、移動である。
ハインリッヒの靴底にはいつのまにか、ローラーが生えていた。
直線的な動きで右へと移動し、そこからツンの裏をかこうと境内を滑走する。
ξ゚听)ξ「くっ……」
ツンの指先は移動する彼女の姿を追っていく。射線上には捕らえるも、それだけだった。
撃てないのだ。
10メートルから20メートルの距離でせわしなく動く相手にヒットする可能性は高くない。直接向かって来ている相手ならともかく、ただ回避と場所取りだけに集中している相手に対しての遠距離攻撃は牽制の効果を発揮しない。
从 ゚∀从「おいおい、そっちから仕掛けて来ぃへんのかいな」
- 26 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:31:07.12 ID:7FscZWJJ0
- 最初に立ち会ったときより広く距離を開けてハインリッヒが止まった。背後には社。対するツンの背後には何もない。
从 ゚∀从「威勢がええんは始まる前だけ、って事かい」
ツンは答えない。
代わりに体制をととのえ、クイクイと手招きして相手を挑発する。
それに応えるハインリッヒ。左手を胸元に構え、右足のローラーでツンに迫る。
ξ゚听)ξ「(ここね)」
牽制の魔力弾も打たず、振りかぶりながら真っ直ぐに接近してくる相手だけを見据える。
3メートルほど手前に迫ったところで大きく横っ飛びに転がった。当然、ハインリッヒのこぶしは空回りする。
回転しながらすばやく体制をハインリッヒに向け、今度は青い魔力弾を発射する。
ハインリッヒも反応はしたが完全には間に合わない。その左腕をツンの攻撃がかすめていった。
ξ゚听)ξ「そんなローラーで戦ってたらまず直線攻撃からの横移動は無理だし、スピードを出せば出すほど
慣性の力で動けない。打ち込むだけならともかく、停止して格闘戦なんて無理でしょ」
从 ゚∀从「せやなぁ」
- 27 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:34:17.94 ID:7FscZWJJ0
ぐるり、とハインリッヒが足下から回転して向き直る。ツンの青弾当たった箇所が青くなっていた。
間髪いれずに再び細かな魔力弾を飛ばし、両手両足に魔力をこめながら自らも駆ける。
从 ゚∀从「納めよか」
解呪をして靴のローラーが消える。そのままツンを迎え撃つ。
半歩動いて弾幕を避け、ツンの膝を右腕で受ける。返すハインリッヒのゆるい左フックをさけるよう
ツンは彼女の肩をもち、慣性の力と魔力で強化した腕の力で空へ飛び出す。
空中でハインリッヒのほうを向きなおり、腕を回して向かってくるハインリッヒを迎え撃つように構え────
嫌な予感がした。勘を信じて横に飛ぶ。
从 ゚∀从「どっせぇい!!」
比喩ではなく、ハインリッヒの拳が地面に突き刺さる。さながら凶器のように土くれや石が
正面へと飛んでいく。僅かな回避行動や、咄嗟の魔力壁は意味をなさないであろう荒々しい攻撃だった。
- 29 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:37:38.81 ID:7FscZWJJ0
- さらに続けてて拳を打ち込んでくるハインリッヒ。
ツンもそれに応じる。時に魔力壁で受け、魔力弾を攻撃に絡めつつ一進一退の攻防が続いた。
ξ゚听)ξ「(……強い!)」
彼女の攻撃は大味なだけではない。牽制の入れ方、回避のタイミング、拳の重さやスピード、攻撃と防御の状況判断。
そして先ほどのようにここぞという時の強烈な一撃。打撃の瞬間“のみ”莫大な魔力を込めるといったクレバーな戦闘方法。
遠距離攻撃や防御用、身体強化の魔術などを使っていないのにもかかわらず、関西弁を操る魔術師は
英国の魔法学校では戦闘技術・魔術ともにトップクラスの力を誇るツンと互角以上に渡り合っていた。
从 ゚∀从「(はは、この子ごっつぅ強いわ。魔術と体術、バランスよう鍛えとる)」
ξ゚听)ξ「(……正攻法じゃあ面倒だわね)」
再び地面に打ち込まれるハインリッヒの拳。このスタイルに入ってから、未だお互い一撃も相手に攻撃を入れられていない。
戦闘がはじまって2分たらずだが、流れ魔術弾やハインリッヒの拳であたり一面かなり荒れている。
- 30 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:42:14.56 ID:7FscZWJJ0
- ξ゚听)ξ「なかなか遊んでくれるじゃない。拳の強化以外の魔術を使わない、なんてね。
あんまり油断してると痛い目見るわよ」
話しながらこっそりポケットに手をやる。ドクオが持っているのと同じ、魔力を刃に変換する魔術装置。
さすがにサーヴァントであるドクオにはかなわないが、人間相手ならにひけをとるつもりはさらさらない。
真正面から打ち合ったならわからないが、あの巨大な一撃相手でも芯をはずせば致命打をあたえることができるだろう。
ξ゚听)ξ「加減してくれるならありがたいんだけどね。あたしも使ってるんだし、まさか魔術師が
『タイマンに遠距離魔術は卑怯』なんて思ってないわよね?」
从 ゚∀从「あぁ、ちゃうねん」
一切の魔力を身にまとわず、飄々とハインリッヒがいう。
从 ゚∀从「ウチはもともと魔術師として生きてきたワケやないからな。打点の瞬間だけ魔力をこめるようなことは
できるけど、嬢ちゃんみたいに身体能力強化したり、ハジキみたいに打ちだすことはできへんのや」
ξ゚听)ξ「……」
从 ゚∀从「せやから、このローラーを使っとる」
- 31 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:44:08.95 ID:7FscZWJJ0
- 再び靴からローラーを取り出し、それを示してみる。
从 ゚∀从「まぁ、全然使いこなせてへんのが現状なんやけどな」
ξ゚听)ξ「……そうなんだ。しかし、ほぼ生身の体だけで魔術師と戦おうとするなんていい根性してるわね」
从 ゚∀从「まぁ、もともとウチも体ひとつで生きてきた身やからな。手に魔力こめる方法やて、魔術を使う相手と
戦った際に付け焼刃で覚えたワザやし。嬢ちゃんが知っとるかはわからんが、世の中にはあるんやで。
見世物にもなる命がけの闘技場がな。その場所にいけば、魔術でもって戦う輩も大勢おる」
もっとも、魔術とは言えんから手品師を名のっとるがな。
苦笑するハインリッヒ。
ξ゚听)ξ「そいつら、魔術師の風上にも置けないわね。一般人を魔術で痛めつけようとなんて」
从 ゚∀从「それや」
ツンの言葉を途中で止める。
- 33 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:48:03.63 ID:7FscZWJJ0
- 从 ゚∀从「どうも魔術師、ってモンは魔術を絶対な存在やと思い込んでるヤツが多くてかなわん。
確かに普通に戦ったら防御無視の遠距離打てる分、魔術師のほうが有利や。
せやかて100%魔術を使えるほうが勝つ、なんて事はあらへん。せっかくの魔術やて当たらな意味ないし、
ウチみたいに拳に魔力通せば、魔力弾もただの遠距離攻撃に成り下がる」
ξ゚听)ξ「ふん……否定はしないわ」
从 ゚∀从「まぁ、嬢ちゃんはそこまで凝り固まった魔術原理主義やなさそうやけど」
ξ゚听)ξ「じゃなきゃ体術なんてやらないわよ」
英国の魔術学校にも必修ではないとはいえ、体術や戦闘術を教えるクラスは存在した。
多くの学生は『研究こそ魔術師の真理』と鼻で笑っていたが、彼女は率先してそれらの能力を獲得していった。
もちろん本分(とされる)魔術研究の分野でもいち学生の域を超えた成果を発表し、結果学友である
アヤカスフィール(彼女はずっとツンと同じ授業を選択し、ツンとほぼ同じ記録をたたき出していた)ともども
飛び級の身ながら『極東の優等生』と呼ばれ、主席の座をキープしていたのだ。
从 ゚∀从「おもろいわ……魔術と体術をここまで両立させて使いこなしとる相手は今までいいへんかった。
そんだけでもこの聖杯戦争に参加した価値があった、っていうもんや」
楽しそうに──本当に楽しそうに笑い、ハインリッヒは両腕を構えた。
ξ゚听)ξ「(なんでこの人が『バーサーカー』を召還できなかったんだろう……)」
- 35 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:51:46.53 ID:7FscZWJJ0
そんな事を考えながらも次の行動を想像する。よっぽどうまくやらないかぎり、魔術弾は相手に利かない。
正面きった直接戦闘では相手に分がある。やはり、相手の要でもある大振りへのカウンターしかない。
そう考えをまとめ、これまで同様体中に魔力を行き渡らせて
視界の中に、寺の本堂のかげにたたずんでいるひとりの少女を認める
そして、その一瞬で理解した
(*゚ー゚)
少女が自分やハインリッヒとは違う事を
ドクオやクー達と同じく人智を超えた存在である事を
サーヴァント・『魔術師<キャスター>』だという事を
- 36 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:52:54.61 ID:7FscZWJJ0
それを発見してしてからの彼女の行動は早かった。
迷わず後ろを振り向き、一目散に出口の門に向かって走り出す。
从; ゚∀从「なっ、なんやて!」
ハインリッヒが一番驚いたに違いない。あわてて足元のローラーを起動させ
从 ゚∀从「待ちぃってうわっ!」
穴ぼこに躓いて派手にこける。
ξ゚听)ξ『ドクオ……ドクオ!』
強化した足で門を目指しつつ、ツンは令呪を経由してドクオに呼びかける。
ξ゚听)ξ『境内にキャスター発見。襲撃は失敗よ。これから全力で撤退するわ』
('A`)『……わかった。さっきのアサシンがいたとこまで逃げてきて!』
- 37 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:56:20.47 ID:7FscZWJJ0
- ('A`)「弁慶!」
(,,゚Д゚)「何だゴルァ?」
戦闘開始時と同じような位置関係。今はゴルディオンハンマー的な槌を手にした弁慶が答える。
('A`)「ここでセーブだ!!」
【第8話・終わり】
ここまでの活躍をセーブしますか
→はい
いいえ
(#,,゚Д゚)「ちょっと待てゴルァ!」
('∀`)「(ですよねー)」
- 40 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 00:59:14.77 ID:7FscZWJJ0
- ξ゚听)ξ「来たわよっ」
門からツンが叫ぶ。
その声にアサシンが振り向いた瞬間、完全に相手を避ける形でドクオがその脇を抜ける。
(,,゚Д゚)「なっ……」
重量のあるハンマーを持った選択を後悔しつつ向き直るも、すでに二人の姿は脇の茂みに消えていた。
(,,゚Д゚)「逃がすかぁ!」
槌を消し、弓をとりだす。羽のような形の矢をつがえ、二人へむかって放つ。山全体に仕掛けた宝具
『固有結界・九九九<スリーナイン>』のおかげでだいたいの方角はわかるが、手ごたえはない。
ひとつひとつの罠にかかるのは感知できるのだが、Fを放った瞬間には次の罠への移動が完了している。
その跡はどんどん山の中腹から下へと降りていき、やがて反応はなくなる。
山に静寂が戻った。
(,,゚Д゚)「……敵ながら天晴れな退却だゴルァ」
- 43 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 01:02:35.69 ID:7FscZWJJ0
从#゚∀从「天晴れ……やないわっ!!」
ツンを追ってきたハインリッヒがギコの頭をはたく。彼女はキャスターを連れていた。
(,,゚Д゚)「痛いぞゴルァ」
从#゚∀从「黙りぃ。せっかくええトコやったのに……」
(*゚ー゚)「ハイン、人を小脇にかかえるのはやめて」
从#゚∀从「このアホキャスターが姿現したお陰で、あの子逃げてもうたわ!
中座するのが嫌やったからわざわざ他のサーヴァントをアンタに引きつけさせといてタイマン張っとったのに」
(*゚ー゚)「ハイン。だから私はキャスターじゃない。しぃ」
从#゚∀从「じゃかぁしぃ」
(*゚ー゚)「その駄洒落、つまんないよ」
从#゚∀从「ちゃうわい!」
(,,゚Д゚)「(絶対かなわぬ相手を確認した瞬間退却を決める決断力。その判断を即座にサーヴァントに伝え、
この山に仕掛けた『固有結界九九九<スリーナイン>』の罠から生きて退却サーヴァント・ドクオか……
ふふ、新たな主を持つことになってまで現界した価値はあったな)」
- 44 :第8話『戦闘狂二人』:2007/09/18(火) 01:03:42.12 ID:7FscZWJJ0
(,,゚Д゚)「(よかろう。ドクオ、ツン。また来い。また俺たちと戦おう)」
(*゚ー゚)「ギコくーん。敵も帰ったし、一緒に遊ぼうよぉ」
かっこよくモノローグしたのはいいが、甘えた声でまとわりついてくるしぃがいては効果は半減だった。
【第8話・終了】
→第9話へ続く
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