4 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 00:55:45.26 ID:QwmkvbUV0

( ^^ω)「三日か……なんかはやかったホマ」

(=゚ω゚)ノ「高槻先生が学校やめたショックは、ワタナベ先生の登場ですっかり忘れられたよぅ」

( ^ω^)「不憫だお……」


 三日前。小学生にしかみえない(自称は10歳)アヤカスフィールの担任就任の挨拶が終わった瞬間、教室は
堰をきったように混乱に支配された。教頭の制止とアヤカスフィールがみせた文部省とMIT印の書類がなければ
1時間目が終わるまで場は収まらなかっただろう。
 その後彼女の初授業はつつがなく終了し、その指導力が前任の高槻よりかなり高かったこともあってか
授業が終わったころには彼女について、とやかくいう生徒はいなくなっていた。
 ちなみに前任の高槻は昔とった杵柄か、あっさりとラジオに出演することが決まったらしい。


(=゚ω゚)ノ「10歳で海外の大学出で日本の中学に赴任なんてまるでマンガだよぅ」

( ^^ω)「どこのレベッカ宮本だマホ」

( ^ω^)「(どっちかというとネギ・スプリングフィールドだお……)」

(=゚ω゚)ノ「(今、一瞬だけマルタニスムの語尾が変わったよぅ……)」
8 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:00:11.20 ID:QwmkvbUV0

 昼休みの教室。ブーンがいよぅ達と一緒に弁当を食べていると、ガララと扉が開いて噂の当人が姿を現した。


从’ー’从「やっほー。前のクラスの授業が長引いちゃったよぉ」

女生徒C「ベッキー先生、よかったら一緒にご飯食べませんか?」

从’ー’从「わたしはベッキーじゃなくてワタナベだけど……ごめんねぇ。今日はお弁当ないから学食なんだ」

女生徒6号「それは残念オブジイヤーです」

从’ー’从「んー」


キョロキョロと教室を見渡す。イヤな予感がしてブーンは視線を外に反らすが


从’ー’从「ブーン君〜学食まで案内して〜」


 予感は見事に的中した。


9 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:02:35.93 ID:QwmkvbUV0
 プリントの回収や授業開始の挨拶はもちろん、授業中の雑談相手からトイレの場所案内まで、アヤカスフィールは
ことあるごとにブーンを呼びつけてくるのだ。教師と生徒という立場上、断れない。
最初は何故ブーンばかり呼ぶのかとクラスメイトたちは訝しんでいたのだが、3日もたてば
それは当然の光景という風にとらえられるようになっていた。

『ワタナベ先生係』

 クラスの女子がブーンにつけた新しい役職である。
自称10歳の少女にいいように使われることを光栄に思うか屈辱と捕らえるかどうかはさておき、
食事を中断されるというのはなかなか辛かった。食べかけの弁当箱を閉じ、立ち上がる。
イヨゥ以下クラスメイト達に見送られながらアヤカスフィールの後をついて教室を出て行った。


 よくは知らない道なのにもかかわらず、アヤカスフィールはずんずんと廊下を歩いていく。
小さなスーツを着て構内を闊歩する幼女。普通におかしな光景だがウワサはすでに学校中に広まっているのだろう。
物珍しそうにする生徒は多いが、注意をしたりどこかへ連れ去ろうとする者はいなかった。


( ^ω^)「アヤカさん、中等部の購買はもう売り切れているとおもうから高等部の学食でいいかお?」

从’ー’从「ダメだよ、ブーン君」


 振り向いたアヤカスフィールはぷんすか頬を膨らませ、両手を腰にあてて怒ったように言う。
12 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:07:22.24 ID:QwmkvbUV0
从’ー’从「ここは学校なんだから『ワタナベ先生』ってちゃんと呼びなさい」

( ^ω^)「……ごめんなさいだお」

从’ー’从「わかればオッケーだよぉ。外ではそれでいいからね。
   デートするときは『アヤカたん』って呼んでもいいよぉ」

(;^ω^)「それは遠慮しておきますお……」

从’ー’从「うー残念。
   高等部の学食かぁ。ツンちゃんにも会えるかなぁ」

( ^ω^)「ツンも今日は弁当だからたぶんそれはないですお。それに、会ったら殺すって言ってましたお」

从’ー’从「あははー。まさか学校でサーヴァントつれて戦ったりしないでしょ。それに、もし本当に殺し合いになったら
   死ぬのはあたしじゃなくてツンちゃんだよ」


 あっさり言う。彼女にとって、聖杯戦争で勝者になるというのはすでに確定事項なのだろう。
だからこそ身分を偽り、ブーンやツンの通う学校にやってきたのだ。それこそ、冗談半分で。



13 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:10:22.44 ID:QwmkvbUV0

从’ー’从「あ、でも絶対殺すワケじゃないよ。適当にあの陰気そうなサーヴァントを倒して、ツンちゃんは
   私の夜のメイドさんにするんだ。そのときはブーン君いっしょに雇ってあげるからね」

(;^ω^)「あ、ありがとうだお……」

从’ー’从「お礼なんていらないよぉ」

( ^ω^)「(夜のメイド……なんだか卑猥だお)」


 そんな不思議な会話をしつつ、二人は廊下を歩いていった。



14 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:12:21.55 ID:QwmkvbUV0

キンコーンカンコーン



从’ー’从「それじゃーまた明日ね。部活やってない子はより道しないではやく帰ること。最近、公園のベンチで
   いい男が出没してるみたいだけど、ホイホイついていっちゃったりしたらダメだよぉ」


 まるで他人事のような連絡事項をすませ、アヤカスフィールはブーンに号令を命じる。
礼を終えて、教室がいつものようににぎやかになった。


( ^ω^)「さて、どうするかお……」

(=゚ω゚)ノ「ブーン、ちょっと駅前まで遊びに行くよぅ」

( ^ω^)「んー……」



1.ひとりで家に帰る
2.いよぅと一緒に遊ぶ

>>16
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/14(火) 01:13:01.72 ID:ifnIW6eS0
久々の安価ktkr


19 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:20:36.75 ID:QwmkvbUV0

( ^ω^)「おし来た。久しぶりにゲーセンにでも行くお」

(=゚ω゚)ノ「そうこなくっちゃ。さすがブーンだよぅ」





 だが、そうもいかなかった。



 校門を出て駅のほうに向かおうとした二人はツンに見つかり、そのまま普段の帰宅路につかされたのだった。
22 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:24:43.51 ID:QwmkvbUV0

ξ゚听)ξ「全く、二人とも……変な人がいるんだから真っ直ぐ帰らないとダメじゃない」

(=゚ω゚)ノ「ごめんなさいだよぅ……」

ξ#゚听)ξ「ボソォ(勝手に遊びに行って他のマスターに狙われたらどうすんのよ。衆目ある学校ならともかく、
   クーもつれずに駅前なんて行ってる場合じゃないでしょ)」

( ^ω^)「ボソボソ(無用心だったお……)」

ξ゚听)ξ「って話した傍から変なのがいるし……」


 反対側から女が向かってくる。この肌寒い季節にかかわらず上に来ているのは半そでのシャツ1枚。
遠めでもわかる、たぷんたぷんと揺れる大きな胸。赤い髪をなびかせ、グルングルン買い物袋をふりまわしながら
ワケのわからない歌を歌っている。
 遠めでもかなりの美人だとわかるが、普通に考えて知りあいにはなりたくないタイプのその女に対して
イヨゥは親しげに声をかけた。


23 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:29:40.04 ID:QwmkvbUV0
(=゚ω゚)ノ「高岡さん、こんばんわだよぅ」

从 ゚∀从「よぉ。ちょーどええ所にきたなぁイヨゥ。住職のおっさんに頼まれて今から買い物行くからつきおーてや。却下は認めん」

(=゚ω゚)ノ「わかったよぅ」

( ^ω^)「知り合いかお?」

(=゚ω゚)ノ「そうだよぅ。ほら、この前はなしたウチの寺の客人だよぅ」

从 ゚∀从「ウチはハインリッヒ。ちょっとヤボ用でいよぅ君の住んでるラウン寺に居候させてもらってるにゃ」

( ^ω^)「内藤ホライゾン、いよぅの友達ですお。よろしくですお」

从 ゚∀从「そか、これからもよろしくなブーン君。それじゃ、イヨゥを借りていくで」

(=゚ω゚)ノ「それじゃあ、ばいぶー」

( ^ω^)「ばいぶー」

ξ゚听)ξ「……」


24 :第6話『5人目のマスター』:2007/08/14(火) 01:31:24.96 ID:QwmkvbUV0
 いよぅ達と別れて二人は帰路をいそぐ。ツンはずっと何かを考える様子をみせていた。


ξ゚听)ξ「ラウン寺、か……そういえば、この前は見なかったわね」

( ^ω^)「どうしたのかお?」

ξ゚听)ξ「ブーン、さっきのハインリッヒって女みて何か気づかなかった?」

( ^ω^)「世界が一巡でもしない限り、ツンの胸はあそこまで育たないと思うお」

                                                                   
             _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ '        (  ^ω)
         ξ, -'' ̄    __――=', ・,‘ r⌒>  _/ /
        /   -―  ̄ ̄   ̄"'" .   ’ | y'⌒  ⌒i
       /   ノ                 |  /  ノ |
      /  , イ )                 , ー'  /´ヾ_ノ
      /   _, \               / ,  ノ
      |  / \  `、            / / /
      j  /  ヽ  |           / / ,'
    / ノ   {  |          /  /|  |
   / /     | (_         !、_/ /   〉
  `、_〉      ー‐‐`            |_/

 

27 :>>26の訂正:2007/08/14(火) 01:39:19.76 ID:QwmkvbUV0
ξ゚听)ξ「あの女、あたし達と同じマスターよ」

( ^ω^)「…………マジかお……」




【第6話・終了】
                 →第7話へ続く

戻る

inserted by FC2 system