4 名前:全体的なあらすじ:2009/06/28(日) 00:02:44.64 ID:AKaVkiEQ0

 聖杯。それは手に入れた者のどんな願いをもかなえるといわれる伝説の魔術道具。これを求め、7人の魔術士がそれぞれ
7人の使い魔“サーヴァント”を従え、命懸けの戦いを繰り広げる“聖杯戦争”がVIP市で行われようとしていた。

 魔術士見習いの中学生ブーンはある日、ふとした事から死んだ母親によく似た女性、『騎兵<ライダー>』のサーヴァント
クーに命を救われる。魔術の師匠である従姉妹のツンや聖杯戦争の管理人ショボンの説明を受け、
亡き母の復活を夢みてブーンは聖杯戦争への参加を決意する。

 幼い容姿の天才魔術士アヤカスフィールに最強最悪の『剣士<セイバー>』、阿部孝和。
研究肌の魔術士プギャーに、悲劇の複製少女『槍兵<ランサー>』。
老獪陰湿なロマネスクと、伝説の狙撃手『弓兵<アーチャー>』。
裏社会に生きる格闘家ハインリッヒに戦闘狂の『暗殺者<アサシン>』“ギコ”。
ツンやそのサーヴァント『狂戦士<バーサーカー>』ドクオに助けられながら、ブーンはクーとともに聖杯戦争を戦い続ける。

 そんな中現れた最後のサーヴァント『魔術士<キャスター>』シィナ。自らの主を殺したアサシンに惚れ、
行動を共にするという変り種の彼女の正体は、クーの生前の主・シィナ姫だった。幾度かの衝突やアサシンの死もあり、決別する二人。
 その後、町中を巻き込んで暴走を開始したシィナ。ショボンやアヤカスフィール達と組んで敵の根城に突入するブーン達。
立ちふさがる魔道兵器ガットゥーゾをツン達にまかせ、ブーンとクーは敵の本丸にのりこんだ。

 かつての主従の、それぞれの“今”と“明日”をかけた戦いが始まる。

7 名前:主に『Fate』を知らない人のための用語解説:2009/06/28(日) 00:04:50.17 ID:AKaVkiEQ0

魔術士:魔術を操る人間。基本的に祖先に魔術士がいないと魔術士になることはできない。“魔法使い”ではないので注意が必要。
魔法使い:現代の技術で不可能な事(例:時間跳躍)を魔術で実現できる魔術士のこと。
聖杯:あらゆる願いを叶えるといわれている、伝説の魔術道具。早い話がドラゴンボール。
   現在は“長門有希”の姿をとり、現界している。
聖杯戦争:7人の魔術士(マスター)が聖杯をめぐり、サーヴァントとともに繰り広げる殺し合い。早い話がバトロワ。
マスター:サーヴァントを召還した魔術士。マスターでないと、聖杯を使役することはできない。
管理人:聖杯を管理し、勝ち残ったマスターに与える事が仕事。管理人は聖杯を使用できない。
サーヴァント:全ての時間軸・全ての世界から“英雄”と呼ばれる存在を聖杯の力を用い、基本無作為に現世に召還したもの。
     サーヴァントを呼び出したマスターと主従関係を持つ。正体を敵に知られぬよう、基本的に彼らは兵種で呼ばれる。
『剣士<セイバー>』:剣士の英雄。本編では「セイバー=阿部孝和」
『槍兵<ランサー>』:槍使いの英雄。本編では「ランサー=フェイト=テスタロッサ」(敗北済)
『弓兵<アーチャー>』:弓兵の英雄。本編では「アーチャー=エルヴィン=ケーニヒ」(敗北済)
『騎兵<ライダー>』:騎兵の英雄。本編では「ライダー=川 ゚ -゚)=クー=ウィン=ドーベル」
『魔術士<キャスター>』:魔術士の英雄。本編では「キャスター=(*゚ー゚)=シィナ=L=ドヴァ」
『暗殺者<アサシン>』:暗殺者の英雄。本編では「アサシン=(,,゚Д゚)=武蔵坊弁慶」(敗北済)
『狂戦士<バーサーカー>』:狂戦士の英雄。本編では「バーサーカー=(‘A`)=ドクオ=ナティウ」
令呪:サーヴァントと契約した魔術士がもつ、サーヴァントに対する強制命令権。最大3回まで行使が可能。
     サーヴァントの能力強化もできるが最大回数使い切ると、マスターとしての資格を失う。
宝具:サーヴァントがそれぞれ持っている切り札。壮絶な威力を持つものも多いが、魔力を膨大に消費する。
固有結界:基本的に魔術士のみしか使えない、魔術のひとつの到達点。自分のおもいままになる空間を形成する。


原作:TYPE-MOON制作のエロゲー『Fate/stay night』のこと。当ブーン小説の基本設定、主な話の展開は
   このゲームおよび同名のアニメから拝借されているものが多い。
『新わたなべ☆ちゃんねる』:本編終了後のおまけ。WATANABEさんとヒッキーが作中の自称を解説したり、
          読者からの質問に全レスしたりする。たまに作者や他作品のキャラも登場する。

9 名前:現状確認:2009/06/28(日) 00:08:19.04 ID:AKaVkiEQ0


( ^ω^) ブーン:亡き母に似た『騎兵<ライダー>』クーとともに聖杯戦争に参加している見習い魔術士
川 ゚ -゚) クー:宝具『突撃槍<ランス>』をもち、巨大な“イヌ”を駆るサーヴァント。生前はシィナに仕えていた騎士だった。

ξ゚听)ξ ツン:ブーンの従姉妹で、一流魔術士女子高生。サーヴァントは『凶戦士<バーサーカー>』ドクオ。
('A`) ドクオ:なぜかクーを慕う臆病なサーヴァント。玉砕覚悟で阿部さんと戦うも……
   その正体は誰もわからない(笑)

从'ー'从 アヤカスフィール:ロリロリ魔術士。ブーンの担任で、彼に惚れた。ツンとは腐れ縁。サーヴァントは『剣士<セイバー>』阿部孝和。
阿部さん:『くそみそテクニック』からの出演。肉弾戦を得意とする優勝候補。男には滅法強い。

(´・ω・`) ショボン=ノウレッジ:バーボンハウスを営む聖杯戦争の管理人。ブーンの後見人でもある。
   体は人間だが、その体に宿る魂は英霊『タフガイ=ガンファイター』のものだった。

lw´‐ _‐ノv 長門 :対魔術願望増幅用ヒューマノイドインターフェース、“聖杯”。

ξ*’ワ’)ζ 高槻やよい:ブーン達の前担任。元『アイドルマスター』。本編には登場しないが、BADENDになると登場する。


(*゚ー゚) しぃ:マスターのいない『魔術士<キャスター>』。惚れていたアサシンの死によって暴走。
   街の住民を犠牲にして魔力を蓄え、7人に分身してブーン達を迎え撃つ.


【今北三行】
ツン、アヤカ、セイバー(阿部さん)、ショボン他数名魔道兵器ガットゥーゾと雑兵軍団相手に戦闘開始
ブーンとクー、7人に分裂した『魔術士<キャスター>』シィナと戦闘開始
作者、復活。
11 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:11:05.81 ID:AKaVkiEQ0

 夫婦剣、干将・莫耶。
刀鍛冶の夫の為、妻が自らの髪を火にくべて作られたという、大陸に伝わる二振一対の名剣。
キャスターは両手にかまえたそれを大きく振り上げ、クーへとせまる。彼女の胴はがら空きである。


川 ゚ -゚)「!!」


 短剣で二撃を同時に受け止め、距離を縮めてレイピアで一突。
相手がシィナ一人なら、それで勝負は事たりる。

だが。


(*゚ー゚)「たあーっ」


 儀礼剣アゾット。リーチの短さに加えて武器としては華美な装飾。
戦闘にはあきらかに不利な武器ではあるものの、だからといって無視していいものではない。
低い体勢から踏み込んできた二人目のシィナが振り上げるアゾットを払い、たまらずクーが一歩下がる。



12 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:13:55.31 ID:AKaVkiEQ0

 左右から大きく迂回し、薙刀をかまえた二人のシィナがクーへと迫る。
『暗殺者<アサシン>』こと武蔵坊弁慶が生前より持つ、薙刀タイプの宝具『一凪・改<イチナギ・レプリカ>』。
クーの間合いの間合いの外から二人のシィナが、全く同じタイミングで大薙刀を横に振るう。


(*゚ー゚)「たぁぁぁぁっ」

(*゚ー゚)「はぁぁぁぁぁっ」


 薙刀。
 その巨大さにもかかわらず、使い方次第では女子供でも十分な破壊力をひきだす事のできる戦具。
並の刀はもちろんの事、鍔迫り合いを想定して作られていない細剣や、防御においては受け流す事を主流に作られた
ダガーでは到底受けられないような重い、しかも左右からの両撃。



川 ゚ -゚)「ふんっ!!」

(*;゚ー゚)(*;゚ー゚)「「っ!!」」


 その双撃を、クーはしっかりと両腕の得物で受け止めた。



13 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:18:09.20 ID:AKaVkiEQ0

川 ゚ -゚)「伊達に『騎乗兵<ライダー>』のサーヴァントをやってはいない。たとえ大きな得物だとしても、
   『魔術士<キャスター>』風情の操る贋作のひとつやふたつ、十分受けきれる」

(*゚ー゚)「ふぅん、じゃあ……」


 同時に薙刀がひかれ、別のキャスターがこちらに向かってくる。手には一振りの日本刀。
日本刀に詳しくないクーでも違和感を持つほどに長すぎるそれをかまえ、間合いに踏み込み


(*゚ー゚)「はぁーっ!!」


 一閃。
 長刀・楼観剣の受け太刀をあきらめ、クーが後ろへ跳ぶ。


(*゚ー゚)「……」


 後方にかまえていたシィナが弦を引く。
弓状アルファベット・Mに番えた3本のFが平行に放たれる。視界にはこちらへ向かい大きく跳躍するシィナ。

18 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:22:52.44 ID:AKaVkiEQ0
 3本のうち真ん中のFを斬り捨て、槌が振り下ろされる前に迎撃しようと右腕に魔力を込める。


▼;・ェ・▼<おんっ?!!

(;゜ω゜)「あ、あれは!!」

川;゚ -゚)「……なん……だと」


 今まさに飛び上がらんとしていたクーの顔が驚きに染まる。
上空から勢いまかせに振るわれる黄金の大槌は、先刻みたときよりも数倍大きくなっていた。




(*#######゚Д゚)「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
↑注:シィナ


 キャスターの勇気(っぽい魔力)を受けて巨大化した超巨大槌・ゴルディオンハンマーが、
轟音とともに床を穿ち、その地点を中心に石の地面が隆起する。



( ^ω^)「(……伝説の豪傑(←(,,゚Д゚))の脅迫にロリ教師(←从'ー'从)の誘惑。
   聖杯戦争がはじまってからいろいろとヤバい事巻き込まれたけど……)」

(;^ω^)「(勇○王はやりすぎだお、常識的に考えて)」
21 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:28:19.46 ID:AKaVkiEQ0

 ブーンのつぶやきをかき消すように、室内とは思えないような量の砂埃が舞い上がる。


▼;ェ;▼<あおんっ、おんっ!

( ;ω;)「ゲホッ、ゲホッ」

川 −-−)「『目を閉じろ、口を覆うんだ』


 腕の令呪を介し、クーの声がブーンの頭になだれ込む。



(*゚ー゚)「あれを避けるかぁ……流石、やるじゃない」

川 ゚ -゚)「当然……だっ」


 まるでブーメランのように背後から迫りくる夫婦剣の片割れを、後ろを向かずに振り払う。
24 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:33:46.03 ID:AKaVkiEQ0

川 ゚ -゚)「私を──私を誰だと思っている」


 両手の得物を地面に落として『突撃槍<ランス>』を呼び寄せ、後ろに大きく振りかぶると
あらん限りの力を込めて、それを前方に投げた。


(*;゚ー゚)「ひっ!」


 ミサイルのように一直線に飛んでいく『突撃槍<ランス>』は、槌を持ったシィナを腹部から吹き飛ばし
今まさにFを放たんと、アルファベットFを構えていたシィナに着“撃”した。


川 ゚ -゚)「……あと5人」

(*;゚ー゚)「…………」


25 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:37:41.52 ID:AKaVkiEQ0

 直後。
アゾットを両手で握り締め、無言のまま背後からクーへと向かうシィナ。
細身剣と短剣は地面に転がり、『突撃槍<ランス>』は彼方。手元に呼び出している余裕はない。
完全にクー空手になるのを狙い済ましたようなタイミングで懐に飛び込んでいく。


 土煙がようやくおさまり、視界が開ける。

(;゜ω゜)「…………」



 アゾットにより破壊された手甲、クーの左手から滴りおちる血液。

 ブーンが見たものは、赤く染まった腕でシィナの首を掴んで持ち上げるクーの姿だった。



川 ゚ -゚)「……腕1本犠牲にして3人か。割りに合わないな」

(*゚ー゚)「3人犠牲にして腕1本。割りに合わないわね」


…………
……


29 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:47:13.00 ID:AKaVkiEQ0

 一方その頃。外での戦いが決着しようとしていた。


('、`*川「ペニサスホーン!」

(*゚∀゚)「幻符『ジャック・ザ・ルビドレ』」

从*゚∀从「サンダーレイジ!」


 3人のメイドの攻撃で吹き飛ぶ雑兵達。
ガットゥーゾへと続く道が開け、セイバーと、彼に背負われたツンが走る。
 ツン達の決意を感じ取ったのか、ガットゥーゾの砲撃は2人へと集中する。
放たれた無数の弾がアヤカとショボン、ハインリッヒによって打ち落とされ、繰り返される爆発の中を
ただひたすらガットゥーゾに向けて駆けていく。


ξ゚听)ξ「言えた義理じゃないけど……悪いわね」

セイバー「気にするな。それより一発で決めてくれ。
   さすがに何度もできない」

31 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:48:53.68 ID:AKaVkiEQ0

ξ゚听)ξ「わかってるわっ」


 地面を蹴り、ガットゥーゾの頭部近くへと飛び上がる。
ガットゥーゾの口がパカリと開き、魔力の波動が放たれるその直前。

 空中でセイバーはツンを上空へ放りなげた。



 魔力の奔流が腕を交差させ、防御の体制をとったセイバーを飲み込む。
空中に放りだされたツンはそれを横目に、左腕をガットゥーゾに向ける。


ξ゚听)ξ「(……ったく、最後くらいはしっかり働きなさいよ。『狂戦士<バーサーカー>』)」


 彼女の詠唱に呼応するかのように包帯が外れ、左手の令呪が強く輝く。



32 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:53:22.27 ID:AKaVkiEQ0

ξ゚听)ξ「ドクオ、中からアレを止めなさい!!」

ドクオ?「      」


 空中に描かれる魔法陣。そこから現れた影は迷わずガットゥーゾの口に飛び込んでいく。



 魔力を操り、十数メートルの高さから地面に着地するツン。
巨大な一撃によりボロボロになり、一糸まとわぬ姿で地面に横たわっていたセイバー。
疲弊しながらも、いつでも対応できるように攻撃準備を整えたその他5人。

 全員が見守る中、悲しき魔道兵器は内部で爆発を連鎖させ、その巨体をみるみる小さくしていった。


…………
……


34 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 00:57:50.74 ID:AKaVkiEQ0


川 ゚ -゚)「……ひとつ腑に落ちない事があった」


 大槌や『突撃槍<ランス>』。激しい戦闘の中でいたる所が破損した魔術神殿・プリンセスブレイブ。
地に描かれていた魔法陣の中心、レイピアを6人目のシィナの胸から引き抜きながらクーはつぶやいた。


川 ゚ -゚)「『終焉の楽園<ル・ラーダ・フォルオル>』が魔力不足で使用不能なのはわかる。しかし
   7人に分裂する余力を持ちながら何故、宝具『花嫁修業<プリンセスブライド>』を使わないのだろう、と」


 最後の一人となったシィナは薙刀を降ろし、黙ってクーの話を聴いている。


川 ゚ -゚)「様々な7つの武具に6つの“はなびら”があればもっと私は苦戦しただろう。
   実際、私はいつあの“はなびら”がこちらに向かってくるかをずっと警戒していたのだが……」


川 ゚ -゚)「これでは放てないのも当然だ」


36 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 01:02:13.95 ID:AKaVkiEQ0

 言いながらクーは屈み、動かなくなったシィナの手からひび割れた楼観剣を取り上げ、地面へと無造作に振るう。
妖怪の鍛えたといわれる名刀は真っ二つに折れ、地面に転がったかと思うと死体ともども姿を消す。
そこには花びらの形をした魔術装置の残骸だけが残った。


川 ゚ -゚)「『花嫁修業<プリンセス・ブライド>』の内臓魔力により“はなびら”を変化させ、
   自らの姿と武器を形つくり、それを本体が統率する。そんなところだろう?」

(*゚ー゚)「……ご名答。よくわかったわね」


(*゚ー゚)「そう。この『一凪・改<ヒトナギレプリカ>』以外は全部ニセモノよ。
   普通に『花嫁修業<プリンセスブライド>』なんて撃ってたら、すぐに魔力切れを起こしちゃうからね」

川 ゚ -゚)「…………」

(*゚ー゚)「……まぁ、6つとも全部貴女に壊されちゃったけど。これでもう私の打つ手はないわ。
   ガットゥーゾはやられちゃたし。薙刀1本じゃ貴女には敵わない。おしまいだわ」


38 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 01:07:38.54 ID:AKaVkiEQ0
川 ゚ -゚)「………」

 無言でレイピアを縦に構え、横に払う。
クーの目に迷いは、ない。


(*゚ー゚)「楽しかった。あっちで一緒になりましょう。ギコ君も待ってる」


 薙刀を左手に持ち替え、古びた短刀を取り出すシィナ。
 顔面蒼白気味のブーンやビーグルが固唾を飲み込んで見守る中、クーが踏み込んだ。

その切っ先がシィナに届く寸前──



(*゚ー゚)「『終焉の楽園<ル・ラーダ・フォルオル>』」

 つぶやくと同時に、シィナは短剣を自らの心臓に打ち込んだ。


39 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 01:12:44.37 ID:AKaVkiEQ0
 世界が揺らぐ。
ブーンの目の前で、クーが“シィナではなくなった何か”に取り込まれる。
不可解な引力が体に働き、ブーンの体も同じように虚無の中へと吸い込まれていく。



川;゚ -゚)「                 」

( ;ω;)「                 」


叫ぶ声は声にならず。呼んだ名前は言葉にならず。


ξ;゚听)ξ「!!」
从'ー'从「?!」
セイバー「……!」
从 ゚∀从「……?」
('、`*川「……?」
从 ゚∀*从「……」
(;・ω・`)「……!」
(*;゚∀゚)「……時符『プライベートスクウェア』ッ!」
lw´‐ _‐ノv「……世界崩壊因子を確認。情報の分解、再構成へ」


ひとつの世界は、そこで終焉を迎えた。

…………
……


40 名前:第30話「崩壊」:2009/06/28(日) 01:15:46.36 ID:AKaVkiEQ0










 ブーン達がシィナの作り出した世界に飛び込んで丸1日後。
聖杯こと“長門”と『黄金家政婦<ゴールドメイド>』“つー”の力により、
ブーンはツン達が待つ現実世界の内藤家へと帰還する。


 彼の無事を喜ぶ輪の中に、クーの姿は見当たらなかった。


【第30話・終了】
                 →第31話へ続く


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