- 4 :第三話『開幕』:2007/07/09(月) 23:52:13.57 ID:UBrffKCA0
- 7人目のサーヴァント・ライダーことクー・ウィン・ド−ベルがブーンに召還されて現界した、ちょうど同時刻。
VIP街を二分するように流れるオオカミ川のほとりで、今回の聖杯戦争における最初の戦闘が決着した。
大きな水音が夜のオオカミ川に響きわたる。少し遅れて男がひとり、両手をついて河岸に着地する。
???「やったの、セイバー?」
夜の河川敷というシチュエーションにはどうしてもそぐわない、おかっぱの少女が月明かりで輝く
銀髪をさわりさわり、セイバーとよばれた男へと近寄っていく。
セイバー「あぁ。うまくランサーの宝具が発動する前に無力化できたからな
肺に一撃入れたからしばらくは息もできないだろうし。このまま放っておけば自然消滅するだろう」
???「そっか。でもセイバー。貴方手加減したでしょう。本気をだせば、最初交錯した時に
一撃でランサー消滅させることも可能だったでしょ?」
セイバー「おいおい、あんな小さくてかわいい子を相手に物騒だな…まぁ、間違ってはないがな」
???「えー。ロリロリなかわいさなら、私もまけないよぉ」
セイバー「おいおい、それは勝ってうれしいのか?」
???「んー微妙」
- 5 :第三話『開幕』:2007/07/09(月) 23:54:33.36 ID:UBrffKCA0
セイバー「ははは……おや?」
セイバーが手にしていたのは水中に投げ落とした際にランサーをから奪った機械的な形をした杖。
その先端についていた玉に浮かんでいた解読不能の文字が薄れ、そのまま消えていく。
セイバー「……力尽きたかな」
???「それにしてもおもしろい相手だったね。ジェダイマスターかな?
玉からライトセーバーみたいのが伸びてたもん」
セイバー「フォースじゃ空を駆けれないだろう。いずれにせよ……」
そう言って視線を杖からオオカミ川にかかるナルミ大橋へと移す。バーボンハウスのある住宅街のほうへ
走り出す人影を確認し、再びランサーがおちたはずの川面を眺めた。
セイバー「あとはマスターだけだな」
???「顔は確認したよね?」
セイバー「もちろんだ。ここから先は俺ひとりでやる。メイドのペニサスを呼んで、先に帰ってくれ」
- 7 :第三話『開幕』:2007/07/09(月) 23:55:52.63 ID:UBrffKCA0
- ???「えー。わたしも行くよぉ」
セイバー「もうこんな時間だ。子供は寝る時間だろ?」
???「バカにしないでよぉ。わたしは子供なんかじゃないもぉん。17才のレディーだふわぁ……」
セイバー「ほら。もう声がおぼついていないぞ。目もトロンとしてるじゃないか」
???「……わかったよぉ」
しぶしぶ、といった感じで少女は懐から携帯電話を取り出してメイドを呼び出す。
ほどなくやってきたペニサスに背負われ(待ってる最中に寝た)て屋敷へ帰っていく幼いマスターを見送りながら
手元をみつめる。持ち主であるランサーが消滅したはずなのにこうして手の中におさまっているその杖を。
セイバー「(……無駄だとは思うがな)」
川の中心部──ランサーを叩き落したあたりにむかって、セイバーは杖を放り投げた。
- 8 :第三話『開幕』:2007/07/09(月) 23:57:58.84 ID:UBrffKCA0
- セイバー「さて、ちょっと小物そうだがお楽しみタイムといきますか」
軽くつぶやき、逃げたマスターを追うためにセイバーは移動を開始する。
その10分後、ボロボロになりながら川岸へ這い上がった少女・ランサーは、朧げな意識の中でマスターの
────元・マスターの、奇妙な断末魔を聞くことになる。
・
・
・
- 9 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:00:08.67 ID:gZrrY7xi0
そんな戦いがあったとは露しらず、その翌日。ブーン達4人は夜道を歩いていた。
時刻は12時を回っている。外灯のまわりを夏ごろに比べて少なくなった虫が飛びまわっている。
土曜日ということもあり、閑静な高級住宅街は寝静まっていた。
ξ゚听)ξ「あー、3日連続で不規則睡眠とか……我ながら女子高生の生活とは思えないわね」
( ^ω^)「夕方に行けばよかったんじゃないのかお?」
ξ゚听)ξ「電話したらショボンが指定したのよ。この時間に来い、ってね……
全く、こっちが学生だって事忘れてるんじゃないのかしら」
住宅街を抜けて一本、横道へとそれる。5分ほど歩きくと一軒のバーの前に到着した。
ξ゚听)ξ「じゃあ、あたしたちはちょっと行ってくるわ。ドクオとクーはちょっと待ってて」
( ^ω^)「何でだお? こんな所で待たせたら二人がかわいそうだお」
ξ゚听)ξ「ここはマスターの逃げ場所でもあるからサーヴァント避けの結界が張られているわ。
二人を中にいれるのは自殺行為よ」
川 ゚ -゚)「私は大丈夫だ、ブーン。中で管理人の話を聞いてきて、あとで私にも教えてくれ」
( ^ω^)「わかったお」
CLOSEDの掛札を無視してノブをにぎり、ツンは木製のドアを開いた。
- 10 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:02:46.40 ID:gZrrY7xi0
- 木張りの床。埃をかぶったジュークボックス。二人掛けのテーブルが2つに小さなカウンター。
それだけでいっぱいになってしまう小さな店内。乾いたドアベルの音に店の主が顔をあげた。
(´・ω・`)「お久しぶり。すまなかったね。こんな時間に呼び出してしまって。
夕方まで古い知り合いと会ってたんだ」
ξ゚听)ξ「珍しいわね、ショボンの知り合いなんて。マスターかしら?」
(´・ω・`)「そう詮索しないでくれ。昨日はつい口を滑らせたが、正式にマスターになった今、さすがに
これ以上手を貸すのはさすがにマズい」
ξ゚听)ξ「嘘情報つかませておいてそれはないでしょ。『ライダー・セイバー・バーサーカー以外はすでに召還された、って
言ってたから最優のサーヴァント・『セイバー』狙いで召還したのに、使えないバーサーカーが出てきたのよ」
('A`)「へーちょ」
川 ゚ -゚)「どうした、ドクオ。我々サーヴァントにとって普通の気温変化なぞ取るに足らない変化だろうに」
('A`)「ううん、別に寒いワケじゃないよ」
('∀`)「(やさしいなぁ……厳密には違ってもクーは最高だぁ)」
- 11 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:05:07.17 ID:gZrrY7xi0
- (´・ω・`)「おいおい。どんな英雄が召還されたのかは知らないが、サーヴァントを『使えない』はないだろう」
ξ゚听)ξ「いきなり棄権したがる『バーサーカー』なんてダメダメじゃない。
ま、まぁ気配の感じ方とかはすごいし、料理もおいしいけど……」
(´・ω・`)「十分じゃないか。料理上手の男を手に入れて、これ以上何を望むんだい?」
ξ#゚听)ξ「恋人じゃないんだから!!」
(´・ω・`)「ははは、その怒った顔風船みたいでおかしいゾ☆」
ξ#゚听)ξ「ぶちころすぞ」
(;´・ω・`)「(そのセリフは僕の物だが……)
すまなかったね。実はキミに漏らした直後にセイバーが召還されたんだ」
( ^ω^)「ショボンおじさん、お久しぶりだお」
(´・ω・`)「本当だね。最後に会ったのは9月の頭だったかな……」
内藤ホライゾンの後見人、ショボンは笑いながらカウンター下の冷蔵庫から2本コーラを出し、
グラスとともに二人の前に置いた。
(´・ω・`)「やぁ、ようこそバーボンハウスへ。このコーラはサービスだから飲んでほしい」
ξ゚听)ξ「酒は出ないの?」
(´・ω・`)「あと2年したらね」
- 12 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:08:59.34 ID:gZrrY7xi0
- (´・ω・`)「しかし……ツンはともかく、ブーンまで聖杯戦争に参加することになるとはね」
ξ゚听)ξ「本当。予定じゃあたしがセイバーを召還してからブーンはここに預けて、一週間であっさり
ケリをつけるつもりだったのに」
(´・ω・`)「なかなか大それた発言だな。今回の聖杯戦争はなかなか面白い英雄が召還されているぞ」
ξ゚听)ξ「そう。まぁ、今となってはただの空言にしか聞こえないけど」
(´・ω・`)「そうだね……で、ブーン」
( ^ω^)「お?」
二人が話しこんでヒマだったのか、カラカラと氷を回して遊んでいたブーンが顔をあげる。
- 13 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:10:07.63 ID:gZrrY7xi0
(´・ω・`)「12時を回ったというのに元気だな。いつもこんな生活をしているのかい?」
( ^ω^)「違うお。今日はクーと一緒に昼寝をしていたんだお」
(´・ω・`)「…………クー?」
(かくかくしかじか)
(´・ω・`)「亡き母親・内藤クーそっくりのサーヴァントか……奇遇といえば奇遇だな。そういえば
ツンが召還したサーヴァントは誰なんだい?」
ξ゚听)ξ「秘密。真名は聞いたけどどの文献にも載ってないし、正直見当すらつかないわ」
(´・ω・`)「そうか。弟子がクー・ウィン・ドーベルを召還して師匠がマイナー英雄とはね」
( ^ω^)「クーは有名なのかお?」
(´・ω・`)「ある童話に登場する『無敵の女護衛隊長』、クー・ウィン・ドーベル。
その戦闘方法は謎につつまれているはずだが……騎兵だったのか」
( ^ω^)「『無敵の女護衛隊長』……なんかかっこいいお」
(´・ω・`)「いや、彼女は生涯防衛戦に参戦していないんだ」
ξ゚听)ξ ( ^ω^)「「…………」」
- 14 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:12:35.17 ID:gZrrY7xi0
(´・ω・`)「敵がいない。敵無し。故に無敵という事だね」
ξ゚听)ξ「それならウチのドクオもね。敵と戦わない、まさに『無敵』じゃない」
('A`)「へーちょ」
川 ゚ -゚)「……くちゅん」
お互い顔を見合わせる。
川 ゚ ー゚)「……なるほど。風邪でなくともくしゃみをする事もあるな」
('∀`)「(ペアくしゃみ〜 クーといっしょにペアくしゃみ〜)」
能天気なサーヴァント達だった。
- 15 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:14:55.25 ID:gZrrY7xi0
(´・ω・`)「話を戻そう。ツンからだいたいは聞いているとは思うが……ブーン。
本当に聖杯戦争に参加するのかい」
( ^ω^)「するお! 巻き込まれた話だけど、願いが叶えられるならやってやるお」
(´・ω・`)「僕は確かに後見人だが、それ以上に魔術師・この聖杯戦争の管理人だ
口にしたくもないが、もしブーンが死にそうになっても僕は何もできないよ。マスターの権利を捨てて
リタイアする、というのなら管理人として保護はするけど、助けを求める前に敵に殺される
パターンも少なくない。
実際、昨日すでにひとりのマスターが殺されたんだ」
(;^ω^)「!!!」
(´・ω・`)「ここから数百メートルまで逃げて来たところで死んでいた。あれだけの惨状、
後かたづけと事後処理に苦労したよ」
ξ゚听)ξ「(あ、昼間会えなかったのは…………)」
( ^ω^)「……大丈夫だお。ブーンも魔術師だし、覚悟は朝に決めたお」
(´・ω・`)「そうか……ちなみに、もし勝ったら何を願うつもりだい?」
( ^ω^)「…………ママを、素直クーを生き返らせるお」
- 16 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:16:32.65 ID:gZrrY7xi0
(´・ω・`)「…………」
ξ゚听)ξ「(やっぱり……)」
(´・ω・`)「過去の聖杯戦争で死者蘇生を願った人間はいなかったが、聖杯は人智を超えた存在だ。
もし最後まで生き残って本気で願えば、きっとかなえてくれるさ」
( ^ω^)「……お!」
再び覚悟をきめた。
( ^ω^)「そういえば、ツンは何を願うのかお?」
(´・ω・`)「豊胸かい?」
ξ;゚听)ξ「な、なんで知ってるのよ?!」
(´・ω・`)「(冗談だったんだけどな……)」
- 17 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:18:25.36 ID:gZrrY7xi0
(´・ω・`)「明日は日曜といっても、早く帰さないとな。ブーンは右利きだね」
( ^ω^)「そうだお」
(´・ω・`)「それじゃあ、ちょっと左手を出してくれ」
魔術刻印────魔方陣とは微妙に趣旨を異にする魔術言語の塊が書かれた布を手に、ショボンは
ブーンの服をめくらせた。二の腕に布をまきつけ、魔術を発動させる。布を取ると、そこには奇妙な紋様がうかびあがっていた。
( ^ω^)「これは?」
(´・ω・`)「『令呪』だ。正規のマスターは召還の際に手に入れるが、ブーンの場合は特殊だったからな。
これはサーヴァントに対する強制命令権だ。『静かにしろ』『全力で倒せ』『人を殺せ』など、サーヴァントの
意に反する行動を強制的にとらせる場合につかうんだ。ただ、無茶を言いすぎるなよ。この令呪はいわばマスターの証。
これを3回分消費してしまうと聖杯を手に入れる権利は失われ、マスターではなくなる。
それまでの扱い次第ではサーヴァントに逆襲されて殺される事もある。使うなら2回までだな。細かいことはツンに聞くといい」
( ^ω^)「わかったお。いろいろありがとうだお」
- 18 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:21:28.66 ID:gZrrY7xi0
- ξ゚听)ξ「それじゃ、次は勝者になって会いにくるわ。管理人、がんばってね」
( ^ω^)「おやすみだお」
(´・ω・`)「おやすみ。気をつけて変えるんだよ」
( ^ω^)「おまたせだお」
店を出ると、壁にもたれて目を閉じていたクーが顔をあげた。
その様子をながめていたドクオもあわてて姿勢を正す。
( ^ω^)「寒くなかったかお?」
川 ゚ -゚)「いや、問題ない」
('A`)「遅かったね」
ξ゚听)ξ「それじゃあ帰りましょうか」
- 19 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:24:26.22 ID:gZrrY7xi0
静かに話しながら歩きだして10分。そろそろ大通りに出ようかというところで前を歩いていたクーの足が止まった。
( ^ω^)「どうしたのかお?」
川 ゚ -゚)「ブーン、さっそくだが敵だ」
魔力で瞬時に蒼の軽鎧をまとう。
川 ゚ -゚)「どうする?」
( ^ω^)「どうする、って言われても……どんな敵なのかお?」
ξ゚听)ξ「わからないけど……昨日の敵、アサシンではないわ」
そう言ってツンは前の電柱を見上げる。すでにクーは電柱の上にたつサーヴァントに視線を合わせている。
昨日より少し欠けた月を背負い、破けたマントを風になびかせ、金髪の少女が4人を見下ろしていた。
- 20 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:25:53.75 ID:gZrrY7xi0
- ランサー「サーヴァント二体……手ごわいわね。でも時間はもうない、か」
少女が手にした杖を下に振り払うと、ボロボロになった服とマントが一新された。
だが、その真新しい衣装とは対照的に──
( ^ω^)「……あの子、疲れてるみたいだお」
ξ゚听)ξ「弱ってるわね……すでに一戦、交えた後か……
ショボンが言ってたはぐれサーヴァント──ランサーね。クーとドクオ、二人がかりで一気に倒せるわ」
('A`)「それはあぶないよ」
レイピアを構えて臨戦態勢をとっているクーと対称的に、普段とかわらず淡々とドクオが静止する。
('A`)「2キロくらいかな、ここと反対側からもう一人サーヴァントがこっちに近づいてくるよ。
もしここで戦いがはじまったら乱入してくる。あの子と戦ってる間にツン達が襲われたら大変だ」
ξ゚听)ξ「そっか……片方が目の前のランサーの遊撃、もう片方は次の戦闘に備えて私達と退却、体制を整える……
そうしましょう。こんな狭い路地でずっと戦ってると、人除けしてても住人に気づかれるわ」
川 ゚ -゚)「ブーン、私はいつでも戦闘可能だ」
- 22 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:29:02.30 ID:gZrrY7xi0
( ^ω^)「(どうするかお……)」
1. クー、任せたお!
2. ダメだお、ブーンも一緒に戦うお!
( ´ω`)「(でも、人がいないからアンカー待ちできないんだお……先着順。
手元の時計で30分までに指定がなかったら1でいくお)」
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/10(火) 00:30:27.94 ID:ujdmmq0qO
- 1
- 24 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:32:09.72 ID:gZrrY7xi0
( ^ω^)「クー、任せたお!」
川 ゚ -゚)「了解した」
ランサー「話はおわり?」
川 ゚ -゚)「ああ。待ってくれて礼を言う。それではランサー」
相手に敬意を払うようにレイピアを正眼に立て、クーは構える。
川 ゚ -゚)「私が相手になろう」
ランサー「一対一……そっちのほうが好都合」
一瞬の沈黙。
ξ゚听)ξ「走って!!」
- 28 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:37:15.73 ID:gZrrY7xi0
3人が一斉に後ろを向いて走り出す。クーもランサーも反応しない。
お互い、相手だけに意識を集中する。先手をうったのはランサーだった。
ランサー「行くよ、『バルディッシュ』」
[Yes, my master.]
ランサーの呼びかけに杖が答える。
まるで戦斧のような魔力の刃を形成し、空を舞うようにランサーはクーへと踊りかかった────
ξ;゚听)ξ「はぁ……はぁ……ここならちょうどいいわね」
- 30 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:40:24.75 ID:gZrrY7xi0
2分ほど全力疾走。息をつきながら3人がやってきたのは墓地。その横に広がっている広場だった。
昼間なら子供たちが野球でもやっているのだろうが、この時間は当然のように誰もいない。
さらに人払いの呪いをかけ、退路を確保して3人はあたらなる敵サーヴァントを待ち構える。
ξ゚听)ξ「ドクオ、敵の状況は?」
('A`)「前方100メ−トル。すぐにこの広場にやってくるよ。ねぇ、今からでも…」
ξ゚听)ξ「しつこいわよ、ドクオ。私でも感じとれる距離に来てるのに、今さら逃げられるわけないでしょ」
( ^ω^)「ブーンは全然わからないお……クーはどうなったのかお?」
('A`)「……うん。今、あの女の子の魔力が消えたよ。クーの勝ちだ」
( ^ω^)「やったお!」
???「そっかぁ。後始末ありがとう」
空から声がする。続いて、少女を抱えた男がどこからともなく降ってきた。
- 32 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:43:14.26 ID:gZrrY7xi0
???「セイバー、ありがとう。おかげでかっこいい登場ができたよ」
セイバー「やれやれ、全くとんでもないマスターに呼び出されたものだな」
???「あはは。こんばんは、ツンちゃんにそこの君……ブーン君でいいのかな?」
ξ゚听)ξ「…………」
何もない空から飛び降りてきたいい男は肩から少女をおろし、やれやれといった感じに肩をすくめる。
ずりおちかけた帽子を直し、少女は淡紫の外套を払ってブーン達と向かい合い、ニコリと笑いかけた。
从'ー'从「私の名前はアヤカスフィール・フォン・ワタナベルン。
サーヴァント『セイバー』のマスターで、この聖杯戦争の勝利者だよ」
- 36 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:48:56.86 ID:gZrrY7xi0
- ( ^ω^)「アヤカスフィール・フォン・ワタナベルン……?」
从'ー'从「長かったらアヤカでもワタナベでもいいよ。どっちみち、明日からツンちゃん達が
わたしの名前を感嘆に呼ぶことなんかできなくなるけどね」
ξ゚听)ξ「その飄々とした性格は相変わらずね、“ワタナベさん”……」
从'ー'从「うー、いつもみたいに『アヤカ』って呼んでよぉ」
( ^ω^)「知り合いかお?」
ξ゚听)ξ「アヤカスフィール・フォン・ワタナベルン。あたしと同じで飛び級でイギリスに留学してたころの同級生よ」
(;^ω^)「同級生、って……」
一般的な女子と比べ、ツンは17歳にしては少々発育が思わしくない。特に胸部とか。
だが、目の前にいるアヤカスフィール・フォン・ワタナベルン……ワタナベはどうみても小学生にしか見えない。
从'ー'从「あ、ブーン君。わたしがツンちゃん同じ年なのにちっちゃいなー、って思ってるでしょ」
(;^ω^)「……思ったお」
从'ー'从「うー、ひどいよぉ! この姿には意味があるんだよ」
ξ゚听)ξ「嘘おっしゃい。4年前、アヤカは薬学の授業中にね……」
- 39 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:52:21.21 ID:gZrrY7xi0
〜〜回想スタート〜〜
从'ー'从「えっと、この薬は何だろう。ラベルが張ってないからわかんないや」
从'ー'从「ペロッ……これはアポトキシン4869!」
从'ー'从「体が熱いよぉ…」
从'ー'从「あれれー、体が小さくなっちゃったよぉ」
〜〜回想終了〜〜
- 40 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:52:52.20 ID:gZrrY7xi0
ξ゚听)ξ「……というワケなの。見た目は小学生だけど、本当はあたしと同じ17歳よ」
( ^ω^)「ねーよwwww」
セイバー「まったく、俺のマスターは面白いな」
从'ー'从「認めたくないねぇ、若さ故の過ちは……」
ふいに会話が途切れた。
- 42 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 00:57:34.63 ID:gZrrY7xi0
- 从'ー'从「さて、そろそろツンちゃんにはリタイアしてもらおっかな」
ξ゚听)ξ「それはこっちのセリフよ。ね、バーサーカー」
相手に正体をバラさないため、ワザとサーヴァントのクラスでドクオを呼ぶ。ブーンとはえらい違いだ。
('A`)「…………」
ξ゚听)ξ「バーサーカー、まさかこの状態で逃げる,なんていわないよね?」
(('A`))「……無理だ……」
ξ#゚听)ξ「……いい加減にしなさいよ。こうなったら令呪を使ってでも戦ってもらうから」
((('A`)))「違うよ……ツン。ボクじゃあ──男のサーヴァントじゃ絶対、あいつにはかなわないんだ……」
ξ;゚听)ξ「敵わない、って……確かにあのサーヴァントは強そうだけど…」
从'ー'从「バーサーカーはセイバーの正体に気づいたみたいだね」
- 44 :第三話『開幕』:2007/07/10(火) 01:01:19.74 ID:gZrrY7xi0
- 从'ー'从「改めて紹介するよ。わたしが召還した最強のサーヴァント、セイバーをね」
阿部さん「俺はセイバー、真名は『阿部高和』。生前は自動車の修理工をやっていた。気軽にアベリーヌとでも呼んでくれ。
それじゃあ早速、『バーサーカー』のサーヴァント……」
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ノ い
!| ヽ. ー===- / ⌒ヽ
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l か
__/ ‖ . ヽ、_!__/:::|\
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【第3話・終了】
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