2 名前:全体的なあらすじ :2008/06/17(火) 00:28:40.64 ID:F4X6QGMt0


 聖杯。それは手に入れた者のどんな願いをもかなえるといわれる伝説の魔術道具。これを求めて7人の魔術士がそれぞれ
7人のサーヴァントを従えて命をかけて戦い抜く、通称“聖杯戦争”がVIP市で行われようとしていた。

 そんなある晩、魔術士見習いの中学生ブーンは自宅の庭で死んだ母親によく似た女性に命を救われる。
彼女はライダー。聖杯戦争で召還されるサーヴァントのひとりで、なぜかブーンに召還されたのだという。


 魔術の師匠である従姉妹のツンや聖杯戦争の管理人ショボンの説明を受け、ブーンは決意する。
 自らの母親と同じ名と容姿を持つ『騎兵<ライダー>』、クーとともに聖杯を手に入れ、母親をよみがえらせることを……



3 名前:主に『Fate』を知らない人のための用語解説 :2008/06/17(火) 00:30:23.83 ID:F4X6QGMt0
魔術士:魔術を操る人間。基本的に祖先に魔術士がいないと魔術士になることはできない。“魔法使い”ではないので注意が必要。
魔法使い:現代の技術で不可能な事(例:時間跳躍)を魔術で実現できる魔術士のこと。
聖杯:あらゆる願いを叶えるといわれている、伝説の魔術道具。早い話がドラゴンボール。
   現在は“長門由希”の姿をとり、現界している。
聖杯戦争:7人の魔術士(マスター)が聖杯をめぐり、サーヴァントとともに繰り広げる殺し合い。早い話がバトロワ。
マスター:サーヴァントを召還した魔術士。マスターでないと、聖杯を使役することはできない。
管理人:聖杯を管理し、勝ち残ったマスターに与える事が仕事。管理人は聖杯を使用できない。
サーヴァント:全ての時間軸・全ての世界から“英雄”と呼ばれる存在を聖杯の力を用い、基本無作為に現世に召還したもの。
     サーヴァントを呼び出したマスターと主従関係を持つ。正体を敵に知られぬよう、基本的に彼らは兵種で呼ばれる。
『剣士<セイバー>』:剣士の英雄。本編では「セイバー=阿部孝和」
『槍兵<ランサー>』:槍使いの英雄。本編では「ランサー=フェイト=テスタロッサ」(敗北済)
『弓兵<アーチャー>』:弓兵の英雄。本編では「アーチャー=エルヴィン=ケーニヒ」(敗北済)
『騎兵<ライダー>』:騎兵の英雄。本編では「ライダー=川 ゚ -゚)=クー」
『魔術士<キャスター>』:魔術士の英雄。本編では「キャスター=(*゚ー゚)=シィナ」
『暗殺者<アサシン>』:暗殺者の英雄。本編では「アサシン=(,,゚Д゚)=弁慶」(敗北済)
『狂戦士<バーサーカー>』:狂戦士の英雄。本編では「バーサーカー=(‘A`)=ドクオ」
令呪:サーヴァントと契約した魔術士がもつ、サーヴァントに対する強制命令権。最大3回まで行使が可能。
     サーヴァントの嫌がる命令を通したりできる。最大回数使い切ると、マスターとしての資格を失う。
宝具:サーヴァントがそれぞれ持っている切り札。壮絶な威力を持つものも多いが、魔力を膨大に消費する。
固有結界:基本的に魔術士のみしか使えない、魔術のひとつの到達点。自分のおもいままになる空間を形成する。


原作:TYPE-MOON制作のエロゲー『Fate/stay night』のこと。当ブーン小説の基本設定、主な話の展開は
   このゲームおよび同名のアニメから拝借されているものが多い。
『新わたなべ☆ちゃんねる』:本編終了後のおまけ。WATANABEさんとヒッキーが作中の自称を解説したり、
          読者からの質問に全レスしたりする。たまに作者や他作品のキャラも登場する。


4 名前:現状確認 :2008/06/17(火) 00:32:10.16 ID:F4X6QGMt0
( ^ω^) ブーン:亡き母に似た『騎兵<ライダー>』クーとともに聖杯戦争に参加している見習い魔術士
川 ゚ -゚) クー:宝具『突撃槍<ランス>』をもち、巨大な“イヌ”を駆るサーヴァント。生前はキャスターに仕えていた騎士だった。

ξ゚听)ξ ツン:ブーンの従姉妹で、一流魔術士女子高生。サーヴァントは『凶戦士<バーサーカー>』ドクオ。
('A`) ドクオ:なぜかクーを慕う臆病なサーヴァント。玉砕覚悟で阿部さんと戦うも……

从'ー'从 アヤカスフィール:ロリロリ魔術士。ブーンの担任で、彼に惚れた。ツンとは腐れ縁。サーヴァントは『剣士<セイバー>』阿部孝和。
阿部さん:『くそみそテクニック』からの出演。肉弾戦を得意とする優勝候補。男には滅法強い。
('、`*川 伊藤ペニサス:アヤカスフィールに仕えるメイド。階級は『白銀家政婦<シルバーメイド>』
从 ゚∀从 ハインリッヒ:『暗殺者<アサシン>』の元マスター。

(*゚ー゚) しぃ:マスターのいない『魔術士<キャスター>』。惚れていたアサシンの死によって暴走。
   街の住民を犠牲にして魔力を蓄え、潜伏しながら部下を送りつけている。

(´・ω・`) ショボン=ノウレッジ:バーボンハウスを営む聖杯戦争の管理人。ブーンの後見人でもある。
   体は人間だが、その体に宿る魂は英霊『タフガイ=ガンファイター』のものだった。
(=゚ω゚)ノ 羅雲いよぅ:ブーンのクラスメイトで、ラウン寺の倅。一般人。デュエリスト
lw´‐ _‐ノv 長門由希 :対魔術願望増幅用ヒューマノイドインターフェース、“聖杯”。
ξ*’ワ’)ζ 高槻やよい:ブーン達の前担任。元『アイドルマスター』。本編には登場しないが、BADENDになると登場する。

【今北三行】
キャスター・しぃ、一般人を巻き添えに暴走開始
ショボンと長門の仲裁により、ブーン組とツン、アヤカスフィール組が対キャスター同盟
ショボン、実は元サーヴァント・タフガイだった。
6 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:34:07.29 ID:F4X6QGMt0

(´・ω・`)「英雄もどきの格闘家、タフガイ=ガンファイター。それが俺の名だ」














(;^ω^)「知らなかったお」

(´・ω・`)「だろうね。今生きてる人間でこの事実を知っているのは5人もいないさ」
10 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:37:27.35 ID:F4X6QGMt0

 みかんの皮をむきながら、事も無げにショボンは言う。


 時刻は現在午後9時過ぎ。キャスターやその配下の襲撃から半日が過ぎていた。
ハインリッヒは一度ラウン寺へ戻り、ツンはアヤカスフィール邸に泊まりにいっている。
 ここ数週間騒がしかった内藤邸だが、今日は久々に以前の静寂を取り戻していた。


(´・ω・`)「ツンからどこまで聞いているかい?」

( ^ω^)「ショボンさんがショボンさんじゃなくてタフガイっていう元サーヴァントだ、って事くらいだお」

(´・ω・`)「そうか。ブーンも大きくなったことだし、17年前の君の親の事も含めて説明しておこうか」

   「私は席をはずしたほうがいいか?」

(´・ω・`)「気にしないでかまわないよ。ライダー、君も実体化して座ったらどうだい」

12 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:40:37.55 ID:F4X6QGMt0

   「……では」


 霊体化を解除し、ブーンの左にクーが姿を現した。


(´・ω・`)「よし。それじゃあまずは簡単に17年前の聖杯戦争の経過を説明しようか」




(´・ω・`)「17年前、イギリスの片田舎に聖杯があらわれた。過去の文献・伝説からその存在をつきとめた
   一部の魔術士たちはサーヴァントを呼び出して、聖杯戦争をはじめたんだ」


14 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:42:44.06 ID:F4X6QGMt0

( ^ω^)「……ママも、そこに参加してたんだおね?」

(´・ω・`)「あぁ、ブーンの母親・素直空はその時期、大学の卒業旅行で渡英していてね。
   何が要因になったのかまでは知らないが、『槍兵<ランサー>』の英霊を呼び出したんだ」

川 ゚ -゚)「『槍兵<ランサー>』……」

(´・ω・`)「人間離れした青い怪物のような男だったが、腕は確かだった。一般人に憑依する、なんて特殊技能もあったしね。
   クーはそこまで乗り気じゃなかったが、結局聖杯戦争に参戦。最後は優勝候補の一角だった
   『騎兵<ライダー>』組に敗北したんだ。彼女は当時の管理人に助けを求め、保護された」

( ^ω^)「そうだったのかお……」

(´・ω・`)「ブーン、君は今回偶然クー──『騎兵<ライダー>』を呼び出したが、血統的に
   聖杯戦争に参戦する事は、必然だったのかもしれないね」

( ^ω^)「その青い英雄は一体誰だったんだのかお」

(´・ω・`)「わからない。マスターである素直空に対しても、彼は最後まで知らぬ存ぜぬの態度を貫いていたらしい。
   ランサーと“僕”は直接対峙したことはなかったが、他のマスターの話と照らし合わせてみるに、
   『剣士<セイバー>』ヒラガ=サイトと同じく未来世界の英雄だったのかもしれないね」



15 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:46:08.99 ID:F4X6QGMt0

川 ゚ -゚)「ヒラガ=サイト……確かに、知らぬ名だ」

(´・ω・`)「話を戻そう。無差別殺人を繰り返す『暗殺者<アサシン>』の存在などもあったが
   およそ二週間で決着がついた。『騎兵<ライダー>』に対して『魔術士<キャスター>』『剣士<セイバー>』組が共闘をとり、
   その決戦の場に『狂戦士<バーサーカー>』──僕の体が乱入。結局、残ったのは『魔術士<キャスター>』だけだった」

川 ゚ -゚)「……『魔術士<キャスター>』が聖杯を手にしたのか」

(´・ω・`)「そうだ。『暗殺者<アサシン>』は聖杯システムから外れ、他のサーヴァントの体は全て消滅。
   最後に彼は主の魂を救済し、満足して自らも消滅したんだ」

川:゚ -゚)「………!!」

(´・ω・`)「……ここまでわかったかい? 」

17 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:49:17.40 ID:F4X6QGMt0

川;゚ -゚)「…………あ、あぁ」

(;^ω^)「なんとか、大丈夫だお…」

読者の声「(もはやついていけんwwww)」

(´・ω・`)「わかんないならわかんないでいいさ。要するに“昔の聖杯戦争は『魔術士<キャスター>』が生き残った”って事だから。
   とりあえずいいところだし、ひと息つこうか。」

( ^ω^)「お茶をいれてくるお」


 立ち上がり、盆を持って台所に向かうブーン。




川 ゚ -゚)「……ショボン」
21 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:53:18.46 ID:F4X6QGMt0

 ブーンの姿が見えなくなったのを確認し、真剣な面持ちでクーはショボンに問いかけた。


川 ゚ -゚)「……前回優勝した『魔術士<キャスター>』の望み、“主の魂の救済”について詳しく知りたい」

(´・ω・`)「読んで字の通りだよ。『魔術士<キャスター>』──マーリーンは、死の淵に瀕してなお国を救えなかった自分を悔やみ、
   過去の改竄を望む己の主を聖杯を通じて諭し、ヴァルハラへ送ったんだ」


川 ゚ -゚)「…………」











( ^ω^)「お待たせ。煎餅もあったからもって来たお」

(´・ω・`)「ありがとう」
25 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 00:57:12.51 ID:F4X6QGMt0

( ^ω^)「……ん? クー、どうしたんだお? すごく怖い顔をしてるけど……」

川;゚ -゚)「あ、いや……何でもない。他の時代の英雄についてもいろいろ興味があってね」

(´・ω・`)「『弓兵<アーチャー>』ベル=リミナリー、『暗殺者<アサシン>』七夜志貴。僕の体に乗り移った
   “獣の如き槍の使い手”や“吸血種の少女”──いろいろいたなぁ」

( ^ω^)「“獣の如き槍の使い手”?」

(´・ω・`)「クー=フーリンといったほうがわかりやすいかな。アイルランドの大英雄だ。
   ちょうど話に出たし、そろそろボクの体について話そうか」

30 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:00:40.46 ID:F4X6QGMt0

(´・ω・`)「ショボン=ノウレッジは『狂戦士<バーサーカー>』の中でも耐久度の高いタフガイ──ボクを意図的に呼び出した。
   『狂戦士<バーサーカー>』のサーヴァントは基本的に“理性を失った”状態なんだが、ショボンは自らの魔術と令呪を用いて
   タフガイの精神を喪失ではなく、眠らせてタフガイの体に封印させ、その上で呼び出した過去の英雄の魂を
   タフガイの体に憑依させ、その体を操ったんだ」

( ^ω^)「何でわざわざそんな事をしたんだお?」

(´・ω・`)「僕──タフガイの精神を封印させたのは、憑依時の暴走を防ぐためらしい。
   ショボンが召還の儀を行おうとした時点でめぼしいサーヴァントはあらかた召還されていたからね。
   位の劣るサーヴァントで戦うための、彼なりの方法だったんだろう」

川 ゚ -゚)「……肉体能力の強化されたタフガイの体にクー=フーリンらの魂をのせ、もうひとつの令呪で
   その体の支配権を強固にした、と」

(´・ω・`)「そうだ。さまざまな英雄同士の戦いを僕は──俺は、まるで夢をみるかのように見ていたよ」



31 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:02:54.69 ID:F4X6QGMt0

(´・ω・`)「・……最終局面でショボンは致命傷を負ってね。自らの精神をタフガイに憑依させようとしたんだ。
   魔力や精神力が衰えていたこともあって術は失敗。残ったのは、瀕死の人間に眠っていたはずのサーヴァントの精神が
   乗り移った半人半魔の出来損ない。つまり……この僕だ」









(;^ω^)「ショボガイさん……」

川 ゚ -゚)「タフボン……」

(;´・ω・`)「名前は合体させないでいい。今までどおり“ショボン”と呼んでくれ」


35 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:06:18.58 ID:F4X6QGMt0
(´・ω・`)「その後、僕は“ショボン=ノウレッジ”として生きる事にした。素直空や『剣士<セイバー>』『魔術士<キャスター>』の
   マスターや当時の管理人の手助けもあって、何とかこうして生活を送っている」

川 ゚ -゚)「……なるほど。そういう“復活”もあり得るのか」

(´・ω・`)「あぁ。サーヴァントほどではないが、身体能力は人間を遥かに超えている。
   年もとるし、霊体にはなれないがこれはなかなかどうして、いいものだぞ」

( ^ω^)「……ママはショボンを昔からの知り合いと言っていたけど、そういうことだったんだおね」

(´・ω・`)「あぁ。正体の隠蔽から日本での生活までブーンの両親には本当に世話になった。
   空さんが後見人に僕を選んでくれたことは、本当にうれしかったさ」









(´・ω・`)「……ふぅ、長くなったね。10時半か。悪いが今日はそろそろ寝かせてもらうよ」

( ^ω^)「……布団を準備するお」

(´・ω・`)「悪いね」
37 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:09:15.54 ID:F4X6QGMt0








( ^ω^)「おまたせだお……お?」

川 - )「          」



( ^ω^)「(寝ているのかお?)」

川 ゚ -゚)「……あ、ああ。すまない。ちょっと考え事をしていた」

( ^ω^)「それならいいけど……」

川 ゚ -゚)「…………ブーンは」

( ^ω^)「……お?」




38 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:11:56.09 ID:F4X6QGMt0

川 ゚ -゚)「ブーンは以前、私を母親のようだといってくれたな」

( ^ω^)「言ったお。今でもそう思っているお」

川 ゚ -゚)「……そうか。では、今でも母親──素直空を生き返らせるために、戦ってるのか?」


(;^ω^)「…………うーん……」

川 ゚ -゚)「……不躾だとは思う。成人もしていない子供に問うのは酷かもしれない。
   だが、聞かせてほしいんだ。今のありのままの、ブーンの気持ちを」

(;^ω^)「……………………」


( ^ω^)「…………正直に言って、わからないお」

川 ゚ -゚)「……」


41 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:16:49.84 ID:F4X6QGMt0

( ^ω^)「攫われたり、階段のぼりかけたり、ドクオがいなくなったり、町がピンチだったり、
   ショボンが人間じゃなかったり……17年前の聖杯戦争もキャスターの隠れ家も、何からかんがえていいのかもさっぱりだお」


( ^ω^)「だから、もう考えないお」


( ^ω^)「とりあえず、今は街を救うためにキャスターと戦うお。それから、聖杯戦争に戻るお。
   聖杯への願いも、ショボンやアヤカさんとの関係も、ママの過去も忘れて、やるべきことをやるんだお」


( ^ω^)「ブーンはバカだから、そうやって目の前の事からやらないと、いっぱいいっぱいになっちゃうお。
   だからクー……」

川 ゚ -゚)「……ブーン」




( ^ω^)「いつものようにテレビ見ながら、魔術の練習するお!」

44 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:18:29.48 ID:F4X6QGMt0

川 ゚ -゚)「……あぁ」


川 ゚ー゚)「あぁ。そうだな。これで大丈夫だ」

( ^ω^)「お? 何かしらないけど、よかった。」


 テレビをつけると、流行のドラマが放映されていた。
自転車に乗っている男たち。タオルを握り締め、主人公を見つめるマネージャーやライバル達。
ドラマの登場人物と同じように同じように、ブーンも食い入るように画面に見入っている。
そうしていながら、体を密着させていないままでの、ブーンの魔力はクーへと流れ込んできている。

 普通に生活する分には体内の魔力は充足している。
戦闘時でも、こうして意識的にブーンが送り込んでくれる魔力量は以前とは比べ物にならない。
“完成された存在“サーヴァントたる自分と違って、ブーンは成長していた。


47 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:20:41.79 ID:F4X6QGMt0

 ならば、自分も追いつかないと。成長できないのなら、ブーンについていけるように全力を尽くさないと。

 誇り高き理想や行動の末に待ち受ける存在への懸念など、目の前のものにはただの障害でしかないのだ。



川 ゚ -゚)「(……ブーン。お前が行きたいステージへ、私は全力でお前を連れて行こう)」



…………
……


 それから、二日が経過した。



从'ー'从「おはわったー!」


49 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:23:06.22 ID:F4X6QGMt0

从;'ー'从「ごめんごめん、寝坊しちゃった」

ξ゚听)ξ「こんな時間まで寝てたの?」

从'ー'从「最近ちょっと疲れ気味でね……待たせちゃってごめんね」


 ブーン、クー、ツン、ハインリッヒ、阿部さん、ショボン、アヤカスフィール、そして長門(=聖杯)。
 ワタナベルン屋敷に一室に全員が集まっていた。ペニサスがひとりひとりにお茶をいれている。


ξ゚听)ξ「……アヤカも来たし、現状確認始めるわよ」


51 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:25:24.99 ID:F4X6QGMt0

ξ゚听)ξ「先日以来、キャスターはもう姿を見せていないわ。そのかわり、街の各所に結界を張って、
   魔力を吸い上げてる。私やアヤカやショボンが見つけ次第破棄してるけど……全部はカバーできてないわ」

从 ゚∀从「3人がかりでも無理なんか……」

阿部さん「流石は『魔術士<キャスター>』のサーヴァント、といったところかな」

ξ゚听)ξ「相手の根城に関してはまだわかってないけれど、おそらくはツジ市ね。この休み中に見つけて
   援軍がきたら即効で叩くわよ」

( ^ω^)「援軍?」

(´・ω・`)「協会には頼れないからね、個人のツテを辿って何人か呼んでいる。
   この前はなした、前回の聖杯戦争の生き残りが来週の頭には到着するはずだ」

('、`*川「それと、電脳街アキバハラと幻想特区にいる『黄金家政婦<ゴールドメイド>』が二人助けに来てくれます」

从;゚∀从「貴子ねーちゃんが?!」

('、`*川「はい」

从 ゚∀从「それは心強いなぁ……」


52 名前:第26話「クーの決意」 :2008/06/17(火) 01:27:23.14 ID:F4X6QGMt0

ξ゚听)ξ「サーヴァント3人、魔術士4人、剣士に黄金家政婦2人……これだけそろえばまず負けることは


ないはず、というツンの声は最後まで続かなかった。









  イ“ェァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア



 おどろおどろしい雄たけびが、町中を襲った。



【第26話・終了】
                 →第27話へ続く

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