4 :全体的なあらすじ:2008/04/02(水) 00:00:51.02 ID:pQWn01qD0

 聖杯。それは手に入れた者のどんな願いをもかなえるといわれる伝説の魔術道具。これを求めて7人の魔術士がそれぞれ
7人のサーヴァントを従えて命をかけて戦い抜く、通称“聖杯戦争”がVIP市で行われようとしていた。

 そんなある晩、魔術士見習いの中学生ブーンは自宅の庭で死んだ母親によく似た女性に命を救われる。
彼女はライダー。聖杯戦争で召還されるサーヴァントのひとりで、なぜかブーンに召還されたのだという。


 魔術の師匠である従姉妹のツンや聖杯戦争の管理人ショボンの説明を受け、ブーンは決意する。
 自らの母親と同じ名と容姿を持つ『騎兵<ライダー>』、クーとともに聖杯を手に入れ、母親をよみがえらせることを……
7 :主に『Fate』を知らない人のための用語解説:2008/04/02(水) 00:08:52.96 ID:pQWn01qD0
魔術士:魔術を操る人間。基本的に祖先に魔術士がいないと魔術士になることはできない。“魔法使い”ではないので注意が必要。
魔法使い:現代の技術で不可能な事(例:時間跳躍)を魔術で実現できる魔術士のこと。
聖杯:あらゆる願いを叶えるといわれている、伝説の魔術道具。早い話がドラゴンボール。
聖杯戦争:7人の魔術士(マスター)が聖杯をめぐり、サーヴァントとともに繰り広げる殺し合い。早い話がバトロワ。
マスター:サーヴァントを召還した魔術士。マスターでないと、聖杯を使役することはできない。
管理人:聖杯を管理し、勝ち残ったマスターに与える事が仕事。管理人は聖杯を使用できない。
サーヴァント:全ての時間軸・全ての世界から“英雄”と呼ばれる存在を聖杯の力を用い、基本無作為に現世に召還したもの。
     サーヴァントを呼び出したマスターと主従関係を持つ。正体を敵に知られぬよう、基本的に彼らは兵種で呼ばれる。
『剣士<セイバー>』:剣士の英雄。本編では「セイバー=阿部孝和」
『槍兵<ランサー>』:槍使いの英雄。本編では「ランサー=フェイト=テスタロッサ」(敗北済)
『弓兵<アーチャー>』:弓兵の英雄。本編では「アーチャー=エルヴィン=ケーニヒ」(敗北済)
『騎兵<ライダー>』:騎兵の英雄。本編では「ライダー=川 ゚ -゚)=クー」
『魔術士<キャスター>』:魔術士の英雄。本編では「キャスター=(*゚ー゚)=シィナ」
『暗殺者<アサシン>』:暗殺者の英雄。本編では「アサシン=(,,゚Д゚)=弁慶」(敗北済)
『狂戦士<バーサーカー>』:狂戦士の英雄。本編では「バーサーカー=(‘A`)=ドクオ」
令呪:サーヴァントと契約した魔術士がもつ、サーヴァントに対する強制命令権。最大3回まで行使が可能。
     サーヴァントの嫌がる命令を通したりできる。最大回数使い切ると、マスターとしての資格を失う。
宝具:サーヴァントがそれぞれ持っている切り札。壮絶な威力を持つものも多いが、魔力を膨大に消費する。
固有結界:基本的に魔術士のみしか使えない、魔術のひとつの到達点。自分のおもいままになる空間を形成する。


原作:TYPE-MOON制作のエロゲー『Fate/stay night』のこと。当ブーン小説の基本設定、主な話の展開は
   このゲームおよび同名のアニメから拝借されているものが多い。
『わたなべ☆ちゃんねる』:本編終了後のおまけ。WATANABEさんとヒッキーが作中の自称を解説したり、
          読者からの質問に全レスしたりする。たまに作者や他作品のキャラも登場する。


8 :現状確認:2008/04/02(水) 00:11:25.12 ID:pQWn01qD0
( ^ω^) ブーン:亡き母に似た『騎兵<ライダー>』クーとともに聖杯戦争に参加している見習い魔術士
川 ゚ -゚) クー:宝具『突撃槍<ランス>』をもち、巨大な“イヌ”を駆るサーヴァント。生前はキャスターに仕えていた騎士だった。

ξ゚听)ξ ツン:ブーンの従姉妹で、一流魔術士女子高生。サーヴァントは『凶戦士<バーサーカー>』ドクオ。
('A`) ドクオ:なぜかクーを慕う臆病なサーヴァント。玉砕覚悟で阿部さんと戦うも……

从'ー'从 アヤカスフィール:ロリロリ魔術士。ブーンの担任で、彼に惚れた。サーヴァントは『剣士<セイバー>』阿部孝和。
阿部さん:『くそみそテクニック』からの出演。肉弾戦を得意とする優勝候補。男には滅法強い。
('、`*川 伊藤ペニサス:アヤカスフィールに仕えるメイド。現在、ハインとともに異空間へに

从 ゚∀从 ハインリッヒ:流離いの拳闘士。ツン達と屋敷にのりこみ、ペニサスとともに異空間へ。
(,,゚Д゚) アサシン:その正体は豪傑・武蔵坊弁慶。17話にてドクオにやられ、消滅した。
(*゚ー゚) しぃ:クーの生前の主で、アサシンに惚れていた『魔術士<キャスター>』。現在、ヤンデレ化してどこかに潜伏中。

(´・ω・`) ショボン:バーボンハウスを営む聖杯戦争の管理人。ブーンの後見人でもある。
??? ???:今回初登場。物語の核を担う存在のようだが……
(=゚ω゚)ノ いよぅ:ブーンの親友で、ラウン寺の息子。ハインリッヒ達と暮らしているが、正体には気づいていない。
 高槻やよい:ブーン達の前担任。元『アイドルマスター』。本編には登場しないが、BADENDになると登場する。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/02(水) 00:15:15.99 ID:pQWn01qD0
ブーンを救出するため、クー・ツン・ドクオ・ハインはアヤカスフィールの屋敷に突入
ツン・ドクオが阿部を、ハインがメイドを抑えている間にクーは無事ブーン救出に成功
ドクオ、阿部孝和に敗北……?

このスレが落ちるまでは4月1日の心意気
この話は3月29日に完成済


11 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:16:24.58 ID:pQWn01qD0

 最初に動いたのは、やはり、というべきか──サーヴァント・クーだった。
宝具『突撃槍<ランス>』を眼前の全裸の男に狙いを定めて地を蹴る。


阿部さん「……ふんっ」


 足元の瓦礫をクーに向けて蹴りとばす。
瓦礫はクーの顔先をかすめる。突貫の勢いは全く衰えない。


阿部「ちいっ」


 迷わず阿部は横へと飛ぶ。寸前まで彼が立っていた場所へ『突撃槍<ランス>』が打ち込まれる。


川 ゚ -゚)「連戦で悪いが……続けさせてもらうぞ」



12 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:20:18.01 ID:pQWn01qD0
 静かにつぶやき、切っ先を阿部にむける。後ろにブーン達を背負い、広く間合いをとるクー。


阿部さん「(あのチャージ(突撃)は厄介だな……真っ向からとめるのは難しい。あの勢いと間合いが相手では
   簡単にはかいくぐれない……となると)」

从'ー'从「阿部さん阿部さん」

阿倍さん「どうした、嬢ちゃん」

从'ー'从「とりあえず……」






从//ー//从「……服を着てよぉ」

阿倍さん「そうだな」


 指を鳴らすと、青のツナギが再生される。
裸の男と戦い続けるのは、やはりクーにとっても心苦しかったのだろう。
『突撃槍<ランス>』を構えたまま、目線を僅かに上方向に逸らしている。

15 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:23:24.64 ID:pQWn01qD0
阿部さん「さて、再開といきますか」


 少し大きめの瓦礫をひろい、阿部は前方に放り投げる。


阿部さん「フタエのキワミ……」


 奇声とともに、軽く握り締めた拳を瓦礫にたたきつける。刹那の間に叩き込まれる二連打。
瓦礫は砂利レベルにまで分解され、クーへと襲い掛かる。


川 ゚ -゚)「そんなものっ!」


 気合いをいれた『突撃槍<ランス>』の一振りで、砂利はあっさりと吹き飛ばされた。


阿部「ヒュゥ、やるじゃない」

从'ー'从「セイバー。使って!!」

阿部さん「嬉しいものなげてくれるじゃない……行くぞっ」



16 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:27:16.25 ID:pQWn01qD0
 アヤカスフィールが投げたスパナを手にし、そのままクーへと走る。


川 ゚ -゚)「……来い!」


 突き出された『突撃槍<ランス>』を避け、そのまま阿部は凪いでくる槍身をスパナで受け止める。
力をこめて槍身を上にはじき、間合いをつめる。スパナでの斬り上げに対し、クーは持ち手を入れ替えて
槍の柄──石突でスパナの一撃を逸らす。阿部の身体が一瞬、ゆらついた。。


川 ゚ -゚)「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

阿部「うおっと!」


 上にむいた『突撃槍<ランス>』の槍身を、思いっきり阿部に向けてたたきつける。
狙いは地面。罅の入っていた床は完膚なきまでに破壊された。


阿部さん「……危ない危ない」


 クーの一撃を間一髪、後ろにさがって回避していた阿部が息をもらした。

19 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:32:16.39 ID:pQWn01qD0
川 ゚ -゚)「はあっ!」

阿部さん「むうんっ!」


 相手の間合いの外からクーは『突撃<ランス>』を振り、突き、時に構えて突進する。
多彩な攻撃を阿部は真っこうから受け止め、体を横にして避け、時折牽制をいれては反撃に移る。
時折立ち位置を入れ替えつつ、一進一退の攻防が続いていた。




ξ゚听)ξ「(さっきまであれだけドクオと戦ってたのに……セイバーの動きもアヤカの魔力供給も全く衰えてない……
   クーはドクオと違って能力も低下していないのに……やっぱりあの二人……できる!)」

(;゜ω゜)「(クー……頑張るお!)」

阿部さん「……ふむ……よっ、と!」


 阿倍はスパナを振り上げると今度はクーではなく、後ろの二人を狙って投げつけた。


(;゜ω゜)「!!」

22 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:35:02.38 ID:pQWn01qD0
川#゚ -゚)「やらせるかっ!」


 回転しながら飛んでいくスパナと二人の間に一瞬で入り、クーは気合とともに、素手でスパナを弾き飛ばした。


川 ゚ -゚)「……マスターを狙ったくらいで隙を見せると思ったか、阿部孝和」

阿部「なぁに、お嬢ちゃんのところに戻れただけで十分だ。
   バーサーカーに宝具を使ったせいで、少し馬力が足りなかったしな」


 アヤカスフィールの小さな掌から、直接阿倍の体へと魔力が送り込まれる。

( ^ω^)「バーサーカー……」

(;^ω^)「そういえば、ドクオの姿がないお」

ξ゚听)ξ「…………」

川;゚ -゚)「……ブーンとともに部屋を抜け出そうとしたとき、強く、黒い魔力の波動を感知している。
   それまで動いていたサーヴァントの気配はふたつ。波動を境にひとつは消滅した。
   さらにホールについたときのセイバーの様態……おそらく……」

从'ー'从「ご名答〜」

24 :>>23の訂正:2008/04/02(水) 00:37:30.32 ID:pQWn01qD0

 アヤカスフィールはひときわおおきく崩れた壁、そして下の瓦礫を指差した。


从'ー'从「バーサーカーはその下でお寝んねしてるよ」

(;゚ω゚)「!!」

川;゚ -゚)「…………」

ξ゚听)ξ「…………」

…………
……

27 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:43:18.41 ID:pQWn01qD0
 ドクオ=ナティウ。
クラスは『狂戦士<バーサーカー>』、にもかかわらず、気弱そうな顔をしたサーヴァント。
マスターは素直ツン。武器は基本魔術、改造魔力剣ライトセイバー、あと格闘技を少々。
戦闘は好かないものの、魔術と接近戦を組み合わせた、典型的な魔術戦士タイプの英雄。宝具・不所持。
趣味はアニメ鑑賞、特技は家事全般。好きな女はクー=ウィン=ドーベル────生前の記録、不明。

 これがこの場にいるすべての人間がもつ、彼のデータのすべてだった。
そう、先刻までは。


ξ゚听)ξ「……そういう事だったのね……」


 手を口許にやり、ツンは息をもらす。聡い彼女は、彼の変化の中でその正体と特性の理由を理解していた。
 目の前には最強最悪のサーヴァント『剣士<セイバー>』阿倍孝和とこぶしを交える男がひとり。
彼こそ彼女のサーヴァント・ドクオである。だが彼の姿は、直前まで全員が知っているドクオのものではなかった。


ドクオ?「                   」

阿部さん「……面白い」

30 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:45:02.23 ID:pQWn01qD0
 言語として成り立たない雄たけびをあげ、ドクオ“だった”サーヴァントは阿部へと向かう。
先刻より一回り大きくなった体躯。さらに筋肉が膨れ上がり、阿部ともひけをとらない。
地を蹴り、血管の浮き出た右の拳を振り上げる。


阿倍さん「だが……」


 二人が交錯する。
バーサーカーの右腕は空をきり、阿部のフックが彼の顔にヒットした。


阿部さん「当たらなければどうということはないな……」

ドクオ?「            」


 きれいに決まったはずの攻撃をものともせず、濁った色をした瞳は阿部をじろりとにらみつける。


31 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:47:26.40 ID:pQWn01qD0
阿部さん「…………ちいっ!」

从'ー'从「阿部さん、一回戻ってきて!」

阿部さん「了解」


 そのまま後ろへと下がる阿倍に対し、バーサーカーは追うそぶりも見せない。
両手を親指と小指を合わせる形で前につきだし、それからそれを腰だめに構える。魔力が集まっていく。


ξ;゚听)ξ「(あの構えは……)」

从;'ー'从「(まさか……)」

阿部さん「……嬢ちゃん、飛ぶぞ」


 アヤカスフィールをつかみ、阿部は大きく上空へ跳躍する。
直後、“魔力そのもの”の奔流がそこを通過した。

34 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 00:51:12.87 ID:pQWn01qD0
阿部さん「……“かめはめ波”、か」

从'ー'从「はじめてみたよ。宝具かなぁ?」

阿部さん「おそらく違うだろう。今のは単純な魔力の奔流だっただろう? あれは“気”だからな。
   もしあれが宝具なら、あいつの正体はカカロット。流石の俺もかなわない……おっと」







阿部さん「落とすぞ」

从'ー'从「ふぇ?」


 彼女をつかんでいた手をはなす。
自らのマスターの叫びをよそに、阿部は自分よりも高く飛び上がった敵を見据える。
40 :>>37訂正:2008/04/02(水) 00:58:37.16 ID:pQWn01qD0
  /{,
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       ,-=;' ´ ̄ ̄ ̄: : : : : :.``ー─‐‐'"ブ´:::-、::::リシ::\``'ー'--‐'' ´  /´`
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            ,..‐'´: : : :;;r','/:::::::::::;ゞ'´: : : : : :.i"::::`ーッネぐ:::::ヽ: : : : : : : : ; -─'⌒`
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         i' ̄ヽ;/
           ヽ._,/
                       ↑イメージ画像
 もはや刃をなしていないライトセイバーを両手に持った『狂戦士<バーサーカー>』がそこにいた。
42 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 01:00:23.06 ID:pQWn01qD0
ドクオ?「グゥレイトォ!!(←と言ってるように聞こえる雄たけび)」

阿部さん「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 両手を交差させて二刃を受け止めるも、勢いは衰えない。
そのままバーサーカーは、阿部孝和を地面にたたきつけた


…………
……








从'ー'从「まぁ、がんばってたけど最後は阿部さんに貫かれて終わっちゃったんだけどね……」

ξ゚听)ξ「……」
44 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 01:03:40.29 ID:pQWn01qD0

 右腕に左手を添えて目を伏せたまま、ツンは動かない。


从'ー'从「正直、ここ数日普段以上に魔力をつかう機会が多くてわたしもだいぶ疲れちゃった。
   聖杯戦争もあと少し。マスターのいない『魔術師<キャスター>』は敵じゃないし……これでおわらせちゃおっか。セイバー」

阿倍さん「はいよ」

从'ー'从「アヤカスフィール=フォン=ワタナベルンの名において命じるよぉ。セイバー、女を──」







从'ー'从「一撃でライダーを貫きなさい」
46 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 01:06:55.60 ID:pQWn01qD0
阿部さん「気はすすまないが……令呪をつかわれてはしょうがないな」


 アヤカスフィールの腕に刻まれた令呪が一本消える。
それと同時に、阿部の下半身に先ほど遠くから感じた、あのどす黒い魔力が集まっていく。



ξ゚听)ξ「……ふたりとも、気をつけて。セイバーは宝具を使う気よ」

( ^ω^)「え? でも、阿部さんはクーとは“普通にしか”戦えないんじゃなかったのかお?」

ξ゚听)ξ「あんた、今アヤカスフィールが令呪を使ったのを見なかったの?!
   あれ阿部孝和の“女に宝具を打てない”という誓約をとっぱらうためのものよ」

(;^ω^)「!!」

川 ゚ -゚)「……ブーンとツンをつれては逃げられない。宝具の撃ちあいしかないというわけか……
   ブーン、魔力を借りるぞ。」

(;^ω^)「クー……」


 血ににじんだクーの手を、ブーンは力強くにぎりしめる。

49 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 01:10:13.10 ID:pQWn01qD0

( ^ω^)「クー、負けちゃイヤだお……」

川 ゚ ?゚)「任せろ。ブーン、そしてツン。ドクオやかつての自分の……いや。ドクオの分まで守ってみせる」

ξ゚听)ξ「……クー」

川 ゚ -゚)「どうした、ツン」


 ほとんど聞き取れない声でツンと言葉をかわし、すでにだいぶ魔力の込められている『突撃槍<ランス>』の矛先を相手にむける。


川 ゚ -゚)「…………」

阿部さん「…………」


50 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 01:15:32.32 ID:pQWn01qD0
川 ゚ -゚)「『一点t<ゴー・マイ・ウ

阿部さん「『くそみそt<ヤマジュン・パl



ガチャーン


???「待てぃ!!」
53 :第22話「雪、無言、屋敷にて」:2008/04/02(水) 01:19:02.99 ID:pQWn01qD0
 二人が同時に地面を蹴り、魔力を解き放とうとした瞬間。
2階の窓が割れて血まみれの男が転がり込んできた。


川 ゚ -゚)「…………何のつもりだ」

阿部さん「おいおい、いいところなのに」


 ガラスのためか、はたまた地面に身体をぶつけたためか。
満身創痍の男をはさみ、とりあえず二人は宝具を止める。



???「真剣勝負に水を差すのは……」









(´・ω・`)「このショボン様さ!」

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/02(水) 01:28:02.27 ID:pQWn01qD0
???「……BGMがエミヤなのにこの登場の仕方はまずいとおもう」

(´・ω・`)「いやぁ、一回言ってみたかったんだ」

从'ー'从「……興がそがれちゃった。ツンちゃんどうしよっか」

ξ゚听)ξ「……停戦、ね。ショボン、こんな時間にここに来たってことは、まさか本気でギャグしにきたんじゃないでしょ。
   一体、何があったの? “管理人”さん」

(´・ω・`)「もちろんそれだけじゃないさ。だが、その前に……」


 皆の視線が後ろの少女に集まってることを見て、ショボンが彼女に促した。


???「……私は……」

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/02(水) 01:35:13.87 ID:pQWn01qD0
          /.:.:.         \
              /:,:.:.:  /   ヽ    \
          /.:.l:.:.:/:/   :/  ', :l   ヾ`ー
            /!:.:.|:.: l/  〃 / j } :|    ハ
        /イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l  l }
         N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
          ヽム:.} ii;_j    ii;リ ル iレヽ    願望増幅対魔術ヒューマノイドインターフェース。
                `ヘ:ゝ   _     小/      あなたたちのいう「聖杯」、コードネーム“NAGATO YUKI”
                  ヾ:{>、 _ ィ<}/|/       それが私。
           _, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_    
         /| l:|   | ===|   |:l゙ヽ
          /  | l:l   l     l   l::l l
           l  ヽハ    l    l  //  |




 誰も、何も言わなかった。


【第22話・終了】
                 →第23話へ続く

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