4 名前:全体的なあらすじ :2008/03/04(火) 00:43:34.44 ID:oYXAoGdy0

 聖杯。それは手に入れた者のどんな願いをもかなえるといわれる伝説の魔術道具。これを求めて7人の魔術士がそれぞれ
7人のサーヴァントを従えて命をかけて戦い抜く、通称“聖杯戦争”がVIP市で行われようとしていた。

 そんなある晩、魔術士見習いの中学生ブーンは自宅の庭で死んだ母親によく似た女性に命を救われる。
彼女はライダー。聖杯戦争で召還されるサーヴァントのひとりで、なぜかブーンに召還されたのだという。


 魔術の師匠である従姉妹のツンや聖杯戦争の管理人ショボンの説明を受け、ブーンは決意する。
 自らの母親と同じ名と容姿を持つ『騎兵<ライダー>』、クーとともに聖杯を手に入れ、母親をよみがえらせることを……
6 名前:現状確認 :2008/03/04(火) 00:44:52.59 ID:oYXAoGdy0
( ^ω^) ブーン:亡き母に似た『騎兵<ライダー>』クーとともに聖杯戦争に参加している見習い魔術士。誘拐された
川 ゚ -゚) クー:宝具『突撃槍<ランス>』をもち、巨大な“イヌ”を駆るサーヴァント。生前はキャスターに仕えていた騎士だった。

ξ゚听)ξ ツン:ブーンの従姉妹で、一流魔術士女子高生。サーヴァントは『凶戦士<バーサーカー>』ドクオ。
('A`) ドクオ:なぜかクーを慕う臆病なサーヴァント。魔術師として智謀知略をめぐらすのが得意。その正体は誰にもわからない。

从'ー'从 アヤカスフィール:ロリロリ魔術士。ブーンの担任で、彼に惚れた。サーヴァントは『剣士<セイバー>』阿部孝和。
阿部さん:『くそみそテクニック』からの出演。肉弾戦を得意とする優勝候補。男には滅法強い。やらないか
('、`*川 伊藤ペニサス:アヤカスフィールに仕えるメイド。昔はメイド喫茶『Pure ca@rrot』に勤めていた。

从 ゚∀从 ハインリッヒ:流離いの拳闘士。たまたま『暗殺者<アサシン>』のサーヴァントと契約した。現在は捕虜に。
(,,゚Д゚) アサシン:その正体は豪傑・武蔵坊弁慶。17話にてドクオにやられ、消滅した。
(*゚ー゚) しぃ:クーの生前の主で、アサシンに惚れていた『魔術士<キャスター>』。現在、ヤンデレ化してどこかに潜伏中。

(´・ω・`) ショボン:バーボンハウスを営む聖杯戦争の管理人。ブーンの後見人でもある。
(=゚ω゚)ノ いよぅ:ブーンの親友で、ラウン寺の息子。ハインリッヒ達と暮らしているが、正体には気づいていない。
 高槻やよい:ブーン達の前担任。元『アイドルマスター』。本編には登場しないが、BADENDになると登場する。


【今北三行】
ブーン、アヤカスフィールに拉致される
アヤカスフィール、ブーンに告白して関係をせまるも失敗
クー一行、アヤカスフィールの屋敷に突入寸前
9 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 00:48:38.92 ID:oYXAoGdy0
ξ#゚听)ξ「アヤカ……アヤカスフィール、堕ちたわね」

 まるで城のように聳え立つワタナベルン邸。
門柱を見上げ、憎憎しげにツンがつぶやいた。


ξ#゚听)ξ「日常の中でまさか干渉してくるとは思わなかったわ……くっ。甘かった」

川 ゚ -゚)「……いや。私がツンやブーンに逆らってでも、一緒にいるべきだった」

ξ#゚听)ξ「こうなった以上、もう遠慮はいらない。全力を持って、この場でアヤカスフィールと阿部孝和をしとめるわ。
   いいわね?」

川 ゚ -゚)「もちろんだ」


 力強くクーが頷いた。


('A`)「……」

从 ゚∀从「……」

ξ#゚听)ξ「ちょっと、あんたたちも合わせなさいよ」
13 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 00:51:33.08 ID:oYXAoGdy0
(;'A`)「いや……だってさぁ……阿部さんが相手じゃ勝てないって」

ξ゚听)ξ「諦めたらそこで試合終了よ」

('A`)「素直先生……戦闘じゃなくて、バスケがしたいです……」

从 ゚∀从「というか、そもそもウチが来る理由がわからん」

ξ゚听)ξ「高岡は強い相手と戦いたかったんでしょ? なら問題はないはずよ」

从 ゚∀从「悪いんやけど、さすがにサーヴァント相手じゃ何もできへんで」

ξ゚听)ξ「わかってる、阿部さんは私とドクオで相手するわ。あなたはアヤカスフィールの動きをを止めてほしいの。
   その間にクーがブーンを助け出せば2対5、勝機は十分見えてくる……」

('A`)「それまでにボクがやられなきゃいいけどね……」

ξ゚听)ξ「防衛に徹すれば5分くらいなら問題ないはずよ」

川 ゚ -゚)「大丈夫だ、ドクオ。すぐにブーンを助けて加戦にいく。それまで……」


川;゚ -゚)「持ちこたえてくれ」

17 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 00:54:38.38 ID:oYXAoGdy0

 クーは一度、直接阿部と刃を交えている。その際に知った相手の実力、さらに男にのみ効果を発揮する特性を考えると
ドクオにとって厳しい──敗北も十二分に考えられる、ギリギリ戦いになるというのは十分に予測できていた。

('A`)「…………」


('∀`)「ま、任せてよ。持ちこたえるどころか、倒してみせるさ」


 威勢のいい口調とはうらはらに、ドクオの足は震えていた。



川;゚ -゚)「……すまない」
22 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 00:57:15.86 ID:oYXAoGdy0

 慎重に様子を窺いながら、クーが屋敷へつづく鉄柵の扉を開く。


('A`)「(……家やラウン寺ほどじゃないけど、魔力が豊富だなぁ。結界や、土地の工房変化もハイレベルだ)」


 魔力の込められた鉄柵を一歩抜けると、そこはもう敵地。アヤカスフィールにとって最も好ましいように調整された魔術工房。

 最も、屋敷を中心に半径50Mに張り巡らされた、ツンがいつも家に張り巡らしてあるものと同系統の結界を抜けた時点で、
すでに4人の侵入はすでに筒抜けになっているはずだ。
撃退に来ないという事は逃げたか、待ち伏せているか。

 アヤカスフィール陣営の戦力と地の利、人質のことを考えると、まず前者ではないだろう。


23 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 00:58:16.17 ID:oYXAoGdy0

ξ゚听)ξ「……それじゃ、行くわよっ!」

川 ゚ -゚)「応っ!」


 打ち合わせのとおりにクーが先陣をきり、次いでツン、ハインリッヒ。最後にドクオという隊列で4人は屋敷本邸に向かって駆け出した。


川 ゚ -゚)「(……待っていろ、ブーン!!)」



 扉まであと5歩。大きく跳躍すると空中で得物を呼び出す。
騎乗槍の宝具『突撃槍<ランス>』での一撃が、屋敷のドアを粉砕した。

28 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:01:36.62 ID:oYXAoGdy0

 屋敷の中は外観同様、洋風のつくりになっていた。
入ったところにそれなりの大きさのホールがあり、奥へとつながる薄暗い廊下。脇からは階段が伸びている。

 そして、階段にひとりの男が腰をかけていた。



川;゚ -゚)「(セイバーッ!)」

阿部さん「悪いが、ここまでだ」


 静かに立ち上がると、阿部は地面に置いていたスパナを両腕で持ち上げ、4人に向かって構えを取る。


阿部さん「お嬢ちゃんに時間を稼ぐように頼まれているんでな。悪いが、ここから先は行かせられない」

34 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:07:13.34 ID:oYXAoGdy0

川 ゚ -゚)「そちらが無理でも行かせてもらうっ!」


 一瞬の躊躇もなく、穂先を阿部にあわせて突撃するクー。
『突撃槍<ランス>』での突撃を阿部はスパナで受け流し、彼女の体勢が一瞬崩れたところを反撃に転じる。

 見えずらい位置から放たれた鋭い蹴りを真っ向から受け止め、そのまま衝撃で二、三歩あとずさる。
ドクオが阿部に魔術弾を放ったのを見て武器をもどすと、クーは階段とは反対の壁へ向かって床を蹴る。
 そのタイミングでハインリッヒ、そしてツンが別方向へと駆け出した。


阿部さん「それで抜けよう、ってのは……甘いな」
36 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:08:22.92 ID:oYXAoGdy0

 ドクオの放ったものを見ずに防ぎ、反対側の壁を蹴るクーを視界にとらえる。
階段ではなく壁を登り、二階へと上ろうとするクーを迎撃するため、阿部は跳躍しようとして──



('A`)「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 突っ込んできたドクオの剣戟を、魔力の篭った片腕で受け止める。


阿部「(……ライダーは無理か。なら、せめて……)」

 視線の端にとらえた、階段をのぼりろうとしていたハインリッヒに向かって阿部はスパナを投げつける。
が、その投擲は死角からツンの放った魔力弾に迎撃され、壁に跳ね返って1階に落ちてきた。

ξ゚听)ξ「ドクオ!」

('A`)「とりあえずは成功、だね」

39 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:13:31.74 ID:oYXAoGdy0
阿部「してやられた、といったところかな……」


 ちらと上を見上げる阿部。ドアはすでに破られて二人の姿は見えない。


阿部「……お嬢ちゃんを討ちに行った……それとも、少年を助けに行ったか……」

ξ゚听)ξ「さぁ、どちらかしらね」

阿部「お嬢ちゃんが狙われているなら早く助けに行かなくてはならない。
   ライダーが少年を連れて戻ってくるなら、それまでに敵の数を減らさなくてはならない。
   いずれにしても……」



 阿部が二人のほうを改めて向きなおる。


阿部「早々にお前達を倒さなくてはならなくなったな」

44 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:17:37.92 ID:oYXAoGdy0

ξ;゚听)ξ「(ッ!)」

(;'A`)「(ッ!)」




 莫大なプレッシャーが、二人を襲った。



ξ;゚听)ξ「(……読みが甘かった……アヤカがいなければ持たせられる、なんて思ったけど……)」

 阿部がスパナを地面に落とし、右足をひいて両手を胸元に構える。
膨大な魔力が両腕。そしてそれ以上のものが、彼の下半身に収束しているのが嫌でもわかってしまった。


ξ;゚听)ξ「(…………このままじゃ、絶対にやられる!)」
49 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:23:06.67 ID:oYXAoGdy0

ξ;゚听)ξ「ドクオ、全力よ! 全力でアレを抑えて! 私も令呪とドーピングを使って……」

('A`))「……いや。今じゃない」
ξ;゚听)ξ「わからないの?! 普通にしてたらすぐ死ぬわよ?!」

(('A`)))「うん。わかってる。怖い、怖いよ。全力でいかないと、ボクだけじゃなくてツンもすぐ死んじゃう。
   だから……」


 ポケットからライトセイバーの柄を取り出すと、ドクオはそれを床へと放りなげた。





('A`)「暴走する」
54 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:26:20.79 ID:oYXAoGdy0

ξ゚听)ξ「……え?」


('A`)「ボクひとりで阿部さんを抑える。ツンは隠れて身を守っていて。それで、ブーン達が戻ってくる寸前に……」

('A`)「令呪を使って、ボクを戻して」


 阿部が飛び出すのと同時にドクオも動く。
後ろに逃げるのでも、横に避けるのでもなく──ただ前に、迫る阿部に向かって。


('A`)「(エクシード……スクライド……いや、違う。これは……)」


('A`)「精神憑依解除…………」


59 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:28:29.81 ID:oYXAoGdy0






(#'A`)「速攻魔術発動、バーサーカーソウル!!」




 体が光りかがやき、一瞬の後にかき消える。
 そこにいたのはどこかドクオに似た男だった。

 一回りおおきな体。傷だらけの体に、見覚えのある衣服──綺麗な状態でなら、何度も見たことのある服装。




ξ;;゚听)ξ「(…………ま、まさかアンタ……!!)」
68 名前:第20話「狂化」 :2008/03/04(火) 01:32:27.25 ID:oYXAoGdy0

ξ;゚听)ξ「(くっ、下がらないと……巻き添えを喰らっちゃう!)」


ドクオ?「WOOOOOOOOOO!!」

阿部「(ふふ、本当の姿をさらけ出してくれるとは。うれしいことやってくれるじゃない)」



 二人の拳が正面から激突する。

 ドクオの右の拳には、横一線の紋章が鈍く輝いていた。



【第20話・終了】
                 →第21話へ続く

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