63 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 00:52:14.95 ID:tRKY7Y7v0

???「マスター、マスター。ツンが呼んでいます」

( ^ω^)「お……」


 瞼を開けると、そこには6年前になくなった母
────いや、ライダーの姿。


川 ゚ -゚)「すみません、起きてくる気配がないので勝手に部屋に入らせてもらいました」

( ^ω^)「マ……ライダー、おはようだお」

川 ゚ -゚)「おはようございます、マスター」

( ^ω^)「今から着替えて行くお。先に居間のほうに行っておいてほしいお」

川 ゚ -゚)「わかりました、ではまた後ほど」


 そう言うとライダーは部屋を出て行く。その後姿を見ながら、ブーンは昨夜の事を反芻する。
謎の侵入者、夢にまで見た母親によく似た女性・ライダー、そして聖杯戦争。
 あの騒動の後、ツンと彼女のサーヴァントも交えての状況説明が行われたが、途中で何度も
欠伸をしては意識が途切れるブーンに配慮し、今日に持ち越されていた。



64 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 00:54:23.29 ID:tRKY7Y7v0

( ^ω^)「おいすー」

ξ゚听)ξ「おはよう」

川 ゚ -゚)「改めておはようございます、マスター」


 チラチラとライダーの姿を目にやりながら席につく。
すでにそこには4人分の朝食が準備されていた。人数が多いためか、キッチンのテーブルではなく
居間のの四角机に、空碗に箸とフォークがそれぞれ2対にワンセット並べられている。
硝子のボールにサラダが盛り付けられ、納豆のパック、バター、海苔、オムレツに卵焼き。
牛乳までついた見事なまでの和洋折衷なメニューだった。


( ^ω^)「朝からすごいクオリティだお……ツン、どうしたんだお?」

ξ゚听)ξ「アタシじゃないわ。ほら……」

('A`)「さぁ、ご飯にしようよ」


 キッチンのほうから米びつをかかえた割烹着姿の『バーサーカー』、ドクオが現れた。
67 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 00:56:39.59 ID:tRKY7Y7v0

('A`)「それじゃあ」

4人「いただきます(お)」


( ^ω^)「はふっ、ハフッ、ハムッ」

('A`)「はふっ、ハフッ、ハムッ」

ξ゚听)ξ「(キメェwwww)」

川 ゚ -゚)「(これは……美味い!)」


 山盛りの朝食は瞬く間になくなり、やがて日本茶を3つとコーヒーが運ばれて昨夜の続きがはじまった。
ちなみにはツンがコーヒー。ブーンとドクオと、あきらか西洋人なライダーは日本茶を選んでいる。


ξ゚听)ξ「それじゃあ、これから説明をはじめるわね」

('A`)「おー」

( ^ω^)「がんばって理解するお」


68 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 01:00:54.05 ID:tRKY7Y7v0

ξ゚听)ξ「(しかし……いわれてみると確かに義姉さんみたいね)」


 机の対角線上、無言で自分を見つめるブーンのサーヴァント・ライダーを見てツンは思う。
ひとまわり近く年のはなれた、遺影のイメージしかない義理の姉。昨晩は遠目だったこともあり、
混乱したブーンに言われるまで全く気がつかなかった。
だが鮮やかな金髪を黒色に脳内で変換して顔を10年分若返らせると、写真で笑っている若き日の素直クー……いや、
内藤クーの面影が見えた。


ξ゚听)ξ「(って、アタシまで混乱してどうするのよ! しっかりなさい、ツン)」


 自分の思いを封じ込めるように、ツンは切り出した。

70 :第2話「決意の朝に」/上の訂正:2007/07/03(火) 01:03:26.96 ID:tRKY7Y7v0

ξ゚听)ξ「まずはっきりさせておくわ。ブーン、ここにいるライダーはあなたの母親、内藤クーじゃないわ」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「で、でも……ママそっくりだお! 髪の色は違うけど……実は超サイヤ人という事にすれば...」

川 ゚ -゚)「マスター、申し訳ないが私は本当にあなたの母親ではない。私は生前子を設けていない
   私は……」


 一瞬、反対側のツンとドクオ、そして横の席に座るブーンを見て次の言葉を止める。


川 ゚ -゚)「私は母親ではない、騎士だ。
   イヌを駆り、国と、我が友と、王女を守る動く盾として生きてきた女だ」


 敵となりうるかもしれない二人が表情をかえないのを見て安心したのか、クーの表情が少しやわらいだ。
 対照的に、母親と信じた本人に否定されたブーンは目にみえて落ち込んでいる。

73 :第2話「決意の朝に」/上の訂正:2007/07/03(火) 01:07:20.96 ID:tRKY7Y7v0

( ´ω`)「…………」

川 ゚ -゚)「マスター、私はライダーとして召還されたからにはあなたと共に戦いたい。聖杯を手にいれ、願いをかなえたい。
   私では不服だろうか?」

ξ;゚听)ξ「ちょっとまってライダー。今ブーンにそんなことを言っても混乱させるだけよ。だいいち、
   ブーンには聖杯戦争についての知識が全くないの」

川 ゚ -゚)「……それはおかしいだろう、マスター・ツン。貴女は昨日の話し方や私への対応をみてればわかるが、
   かなり魔術、そして聖杯戦争に精通したマスターだ。その弟子に対して何も教えていないというのは
   不可解だろ」

ξ゚听)ξ「それに関して今はおいておくとして……ブーンが聖杯戦争を知らないのは事実よ。
   でも、こうなった以上隠しておくわけにもいかないわ。見習いとはいえ、ブーンは魔術師。
   あたしが勝手に参加しろとも降りろともいえないわ。ね、ブーン」

( ^ω^)「……とりあえず、そこの人は起こさないでいいのかお?」


 表情をかえぬまま、鼻ちょうちんを出して眠っているドクオをツンはおもいっきり張り倒した。

75 :第2話「決意の朝に」/上の訂正:2007/07/03(火) 01:10:56.32 ID:tRKY7Y7v0
('A`)「……ごめん、地下室にあった魔術書の記述がおもしろくて……」

ξ#听)ξ「サーヴァントが眠気で負けてるんじゃないわよ!」

('A`)「で、今話はどこまでいったの? マ……ライダーとブーン君はどうなったの?」

ξ゚听)ξ「どうもなってないわ。とりあえず今から聖杯戦争について説明するところ。
   いい、ブーン……かくかくしかじか(『わたなべ☆ちゃんねる』参照)というワケよ」

( ^ω^)「……むずかしくてよくわかんないお」

('A`)「わかりやすく言うと、聖杯はシェンロンだね。ドラゴンボールがわりに、他のサーヴァントを
   倒せばいいんだ」

( ^ω^)「なるほど、わかったお!」

ξ゚听)ξ「(なんでサーヴァントがドラゴンボールなんて知ってるのよ……)」

( ^ω^)「じゃあ、ブーンが勝ったらどんな願いでもかなえることができるのかお?! 参加するお」

川 ゚ -゚)「決心しましたか、マスター!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと待ちなさいブーン!


 声を高らげる二人に、ツンはストップをかけた


76 :第2話「決意の朝に」/上の訂正:2007/07/03(火) 01:12:29.35 ID:tRKY7Y7v0

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと待ちなさいブーン!

 声を高らげる二人に、ツンはストップをかけた

ξ゚听)ξ「これはサーヴァント同士の戦いでもある以上に、マスター──魔術師どうしの戦いよ。
   それがどういう意味か、わかってるわよね?」

( ^ω^)「魔術師どうしの戦い……」



 魔術師になると決めてツンに弟子入りした日、ブーンが最初に教わった魔術師としての心得。


ξ゚听)ξ「いい、ブーン。魔術師というのは基本的に孤独に立ち向かい、自らの理想を追う種族。
   それを妨げようとする魔術師と敵対するとき、相手を殺してでも自分の欲望に正直にありなさい」


 そう……「殺す覚悟」と「殺される覚悟」。


77 :第2話「決意の朝に」/上の訂正:2007/07/03(火) 01:14:49.99 ID:tRKY7Y7v0

( ^ω^)「(……どうするかお……)」


1. 戦うお!
2. やめておくお……


>>80
(17分までにレスがつかない場合、1になります)
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/03(火) 01:15:50.62 ID:3AfpsILM0
84 :第2話「決意の朝に」/上の訂正:2007/07/03(火) 01:18:06.87 ID:tRKY7Y7v0

( ^ω^)「……戦うお!」


 しばし悩み、ブーンは言い切った。


ξ゚听)ξ「そう……覚悟、できてるのね?」

( ^ω^)「別に魔術士は絶対殺さなくても大丈夫なら、相手を殺さなくてもすむかもしれないお。
   それに、自分で叶えられない夢をかなえるチャンス、ブーンの命をかけてでも戦う価値は十分にあるお!」

川 ゚ -゚)「本当ですか、マスター」

( ^ω^)「そうだお。それとm……ライダー、敬語はやめるお。それにブーンのことはブーンでいいお」

川 ゚ -゚)「わかりました……いや。わかった、ブーン。共にがんばろう」
86 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 01:20:50.04 ID:tRKY7Y7v0

('A`)「ツン。ボクは……」

ξ゚听)ξ「わかってるわよ。ブーン、とりあえずあたしたちは当面は共闘しましょう。ウチのドクオも戦いたくないみたいだし、
   サーヴァントへの魔力供給の方法とか、独学じゃわからないでしょ?」

( ^ω^)「おっおっお、わかったお。でもいくら師匠の頼みでも、聖杯はゆずらないお」

ξ゚听)ξ「調子に乗るんじゃないの。最後はきっちり、あたしが聖杯をもらうわよ。
   それじゃあドクオ、ちょっと話があるわ。地下室まで来て」

('A`)「えー、もっとライダーと一緒にいたい」

ξ゚听)ξ「……怒るわよ」

('A`)「わかったよぅ…じゃあブーン君、ライダー、また後で……」


 居間をひきあげる二人。必然的にブーンとライダーがそこに残った。
88 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 01:23:41.73 ID:tRKY7Y7v0

川 ゚ -゚)「……ブーン、よく決心してくれたな。私はうれしい」

( ^ω^)「気にしないでいいお。ブーンもライダーも、ドラゴンボールを使いたいって目的があるから
   共に戦う仲間だお」

川 ゚ -゚)「その事なんだが……」


 何やら言いかけ、クーは口をとめた


川 ゚ -゚)「いや、これはまたそのうち……聖杯戦争が進んでから話そう。まず、私の真名を聞いてほしい」

( ^ω^)「真名?」

川 ゚ -゚)「私が英雄になる前、生前の名前だ」







川 ゚ -゚)「私は名門ドーベル家の末娘にして、ドヴァ帝国親衛騎士団長クー・ウィン・ドーベル。
   偶然なのかどうかは知らないが、君の亡き母親、内藤クーと同じ名前だ」
90 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 01:25:58.39 ID:tRKY7Y7v0


( ゚ω゚)「……クー、かお?」

川 ゚ -゚)「私は確かにブーンの母親素直クーとは違う。生前も新兵ならともかく、子を育てた事は残念ながらない。
   だが、よければブーンを守らせてほしい」




母親のように。

ライダー……クーは最後にそう付け足した。

92 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 01:27:02.62 ID:tRKY7Y7v0

( ゚ω゚)「…………」

川 ゚ -゚)「……すまない、不躾な提案だった。忘れてくれ」

( ^ω^)「そ、そんなことないお! ママ……と呼んでいいかお?」

川 ゚ ー゚)「うれしいな……もちろんだ」

( ^ω^)「ママ……」

川 ゚ ー゚)「ブーン……」

( ^ω^)「ママ……」

川 ゚ ー゚)「ブーン……」

( ^ω^)「ママ……」

川;゚ -゚)「……やっぱりクーと呼んでくれないか?」


 慣れていない呼び方に照れるクーだった。

94 :第2話「決意の朝に」:2007/07/03(火) 01:30:27.69 ID:tRKY7Y7v0

 似非親子が戸惑っている頃、街はずれにある深い深い森。そこにかくれるようにして建っている
中世風のお城で、ひとりの少女が目をさました。


???「んー、おはよー」

メイド「おはようございます、お嬢様。今日はどんなご予定で」

???「今日も夜から動くよ。今から準備したら昼ごはんの時間になっちゃうし。セイバーは?」

メイド「町を散策するといって出て行きました。」

???「ふふふ、昨日召還されて一人倒したばっかりなのに元気だなぁ……あー眠ぃ。
   コーヒーちょうだい。ミルクもいっぱいね」

メイド「了解しました。しばしお待ちを」

???「(ふふふ……ついにわたしの出番がやってきたよぉ)」



【第2話・終了】
                 →第3話へ続く



???(汗)「って、今日じゃないのぉ?!!」

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