- 32
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:08:55.48 ID:n9/6XssF0
- A
( ;ω;)「クー、行っちゃダメだお!!!!!!」
左腕に熱を感じる。魔術式が一画抜け落ち、クーの歩みが止まる。
顔をキャスターに向けたまま、ブーンの傍まで戻る『騎兵<ライダー>』、クー。
ブーンのサーヴァント。
川 ゚ -゚)「……ブーン、済まなかった。もう大丈夫だ」
( ^ω^)「クー!」
表情は見えない。だが、声の調子はもういつもの状態に戻っていた。
( ^ω^)「クー……本当によかったお……ブーンは、ブーンは……」
- 33
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:10:04.66 ID:n9/6XssF0
ママが死んだ日を思い出したお
言いかけた言葉を、あえてブーンは途中で切った。
(*゚ー゚)「…………あーあ、面倒だなぁ」
- 35
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:14:58.20 ID:n9/6XssF0
クーが腰からレイピアを抜いたのに合わせ、脱いでいたローブのフードを再び被るキャスター。
(*゚ー゚)「結局は実力行使か」
川 ゚ -゚)「ブーン……聞いてくれ」
( ^ω^)「何だお?」
視線はあくまでもキャスターを見据えたまま、小声で話しかけた
川 ゚ -゚)「ボソボソ(ブーンのおかげで私は正気を取り戻した。おそらく、もう操られることは無いだろう。
だが、正直心情的にシィナ……キャスターにとどめを刺す自信がないんだ。
逃げ回るにも、魔術士の本陣でブーンを連れて無傷でいるのは不可能に近い)」
( ^ω^)「ボソボソ(……わかったお。じゃあ、家に戻るのかお)」
川 ゚ -゚)「ヒソヒソ(あぁ。ただ、戻るのはブーン一人だ。私はここでキャスターをひきつける)」
- 36
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:17:13.85 ID:n9/6XssF0
川 ゚ -゚)「ヒソヒソ(屋敷に戻ったら令呪で私を呼んでくれ。不意打ちでドクオに加戦してアサシンを討つ)」
( ^ω^)「ヒソヒソ(了解だお)」
川 ゚ -゚)「ヒソヒソ(私はかつての主のためとはいえ、かつての主を裏切った。もう騎士ではない。
自分の願いと、そしてブーンのためにただ勝利を目指すサーヴァント。君の守り手だ)」
川 ゚ -゚)「行くぞ!」
言うが否やクーはレイピアを地面につきたて振り向き、ブーンを掴み、そして────
川 ゚ -゚)「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
・・・・・・
入り口に向かって、ブーンを投げ飛ばした。
(;゚ー゚)「!!」
- 39
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:22:16.48 ID:n9/6XssF0
- ( ;ω;)「ノォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
地面に魔方陣が浮かび、そこから巨大な影──ビーグル・ワンが現れる。
ビークルはブーンを加えると、そのままひとっとびに石段を駆け下りていった。
(;゚ー゚)「…………」
川 ゚ -゚)「……待たせたな、キャスター。それでは相手をしよう」
(*゚ー゚)「……キャスター、じゃなくて、“しぃ”だよ」
その喋り方は帝国の王女のものではない。ただの、恋する少女のものだった。
ここに、かつての主従関係は崩壊した。
(*゚ー゚)「手順は狂ったけど、もういいや。あなたをさっさと倒してギコ君を助けに行くよ」
川 ゚ -゚)「やってみろ。いくら心の底で負い目があるとはいえ、油断しているとその首もらっていくぞ」
(*゚ー゚)「……『花嫁修業<プリンセス・ブライド>』」
6つの蕾が光をともす。瞬間、かつての主従は示し合わせたかのように同時に距離を開いた──
…………
……
…
- 40
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:24:31.82 ID:n9/6XssF0
(;'A`)「ハァ……あー、きっつぅ……」
(,,゚Д゚)「…………」
ブーンがビーグル・ワンに銜えられて山を駆けおり、結界の外で大の字になって息を整えているちょうどその頃。
内藤家で戦っている二人のサーヴァントも一時打ち合いをやめ、距離をとってそれぞれ好機をうかがっていた。
これまでの戦いでドクオは4本のライトセイバーを失っていた。アサシンの大薙刀、宝具『一凪<ヒトナギ>』には傷ひとつない。
猛烈に攻め込むアサシンを、ドクオは庭や空間に張った罠や魔力溜でただただ防ぎ続けていたのだ
(,,゚Д゚)「……“真っ向から攻め込む『暗殺者<アサシン>』”が言えたことじゃないけどよ」
- 41
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:27:07.50 ID:n9/6XssF0
- 向けていた『一凪<ヒトナギ>』を地面につき、アサシンがドクオに向かって話しかける。
ちなみに開始直後は庭の隅で戦っていた両マスターは巻き添えをおそれ、それぞれの後方で
サーヴァント同士の戦いを見守っていた。
(,,゚Д゚)「“知略を尽くす魔術師的戦いをする『凶戦士』”ってのも珍しいよなゴルァ」
('A`)「まぁ、ボクはもともと魔術士なんだけど……その二組がこうして戦う、ってのもそう見れるもんじゃないね」
(,,゚Д゚)「……前の時はよお互い“待ち伏せする『暗殺者<アサシン>』”、“突貫する『狂戦士<バーサーカー>』”っつう
サーヴァントとしてあるべき戦いになっちまったけどよ。俺はやっぱりコレが性に合ってる」
(,,゚Д゚)「俺が俺として、自慢の宝具で真っ向から敵に突貫するのがよ。お前もそうだろ、ドクオ・ナティウ。
お前はお前の戦い方をするのが一番だ。これまでの薄氷を踏むような受け方、嫌いじゃないぜ」
('A`)「……本当、あんたは『凶戦士<バーサーカー>』が似合ってるね。奪ってきた999の武器よりも
その大薙刀の攻撃のほうが何倍も怖いや」
ξ#゚听)ξ「ちょっと! 相手を褒めてばっかりでどーすんのよ!!」
(;'A`)「ご、ごめん……]
- 42
名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 01:28:13.60 ID:n9/6XssF0
('A`)「……で、でも」
('A`)「ボクだって本来は魔術士。戦うとしたら、このスタイルが本物だ。
いくよ。本拠地で戦う魔術師の信念、力、見せてやる」
(,,゚Д゚)「面白い……お互い全ての力、全ての技で勝負だゴルァ。俺は、今のお前を打ち倒す」
('A`)「(……さっきの、クーに聞かせるために用意しておいたんだけどな……)」
再び大薙刀の切っ先をドクオへ向けるアサシン。懐から新たなライトセイバーの増幅器を取り出し、ドクオは青白い刃を生成した。
【第15話・終了】
→第16話へ続く
戻る