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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:34:43.73 ID:n9/6XssF0
真夜中のラウン寺。キャスターが術をかけたのだろう。敷地内の住居から人が出てくる気配は全くない。
障害物もない広場になっているところで3人は対峙していた。
ひとりはクー。イヌ狩るドヴァ帝国の親衛隊長にして、ブーンに仕える『騎兵<ライダー>』のサーヴァント。
ひとりはブーン。普通の学校に通う男子中学生で、クーのマスターとして聖杯戦争に参加している半人前の魔術士。
そして二人と対峙する形になっている少女はシィナ。アサシンとともにブーン達と敵対するサーヴァント
『魔術士<キャスター>』であり、生前のクーの主である。
川 ゚ -゚)「……驚きました。シィナ姫様もこの戦いに参加しておられたのですね」
(*゚ー゚)「私も驚いたよ。まさか貴女が私に矛を向けるなんてね、クー=ウィン=ドーベル」
川 ゚ -゚)「いえ、決して矛を向けたわけでは…………くっ……」
(*゚ー゚)「…………ふふっ、冗談よ」
自らの言葉に詰まるクー。
『魔術師<キャスター>』──シィナはおかしそうに笑った。
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:36:54.35 ID:n9/6XssF0
(*゚ー゚)「何年かしらね。ドヴァ帝国が滅びてから」
川 ゚ -゚)「────およばずながら、わかりかねます。少なくとも、この国の教育機関で教える歴史の中に
われらがドヴァ帝国の名前はありませんでした。ドヴァだけではありません。
“ラクエン”も、“ツングレン”も、一行の記述も残されておりませんでした」
(*゚ー゚)「ふーん。大陸地図や魔術の系譜をみて違うとはおもってたけど、やはりここは異世界ね───
いえ、“平行世界”といったほうが正しいかしら。ルヴェルトならそう言うでしょうね」
川 ゚ -゚)「ルヴェルト──鍵を持ちし背徳者、ですか……」
(*゚ー゚)「謀略で捕らえられ、死ぬ間際までそういう風に気取ってそうね、ルヴェルトなら」
川 ゚ -゚)「『絶氷の魔女』ルーフレンテ様はいたく彼女を気に入られていましたが……」
(*゚ー゚)「そう。お母様は人を信じすぎた。自らと、自らに向かう絶対性を信じすぎた。
結果、ドヴァは滅びた。ソポポソォンは寝返り、兵器ガットゥーゾは破壊された。
お母様は国を守ろうと禁呪に手を出し、自らが崩壊してしまった」
川 ゚ -゚)「……シィナ様はあのとき、やはりルーフレンテ様のところへ?」
(*゚ー゚)「えぇ。貴女達が私だけは逃がそうとしてくれたことはわかっていましたが、やはり偽とはいえ
母は見捨てられません。催眠をあなた達にかけた後お母様のところへ行き、お母様の最期を見届け、捕らえられました。
『絶対零度の吹雪<エターナルフォースブリザード>』の魔力の暴走でしょうね、私がおかしくなったのは」
川 ゚ -゚)「……わかってらしたので」
(*゚ー゚)「伊達に“魔法立国”ドヴァ帝国の王女はやってないわよ」
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:38:49.19 ID:n9/6XssF0
- (*゚ー゚)「それより、陽動なんかに使ってしまい貴女には迷惑をかけました。
矢避けのわら人形を私だと思い、国外れまで突っ切らせてしまいましたね」
川 ゚ -゚)「そんな事……任務の内容など何でもありません。私は……憎かった。今でも憎く思っています。
“ラクエン”を、じゃない。磔にされたシィナ様を救うことができなかった事を……!!」
(*゚ー゚)「クー…………」
川 ゚ -゚)「“ラクエン”のソウルメイト──兵が幾重に覆う広場を突きぬけ、シィナ様の磔台までたどり着くことができれば
あなたをお救いすることができた。両手両足から血を流し、滾る炎に苦悶の叫びをあげるシィナ様をお救いできたのに……」
(;^ω^)「(何の話だかサッパリだお……)」
ξ姫゚听)ξ「ツングレン王国第二王女・ツン=グレン=デレーラよ。この辺りの話が知りたかったらアタシが大活躍する
『ξ゚听)ξツンデレのプリンセス・ブライド【ようです】』を読んでね」
('A`犬)「疾風の騎士、ドクオ=ラガンです。そういうワケで、ここまでの会話はスルーしてください」
異世界からどこかで見たような顔の二人が現れて消えた。境内には再び3人だけが残された。
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:42:46.41 ID:n9/6XssF0
(*゚ー゚)「ともあれ、また会えてうれしいわ、クー」
かつての臣下と話しているからか、アサシンと話しているときのようなたどたどしさは今のキャスター、シィナからは感じられない。
身にまとったロープから厳かに華奢な左手をクーに向かって差し出した
(*゚ー゚)「クー=ウィン=ドーベル。改めて、これからも私のために尽くしてちょうだい」
川 ゚ -゚)「────────」
(*゚ー゚)「サーヴァントの契約なんて気にしなくて大丈夫よ。『破戒すべき全ての符<ルールブレイカー>』なんてなくても、
貴女が念じて私の手をとれば、そこの魔術士君との契約なんて簡単に破棄できるわよ。他ならぬクー、貴女ならね」
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:46:54.37 ID:n9/6XssF0
(;^ω^)「……な、なに言ってるんだお!!」
それまで黙って二人を見守っていたブーンがたまらず割って入った。
(#^ω^)「クーはブーンのサーヴァントで、家族だお! なんでお前のために尽くさないといけないんだお!」
(*゚ー゚)「簡単よ。私が王女で、クーがその親衛隊だから。カフェ・オ・レには牛乳が必要でしょ? それと同じ事よ」
(#^ω^)「馬鹿いっちゃいけないお! それならブーンとクーは親子丼だお。鶏肉だけでも、卵だけでも完成しない
究極の丼飯だお。ちなみにドクオはお米でツンは玉葱だお。クー、クーも言ってやるが…………」
(;^ω^)「……クー?!」
川;゚ -゚)
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:50:11.35 ID:n9/6XssF0
川;゚ -゚)「ブーン、私は正直わからなくなっている────」
(;^ω^)「────!!」
川 ゚ -゚)「昨日、アサシンの矢文に中断されて最後まで言えなかった私の願い。それは…………」
川 ゚ -゚)「シィナ姫様の解放なんだ」
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:54:44.71 ID:n9/6XssF0
川 ゚ -゚)「“ラクエン”兵の罵声を一心に受け、身も心も朽ち果ててなお業火に焼かれたシィナ姫様。
過去をやり直すことはできないかもしれないが、過去を清算する事は可能なはずだ」
川 ゚ -゚)「私は──死ぬ間際のシィナ様に、救いを贈りたかっただけなんだ」
(*゚ー゚)「その贈りたかった相手──私がすでに救われていて、対立しているのだから本当にわからないものよね」
川 ゚ -゚)「…………」
ふらふらと、クーは無言のまま一歩を踏み出した。
(;^ω^)「クー!!」
(*゚ー゚)「……ふふっ」
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名前:第15話『契約破棄』 :2007/12/15(土) 00:56:16.38 ID:n9/6XssF0
(*゚ー゚)「安心して、魔術士君、君に興味はないわ。クーが配下になった後、令呪を奪ってから無事に解放してあげる」
(;^ω^)「令呪…………」
( ^ω^)「(そうだお! 今こそ令呪の力を使って、迷ってるクーを救い出すお!
たしか、令呪をつかえばサーヴァントはワープできるんだお。とりあえずここから逃げ出せば……)」
一歩一歩遠ざかってゆく母親の後姿──サーヴァント『騎兵<ライダー>』、クー=ウィン=ドーベル。
左手の甲に刻まれた令呪。三画で構成された特殊な魔術式。右手をかぶせ、一筋の涙を頬に感じながらブーンは叫んだ
@ ( ;ω;)「クー、家に逃げるお!!」
A ( ;ω;)「クー、行っちゃイヤだお!!」
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