4 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 00:48:35.06 ID:b673oGQQ0


    ↓
   .',ゞY'レ;=:_、    燃えたよ・・・
  〃     \_
 / ,  从_r;、   ヾ、    燃え尽きた・・・
 レ'/ /'ン .`,;^ヽ.ゞソ\
  /,.イレ-'、_/、,, 、、 ,. ヾ、
 ´ ト i、ヾ ; ミ,,  _〃"、.i   真っ白によ・・・
   l "、i, ミ.、 :.,  ,, ;.`i.  ;'|


 内藤家の居間。そこでショボンが真っ白に燃え尽きていた。


(;^ω^)「……ショボンさん、大丈夫かお?」

川 ゚ -゚)「見事に燃え尽きているな」

ξ゚听)ξ「大変そうね」

(白´・ω・`)「大変ってレベルじゃなねーぞ。全く、ロマネスクめ……」


 VIP中学の屋上での戦いから3日。完膚なきほどに破壊された屋上や若干名いた目撃者への対応に追われ、
この度の聖杯戦争の管理人であるショボンはずっと働き通しだった。


5 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 00:52:11.60 ID:b673oGQQ0
('A`)「はいお茶」

(´・ω・`)「すまないな、ドクオ」


 テーブルに置かれたまんじゅうを手にとり、フィルムを剥がしてドクオが入れたお茶とともに流し込む。


ξ゚听)ξ「しかし、あんたがこの家に来るのも久しぶりよね」

(´・ω・`)「ここ1年は店を空けて外国に行くこともおおかったからね……」

( ^ω^)「もっと来たらいいのに……」

(´・ω・`)「そうもいかない。あくまでボクは魔術協会から派遣された聖杯戦争の管理人だ。
   二人がマスターになった以上、必要以上に肩入れするのは好ましくないんだよ」

川 ゚ -゚)「……いくらツンがしっかりしているとはいえ、未成年をここまで置いておくのはどうしたものか」

(´・ω・`)「そういうものなんだよ、ライダー。魔術士という生き方は独立も早い」

8 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 00:55:29.82 ID:b673oGQQ0

( ^ω^)「しかし、驚いたお。この前のアーチャーとの戦い、ブーン達だけならともかく、あのでっかいビーグルも
   ぜんぜん噂になってないお。ボロボロの屋上だってどこかの国の仕業、って嘘が広まってるし……」

(´・ω・`)「魔術士というのはその存在を世間一般には知られてはいけない。聖杯戦争を戦う中で、この魔術士としての
   基本ルールを守るのはいささか難しい。もちろん、たいていのマスターはそれを考慮して人気の無い場所や
   深夜、人払いをかけて戦おうとするんだが、どうしても行き届かないところはでてしまうんだ。
   だから、その後処理をするのが管理人。つまり……」



(´・ω・`)「このショb








(´゜ω゜`)「ゴェェ!!ガハッ!ゴェェェ!!」


川 ゚ -゚)「(食べながらしゃべるから……)」


9 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 00:59:43.20 ID:b673oGQQ0

(´・ω・`)「邪魔したね」


 家を訪れてからおよそ三刻。よれた背広に袖を通し、ショボンが立ち上がる。


(´・ω・`)「本当はこういう事を言うのはマズいんだが……二人とも、あぶないとおもったらすぐ降参して
   ボクのところにくるんだ。決して無理はしてはいけないよ」

ξ゚听)ξ「はいはい」

( ^ω^)「心配してくれてありがとうだお」

('A`)「それじゃ。また遊びに行くよ」

川 ゚ -゚)「それでは……」


 4人に見送られ、ショボンは敷居をまたいで外へと出た。


10 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:03:15.44 ID:b673oGQQ0

(´・ω・`)「……5時、か。帰って店の準備をしないと」



 屋敷の門をくぐり、表へ出る。向かいのブロック塀に背をあずけ、一人の男が立っていた。
腕を組んで俯いていた男が、その顔をあげる。




(´・ω・`)「……アサシン」

(,,゚Д゚)「直接会うのはこれではじめてだな、管理人さんよ」


 いつもの僧衣ではない。藍色の肌着の上に、その身体には小さな革ジャンを無理矢理に着込み、
ロングマフラーを幾重にも巻きつけて口元を隠している。いつもの頭布がないため、ボサボサの髪が目新しくうつった。


12 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:05:27.92 ID:b673oGQQ0

(´・ω・`)「今の時間帯の戦闘は勘弁してほしいな。
   いくら人払いをかけても、この時間帯ならどうしても一般人に知られてしまう」

(,,゚Д゚)「ンな事はわかってるよ。あくまで偵察だ。それ以上でもそれ以下でもない」


(´・ω・`)「……ふむ。こうして見るとただの趣味の悪い若者にしか見えないな、アサシン。
   ブーンから聞かなければ、お前がかの武蔵坊弁慶とは夢にもおもわないだろう」

(,,゚Д゚)「あのガキ……」


 歯軋りをする『アサシン』こと、武蔵坊弁慶。




(´・ω・`)「心配しなくても、ボクからは誰にも、話すつもりはないよ」

(,,゚Д゚)「……ふん」


13 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:09:23.97 ID:b673oGQQ0

 それきり、アサシンは口を閉ざす。2、3秒その姿を見つめた後ショボンは帰宅していった。
屋敷に意識を集中させたままそれを見送る。ショボンの姿が見えなくなってもアサシンは動かない。
 親子連れが一組、ちらとアサシンを見て足早に通り過ぎていくが彼は何も反応をしめさない。

 たっぷり5分。表戸を観察した後、アサシンは小さく嘆息した。


(,,゚Д゚)「(……他人の出入りの時にも、穴はなし。か……)」



 聖杯戦争開始当初、アサシンは自由だった。
元々暗殺者ではないのだが、『アサシン』のクラスと彼本来の器用さもあり、どんな場所にも彼は忍び込むことができた。
アヤカスフィールやツンが自宅に張った結界も、ショボンがバーボンハウスに張ったサーヴァント避けも、彼の前には無力だった。

 もし、彼と彼のマスターが暗殺を躊躇しない性格であったのなら聖杯戦争は、もっと早く進行していたかもしれない。
他を殲滅することはできずとも、開始から10日時点での数は確実にもっと減っていたはずだ。

 だが。


(,,゚Д゚)「(これは硬いな……)」


14 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:12:17.74 ID:b673oGQQ0
 現在、内藤家には3つの魔力現象が同時に発動している。
 ひとつは、土地が本来持つ魔力を増幅させる力。ひとつは、ツンが常時展開している索敵結界。
そして、ドクオがそれにかぶせる形で張り巡らせた『敵避の境界線』。

 この3つの相乗効果。気配を消し、闇に生きる彼でさえその中を気づかれずに移動するのは不可能だった。


(,,゚Д゚)「(中に忍び込んで攪乱するのは不可能。『バーサーカー』ことドクオみたく、正面から乗り込んで
   1対2になるのと圧倒的に不利……か。芳しくないな)」

(*゚ー゚)「ギコくん」

(,,゚Д゚)「(正面からセイバーを相手どるのは自殺行為。ドクオ・ライダー(=クー)に攻め込むのも不可能)」

(*゚ー゚)「ギコくーん」

(,,゚Д゚)「(やはり自軍の寺で待つか、この二組の戦闘に乱入するしかないのか……くっ。つまらん)」

(*゚ー゚)「ギコくーん!!」

(,,#゚Д゚)「だぁぁぁ、五月蝿いぞゴルァ!!」

(*゚ー゚)「ギコ君のほうが声大きいよ」
18 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:18:43.96 ID:b673oGQQ0



('∀`)「♪トーマートの缶を開けてぇ〜 弱ー火で煮込むのがいいーでっしょぉ〜」

川 ゚ -゚)「ドクオ」

('∀`)「あ、クー。今日はロールキャベツだよ」

川 ゚ -゚)「それはさておき……今、妙な怒声が聞こえた気がしたのだが、何も感じなかったか?」

(‘∀`)「うーん。屋敷の中にはボク達以外誰もいないよ。気のせいじゃない。あっちで待っててよ」

川 ゚ -゚)「……わかった。夕食、楽しみにしているぞ」

(‘∀`)「任せてよ」





(,,゚Д゚)「って、お前どこから沸いてでたんだゴルァ!」


 ドクオが屋敷に張った結界。その効果範囲の1M外で二人のサーヴァントがじゃれあっていた。

21 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:22:40.31 ID:b673oGQQ0

(,,゚Д゚)「大体、いつもおもってたんだが、何でお前は俺を“ギコ”って呼ぶんだゴルァ」

(*゚ー゚)「ギコ君はギコ君だよ。ギコって名前はギコ君にぴったりだしね」

(,,゚Д゚)「理由になってない。お前が『キャスター』の名前を捨ててシィナ・リンゴール・ドヴァ━━“しぃ”を名乗るのは
   別にかまわんが、俺を変な名前で呼ぶのはやめろ」

(*゚ー゚)「でも、“しぃ”の相方といったら“ギコ”ってのはお約束だし……」

(,,゚Д゚)「(……この女、助けなければよかったかもしれん)」


 魔術士ニダーの屋敷からしぃが助けられ……もとい、アサシン曰くしぃを攫ってからおよそ一週間。
最初のうちは寝たきりだった彼女は、豊潤な魔力の眠るラウン山から強引に力を吸い上げて、今では
本来エネルギー源となるマスターがいなくても自由に動き回れるほどに回復していた。
23 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:25:20.51 ID:b673oGQQ0

(*゚ー゚)「ここが敵の本拠地か……ふぅん、立派な結界。ここに二組いるんだよね」

(,,゚Д゚)「あぁ。『ライダー』組と『バーサーカー』組はここで暮らしている。両方ともおもしろい相手だ。
   一対一ならともかく、単身で二人を相手どるにはちょっと分が悪いな。
   やはり門のところで『セイバー』組も含めて迎え撃つのがよさそうだ」

(*゚ー゚)「ふーん……」







(*゚ー゚)「じゃ、2対2ならどう?」

(,,゚Д゚)「……は?」
25 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:28:57.88 ID:b673oGQQ0

(*゚ー゚)「もう少ししたら私も戦えるくらいに回復するよ。そしたらギコ君と私、それからハインリッヒも一緒に
   ここに攻め込めばいいんじゃない?」

(,,゚Д゚)「…………」

(*゚ー゚)「確かに私は戦闘に秀でたサーヴァントじゃないけど、むざむざとはやられることはしない。
   私が時間をかせいでいる間にギコ君がひとり倒せば、もう一人も楽勝だよ」

(,,゚Д゚)「…………」

(*゚ー゚)「ねっ、そうしようよ。

  @しぃと手を組む
  Aしぃと一緒にドクオ達に挑む
  Bギコ君が戦い、しぃが護るようです

   安価は……」



(,,゚Д゚)「解せんな」


 勝手に安価を出そうとするしぃ。彼女の言葉をアサシンが止めた。

28 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:34:06.17 ID:b673oGQQ0

(,,゚Д゚)「先週、俺がお前を助けたのはただの気まぐれだ。今だって、完全に信じているわけじゃない。
   その証拠にお前の身体には俺の剣が一本入っている。俺の呪ひとつで、お前はいつでも死ぬ状態だ」

(*゚ー゚)「うん、知ってる」


 箸を持つ手は右手。それくらい当然な事をいうようにしぃはギコの言葉を受け止める。


(,,゚Д゚)「……ならば、何故だ。マスターもいなく、戦闘力も不十分。いつでも死ぬ状態でありながら、なぜそのような事を言うんだ」

(*゚ー゚)「簡単だよ。だって…………」


 そこでしぃは一端口を閉じ、恥ずかしげに続けた。


(*//ー//)「ぎ、ギコ君のことがしゅきだから」

(,,゚Д゚)「……」



 噛んだ。
30 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:36:59.86 ID:b673oGQQ0
(*゚ー゚)「……もとい、好きだからだよ」



(,,゚Д゚)「…………」

(*゚ー゚)「何も考えず何も望まず、閉じ込められていた私をギコ君は助けてくれた。
   あの時。おもったんだ。ついに王子様が助けにきてくれたんだ、って」

(*゚ー゚)「だからギコ君を助けてあげたい。もともと聖杯を手に入れてかなえたい願いなんてなかったけど、
   ギコ君といれば私の願いは叶う。だって、それ自体がわたしの夢なんだもん」

(,,゚Д゚)「……寒くなってきたな」


 帰るぞ、とつぶやいてギコは歩き出す。


(,,゚Д゚)「……お前の力がもう少し戻ったら、またここに来るぞ。ハインリッヒも連れて、だ」



31 名前:第12話『復活の王女』 :2007/11/06(火) 01:40:24.76 ID:b673oGQQ0

(*゚ー゚)「…………それじゃあ!」

(,,゚Д゚)「あぁ」



(,,゚Д゚)「俺の目的のついでに、お前の夢をかなえてやるよ」







 かくて、『ライダー&バーサーカー』『セイバー』に続く第三勢力『アサシン&キャスター』がここに誕生した。

“亡国の王女”シィナ・リンゴール・ドヴァの参戦はどのような波紋を呼ぶのか。


 ブーンとクー。
親のようにサーヴァントを慕うマスターと、我が子のようにマスターを慈しむサーヴァント。

 二人の関係は聖杯戦争とともに、新たな局面へと転換していく────


【第12話・終了】
                 →第13話へ続く

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