4 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:19:32.82 ID:4zn4oRI30
 
エスパークス、エスタークじゃねぇのかよ!
という人のための登場人物紹介

川 ゚ -゚) エスパー女子高生。物を呼び寄せる超能力

('A`) クーの幼馴染。雷を操る超能力

ξ*゚听)ξ クソガキ。記憶を刈り取る

J( 'ー`)し 『旅籠・人食』の女将

( ^ω^) ダイプロ研究員。15年前、ツンに命を与え死亡


( ´ー`) エスパゴン『フォー・オブ・ア・カインド』の一人。別名:ペイジオブペンタクル
8 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:21:01.62 ID:4zn4oRI30
 
わたしは、いったい、なにをしているんだろう

わたしは、いったい、なにがしたかったんだろう


あたまのなかは

むかしと、いまが、ごちゃごちゃになって


まえをむいているのか

うしろをむいているのかさえも、わからない




たすけて

ねぇ、たすけてよ




ξ* )ξ「…」

ξ* )ξ「……ブーン」
11 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:25:38.42 ID:4zn4oRI30
  

カタッ


ξ;゚听)ξ「…――!」 ビクッ


J( 'ー`)し「あら、お休み中でしたか?」


ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「ううん…」


J( 'ー`)し「そうですか」

J( 'ー`)し「それじゃ、はいどうぞ」


ξ*゚听)ξ「…何?」


J( 'ー`)し「昨日から何も食べていないようですので、おにぎりを持ってきました」


ξ*゚听)ξ「…」
14 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:27:57.69 ID:4zn4oRI30
 
J( 'ー`)し「食べますか?」


ξ*゚听)ξ「…いら」

ξ*゚听)ξ「…」 グーギュルギュルギュル

ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「……いただきまふ」


J( 'ー`)し「どうぞ」


ξ*゚听)ξ「…あ」

J( 'ー`)し「はい?」

ξ*゚听)ξ「梅干…」

J( 'ー`)し「あぁ、大丈夫ですよ。入っていません」

ξ*゚听)ξ「あ、いや……、梅干が、いいな…」


J( 'ー`)し「あら?」



15 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:29:35.54 ID:4zn4oRI30
 



…ゴロゴロ


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「ん…」




川 ゚ -゚)「……雨、降りそうだなぁ…」


18 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:31:04.95 ID:4zn4oRI30
 


川 ゚ -゚)エスパークーのようです

    −第三十六話:心の座標軸−



20 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:33:31.12 ID:4zn4oRI30
 
―VIP総合病院前


≫ (メ'A`) ≪「…」

( ´ー`)『…』




≫ (メ'A`) ≪「…」

≫ (メ'A`) ≪ パリ…ッ



≫ (メ'A`) ≪「…」

≫ (メ'A`) ≪「(…変な、感じだ)」

24 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:37:58.79 ID:4zn4oRI30
 
≫ (メ'A`) ≪「(…意識がはっきりしたっていうか)」

≫ (メ'A`) ≪「(…妙に落ち着いてるっていうか)」

≫ (メ'A`) ≪「(……たぶん、これは前にしぃさんが言ってたヤツなんだろうな)」

≫ (メ'A`) ≪「…」


  (*-ー-)「…暴走したことは事実よ」

  (*-ー-)「でもね」

  (*-ー-)「前は無理だったことが、今は出来るようになったんだから」

  (*-ー-)「人間的に成長したってことよ」


≫ (メ'A`) ≪「(…暴走、か)」

≫ (メ'A`) ≪「(…意識失って、電撃ぶっ放してりゃ、まぁ迷惑だわな)」

≫ (メ'A`) ≪「…」

≫ (メ'A`) ≪「(みんな、気ぃ使ってくれてたのかね…)」

≫ (メ'A`) ≪「…」

28 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:39:27.02 ID:4zn4oRI30
 
≫ (メ A ) ≪「…まぁ」


≫ (∩'A`) ≪「もうする気はねぇけどな…!」 グイッ


( ´ー`)『…』

( ´ー`)『死んだかと思ったら、前よりピンピンしてやがる…』

( ´ー`)『変なやつだーヨ』


≫ ( 'A`) ≪「ん?」

≫ ( 'A`) ≪「何か、バカにされた気がする」


( ´ー`)「シテネーヨ」


≫ (;'A`) ≪「…!?」

≫ ( 'A`) ≪「日本語しゃべれんのかよ」

≫ ( 'A`) ≪「…それなら、最初から話せよな」


( ´ー`)『半角カタカナ文字は見難いんだーヨ』
30 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:42:12.99 ID:4zn4oRI30
 
≫ ( 'A`) ≪「何? KATAKANA…?」


( ´ー`)『…ふん』

( ´ー`)「…トモカク ソコヲ ドケヨ」

( ´ー`)「マタ イタイメヲ ミルコトニナルーヨ」


≫ ( 'A`) ≪「…」

≫ ( 'A`) ≪「…痛い目をみるのは勘弁してほしいな…」


( ´ー`)「…フン」

( ´ー`)「ジャア サッサト ドケーヨ」


≫ ( -A-) ≪「…だけど」

≫ ( 'A`) ≪「それとこれとは話は別だ」


≫ ( 'A`) ≪「この道は譲れねぇ」

≫ ( 'A`) ≪「……約束したからな」

32 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:44:20.73 ID:4zn4oRI30
 
( ´ー`)『…』

( ´ー`)『面倒くせぇ奴だーヨ』

( ´ー`)『別に何の障害にもならねーけどヨ』



≫ ( 'A`) ≪「…」


―ドクオは考える

―なぜ、自分は此処にいるのかと


≫ ( 'A`) ≪「…」


―自分は此処にいていいのかと


≫ ( 'A`) ≪「(…やっと、分かったんだ)」

≫ ( 'A`) ≪「(…いや、ずっと前から分かっていたんだ…)」

≫ ( 'A`) ≪「(ただ、それに気づかないフリをしていただけで)」

36 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:48:18.11 ID:4zn4oRI30
 
≫ ( -A-) ≪「(…ずっと逃げてた)」

≫ ( -A-) ≪「(自分からも…、クーからも…)」


―息を吐く

―思い出すのは




  川 ゚ -゚)「ドクオくん」

  川 ゚ -゚)「劇、というのは良いものだと思わないか?」



  川 ゚ -゚)「“またな”」

  ('A`)「はぁ…」

  川 ゚ -゚)「…」

  川 - -)「…」

  川川 ) ザッ


37 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:49:34.21 ID:4zn4oRI30
 


  ( ー 川「いや…」

  ( 'A`)「?」

  ( ー 川「少しだけ、な」

  ( ー 川「昔を、思い出しただけだ」



  川 ゚ -゚)「…ドクオ」

  (*'A`)「ぷはぁ!! って、素直さん?」

  川 ゚ -゚)「…」

  川 - -)「いや…」

  川 ゚ー゚)、「これからよろしくな、“ドクオくん”」



―寂しそうな、彼女の横顔



40 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:51:30.69 ID:4zn4oRI30
 
≫ ( -A-) ≪「(もうそんな思いはしたくないから…)」

≫ ( -A-) ≪「(させたくないから…)」



  川  - )「頼む」

  川川  )「…」 

  川川  )「……少し、泣くから」




―もう二度と、悲しい顔をさせたくないから




≫ ( 'A`) ≪「(オレは、もう――)」

≫ ( 'A`) ≪「(自分を誤魔化さない…!!)」
43 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:53:02.62 ID:4zn4oRI30
 
( ´ー`)『どうせ同じ結果だーヨ』

( ´ー`)「…コンドコソ シネーヨ」


≫ ( 'A`) ≪「死んでも守れって言われたし…」

≫ ( 'A`) ≪「ちょうどいいかもな」


( ´ー`)「…ヘンナヤツダーヨ」


≫ ( 'A`) ≪「…まぁ」

≫ (#'A`) ≪「――やってやらぁ!!!」


( ´ー`)『…ふん』



 カカッ!!


―ドクオの思いを吐き出すかのように

―雷鳴が轟いた

45 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:55:33.77 ID:4zn4oRI30
 


ξ*゚w゚)ξ「もぐもぐ…」

ξ*゚w゚)ξ「はぐはぐ…」

J( 'ー`)し「あらあら」

ξ;゚、゚)ξ「もぐ……ぐっ!?」

J( 'ー`)し「はい、お水」


ξ;゚听)ξ「……んくっ、けほっ…」

J( 'ー`)し「あまり詰め込むと、身体に良くないですよ」

ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「…ごめんなさい」

J( 'ー`)し「いえいえ」

ξ*゚ -゚)ξ「…もぐ」

J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「随分とお腹が減っていたみたいですね」

47 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:57:04.82 ID:4zn4oRI30
 
ξ*゚听)ξ「…ん」

J( 'ー`)し「倒れてたのは、空腹のせいだったとか?」

ξ;゚听)ξ「ち、違う!」

J( 'ー`)し「あら?」

ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「私にも、よく分かんない…」


J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「そうですか」

J( 'ー`)し「…モナーさん、心配してましたよ」

ξ*゚听)ξ「…!」

J( 'ー`)し「あぁ、実は私、彼とは古い知り合いなもので」

J( 'ー`)し「よろしく頼む、と」


48 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:58:26.65 ID:4zn4oRI30
 
ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「…怒ってた?」

J( 'ー`)し「いえ?」

ξ*゚听)ξ「…そう」

J( 'ー`)し「怒られるようなことでも?」

ξ*゚听)ξ「…」

ξ*- -)ξ「それは…」


―ヘ√ξ* )ξ―― キンッ


ξ; )ξ「痛ッ…」


49 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 20:59:56.24 ID:4zn4oRI30
 
ξ; )ξ「(……あ)」

ξ; )ξ「(あのときは――…)」



  ξ*゚ー゚)ξ「………もうよく分かんないや」

  ξ*゚∀゚)ξ「……ははっ」

  ξ*;∀;)ξ「……はっ」

  ξ*;∀;)ξ「あははははははははははははははははははははっ!!!!!」



ξ; )ξ「(結局、一人ぼっちだったのが、悔しくて…)」

ξ; )ξ「(悔しくて、悔しくて、悲しいのに、どうしようもなくて…)」

ξ; )ξ「(ただ…)」


50 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:01:22.57 ID:4zn4oRI30
 

  ξ*;凵G)ξ「……なんで逃げるの?」

  ξ*;凵G)ξ「あなたたちも、みんな忘れちゃえばいいじゃない」

  ξ*;凵G)ξ「私みたいに…!!!」



ξ; )ξ「(ただ、全部嫌になって…)」



  (#'A`)「……黙れ」

  (#'A`)「黙れよぉ!!! てめぇ!!!!!!!!!!」


  ξ*゚  「――――…」



ξ; )ξ「(それで……)」




  川;- -)


51 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:02:49.32 ID:4zn4oRI30
 
ξ; )ξ「…」

ξ; )ξ「(わたし…)」

ξ; )ξ「(わたしは…)」

ξ; )ξ「(……悪くない)」


ξ; )ξ「(だって…)」

ξ; )ξ「(だって……!)」


ξ; )ξ「だって!!」

ξ;゚听)ξ「みんなが悪いんだもん!!!」


J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「…みんな、ですか?」


ξ;゚听)ξ「はぁ…、はぁ…」

ξ;゚ -゚)ξ「うっぷっ…」

53 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:04:33.81 ID:4zn4oRI30
 
J( 'ー`)し「大丈…」

ξ;゚听)ξ「触らないで!!」


J( 'ー`)し「あら」


ξ;゚听)ξ「…はぁ、はぁ」

ξ; )ξ「わたしはわるくない…」

ξ; )ξ「わたしはわるくない…」

ξ; )ξ「わたしはわるくない…」


J( 'ー`)し「…」


ξ; )ξ「みんながのけ者にするから!」

ξ; )ξ「一人ぼっちにするからだもん!」

ξ; )ξ「ブーンも! ハインも!! クーも!!!」

ξ* )ξ「…なんで」

ξ* )ξ「……なんで?」
56 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:08:13.14 ID:4zn4oRI30
 
ξ* )ξ「誰も一緒にいてくれない」

ξ* )ξ「みんな私を置いていく…」

ξ* )ξ「ずっと…」

ξ* )ξ「ずっと前から一人ぼっちだった…」


J( 'ー`)し「…心配してくれるお友達がいますよ?」


ξ* )ξ「違う!!」

ξ* )ξ「心配なんかしてない!」

ξ* )ξ「だって……」

ξ* )ξ「…」

ξ* )ξ「だって、私は――役立たずの欠陥品だから」


57 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:09:46.81 ID:4zn4oRI30
 
J( 'ー`)し「…」


ξ* )ξ「クーとは違う」

ξ* )ξ「誰からも必要とされてないの…」

ξ* )ξ「これ以上背も伸びない」

ξ* )ξ「これ以上歳もとらない」

ξ* )ξ「ずっと一緒にいてくれると言ってくれた人も、もういない」


J( 'ー`)し「…」


ξ*゚听)ξ「…ねぇ、教えて?」

ξ*゚听)ξ「私はこれからどうすればいいの?」

ξ*゚听)ξ「何をしているのか、何をしたかったのか」

ξ* )ξ「もう…分からないの……」


J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「…そうですね」

58 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:11:18.46 ID:4zn4oRI30
 
J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「何があったのかは知りませんが」

J( 'ー`)し「まずは行動してみては如何でしょうか?」


ξ*゚听)ξ「……行動?」


J( 'ー`)し「そうです、何事も先に進まない限りは解決しません」

J( 'ー`)し「分からなくてもいいじゃないですか」

J( 'ー`)し「目をつぶっても、足は出せます、歩けます」

J( 'ー`)し「歩いた先に、求めていたものがあるかもしれませんよ?」


ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「……もう無理だよ」

ξ* )ξ「………私はもうダメだもん」

61 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:12:32.18 ID:4zn4oRI30
 
J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「過ぎたことは、取り戻せません」

J( 'ー`)し「ですけどね」

J( 'ー`)し「それでもやっぱり、取り戻そうとするものだと思いますよ」

J( 'ー`)し「それは、皆、一緒です」


ξ* )ξ「…」

ξ* )ξ「取り戻せないよ…」

ξ* )ξ「別に…取り戻したくもないし…」


J( 'ー`)し「そうですか?」

J( 'ー`)し「私には、取り戻す術が分からないだけに見えますけども」

J( 'ー`)し「本心はむしろ逆なのでは?」


ξ* )ξ「…」

64 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:14:22.84 ID:4zn4oRI30
 
J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「…ちょっとおしゃべりが過ぎましたね」

J( 'ー`)し「詮索はしないと言ったのに、ごめんなさいね」


ξ* )ξ「…」


J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「お茶でも飲んで落ち着きましょう」

'ー`)し「お茶菓子も一緒に持ってきますから」


カラッ



ξ* )ξ「…」


 「…――わたしは」

67 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:15:42.71 ID:4zn4oRI30
 

……
………


カラッ


J( 'ー`)し「ごめんなさい、お煎餅しかなかったんですけど…」

J( 'ー`)し「…あら?」

J( 'ー`)し「…」

J( 'ー`)し「…」



J( 'ー`)し「…随分とせっかちねぇ」

J( 'ー`)し「お煎餅、どうしようかしら」


68 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:18:11.30 ID:4zn4oRI30
 


―弾けた雷が空気を焦がす

―もうもうと黒い煙を吐きながら、地面を転がるのは



≫ ( ×A×) ≪「むぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!?」



―ドクオだった



(´ー` )『…』


≫ (;'A`) ≪「げほっ、ごほっ」

≫ (;'A`) ≪「…あ、あれ!?」


≫ (;'A`) ≪「おかしい…! おかしいぞ…!?」

≫ (;'A`) ≪「普通、こういう場合
         逆境から復活した主人公が、敵を千切っては投げ千切っては投げ、ってシ−ンじゃないのか!?」

70 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:19:58.76 ID:4zn4oRI30
 
  (´ー`;)『ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

  ≫ ( 'A`) ≪「…ふっ」

  (´ー`;)『バ、バカな…!?』

  (´ー`;)『オレの障壁をいとも容易く…』

  ≫ ( 'A`) ≪「…」

  ≫ ( 'A`) ≪「甘いな」

  ≫ ( 'A`) ≪「死の淵より蘇ったオレに、そんなものなど通用せん」

  (´ー`;)『…ぐぅぅぅ、おのれ…!!』

  (´ー`;)『さっきまでとは違う、このパワー……、貴様一体……』

  ≫ ( 'A`) ≪「ふっ…」

  ≫ ( 'A`) ≪「そうだな……、超(スーパー)ドクオとでも呼んでくれ」

  ≫ ( 'A`) ≪「そら、とどめだ!! 覚悟しろ!!! ビックバンアターック!!!!」

  (´ー`;)『…くそったれぇぇぇぇ!!!』



≫ (;'A`) ≪「こんな感じで!!」

71 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:22:36.79 ID:4zn4oRI30
 
(´ー` )『…お前、バカだろ』

(´ー` )『そもそも主人公じゃねーヨ』


≫ (;'A`) ≪「ぬぅぅぅっ」

≫ (;'A`) ≪「落ち着け、ドクオ!! ビークール!! ビークール野猿だ!!」


(´ー` )『…何歌ってんだヨ、こいつは』


≫ (#'A`) ≪「おおおおおおおおお!!!」

≫ (#'A`) ≪「いくぞ!!」


―崩れ落ちそうな膝を支えて立ち上がる

―集めた電気を一気に収束させて、ぶちかます


バチバチバチバチッ !!

        *
≫(#'A`)つ*** 「サンダーブレイクぅ!!」

74 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:24:20.32 ID:4zn4oRI30
 

(´ー` )『…』


 バキンッ!!

*【   (´ー` )『…』



―しかし、壁は厚かった



バリバリバリバリッ!!

≫ ( ×A×) ≪「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!?」



(´ー` )『…』

(´ー` )『アホだヨ』

79 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:26:13.34 ID:4zn4oRI30
 
≫ (;'A`) ≪「ぐっ…」

≫ (;'A`) ≪「(……なんだか、オレすげー勘違いをしてるのかな?)」


―正解


≫ (;'A`) ≪「(……いや、まだ、力を全開にしてないだけだし!)」

≫ (;'A`) ≪「(……追い詰められることによって、隠されたパワーとかが引き出されるはずだし!!)」

≫ (;'A`) ≪「(主人公なら!!)」


(´ー` )『…?』

(´ー` )『何をぶつぶつ言ってるんだよーヨ』


≫ (;'A`) ≪「…ふっ」

≫ (;'A`) ≪「見てろよ、十分後に地面に這いつくばってんのは、あんただぜ!!」


(´ー` )『…ふん』

(´ー` )「ヤレルモンナラ ヤッテミロヨ」


80 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:27:27.85 ID:4zn4oRI30
 
≫ (;'A`) ≪「へっ…」

≫ (#'A`) ≪「今の言葉、後悔するなよぉぉぉぉぉっ!!」



―十分後



≫ (メ)'Aメ) ≪「はぁっ、はぁっ…」

≫ (メ)'Aメ) ≪ ←ドクオ後悔するの図

84 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:29:59.44 ID:4zn4oRI30
 
(´ー` )『…』

(´ー` )『無駄というのがまだ分からねーのかヨ』


≫ (メ)'Aメ) ≪「…」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(くそっ、全く歯がたたねぇ…)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(……これまでの戦いで分かったことがある)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(それは……)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(オレが主人公じゃないってことだ!!)」


≫ (メ)∩Aメ) ≪「…うぅっ、いつかはエスパードクーになると信じてたのに」


(´ー` )『…?』


≫ (メ)∩Aメ) ≪「…なんてこったい」


―ドクオの涙雨だろうか

―いつの間にか降ってきた雨が、しとしとと地面を濡らしていた

87 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:31:43.30 ID:4zn4oRI30
 
(´ー` )『まぁ、何を喚いているのかしらねーけど』

(´ー` )『これ以上、アホに割いてる時間はねーヨ』

(´ー` )『…そろそろ本気で消えてもらおうかヨ』


(´ー` ) ズズ…ッ


≫ (メ)'Aメ) ≪「…!?」


―シラネーヨの気配が変わる


―それは、コインを返すように

―表から裏

―守から攻へと、瞬く間に変化していく


≫ (メ)'Aメ) ≪「…な、なんだ?」

91 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:33:42.07 ID:4zn4oRI30
 
(´ー` ) …ズッ


(´ー` )『…さぁて』

(´ー` )『ぼちぼち死ねーヨ』


≫ (メ)'Aメ) ≪「…」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(…なんかヤバイ気配だ、変に動かないほうが…)」



パァンッ!!



≫ (メ)゚Aメ) ≪「がっ!!?」


―牽制のため距離を計ろうとしたドクオ

―その右肩が、破裂した


≫ (;)'Aメ) ≪「があぁぁぁぁぁぁっ!!?」


92 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:35:09.56 ID:4zn4oRI30
 
≫ (;)'Aメ) ≪「(なんだ!? なにをされた!!?)」

≫ (;)'Aメ) ≪「(飛び道具か!!?)」


(´ー` )『…ふん』


≫ (;)'Aメ) ≪「(…やつは、何も動いちゃいない)」

≫ (;)'Aメ) ≪「(念動力とか、そういう類か?)」



バッツン!!



≫ (メ)゚Aメ) ≪「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


―今度は、わき腹を持っていかれた

―まるで

―内から喰われるように


93 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:36:48.53 ID:4zn4oRI30
 
≫ (;)'Aメ) ≪「…がっ……く…」

≫ (;)'Aメ) ≪「(やべぇ……、このままじゃたこ殴りだ)」

≫ (;)'Aメ) ≪「(…反撃しないと!!)」


≫ (メ)'Aメ) ≪「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


―電撃が一直線にシラネーヨに向かっていく


(´ー` )『…』


―だが、それは



 バキンッ!!


*【   (´ー` ) 『……一緒、だ−ヨ』



―何の意味も為さなかった

100 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:41:48.09 ID:4zn4oRI30
 
≫ (メ)×Aメ) ≪「ぎゃんっ!!?」


≫ (メ)'Aメ) ≪「げふっ……っ」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(んだよ、これ…)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(チート過ぎだろ……、こいつ)」



(´ー` )『…ふん』


―ニヤニヤと笑うシラネーヨ



≫ (メ)'Aメ) ≪「…っ」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(クソっ、クソっ)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(どっかに隙はねぇのかよ!! なんでもいい、少しだけでもいい!!)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(ぐっ……雨で前が見え辛れぇ)」

103 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:44:50.90 ID:4zn4oRI30
 

バンッ!!


≫ (メ)゚Aメ) ≪「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


―ドクオの左膝から鮮血が飛び散る

―バランスを失い、そのまま地面へと倒れこむ


≫ (;)'Aメ) ≪「がっ…ぁ…」


(´ー` )『さて、そろそろ仕舞いかヨ?』


≫ (;)'Aメ) ≪「………っ!!」



(´ー` )『死ねーヨ!!!』



―雨音の中に、絶叫が響いた


107 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:47:30.07 ID:4zn4oRI30
 



ξ* )ξ「――…」


ξ*゚听)ξ「!」

ξ*゚听)ξ「…あ、れ?」

ξ*゚听)ξ「ここは…」



 「……誰ですか?」



ξ;゚听)ξ「わっ!?」


川;゚ -゚)「…ひゃっ!?」


ξ;゚听)ξ「…――!!」

ξ;゚听)ξ「クー…」


108 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:49:44.30 ID:4zn4oRI30
 
川;゚ -゚)「あ、……えっと」

川;゚ -゚)「そうなんですけども…」

川;゚ -゚)「あー…」

川 ゚ -゚)、「……お名前は?」


ξ;゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ、「ツン、デレ…」


川 ゚ -゚)「ツンデレさん」

川 ゚ -゚)「変わったお名前ですね」


ξ#゚听)ξ「…む」


川;゚ -゚)「あ、ごめんなさい」


109 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:51:00.55 ID:4zn4oRI30
 
ξ;゚听)ξ「…あ、いや」

ξ;゚听)ξ「私のほうこそ――…」

ξ;゚听)ξ「…」

ξ* )ξ「…」


川 ゚ -゚)「…?」

川 ゚ -゚)「…どうかしました?」


ξ* )ξ「…ううん、なんでもない」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)、「…すいません、知り合いの方だったら失礼ですよね」

川 ゚ -゚)「ちょっと、記憶が……あれで……」


ξ* )ξ「うん」

ξ* 听)ξ「知ってる」


110 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:52:28.73 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ -゚)「…そう、ですか。…そうですよね」

川 ゚ -゚)、「えっと、…ツンさん?」

川 ゚ -゚)「何のご用でしょう?」


ξ*゚听)ξ「え?」

ξ;゚听)ξ「あー…」

ξ;゚听)ξ「別に用があったわけじゃ……、っていうか、何で来たのかも……」


川 ゚ -゚)「そうですか」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「えっと…、お知り合いなら…」

川 ゚ -゚)「少し、話を聞いてもいいですか?」


ξ*゚听)ξ「…ん?」

ξ*゚听)ξ「……いいけど」

114 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:53:43.18 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ー゚)、「…ありがとうございます」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…皆さんに聞いてるんですけどね」

川 ゚ -゚)「その、…私は」

川 ゚ -゚)「……どんな人間でした?」


ξ*゚听)ξ「…え」


川;゚ -゚)ノシ「あ、いや、やっぱ変ですよね! こういうの…」


ξ*゚听)ξ「…」


川 ゚ -゚)、「…」

川 ゚ -゚)「…記憶を失ってから、色々聞いてみたんですけどね」

川 ゚ -゚)「…皆、言うんです」

川 ゚ -゚)「クールで、頼りがいがあって、……強い人間だった、って」
116 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:55:31.79 ID:4zn4oRI30
 
ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「…それは、間違ってないんじゃないかな」

ξ* )ξ「わたしも、そう思うもん」


川 ゚ー゚)、「そうですか」

川 ゚ -゚)「…でも」

川 ゚ -゚)「何でか、自分の中でしっくりこないんです」

川 ゚ -゚)「…記憶を失ってるせいかもしれません」

川 ゚ -゚)「それでも、違う……と、何故か感じるんです」


ξ* )ξ「…そう? …そんなこと ないとおもうよ?」

ξ* )ξ「だって、クーはつよかったもん」


川 ゚ -゚)「…強い、ですか」

川 ゚ -゚)「…それは本当なんでしょうか?」


ξ* 听)ξ「…?」
119 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:57:31.78 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ -゚)「…私に腕力があるとも思えません」

川 ゚ -゚)「…かといって、精神的な強さがあったとも思えません」

川 ゚ -゚)「……ただ、漠然と強いと言われても何のことだか分かりません」

川 ゚ -゚)「本当に…」

川 ゚ -゚)「私は強かったのでしょうか?」


ξ* 听)ξ「…」


川 ゚ -゚)「…」

川;゚ -゚)「(はっ!? 子供に話す内容じゃなかったかもしれない)」


ξ* 听)ξ「強かった…」


川 ゚ -゚)「…!」


ξ* )ξ「強かったわよ!!」

ξ* )ξ「私とは違うんだもん!!!」

121 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 21:58:48.40 ID:4zn4oRI30
 
川;゚ -゚)「…?」

川;゚ -゚)「ツンさん…?」


ξ*゚听)ξ「言っとくけどね、クー」

ξ*゚听)ξ「記憶を失ったっていうのはね! 私のせいなの!!」

ξ*゚听)ξ「私があなたの記憶を消したの!!!」

ξ*゚听)ξ「憎くて、悔しくて、しょうがなかったから!!!!」


川;゚ -゚)「…!」

川;゚ -゚)「……あなたが、ですか」


ξ*゚听)ξ「…そうよ」

ξ*゚听)ξ「私がやったの」

ξ*゚听)ξ「あなたの記憶を根こそぎ刈り取ったの」

ξ*゚听)ξ「だって、ズルいじゃない」

ξ* )ξ「自分だけ幸せなんて……、ズルいじゃない……」


122 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:00:50.90 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「わたしは…」

川 ゚ -゚)「幸せだったんですか?」


ξ* )ξ「…そうじゃないの?」

ξ* )ξ「……そうに決まってるわ」


川 - -)「そう、ですか…」


ξ* )ξ「…」

ξ* )ξ「…そうよ、そうじゃなきゃ…」

ξ* )ξ「……私は、だから……」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…?」


123 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:02:20.60 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「……泣いてるんですか?」



ξ* )ξ「…――っ」

ξ* )ξ「う、うるさい!!」

ξ* )ξ「泣いてなんか…、泣いてなんか……!!」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…我慢しないほうがいいですよ?」


ξ* - )ξ「―――っ!!」

ξ* )ξ「…」


ξ*;凵G)ξ「うるさぁぁぁぁぁぁぁい!!」


川;゚ -゚)「おわっ!?」

127 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:04:38.38 ID:4zn4oRI30
 
ξ*;凵G)ξ「クーのバカぁ!!」

ξ*;凵G)ξ「バカバカバカバカバカバカぁ!!!」


川;゚ -゚)「…え、あー…、ぐぇ!?」

川;゚ -゚)「ちょっ、ボディ入って……おぅふ」


ξ*;凵G)ξ「なんで怒んないのよ!!」


川;゚ -゚)「え? あ、いや…」


ξ*;凵G)ξ「憎いでしょ!? 私が!!」

ξ*;凵G)ξ「怒ってよ!! 構ってよ!! 無視しないでよ!!!」


ξ*;凵G)ξ「……わたしをひとりにしないでよぉ」



川 ゚ -゚)「…――」

129 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:05:54.42 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ -゚)、「…」


ξ*;凵G)ξ「……バカぁ」


川;゚ -゚)「…う、う〜ん」


ξ*;凵G)ξ「…――っ、…ヒック、グスッ」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「えっと…」

川 ゚ -゚)つ□「…ハンカチを」



「……むがっ!?」ξ*((□⊂(゚- ゚ 川 ゴシゴシ



ξ;゚听)ξ「がふっ!? し、死ぬ…!!」

川;゚ -゚)「あ、すいません…」
132 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:07:36.80 ID:4zn4oRI30
 
ξ;゚听)ξ「…ぜーはー…」

川;゚ -゚)「…大丈夫?」


ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「…なんで、怒んないの?」


川 ゚ -゚)「…」


ξ*゚听)ξ「私、悪い子なんだよ?」

ξ*゚听)ξ「クーの記憶を奪ったんだよ?」

ξ*゚听)ξ「なのに、なんで?」


川 ゚ -゚)「…う〜ん」

川 ゚ -゚)「怒る理由がないというか…、怒りが沸いてこないというか…」

川 ゚ -゚)「…そもそも覚えてないですしね」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…どうして、こんなことをしたんですか?」
136 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:12:06.38 ID:4zn4oRI30
 
ξ* )ξ「……思い出したの」

ξ* )ξ「昔のこと」

ξ* )ξ「そうしたら、自分だけがのけ者にされたみたいに感じて…」

ξ* )ξ「何だかわけが分かんなくなって…」

ξ* )ξ「……いつの間にか、鎌を振るってた」


川 ゚ -゚)「…」


ξ* )ξ「…」

ξ* )ξ「…でも、そんなことをしても一緒だった…」

ξ* )ξ「…何の救いもなかった」

ξ* )ξ「……ただ、クーを傷つけただけで」

ξ* )ξ「………何にも残らなかった」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「そうですか…」

138 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:14:31.62 ID:4zn4oRI30
 
ξ* )ξ「分かってたの…」

ξ* )ξ「結局、私はどこまでいっても一人ぼっちなんだって」

ξ* )ξ「……ただ、……わがままを言ってるだけなんだって」

ξ* )ξ「……」

ξ* )ξ「………………ごめん……なさい」



川 ゚ -゚)、「…」

川 - -)「…」


川 - -)ξ* )ξ ギュッ
    つ


ξ;゚听)ξ「んなっ!? は、離して!!」

川 - -)「しー…」

川 - -)「悲しいときは、誰かとそれを半分こにすればいいんです」

川 ゚ー゚)「前に、どこかで聞きました」
143 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:16:41.54 ID:4zn4oRI30
 
ξ;゚听)ξ「…ぁ」

川 - -)「一人ぼっちの人間なんていませんよ」

川 - -)「みんな、誰かと共に生きてるんです」

ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「誰かと…?」

川 - -)「そう」

川 - -)「…たぶん、私は皆が言うように強くはありません」

川 - -)「でも」

川 - -)「覚えてはいないですけど、感じるんです」

川 - -)「暖かい何かを」

川 - -)「心の奥に感じるそれがあるから」

川 - -)「どういう形であれ、今、ここに、私がいるんです」

ξ*゚听)ξ「…」

146 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:18:16.28 ID:4zn4oRI30
 

―それは、ほんの僅かな光

―心の闇に深く沈んだ、微かな思い出


ξ*゚听)ξ「…」

ξ*゚听)ξ「…わたしは……」

ξ*゚听)ξ「…わたしにも……」


ξ*゚听)ξ「あるのかな、それ」



―心の奥から、呼び起こすのは

―忘れてはいけない、大切なもの



川 ゚ー゚)「もちろん」

149 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:21:17.18 ID:4zn4oRI30
 
ξ*゚听)ξ「…」

ξ*;凵G)ξ 「…うっ」

ξ*;凵G)ξ「うわぁぁぁぁんっ…」


川 ゚ー゚)、「……よしよし」


ξ*;凵G)ξ「あぁぁぁぁぁん、ぐっす、うわぁぁぁぁん」

ξ*;凵G)ξ「ごめん、ごめんね、クー…」


川 ゚ -゚)「…」

川 -ー-)、「…いいんですよ、別に」

川 ゚ー゚)「覚えてなくても、生きてはいけますから」


ξ*;凵G)ξ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁんっ」

152 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:27:18.33 ID:4zn4oRI30
 
川 - -)「…」

川 - -)「(…?)」

川 - ゚)「(…ん? ……なんだろう?)」

川 ゚ -゚)「(……暖かい?)」


―クーが見たのものは、光

―腕の中で泣いている少女の奥底に輝く、微かな光


川 ゚ -゚)「…?」


―それは、意思

―見知らぬ誰かが残した想いの瞬き



川 ゚ -゚)「(…これは?)」

川 - -)「(…分からないけど、なぜだかほっとする、安心する)」
154 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:29:13.92 ID:4zn4oRI30
 
川 - ゚)「(……)」

川 - -)「(…私では彼女を慰めることができないけど)」

川 ゚ -゚)「(……あなたなら出来るのかな?)」


―クーは呼びかける

―ツンの心の光へ


川 ゚ -゚)「(……そんな気がする)」

川 ゚ー゚)、「(………誰かも知らないけれど)」


―見知らぬ誰かの名前を紡ぐ

―それはとても自然に口にすることができた


159 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:31:19.42 ID:4zn4oRI30
 




―おいで

―内藤ホライゾン





163 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:34:21.23 ID:4zn4oRI30
 

 サァ――……


「……ん」


ξ  )ξ「(……綺麗な指)」

ξ  )ξ「(…誰の手かしら)」

ξ  )ξ「(……花?)」

ξ  )ξ「(………ここは…)」


 ガバッ

ξ;゚听)ξ「…!?」

ξ ゚听)ξ「…どこ、ここ!?」


― 一面見渡す限りに桃色の花が咲いている

―ツンが目覚めたのは、その花畑のど真ん中だった

168 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:35:43.02 ID:4zn4oRI30
 
ξ;゚听)ξ「…ほ、ほぇー」

ξ;゚听)ξ「……夢、かしら?」

ξ ゚听 >⊂ ムィー

ξ ゚听)ξ「痛い」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「…あれ?」

ξ ゚听)ξ「なんだか、視界が広いよ…う……な」

ξ ゚听)ξ

ξ 。。)ξ


ξ;゚听)ξ「!!?」

ξ;゚听)ξ「お、大きくなってる!?」」

ξ;゚听)ξ「手も、足も…」

ξ;゚听)ξ「む、胸は…」

ξ   )ξ「……なんでこんなところだけリアリティに溢れてんのよ」

173 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:38:36.83 ID:4zn4oRI30
 
ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「夢…かな」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「……いっそのこと、全部、夢なら良かったのに」


「――随分とネガティブだお」


ξ ゚听)ξ「うっさいわね、しょうがないじゃ…」


ξ ゚听)ξ




ξ ゚听)ξ「……嘘…」


( ^ω^)「人の顔を見て嘘とは酷いお」


174 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:40:02.92 ID:4zn4oRI30
 
ξ ゚听)ξ「え…、だって…」

ξ ゚听)ξ「あんた…」

ξ ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「お?」

ξ ゚听)ξ「…ブ」


ξ ;凵G)ξ「ブーン!!!」


( ^ω^)「おっおっおっ、バッチコー…」

176 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:42:58.03 ID:4zn4oRI30
 


 ドゴスッ!!

   (゚ω゚ ;)・∴「ぼべらっ!!?」
ξ ;凵G)つ)



(;^ω^)「あ、相変わらず、いいものをお持ちで…」

(; ゚ω゚)「がはっ…!!」


ξ;゚听)ξ「はっ!?」

ξ;゚听)ξ「やだ…、ちょっとブーン、死んじゃヤだ!!」


177 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:45:57.39 ID:4zn4oRI30
 

……
………


(;^ω^)「まさか、二度目の死亡フラグ立つとは思わなかったお」

ξ;゚听)ξ「…ご、ごめんなさい」

( ^ω^)「いいお、昔のフライングドロップ金的よりはマシだお」

( ^ω^)「随分と大きくなったお」

ξ ゚听)ξ、「…うん」

( ^ω^)「あの頃から15年経つから、もう25かお」

( ^ω^)「四捨五入したら三十路だお!!」


   !?


ξ#--)ξつ)ω^)


180 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:47:31.96 ID:4zn4oRI30
 

……
………


(メ)^ω^)「うん、話が進まないお」

ξ#゚听)ξ「誰のせいよ!!」

(メ)^ω^)「すいません」


ξ ゚听)ξ、「…」

ξ ゚听)ξ「ねぇ、ブーン」

(∩^ω^)「お?」 フキフキ

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「これは夢?」

ξ ゚听)ξ「それとも幻かしら?」
182 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:48:59.73 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「…」

( ^ω^)「夢でも幻でもないお」

( ^ω^)「ここはツンの世界」

( ^ω^)「ツンの心の中だお」

ξ ゚听)ξ「…私の?」

( ^ω^)「だお」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「じゃあ、ブーンも私の心が生んだものなの?」

( ^ω^)「う〜ん、ちょっと違うお」

( ^ω^)「正確には、“呼び出された”んだお」

ξ ゚听)ξ「呼び出された? …誰に?」


( ^ω^)「素直クール」


( ^ω^)「あの子も随分と大きくなったお」

ξ ゚听)ξ「……クーが?」

183 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:50:52.31 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「おっおっ、随分と凄い能力だお」

( ^ω^)「ツンの心の奥底に眠っていたボクを引っ張り出したんだお」

( ^ω^)「ちょっと無理やりだったけど」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「…そう」

( ^ω^)「…?」

( ^ω^)「ツン、どうかしたお?」

ξ --)ξ「ううん、なんでもない」


ξ --)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「ねぇ」

ξ ゚听)ξ「ちょっと、歩かない?」

( ^ω^)「おっ? 把握だお」

186 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:52:20.05 ID:4zn4oRI30
 
ξ ゚听)ξ「…こういう風にブーンと歩くのも久しぶりだね」

( ^ω^)「まぁ、ぶっちゃけ15年ぶりだお」

ξ ゚听)ξ「二重か…」

( ^ω^)「長かったかお?」

ξ ゚听)ξ「…ううん、私は……忘れてたから」

( ^ω^)「…そうかお」

ξ --)ξ「昔は、良かったなぁ」

ξ --)ξ「ブーンがいて、ロマがいて、ハインさんがいて…」

ξ --)ξ「ギコもしぃも、ちっちゃかったなぁ」

ξ ゚听)ξ「…いつの間にか、背追い抜かれちゃった」

( ^ω^)「…」

ξ ゚听)ξ「今は、ブーンよりも大人になってるけど」

ξ ゚听)ξ「…元の私は、ずぅっと十歳のまま」

ξ ゚听)ξ「……あの日から私の時間は止まったまま」

( ^ω^)「…」
188 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:55:07.05 ID:4zn4oRI30
 
ξ ゚听)ξ「『幼年成熟』だっけ?」

ξ ゚听)ξ「…あのときはよく分からなかったけど、今なら少しは分かるわ」

ξ ゚听)ξ「ブーンは私のこと、本当のところ、どう思ってたの?」

ξ ゚听)ξ「実験材料として見てた、ってことなのかな?」

( ^ω^)「…」

ξ --)ξ「…」

ξ --)ξ「別にいいの、それでも」

ξ --)ξ「あのときは本当に楽しかったから…」

( ^ω^)、「…ツン」



ξ ゚ー゚)ξ「ねぇ」

ξ ゚ー゚)ξ「私、すっぱいもの食べれるようになったよ」

(;^ω^)「お?」

190 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:57:40.93 ID:4zn4oRI30
 
ξ ゚ー゚)ξ「ケーキも作れるようになった」

ξ ゚ー゚)ξ「ショボンに手伝ってもらってるけど」

( ^ω^)「…」

ξ ゚ー゚)ξ「ゲームも上手くなった」

ξ ゚ー゚)ξ「ダイプロの大会で優勝したんだよ」

( ^ω^)「……そうかお」


ξ ゚ー゚)ξ「…なんでかは知らなかった、でも、なんとなくやってた」

ξ ゚ー゚)ξ「……いつの間にか、その理由も忘れてたのね」

ξ - -)ξ「…」


ξ )ξ「ブーンの、……バカ」

ξ )ξ「なんで、私を置いていったのよ」

192 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 22:59:10.40 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ツンを、助けたかったからだお」

ξ )ξ「なんでよ…」

ξ )ξ「なんで、私なんか助けたのよ…」

( ^ω^)「…ツン」

( ^ω^)「言ったお、“ツンなしでは生きていけない”と」

( ^ω^)「だから、ボクは――…」


ξ#  )ξ「バッカじゃないの!?」


(;^ω^)「おっ…?」


ξ   )ξ「…私も」

ξ   )ξ「…ブーンなしじゃ生きていけなかったよ」

ξ   )ξ「だから消したの全部」

( ^ω^)「…」

195 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:01:25.09 ID:4zn4oRI30
 
ξ   )ξ「ずっと一緒だって言ったじゃない」

ξ ;凵G)ξ「……言ったじゃない」

( ^ω^)、「…おっ」

( ^ω^)「……ごめんだお」


ザァ――…ッ


―風が吹く

―ツンの心のざわめきを表すかのように、花も揺れた



( ^ω^)「あのとき、どうしてもツンを助けたかったんだお…」

( ^ω^)「どの道、ボクも長くなかったお」

( ^ω^)「だからボクは、自分が信じる最善の方法を取ったんだお」

ξ ;凵G)ξ「でも…!! だって……!!」

ξ ;凵G)ξ「ブーンがいなくなったら、何の意味もないじゃない!!!」

199 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:04:33.74 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「…お」

ξ ;凵G)ξ「私は……!!」

ξ ;凵G)ξ「私は一緒に死にたかった!!」


(  ω )「―――…っ」



(  ω )「…」

(  -ω-)「…」

( ^ω^)「ツン」

( ^ω^)「キミは、ボクが拾ってきたんだお」

( ^ω^)「雨に打たれて、びーびー泣いていたキミを」

( ^ω^)「抱きかかえて、ハインさんのところへ走ったんだお」

ξ ;凵G)ξ「…」

202 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:06:01.51 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「キミは、……ボクに似てたお」

( ^ω^)「寂しがり屋で、すぐに拗ねるところとか」

( ^ω^)「気が小さいくせに、大口を叩くところとか」

( ^ω^)「食べ物の好き嫌いが激しいところとか」

ξ ;凵シ)ξ「…」 ゴシゴシ

( ^ω^)「『幼年成熟』の指示を出したのは、ボクだお」

( ^ω^)「キミの身体は、病魔に冒されてたお」

( ^ω^)「病気の進行を止める代償として、身体の成長をストップさせたんだお」

ξ ゚听)ξ「…!」

ξ ゚听)ξ「…そ、それって」

( ^ω^)「……最初にハインさんが言ったお」

( ^ω^)「『家族を作ろう』って」

( ^ω^)「…あの人も、ロマも、……そして、ボクも」

( ^ω^)「寂しかったんだお」

( ^ω^)「自分一人では生きていけないぐらい」
204 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:07:23.49 ID:4zn4oRI30
 
ξ ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「今更、弁解するつもりはないお」

( ^ω^)「ツンが苦しんだことはよく知ってるから」

( ^ω^)「……ボクは全て知っていて黙ってた」

( ^ω^)「………キミに知らせるのが怖かったから」


(  -ω-)「……最低だお」


ξ ゚听)ξ「…」



―静寂が場を包み込む

―風は、いつの間にか止んでいた


208 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:11:17.80 ID:4zn4oRI30
 
(  ω )「償い、というわけじゃないお」

(  ω )「…ただ」

(  ω )「キミには生きて欲しかった」


(  ω )「…」

(  ω )「たぶん、それは…」

(  ω )「ボクがツンを好きだから」


(  ω )「ごめん、ツン」

( ^ω^)「……でも、大好きだったお」





ξ   )ξ「………違う」


(;^ω^)「おっ?」

210 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:12:53.67 ID:4zn4oRI30
 
ξ   )ξ「言ったじゃない、そんなのどうでもいいの…」

ξ   )ξ「…私はあなたがいれば」

ξ   )ξ「……ただ、あなたと一緒にいれれば良かったのに」


( ^ω^)「…」


ξ   )ξ「それに…」

ξ   )ξ「『大好きだった』じゃない…」


ξ ;凵G)ξ「そういうときは、『大好きだ』って言うのよ、この大バカぁ!!」



―ツンがブーンを抱きしめる

―強く

―もう二度と離さない様に

212 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:14:07.09 ID:4zn4oRI30
 

(;^ω^)「痛っ!? 背骨がひん曲がる!?」

(;^ω^)「これが三十路パワー!!?」

ξ#;凵G)ξ「三十路じゃねぇぇぇ!!!」



(  ゚ω゚)「のおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」



―ブーンの絶叫が、花畑に響いた


216 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:17:37.59 ID:4zn4oRI30
 
ξ ;凵G)ξ「ねぇ、ブーン」

(;^ω^)「…はぁはぁ……うぐぅ、な、なんだお?」

ξ ;凵G)ξ「ずっとここにいて?」

(;^ω^)「…おっ」

ξ ;凵G)ξ「言ったよね、ずっと一緒にいてくれるって」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)、「……ツン」

ξ ;凵G)ξ「嫌よ! また離れるなんて!!」

ξ ;凵G)ξ「ブーンのいない未来なんていらない!!」

ξ ;凵G)ξ「ブーンと別れる過去もいらない!!」

ξ ;凵G)ξ「今があればいい!! 今、ここにブーンがいてくれるだけでいいの!!」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「ツン…」

( ^ω^)「……それは無理だお」

219 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:18:55.00 ID:4zn4oRI30
 
ξ ;凵G)ξ「どうして!?」

( ^ω^)「ボクは言うなれば、元の内藤ホライゾンの欠片だお」

( ^ω^)「クーの力を借りてこの場にいるけれど」

( ^ω^)「ボクとツンが会える時間なんてほんの僅かなんだお」

ξ ;凵G)ξ「……そんな」

ξ ;凵G)ξ「嫌よ、ブーン!! 行っちゃ嫌!!」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「…相変わらずわがままだお」

( ^ω^)「大きくなってもそこはちっとも変わってないお」


ξ ;凵G)ξ「変わんなくてもいい!!」

ξ ;凵G)ξ「子供でもいい!! 大きくなれなくてもいい!!」

ξ ;凵G)ξ「一緒に、一緒にいてよ!! ブーン!!!」


220 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:21:01.97 ID:4zn4oRI30
 
(  -ω-)「…」

(  -ω-)「ツン、言ったお?」

(  -ω-)「ずっと一緒だと」

(  -ω-)「約束したお?」

ξ ;凵G)ξ「…したよ、約束した」

ξ ;凵G)ξ「でも、ブーンはいなくなっちゃったじゃない」

ξ ;凵G)ξ「私に何にも言わないで、いなくなっちゃったじゃない…」


(  -ω-)「…そんなことないお」

(  -ω-)「ずっと、ボクはツンの傍にいたお」

222 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:22:28.72 ID:4zn4oRI30
 
ξ ;凵G)ξ「嘘よ! どこに…!!」

( ^ω^)「ここに」


―ブーンはツンの胸を指差す


ξ;///)ξ「んなぁ!? へ、変態!!!」

(;^ω^)「違うお!!」

(;^ω^)「大体、ツンの胸には隠れるスペースなんてないお!」

ξ;///)ξ



( ^ω(メ)「いや、だからね、ここだお」

225 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:24:50.46 ID:4zn4oRI30
 
ξ ;凵シ)ξ「…どこよ」 ゴシゴシ

( ^ω^)「心の底だお」

ξ ゚听)ξ「心の……底?」

( ^ω^)「そうだお」

( ^ω^)「人は、脳だけじゃなくて、心にも記憶するんだお」

( ^ω^)「頭が忘れても、心が覚えている」

( ^ω^)「それは決して消せないものだから」

( ^ω^)「ボクはツンの心の中で生きてたんだお」

ξ ゚听)ξ「…私の心の中で?」

( ^ω^)「そうだお」

( ^ω^)「この心は、ずっと、君と一緒に」

( ^ω^)「それが、ボクからツンへの最期の贈り物だお」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ ゚听)ξ「心は、一緒に――…」

( ^ω^)「だお」
228 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:26:57.98 ID:4zn4oRI30
 
―ツンは、思う


―この人は

―この目の前にいるにやけ面は


―本当に




―バカなのだと



(;^ω^)「あれぇ!? かっこいい事言ったつもりなんだけど…?」



ξ - -)ξ「…本当にバカ」


ξ - -)ξ「…でも」

ξ ;ー;)ξ「…でも、大好きだよ、ブーン」


230 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:28:58.08 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「…」

( ^ω^)、「お…」


―花が散る


―鮮やかな桃色が散った後、一斉に視界がきらめく

―眼前に広がるのは、見渡す限りの稲穂畑


ξ - -)ξ「…」


( ^ω^)「…お」

( ^ω^)「これは……」

ξ ゚听)ξ「…記憶の場」

ξ ゚听)ξ「刈り取った記憶を束ねておく場所」

( ^ω^)「…おぉ」

ξ ゚听)ξ「…」

ξ - -)ξ「ねぇ、ブーン」
232 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:30:18.96 ID:4zn4oRI30
 
( ^ω^)「お?」

ξ --)ξ「私ね、辛い記憶はいらないって思ってた」

( ^ω^)「…」

ξ --)ξ「嫌なことは忘れればいいし」

ξ --)ξ「悲しい過去は捨てればいいって思ってた」

( ^ω^)「…」

ξ --)ξ「でも、ね」


ξ --)ξ「それじゃ、ダメなんだね」


( ^ω^)「…おっ」

( ^ω^)「ボクもそう思うお」


233 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:31:46.36 ID:4zn4oRI30
 
ξ - -)ξ「…うん」

ξ - -)ξ「…それでね」



ξ ゚听)ξ「一つだけ、お願いがあるの」






235 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:33:02.03 ID:4zn4oRI30
 


川;゚ -゚)「……はっ!?」


川;゚ -゚)「…」


川 ゚ -゚)「…なんだろう、さっきのは」

川 ゚ -゚)「……白昼夢、か?」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「あれ?」


―いつの間にか、ツンは消えていた

―カーテンの奥、衣擦れの音の向こうに、人影が見える


川 ゚ -゚)「…」


236 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:34:35.55 ID:4zn4oRI30
 
川 ゚ -゚)「…ツンちゃん?」


ξ   )ξ「や、ク−」

ξ   )ξ「さっきは、ありがと…」

ξ   )ξ「それと、ごめんね」

ξ   )ξ「…お陰で、ようやく分かった」


川 ゚ -゚)「…?」


―声が静かに響く

―幾分か大人びて聞こえるが、その声は確かにツンだった


ξ   )ξ「…」

ξ   )ξ「自分の中の、大切な人」

ξ   )ξ「私は一人じゃなかった」

ξ   )ξ「ただ、それに気付けなかっただけ」

248 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:43:03.70 ID:4zn4oRI30
 
ξ   )ξ「そして、それを教えてくれたクーも一人じゃないんだよね」

ξ   )ξ「忘れていても分かる…」

ξ   )ξ「それは、心が覚えているから」


ξ   )ξ「…」

ξ   )ξ「本当にごめんね、クー」

ξ   )ξ「色々と迷惑をかけたね」

ξ   )ξ「もう大丈夫、……もう大丈夫だから……」



ξ   )ξ「あなたに記憶を返すわ」



―さぁっ、とカーテンが風に舞う


ξ*゚ー゚)ξ「…」

川;゚ -゚)「…あ、れ?」
251 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:44:53.14 ID:4zn4oRI30
 
ξ*゚ー゚)ξ「ん、何か変かな?」

川;゚ -゚)「いや、そういうわけじゃないんだけど」


―外見はさっきと何も変わらない

―しかし、彼女は、まるで別人のように大人びた目をしていた


ξ*゚ー゚)ξ「はい、クー。手」


川;゚ -゚)「え? あ、はぁ…」


ξ*゚ー゚)ξ「綺麗な指、優しい手ね」

ξ*゚ー゚)ξ「ま、私にはちょっと劣るけど」


川;゚ -゚)「はぁ…」

253 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:46:51.26 ID:4zn4oRI30
 
ξ*-ー-)ξ「…本当にありがとう、クー」

ξ*゚ー゚)ξ「あなたがいなければ、ずっと私は迷ってた」

ξ*゚ー゚)ξ「ずっと皆に背を向けて、泣いていた」

ξ*゚ー゚)ξ「……それは間違いなのにね」


川 ゚ -゚)「…」


ξ*゚ー゚)ξ「ブーンから、受け継いだのは“命”と…」

ξ*゚ー゚)ξ「“与える力”」

ξ*゚ー゚)ξ「テレポート能力とかも少しは使えるみたいだから、何かあったら助けてあげる」

ξ*-ー-)ξ「もっとも、そんな必要はないだろうけど」


川 ゚ -゚)、「そんなことは…」
255 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:48:27.79 ID:4zn4oRI30
 
ξ*゚ー゚)ξ クスクス…

ξ*゚ー゚)ξ「やっぱり、さ」

ξ*゚ー゚)ξ「強いよ、クーは」


川;゚ -゚)「…??」


ξ*゚ー゚)ξ「私が知ってるなかで、最強、ちょー強いもん」

ξ*゚ー゚)ξ「だから、頑張って」


ξ*-ー-)ξ「――想いはきっと届くから」



―ツンの手がほんのりと光る

―暖かく、柔らかい光が、クー自身を包み込んでく



川 ゚ -゚)「……―――




256 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:50:09.26 ID:4zn4oRI30
 


川- -)「やぁ」

川- -)「久しぶりだね」


―そこは、いつか見た白の世界


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…誰ですか?」


―そして、目の前に立つのは


川- -)「誰、とは心外だなぁ」

川- -)「私は、“わたし”」

川- -)「つまり、あなただよ」



―いつか見た、自分の姿
260 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:52:11.23 ID:4zn4oRI30
 
川;゚ -゚)「…私?」


川- -)「そうさ」

川- -)「あなたの中の弱い部分さ」


川 ゚ -゚)「…私の、中の、弱い…」


川- -)「昔、あなたは友人を裏切った」

川- -)「覚えているだろう?」

川-∀-) グニャリ…


|゚ノ^∀^)「私を?」


川;゚ -゚)「レ、レモナ…?」

川;゚ -゚)「…ぁ…あぁ」

川;゚ -゚)「そうだ、私は……」
263 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:54:07.38 ID:4zn4oRI30
 
|゚ノ^∀^)「そう、あなたは私を裏切った」

|゚ノ^∀^)「私から捨てられたかもしれないという、脅迫観念に取り付かれて」

|゚ノ^∀^)「私から、逃げ出した」


川;゚ -゚)「……ぅ…あ」


川- -)「…まぁ、事実はどうか知らないけどね」

川- -)「いや、むしろ、これこそが事実とも言えるかな」


川; - )「…ぁ」


川- -)「あなたは、結局、またドクオを頼った」

川- -)「彼という免罪符で許された気になっている」


川; - )「…」


264 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:55:58.71 ID:4zn4oRI30
 
川- -)「でも、それは違う」

川- -)「過去からは、―――自分からは逃げられない」


川- -)「さぁ、どうする?」

川- -)「記憶と共に過去を……、そして私を、受け入れる?」

川- -)「それとも、もう一度忘れとく?」



川; - )「…」

川; - )「私は……」



川- -)「私は?」



川  - )「私は…」


268 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/20(金) 23:58:31.59 ID:4zn4oRI30
 

川;゚ -゚)「…受け入れる」

川;゚ -゚)「……過去と、…そして、自分と向き合う…!」



川- -)「…へぇ」

川- -)「あなたにそれが出来るかな?」


川 - -)、「自信はない、けど…」

川 ゚ -゚)「でも、私には仲間がいる」

川 ゚ -゚)「私は弱いけど、仲間がいる」

川 ゚ -゚)「頼るのではなく、一緒に戦ってくれる仲間がいるから」


川- -)「後悔は?」


川 -ー-)、「しないよ」

川 ゚ー゚)「もしするとしても、前に進んでから」

川 ゚ー゚)「ゆっくり後ろを見ることにするよ」

269 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:00:35.49 ID:lNN3pM190
 
川- -)「…」

川- -)「…そう」

川- -)「あなたがそう決めたなら、それでいいわ」

川- -)「……まぁ、別にね」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)つ「…ん」


川- -)「…?」


川 ゚ -゚)つ「…握手」


川- -)「…あ」

川- -)「…」

川- -)「…なんでよ」
274 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:04:10.45 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「照れてるの?」


川- -)「照れてない」


川 ゚ー゚)「そっか」

川 ゚ー゚)つ「じゃあ、ほらっ」



川- -)「…」

川- -)、「…」


川- -)っ「……ん」



―二人が手を取り合う


―それは、自分と自分の邂逅

―自らを見つめ、自らを認めること
278 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:06:43.66 ID:lNN3pM190
 
―光と影が溶け合うように

―白が薄れ



―世界は開けていく



川  - )「…――――」


川 - -)「…」

川 ゚ -゚)「…」 パチッ

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「病院…?」


川 ゚ -゚)「そうか……、私は……」


「…よかった」


283 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:08:58.70 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「…ツン」


ξ*゚ー゚)ξ「うん」


川 ゚ -゚)「…」

ξ*゚ー゚)ξ「…」

川 ゚ -゚)「…」

ξ*゚ー゚)ξ「…?」

川 ゚ -゚)「…」

ξ*゚ー゚)ξ「…クー?」

川 ゚ -゚)「なんだ?」


ξ*゚ -゚)ξ「ん〜…」

285 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:11:07.43 ID:lNN3pM190
 
ξ*゚ -゚)ξ「1+1は?」


川 ゚ -゚)「1+1」


ξ*゚ -゚)ξ「いい国作ろう?」


川 ゚ -゚)「税金払おう」


ξ*゚ -゚)ξ「好きなゲームは?」


川 ゚ -゚)「ファイナルファイト」



ξ*゚ー゚)ξ「…ん」

ξ*゚ー゚)ξ「…戻ったみたいだね」


川 ゚ -゚)「あぁ」

川 ゚ -゚)「(…私を何だと思ってるんだろうか)」
288 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:12:45.74 ID:lNN3pM190
 
ξ*- -)ξ「クー、本当に……ごめんね」

川 ゚ -゚)「いや、いいんだ」

川 ゚ -゚)「…」

川 - -)「…お陰で色々と気付くことができたよ」

ξ*゚ー゚)ξ「…そう」

ξ*-ー-)ξ「…良かった」


ξ*-ー-)ξ「…」

ξ*゚ー゚)ξ「…じゃあ、私は行くね」


川 ゚ -゚)「行く? ……どこにだ?」


ξ*゚ー゚)ξ「…んー」

ξ*゚ー゚)ξ「…」

ξ*゚ー゚)ξ「ちょっと、ヤボ用」

ξ*-ー-)ξ「返さなくちゃいけないものが、たくさんあるから」

293 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:14:27.60 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「…そうか」


ξ*゚ー゚)ξ「…それじゃ」


川 ゚ -゚)「待て、ツン」


ξ*゚ー゚)ξ「ん、何?」


川 ゚ -゚)「…戻ってくるのは?」


ξ*゚ー゚)ξ「…」

ξ*-ー-)ξ、「ま、そのうち」


川 ゚ -゚)「そうか」

川 ゚ -゚)「…待ってるぞ」


ξ*-ー-)ξ「…」

ξ*-ー-)ξ「…ありがと」

296 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:16:24.60 ID:lNN3pM190
 
ξ*゚ー゚)ξ"「じゃ……、あぁ、クー」


川 ゚ -゚)「ん?」


ξ*゚ー゚)ξ「外で彼氏が待ってるよ」

ξ*゚ー゚)ξ「随分と弱ってるみたいだから…」

ξ*゚ー゚)ξ「早く行ってあげたほうがいいかも」


川 ゚ -゚)「…は?」


ξ*゚ー゚)ξ、「…」

(¥ξ*゚)「それじゃ」


 「…またね」




川;゚ -゚)「? …あ、あぁ」


297 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:19:32.50 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「彼氏…?」

川 - -)「…」

川 - -)「…う〜ん」

川 - -)「…う〜…ん」

川 - -)「…( ∵)」


川;゚ -゚)「いかん、それは別作品だ」


川 ゚ -゚)「…えっと、誰だ」

川 ゚ -゚)「彼氏、彼氏、彼氏…」

川 - -)「…」

川 - -)「…」

川 ゚ -゚)「分かんね」
304 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:21:40.37 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「……雨、本降りだな」

川 ゚ -゚)「…雨」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「…まさかな」


川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「一応、確認のために行ってみるか」

川 ゚ -゚)「一応」

川 ゚ -゚)「うん、一応な」


309 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:23:33.09 ID:lNN3pM190
 



(´ー`;)『があぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』


―絶叫をあげたのは、シラネーヨだった

―彼の肩に、一つ大きな風穴が開いていた


(´ー`;)『き、貴様ぁ!! 何を…!?』

(´ー`;)『……!!』


≫ (メ)'Aメ) ≪「…」



―言ってから、気付く

―ドクオに攻撃されたのだと

―瀕死だと思っていた人間に攻撃されるなど、考えてもいなかった


(´ー`;)『……ぐぅぅぅっ』

314 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:25:49.57 ID:lNN3pM190
 
≫ (メ)'Aメ) ≪「(あー……、ちくしょう)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(狙ったつもりだったんだけどな)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(……攻撃の合間)」


―ドクオが狙ったのは、シラネーヨが攻撃に移るその瞬間

― 一点集中させた雷撃で、彼を貫いたのだ


≫ (メ)'Aメ) ≪「(…奴の身体はいつの間にか、雨に濡れていた)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(……それは、たぶん、攻撃の際にはあのシールドを解かなければいけないから)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(それなら、狙うのは攻撃のときってことになる)」

≫ (メ)'Aメ) ≪「(チャンスだったんだけどなぁ…)」


≫ (メ)'Aメ) ≪「…外したか」

v

316 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:27:18.35 ID:lNN3pM190
 

(´ー`;)『…っ!!』



バッツン!!



≫ (メ)゚Aメ) ≪「がっ!!!」


―左肩が弾ける

―転がり悶えるドクオ


(´ー`;)『…』

(´ー`;)『……はぁ、はぁ』

(´ー` )『無駄な足掻きをするな…ーヨ』


≫ (;)'Aメ) ≪「ぐっ……、こんにゃろぉ…」

318 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:29:19.04 ID:lNN3pM190
 
(´ー` )『…オレのシールドは、半径50mどこにでも出現させることができるーヨ』

(´ー` )『オレの周囲に張り巡らせることも、お前の身体の内側に仕込むことも、な』

(´ー` )『……が、しかし、油断したヨ』

(´ー` )『大した奴だーヨ、お前は』

(´ー` )『まぁ、聞こえちゃいないだろうけどヨ』


≫ (;)'Aメ) ≪「…っ、ぐっ…」


(´ー` )『…両腕は潰した』

(´ー` )『もう何もできやしねーヨ』


≫ (;)'Aメ) ≪「……」



(´ー` )『今度こそ、――死ね』


―シラネーヨが、ドクオの顔面に狙いを定める



319 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:31:35.72 ID:lNN3pM190
 

≫ (;)'Aメ) ≪「……」



―つまり

―この時点でも彼は、攻撃の動作に移っていた



≫ (;)'Aメ) ≪「…」

≫ (;)'Aメ) ≪「……守ってりゃあんたの勝ち、だったんだけどな」


(´ー` )「…?」


≫ (メ)'Aメ) ≪「…降ってるのは、雨だけじゃないってことだよ」



323 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:34:45.28 ID:lNN3pM190
 


ガカカッ!!!!



(´ー ;)『………!!?』



―空が


ガラガラガラッ!!!!!


―轟音と共に、落ちる




( д  )『がああああああああああああああああああああ!!!!!?』




―極大の落雷が、シラネーヨを身体を貫いた



324 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:36:46.45 ID:lNN3pM190
 
≫ (メ)'Aメ) ≪「…へっ」

> (メ)'Aメ) < パリリッ…

(メ)'Aメ) フッ

(メ)'Aメ)「ドックン、頑張ったよ」

(メ)'Aメ)「やったね、タエちゃん」

(メ)'Aメ)「…」


(メ)'Aメ)「…がはっ、ごほっ」

(メ)'Aメ)「……アホなことやってる場合じゃねぇ」


―フラフラと、ドクオが立ち上がる


(メ)'Aメ)「……う〜ん、死にそう」

(メ)'Aメ)「…」

(メ)'Aメ)「さすがにあれを食らって、立ち上がりはしねぇだろうな…」

≫ (メ)'Aメ) ≪「……確認しとくか」

327 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:41:15.72 ID:lNN3pM190
 


 「――――ドクオ!?」



(メ)'Aメ)「……ん?」



―そこに、声が掛かった

―振り返ってみると



川;゚ -゚)「…」



(メ)'Aメ)「…クー」



―彼女がいた


331 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:43:16.01 ID:lNN3pM190
 
川;゚ -゚)「…」

川;゚ -゚)「??」


川 ゚ -゚)「(あれは、ドクオだよな……、うん、ドクオだ)」

川 ゚ -゚)「(多少顔が歪んでるが、元からそう変わってないし、間違いない)」

川 ゚ -゚)「(…つまり、ドクオが彼氏ってことか?)」

川 ゚ -゚)「(いや、いやいやいやいやいや)」

川 ゚ -゚)「(そんな風になった記憶はないぞ…?)」

川;゚ -゚)「(…はっ!!)」

川 ゚ -゚)「(まさか、私が記憶喪失なことをいいことに…あんなことや、こんなことを…!?)」

川 ゚ -゚)「(……全然覚えてないが、……いや、しかし…)」



(;)'Aメ)「あ、あの? クー…?」


川;゚ -゚)「寄るな、このケダモノ!!!」

339 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:45:17.72 ID:lNN3pM190
 

(;)'Aメ) ガーン



(;)'Aメ)「…ちょっ、何言ってんだ?」

(;)'Aメ)「ケダモノじゃないよ、いや、マジで」


川;゚ -゚)「そんな顔で言われても説得力はないぞ!」


(;)'Aメ) ガガーン



(;)'Aメ)「なんだか酷くね? 何なのドSなの?」

(;)'Aメ)「昔はこんな子じゃなかったのに…」

346 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:48:29.55 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「……昔?」

川 ゚ -゚)「…昔って、いつだ?」


(メ)'Aメ)「え? いつ、って……ずっと前だよ、ガキの頃」

(メ)'Aメ)「小学生ぐらいだっけか」


川 ゚ -゚)「…小学生って、私とお前が会った頃か?」


(メ)'Aメ)「そうそう、ラウンジ山で」


川 ゚ -゚)「約束したな」


(メ)'Aメ)「おー、そうそう」


川 ゚ -゚)「…」


(メ)'Aメ)「…あれ?」

348 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:50:07.20 ID:lNN3pM190
 
川 ゚ -゚)「ドクオ、お前……」

(メ)'Aメ)「クー、まさか……」



川 ゚ -゚) 『記憶が――…』 ('Aメ )



―二人が同時に言葉を発した時


―その後方で

―殺気が膨れ上がった




(`ー´##)『ラブコメは他所でやってもらおうじゃねーノ!!!!!!』




川;゚ -゚)「っ!?」

(;)'Aメ)「んだと!?」
352 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:51:31.00 ID:lNN3pM190
 


(`ー´##)『手前ら、まとめて、全部死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!』



川;゚ -゚)「危なっ…!!」

(;)'Aメ)「危ない、クー!!!」







 バグンッ!!!




   : :・ .



358 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:54:16.60 ID:lNN3pM190
 


―それはいつかと同じ光景



―ただ今度は





川;゚ -゚) :・「…ぁ」



.:( Aメ;):・ :「がっ……」




―男が女を庇っていた



361 : ◆SEOMSVVqUg :2009/02/21(土) 00:55:37.98 ID:lNN3pM190
 

(`ー´##)『ヒャハッ』

(`ー´##)『ヒャァハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!』




川;゚ -゚)「ド……」




「ドクォォォォォォォォォォォォォオ!!!!!!」




―止まない雨の中

―悲痛な叫びが、空へと溶けていった



第三十六話了

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