437 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:35:53.21 ID:QNl8jkDT0
 

気が付けば、病院だった


身体を動かすと鈍い痛みが走る

あれよりもう5日が経つ


あの日

人がたくさん死んで

ダイプロは焼け落ちた


ハインと、内藤くんは行方知れず

おそらく生きてはいまい


生き残ったのは

ツン、ギコ、しぃ、子ハイン、の子供たち


そして、自分と

440 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:36:57.84 ID:QNl8jkDT0
 


バタン!!!!!




(#ФωФ)「主任!!! これはどういうことですか!!!!」





…――ロマネスク




443 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:37:47.79 ID:QNl8jkDT0



川 ゚ -゚)エスパークーのようです

    −第三十一話(裏):モナーとロマネスク−



446 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:38:53.03 ID:QNl8jkDT0
 
(´∀` )「…」

( ´∀`)「…どうもこうもないモナ」


( ФωФ)「どうもこうもあります!」

( ФωФ)「…一体、なにがあったんですか」


( ´∀`)「…」

( ´∀`)「大火事だったモナ」


( ФωФ)「違う!」

( ФωФ)「オレは、そんなことを聞いているんじゃありません」


( ´∀`)「…」

( ´∀`)「どうしてそんなことを聞くモナ」


( ФωФ)「これがただの火事じゃないからです」

451 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:40:12.05 ID:QNl8jkDT0
 
( ´∀`)「なんでそう思うモナ」


( ФωФ)「…」

( ФωФ)「……何人、死にましたか」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「少なくとも、両の手で足りないほどの人は死んだはずです」

( ФωФ)「しかし、ニュースで流れる様子もない」

( ФωФ)「報道規制がかかっているでしょう」

(#ФωФ)「人に聞けば映画用の撮影だと…、そんなわけがあるか!!」


( ´∀`)「…そう、モナか」

( ´∀`)「やはりモナたちは、捨てられたモナか」

( ФωФ)「…?」

( ´∀`)「…」


452 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:41:25.25 ID:QNl8jkDT0
 
( ФωФ)「…確か」

( ФωФ)「確か、あの日はアメリカから来客があるという話でしたね」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「そうだったモナか」

( ФωФ)「間違いありません」

( ´∀`)「…そういえば」

( ´∀`)「ロマはどこに行っていたモナ…?」

(;ФωФ) ギクッ

(;ФωФ)「そ、そんなことはどうでもいいでしょう!」


( ´∀`)「…」

( ´∀`)「まぁ、あの現場にいなかっただけ幸せモナ…」

( ФωФ)「…」

457 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:42:36.08 ID:QNl8jkDT0
 
( ФωФ)「前に、アメリカと揉めていると話は聞いたことがあります」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「あの火事は、アメリカ絡みと考えていいですね」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「…」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「主任」

( ФωФ)「あなたとの付き合いも浅くない」

( ФωФ)「しかし、ハインさんはオレを拾ってくれた人、内藤は共に過ごしてきた友人だ」

( ФωФ)「この二人の行方が分からないのを、黙っているわけにはいかない」

( ФωФ)「…」

( ´∀`)「…ロマネスク」

( ФωФ)「…なんです?」

( ´∀`)「子供たちは…?」

459 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:43:49.61 ID:QNl8jkDT0
 
( ФωФ)「…」

( ФωФ)「……無事、ですよ」

( ФωФ)「しぃ以外はね」

(;´∀`)「しぃが、どうかしたモナ!?」

( ФωФ)「知りませんでしたか」

( ФωФ)「両足を酷くやられています、視力も怪しい……正直、生きているのが不思議なぐらいです」

( ´∀`)「そんな…」

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「ツンにいたっては、記憶障害が見えます」

( ФωФ)「我々の名前が辛うじて分かる程度です」

( ФωФ)「…無事なのは、ギコとハインだけですが」

( ФωФ)「ギコは知らない、ハインは喋りたくない」

( ФωФ)「何があったか、全く分かりません」
 
461 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:44:48.71 ID:QNl8jkDT0
 
( ФωФ)「だから、あなただけが頼りなんです」

( ФωФ)「答えてください」

( ФωФ)「あの日、何があったんですか」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「…」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「どうしても答えないつもりですか」

( ´∀`)「すまないモナ」

( ФωФ)「………また来ます」

( ´∀`)「…」

(ФωФ )「…」


ガチャリ
バタン

466 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:46:03.95 ID:QNl8jkDT0
 
( ´∀`)「…」

( ´∀`)「(真実を言うわけにはいかない)」

( ´∀`)「(誰がどこで聞いているかも分からないモナ)」

( ´∀`)「…」


( ´∀`)「(でも…)」

( ´∀`)「(こうして、モナや子供たちが生きているというとは…)」

( ´∀`)「(モナたちは、見逃されたモナか…?)」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「(かと、言ってこれからどうするモナ)」

( ´∀`)「(施設もない。人もいない。いるのは、数人の子供たちだけ)」

( ´∀`)「…」


( ´∀`)「(…ハイン、キミならどうするモナ?)」

469 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:47:08.39 ID:QNl8jkDT0
 



(;ФωФ)「どういうことですか…?」


―さらに、数日が経った頃

―退院したモナーに呼び出されたロマネスクは、自分の耳を疑った


( ´∀`)「言ったとおりモナ」

( ´∀`)「ダイプロを再建するモナ」


―ダイプロの再建

―ロマネスクは、それに驚いたわけではない



( ФωФ)「そういうことを言いたいんじゃない」

( ФωФ)「“火事はなかったことにする”というのは、どういうことですか!?」

472 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:48:03.91 ID:QNl8jkDT0
 
( ´∀`)「…」

( ´∀`)「あの火事は痛ましい事件だったモナ」

( ´∀`)「子供たちが生きているのは、不幸中の幸いだモナ」

( ´∀`)「あえて、辛いことを思い出させることもないモナ」

( ФωФ)「……あなたは、あなたは自分が何を言っているか分かってるのか」

( ´∀`)「…わかってるモナ」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「モナのすべきことは、ダイプロをもう一度立て直すこと」

( ´∀`)「あの家を、あの家族を、取り戻すこと」

( ´∀`)「きっと、ハインもそうするモナ」


(#ФωФ)「そんなわけがあるか!!」


( ´∀`)「…」

( ФωФ)「…」
477 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:49:03.57 ID:QNl8jkDT0
 
( ФωФ)「忘れたわけではないでしょう…?」

( ФωФ)「皆が忘れても、あなたは覚えているはずだ」

( ФωФ)「あそこの価値を」

( ФωФ)「研究所や、施設としてではない、ダイプロという場所の価値を」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「ここ数日、必死に調べて分かったことがある」

( ФωФ)「やはり、あの火事はアメリカ絡みだ」

( ФωФ)「不審な外人を見かけたという話も僅かながらにある」

( ´∀`)「…」


( ФωФ)「あなたは闘うべきだ」

( ФωФ)「闘うべき相手がいる」

( ФωФ)「死んだ者たちのため、子供たちのため、そして、自分のために」
479 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:50:45.80 ID:QNl8jkDT0
 
( ´∀`)「…」

( ´∀`)「…モナはもう血をみたくないモナ」

( ´∀`)「この世には逆らえないものがある、今回の件でよく分かったモナ」

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「それは、アメリカという意味ですか」

( ´∀`)「…何と取ってもらっても結構だモナ」

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「はっ」

( ФωФ)「はは、ははははははははっ」

( ´∀`)「…?」

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「そんなことで、何を取り戻せると?」

( ФωФ)「先ほど、取り戻すと言いましたね」

( ФωФ)「闘わずして何を取り戻す?」

484 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:52:32.22 ID:QNl8jkDT0
 

(#ФωФ)「ダイプロは死んだ!! ハインさんもブーンも消えた!!!」

(#ФωФ)「取り戻す気概もなければ、取り戻すモノすらない!!」

(#ФωФ)「失ったものはかえってこない!! 取り戻すことなんてできやしない!!」


( ´∀`)「…」

( ´∀`)「それでも、取り戻してみせるモナ」

( ФωФ)「それは、逃げてるだけにすぎない…」

( ´∀`)「…」

( ´∀`)「逃げることは悪ではないモナ」

( ФωФ)「…」

( ´∀`)「…」

( ФωФ)「それが…」

( ФωФ)「それが、あなたの選択か…!」

( ´∀`)「そうモナ」
489 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:54:41.79 ID:QNl8jkDT0
 
( ФωФ)「…」

( +ω+)「…そうか」

(#ФωФ)「歯を、食いしばれ…!!」

( ´∀`)「…!」


  ――バキッ!!!


(メ) ∀`)「……っ」

( ФωФ)「…」

( ФωФ)「……オレは、ここを出ます」

(メ) ∀`)「…」

(メ) ∀`)「そうモナか…」

( ФωФ)「オレは、オレなりの」

( ФωФ)「あなたとは、…あんたとは、違う答えを探す」

( ФωФ)「全てを明るみ出して、全部叩き潰す」
491 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:55:15.22 ID:QNl8jkDT0
 
(メ) ∀`)「…」

(メ) ∀`)「そう、モナか…」

(メ) ∀`)「…身体には、気をつけるモナ」

( ФωФ)「…」

( +ω+) ペコリ…




ガチャリ
バタン…!





(メ)∀`)「…」

(メ)∀`)「ハイン…」

(メ)∀`)「モナは……間違っているモナ?」

(メ)∀`)「教えてくれ…モナ」

493 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:56:33.99 ID:QNl8jkDT0
 
―※―※―※―※―※―※―※―※―※―※―

  ヴヴッ…ヴン


  (‘_L’)「こんにちは」

  (‘_L’)「このたび、エスパゴンの新主任となったフィレンクトと申します」


  (‘_L’)「今回は、大変お気の毒なことでした」

  (‘_L’)「フォックスはダイプロの技術の強奪・悪用を企み」

  (‘_L’)「そちらに揺さ振りをかけていたようです」

  (‘_L’)「遅々として進まない計画に業を煮やした彼は、組織のエスパーを誑(たぶら)かし、事に及んだようです」

  (‘_L’)「この度の件は、私どもの組織の長が引き起こしたことであり、組織の責任とも言えます」

  (‘_L’)「トップが腐った組織は、次第に隅々末端まで腐ってしまうものです」


  (‘_L’)「しかし、私共はこう考えます」

  (‘_L’)「今回の件で膿は出せたのではないかと」

  (‘_L’)「これは生まれ変わるチャンスではないかと」

494 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:57:22.17 ID:QNl8jkDT0
 
  (‘_L’)「ハイン博士、内藤助手、…優秀な人材を失ってしまったことは非常に残念です」

  (‘_L’)「今回の犠牲は非常に尊く、世界にとっての大いなる損失といえるでしょう」

  (‘_L’)「しかし、それは、そちらもこちらも同じこと」

  (‘_L’)「こういった時こそ、手を取り合い、助け合っていくべきなのです」

  (‘_L’)「分かりますか? 分かってもらえるはずです」



  (‘_L’)「ありがとうございます」

  (‘_L’)「あなたならば、そう言ってもらえると信じていました」



  (‘_L’)「はい?」

  (‘_L’)「あぁ、それはですね」

  (‘_L’)「主犯のフォックスは合衆国裁判へかけられます」

  (‘_L’)「おそらくフォックスには極刑が、その他の者たちにも相応の処罰が下るはずです」

497 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 00:58:58.93 ID:QNl8jkDT0
 
  (‘_L’)「それで、そちらの情報操作の件なのですが…」

  (‘_L’)「あぁ、そうですか。安心しました」

  (‘_L’)「迅速な対応、感謝いたします」



  (‘_L’)「えぇ」

  (‘_L’)「そうです」

  (‘_L’)「再建に援助は惜しみません」


  (‘_L’)「共に」

  (‘_L’)「新たなる道を」



―※―※―※―※―※―――※―※―※―※―※―
501 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 01:00:24.97 ID:QNl8jkDT0
 
―ダイプロ、モナールーム


―部屋の主は、ゆっくりと天井を見上げる

―思い返すように

―反芻するように




( ´∀`)「…」
   つcU


( ´∀`)「…エゴ、か」
   つcU



502 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水) 01:01:37.98 ID:QNl8jkDT0
 


( ´∀`)「…」
   つcU


( ´∀`)「…モナも所詮は、エゴに過ぎないモナ」
   つcU




…ズズッ



―やっと口にした紅茶は、すっかり冷え切っていた




第三十一話(裏)了

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