- 52 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:02:36.75 ID:4KMbuFd60
-
エスパークス、エスタークじゃねぇのかよ!
という人のための登場人物紹介
川 ゚ -゚) エスパー女子高生。物を呼び寄せる超能力
('A`) クーの幼馴染。雷を操る超能力
( ><) これでも高1。千里眼
ξ*゚听)ξ クソガキ。記憶を刈り取る
( ゚∀゚) 変態貧乏大学生。銃で撃たれて入院中
( ´∀`) ダイプロ主任。一般人
( ФωФ) 県知事。元『最強』エスパーで氷を操る
- 53 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:04:06.50 ID:4KMbuFd60
-
( ^ω^) ダイプロ研究員。とあるプロジェクトの中核を為す
ξ*゚听)ξ 15年前のツン
(*゚-゚) 15年前のしぃ。健康体
(,゚Д゚) 15年前のギコ
ハ ゚-ノハ 15年前のハイン
(´・ω・`) 15年前のショボン。年齢不詳
( ゚∋゚) エスパゴン『フォー・オブ・ア・カインド』の一人。別名:焼きごて
ミセ*゚ー゚)リ エスパゴン『フォー・オブ・ア・カインド』の一人。別名:ソードクィーン
- 57 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:05:57.00 ID:4KMbuFd60
-
金色の稲穂が揺れる
そう、ここは見渡す限りの稲穂畑
ξ*゚听)ξ
私は農夫
鎌を片手に稲穂を刈る、しがいのない農夫
ξ*゚听)ξ「んしょっ」
ざくりざくりと、稲穂を刈っていく
刈っては束ね、まとめて脇に積む
刈って、束ね、積む
それを繰り返すうちに、こんもりとした稲穂の山ができた
- 59 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:07:41.78 ID:4KMbuFd60
-
ξ*゚听)ξ「…」
そこから一束、引き抜いてみる
目を凝らしてみると、束になっている穂の一本一本が微かに揺れて
何かを映し出した
見えたのは、人の顔
日の光を反射して、きらきらと輝くそれは
光を通す毎に、表情を変える
笑った顔、泣いた顔、我慢してる顔、ふてくされている顔
色々な顔
色々な人生
この稲穂は、誰かの記憶の一部
そう思えた
- 61 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:08:28.55 ID:4KMbuFd60
川 ゚ -゚)エスパークーのようです
−第三十一話:焼けた記憶−
- 63 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:09:40.85 ID:4KMbuFd60
-
キーンコーンカーンコーン
川 - -)「んー…」ゴキゴキ
川 ゚ -゚)「終わった」
―県立VIP高校2年教室
('A`)「今日はいつになく眠そうでしたね、素直さん」
川 ゚ -゚)「ん。あぁ、少し夜更かししてしまってな」
('A`)「…皆さんで話されていた件ですか」
川 ゚ -゚)「まぁ、そういうことだ」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「少し面倒な話みたいでな。とりあえず、キミが気にする必要はないさ」
('A`)「…あ、あの」
川 ゚ -゚)「うん?」
- 65 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:12:40.25 ID:4KMbuFd60
-
('A`)「……いえ、なんでもないです」
川 ゚ -゚)「?」
川 ゚ -゚)「あぁ、そうだ、ドクオくん」
('A`)「はい?」
川 ゚ -゚)「これから、ハインさん達のお見舞いに行くんだが……キミも来るか?」
(;'A`)「え」
川 ゚ -゚)「まぁ、嫌ならいいんだが」
(;'A`)「いや! そんなことはないです!」
(;'A`)「…えぇっと、はい、是非」
川 ゚ -゚)「そうか、なら一緒に行こう」
('A`)、「は、はい」
川 ゚ -゚)「それじゃ…」
川 ゚ -゚)「……む?」
- 66 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:13:53.85 ID:4KMbuFd60
-
('A`)「…どうかしました?」
川 ゚ -゚)「いや…」
川 ゚ -゚)「ビロード、いるんだろ?」
;><)「…」
(;><)「なんで分かったんですか。エスパーですか」
川 ゚ -゚)「エスパーなのは違いないが…、そろそろ出てくる頃合かと思ってな」
( ><)「恐るべしなんです」
川 ゚ -゚)「毎度毎度のことだからな」
- 67 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:15:50.74 ID:4KMbuFd60
-
川 ゚ -゚)「そんなことより、お見舞い。ビロードも行くだろ?」
( ><)「はいなんです! そのために来たんです」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「それじゃあ、三人で」
( ><)「レッツゴーなんです!」
川 ゚ -゚)「あぁ、レッツゴーだ」
('A`)「……レッツゴー」
- 68 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:17:14.58 ID:4KMbuFd60
-
※
―ダイプロ、モナールーム
( ´∀`)「紅茶でいいモナ?」
( ФωФ)「いや、構わんよ」
( ´∀`)「そうモナか」
( ´∀`)「それじゃあ、モナだけ頂くとするモナ」
( ´∀`)
つひU コポコポ
( ´∀`)
つcU カチャ
( ´∀`)「…」
つcU
( ФωФ)「…」
( ´∀`)「…」
つcU
- 70 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:18:27.80 ID:4KMbuFd60
-
( ФωФ)「どうした、飲まんのか?」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「…ロマネスク」
( ФωФ)「なんだ」
( ´∀`)「本当にアメリカに行くモナか?」
( ФωФ)「あぁ」
( ´∀`)「やっぱり無茶だモナ、考え直したほうが…」
( ФωФ)「クドい」
( ФωФ)「策はあると言っただろう」
( ´∀`)「しかし…」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「なぁ、モナー」
- 72 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:19:55.97 ID:4KMbuFd60
-
( ФωФ)「あなたは、この15年間、何を見て、何を感じてきた?」
( ФωФ)「あなたが託されたダイプロは、こういった形で存続させるべきだったのか」
( ФωФ)「あの人が望んだのは、この現状だったのか」
( ´∀`)「それは…」
( ФωФ)「あなたの答えは、ここにある」
( ФωФ)「だが、それは私の答えではない」
( ´∀`)「…」
( ФωФ)「私には、夢がある」
( ФωФ)「ちっぽけな夢だが、いずれそれを叶えようと努力もしてきた」
( ´∀`)「…モナ」
( ФωФ)「…あのとき死んだ仲間にも夢があった」
( ФωФ)「内藤にも、ハインさんにもな」
( ´∀`)「…」
- 74 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:21:35.52 ID:4KMbuFd60
-
( +ω+)「彼らの夢はもう叶わない」
( Фω+)「……それには、償いが必要だ」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「…でも、それを」
( ´∀`)「それを、ハインたちが望んでいるとも思えないモナ」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「ふっ…、そうだな」
( ФωФ)「あの人の真意は、あの人にしか分からん」
( ФωФ)「所詮は、私のエゴにすぎん」
( ´∀`)「…そ、それなら」
( ФωФ)「ふふっ…」
( ФωФ)「だからこそ、譲れないんですよ。モナー主任」
- 76 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:23:05.57 ID:4KMbuFd60
-
※
川 ゚ -゚)「はい、そうです。ジョルジュ長岡」
川 ゚ -゚)「えっと、…遠い親戚です」
川 ゚ -゚)「えっ、面会謝絶…?」
川 ゚ -゚)「う〜ん」
川 ゚ -゚)「それなら…」
川 ゚ -゚)「大日本エスパープロジェクトの関係者と言えばいいですか?」
―VIP総合病院
川 ゚ -゚)「404号室だと」
(;'A`)「404って、そんな部屋番号使っていいんですか…」
川 ゚ -゚)「特別治療室らしい」
(;'A`)「いや、特別云々じゃなくてですね」
- 78 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:24:00.31 ID:4KMbuFd60
-
( ><)「…」
川 ゚ -゚)「…?」
( ><)「…」
川 ゚ -゚)「ビロード?」
( ><)、「は、はい!?」
川 ゚ -゚)「ぼーっとしてたら、転ぶぞ?」
(;><)「そ、そんなことはないd」
ズベッ
、, つ><)つ「あたっ!」
('A`)「お約束すぎる…」
(メ ><)「…痛いんです」
川 ゚ -゚)「だから言ったんだ」
(メ ><)「…ごめんなさいなんです」
- 80 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:25:24.42 ID:4KMbuFd60
-
(メ ><)「…」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「…お前が気に病むことはないよ」
川 ゚ -゚)「あれは、下にいた私の責任だ」
(メ ><)「…! そんなことは…!!」
川 ゚ -゚)「ほら、これで顔を拭け」
つ□
(メ ><)「…」
川 ゚ -゚)「ジョルジュが心配するぞ」
(メ ><)「……はい、なんです」
ヘッグシッ
- 82 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:25:57.73 ID:4KMbuFd60
-
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「ん、ドクオくんも使うか?」
(;'A`)「い、いりませんよ!」
川 ゚ -゚)「そうか」
( 'A`)「…」
('A` )「(オレも、下にいたんだけどな…)」
('A` )「……しょうがない…よな」
- 84 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:27:03.48 ID:4KMbuFd60
-
―ガチャリ
ピッ ピッ ピッ
川 ゚ -゚)「…」
( ><)「…」
('A`)「…」
―404号特別治療室
[( ∀ )]
(;><)「ジョルジュさん…!」
川 ゚ -゚)「しっ、騒いじゃダメだ」
( ><)、「ご、ごめんなさいなんです」
- 86 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:28:28.87 ID:4KMbuFd60
-
('A`)「…なんか、物々しいっすね」
川 ゚ -゚)「あぁ…」
( ><)「…」
ピッ ピッ ピッ
( ><)「…ボクがあのとき、ボクが…」
( ><)「……」
('A`)「…」
('A`)「なぁ、素直さんも言ったけどさ、あれは…」
(# ><)「…――そんなの関係ないんです!!」
(;'A`)「…っ」
川 ゚ -゚)「…ビロード」
- 88 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:30:37.52 ID:4KMbuFd60
-
(# ><)「―――…っ」
(# ><)「ボクは、友達を守れなかったんです!」
川 ゚ -゚)「…」
(# ><)「つーさんの時も、何にも出来なかったです!!」
(# ><)「そして…!!」
( ><)「……そして、今回も……」
( ><)「何にも、出来なかったんです……」
( ><)「ごめん…」
( ><)「ごめんなさいなんです、ジョルジュさん…」
- 91 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:31:49.09 ID:4KMbuFd60
-
('A`)「…」
('A`)「…ビr」
ポン
つ('A` )「…?」
川 ゚ -゚)) フルフル
川 ゚ -゚)「…外に、出ていよう」
('A` )「…」
( 'A`)「…」
('A`)「…はい」
…ゴメンナサイ
…ゴメンナサイナンデス
川 - -)「…」
―ガチャン
- 93 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:33:02.45 ID:4KMbuFd60
-
('A`)「素直さん…」
川 ゚ -゚)「しばらくそっとしておこう」
川 - -)「…」
川 - -)「後悔してるのは…、一人ではないさ」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「私たちは、先にハインさんの病室に行こう」
('A`)「…分かりました」
- 94 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:33:54.12 ID:4KMbuFd60
-
テクテク
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「…」
('A`)「素直さん…」
川 ゚ -゚)「ん?」
('A`)「…」
( 'A`)「や、やっぱなんでもないです」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「そう言われると気になるんだが…」
('A`)「いや、何でもないです。本当に」
川 ゚ -゚)「そうか」
('A`)「…」
('A`)「…」
('A`)「…」
- 96 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:34:50.77 ID:4KMbuFd60
-
川 ゚ -゚)「…あのな、ドクオくん」
('A`)「は、はい?」
川 ゚ -゚)「言いたいなら言えばいいだろう。何というか、怯えた小動物のような目で見るのは止めてくれ」
川 ゚ -゚)「なんだか悪いことをしてるみたいだ」
(;'A`)「あ、は、…すいません」
川 ゚ -゚)「で、なんだ?」
('A`)「…」
('A`)「あ、…の」
('A`)「あのですね…」
川 ゚ -゚)「…?」
(;'A`)「オレに、…超能力があるって聞いたら……、どう思います?」
- 99 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:36:33.40 ID:4KMbuFd60
-
川 ゚ -゚)「…」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「…」
('A`)「素直さん?」
川 ゚ -゚)「すまん、聞いてなかった」
(;'A`)「 何 で で す か !!?」
川 ゚ -゚)「…いや、すまん」
川 ゚ -゚)「さっき、そこで見覚えがある後ろ姿が……」
('A`)「…?」
- 101 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:37:26.64 ID:4KMbuFd60
-
キッ
ξ ¥)ξ …タッ
川 ゚ -゚)「やっぱり…!」
('A`)「ふへ?」
川 ゚ -゚)「待て!」
川 ゚ -゚)「ツン!!!」
- 104 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:38:31.69 ID:4KMbuFd60
-
―※―
―※―※―
―※―※―※―
ξ;゚)ξ「ひぁ…っ」
ξ;゚)ξ「ふっ、ふっ…」
―15年前、ダイプロ
―赤く燃える廊下をツンは走っていた
―全力で
―何かから、逃げるように
( ゚∋゚)『…』 ゴォォォォ
- 106 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:39:47.08 ID:4KMbuFd60
-
ξ;゚)ξ「はっ、はっ、はっ…」
ξ;゚听)ξ「…な、なんなのよ、あいつ」
ξ;゚听)ξ「いきなり襲ってきて…」
ξ;゚听)ξ「あいつのせいで、ギコたちともはぐれちゃったし…」
ξ;゚)ξ「もー! わけ分かんない…!!」
ξ;゚)ξ「…っ!!」
ξ;゚听)ξ「…――」
ξ;゚听)ξ「崩れてる…」
( ゚∋゚)『…』
ξ;゚听)ξ「ひぃ…!」
- 108 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:40:45.25 ID:4KMbuFd60
-
ξ;゚听)ξ「いや、来るな!!」
( ゚∋゚)『…』
( ゚∋゚)『…お嬢ちゃん』
( ゚∋゚)『…別に、あんたに興味はないのよ』
ξ*゚听)ξ「…??」
ξ*゚听)ξ「な、なに…? なんて言ってるの?」
( ゚∋゚)『…内藤ホライゾン』
( ゚∋゚)『彼の居場所を聞きたいだけよ』
ξ;゚听)ξ「…ナイトウって、ブーンのこと!?」
ξ;゚听)ξ「まさか、ブーンを探してるの…?」
- 112 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:41:57.80 ID:4KMbuFd60
-
( ゚∋゚)『…ブーン?』
( ゚∋゚)『……知ってるみたいね』
( ゚∋゚)『…』
( ゚∋゚)『……教えなさい』
( ゚∋゚)『…』
( ゚∋゚)「…ブーン、ドコ?」
ξ;゚听)ξ「…」
ξ;゚ -゚)ξ「…!」
( ゚∋゚)『…?』
ξ;゚皿゚)ξ「いーだ!! 誰が教えるもんですか!!!」
ξ;゚听)ξ「自分で探しなさいよ!
バーカ!!」
- 117 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:44:38.31 ID:4KMbuFd60
-
( ゚∋゚)『…』
( ゚∋゚)『…』
( ゚∋゚)『…バーカ?』
ξ;゚听)ξ「そーよ! バーカ、バーカ!!」
ξ;゚听)ξ「あんたに教えることなんて、何にもないんだから!!」
( ゚∋゚)『…』
( ゚∋゚)『…何をピーピー言ってるのか、分からないけど』
( ゚∋゚)『……うるさいのは嫌いなのよね』
- 118 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:46:18.03 ID:4KMbuFd60
-
※
(;゚Д゚)「あわ、あわわわわわっ…!!」
(;゚ー゚)「大丈夫、ギコくん!? 怪我はない!?」
(;゚Д゚)「死ぬ、マジでこれ死ぬ」
ハ ゚-ノハ「死ぬー」
ミセ*゚ー゚)リ『ふぅん…』
ミセ*゚ー゚)リ『…』
ミセ*゚ー゚)リ『随分とすばしっこいじゃん』
ミセ*゚ー゚)リ『これが、あんたの能力(チカラ)?』
(;゚Д゚)「??」
(;゚Д゚)「し、しぃ、あいつ、なんて言ってんだ?」
(;゚ー゚)「分かんないよ…!」
- 123 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:48:16.69 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚ー゚)リ『…』
ミセ*゚ー゚)リ『ふふっ』
ミセ*゚ー゚)リ『まぁ、どうでもいいよね』
ミセ*゚ー゚)リ『これから死ぬんだから…!!』
ヒュン!!
(;゚Д゚)「きた…!!」
―風切り音とともに、鋭い何かが周囲を切り裂いた
―がらがらと崩れる、壁と天井
―その合間を縫って、ギコは飛ぶ
(;゚(;゚Д゚)゚-ノハ 「ぐぅぅっ…!!」
- 125 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:50:41.93 ID:4KMbuFd60
-
(;゚(;゚Д゚)゚-ノハ「うお、危なっ!」
(;゚(;゚Д゚)゚-ノハ「痛っ、かすった!!」
(;゚(;゚Д゚)゚-ノハ「…」
(;゚(;゚Д゚)゚-ノハ「…つーか、さ」
(;゚(;゚Д゚)゚-ノハ「二人を抱えて飛ぶのは、無…理…!」
「な…、失礼ね!」(゚-(;゚Д゚)゚-ノハ
(゚-(;゚Д゚)゚oノハ「シツレー」
(゚-(;゚Д゚)゚oノハ「重いもんはしょうがねぇだろ!!」
- 127 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:51:51.61 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚ー゚)リ『あははは、トロいトロい!』
ミセ*゚ー゚)リ『これで、終わり!!』
ヒュガッ!!!
(;゚Д゚)「っ!! も、もう…」
(;゚ー゚) 「ダメ…」
ハ ゚-ノハ「ダー」
―とどめの一撃が彼らに迫ろうとした、そのとき
- 129 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:53:24.69 ID:4KMbuFd60
-
:(^ω^ ): パッ
―救世主が現れて
(^ω^ )「おっ、着いt」
ドガシャアアアアアア!!!!!!
∴・(゚ω(::; ;・ 「オブゥ!!?」
― 一撃で沈んだ
- 130 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:54:27.94 ID:4KMbuFd60
-
(;゚Д゚)「ちょっ…!?」
(;゚ー゚)「内藤さん!?」
ハ ゚-ノハ「死んだな」
ピョコッ
(^ω^メ;)「死んでないお!!」
(;゚Д゚)「ひっ…」
(;゚ー゚)「きゃあああ!!」
ハ ゚-ノハ「死体がしゃべったー」
(^ω^メ;)「だから、死んでないって」
(^ω^メ;)「死ぬかと思ったけど」
ミセ*゚ー゚)リ『…』
- 132 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:55:49.83 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚ー゚)リ『なに、あいつ…』
ミセ*゚ー゚)リ『…』
ミセ*゚ー゚)リ『真っ二つに出来るだけの力は込めたんだけどな』
ミセ*゚ -゚)リ『…ふん』
ミセ*゚ー゚)リ『おい、そこの変なの』
(^ω^メ;)「だから……」
(^ω^メメ)「…」
(メ ^ω^)「…」
(メ ^ω^)『…変なの、とはボクのことかお?』
ミセ*゚ー゚)リ『…へぇ、しゃべれるんだ』
(メ ^ω^)『少しだけだお』
- 135 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:57:15.24 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚ー゚)リ『ふぅん』
ミセ*゚ー゚)リ『…あんた、何者?』
(∩^ω^) ゴシゴシ
( ^ω^)『ダイプロの一研究員だお』
ミセ*゚ー゚)リ『そう』
ミセ*゚ー゚)リ『…その能力は?』
( ^ω^)『……生まれつきだお』
ミセ*゚ー゚)リ『そう』
ミセ*゚ー゚)リ『…』
ミセ*゚ー゚)リ『まぁ、いいか』
ミセ*゚ー゚)リ『ミセリ、メンドくさいことは嫌いなのね』
( ^ω^)『…』
- 136 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
21:58:55.63 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚ー゚)リ『あんたも、とっとと…』
ミセ*゚∀゚)リ『死ねばぁ!?』
ヒュカカカカッ!!!
(;゚Д゚)「また、きたぁ!!」
(;゚ー゚)「きゃー! きゃー!」
ハ ゚-ノハ「カミソリいっぱい」
( ^ω^)「(…風の刃)」
( ^ω^)「(複数生成が可能で、殺傷能力も極めて高い…)」
( ^ω^)『――でも、それだけだお』
- 138 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:01:17.95 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚∀゚)リ『強がり言ってんじゃ…』
( ^ω^)『強がりじゃないお』
( ^ω^)『…ボクの周りを流れる空気の流れ』
( ^ω^)『そいつを少し変えてやれば』
( ^ω^) ::Σ バキンッ!!!!
( ^ω^)『この通りだお』
ミセ;゚Д゚)リ『…はぁ!?』
(;゚Д゚)「ちょっ、なんださっきの!?」
(;゚ー゚)「わ、私に聞かれても…」
ハ ゚oノハ「すげー」
- 140 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:02:17.54 ID:4KMbuFd60
-
ミセ;゚ー゚)リ『なに、さっきの!?』
( ^ω^)『サイコキネシス』
( ^ω^)『超能力の初歩の初歩だお』
ミセ;゚ー゚)リ『んなこと聞いてないわよ!』
ミセ;゚ー゚)リ『その能力、なんなのよ!!』
( ^ω^)『…さぁ?』
( ^ω^)『秘密だお』
ミセ#゚∀゚)リ『――っ!! ざけるなぁ!!!』
( ^ω^)『おっと』
( ^ω^)『頭上注意、だお』
…ガラッ
- 142 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:02:57.37 ID:4KMbuFd60
-
ミセ*゚ー゚)リ『……!!?』
ガラガラガラガラガラッ!!!
ミセ;゚ー゚)リ『みきゃああああ!!?』
…ズズンッ
(;゚Д゚)「…」
(;゚ー゚)「…」
ハ ゚-ノハ「…」
- 144 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:03:49.23 ID:4KMbuFd60
-
(;゚Д゚)「つえぇ…」
(;゚ー゚)「内藤さんって、こんなに凄かったんだ…」
(;^ω^)「……キミたち、ボクのことを何だと思ってたんだお」
(,゚Д゚)
(*゚ー゚) 「………」
ハ ゚-ノハ
(,゚Д゚)「バカな大人 その3」 ※その1
从 ゚∀从 ※その2 ( ´∀`)
(*゚ー゚)「ツンちゃんのアイジン」
ハ ゚-ノハ「デブ」
(;^ω^)「…ちょっと待つお」
(;^ω^)「ちょっと酷すぎないかお?
特に最後」
- 146 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:04:43.72 ID:4KMbuFd60
-
ハ ゚-ノハ「なぁ、さっきのは何だ?」
ハ ゚-ノハ「あいつ死んだのか?」
( ^ω^)「お」
( ^ω^)「天井を崩しただけだお」
( ^ω^)「まぁ、死ぬまではない思うお」
(,゚Д゚)「ふへ〜、すげぇんだな」
(*゚ー゚)「うん、これなら、ツンちゃんもすぐに…」
(,゚Д゚)「…」
(*゚ー゚)「…」
(;゚Д゚)「ツン!!!」「ツンちゃん!!!」(゚-゚;)
- 148 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:06:11.55 ID:4KMbuFd60
-
( ^ω^)「…?」
( ^ω^)「そういえばツンの姿が見えないお」
( ^ω^)「ツンは?」
(;゚ー゚)「実は、火の勢いが急にひどくなって…」
(;゚Д゚)「逃げてる途中ではぐれちゃってさ」
ハ ゚-ノハ「あとは野となれ山となれー」
(;^ω^)「ぬぁんだって――――!!!?」
(;^ω^)「ちょっ、どこらへんではぐれたお!?」
(;゚Д゚)「それがよく…」
(;゚ー゚)「分かんなくて…」
(;^ω^)「――っ!!」
- 150 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:07:56.16 ID:4KMbuFd60
-
(;^ω^)「とりあえず、皆は出口に向かうお」
(;^ω^)「少し戻って迂回すれば、そっちはまだ無事だと思うお」
(,゚Д゚)「ナイトーは?」
(;^ω^)「ボクはツンを探した後、脱出するお」
(*゚-゚)「…だ、大丈夫?」
(;^ω^)「…」
( ‐ω‐)=3 フー
( ^ω^)「大丈夫だお。すぐ皆に合流するお」
ハ ゚-ノハ「…」
( ^ω^)「もちろん、博士たちも一緒に」
( ^ω^)つ ガシガシ
パ-ノ ハ
ハ ゚-ノハ「うん」
( ^ω^)「いい子だお」
- 152 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:09:10.02 ID:4KMbuFd60
-
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「そんなに離れてないみたいだお…」
( ^ω^)「それじゃあ。皆、気をつけて」
(,゚Д゚)「おう!」
ハ ゚-ノハ「おう」
(*゚ー゚)「お、おぅ」
( ^ω^) ニコッ
―ッキン!!!
- 153 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:09:52.63 ID:4KMbuFd60
-
(,゚Д゚)「…」
(*゚ー゚)「…行っちゃたね」
(,゚Д゚)「うん」
(,゚Д゚)「オレらも行こう」
パ-ノ ハ「…」
パ-ノ ハ「…私も、一緒に」
(,゚Д゚)「…?」
(,゚Д゚)「おい、どうしたんだよ?」
(*゚ー゚)「ハインちゃん?」
ハ ゚-ノハ「ううん、なんでもないねん」
(,゚Д゚)「?」
(*゚ー゚)「(なんで関西弁なのかな…)」
- 154 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:10:41.35 ID:4KMbuFd60
-
(,゚Д゚)「…ツンは、ナイトーに任せとけば大丈夫だろ」
(,゚Д゚)「たぶん」
(*゚ー゚)「そうだね」
(,゚Д゚)「…ふん」
(,゚Д゚)「行こうぜ」
(*゚ー゚) クスクス
(*゚ー゚)「うん」
ハ ゚-ノハ「…」
パ-ノ ハ「…」
―タッ
- 157 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:11:57.47 ID:4KMbuFd60
-
※
……、 .……… キィン
:(^ω^ ): パッ
( ^ω^)「お」
( ^ω^)「さすがにもう不意打ちはないみたいだお」
ゴォッ…
(;^ω^)「…熱ッ」
(;^ω^)「こっちは火の勢いがひどいお」
(;^ω^)「早くツンを探さないと…」
- 159 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:13:22.57 ID:4KMbuFd60
-
(;^ω^∩「ツーン!! ツぅーン!!!」
(;^ω^)「あちっ! 熱い!!」
(;^ω^)「…むぅ、こんなときにロマはどこに行ったんだお」
( ФωФ)…ヘクシッ
(´・ω・`)「おや、風邪かい?」
( ФωФ)「きっと誰かが噂……、なんてわけないですね」
(´・ω・`)「…っち」
(;ФωФ)「ちってなんですか、ちって」
(´・ω・`)「いや、具合悪いなら今日はもうあがってもいいよ」
( ФωФ)「そうですね。まぁとりあえず、この試作品が出来るまではやりますよ」
(´・ω・`)「熱心だねぇ」
( ФωФ)「好きですから」
…クシッ
※バーボンハウスでした
- 160 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:15:23.11 ID:4KMbuFd60
-
(;^ω^)「はぁ…」
(;^ω^)「いないヤツのことを愚痴ってもしょうがないお」
(;^ω^∩「ツぅ――――ン、どこだお――!?
返事してくれお―――!!」
(;^ω^)「ツー……」
¥ )ξ
(;^ω^)「ツン!!!!!」
( ^ω^)、「よかったお!! 無事だったん…だ……」
( ^ω^)「お……?」
- 162 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:16:27.02 ID:4KMbuFd60
-
( ゚∋゚) つ
“( ¥ )ξ
( ゚∋゚)『…遅かったわね』
( ω゚)「お…、おぁ………」
( ゚∋゚) ククッ
( ゚∋゚)『ようやく、釣れたわ』
- 164 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:18:38.46 ID:4KMbuFd60
-
( ω゚)「お、……」
つ
“( ¥ )ξ
( ω゚)「お、おおおお………」
( ゚∋゚)『…ようこそ、内藤ホライゾン』
(# ゚ω゚)「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
- 166 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:20:49.56 ID:4KMbuFd60
-
※
…ズゥン!!
(;゚Д゚)「うわっ!?」
(;゚ー゚)「きゃっ…?」
(,゚Д゚)「こりゃ、本格的にやばいぞ」
(*゚ー゚)「…そうだね」
(*゚ー゚)「(さっきの揺れ……、もしかして…)」
(,゚Д゚)「もうすぐ出口だ」
(,゚Д゚)「早く逃げよう」
(*゚ー゚)、「う、うん」
ハ ゚-ノハ「…」
- 167 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:22:29.37 ID:4KMbuFd60
-
(,゚Д゚)「ハイン! ぼーっとしてんな!
置いていくぞ!!!」
ハ ゚-ノハ「…」
ハ ゚-ノハ「…うん、置いていって」
(;゚Д゚)「は?」
(;゚ー゚)「ハインちゃん…!?」
ハ ゚-ノハ「ごめんね、しぃ」
ハ ゚-ノハ「“私”が残るっていうから、“オレ”も残らないと」
(;゚Д゚)「何わけの分かんねーこと言ってんだ!!」
(;゚Д゚)「早くしないと、ここも危ねぇんだぞ!!」
(;゚ー゚)「ハインちゃん、一緒に行こう!」
- 169 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:23:29.92 ID:4KMbuFd60
-
ハ ゚-ノハ「…」
ハ ゚-ノハ「ごめんね」
ダッ
(;゚-゚)「ハインちゃん!!!!」
(;゚Д゚)「あ、ちょっと待て、二人とも!!!」
…ズズン!!!
(;゚Д<)「うわっ!?」
ガラガララガラ!!!
- 170 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:24:26.67 ID:4KMbuFd60
-
(;゚Д゚)「!!」
(;゚Д゚)「…くそっ!!! マジかよ!」
(;゚Д゚)「他の道を探すしか……」
(;゚Д゚)「でも、今戻れば……」
(;-Д-)「あー!! くそっ!!」
(;゚Д゚)「死んだら恨んでやるからな!!!」
ダッ!!
- 173 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:25:48.39 ID:4KMbuFd60
-
※
ゴン!!
ガゴン!!
―鈍い音が鳴り響く
―音の発生源は、
(# ω゚)「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
( ゚∋゚)『はははははっ、あはははははははは!!!』
―二人の拳の交わるところ
- 174 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:27:11.52 ID:4KMbuFd60
-
(* ゚∋゚)『楽しいぃ、楽しいわぁ』
( ゚∋゚)『フォックス主任の言うことを無視してきた甲斐があったってものね』
(# ω゚)「…」
( ゚∋゚)『しかし…』
( ゚∋゚)『“最強”以外にもこれほどの使い手がいるとはねぇ』
( ゚∋゚)『さすがは、と言ったところかしら』
(# ω゚)『…随分と、饒舌だお』
(* ゚∋゚)『ふふっ、素敵な殿方の前ではね』
(# ω゚)「…」
- 175 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:28:04.89 ID:4KMbuFd60
-
(# ω゚)『…ツンを離せお』
( ゚∋゚)『あぁ、これ?』
( ゚∋゚) つ
“( ¥ )ξ
( ゚∋゚)『ハンデのつもりだったんだけど…』
( ゚∋゚)『これじゃあ、貴方も本気を出せないわよね』
( ゚∋゚)『もう用済みね』
( ゚∋゚) ノ ポイッ
( ω )…
、 ., …キンッ
( ω )
つξ \)ξ ポスッ
- 177 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:30:30.74 ID:4KMbuFd60
-
( ω^)「…」
( ^ω^)「……よかった、まだ息がある…」
( ゚∋゚)『テレポーテーションだっけ?
便利ねぇ、私も欲しいわ』
( ω^)「…」
( ω゚)『貴様に“やるものはひとつもない”お』
( ゚∋゚)『そう? 残念だわ』
( ゚∋゚)『で、も、私からのプレゼントは受けとってもらうわよ』
―そう言うと、クックルはゆっくりと手をのばした
―指の先、一つ一つまで丁寧に広げていく
( ゚∋゚)、9999 スッ…
( ゚∋゚)、9999 『焼け焦げなさぁい』
- 178 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:31:03.40 ID:4KMbuFd60
-
(; ω゚)「!!!!」
―赤を超えた白い火線
―五本の指から放たれたそれは、鋭く歪曲してブーンに迫った
- 180 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:32:35.79 ID:4KMbuFd60
-
※
ドドドドオォン!!!
ガランガランガラン!!!
ハ ゚-ノハ「…っ」
ハ ゚-ノハ「まだ、大丈夫」
タタッ
ハ ゚-ノハ「……ここでも、ない」
タタッ
ハ ゚-ノハ「ここも、違う」
タタッ
ハ ゚-ノハ「ここも…」
- 182 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:33:40.16 ID:4KMbuFd60
-
「……くっ」
ハ ゚-ノハ「……っ!」
ハ ゚-ノハ「ハイン!!」
「……なんだ、お前……、まだ、逃げてなかったのか」
ハ ゚-ノハ「…うん、ハインがここに残るなら、オレも残る」
「……はっ」
「……随分と……しおらしいこと言うようになったもんだ」
ハ ゚-ノハ「…」
- 188 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:38:44.54 ID:4KMbuFd60
-
「……」
「……聞け、ハインリッヒ高岡」
「……私から、お前に最期のプレゼントだ」
ハ ゚-ノハ「…ん」
「……私は」
「……私は、…禁忌を犯した」
「……摂理を捻じ曲げ、神に逆らった」
ハ ゚-ノハ「…」
「……でもな、後悔はしていない」
「……私は、な」
「……生きてる証を、……残したかったんだ」
- 189 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:39:57.45 ID:4KMbuFd60
-
ハ ゚-ノハ「…」
「……それは、お前であり、ギコであり、しぃであり、ツンでもある」
「……“あの人”を……見返したかった」
「……科学者として、…そして、女としてな」
「……それが、私でもあり、お前でもある、…ハインリッヒって女の本性だ」
ハ ゚-ノハ「…」
「……見損なったか?」
ハ ゚-ノハ「…ううん、オレはお前だから」
「……はっ、そう……だったな」
「……」
- 190 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:41:02.12 ID:4KMbuFd60
-
「……」
「手を……」
ハ ゚-ノハ「…?」
「……もしものときのために……な、ひとつ細工をしておいた」
「……私の半分、……お前に預ける」
ハ ゚-ノハ「…」
「……困ったときは、頼るといいさ」
「……ほらっ、早くしないと……、…くそっ、目が霞んできた」
ハ ゚-ノハ「…うん」
- 191 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:43:18.81 ID:4KMbuFd60
-
「……」
「……じゃあ、またな……」
「………いや、ばいばい…かね…」
ハ ゚-ノハ「…」
ハ ゚-ノハ「うん」
ハ ゚-ノハ「バイバイ、ママ」
- 193 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:44:32.33 ID:4KMbuFd60
-
(;- -)「はぁ、はぁ…」
(;゚-゚)「ハインちゃん、どこ…?」
カタッ
ハ ゚-ノハ「…!」
ハ ゚-ノハ「しぃ…!」
(*゚ー゚)「あ! ハインちゃん!!」
…ガラッ
ハ;゚-ノハ「!!!」
ハ;゚-ノハ「しぃ!! 来るな!!!!」
(*゚-゚)「――――え?」
- 195 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:46:05.50 ID:4KMbuFd60
-
※
ジュゥゥ…
―血が滴り落ちることはなかった
―熱線で貫かれた傷口は、ただ焼け付く痛みだけをブーンに与え続けた
(;メ:;ω゚)「ぐぅぅぅぅ……っ」
( ゚∋゚)『あはは、丈夫ねぇ』
( ゚∋゚)『お得意のテレポーテーションを使えばよかったのに…』
( ゚∋゚)『でもぉ』
( ゚∋゚)『そのためには、その子が邪魔だったかしらぁ?』
( メ:;ω゚)「……」
- 196 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:47:29.21 ID:4KMbuFd60
-
( ゚∋゚)『終わりよ、ナイトさん』
( ゚∋゚)『中々楽しかったわん』
( ゚∋゚)、9999 スィッ
( メ:;ω゚)「…」
ξメ--)ξ
( メ:;ω゚)「…ツン、少しだけ我慢してくれお」
( ゚∋゚)『何を言ってるのかしら?』
( ゚∋゚)『しかし、そんな小さな子が恋人なんて、随分と歪んだ性癖を持ってるのね』
( メ:;ω゚)『てめぇに言われる筋合いはないお、このファッキンビッチ』
( ゚∋゚)『…』
- 197 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:48:17.07 ID:4KMbuFd60
-
9999,( ゚∋゚ )、9999 ガバッ!
9999,( ゚∋゚ )、9999 『ここで、さよならみたいね…!』
( メ:;ω゚)『…』
( メ:;ω゚)『……お前らは、熱くなるとすぐ周りに注意がいかなくなる』
( メ:;ω゚)『バカだお』
( メ:;ω゚)『――崩れろ』
- 199 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:49:50.15 ID:4KMbuFd60
-
ガガガガガッガガッ!!!!!!
(;゚∋゚))『なっ!?』
―内藤の言葉と共に、天井が崩れた
―ミセリのときとは比べ物にならないほどの、強烈な振動
―それは、その場にいる者全てを飲み込んでいく
―人も、炎も、その思いも
―全て瓦礫の下へと飲み込まれていった
- 201 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
22:50:52.76 ID:4KMbuFd60
-
※
ガラッ…
(;゚Д-)「痛ぅ……」
(;゚Д゚)「なんだったんだ…?
さっきのは?」
(;゚Д゚)「おぉ…、空が見える」
(;゚Д゚)「いや、そんなことより、今は二人を…!!!」
ハ ゚-ノハ「…」
(;゚Д゚)「ハ、ハイン!?」
ハ ゚-ノハ「ギコ…」
(;゚Д゚)「バカ野郎!! 探したんだぞ!!!」
ハ ゚-ノハ「ごめん」
(,゚Д゚)「…? やけに素直だな」
- 209 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:01:19.79 ID:4KMbuFd60
-
(,゚Д゚)「それで、しぃはどこだ? お前を追いかけて行ったはずだけど…」
ハ ゚-ノハ「…」
(;゚Д゚)「おい、まさか…」
ハ -ノハ「あの、瓦礫の下に…」
(;゚Д゚)「……!!!」
(;゚Д゚)「ウソだ!!!!」
ハ -ノハ「…」
(;゚Д゚)「クソが!!!」
ダッ!!
(;゚Д゚)「おい! ハイン!! お前の能力なら、瓦礫どけれるだろ!?」
(;゚Д゚)「早く!!」
- 210 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:03:28.35 ID:4KMbuFd60
-
ハ -ノハ「もう、どけた…」
(,゚Д゚)「なら…!!」
ハ -ノハ「…でも」
(,゚Д゚)「…」
(,゚Д゚)「!!」
(;゚Д゚)「うっ……」
(メ;::; -)
(;゚Д゚)「し、しぃ…?」
ハ -ノハ「…」
(; Д )「あ、あぁ…」
「しぃぃぃぃぃっ!!!!!」
- 212 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:05:03.81 ID:4KMbuFd60
-
※
(メ:-∋゚)『くっ…』
(メ:-∋゚)『見失っちゃったわね…』
カランッ
(メ:-∋゚)『…!』
ミセメ゚ -゚)リ『随分とやられたみたいじゃない?』
(メ:-∋゚)『…』
ミセメ゚ー゚)リ『あんたをそこまで追い詰めるなんて、誰かしら?』
ミセメ゚ー゚)リ『噂に名高い“最強”さん?』
(メ:-∋゚)『…秘密』
ミセメ゚ー゚)リ『あっそ』
- 215 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:07:11.05 ID:4KMbuFd60
-
ミセメ゚ー゚)リ『…さっき撤収の指令があったわ』
ミセメ゚ー゚)リ『あんた、無視したでしょ』
(メ:-∋゚)『…』
ミセメ゚ー゚)リ『目的のものは手に入れた、長居は不要、早く帰れってね』
ミセメ゚ー゚)リ『帰るわよ』
(メ:-∋゚)『…』
ミセメ゚ー゚)リ『強情ね』
ミセメ゚ー゚)リ『…あんたが欲しがってた、永遠の若さを手に入れる方法』
ミセメ゚ー゚)リ『見つかった、って言ってわよ』
(メ:-∋゚)『…!』
(メ:-∋゚)『……それは初耳だわ』
ミセメ゚ー゚)リ『でしょうね』
- 217 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:09:02.20 ID:4KMbuFd60
-
ミセメ゚ー゚)リ『で、帰る?』
(メ:-∋゚)『…分かった』
(メ:-∋゚)『(…とりあえず、勝負はお預けにしとくわよ)』
(メ:-∋゚)『(内藤ホライゾン)』
ミセメ゚ー゚)リ『…』
(メ:-∋゚)"
(メ:-∋゚)『……その傷、どうしたの?』
ミセメ゚ -゚)リ『…! こ、転んだのよ!!』
(メ:-∋゚)『ふー…ん』
ミセメ゚ -゚)リ『な、なによ!!
さっさと帰るわよ!』
(メ:-∋゚)『…まぁ、どうでもいいわ』
- 221 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:11:34.87 ID:4KMbuFd60
-
※
( メ:;ω-)「う……ん…」
( メ:;ω^)「……っ」
( メ:;ω^)「…」
( メ:;ω^)「……どうにかなった…のかお…」
( メ:;ω^)「…ふぅ」
ξメ--)ξ「…」
( メ:;ω^)「あいつの姿も見えないお」
(;メ:;ω^)「いてて…、体中から変な音が……」
( メ:;ω^)「でも、よかった」
( メ:;ω^)「あぁ」
( メ:;ω^)「ツン、もう大丈夫だお」
- 224 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:12:47.31 ID:4KMbuFd60
-
ξメ--)ξ
( メ:;ω^)「…ツン?」
( メ:;ω^)「…」
( メ:;ω^)「…」
( メ:;ω^)「…お」
( メ:;ω^)「疲れたのかお?」
ξメ--)ξ
( メ:;ω^)「…」
- 225 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:14:13.56 ID:4KMbuFd60
-
( メ:;ω^)「…」
ポッ…
( メ:;ω^)「…」
ポッポッ…
( メ:;ω^)「雨…かお」
サー……
- 227 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:16:56.06 ID:4KMbuFd60
-
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「顔、汚れてるお」
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「……ほら、きれいになった」
ξ*--)ξ
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「雨、冷たいかお…?」
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「…手、冷たいお」
- 228 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:18:40.43 ID:4KMbuFd60
-
サー……
( メ:;ω )「…」
( メ:;ω )「…ツン」
( メ:;ω )「……ごめん」
( メ:;ω )「約束、守れないみたいだお…」
( メ:;ω )「でも」
( メ:;ω^)「君だけは――」
( メ:;ω^)「君だけは、死なせはしない」
- 234 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:21:11.63 ID:4KMbuFd60
-
―内藤ホライゾン
―ハインリッヒ高岡博士の助手にして、大日本エスパープロジェクトことダイプロきっての天才
―ダイプロで行われた研究
―人工的にエスパーを作り出すことは、彼抜きで実現することは不可能だった
―それは、彼がその一番重要な部分を任されていたから
―それは、すなわち
( メ:;ω^)「…ボクの能力は、『力の譲渡』」
( メ:;ω^)「自分のモノを他人にあげる能力」
- 241 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:23:30.83 ID:4KMbuFd60
-
( メ:;ω^)「超能力の一部を人に分け与えることができるのなら…」
( メ:;ω^)「君に、この命、分け与えることもできるはず」
( メ:;ω^)「博士からもらったブースター……、これをフルパワーにすれば」
ξ*--)ξ
( メ:;ω^)「ボクの命を君にあげるお」
- 245 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:25:39.17 ID:4KMbuFd60
-
サー……
―雨音が、静かに二人を包み込む
―内藤の体が、雨に溶けるように輪郭を失っていく
( メ:;ω^)「さようなら、ツン」
( メ:;ω^)「…」
( メ:;ω^)「ずっと、一緒だと言ったあの言葉」
( メ:;ω^)「守れないけれど」
( メ:;ω )「…心は残せる」
( メ:;ω^)「この心は、ずっと、君と一緒に」
―白い光が、はじけて消えた
- 250 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:27:44.65 ID:4KMbuFd60
-
※
(, Д )「くっそたれ……」
ハ -ノハ「…」
(, Д゚)「元はといえば、お前が…!」
ハ -ノハ「…ごめん」
(,゚Д゚)「ごめんで済むかよ!!」
ハ >-ノハ「…っ!」
ハ >-ノハ「…?」
(,゚Д゚)「…なんだ、この光?」
ハ ゚-ノハ「…光?」
(,゚Д゚)「…暖かい、でも、なんだ? 何か、悲しい…」
(,゚Д゚)「…」
ハ ゚-ノハ「…これは」
- 252 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:29:34.87 ID:4KMbuFd60
-
(メ;:; -)「……っ…」
ハ;゚-ノハ「 !!? 」(゚Д゚;)
(;゚Д゚)「しぃ!?」
ハ;゚-ノハ「ウソ、確かに…!?」
(;゚Д゚)「そんなことは、どうでもいい!!」
(,゚Д゚)「今なら、火も消えてる…!!
すぐに病院に行けば…!!」
ハ ゚-ノハ「…」
(,゚Д゚)「…」
- 254 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:30:56.05 ID:4KMbuFd60
-
(,゚Д゚)「おい…」
ハ ゚-ノハ「…」
(,゚Д゚)「早くしろ!! 置いてくぞ!!!」
ハ ゚-ノハ「う、うん」
(,゚Д゚)「ちゃんとしぃを押さえてろよ、離したらぶっ飛ばすからな」
ハ ゚-ノハ「うん…!」
―ギュン!!!
- 257 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:33:38.10 ID:4KMbuFd60
-
※
目が覚めた
ξ*゚听)ξ
そこは、見渡す限りの焼け野原だった
ξ*゚听)ξ
私を追っていたあの大男の姿もない
私は助かったのだろうか
ξ*゚听)ξ「…でも、なんで?」
ξ*゚听)ξ「確か、あのとき捕まって…」
そこからの記憶がない
- 259 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:35:15.48 ID:4KMbuFd60
-
いや、微かに、記憶の隅に何かが残っていた
暖かくて優しい温もりに包まれていた感触が、確かに残っていた
ξ*゚听)ξ「……」
ξ*゚听)ξ「ブーン…?」
その名を口に出す
暖かくて優しいもの、いつも私を守ってくれるもの
ずっと一緒だよと、言ってくれた私の大事な人
ξ*゚听)ξ「ブーン…、どこ?」
ξ*゚听)ξ「ブーン?」
- 262 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:37:01.10 ID:4KMbuFd60
-
彼を探す
ずっと一緒だと言った、約束した
だから、彼を探した
そこには彼の温もりが残っていたから
…でも
ξ*;凵G)ξ「………あれ?」
気が付けば
私は、涙を流していた
次から次へと、熱い液体が頬を伝う
ξ*;凵G)ξ「なんで…?」
ξ*;凵G)ξ「なんで…、私、泣いてるの?」
- 263 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:38:12.43 ID:4KMbuFd60
-
……いや、違う
私は分かっていた
この涙は心の奥、記憶の端から流れ出してきているのだと
流れ出すのは記憶の欠片
彼は、私を守って戦い、そして、私のためにその身を砕いた
この欠片は彼の一部なのだろうか
ぽたぽたと流れ落ちる水滴は、濡れた大地に滲んで消えた
- 266 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:40:04.60 ID:4KMbuFd60
-
ξ*;凵G)ξ「あぁ……」
ずっと、一緒だと言ったあの言葉
守れないけれど
心は残せる
この心は、ずっと、君と一緒に
ξ*;凵G)ξ「ああああぁぁ………うぐっ」
- 270 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:41:20.92 ID:4KMbuFd60
-
嗚咽と共に自分の感情が口から出てくるのを、必死で押さえた
涙を拭った
これ以上、彼が流れ出さないように
ぎゅっと自分の体を抱きしめると
まだそこに、彼の温もりが残ってるような気すらした
彼は、死んだのだ
私を守って
- 274 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:43:30.70 ID:4KMbuFd60
-
どうして、私なんかを助けたのか
役立たずの私なんかを
役立たずだから?
それでも、一緒にいてくれると言ったじゃないか
彼は私なしでは生きていけないと言っていたのに
私も彼なしでは生きていけないのに
どうして…
- 277 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:44:18.87 ID:4KMbuFd60
-
どうして
どうして
どうして
どうして
どうして
どうして
どうして!!!!
ξ*;凵G)ξ「どうしてよっ!!!!!!!」
- 282 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:46:02.30 ID:4KMbuFd60
-
――じゃらららららん!!!!
―ツンの叫び声とともに、中空に黒光りする金属片が現れる
―その黒は、次第に形を成していき
―禍々しい大鎌を形作る
―ただし
―その数は、十を優に超えていた
ξ*;凵G)ξ「ブーンの……」
ξ*;凵G)ξ「ブーンの……、バカぁ……」
―その全てが、ツンに向けて振りおろされた
- 289 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:52:03.30 ID:4KMbuFd60
-
―※―※―※―
―※―※―
―※―
川 ゚ -゚)「…ツン!!」
ξ( ¥ )ξ
ξ( ¥ )ξ「…」
ξ* -)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「なに、そんな血相変えて?」
川 ゚ -゚)「…いや」
川 ゚ -゚)「見かけたから、…つい、な」
川 ゚ -゚)「もう外に出ていいのか?」
ξ*゚听)ξ「……なにが?」
- 291 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:53:36.80 ID:4KMbuFd60
-
川 ゚ -゚)「…体調を崩してると聞いてな」
ξ*゚听)ξ「私は元気よ」
ξ*゚听)ξ「すごく元気」
ξ*゚听)ξ「なんなら飛び跳ねてみようか?」
川 ゚ -゚)、「…いや、いい。元気ならいいんだ」
ξ*゚听)ξ「…」
川 ゚ -゚)「…」
ξ*゚听)ξ「そんなに不思議? 私がこの病院に来るのが?」
ξ*゚听)ξ「私だって、みんなが心配だよ?」
ξ*゚听)ξ「それも、外に出たこと自体が不思議なのかしら?」
川 ゚ -゚)「…いや、そういうわけじゃないんだ」
ξ*゚听)ξ「じゃあ、どういうこと?」
川 ゚ -゚)「…」
- 292 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:54:36.89 ID:4KMbuFd60
-
ξ*゚听)ξ「…答えてあげようか?」
ξ*゚听)ξ「きっと、私はお布団に包まってビクビクしてるはずだと思ったんでしょう?」
ξ*゚听)ξ「辛いトラウマを持ってるツンちゃんは、傷つき易いに違いない」
ξ*゚听)ξ「だから、変なことは言っちゃ駄目だってね」
川;゚ -゚)「…!」
川;゚ -゚)「ツン、お前……」
ξ*゚听)ξ「私が何にも知らないと思った!?」
ξ*゚听)ξ「知ってるよ! 全部!!」
ξ*゚听)ξ「思い出したの! あの日もことも!
自分のことも!」
ξ*゚听)ξ「……そして、ブーンのことも」
川;゚ -゚)「…」
- 293 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:55:56.39 ID:4KMbuFd60
-
(;'A`)「…はぁはぁ、やっと、追いついた…」
(;'A`)「素直さん、いきなり走り出すから…」
川 ゚ -゚)「…」
ξ*゚听)ξ「…」
(;'A`)「あれ? 何かオレ、場違いっすかね…?」
川 ゚ -゚)「ツン…」
ξ*゚听)ξ「同情なんていらない」
ξ*゚听)ξ「私は…」
ξ*゚听)ξ「私は―――」
- 297 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:57:07.10 ID:4KMbuFd60
-
ξ*゚゚听)ξ
ξ*゚ )ξ「――――っ!?」
ξ; )ξ「っ……、頭が………」
川;゚ -゚)「ツン!?」
―ヘ√ξ* )ξ――
「以上が、次回のテストの内容です」
「ほー…、そっかそっか」
「いいんじゃね? これで」
「ありがとうございます」
- 300 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/09(火)
23:58:36.23 ID:4KMbuFd60
-
「それで、No.0についてはどうしますか?」
「ん…? あぁ、ツンか」
「ずっと、横這い状態です」
「正直、今後の進展も望めません」
「成長しないって、そりゃそうだろうよ」
「『幼年成熟』を知らないわけじゃないだろ?」
「……ある適年齢で成長を止め、その状態を維持すること」
「感受性の強化、それと同等の精神改造」
「それが、良いのか悪いのかは判断をしかねますが」
「ほぉ、知ってんじゃねぇか」
「さわりだけですよ」
「身体はともかく、能力についての成長が問題ですよ」
「ふぅーん」
- 303 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:00:10.90 ID:QNl8jkDT0
-
「まぁ、大器晩成つー言葉もあんだろ」
「…」
「そのうち目覚めるさ」
「そうは言いますが、彼女が生まれて10年」
「様々な実験を施しましたが、兆しも見えません」
「正直、お荷物状態です」
「そもそも、これまでに成功したのも僅か三体のみd」
「四“人”だ」
「…! は、失礼しました…!」
「はん」
「のんびり待てばいいさ」
「ですが!!」
「金か? 金なら、アメ公にでも請求しておくから心配するな」
「……」
- 304 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:01:22.71 ID:QNl8jkDT0
-
「そのアメリカですが…」
「あん?」
「最近、よい噂を聞きません」
「なんでも、ウチの研究成果を狙っているとか」
「…はっ、そりゃそうだ」
「あいつら、最初からソレが狙いだろうよ」
「利用するだけ使用しとけばいい」
「そんな、危険ですよ…!」
「いいって」
「ツンについては、保留」
「…しかし」
「なんだ? お前は、母親に“子供を殺せ”とでもいうのか…?」
「いえ、そういうわけでは…」
「わかったら、帰れ」
- 305 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:02:43.23 ID:QNl8jkDT0
-
「…」
「帰れ」
「…はい、失礼しました」
「…」
「博士」
「なんだ、まだ用あんのか?」
「……奴らが狙っているのは、おそらくラストナンバーです」
「………!」
「完全たるエスパー」
「おそらく、それが…」
「………お前、それをどこで知った」
「……研究中に、偶然です。内藤博士が資料を出しっぱなしだったので…」
「あのバカが…」
- 310 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:03:53.31 ID:QNl8jkDT0
-
「博士、ラストナンバーたるNo.9、すでに完成してると私は考えています」
「…」
「No.0などの欠陥品とは比べ物にならない、正に完成品」
「ナンバーズ計画の枠を……」
「……おい」
「…お前、それ以上私の子を物扱いしてみろ」
「ぶっ飛ばすぞ」
「いえ、しかし、実際問題…!」
「……うるせぇ、死にてぇのか?」
「…ぐっ」
「しばらく、私の研究室への立ち入りを禁ず」
「…博士!」
「命令だ、下がれ」
「……」
- 313 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:06:29.44 ID:QNl8jkDT0
-
「No.9、か」
「完成品、……勘違いも甚だしいが」
「……嫌な言葉だ」
―ヘ√ξ* )ξ―― .、 …ッ
ξ* )ξ「…―――」
ξ* 听)ξ「―――ぁ」
川;゚ -゚)「…ン! ツン!! おい、ツン!
しっかりしろ!!」
ξ* 听)ξ「…クー……」
- 323 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:10:07.50 ID:QNl8jkDT0
-
川;゚ -゚)「私が分かるか、ツン?」
ξ* 听)ξ「クー…」
川 ゚ -゚)、「そうだ、クーだ。よかった……、いきなり倒れるからどうした事かと…」
ξ* 听)ξ「クー………」
ξ* )ξ「……No.9、……No.…9」
ξ* )ξ「…ナンバー……クー…」
ξ* )ξ「………」
川 ゚ -゚)「ツン…?」
ξ* 听)ξ「―――…」
バシッ!
川;゚ -゚)「…?」
ξ* 听)ξ「…近寄らないで」
- 335 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:11:58.17 ID:QNl8jkDT0
-
(;'A`)「ちょっなんだよ、その態度…」
ξ*゚ ゚)ξ「……」
(;'A`) ゾクッ…!
ξ*゚ ゚)ξ「……はっ」
ξ*゚∀゚)ξ「……ははっ」
ξ*゚∀゚)ξ「あははははははははははははははっ!!!」
川;゚ -゚)「ツン? …どうした、大丈夫か?」
(;'A`)「…」
ξ*゚∀゚)ξ「はは、はははっ………」
ξ*゚ー゚)ξ「あー…、可笑しい」
川;゚ -゚)「…?」
(;'A`)「…な、なに?」
- 337 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:13:25.96 ID:QNl8jkDT0
-
ξ*゚ー゚)ξ「くくっ…」
ξ*゚ー゚)ξ「…笑える話じゃない」
ξ*゚ー゚)ξ「……私は役立たずの欠陥品、あんたは立派な完成品だなんて」
川;゚ -゚)「?? 何の話をしているんだ…?」
ξ*-ー-)ξ「…」
ξ*-ー-)ξ「ブーンも知っていたのかしら?」
ξ*-ー-)ξ「完成品があるってこと」
ξ*゚ー゚)ξ「……そうよね、知ってたはずよね」
ξ*゚ー゚)ξ「じゃあ、なんで私を助けたのかしら?」
ξ*゚ー゚)ξ「哀れみ? 同情? 後ろめたさ?」
- 343 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:15:05.51 ID:QNl8jkDT0
-
(;'A`)「素直さん……。これなんかヤバい…」
川;゚ -゚)「…」
ξ*゚ー゚)ξ「あれはやっぱり嘘だったのかしら」
ξ*゚ー゚)ξ「それとも、本気だったのかしら」
ξ*゚ー゚)ξ「………もうよく分かんないや」
ξ*゚∀゚)ξ「……ははっ」
ξ*;∀;)ξ「……はっ」
ξ*;∀;)ξ「あははははははははははははははははははははっ!!!!!」
じゃらん!!
―壊れたように笑う、ツン
―その声に呼応して、黒い金属が空間を切り裂き現れた
- 350 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:16:50.75 ID:QNl8jkDT0
-
川;゚ -゚)「これは……!?」
(;'A`)「ひぃぃぃ!?」
ξ*;凵G)ξ「もう何にもいらない!!
全部!!! 全部、消えちゃえばいいのよ!!!!」
― 十を越す黒い大鎌が、一斉に二人に襲い掛かった
川;゚ -゚)「くっ…!!」
(;'A`)「ひゃっ…!? あ、危なっ!!」
ξ*;凵G)ξ「……なんで逃げるの?」
ξ*;凵G)ξ「あんたたちも、みんな忘れちゃえばいいじゃない!」
ξ*;凵G)ξ「私みたいに…!!!」
- 357 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:20:00.16 ID:QNl8jkDT0
-
川;゚ -゚)「なんだ!? この鎌の数は……!?」
川;゚ -゚)「…………まさか、暴走?」
(;'A`) …ピクッ
('A`;)「……暴走?」
―ドクオが
―クーの言葉に気をとらわれた、ほんの一瞬
―――じゃらっ
―黒い刃が一斉に、彼の方向を向いた
- 362 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:21:35.97 ID:QNl8jkDT0
-
(;'A`)「ひっ…!!」
川;゚ -゚)「っ!!! ドクオッ!!!!!!」
- 367 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:22:59.27 ID:QNl8jkDT0
-
(;>A<)∩「……!!!」
(;'A`)「…あれ?」
―違和感に気づき、目を開けたドクオが見たものは
川;- ゚)
―彼を庇い、全ての凶刃を背中に受けているクーの姿だった
- 376 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:24:46.59 ID:QNl8jkDT0
-
( 'A`)「……あ」
川;- ゚)「……よかった」
川;- -)「………もう、二度と………お前を…」
―耐え切れずその場に倒れこむ、クー
( 'A`)
( 'A`)「すなお…さん……?」
川 - -)
- 383 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:26:07.95 ID:QNl8jkDT0
-
ξ*;凵G)ξ「……はっ」
ξ*;ー;)ξ「……ははははっ」
ξ*;∀;)ξ「あはははははははははははははっ!!!」
―笑う、ツン
( 'A`)「…」
( 'A`)「……ヨ」
( 'A`)「……レヨ」
―彼には、それが非常に耳障りに思えた
- 388 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:27:54.70 ID:QNl8jkDT0
-
(#'A`)「……黙れ」
(#'A`)「黙れよぉ!!! てめぇ!!!!!!!!!!」
―雷が、跳ねる
ξ*゚ー 「――――…」
バリバリバリバリ!!!!
―ドクオの感情をぶちまけるように、雷は全てを焼き払った
- 396 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:29:22.23 ID:QNl8jkDT0
-
―跡には、ほとんど何も残ってはいなかった
―わずかに残るのは
―ぶすぶすという音と、プラスチックの焼けた匂い
≫ ( 'A`) ≪「…」
―呆然と立つ男と
川 - -)
―倒れた少女
- 405 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:31:21.10 ID:QNl8jkDT0
-
> ( 'A`) < …パチパチチッ
> ( 'A`) <「オレは………」
> ( A`) <「オレ……は…」
> ( A ) <「……」
> ( ノA ) <「……あぁ」
> ( ノД ) <「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
- 409 : ◆SEOMSVVqUg :2008/09/10(水)
00:32:05.71 ID:QNl8jkDT0
-
―○月×日
―天候は雨
―その日
―クーは、全ての記憶を失った
第三十一話了
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