- 6 :
◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
20:53:20.15 ID:Phmfoc4C0
-
エスパークス、エスタークじゃねぇのかよ!
という人のための登場人物紹介
川 ゚ -゚) エスパー女子高生。物を呼び寄せる超能力
( ><) これでも高1。千里眼
ξ*゚听)ξ クソガキ。記憶を刈り取る
川д川 オカ女。空間を構築、接続する能力
( ´∀`) ダイプロ主任。一般人
( ・∀・) ダイプロ補佐。テレパシー能力
( ФωФ) 県知事。元『最強』エスパーで氷を操る
(゚、゚トソン ロマネスクの秘書
( ) ????
- 8 :
◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
20:55:01.32 ID:Phmfoc4C0
-
「実験結果はでたか?」
「えぇ、いつもと何ら変わりませんが」
「ふぅん……、No.4とNo.5か」
「はい」
「相変わらずいい値を叩き出すもんだな」
「ESP(超感覚)PK(念動力)ともに群を抜いてます」
「…天才ねぇ」
「作られた天才ですが」
「皮肉だな。“博士”に聞かれたら怒られるぞ」
「…以後、気をつけます」
- 11 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
20:56:37.17 ID:Phmfoc4C0
-
「で」
「“本物”お気に入りのNo.0は?」
「こちらも、相変わらずです」
「そうか」
「いずれは処分対象かと」
「いずれな…」
「―――っ」
「――、―――」
「…と」
「噂をすれば、だ」
「…」
「“本物の天才”のお出ましだ」
- 15 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
20:58:58.17 ID:Phmfoc4C0
-
「お疲れ様です」
「お疲れ様」
「何かお探しですか?」
「あぁ、えぇっと、博士は?」
「そういえば見かけませんね」
「また、娘さんと遊んでるんじゃないでしょうか?」
「……」
「はぁ…」
「急用だ、っていうから急いで来たのに…」
(;^ω^)「…全く困ったもんだお」
- 16 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
20:59:20.39 ID:Phmfoc4C0
川 ゚ -゚)エスパークーのようです
−第二十九話:15(前編)−
- 18 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:00:51.52 ID:Phmfoc4C0
-
―ダイプロミーティングルーム
―全員を集めての緊急ミーティングだったが
―その場には明らかに人が欠けていた
( ´∀`)「…」
( ・∀・)「…」
( ФωФ)「…」
(゚、゚トソン「…」
川д川「…」
( ><)「…」
川 ゚ -゚)「…」
――重々しい空気が漂う中、モナーが口を開く
- 24 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:03:32.99 ID:Phmfoc4C0
-
( ´∀`)「皆も、知っていると思うモナが…」
( ´∀`)「先日」
( ´∀`)「VIP総合病院で、ウチのしぃくんが誘拐されたモナ」
( ><)「…」
川 ゚ -゚)「…」
( ´∀`)「それを阻止しようとしたハインくんとジョルジュくんが重態」
( ´∀`)「犯行は複数の外国人エスパーによるものと思われるモナ」
( ´∀`)「当時の状況を分析・検討した結果」
( ´∀`)「誘拐犯、つまるところ犯人は――」
( ФωФ)「エスパゴン」
( ´∀`)「…」
( ФωФ)「“今度こそ”間違いないな、モナー」
- 26 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:04:45.65 ID:Phmfoc4C0
-
( ´∀`)「…そうモナ」
( ´∀`)「しぃくんを攫った人間は十中八九、アメリカのエスパゴンの人間」
( ´∀`)「おそらくは、以前同様、つーくんの回収が目的だったと思われるモナ」
( ´∀`)「どんな手違いかは知らないが、ウチのしぃくんを連れて行ってしまったモナ」
(;><)「手違いって…」
(;><)「手違いどころか、あれは確実に狙ってたんです!」
( ´∀`)「…」
川д川「それで〜、今後どうするのかしら〜?」
川д川「アメリカに連絡するの〜? 人違いですよ〜って」
( ´∀`)「…」
- 27 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:07:14.46 ID:Phmfoc4C0
-
( ・∀・)「そうだな」
( ・∀・)「あちら側の目的は、ジョーカー、つまり
つー の回収だ」
( ・∀・)「それさえ果たせば、しぃは返してくれるだろう」
( ´∀`)「…そう願うモナ」
( ФωФ)「…」
(;><)「ちょっ――」
川 ゚ -゚)「――ちょっと待ってください」
( ´∀`)「…」
(>< )「クーさん…」
川 ゚ -゚)「いきなり襲ってきて、しぃさんを攫い」
川 ゚ -゚)「ハインさんは顔に大火傷、ジョルジュは撃たれました」
( ・∀・)「…」
川 ゚ -゚)「それなのに、まるであちらには否がないように話しているのは、どういうことです」
( ´∀`)「…」
- 29 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:09:10.20 ID:Phmfoc4C0
-
( ´∀`)「どうもこうもないモナ」
( ´∀`)「エスパゴンに…、アメリカには否はないモナ」
(;><)「!?」
川 ゚ -゚)「…!」
川 ゚ -゚)「本気で、言ってるんですか…?」
( ´∀`)「本気だモナ」
( ´∀`)「どう足掻こうと、アメリカには逆らえない」
( ´∀`)「やはり、あんな子供だましをせずに、つーくんは渡しておくべきだったモナ」
(;><)「なっ…!?」
川 - )「…!」
川#゚ -゚)「この……!!」
( ФωФ)「よせ――」
川;゚ -゚)「ぐっ…」
( ´∀`)「…」
- 31 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:10:55.25 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「…殴るのは、もう私がやったよ」
( ФωФ)「大分、昔だがな」
川 - )「…っ」
(゚、゚トソン「知事、あまり力を入れ過ぎぬように…」
( ФωФ)「ん。…あぁ、すまない」
川 ゚ -゚)「…」
( ´∀`)「…」
川 ゚ -゚)「本当に、そう考えてるんですか」
( ´∀`)「何度も言わせないで欲しいモナ」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「…モララー補佐も同じ考えですか?」
( ・∀・)「…」
( -∀-)「…」
( ・∀・)「素直クール」
- 32 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:12:52.31 ID:Phmfoc4C0
-
川 ゚ -゚)「…なんですか」
( ・∀・)「主任は別に仲間のことを、どうでもいいと思っているわけではないよ」
( ´∀`)「…」
川 ゚ -゚)「…」
( ・∀・)「しぃが攫われ、ハインくん達が…怪我をしたな」
( ・∀・)「さて、キミならどうする」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「私、なら…」
川;゚ -゚)「…」
川д川「やり返すのよ〜」
川 ゚ -゚)「貞ちゃん…」
( ・∀・)「茶化さないで欲しいな」
川д川「茶化してないわよ〜」
- 35 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:14:16.83 ID:Phmfoc4C0
-
川д川「ハンムラビ法典、目には目を、歯には歯を、やられたことをやり返すのが筋ってもんでしょ〜?」
( ・∀・)「しかし、そうもいくまい」
川д川「どうしてかしら〜?」
( ・∀・)「相手がアメリカだからだよ」
( ・∀・)「…」
( ・∀・)「今回の件、国際問題になりかねんが、実質国は動いていない」
( ・∀・)「むしろ、逆に圧力がかかってる始末だ」
( ´∀`)「…」
(;><)「そんな!」
川 ゚ -゚)「黙殺……ですか」
川д川「なるほどね〜」
- 36 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:15:03.16 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「ふむ…」
( ФωФ)「中島議員あたりかね?」
(゚、゚トソン「どうでしょう」
(゚、゚トソン「中心だった荒巻議員は倒れました」
(゚、゚トソン「もっとも、更に上が動いているとも考えられますが」
( ФωФ)「そうか」
( ФωФ)「どこまでも腐っているものだな」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「どうしようもないモナ」
( ´∀`)「アメリカには逆らえないモナ」
川 ゚ -゚)「…」
川д川「ふぅ〜ん」
- 37 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:16:18.93 ID:Phmfoc4C0
-
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「モララー補佐、アメリカに打診を打ってもらえるかモナ」
( ´∀`)「最悪でも、しぃくんは救いたいモナ」
( ・∀・)「は――」
( ФωФ)「その必要は、ない」
( ・∀・)「い…?」
( ´∀`)「…どういう意味モナ?」
( ФωФ)「その言葉の通りだ」
(゚、゚トソン「知事、それでは語弊あるように感じます」
(゚、゚トソン「それに打診自体は必要かと」
( ФωФ)「ふむ…、そうか」
( ФωФ)「以後、気をつけよう」
- 40 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:18:30.48 ID:Phmfoc4C0
-
( ><)「必要ないけど、必要?」
( ・∀・)「意味深なことを言いますね」
( ФωФ)「さほど深くはないよ」
( ФωФ)「つまり」
( ФωФ)「しぃは救い出す」
( ФωФ)「私が、助けにいこう」
( ・∀・)「は…?」
(;><)「助けって…」
川 ゚ -゚)「アメリカに行く、ということですか」
( ФωФ)「あぁ」
(;´∀`)「ば、馬鹿を言うなモナ。そんなこと出来るわけないモナ」
- 41 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:19:05.40 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「馬鹿か」
( ФωФ)「確かに私は馬鹿だが、しかし、間違ってはいないつもりだ」
(゚、゚トソン「その通りです」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「馬鹿のところは否定してもいいよ」
(゚、゚トソン「以後、気をつけます」
- 45 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:20:50.80 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「…モナー」
( ФωФ)「仲間は、“家族”は、救わねばならんだろう」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「それは…」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「15年、長かったよ」
( ФωФ)「大分時間はかかったが、やっと手がかりが掴めた」
( ФωФ)「邪魔は入ったが、とりあえず問題はない」
( ФωФ)「今度はこちらから打って出る」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「…どういうことです?」
- 46 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:22:11.26 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「何がだい?」
川 ゚ -゚)「話の流れがわかりません」
川 ゚ -゚)「あなたは何を知っている?」
川 ゚ -゚)「アメリカとはなんです?」
( ФωФ)「…」
川 ゚ -゚)「そもそも」
川 ゚ -゚)「なぜ、あなたは私たちに協力する?」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「…昔の約束、と言っていいかな」
川 ゚ -゚)「“15年前”というですか」
( ФωФ)「…」
川 ゚ -゚)「今回の件、どうやら、その15年前の話というのが関係しているようですね」
( ´∀`)「…」
- 48 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:22:49.95 ID:Phmfoc4C0
-
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「それは、私たちに話せないことですか?」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「いや」
( ´∀`)「…ロマネスク」
( ФωФ)「…どうせ嫌でも知ることになる」
( ФωФ)「事態はそこまで来ている」
( ´∀`)「…」
( ФωФ)「それに…」
( ФωФ)「私は、もう全てを知っている」
( ´∀`)「…っ」
- 51 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:23:58.21 ID:Phmfoc4C0
-
川 ゚ -゚)「…」
(;><)「…」
川д川「…」
( ・∀・)「…」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「そうだな」
( ФωФ)「まず、アメリカについて話そうか」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「アメリカ合衆国エスパー研究施設、『エスパゴン』」
( ФωФ)「世界一の規模を誇る、エスパー研究施設」
( ФωФ)「アメリカのニューヨークに居を構え、数千人の研究員がそこで働いている」
( ФωФ)「表向きはな」
- 58 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:27:31.19 ID:Phmfoc4C0
-
( ><)「表向き…?」
( ФωФ)「エスパゴンには、二つの顔がある」
( ФωФ)「そして、二つの施設がある」
( ФωФ)「今回、襲ってきたのは、おそらく『裏』のほうだ」
川 ゚ -゚)「裏、ですか」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「超能力というのは、未だ解明されていないところが多い」
( ФωФ)「第六の感覚、超常現象、霊的エネルギー、深層意識…」
( ФωФ)「様々な理論が展開され、ありとあらゆる実験が行われてきた」
( ФωФ)「そこには、法や触れること、人の道から外れることもある」
( ФωФ)「そのための組織だ」
( ´∀`)「…」
- 60 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:29:21.92 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「それに、エスパーが皆、人格者とは限らん」
( ФωФ)「危険分子ともなりえる彼らを収容する。そういった意味合いもある」
(;><)「危険分子だなんて…!」
( ФωФ)「…そういう風に考えている連中もいる」
( ФωФ)「一応、ここもエスパーの施設は隔離してあるのだろう?」
川д川「一応だけどね〜」
( ФωФ)「人は、異端を嫌う」
( ФωФ)「悲しいことだがな」
(;><)「…」
川 ゚ -゚)「泣きそうだぞ、ビロード」
(;><)。「そ、そんなことないんです!」
川 ゚ -゚)「そうか」
- 63 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:31:23.85 ID:Phmfoc4C0
-
川 ゚ -゚)「ロマネスクさん」
川 ゚ -゚)「以前、ギコに、エスパゴンは秘密特殊機関だと聞きましたが…」
( ФωФ)「それは、『裏』のほうだろうな」
( ФωФ)「あいつは、アメリカを嫌っていたからな」
( ФωФ)「大方、小さい頃に吹き込まれたんだろうが…」
川 ゚ -゚)「…その裏というが、今回のことを?」
川 ゚ -゚)「しぃさんを、攫ってどうしようというんです」
( ФωФ)「おそらく、つーを、それに私を、誘き寄せる気なんだろう」
( ФωФ)「まぁ、本当に間違えただけかもしれんが」
( ><)「誘き寄せて、どうするんですか?」
( ФωФ)「殺す、はずだろうな」
川;゚ -゚)「…!」
(;><)「ころ…!?」
- 72 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:35:10.58 ID:Phmfoc4C0
-
川 ゚ -゚)「…なぜ、そう言えるんですか」
( ФωФ)「つーに会わせたときに、言ったな」
( ФωФ)「強力な暗示にかかっていると」
川 ゚ -゚)「…はい」
( ФωФ)「その暗示の内容はなんだと思うかね」
川 ゚ -゚)「…」
川д川「ロマちゃんの破壊、ってとこかしら」
( ФωФ)「(…ロマちゃん)」
(゚、゚トソン「…」
(;ФωФ)「…握り拳はしまおうね」
(゚、゚トソン「…ハッ」
- 75 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:37:42.99 ID:Phmfoc4C0
-
(;ФωФ)「ゴホンっ」
( ФωФ)「…その通り」
( ФωФ)「私を殺すこと、おそらく、それが彼女にかけられていた暗示だ」
(;><)「……うぅ」
川 ゚ -゚)、「ビロード大丈夫か?」
(;><)「…大丈夫なんです」
川д川「なんなら横になっててもいいのよ〜、私の魔方陣の上で」
(;><)「遠慮しとくんです!」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「緊張感ないな」
(゚、゚トソン「知事も一役買ってます」
( ФωФ)「キミもね」
- 78 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:38:46.03 ID:Phmfoc4C0
-
( ・∀・)「…」
( ・∀・)「…少々よろしいでしょうか」
( ФωФ)「…ふむ」
( ・∀・)「ここまでの話ですが」
( ・∀・)「アメリカの、表と裏」
( ・∀・)「そういったものがあることは、私も知っていました」
( ・∀・)「つーくんの暗示」
( ・∀・)「確かにそう言われると合点がいきます」
( ・∀・)「あのときの彼女の行動には不可解な点が多すぎた」
( ・∀・)「そこまでは良しとしましょう」
( ・∀・)「しかし、あなたが狙われる理由はなんです?」
( ・∀・)「こう言ってはなんですが、あなたはダイプロを捨てた人間だ」
( ・∀・)「一介の県知事が、外国のエスパーに命を狙われるなど聞いたこともない」
- 81 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:39:40.94 ID:Phmfoc4C0
-
(゚、゚トソン「…むっ」
( ФωФ)「よしたまえ、トソンくん。今では、その知事も休業中だ」
(゚、゚トソン「はい」
( ФωФ)「私が狙われる理由か」
( ФωФ)「ふむ…」
( ФωФ)「エスパゴンの…、アメリカの、秘密を握っているというのはどうだね」
(;´∀`)「…!!」
川 ゚ -゚)「アメリカの、秘密…?」
(;><)「命を狙われるほどのものなんですか?」
- 84 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:41:16.54 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「まぁ、そうなるな」
( ФωФ)「この“秘密”が大っぴらになれば、世界は大混乱に陥るだろうな」
( ФωФ)「最も、誰も信じないかもしれんがね」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「私は、議員になって十数年、このことを調べ続けた」
( ФωФ)「そして、やっとのことで証拠を掴んだ」
( ФωФ)「それに気付いたアメリカが、私を殺しにきたというわけだ」
( ・∀・)「…」
( ・∀・)「つまり、アメリカにとって不利益な情報をあなたは握っている」
( ・∀・)「それで、殺されかけたというわけですか」
( ФωФ)「そうだ」
- 87 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:43:27.30 ID:Phmfoc4C0
-
( ・∀・)「なるほど」
( ・∀・)「しかし、それと今回の件がどう関係があると?」
( ・∀・)「それに、助けに行くといいましたが、何か策でもあるんでしょうか?」
( ・∀・)「内外から圧力がかかっている状況です」
( ・∀・)「…下手に動けば、組織が潰れる」
( ´∀`)「…」
( ФωФ)「組織か」
( ФωФ)「くっく…」
( ФωФ)「随分と頭の固いヤツをいれたものだな」
( ・∀・)「…」
( ´∀`)「…モララー補佐は良くやってくれているモナ」
( ФωФ)「…」
- 90 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:45:28.93 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「モララー“くん”」
( ФωФ)「組織なんぞ、糞だよ」
(;・∀・)「な…」
( ФωФ)「すべては人ありけりだ」
( ФωФ)「組織も、都市も、国も、な」
(゚、゚トソン「組織のトップの人間の言うべき言葉ではありませんね」
( ФωФ)「そうかね?」
(゚、゚トソン「私は支持しますが」
( ФωФ)「なら、それでいい」
(;・∀・)「しかし、それでは組織が成り立たない」
( ・∀・)「…」
( ・∀・)「あなたはここを潰す気ですか?」
- 92 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:46:49.56 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「ははっ」
( ФωФ)「残念だが、ここは“もう潰れている”よ」
( ・∀・)「…?」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「そうだろう? モナー」
(;´∀`)「…」
(;´∀`)「しかし、“ダイプロ”は…」
( ФωФ)「…相変わらずそれか」
( ФωФ)「変わらんな」
( ´∀`)「…」
- 97 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:48:58.02 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「しかし、あなたがそうまでして守りたいものは」
( ФωФ)「いずれ朽ちる」
(;´∀`)「そんなことは…!」
( ФωФ)「教えてやろう」
( ФωФ)「奴らは――」
( ФωФ)「人の手でエスパーを作り出そうとしている」
(;´∀`)「……!!!」
(;´∀`)「そ、それは……」
( ФωФ)「覚えているはずだ」
( ФωФ)「二十数年前」
( ФωФ)「あなたと“彼女”がやろうとしていたことだからな」
- 100 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:50:06.64 ID:Phmfoc4C0
-
(;´∀`)「しかし、あれは……」
(; ∀ )「…」
(; ∀ )「……失敗だったモナ」
( ФωФ)「そう、失敗に終わった」
( ФωФ)「あの火事で、全ては消え失せた」
( ФωФ)「しかし、あいつらは成功させる気でいる」
( ФωФ)「それが、神をも冒涜する行為だと知った上でな」
( ・∀・)「…」
(;><)「何のことを話しているのか、さっぱり分からないんです」
川д川「神を冒涜、素敵な言葉ね〜」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「それが、15年前のことですか」
( ФωФ)「…あぁ」
- 103 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:51:04.30 ID:Phmfoc4C0
-
川 ゚ -゚)「エスパーを作ること、それを昔のダイプロでやっていたと…?」
( ФωФ)「そうなるな」
川 ゚ -゚)「…」
( ФωФ)「踏み込むか…? もっとも、もう後戻りは出来んがな」
川 ゚ -゚)「今更ですよ」
川 ゚ -゚)「それに、ダイプロの一員として、知っておく義務があると思います」
( ><)「…」
川д川「…」
( ・∀・)「…」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「そうだな」
( ФωФ)「確かに、キミも関係者だ」
川 ゚ -゚)「…」
( ФωФ)「(…本当の意味でな)」
- 105 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:52:29.07 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「少し長くなるぞ」
川 ゚ -゚)「構いません」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「モナー。あなたにも舞台に上がってもらおうか」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「…分かったモナ」
( ФωФ)「さて」
( ФωФ)「何から話せば良いかね――」
- 108 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:53:38.55 ID:Phmfoc4C0
-
※
―ダイプロ、ツンルーム
―ギシッ
―ベッドが軋んだ音を立てる
ξ*--)ξ
―彼女は思い出す
―千切れた糸を手繰り寄せ、記憶と記憶を繋いでいく
―端々に浮かぶのは、懐かしく暖かい思い出
―思いの中心にいる人物は
- 110 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:54:10.36 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*-听)ξ パチッ
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「…おなかへった」
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「けーき、たべたいな」
けーき?
なんで、けーきがたべたいの?
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「えっと」
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「たんじょびだから」
- 112 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:55:13.03 ID:Phmfoc4C0
-
たんじょうび
だれのたんじょびかな
わたし?
それとも、あなた?
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「あなた?」
ξ*゚听)ξ「あなたってだれ?」
だれだったっけな
わたしのたいせつなひと
おおきな声で
やさしい匂いで
あたたかい手のひらのひと
- 114 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:56:04.68 ID:Phmfoc4C0
でも
かおがわからない
やさしそうな目も、まるっこい鼻も、すききらいのないおおきな口も
おもいだせないの
- 115 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:57:07.32 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*゚听)ξ「けーき、たべたいの?」
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「…どうしたの?」
ξ*゚听)ξ「どうして、そんなかなしそうなかおをしてるの?」
ξ*゚听)ξ「ないちゃだめだよ」
ξ*゚听)ξ「わたしは、なかないよ」
ξ*゚ー゚)ξ「おねえちゃんだもん」
―彼女は思い出す
―千切れた糸を手繰り寄せ、記憶と記憶を繋いでいく
―端々に浮かぶのは、悲しく切ない思い出
―思いの中心にいる人物は
- 117 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:58:11.20 ID:Phmfoc4C0
-
―※―
―※―※―
―※―※―※―
( ^ω^)「ダメだお」
研究員「…!」
研究員「しかし…」
( ^ω^)「しかしも案山子もないお」
研究員「ですが…」
研究員「現状で、これ以上の数値を求めるのは無謀です」
( ^ω^)「言い訳は聞きたくないお」
( ^ω^)「そこをどうにかするのが、ボク達の仕事だお」
- 120 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
21:59:52.67 ID:Phmfoc4C0
-
研究員「…っ」
研究員「…わかりました」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)
内藤ホライゾン(20歳)
「あんまりイジめてやるなよ、内藤」
( ^ω^)"
( ^ω^)「あなたに言われるとは心外ですお」
( ^ω^)「高岡“博士”」
- 124 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:01:06.69 ID:Phmfoc4C0
-
从 -∀从「はっ、言うねぇ」
从 ゚∀从「まぁ、否定はしないけどな」
从 ゚∀从
ハインリッヒ高岡(31歳)
从 ゚∀从「…」
从 ゚∀从「んで、どうしたわけ?」
( ^ω^)「不可視物質透視の実験パターンについてですお」
从 ゚∀从「資料は?」
研究員「これです」
从 ゚∀从「…ふぅ〜ん」
研究員「従来のパターンでは、負荷がかかりすぎるとのことで…」
从 ゚∀从「なるほどね」
- 129 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:02:43.73 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「内藤は、どう考える?」
( ^ω^)「ボクなら…」
( ^ω^)「電気信号形式から神経バイパス形式に変えることを提案しますお」
( ^ω^)「直接的なビジョンで実験できることは、今後も役に立つかと」
从 ゚∀从「うん。悪くないな」
从 ゚∀从「ただし、それだと…」
( ^ω^)「経費が掛かりすぎますお」
从 ゚∀从「まぁ、そういうこったな」
从 ゚∀从「…」
从 ゚∀从「なぁ、この資料ちっと借りていい?」
研究員「は、はい。どうぞ」
从 ゚∀从「ん、あんがと」
从 ゚∀从「…」
- 131 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:03:45.05 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「何か名案でも?」
从 ゚∀从「それは、これから考えるんだよ」
从 ゚∀从+「なんせ“私”は、超・天・才だからな!!」
研究員「…」
(;^ω^)「(自分で言うかお…)」
―15年前
―大日本エスパー“開発”プロジェクト
- 137 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:06:48.21 ID:Phmfoc4C0
-
―※―※―※ ( ^ω^) ※―※―※―
( ^ω^)「…」
―カンカンカン、カン…
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「ふー…」
―ダイプロ、ブーンルーム前
ガチャ
( ^ω^)「ただいま…」
⊂(゚∀゚*ξ= 「おかえり!」
コキーン!
(; ゚ω゚)・∴「ふぐぅ!!?」
- 139 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:08:08.14 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*゚听)ξ「ありゃ?」
(;^ω^)「き、ききき来てたのかお…」
ξ*゚听)ξ「おうよ!」
(;^ω^)「…しかし、フライングドロップ金的はあれほどやめろと…」
ξ*゚听)ノ「痛いの痛いの飛んでけー」
(;^ω^)「飛ぶかお!!」
ξ*゚听)ξ「飛ぶよ!」
ξ*゚听)ξ
ツンデレ(当時10歳)
(;^ω^)「はぁ…、帰ってきても疲れるって一体…」
ξ*゚听)ξ「ブーン疲れてるの?」
( ^ω^)、「お。そんなことないお」
- 142 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:09:27.64 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*゚听)ξ「本当?」
( ^ω^)「…」
ξ*゚听)ξ「嘘ついてたらぶっ飛ばすぞ」
(;^ω^)「……少しだけ疲れてるお」
ξ*゚听)ξ「なるほど」
ξ*゚听)ξ「じゃあ、ツンちゃん特製のこのマムシドリンクを」
つ日
( ^ω^)「いや、マムシって色じゃねーお」
( ^ω^)「青色の飲み物は自然界に存在しないお」
ξ*゚听)ξ「つべこべ言わずに飲め!」
つ日
(;^ω^)「いやぁ!!!」
―コンコン
「ん…?」 ξ*゚听)つ日)^ω^) 「お?」
- 147 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:11:03.98 ID:Phmfoc4C0
-
「内藤さん、ツンちゃんー、ご飯ですよー」
(;^ω^)「い、今、行くお!」
(;^ω^)「(助かった…)」
ξ*゚听)ξ「むぅ」
ガチャ
( ^ω^)「すまんこすまんこ」
( ^ω^)「(サンキューだお、しぃ)」ボソッ
(*゚ー゚)「なにがですか?」
ξ*゚听)ξ「…」
(;^ω^)「な、なんでもないお」
(*゚ー゚)「…?」
(*゚ー゚)
しぃ(当時7歳)
- 149 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:12:30.43 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「で、今日は誰が担当なんだお?」
(*゚ー゚)「モナー主任ですよー」
( ^ω^)「なるほど…」
ξ*゚听)ξ「今度はピーナッツとかないよね?」
(*゚ー゚)「うん、たぶん」
( ^ω^)「スルメとかを普通に出してくるから困るお」
(*゚ー゚)、「おさけ、好きだから」
ξ*゚听)ξ「ブーンも人のこと言えないでしょ」
(;^ω^) ギクリ
ξ*゚听)ξ「酢豚に、酢の物に、酢飯、お酢お酢お酢尽くし」
ξ*゚听)ξ「すっぱいのなんて大っきらい」
- 152 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:13:21.09 ID:Phmfoc4C0
-
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待つお」
( ^ω^)「酢は健康にいいんだお」
( ^ω^)「ツンなんて、チョコに、ケーキに、プリングルス」
( ^ω^)「もはや、晩御飯とは呼べないお」
ξ#゚听)ξ「なんですって!」
ξ#゚听)ξ「やっぱり食前に飲め、マムシドリンク!」
つ日
(;^ω^)「ちょっ! 持ってくんな!!」
(*゚ー゚)「あの…、ご飯……」
ギャーギャー
(*゚ー゚)「はぁ…」
- 155 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:15:50.89 ID:Phmfoc4C0
-
※
( ФωФ)「――で、なんだかんだで遅くなった」
( ФωФ)「そういうことか」
( ФωФ)
杉浦ロマネスク(当時17歳)
( ^ω^)「そうだお」
ξ#゚听)ξ「ブーンが悪いんだよ!」
(# ^ω^)「んな!? ツンが悪いんだお!」
( ФωФ)「…」
- 157 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:16:37.35 ID:Phmfoc4C0
-
(;^ω^)「はっ…!?」
ξ;゚听)ξ「さむっ…!」
( ФωФ) ヒュゴォォォォォ…
( ФωФ)「両方悪い」
(;^ω^)「うっ…」
ξ;゚听)ξ「…ごめんなさい」
( ФωФ)「早く席に着け」
( ФωФ)「お前ら待ちだ」
( ^ω^)「…しぶしぶ」
ξ*゚听)ξ「…う〜」
(*゚ー゚)「(ケンカしてるのに、相変わらず席は隣同士なんだ…)」
- 158 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:17:48.87 ID:Phmfoc4C0
-
(,゚Д゚)「(やーい)」
(,゚Д゚)「(怒られてやーんの)」
ξ*゚听)ξ「…むっ」
ξ*゚听)ξ「(うっさいわね、あんたにはカンケーないでしょ)」
(,゚Д゚)「(でた、“カンケーないでしょ”)」
(,゚Д゚)「(どーせ、また、ナイトーの部屋に行ってたんだろ)」
ξ;゚听)ξ「(うぐっ…)」
(,゚Д゚)「(人にメーワクかけちゃいけないんだぜ)」
(,゚Д゚)
ギコ(当時7歳)
(,゚Д゚)「(だーから、ガキなんだよ)」
ξ#゚听)ξ「――っ!!」
ξ#゚听)ξ「なんですって!!
あんたのほうがガキでしょ!!!」
- 160 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:18:40.01 ID:Phmfoc4C0
-
(;^ω^)「ツン、バカ…!」
ξ#゚听)ξ「誰がバカ……」
ξ;゚听)ξ「…はっ!?」
( ФωФ)ゴォォォォォ…
コキ――ン
* ξ* )ξ *+(バカバカバカギコ…!)
* (, Д ) *+(なんでオレまで…)
- 166 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:20:11.11 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「…まったく」
从 ゚∀从「カカカカw お守りも大変だな、内藤」
( ^ω^)「高岡博士」
从 ゚∀从「バータレ。ハインさんと呼べ、ハインさんと」
从 ゚∀从「ここは職場外だ」
( ^ω^)「はぁ…」
( ^ω^)「(職場内だと思うんだけど…)」
( ^ω^)「しかし、ロマはなんであんなに気合が入ってるんですかお?」
( ^ω^)「今日の担当は主任だったはず…」
从 ゚∀从「手元の料理を見てみな」
( ^ω^)「…?」
(;^ω^)「ぬぅ!? これは……!!」
( ^ω^)「ロールキャベルツ、ハンバーグ、酢豚、もやし炒めに、だし巻き玉子…!?」
( ^ω^)「みんなの好きなメニューばかりだお」
- 168 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:21:56.90 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「これを主任が…?」
从 ゚∀从「あのトーヘンボクが作れるわけねーだろ」
从 ゚∀从「作ったのは、ロマネスクだよ」
( ^ω^)「あれ、そうなんですかお」
( ^ω^)「でも、今日は主任が…」
从 ゚∀从「モナーの作ったやつは全部ダメだしされた」
(;^ω^)「可哀相すぎる……」
( ^ω^)「で、主任は…?」
从 ゚∀从「あそこで泣いてる」
( ;∀;)「モーナモナモナモナ…」
(;゚ー゚)「あの、その、気を落とさないで」
- 170 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:22:50.64 ID:Phmfoc4C0
-
( ´∀`)「えぐっ……、すまんモナ」
( ´∀`)「自信作だったのに…」
( ´∀`)「イカゲソ…」
(;゚ー゚)「また、おつまみ作ったんですね…」
( ´∀`)「モナ…」
( ´∀`)
モナー(当時30歳)
- 173 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:23:35.61 ID:Phmfoc4C0
-
( ФωФ)「よし」
( ФωФ)「それじゃあ、手を合わせろ野郎ども」
( ФωФ)「いただきます」
『い た だ き ま ー す 』
* ξ* )ξ *+(あぁ、私のハンバーグ…!)
* (, Д ) *+(オレのもやし炒めが――!!)
- 177 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:25:18.16 ID:Phmfoc4C0
-
―※―※―※ ハ ゚-ノハ ※―※―※―
( ^ω^)「んー…」
―後日、ダイプロ研究室
( ^ω^)「これは、どうにかならないお?」
研究員「どうにかと言われますと…?」
( ^ω^)「いや、博士のスケジュール」
(;^ω^)「ほとんどが、フリータイムってなんだお…」
研究員「そう言われましても…」
研究員「もっと娘と遊ぶ時間が欲しい、ってきかないんですよ」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「遊ぶ時間、ね…」
( ^ω^)「まぁ、いいお」
( ^ω^)「とりあえず、博士の分は置いておいて、前回の確立変動値の見直しから…」
- 179 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:26:36.81 ID:Phmfoc4C0
-
「ブ―――ン!!」
( ^ω^)「お?」
ガチャ
ξ*゚听)つ|「勉強の時間だよ――!」
( ^ω^)「おぉ、もうそんな時間かお」
ξ*゚听)ξ「10分オーバーだよ!」
( ^ω^)「おっおっ、すまんこすまんこ。すぐに行くお」
研究員「…あの」
( ^ω^)「あぁ。そうか」
( ^ω^)「後はテキトーにお願いするお」
研究員「え!? 適当って……」
- 180 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:27:19.82 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「大丈夫。最後の調整はボクがやるお」
( ^ω^)「じゃあ、行くお」
ξ*゚听)ξ「ギコとしぃも待てるよ」
( ^ω^)「おっおっ、了解だお」
テッテッテッテ
ガチャン
研究員「…」
研究員「あんたも人のこと言えねーだろ…」
- 183 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:28:29.35 ID:Phmfoc4C0
-
※
―ダイプロ、ミーティングルーム
(,゚Д゚)「おーそーいー」
(*゚ー゚)「しー。だめだよ、足バタバタさせちゃ」
(*゚ー゚)「もうすぐ来るよ」
(,゚Д゚)「さっきから、そればっかじゃんかよー」
(*゚ー゚)「ホントだって」
(*-ー゚)「…ほら、来た」
ガチャ
( ^ω^)「お待たせだおー」
(,゚Д゚)「お、ホントだ」
(*゚ー゚)「ねー」
- 186 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:29:28.30 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*゚听)ξ「はー、疲れた」
(*゚ー゚)「ツンちゃん、お疲れさま」
(,゚Д゚)「じゃんけんで負けたくせに文句言うなよ」
ξ*゚听)ξ「負けたんじゃなくて、負けてやったの」
ξ*゚听)ξ「ま、大人だからトーゼンね」
(,゚Д゚)「プッw」
ξ*゚听)ξ
ξ#゚皿゚)<,;Д;)「ぎゃああああああ!!!」
(;^ω^)「ま た か お」
(;^ω^)「なんでそんなケンカばっかりするんだお」
- 188 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:30:35.14 ID:Phmfoc4C0
-
ξ#゚皿゚)ξ「はって、ほいつが」
<,;Д;)「うわぁぁん、離せクソガキー」
(;゚ー゚)「だめだよ、ツンちゃん。ギコくんの顔食べちゃ…!」
(;゚ー゚)「お腹壊しちゃうよ!」
(;^ω^)「何気に酷いことを…」
( ^ω^)、「あー、はいはい。二人ともそこまでにしておくお」
( ^ω^)「そうだ。ケンカをやめたら、“カルピーかっぱえびすん”をあげるお」
ξ゚皿゚)<,゚Д゚) ピタッ
ξ*゚听)ξ+
(メ゚Д゚)+ シャキン!!
(*゚ー゚)+
( ^ω^)「うむ、素直で大変よろしいお」
- 192 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:31:35.04 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「じゃあ、はじめは算数からいってみるお」
ξ*゚听)ξ「かっぱえびすんはー?」
( ^ω^)「勉強が終わった後にだお」
(メ゚Д゚)「えー」
(*゚ー゚)「算数かぁ…」
ξ*゚听)ξ「ふん、ヨユーよ。ヨユー」
(メ゚Д゚)「むっ」
(メ゚Д゚)「オレだってヨユーだもんね」
(*゚ー゚)「私は、ちょっと苦手かなぁ」
( ^ω^)「おっおっ、分からないところがあったら聞くといいお」
( ^ω^)「それじゃ、恒例の九九からいってみるお」
ξ*゚听)ξ「(…5の段来い、5の段)」
(メ゚Д゚)「(2の段ならヨユーだぜ)」
(*゚ー゚)「…この二人、大丈夫なのかな」
- 194 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:33:10.59 ID:Phmfoc4C0
-
※
ガチャ
从 ゚∀从「タリーラーリーラー」
从 ゚∀从「ちょいーす。調子はどうかね、皆の衆」
ハ ゚-ノハ「どーかね」
研究員「高岡博士…」
研究員「娘さんも一緒とは珍しいですね」
从 ゚∀从「ま、たまにはなー」
从 ゚∀从「おんや? 内藤は?」
研究員「それが」
研究員「子供達の勉強を見ると…」
从 ゚∀从「なに…!」
ハ ゚-ノハ「なに?」
- 196 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:34:27.43 ID:Phmfoc4C0
-
研究員「一応最終調整はやっていただけるようなのですが…」
从 ゚∀从「あの野郎…」
从 ゚∀从「…」
研究員「…博士?」
从 ゚∀从「あいつばかりズルい!!!」
ハ ゚-ノハ「ズルムケ!」
研究員「は?」
从 ゚∀从「ありゃあ、私の子供達だ」
从 ゚∀从「教育の義務は、とーぜん私にある!!」
研究員「は、はぁ…」
从 ゚∀从「とゆーわけで、後は任せた」
研究員「え゛」
- 197 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:35:00.62 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「いくぞ、――“ハイン”」
ハ ゚-ノハ「うん」
ガチャ
研修員「あ……」
研究員「行っちゃった…」
研究員「もうやだ、この職場…」
- 200 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:36:59.26 ID:Phmfoc4C0
-
※
( ^ω^)「50×50はいくつだお、ギコ」
(,゚Д゚)「うーん、うーん」
(,゚Д゚)「550!!」
( ^ω^)「うん、どうしたらそうなるのかな?」
ξ*゚听)ξ「バカねー、ギコ」
ξ*゚听)ξ「答えは、25よ!!」
( ^ω^)「減ってどうする」
(*゚ー゚)「えっと…」
(*゚ー゚)「250……かな?」
( ^ω^)「惜しい! でも、やっとまともな答えが聞けて先生嬉しいお」
- 202 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:38:15.17 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「答えは――」
グワラッ!!!
从 ゚∀从つ| 「2500だ!!!」
(;^ω^)「高岡博士…!?」
从 ゚∀从「だから、博士って呼ぶなつーの」
(;^ω^)「いや、そんなことはどうでもいいですお」
(;^ω^)「一体何しに来たんですお」
从 ゚∀从「何って、勉強を教えに来たんだよ」
从 ゚∀从「なー」
ハ ゚-ノハ「なー」
( ^ω^)「“ハイン”まで…」
从 ゚∀从「あ? 私がどうかしたのか?」
( ^ω^)「いや、博士じゃなくて、小さいほう…」
- 208 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:39:14.64 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「んだよ、紛らわしいなー」
(;^ω^)「だから、博士と呼ぶと言ってるんですお」
( ^ω^)「しかし、珍しいですね」
( ^ω^)「この子を連れて歩くなんて…」
从 ゚∀从「ま、たまにはなー」
ハ ゚-ノハ「なー」
ハ ゚-ノハ
ハインリッヒ高岡(当時8歳)
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「そうですかお」
从 ゚∀从「ソーナンデス。じゃ、講師交代な」
从 ゚∀从「うっし、席につけー」
ハ ゚-ノハ「つけー」
- 215 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:40:59.05 ID:Phmfoc4C0
-
(*゚ー゚)「…」
ハ ゚-ノハ「ついたー」
(*゚ー゚)「ハインちゃん、だっけ」
ハ ゚-ノハ「だっけ?」
(*゚ー゚)「テストとかで会うぐらいで、こうしてお話するのは初めてだね」
ハ ゚-ノハ「だね」
(*゚ー゚)「私、しぃ。よろしくね」
ハ ゚-ノハ「ね」
(,゚Д゚)「オレ、ギコ。よろしくな」
ξ*゚听)ξ「ツンデレよ」
ハ ゚-ノハ「…」
パ-ノハ「ギコデレ」
(;゚Д゚) 「一緒にするな!」 ξ(゚△゚;ξ
- 219 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:43:04.78 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「うむうむ、やっぱり子供は子供同士でいるのが一番だな」
从 ゚∀从「仲良くやってるようだし」
( ^ω^)「仲良く…?」
(,゚Д゚)「だーからー」
(,゚Д゚)「オレがギコさまで、こいつがクソチビ」
ξ#゚听)ξ「んなんですって…!!」
ハ ゚-ノハ「ギコチビ」
(;゚Д゚)「ちげーよ!」
ξ*゚听)ξ「おほほほほ、ざまー」
ξ*゚ー゚)ξ「私がツンちゃんで、こいつがノータリンよ」
ハ ゚-ノハ「ツンゲロ」
ξ;゚听)ξ「違うっていうかゲロって何よ!
ゲロって!!」
- 222 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:44:26.57 ID:Phmfoc4C0
-
(*゚ー゚)「私は呼び捨てでいいよ、しぃって呼んでね」
ハ ゚-ノハ「しー」
(*゚ー゚)「うふふ、ありがと」
( ^ω^)「一部は、そうみたいですお」
从 ゚∀从「だろう?」
从 ゚∀从「よしー、お前ら、算数はもう終わりだ」
(,゚Д゚)「マジか!」
ξ*゚听)ξ「かっぱえびすん!」
ハ ゚-ノハ「えびすん?」
(*゚ー゚)「お菓子だよ、おいしいの」
ハ ゚-ノハ「おい、しー?」
(*゚ー゚)「いや、違う違う」
- 225 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:45:08.71 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「かっぱえびすん?」
( ^ω^)「勉強が終わったらあげる約束をしてたんですお」
从 ゚∀从「おーそうかそうか」
从 ゚∀从「じゃ、お前らもう少し頑張れ」
从 ゚∀从「そしたら、お菓子をあげよう」
(,゚Д゚)「えー」
ξ*゚听)ξ「まだやるのー?」
从 ゚∀从「やるの」
(*゚ー゚)「何をやるんですか?」
ハ ゚-ノハ「ですかー」
从 ゚∀从「ふはははは」
从 ゚∀从「次の科目は、――哲学だ!!」
- 228 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:45:49.80 ID:Phmfoc4C0
-
(,゚Д゚)「てつがく?」
ξ*゚听)ξ「鉄のお勉強?」
(;^ω^)「哲学!?」
(;^ω^)「んなん、やる必要がどこにあるんですかお!?」
从 ゚∀从「私の胸の中にある!!!」
(;^ω^)「…この人は……」
从 ゚∀从「そーだな、う〜ん」
゛Θ ゛
日 ピコーン
从 ゚∀从
从 ゚∀从「よぉし、お前ら」
从 ゚∀从「『人はなぜ生きてるのか』、答えろ」
- 231 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:46:53.30 ID:Phmfoc4C0
-
(,゚Д゚)「食べ物食べるから?」
从 ゚∀从「そりゃ、生きる手段だな」
从 ゚∀从「どうして人は生きているか、だ」
(*゚ー゚)「うーん」
(*゚ー゚)「お仕事をするため?」
ハ ゚-ノハ「おしーごと」
从 ゚∀从「生きる目標か。まぁ、そういうのもあるだろーな」
从 ゚∀从「はい、次」
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「う〜…ん」
ξ*゚听)ξ「……わかんない」
从 ゚∀从「そっか。分かんねーもんはしょうがねぇな」
- 232 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:47:40.67 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「ほいじゃ、内藤」
(;^ω^)「ボクもですかお!?」
从 ゚∀从「とーぜん」
(;^ω^)「うぅ…ん」
从 ゚∀从「はい、チッチッチッチ、あと30秒〜」
(;^ω^)「早っ!!」
从 ゚∀从「あと10秒〜」
(;^ω^)「えっと、あっと…」
从 ゚∀从「あと5秒〜」
(;^ω^)「―――っ」
- 234 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:48:28.17 ID:Phmfoc4C0
-
(;^ω^)「人は…」
( ^ω^)「…人は、何かを残すために生きてるんですお」
从 ゚∀从「ほほぉ」
( ^ω^)「それは、子供だったり、名前だったり、色々かたちは違うけれど」
( ^ω^)「みんな、自分の痕跡をのこすために生きてるんですお」
(;^ω^)「たぶん」
从 ゚∀从「ふぅん」
从 ゚∀从「なるほどねぇ」
( ^ω^)「博士……、ハインさんはどう考えてるんですかお?」
从 ゚∀从「私?」
从 -∀从「…私は、内藤と一緒だ」
ハ ゚-ノハ「いっしょー」
- 235 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:49:12.71 ID:Phmfoc4C0
-
(;^ω^)「ズルっ」
从 ゚∀从「しょうがねぇだろ、本当なんだから」
从 ゚∀从「ま、もっと絞った見方だけどな」
( ^ω^)「…?」
从 ゚∀从「よーし、これで授業は終わりだー」
( ^ω^)「もう!?」
从 ゚∀从「あぁ、もういいや」
从 ゚∀从「つーわけで、内藤からお菓子もらいなー」
『はーい』
(;^ω^)「おまっ…」
- 239 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:50:19.04 ID:Phmfoc4C0
从 ゚∀从「ハイン、帰るぞー」
ハ ゚-ノハ「…」
从 ゚∀从「ん?」
ハ ゚-ノハ「お菓子…」
从 ゚∀从「お前は、ダメだ」
ハ ゚-ノハ「…」
ハ ゚-ノハ「ダメだー」
テテテッ
(*゚ー゚)「ハインちゃん」
(*゚ー゚)「また、遊ぼうね」
ハ ゚-ノハ「…」
(*゚ー゚)「(今度は、お菓子取っといてあげる)」ボソボソ
ハ ゚-ノハ「…!うん」
(*゚ー゚)「うふふ」
- 242 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:51:11.81 ID:Phmfoc4C0
-
从 ゚∀从「んじゃな、内藤」
( ^ω^)「まったく、何しにきたんですかお」
从 ゚∀从「教育だ、きょーいく」
(;^ω^)「何も教えてないじゃないですか…」
从 ゚∀从「内藤」
从 ゚∀从「単純に教養だけ詰め込めればいいってもんじゃねーぞ」
从 ゚∀从「特に、こいつらの場合はな」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「分かってますお」
从 ゚∀从「そっか? ならいいんだ」
从 ゚∀从「分かってりゃ、な」
( ^ω^)「…」
从 ゚∀从ノシ「バイナーラ」
ハ ゚-ノハノシ「バイナラー」
- 245 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:52:28.77 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「うーん、文字通り嵐みたいな人だお…」
(,゚Д゚)「ナイトー、えびすんなくなった」
(;^ω^)「もうかお!?」
(,゚Д゚)「何か少なかった」
( ^ω^)「う〜ん、あとはすっぱむーチョンしかないお」
(,゚Д゚)「おー、それでもいいぞー」
( ^ω^)「でも、ツンが…」
( ^ω^)「…?」
( ^ω^)「あれ、ツンは?」
- 246 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:53:26.07 ID:Phmfoc4C0
-
(*゚ー゚)「…? さっきまでいたんだけど…」
(,゚Д゚)「勉強いやになって逃げたんじゃねーの?」
(*゚ー゚)「そんなギコくんみたいな…」
(,゚Д゚)「いや、それどーゆー意味だよ」
- 247 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:54:09.83 ID:Phmfoc4C0
-
※
…わたしはなんで生きてるんだろう
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「わかんないや」
―ダイプロ、第9通路
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「勝手に出てきちゃったけど、みんな心配して…」
ξ*゚听)ξ o0( (,゚Д゚)ヤーイ、チービ )
ξ*゚听)ξ「ないだろうな…」
- 250 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:55:15.00 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*--)ξ「いーもん。かぱえびすん、半分持ってきたから」
ξ*゚、゚)ξ バリボリバリ
ξ*゚、゚)ξ バリバリ
ξ*゚、゚)ξ「…」
ξ*゚、゚)ξ「…チビじゃないもん」
ξ*゚听)ξ「全然、大きくならないけど…」
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「そのうち“ぐらまぁ”になるはず」
ξ*゚听)ξ「…」
ノシ ペチペチ
ξ*゚听)ξ「…はず」
- 253 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:56:22.99 ID:Phmfoc4C0
-
――……―っ」
―…―だぞ」
―――し、ですよ?」
ξ*゚听)ξ「ん?」
ξ*゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「研究室の人たちだ…」
ξ*゚听)ξ「なに、話してるんだろう?」
゚听)ξ ソー…
- 260 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
22:59:32.59 ID:Phmfoc4C0
-
「以上が、次回のテストの内容です」
「ほー…、そっかそっか」
「いいんじゃね? これで」
「ありがとうございます」
「それで、――についてはどうしますか?」
「ん…? あぁ、ツンか」
「ずっと、横這い状態です」
「正直、今後の成長も望めません」
「成長しないって、そりゃそうだろうよ」
「『幼年成熟』を知らないわけじゃないだろ?」
- 264 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:03:01.67 ID:Phmfoc4C0
-
「……ある適年齢で成長を止め、その状態を維持すること」
「感受性の強化、それと同等の精神改造」
「それが、良いのか悪いのかは判断をしかねますが」
「ほぉ、知ってんじゃねぇか」
「さわりだけですよ」
「身体はともかく、能力についての成長が問題ですよ」
「ふぅーん」
「まぁ、大器晩成つー言葉もあんだろ」
「…」
「そのうち目覚めるさ」
- 268 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:04:23.22 ID:Phmfoc4C0
-
「そうは言いますが、彼女が生まれて10年」
「様々な実験を施しましたが、兆しも見えません」
「正直、お荷物状態です」
「そもそも、これまでに成功したのも僅か三体のみd」
「四“人”だ」
「…! は、失礼しました…!」
「はん」
「のんびり待てばいいさ」
「ですが!!」
「金か? 金なら、アメ公にでも請求しておくから心配するな」
「……」
「そのアメリカですが…」
- 269 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:05:13.48 ID:Phmfoc4C0
-
「あん?」
「最近、よい噂を聞きません」
「なんでも、ウチの研究成果を狙っているとか」
「…はっ、そりゃそうだ」
「あいつら、最初からソレが狙いだろうよ」
「利用するだけ使用しとけばいい」
「そんな、危険ですよ…!」
「いいって」
「ツンについては、保留」
「…しかし」
「なんだ? お前は、母親に“子供を殺せ”とでもいうのか…?」
- 271 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:05:55.74 ID:Phmfoc4C0
-
「いえ、そういうわけでは…」
「わかったら、帰れ」
「…」
「帰れ」
「…はい、失礼しました」
「…」
- 273 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:06:43.83 ID:Phmfoc4C0
-
从 -∀从「…ふぅ」
从 ゚∀从「…」
从 ゚∀从「ん?」
テクテクテク
ヒョイ
从 ゚∀从ノ「…?」
从 ゚∀从「…なんでこんなとこに、えびせんが?」
- 276 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:07:51.92 ID:Phmfoc4C0
-
―※―※―※ (´・ω・`) ※―※―※―
カランカロンカラン
(´・ω・`)「ようこそ、バーボンハウスへ」
(´・ω・`)
ショボン(年齢不詳)
(´・ω・`)「って、キミか」
―BAR:バーボンハウス
( ´∀`)「きっっついの一杯くれモナ」
(´・ω・`)「どうしたんだい?」
(´・ω・`)「また、“彼女”とケンカでもしたのかい?」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「ま、言いたくないならそれでもいいけどね」
- 278 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:08:58.53 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「キツイのね」
トクトクトク
(´・ω・`)
つ日臼と
コトッ
(´・ω・`)「はいよ」
つ日
( ´∀`)「…」
つ日
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「…」
( ´∀`)「…ケンカというわけじゃないモナ」
( ´∀`)「考え方が少し違うだけモナ」
- 283 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:12:47.68 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「価値観の違いから決別、というのはよくある話だけどね」
(´・ω・`)「ほら、音楽性の違いでグループ解散とか」
( ´∀`)「あれは、半分方便みたいなもんだモナ」
( ´∀`)「別にダイプロを解散するほどのことじゃないモナ」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「つーちゃん、だったかな」
(´・ω・`)「その子のことだろう?」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「…モナは、しょうがないと思っているモナ」
( ´∀`)「アメリカの要求を完全に無視するわけにはいかない」
( ´∀`)「それに、あの子は……失敗作だったモナ」
(´・ω・`)「…」
(´・ω・`)「失敗作ね」
(´・ω・`)「キミからそんな言葉を聞くとは思わなかったな」
- 285 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:14:15.96 ID:Phmfoc4C0
-
( ´∀`)「…結果が全てモナ」
(´・ω・`)「…」
(´・ω・`)「そうかい」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「ハインには、ぶん殴られたモナ」
(´-ω-`)「だろうね」
( ´∀`)「『私の娘を取り返す』って聞かなかったモナ」
( ´∀`)「モナだって、引渡したかったわけじゃないモナ」
( ´∀`)「でも――」
(´・ω・`)「でも?」
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「…しょうがないモナ」
(´・ω・`)「…」
(´-ω-`)「…そうかい」
- 293 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:21:23.82 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「…」
(´・ω・`)「昔……、まぁ、キミ達が学生の頃だけど」
(´・ω・`)「よくここに来て、話していたね」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「彼女は某有名教授の助手、キミは冴えない大学生」
( ´∀`)「言ってくれるモナ」
(´・ω・`)「ふふっ、まぁいいじゃないか」
(´・ω・`)「マスターの戯言だと思って聞き流してくれ」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「キミ達の話はいつも盛り上がっていた」
(´・ω・`)「地球意識だの、シンクロニシティだの」
(´・ω・`)「傍から聞いていると、さっぱりな単語だらけだったけどね」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「覚えているかい?」
(´・ω・`)「いつだか、彼女がキミに言った言葉さ」
- 295 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:22:33.50 ID:Phmfoc4C0
-
从*゚∀从「かー、頭の固てぇやつだな」
从*゚∀从「真っ直ぐだけが人生じゃねー」
从*゚∀从「キュウリも人も、多少曲がってるほうが旨味があるっつーの」
げぇぇっぷ
( ´∀`)「…」
( ´∀`)「覚えていないモナ」
(´・ω・`)「そうか、残念だな」
(´・ω・`)「当時、何の気なしに聞いてたんだが、ここで笑ってしまってね」
(´・ω・`)「彼女に睨まれた」
(´・ω・`)「それ以来かな、キミ達と仲良くなったのは」
(´・ω・`)「もっとも、キミの相方は最近とんと見ないけどね」
( ´∀`)「…」
- 298 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:23:55.96 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「仲直りしたらどうだい?」
(´・ω・`)「このままでいいとはキミも思っていないだろう?」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「キミはよく嘘をつくからね」
(´・ω・`)「果たして」
(´・ω・`)「つーちゃんを引き渡したのは、本当にダイプロのためかな?」
( ´∀`)「そう言ってるモナ」
(´・ω・`)「やっぱり嘘つきだ」
(´・ω・`)「失敗作というのも、方便かい?」
( ´∀`)「…」
(´・ω・`)「…ふぅ」
(´・ω・`)「どこまで本心か分からないが」
(´・ω・`)「少なくとも、彼女の気持ちが分からないわけじゃないはずだ」
- 300 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:24:55.15 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「常連が減ると寂しい以上に、経営に響く」
(´・ω・`)「ウエイターの給料を払うのも厳しいし…」
(´・ω・`)「できれば、早急に和解してほしいものだね」
( ´∀`)「…」
( ´Д`) グイッ
つ日
( ´∀`)「できれば、そうしたいものモナ…」
( ´∀`)「お会計、ここに置いとくモナ」
(´・ω・`)「…」
(´・ω・`)「またのご来店、お待ちしておりますよ」
( ´∀)「モナ」
キィ
カランコロンカラン
(´・ω・`)「…」
- 302 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:25:54.35 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「もういいよ、ロマネスク」
ФωФ) ソロ〜
( ФωФ)「ふぅ…」
( ФωФ)「危ないとこだった」
(´・ω・`)「バイト禁止なのかい?」
( ФωФ)「実は。隠していてすいません」
(´・ω・`)「いや、別にウチは困らないからいいけど」
( ФωФ)「主任、何か言ってましたか?」
(´・ω・`)「いや、何も」
( ФωФ)「そうですか」
( ФωФ)「それじゃ、キッチンに戻ります」
(´・ω・`)「…」
(´・ω・`)「あぁ、そうだ。ロマネスク」
(ФωФ )「なんです?」
- 306 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:28:11.40 ID:Phmfoc4C0
-
(´・ω・`)「ダイプロって、楽しいかい?」
(ФωФ )「…」
(ФωФ )「居心地はいいですよ」
( ФωФ)「…ショボンさんもどうですか?」
(´-ω-`)「いや、ボクはいいよ」
(´・ω・`)「なら、いいんだ」
(´・ω・`)「気にしないでくれ」
( ФωФ)「はぁ」
(´・ω・`)「…」
(´・ω・`)「(キュウリね…)」
(´・ω・`)「(曲がってるものが店に並ぶことはないけど)」
(´・ω・`)「(ハイン、キミの相方は大したひねくれ者だよ…)」
- 307 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:29:29.52 ID:Phmfoc4C0
-
―※―※―※ ξ*゚听)ξ ※―※―※―
―カンカンカン、カンカン
( ^ω^)「あー、疲れたお」
―ガチャ
( ^ω^)「ただいまー…」
( ^ω^)「…?」
( ^ω^)「珍しい、いないのかお」
( ^ω^)「でも、鍵が開いて…」
(¥ξ*゚)「…」
( ^ω^)「お?」
( ^ω^)「なんだ、やっぱりいたのかお」
- 310 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:30:27.71 ID:Phmfoc4C0
-
(¥ξ*-)「…」
( ^ω^)「?」
( ^ω^)「ツン、どうかしたのかお?」
( ^ω^)「あ、分かったお」
( ^ω^)「冷蔵庫のシュークリームをつまみ食いしたお!」
( ^ω^)「ふははは、あれはとっくの昔に賞味期限が切れたものを譲ってもらったんだお」
( ^ω^)「ボクの鉄の胃袋ならともかく、ツンじゃお腹壊すの受けあいお!」
(¥ξ*-)
(¥ξ*゚)
(;^ω^)「あれ? 違うのかお…?」
(¥ξ*゚)「…」
(¥ξ*゚)「ねぇ、ブーン」
- 312 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:31:28.27 ID:Phmfoc4C0
-
(;^ω^)「お?」
(¥ξ*゚)「わたしは、なんで生きてるのかな?」
( ^ω^)「…?」
( ^ω^)「この前の話の続きかお?」
( ^ω^)「…それは」
(¥ξ*゚)「ブーンは言ったよね」
(¥ξ*゚)「『なにかをのこすためだ』って」
(;^ω^)「お」
(;^ω^)「…確かに言ったお」
( ^ω^)「それがどうかしたお?」
- 315 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:32:30.89 ID:Phmfoc4C0
-
(¥ξ*゚)「…」
(¥ξ*-)「私ね」
(¥ξ*-)「きいちゃったの」
( ^ω^)「?」
(¥ξ*゚)「私…」
(¥ξ*゚)「もう大きくなれないんだって」
(¥ξ*゚)「……それで」
(¥ξ*-)「やくたたずは、処分するんだって」
(;^ω^)「……っ!!!!」
(;^ω^)「……だ」
(;^ω^)「だれが、そんなこと……」
- 316 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:33:32.78 ID:Phmfoc4C0
-
(¥ξ*゚)「…」
(¥ξ*゚)「『よーねんせいじゅく』って言うんでしょ?」
(;^ω^)「……!」
(¥ξ*゚)「…」
(¥ξ*゚)「こっそりしらべたの」
(¥ξ*゚)「ギコや、しぃよりお姉さんなのに大きくならないのは、それのせいなんでしょ?」
(;^ω^)「そんなことは…」
(¥ξ*゚)「10歳だけど、しぃより小さいし、ずっと背も伸びてないもん」
(¥ξ゚)「『よーねんせいじゅく』って、病気?
それとも、……薬?」
(;^ω^)「……」
- 318 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:34:15.31 ID:Phmfoc4C0
-
(¥ξ゚)「…」
(¥ξ*-)「…」
(¥ξ*-)「大人にもなれないで、そのうち“処分”される私は」
(¥ξ*-)「なんにも残せないんじゃないかなぁ…」
(;^ω^)「…」
(;^ω^)「そんなこと……」
(; ω )「………」
(¥ξ*-)「…」
(¥ξ゚)「…“ない”って言えない?」
(; ω )「…」
(; ω )「…っ」
- 321 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:35:51.93 ID:Phmfoc4C0
-
(¥ξ゚)「…」
(¥ξ*-)「…」
(¥ξ*-)「処分なんかされなくても…」
(¥ξ*-)「私は、ずっとこのままで」
(¥ξ*-)「みんなは、どんどん大きくなって」
(¥ξ*-)「ずっと、チビで」
(¥ξ*-)「“ぐらまぁ”にもなれなくて」
(¥ξ*-)「みんなから置いていかれて」
(¥ξ*-)「…」
(¥ξ*-)「…ひとりで死んじゃうんだよね」
( ω )「…」
- 325 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:36:57.96 ID:Phmfoc4C0
-
(¥ξ*゚)「…」
ξ*゚ー゚)ξ「ブーンは知ってたの?
このこと」
( ω )「…」
ξ*゚ー゚)ξ「私が大きくなれないって」
ξ*゚ー゚)ξ「やくたたずだって」
ξ*゚ー゚)ξ「知ってて黙ってたの?」
( ω )「…」
ξ*゚ー゚)ξ「いっしょに遊んで、いっしょに怒られて、いっしょにご飯を食べて」
ξ*゚ー゚)ξ「いっしょのとき、ブーンは何を考えてたの?」
ξ*゚ー゚)ξ「私のこと、やくたたずって思ってた?」
- 326 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:38:09.36 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*゚ー゚)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「……こんなこと」
ξ*;凵G)ξ「しらなきゃよかった…」
( ω )「ツン…」
ξ*;凵G)ξ「こないでよ!!」
( ω )「…!」
ξ*;凵G)ξ「バカバカバカバカバカ!!
ブーンのバカぁ!!!」
ξ*;凵G)ξ「どうして、どうして…」
( ω )「…」
- 332 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:40:08.34 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*;凵G)ξ「すきでチビなわけじゃないもん!!」
ξ*;凵G)ξ「私だって、ちょうのうりょく使いたいもん!!」
ξ*;凵G)ξ「でも、使えないんだもん…」
( ω )「…ツン」
ξ*;凵G)ξ「ブーンにはわからないもん!!」
ξ*;凵G)ξ「ちゃんとしたエスパーのブーンには!!!」
ξ*;凵G)ξ「わたしは、やくたたずなんだもん!!」
( ω )「違う!!!!!!!!」
ξ*; -;)ξ ビクッ!!
- 335 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:41:57.21 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「違う、お」
( ^ω^)「ツンは、役立たずなんかじゃないお」
ξ*;凵G)ξ「ウソ……、研究員さんが言ってたもん」
ξ*;凵G)ξ「おにもつだって」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「…そいつは、あとでボクがぶん殴っとくお」
( ^ω^)「ツン」
( ^ω^)「ボクにも分かるお」
( ^ω^)「人から拒絶されるのは寂しいお」
( ^ω^)「死んじゃいたくなるお」
( ^ω^)「でも、違うんだお」
( ^ω^)「人は、必ず誰かに必要とされてるんだお」
ξ*;凵G)ξ「誰かに…?」
- 339 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:43:12.08 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「そうだお」
( ^ω^)「たとえば、ギコにはしぃが必要だお」
( ^ω^)「しぃがいないと、ギコは悪戯ばかりしちゃうお」
ξ*;凵G)ξ「…うん」
( ^ω^)「ボクには、ツンが必要だお」
ξ*;凵G)ξ「…ウソよ」
( ^ω^)「ホントだお」
( ^ω^)「それに」
( ^ω^)「ツンは残せるお、ボクの心にツン自身を」
ξ*;凵G)ξ「ブーンの心に私を?」
- 342 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:44:18.31 ID:Phmfoc4C0
-
( ^ω^)「おっおっ。思いは刻み、重ねていくものだお」
( ^ω^)「人はそうやって生きていくお」
( ^ω^)「人の形はなくなっても、思いは想い出となって他の人の心に刻まれるお」
( ^ω^)「それが跡を残すということだお」
ξ*;凵G)ξ「…よくわかんないや」
( ^ω^)「お。難しかったかお」
( ^ω^)「要するに、ボクはツンなしでは生きていけないということだお」
ξ*;凵G)ξ「…」
ξ*;凵G)ξ「……ばかぁ」
( ^ω^)「そうだお。ボクは、バカだお」
( ^ω^)「でも、それでいいお」
( ^ω^)「ボクは、“愚か者”なんだから」
- 345 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:45:47.56 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*;、;)ξ グスッ
( ^ω^)「ほら、涙を拭くお」
ξ*;凵G)ξ「ブーン」
( ^ω^)「お?」
ξ*;凵G)ξ「私、ずっと大きくなれないんだよ?」
ξ*;凵G)ξ「……それでもいいの?」
( ^ω^)「…」
- 349 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:46:47.81 ID:Phmfoc4C0
-
―このとき
―内藤ホライゾンは、一つ、嘘をついた
ξ*;凵G)(^ω^ )ゴニョゴニョ
ξ*;凵G)ξ
(^ω^ )
ξ*///)ξ ―――!!!
―それは、優しい嘘
―あるいは、この時点では本当だったのかもしれない
- 353 : ◆SEOMSVVqUg :2008/08/02(土)
23:48:12.17 ID:Phmfoc4C0
-
ξ*///)=つ)゚ω^)・∴
―ただ、それが
ξ*//、/)ξ
(メ;)-ω^)
―彼女を壊すことになるとは
―このときの彼には想像もできなかった
第二十九話了
戻る