5 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:44:40.26 ID:v7bbcQgA0
                 今生の全ての事象には終焉が訪れる

                  如何なる生物も、死して灰となり

                 如何なる物質も、時を持って塵と果て

                如何なる存在も、有であるならば無と化す

                  そして、其れらは、悉く素晴らしい

       命が尽き果てる時、其のモノは己の歩んだ歴史を糧に、一際強い輝きを放つ
     華は枯れるからこそ美しいのであり、枯れぬ造花は好かれはすれど愛されはしない

          だが我々の心の奥底には、輝かしくとも終わりの無い異端が存在する

     それは純粋なるエロへの探究心、この人間としての本能に終幕など存在しないのだ


                      さあ、足元を見てくれ

                君はたった今、果て無き階段を上り始めた


                           〜「エロスマスターへの道 初級編 あとがき」より抜粋〜


              ξ*゚听)ξ最後は○○○で終わるようです(^ω^*)


6 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:45:36.23 ID:v7bbcQgA0
ひょんな事から、マッサージ師を目指し、
恩師であるアラクレとの出合いを経て、順風満帆な生活を手に入れたブーン。

その後、ケツを掘られるというアクシデントもあったし、ハーレム状態で海に行ったりなんかもあった。

けれど、華々しい時分の走馬灯は、ここで終わりを告げる。その後は、ブーンに、度重なる不幸が降り注いだ。
中でも最悪の出来事は、アラクレ師匠の店に警察が押し入り、彼が連行されてしまった事だ。

どうやら、ポッキー詐欺にあった客の一人が、警察に被害届けを提出したらしく、
アラクレが逮捕された時には、店の経営援助を受けていたブーンも、重要参考人として、警察署に赴く破目になってしまった。

┗( ▼皿▼)┛「こいつらは、関係ねぇ。俺の独断でやった事だ」

(;^ω^)「し、師匠!!」

爪;゚〜゚)「店長っ!! 何を言ってるでありますかっ!!」

┗( ▼皿▼)┛「……ふんっ、いいからオメエらは黙ってろ。いいか、これから何を聞かれても一切喋るな。
         これは全て、俺の責任なんだ」

その際、このアラクレの言葉で、ブーンと田村に対する警察の疑いは、何とか晴らす事は出来た。

だが、前々から、児童への猥褻行為で目を付けられていたブーンは、取り調べの為、
中々、家に帰してはもらえず、ようやっと、彼がツンの元に戻った頃には、警察署に赴いてから、一週間が経過していた。


7 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:46:27.62 ID:v7bbcQgA0
例え一週間という短い期間であろうと、留置所暮らしというのは辛いモノがある。

毎日毎日喰わされる、臭く不味い飯に加え、
各牢屋に一つある便所は、部屋との間に仕切りが無い為、常に鼻孔を悪臭が襲う。

風呂に至っては、一人一人交替で一つの狭い浴槽を使うので、
入浴する順番が遅くなれば、多量の垢が湯の上に浮き、到底、入れた物では無くなってしまう。

周りに救いの手は無い。あるのは、懐疑の視線と罵倒、そして、孤独。

だと言うのに、悪夢の留置所生活からやっとの事で解放され、
疲弊し切った体で、ツンの元に戻ったブーンに待っていたのは、彼女からの、熱烈なアナル制裁だった。

ξ///)ξ「ひぃ、ひひっひぃ、ブーンのしりぃ、ワタシのオシURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」

(;゚ω゚)「アッー! ……って、えぇっ!!? ちょ、なっ……いっ、いぃぁっぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

彼女もまたこの一週間の間に、激しい尻欲を全身に溜めこんでいたのか、
ブーンが不名誉の帰還を果たしたその日、彼の寝室から、悲鳴が途切れる事は無かった。

10 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:47:23.58 ID:v7bbcQgA0
.

爪*゚〜゚)「ブーン、私は総合に戻ろうと思うであります」

後日、ブーンは、マッサージ店に訪れた田村から、意外な言葉を聞かされた。
アラクレの逮捕により、職を失った彼女を、自分のマッサージ店で雇おうと思っていた矢先の事である。

(;^ω^)「……え?」

アラクレの元で修業に明け暮れていた際に、
田村の口から、彼女の不遇の生い立ちを聞かされていたブーンは、驚きを隠す事が出来なかった。

(;^ω^)「な、急に何言ってんだお!! 正気かお!?」

爪*゚ー゚)「……もう、決めた事であります」

目の前で狼狽するブーンの姿に、田村はフッと笑みを浮かべる。

(;^ω^)「だって、総合は、田村さんを、AAテンプレから迫害した場所なんだお!?
      なのに、そんな所に戻るなんて、馬鹿げてるお!!」」

爪*゚〜゚)「………」

(;^ω^)「それに、今更戻ったって、また、テンプレにいれてもらえる訳がn
爪 〜 )「そんな事、とっくの昔に分かってるであります!!」


11 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:48:15.00 ID:v7bbcQgA0
(;^ω^)「うっ……」

田村の事を思って発せられたブーンの言葉を、彼女自身の怒号が遮った。
しかし、その声の威勢に反して、田村自身の体は、不安と恐れの為か微かに震えていた。

生まれたばかりの仔馬のような、つい抱き締めたくなる程にか弱い、彼女の姿。

俯き、身を震わせながら、襲い来る恐怖に必死に耐えようとしているのだろう、その繊手は固く握られている。

普段の、空回りはすれど、気丈に振る舞っている態度は、欠片も感じられない。
それでも、彼女の決断の意志に、揺らぎなど、微塵も存在しなかった。

爪* ー )「……ブーン、私にとって、アラクレ店長は命よりも大切な恩人なのであります」

( ^ω^)「………」

爪* ー )「あの人は、私が総合テンプレからあぶれて、誰知らず、DATの狭間で涙を流していた時、優しく手を差し伸べてくれたであります。
      見窄らしくて哀れな私に、生きる希望を与えてくれたのであります」

( ^ω^)「………お」

爪* ー )「凄く温かかった……。私の心を穿った悲しみを、あの人が跡形も無く溶かしてくれた。
     そして、私を救ってくれたのであります」

( ^ω^)「……田村さん」

爪*゚〜゚)「だから……、だから、今こそ、私を救ってくれた店長の期待に答えたいのであります。
     自分自身を磨いて、あの人が戻って来た時に、生まれ変わって成長した私を、見せてあげたいのであります!!」
14 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:49:06.53 ID:v7bbcQgA0
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各人、それぞれが抱く夢には、千差万別の始まりが有る。
放映された野球の試合に心惹かれた少年は、プロ野球選手を目指し、火事場から救われた少年は、消防士に憧れを抱くであろう。

そして、彼女のメジャーAAになるという夢は、恩人であるアラクレの為に抱いた物であった。

理由は単純。最初は、彼を喜ばせようと思っただけ。
公の場で活躍する姿を見せる事で、当時、あまり笑わなかった彼の顔に、歓喜の笑顔を浮かべさせようと、そう思っただけだった。

そう、言うなれば彼女の夢は、親の期待に一心に答えようとする純粋無垢な子供の心が生み出した、健気な思想であったのだ。

だが、今は違う。

今の田村は、救いの主であるアラクレに、見せ付けてやりたいのだ。
もう、貴方の力添えは必要無い。私は、一人で生きていく強さを身に付けたのだと。

だからもう、私の身を案じ、庇い、守る必要は無い。
店長は店長の人生を生き、そして、互いに無駄な遠慮の無い、本当の絆を作りましょう。

これが、アラクレの逮捕から、田村が考え抜いた彼女なりの答えであった。


15 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:49:57.79 ID:v7bbcQgA0
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( ^ω^)「……その為に、総合に行くと?」

爪*゚〜゚)「最初は、誰も見向きもしてくれないかもしれない。誰も使ってくれないかもしれない。
     それでも、私は、負けないであります!! いずれ日の目を見るまで、あがいてあがいて、あがき続けてやるであります!!」

( ^ω^)「……本気なのかお」

爪*゚ー゚)b「ブーン、いずれAAテンプレで再会しようであります」

( ^ω^)「………」

( ^ω^)b「おっおっ、約束だお!!」

爪*^ー^)「むふふ、その時は今のブーンの居場所を、奪っちゃうでありますよ♪」

(*^ω^)「フヒヒ、まあ、楽しみに待っててやるお」

約束と共に、笑顔で別れた一人の男と、一人の女。

姉弟子である彼女との別れに、涙なんて無粋な物はいらない。
それにこの別れは、今生の別れでは無いのだ。彼女とは、また、最高の舞台で再会できる。

馬鹿な高望みだと見下す者もいるだろう。無謀な夢だと嘲る者もいるだろう。
だが、少なくともブーンと田村は、いずれ来るであろう再会の日を、互いに信じ合っていた。

18 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:51:09.09 ID:v7bbcQgA0
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爪*゚ー゚)ノ「それじゃあ、また、いつか会おうであります」

( ^ω^)ノ「おっおっ、バイブ〜」

別れの言葉を告げ、背を向けた彼女は、確固たる足取りで総合の短編小説へと旅立って行く。
その背中に、アラクレに教えられた熱い人情と、誰にも負けない強い向上心を背負って。

ξ( ^ω^)(……僕も、負けてられないお。マッサージ店をがんば)

ξ#゚(;^ω^)「………」

ξ#^ー^)ξ「随分と、仲が良さそうでしたけど、二人っきりで何のお話しをしていたのかしら?」

(^ω^;)「え? べ、別に、何もs
ξ#゚∀゚)ξ「問答無用じゃああ!! 尻を出せえええええええええええ!!!!」

(;゚ω゚)「ジャミラアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」
20 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:52:00.03 ID:v7bbcQgA0
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それからは、まさしく地獄の日々だった。


マッサージ店では、常に80歳オーバーの爺婆の相手をせねばならず、家に帰ればツンに掘られる。
当初の目的であり、日々に活力を生み出してくれる若い女性が、店に訪れる事も無ければ、ツンがアナルプレイを止める気配も無い。

さらに、心の拠り所であったアラクレ師匠は独房に囚われ、姉弟子として話し相手になってくれた田村も、今は傍にいないのだ。

日を近くして、マッサージ店を閉業してしまうのも、至極当前の事であった。

だからと言って、ツンの暴走が止まる事は無く、反対にその横暴ぶりは、どんどんエスカレートしていく。

とある日なんかは、耳かきの棒で耳穴を容赦無く蹂躙してきたし、
またとある日は、愛用のパソコンを素手で爆砕した後、トゲ天井で押し潰したりしてきた。

挙句の果てには、謂れ無き理由で、
ベクターキャノンのゼロ距離砲撃を浴びせられ、高空から撃ち落とされたのだ。

ξ^ー^)ξ「……あっそ、死ね」

( ゚ω゚)「ぶるぅぁあああああああああああああああああああああああああ」

閃光に包まれた全身が、空間へと溶けていく。

身を守ろうと胸の前で交差した両腕は容易く弾け、血と肉が、そして、骨が霧散した。
耳が剥がれ、鼻も拉げ、肉厚の腹に溜められた脂肪は余す事無く融解し、臓物が無残にも飛び散る。
23 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:52:50.86 ID:v7bbcQgA0
.
両足に至っては、気付かぬ内に無くなっていた。

あまりにも激しい衝撃に、神経が反応しきれなかったのだろう。

いくら主人公補正で傷が瞬時に治るとしても、この損傷は限度を超えている。
そして、滅び行く肉体は、アスファルトに叩きつけられるよりも尚早に、完全に塵と果てた。

( 'ω`)『…………』

もう、自身の身体を完全に失した彼が、瞳を開く事は無い。
それに、もし、開ける瞳があったとしても、彼はその行為を拒否しただろう。

この世界には、ブーンにとって辛い事が多すぎるのだ。

日々繰り返される強制的アナルプレイに、記憶に焼き付いてしまった加齢臭マッサージ。
ロリコンは世界から常に排斥され、唯一の逃げ道である二次元も、ツンに見つかれば瞬時に破壊される。

そんな辛く悲しい日常から逃れる為には、死、という行為が、一番の早道なのかもしれない。

..........´ω`)『………ぅぅ、ぉっ……』

最早、精神のみとなったブーンの存在も、その存在意義を失い、消失する。

とても、温かかった。

蓄積されてきた精神的な疲労が、その温もりに蕩け、心が自由になっていくのを感じた。
何も考える必要など無いのだ。この高揚感に溺れながら、ただただ、この世から消えればいい。

24 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:53:43.58 ID:v7bbcQgA0
.
そうすれば、縛られた心は解放される。抑圧された欲望も解き放てる。

『しかし、解き放つだけでは、満たす事は叶わない』

( 'ω`)『………おっ?』

不意に、消えかけていたブーンの心中に、聞き覚えのある声が流れ込んできた。
その懐かしい声音に反応を示したブーンは、散りかけの精神を寸での所で繋ぎとめる。

(プォ゚)『欲望を満たす為には、生きていなければならないのだよ』

( 'ω`)『ぷ、プォーさん……』

そこには、ツンの手によってパソコンごと爆殺された筈である、プォーさんの爽やかな笑顔があった。

(プォ゚)『ははは、久しぶりだね、ブーン』

( 'ω`)『……でも、プォーさんはツンに殺された筈じゃ』

(プォ゚)『ふふ、今の君も、死んだようなモノだろ?』

( 'ω`)『……おっ』

(プォ゚)『だが、今ならまだ間に合う。君はまだ、完全に死んだわけでは無いのだから』

26 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:54:40.26 ID:v7bbcQgA0
.
( 'ω`)『………ぼ、僕は』

(プォ゚)『ん?』

( 'ω`)『僕はもういいんですお……疲れたんですお』

(プォ゚)『………』

( 'ω`)『生きていたって、辛い事ばかり。それならいっそ、死んだ方がマシなんだお』

(プォ゚)『……ふむ。では君は、私と出合い、そして、過ごした日々でさえも、辛い事だったと、そう言うのかね?』

(;^ω^)『えっ!?』

それは、違う。断じて違う。

咄嗟にブーンは、プォ―さんの言葉を心の深層で否定した。

彼と初めてウィンドウ画面で出会った時の衝撃は、決して忘れられない。

誰に何を言われようと、己の本能に従い、性的な意味でのハチミツを搾取し続ける彼の生き様に、ブーンは一目で魅了されたのだ。
その我の道を行くという生き方は、真っ黄色の全身タイツの上に、紅いパーカーを羽織っただけという奇妙な出で立ちからも、如実に感じ取れる。

それに昔、プォーさんと一緒に脳内妄想間で繰り広げた、『人妻猥褻珍道中 〜ポロリしかないよ〜』は、
一時期、幼女から離れ、若妻ジャンルに目覚めていたブーンにとって、掛け替えの無い記憶であった。

30 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:55:31.42 ID:v7bbcQgA0
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(プォ゚)『それだけじゃない。
    君が今まで過ごしてきた、幾多数多の同人マンガ、エロゲー、エロアニメ、フィギュア達との時間は、皆、素晴らしい物だった筈だ』

( ^ω^)『………』

(プォ゚)『そして、これからも、数え切れない程のエロの化身が、君の事を待っている。
     ……こんな所で、死んでしまうなんて、もったいない事だと思わないかい?』

( ^ω^)『……お』

(プォ゚)『確かに別れは悲しい。それも、理不尽な別れなら、尚更だ。
     しかし、別れという物は、時に、新たな出会いを生む事だってある。
     それに、もし君が、私の事を脳内で妄想してくれるなら、私は君の欲求に答え、行動しよう』

( ^ω^)『……プォーさん』

(プォ゚)『……まあ、私の事など、忘れてくれても構わないがね。少し、悲しくはあるが』

( ^ω^)『わ、忘れるなんて!! そんな事、絶対にしないお!!』

(プォ゚)『ふふ、有難う。ならば、君は生きなければならない。
     君の言う通り、この世界は、私達にとって辛い事は多い。世間の、常識人と自称する凡夫共の視線は、常に冷たいモノだ。
     でも、だからと言って諦めてはいけない。かつて、君の姉弟子も言っていただろ? あがいてあがいて、あがき続けてやると』


31 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:56:27.19 ID:v7bbcQgA0
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姉弟子という言葉を聞き、ブーンは、田村と交わした、再開の約束を思い出した。
彼女は今でも、たった一人、世間の逆風と戦いながら、遥か彼方の夢を叶えようとしているのだろうか。

考えるまでも無い。

田村は今でも闘っている。そうに決まっている。

なんせ、彼女は諦めの悪い人間だ。
一歩、躓いても、次の瞬間には、二歩先へと足を進める、そんな立ち直りの早い女だ。

( ^ω^)(だと言うのに、僕は、何を諦めようとしてるんだお。
      こんなんじゃあ、田村さんに合わせる顔が、無いお)

( ^ω^)『プォーさん……』

(プォ゚)『なんだい?』

( ^ω^)『僕、もう一度頑張ってみようと思いますお。
      こんな所でお陀仏してたら、田村さんとの約束も守れない。だから、生きていようと、そう思いますお』

(プォ゚)『良く言った。それでこそ、ブーンだ。望み通りに、精一杯生きてくるといい。
     私はいつでも、君の事を見守っているよ』


32 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:57:21.52 ID:v7bbcQgA0
.
( ^ω^)『……最後に一つ、言っておきたい事がありますお』

(プォ゚)『ん?』

(*^ω^)『次回の脳内妄想活劇、『人妻猥褻珍道中2 〜ピッコロとポロリしかいないよ〜』は、
      とってもハードな内容になるから、覚悟しておいてくださいお』

(プォ゚)『ふっ、期待しているよ、ブーン』

その言葉を最後に、プォーさんはブーンの眼前から姿を消した。

だと言っても、完全に消えた訳では無い。
脳内に存在する彼は、ブーンの熱い想いに導かれ、一時の淫夢を見せてくれる事だろう。

( ^ω^)(さてと、いつまでも、眠っている訳にはいかないお)

生き続けようと、そう思い直した時には、塵となっていた筈の体は、既に完治していた。
これも、主人公補正による異常回復の恩恵であると感謝しながら、ブーンはゆっくりと意識を覚醒させていく。


開かれていく瞳の先にある未来が、輝かしい幸福であるのだと信じて―――――



33 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:58:11.49 ID:v7bbcQgA0
.
( ^ω^)「………お」

精神と肉体の同調を感じ、ゆっくりと瞼を開くと、そこは、ひかれた布団の上だった。
ブーンが横になったまま、視線だけを動かして辺りを確認してみると、どうやらここは彼の寝室のようだ。

ξ--)ξ「スー……スー」

( ^ω^)「………ツン」

ふと、左に目をやると、白のブラウスを着たツンが、目蓋を下し、静かに寝息を立てていた。

きっと、傷付き倒れたブーンを、彼女が、この部屋まで運んで来たのだろう。

かなり間近にツンの顔が有る為、彼女が呼吸を繰り返す度に、吐息が首筋にあたり、少しくすぐったい。
その呼気から逃れようと、頭をゆっくりツンから遠ざける。と、額の上にのっていた何かが、ポロリと布団の上に落ちた。

( ^ω^)「お?」

視線で追ってみると、枕元に、一枚のタオルが落ちているのが目に付いた。
手で触れてみると、布地が少し、湿り気を帯びているのが感じられる。


34 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 21:59:16.54 ID:v7bbcQgA0
.
( ^ω^)「………」

ξ--)ξ「………ん…」

( ^ω^)(……きっと、僕の目が覚めるまで、付きっきりで看病してくれたんだお)

そして、そのまま眠ってしまったに違いない。

沈みかけの日に照らされ、朱色に染まった室内で、
無防備な寝顔を晒しながら、ブーンにぴったりと寄り添うように眠るツン。

その可愛らしく、愛おしい彼女の姿に、
寝起き早々、心を奪われてしまったブーンは、そっと、彼女の金色の髪に右手を伸ばした。

ξ ー )ξ「………んっ…」

サラサラとした肌触りの髪が、指の間を流れ、仄かに、爽やかな整髪料の香りが漂う。

どうやら、頭を撫でられる事が気持ち良いのか、
微かに笑みを浮かべたツンは、もっと撫でてくれと言わんばかりに、さらに体を寄せてきた。

(*^ω^)「おわっ……」

肩に彼女の頬が触れ、ツインテールの片割れがサラサラと鎖骨の上を擽る。

そのむず痒さから、体を捩じらせて逃げようにも、
掛け布団の中に潜り込んできた彼女の両手に左腕を掴まれてしまったので、上手く身動きが取れない。
36 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 22:00:08.32 ID:v7bbcQgA0
.
( ^ω^)「………むぅ」

現状に対し、軽く溜息を吐くブーンであったが、
日常、あまり見る事が出来ない彼女のあどけない寝顔に、自然と頬が緩んでしまう。

心が、この上ない幸福感で、満たされていくのを感じた。

( ^ω^)「ツン……」

もっと、この幸福な一時を堪能したい。
そんな感情が芽生えてきたブーンは、再度、右手で彼女の頭を撫でた。


( ^ω^)
| つξ( 、*ξ
     ナデナデ

ξ( ー *ξ「………んん…んぅっ………」

( ^ω^)「………」
(*^ω^)(フヒヒ、やっぱり寝顔も、最高に可愛いお!!)

38 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 22:01:01.33 ID:v7bbcQgA0
.
(*^ω^)「も、もう一度……」

(*^ω^)
| つξ( ー *ξ
      ナデ…

ξぅ-)ξ「……んっ………ブーン?」

(;^ω^)「あっ……」

と、つい手に力を込め過ぎてしまったのか、ツンが目を覚ましてしまった。
すぐさまブーンは、彼女の視線から逃れるように、髪に伸ばしていた手を引っ込める。

(;^ω^)(勝手に髪の毛を触っていたなんて知れたら、また、お仕置きだお)

ξ゚听)ξ「………」

至近距離から、ツンの瞳に射抜かれて、早なる心臓の鼓動を、ブーンは抑える事が出来ない。
そのまま、数秒見つめ合い、ついに、場の空気に耐えきれなくなったブーンが、口を開いた。

(;^ω^)「お、起こしちゃった……かお?」

ξ゚听)ξ「………よかった」

(;^ω^)「え?」

ξ )ξ「……心配、したんだから」

40 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 22:01:53.08 ID:v7bbcQgA0
.
(;^ω^)「お、おお?」

俯きながら、ぼそりと呟いた彼女は、不意に、ブーンの腕に自分の腕を絡め、ぎゅっと抱きしめた。
緩やかな双丘。その僅かだか、確かに感じる張りのある弾力に、左腕が包まれる。

もう二度と放さないとでも言うかのように、今度は、腕と体、両方を使って、左腕を拘束されてしまった。

(;^ω^)(な、何だお? どうしたんだお?)

てっきり、無断で頭を撫でていた事を怒られるモノだとばかり思っていたブーンは、呆気に取られてしまう。

ξ )ξ「んっ………」

その間も、左腕の拘束は緩まない。

それどころか、益々力を籠め、体を密着させてきたツンは、続けて声を漏らした。

ξ )ξ「ブーン、ゴメンね」

(;^ω^)「……な、何がだお?」

ξ )ξ「あの後、しぃちゃんから、ちゃんと話を聞いたわ。
      ブーンお兄ちゃんは、零したジュースで体が汚れたしぃを、お風呂に入れてくれただけだって」

( ^ω^)「ああ、その事かお」

ξ )ξ「ゴメンなさい。私、早とちりしちゃって、ブーンをあんな目にあわせちゃって……。
      本当に、ゴメンなさい」


41 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 22:02:45.07 ID:v7bbcQgA0
.
( ^ω^)「ツン……」

ξ )ξ「……私の事、嫌いになっちゃったよね?」

(;^ω^)「お?」

ξ )ξ「だって、私なんて、自分の事しか考えて無くて、いつも、ブーンに乱暴な事ばかりしてて……。
      こんな女、嫌いになるに決まってるもん」

( ^ω^)「ふぅ、まったく、何言ってんだお。そんな事、ある訳無いお」

ξ )ξ「嘘よ。私のような乱暴な女、好きな訳がな……あっ」

続きの言葉を耳にする前に、
ブーンは、俯く彼女の顔を右手でこちらに向かせ、その唇を、己の唇で塞いだ。

驚きにツンが目を見開くが、次第にブーンの唇を受け入れ、最後には、両目を閉じ、唇を委ねてきた。

ξ///)ξ「……んっ、んん……ぷはっ」

互いの口唇が離れると、頬を朱に染めたツンが、瞳を開き、ブーンの瞳をじっと見つめる。
まるで、懇願するかのように、疑いようの無い程に純粋な愛の言葉を欲するように。

ツンの熱い視線がブーンを捉えている。


42 : ◆ZKiCFm8B3o :2008/03/04(火) 22:03:36.19 ID:v7bbcQgA0
.
彼女も不安なのだ。

キスだけでは無く言葉で、言葉だけでは無く体で、
目や腕や足、指先に至るところまで余す事無く、愛を伝え、心の不安を祓って欲しい。

そんな期待を裏切る程、ブーンも愚昧では無い。

( ^ω^)「ツンがなんて言おうとブーンはツンの事を愛してるお。
      その気持ちが変わる事なんて、絶対に無いお」

ξ*゚听)ξ「ブーン……」

( ^ω^)「ツンは、どう思ってるんだお? 僕の事、好きかお?」

ξ///)ξ「えっ!? ………あっ……わ、私は……………」

( ^ω^)「私は?」

ξ///)ξ「わ、私も!! …………そのぅ……」

( ^ω^)「………」

ξ///)ξ「ブーンの、事が……………好き、です」

一拍の躊躇いの後に紡がれたその言葉は、この世のどんな言葉よりも強く、ブーンの心に響いた。

常日頃、ツンツンとした態度を取る彼女からは、
滅多に聞く事が出来ない、本心の籠ったその愛の言葉は、ブーンにとって掛け替えの無い物だ。

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