90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:43:07.51 ID:gseq5ON20


第6話


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:44:36.92 ID:gseq5ON20

・・・の・・・名は・・・?


・・・・・・クオ・・・


そう・・・・・・  ドク・・・・・・   つか・・・   を・・・・・・ しに・・・こい・・・


・・・・・・たい・・・ いたい・・・


ギャァ


・・・まえに・・・    与える・・・・・・・


ギャア   ギャアアア


;;;;;;;;;;;;;;)「ドクオ・・・  わたしを・・・」


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:45:29.69 ID:gseq5ON20


メイジドラキー「ギャアアアッ」

(;'A`)「・・・ッは!!?」



覚醒とともに、戦慄が走る。

目の前に、魔物が牙を向いていた。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:46:36.13 ID:gseq5ON20

('A`)「くっ!」


魔物を突き飛ばし、距離をとる。


メイジドラキー「ケケエエエエエエ」


('A`)《・・・ラリホー!》


メイジドラキー「・・・クギャアァアアッ!!? アアア・・・」


魔物は、どさりと地に落ちる。
気絶したのか――――――寝ているようだ。


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:47:37.87 ID:gseq5ON20

('A`)「・・・・・・」


ドクオは魔物に近寄り、ナイフを突き刺した。
鮮血のしぶきが、ドクオの顔にほとばしる。

魔物はそのまま、目覚める事の無い眠りに落ち入った。



('A`)

('A`)「・・・・・・またか」
99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:50:32.20 ID:gseq5ON20


ドクオは、いつもの夢で目覚めた。


ときどきみる、この夢。あの時の、光景――――――。

また、自分は、苛まされているのか。


いや、悪夢の様であり、そうでないような感じもする。

わからない。

わからない。


この感覚の正体が何なのか、未だにドクオは掴めずにいた。


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:51:47.28 ID:gseq5ON20

すぐ歩けばマイラの村だ。もう遠目には見えている。


行く。行こう。


早く行かねば、魔物を呼び寄せる。あの夢を見た日は、殊更に。


('A`)


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:53:11.68 ID:gseq5ON20

('A`)


ここは、マイラの村。天然の温泉が湧き出る事で、有名な村だ。


旅人はここで、旅の疲れを拭い取る。


村全体に、温泉特有の硫黄の匂いがする。だが、決して嫌な匂いではない。
硫黄の匂いとは別に、違う芳香も。

ここから湧き出る湯は、薬効の高い特質な泉質である。
それらの成分は良い香りを放つ事でも有名であり、またそれが評判の一因にもなっている。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:54:22.07 ID:gseq5ON20

('A`)「すまない」

村人「ん?なんだね?」

('A`)「ここらで、一番多くの書物のある家は、どこになるかな」

村人「ああ、だったら、あらまき爺さんの家だね。あそこは、ちょっとした図書館さ」

('A`)「ありがとう」


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:55:13.77 ID:gseq5ON20

ドクオは探し物をしている。

とある、本だ。

このマイラへは、それを探しにきた。


しかし、今日は疲労がたまっている。
本格的に行動を起こすのは、明日だ。


まずは、宿屋に泊まる。そして、この村の名物の湯にあたろう。


宿屋を探す。見つけ、入る。


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:56:13.60 ID:gseq5ON20

('A`)「しばらく泊まりたいんだが、いいかな」

从'ー'从「はーい!お客さん、旅人?お一人ですねぇ」

('A`)「ああ」

从'ー'从「何泊されます?」

('A`)「そうだな・・・まだ解らないが、もしかしたら長期的な滞在になるかもしれない」

从'ー'从「わっかりましたぁ〜〜。では、この名簿に押印か名前を」

('A`)カリカリ

从'ー'从「お客さん、長い宿泊になりますと、先に前金でいくらか代金を頂く事になってます」

从'ー'从「ので、とりあえず、5泊分の料金を・・・」
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:57:28.47 ID:gseq5ON20

('A`)「ああ・・・これで足りるかい?」


ドクオは懐から、袋を取り出した。

その中から、小さな輝く小粒を一つ、とった。


从'ー'从「・・・ふえぇ?」

('A`)「金だよ。純金の粒だ」

从'ー'从「・・・・・・」

从;'ー'从「・・・・・・えー!」

('A`)「おそらく、それで足りるはずだ。足りなければ、また支払いにくる。勘定しておいてくれ」

从'ー'从「は、はいぃ」


108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 22:59:20.20 ID:gseq5ON20

受付の娘は、金を初めて見たのか、ころころと目を回した。

そして、ハッとしてドクオの方を向く。


从'ー'从「お、お客様。 ご存知とは思いますが、この村は温泉が大変有名ですぅ」

从'ー'从「ぜひぜひ、浸かっていってくださいねぇ」

('A`)「ああ、そのつもりだ」


ドクオは、宿屋に荷物を預ける。貴重品は、自分の手元に。

身軽になったあと、宿屋の娘に案内された、温泉の方へ向かう。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:01:27.08 ID:gseq5ON20

('A`)「ここが温泉場か・・・」


大きく掘られた穴。20メートルはあるだろうか。
そこに、湯がザブザブと溢れていた。

周りは木の板で遮られている。
湯の周りは石で囲われていて、そこに人が座ったりしている。


('A`)(人が何人かいるな)

('A`)(・・・・・・仕方ない)

('A`)(入ろう)

('A`)(なるべく、みられないように)

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:02:38.32 ID:gseq5ON20

ドクオは、簡易の脱衣所で服を脱ぐ。
義手を外し、布にくるむ。

布で前を隠しつつ、湯に入っていった。

('A`)「おお・・・」

熱い湯から、湯煙がパーッと立つ。まるで、雲の中にいるようだ。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:04:04.74 ID:gseq5ON20

('A`)「・・・と」


足から、少しずつ湯につかる。

 足、
    腰、
       肩。


(*'A`)「・・・・・・ハァ・・・」


ドクオは大きなため息をついた。


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:05:44.02 ID:gseq5ON20

熱い湯に、身を全て潜らせる。

旅の中でついた傷にしみるが、
傷の治癒等にも効能の高いこの温泉なら、それをすぐに癒すだろう。


湯をバシャバシャと顔にかける。

首から上は冷たいが、体は暖かい。
もうもうと立つ湯煙の中で、そのバランスが、なんとも心地よいものだった。


近くの森林の香り。その森から、鳥のさえずりが聞こえる。


まさに、至福のとき。


ドクオはしばし、大自然の温もりに酔いしれる。


116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:07:41.50 ID:gseq5ON20

('A`)「・・・・・・」


首もとあたりがうずく。

あれが、うずく。


いくら素晴らしい温泉でも、これだけは癒してくれないらしい。


('A`)(・・・そろそろ、あがるか)


ドクオは湯を出て、脱衣所にゆく。


冷たい風も、火照った体には今は心地よい。

着替え、宿屋に戻った。
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:09:37.38 ID:gseq5ON20

翌日。


('A`)「・・・・・・ここか」


ドクオは、民家の前に来ていた。

ここは、この村で一番の本持ちと言われる、あらまきじいさんの家。

その家の扉を、叩いた。
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:10:54.62 ID:gseq5ON20

('A`)「すいません」コンコン


「おう、誰ぞ。入りたまえ」


中から声がする。
ドクオは、ごめんください、といって中へ入った。

老人が、椅子に腰掛け、読書をしていた。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:13:42.30 ID:gseq5ON20

/ ,' 3 「!」

('A`)「失礼します。こちら、あらまきさんのお宅でよろしいか?」

/ ,' 3 「ああ。わしがあらまきじゃ」

('A`)「・・・実は、ある書を探しています。
   そしてその書が、このマイラにあるという話を噂を」

('A`)「あらまきさんは、この村で一番の本持ちと聞きます。
    もしかしたらお持ちかと思い、その書をお借りしたく、お伺いを立てました」
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:15:22.34 ID:gseq5ON20

/ ,' 3 「ふむ、なるほど」

/ ,' 3 「かまわんよ、好きなだけ見ていきなさい。村の人間にも、わしの書蔵は解放しておる」

/ ,' 3 「その書とやらがあるとすれば、この村では恐らくわしがもっとるのじゃろ。
    ここらの本棚を、あさって見なさい」

/ ,' 3 「ここには、料理書、歴史書。そこには哲学書、生活学」

/ ,' 3 「医術、狩猟術、木石加工学。そして、魔導書」

/ ,' 3 「・・・と、まとめとったはずなんじゃがな」

/ ,' 3 「いつのまにか乱雑に散らかってしまったわい。
    なにせ、本が多くてのう、収納する場所が・・・」


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:16:40.50 ID:gseq5ON20

('A`)「ご好意、感謝いたします。では、拝見させて貰います」


ドクオは、本棚を見始めた。
本を抜いたり、ぱらぱらとめくったりした。


127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:17:28.55 ID:gseq5ON20

あらまきは、本に目を通したまま、ドクオに話しかける。


/ ,' 3 「君は旅人だね。名は何と言う」


ドクオはあらまきに視線を映さず、本を探したまま答える。


('A`)「ドクオです」


128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:18:25.50 ID:gseq5ON20

/ ,' 3 「ふむ、ドクオ君」



/ ,' 3 「君は、呪われておるね」


ドクオの視線も、本棚に向けられたまま。
しかし、その動作はピタリと止まる。


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:19:55.01 ID:gseq5ON20

('A`)

('A`)「わかりますか」


/ ,' 3 「うむ。君から、不吉な魔力を感じる」

/ ,' 3 「最初に君をみたとき、一瞬で感じた」

/ ,' 3 「禍々しい、邪悪な魔力じゃ」


('A`)「・・・・・・」
132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:22:48.72 ID:gseq5ON20

/ ,' 3 「君が何故呪われているのか。それは聞くまい」

/ ,' 3 「呪いをかけられるという事の大抵は、人には話したくない嫌な記憶じゃ」

/ ,' 3 「ここに滞在することも、やめろ等とは言わん」

/ ,' 3 「だが、この村に、“今は”平和なこの村に。不吉な厄災だけは持ち込まんでくれたまえ」

/ ,' 3 「ただでさえ・・・村の人間は、邪悪に対しておびえて暮らしているものだ」

/ ,' 3 「すまんがな・・・」

('A`)「・・・わかっています」


止まっていたドクオは、再び動き始める。
また本棚を確認しだした。


133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:24:21.59 ID:gseq5ON20

/ ,' 3 「ふむ」

/ ,' 3 「この家には、大量の本がある」

/ ,' 3 「おそらく、君の探す本は、そう簡単には見つからんじゃろう」

/ ,' 3 「ここに通いなさい。そうすれば、いずれ見つかるじゃろうて」

('A`)「ありがとうございます」
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:25:53.17 ID:gseq5ON20

ほどなくして、ドクオはあらまきの家を出た。

今日は、目当ての書が見つからない。
また明日来る事にする。


もう、外は暗くなっていた。


('A`)「・・・・・・」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:27:36.83 ID:gseq5ON20

自分の境遇とは、いったいどのようなものなのか。

他人から見れば、数奇なものに映るのであろうか。

そんな事を考えても仕方が無い。

自分の客観的境遇など考えて何になる。




ドクオは、宿屋に帰る。

慣れない湯で、湯冷めしたのか。ブルブルと体が震える。


139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:28:33.37 ID:gseq5ON20

この地のどこかにいる――――――奴に会うまで、命はあるのか。

わからない。


奴と相対したとき、俺はどうなるのか。

わからない。



何も、わからない。わからないことばかりだ。


自分の、未来の行く末など。


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:30:38.64 ID:gseq5ON20

ドクオは考えるのを止めた。

無駄だ。無駄なんだ。人生について、考える事など。






夜に黒色のローブを羽織る男――――――それは、まるで闇に溶けこむようだった。




to be continue...!!
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/12(水) 23:33:22.92 ID:gseq5ON20

('A`)ドクオの今のステータス

LV14

こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり


今回登場した敵

メイジドラキー:ドラキー亜種。普通のドラキーよりは強く、ドラキーマよりは弱い、といったところ。
         赤い体が特徴的で、それは獲物の血を好物とし、常食しているからである。
         この魔物もまた、体内に魔力を溜める性質をもつ。

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