- 818 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:02:48 ID:Dz2PjSzo0
第33話
.
- 819 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:04:38 ID:Dz2PjSzo0
身を切る様な烈風と、黒波打ち付ける切り立った断崖に、一人の男が立つ。
波音は、まるで男を歓迎しないかのように強く、強く。
重厚な鎧に、手には盾、背には荷物と剣。戦士なのだ。
肩からの衣が強く吹き付ける風に靡(なび)き、バタバタと翻弄される。
戦士の眼差しの先には――――――荒れ狂う海の先に見える、黒城。
( ^ω^)
.
- 821 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:07:45 ID:Dz2PjSzo0
ブーンは、魔の島から陸地で最も近い場所。
あの勇者モナーが、虹のしずくを使ったとされる同じ地点にいる。
“聖なる橋”を渡すために。
( ^ω^)
( ^ω^)「ついにここまで来たかお・・・」
( ^ω^)
( -ω-)
眼を閉じると、脳裏にこれまで触れ会ってきた全ての人々の顔が過(よぎ)る。
笑顔も。 無念の涙も。
期待のまなざしも。 悲しみの嗚咽も。
.
- 822 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:08:57 ID:Dz2PjSzo0
( -ω-)
( ^ω^)
さぁ、いこう。
希望を取り返す為に。平和を温もりを思い出す為に。
この世界に、晴れ渡る美しき “青空” を取り戻す為に。
ブーンは、握りしめるそれを、天に掲げた。
微かに煌めく、七色の石。
それが、輝きを増しながら・・・・・・ブーンの手から放たれ、飛翔した。
.
- 823 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:10:16 ID:Dz2PjSzo0
( ^ω^)「おおっ・・・!」
光は線の束となり、形を紡いでゆく。
やがて、一つの大きな輝きの“橋”となる。
背中の剣を、スラリと抜いた。
剣もまた、真紅の光を放ちながら。
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「――――――いくお」
.
- 824 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:11:18 ID:Dz2PjSzo0
一歩踏み出す。
薄氷の如き光を踏みしめる。
その感触は、しかし確かに。
( ^ω^)
ブーンは歩く。 歩み続ける。
もはや引き返す事は出来ない――――――最後の冒険へ。
.
- 825 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:12:13 ID:Dz2PjSzo0
.
- 826 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:13:33 ID:Dz2PjSzo0
――――――メルキド。
('A`)「・・・・・・」
(*゚∀゚)「お師匠。支度はととのいました」
('A`)「ああ」
.
- 827 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:14:43 ID:Dz2PjSzo0
ドクオは、黒衣のローブを羽織る。
フードを後頭に降ろし、空を見つめた。
('A`)「今日は・・・満月だな」
(*゚∀゚)「?」
('A`)「今まで随分、世話になった」
('A`)「ありがとう」
ドクオは軽く頭を下げた。
.
- 828 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:15:55 ID:Dz2PjSzo0
(*゚∀゚)「こちらこそです!!」
(#゚;;-゚)「ドクオさん・・・本当に今までありがとう御座いました」
(#゚;;-゚)「・・・ここに戻って来られる事・・・つーも私も、心待ちにしております」
(*゚∀゚)「そうだよ! 帰ってきたら、またお世話させていただきますよ!」
('A`)「ああ、そうだな・・・・・・頼む」
(*゚∀゚)「お師匠」
つーは、ドクオの手を握る。そして・・・
(*゚∀゚)《ホイミィ》ホワァ
癒しの魔法の光が、ドクオの手に暖かみを与えた。
.
- 829 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:17:06 ID:Dz2PjSzo0
(*゚∀゚)「僕にできる、唯一の祝福です」
(*゚∀゚)「お気をつけて。いってらっしゃい・・・」
('A`)「つー」
('A`)「俺は、良い弟子を持った」
ドクオは、ふと微笑した。
(*゚∀゚)「・・・お師匠が笑うの、久しぶりにみました」
('A`)「フ・・・」
.
- 830 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:19:03 ID:Dz2PjSzo0
(*゚∀゚)「・・・・・・ドクオ師匠・・・」
つーは、ドクオの袖をぎゅうと掴み、言う。
(*゚∀゚)「がんばってください・・・!」
(*゚∀゚)「ぜったい、ぜったい〜〜〜〜〜〜ぜったい、もどってきて!」
('A`)「――――――ああ」
ドクオは袖を掴んで離さないつーの手を優しく解いた後、黒衣を翻し、去ってゆく。
数歩行くと後ろから、少女の泣き声が聞こえた。
振り向かず、真っすぐ確かな足取りで、城門の方へと向かう。
.
- 831 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:20:58 ID:Dz2PjSzo0
ドクオは、メルキドの街の外に出る。
人のいない場所で雑念を払い、精神を集中する為に。
('A`)「・・・・・・ふぅ」
ドクオは、これまで3つの課題を研究してきた。
その研究の内の、一つ。
自分の使役する高等な魔法として、“ルーラ”という呪文がある。
これは、遠い土地に残してきた自分の魔力と、
今の自分の魔力を磁石のように接続する事で、
その距離間を飛ばし、飛行移動するという物だ。
つまり、行った事がある場所ならば、どこへでも移動できるという訳だ。
.
- 833 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:22:26 ID:Dz2PjSzo0
そこで、ドクオは考える。
触れ合った事のある所と魔力を繋ぐだけならば、何も“場所”でなくとも良い筈だ。
(-A )
それが例え、物でも。
動物でも。
人でも。
(-A )
魔でも。
.
- 834 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:23:47 ID:Dz2PjSzo0
(((((((((((((((((((( )))))))))))))))))))))
想像しろ。
クン・・
記憶を辿れ。
((((((((((((((( -
))))))))))))))))
ドクン・・・
.
- 835 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:24:40 ID:Dz2PjSzo0
自分の心の奥深くに焼きついた、あの感触を思い出せ。
あの情景を掴み取れ。
('A )「ぉぉ・・・」
(((((((((((川 -
)))))))))))
あの感覚を魂から掘り起こすのだ。
ドクン ドクン
.
- 836 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:25:36 ID:Dz2PjSzo0
('A )「ぉぉおおお・・・ッッ!」
ドクンッ ドクン・・・!
((((((川 -゚))))))
川 ゚ -゚)
ド ク ン !!
.
- 837 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:27:26 ID:Dz2PjSzo0
ドクオの体は、光を纏い上昇した。
そして、ある方角に向かって――――――加速。
(('A`)) (――――――よしッ・・・!!)
ドクオは彼方に飛ぶ。
風をすり抜けてゆく音が、ビュウビュウと聞こえる。
そのまま速度を増し、突き進んでゆく。
風を泳ぎ、森を過ぎ、海を越え――――――そして。
.
- 838 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:28:34 ID:Dz2PjSzo0
(('A`)) (・・・・・・見えた・・・!!)
目の前に――――――大きな島と、城。
もの凄い速度で接近してゆく。
しかし、魔力を帯びたドクオの眼には、
ドーム型の大きな魔力結界が張られているのが見える。
.
- 839 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:29:36 ID:Dz2PjSzo0
(('A`)) (・・・・・・ッッ)
(('A`)) 《 ギラッ・・・!! 》
手から、閃光の帯を発する。
それが、結界に衝突した。
結界に、ビシリと皹(ひび)が入る。
しかし、壊れはしない。
もう、結界の壁にぶつかる――――――
.
- 840 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:30:26 ID:Dz2PjSzo0
(('A`#)) 「くおおお・・・ッッ」
(('A`#)) 《 ――――――ベギラマッ!! 》
ドクオは、輝く炎を放ちながら、結界に突っ込んだ。
凄まじい大きさの、陶器が割れる様な音と共に
ドクオは失速し――――――落下。
((( A #))) 「ぐはッッ・・・!!」ドガァッッ!!
地面に落ち、衝撃。跳ねる。
.
- 841 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:31:19 ID:Dz2PjSzo0
( A #)「が・・・べ・・・」
( A #)《 ベホイミ・・・ 》ホゥ...
すぐに、自身に回復呪文を施した。
落下のダーメジを癒す。
('A )「・・・く・・・はぁ」
('A`)
.
- 842 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:32:23 ID:Dz2PjSzo0
('A`)「ここが・・・“奴”のいる・・・・・・」
('A`)「本拠地――――――か!・・・・・・」
ドクオは、見上げる。
禍々しい狂気を放つ、黒の城塞を。
.
- 843 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:33:09 ID:Dz2PjSzo0
.
- 844 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:34:54 ID:Dz2PjSzo0
( ^ω^)
ブーンは、ひたすら進んでゆく。
もう、橋の中腹程まで来ただろうか。
しかしまだだ。
( ^ω^)「はっ、はぁッ」
はやく、この橋を過ぎてしまわねば。
.
- 845 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:35:45 ID:Dz2PjSzo0
瓜゚∀゚)『橋をかける事は可能じゃが、本来もつ魔除けの効果は薄いかもしれん』
瓜゚∀゚)『橋を渡る最中に、空の魔物に襲われるという事も、十分に考えられる』
瓜゚∀゚)『そしてそれは、一つの難関になるであろうな・・・』
瓜゚∀゚)『それは覚悟しておくのじゃ』
( ^ω^)
大勢の魔物に、襲われかねない。
この逃げ場のない橋の上での多勢は、圧倒的に不利。
敵に気付かれる前に、なるべく早くこの橋を――――――
.
- 846 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:37:52 ID:Dz2PjSzo0
( ;^ω^)「ふぅ、ふぅ」
( ;^ω^)「ふ――――――・・・・・・ッ」
i!:( ;゜ω゜):i! ゾワッ
それは、前方に見えた。
空にひしめく、魔物の軍勢。
およそ何百――――――いや、千に近しい程の魔獣共が、
一団の黒い塊・・・雲のようになり、こちらに飛来してくる。
( ;゜ω゜)「ぐっ・・・!!」
戦慄と共に、冷や汗がドッと出る。
頬を伝い、落ちていく。
.
- 848 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:39:23 ID:Dz2PjSzo0
やはり、橋上の戦闘は避けられないのか。
しかし、数が多い。膨大な手勢だ。
あの多勢の前に抗う力は・・・・・・
( ; ω )「く・・・・・・!」
それでも。やるしかない。
そう、あのリムルダールの戦の時の、呼吸を思い出すのだ。
( ; ω )「はッ、はッ・・・!」
剣を握りしめる。決心を固めろ。
退路は有りはしないのだ。
.
- 849 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:41:22 ID:Dz2PjSzo0
どうしても駄目で・・・・・・本当にどうしても駄目でも。
力の限りを最後まで振り絞り、それでもどうしても本当に本当に本当に駄目だったとしても。
自分の持てる最善を尽くして――――――例えここで尽き果ててしまうとしても。
ただでは死ねぬ。
最後の一時まで、剣を振るう事を誓ったのだ。
そうだ、自分は。
剣に死ぬ。
(♯ ω )「ふぅオオ・・・・・・」
(♯゜ω゜)「 ・・・オオオオオオオオおッッ!! 」
覚悟の、咆哮。
.
- 850 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:43:51 ID:Dz2PjSzo0
と、その時。
( ;゜ω゜)「!!?・・・・・・」
魔物の軍勢が、進む方向を変えた。
いや、巨大な一団だ。
多少はこちらにも向かってきてはいる。
だが群れのほとんどは逸れ、ブーンとは違う方角へ。
( ;^ω^)「・・・・・・なんだお・・・?」
.
- 851 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:45:44 ID:Dz2PjSzo0
微かに清らかな音が聞こえる様な気がする。
魔物達の向かう先の、沖の方をふと見た。
一艘の小舟があった。
そこには。
( ;゜ω゜)「あ、あれは・・・・・・!」
.
- 852 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:46:45 ID:Dz2PjSzo0
(・∀・ )
( ;゜ω゜)「 モララー・・・・・・!!? 」
小舟に立つのは、見知った顔――――――モララーだった。
.
- 853 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:47:50 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)皿「それ、こっちだ。こっちに来い」
モララーは、何か大きな物を持ち、それで音を鳴らしている。
( ;゜ω゜)「・・・・・・あ・・・」
いつか賢者の一人である、じぃのもとを訪ねた時に見た。
あれは確か――――――そう。
.
- 854 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:48:37 ID:Dz2PjSzo0
爪゚ー゚)『その竪琴は一見きらびやかで、実に素晴らしい音色を奏でるが・・・
その実、深い魔力を帯びた魔具なのだ』
爪゚ー゚)『その音色は、魔力を放ち、魔物を呼び寄せる』
爪゚ー゚)『これは伝説の、さすらいの吟遊詩人ガライが所有していたものだ』
爪゚ー゚)『彼もまた、魔力を操るものの一人であったために、
その魔香が竪琴に染み付いたのだ』
爪゚ー゚)『うかつに触れると、魔物を引き寄せるぞ』
( ;゜ω゜)「――――――“銀の竪琴”・・・・・・!!」
.
- 856 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:49:58 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)皿「さぁ!こっちに来な。化け物どもめ!」
モララーが奏でる竪琴の美しく盛大な音色は、魔物を引き寄せてゆく。
魔の群れが、魔力の旋律に惹かれ、モララーのもとへ羽ばたいてゆく。
( ;゜ω゜)(あ、あいつ・・・ブーンをこの地に留めさせたのは・・・!)
( ;゜ω゜)(・・・・・・“アレ”を・・・、取ってくる為に・・・!!)
.
- 857 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:51:02 ID:Dz2PjSzo0
小さな小舟の上で、あの軍勢に教われれば、間違いなく――――――
( ;゜ω゜)「モララーッ!!モララァアーーーーッッ!!!!逃げるんだおーーーー!!」
ブーンの声は、海との距離を隔て、モララーには届かない。
( ・∀・)「フフ・・・何をやっているんだ。早く行けよ」
モララーの声も、竪琴の音に掻き消され、ブーンには聴こえない。
しかし――――――それでも。
.
- 858 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:51:51 ID:Dz2PjSzo0
( ;゜ω゜)
伝わるものが、確かにそこにあるから。
(・∀・ )
.
- 859 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:54:38 ID:Dz2PjSzo0
( ; ω )「ぐっ・・・・・・!!」
( ; ω )「モ・・・ララー・・・・・・!!」
そうだ。解っている。解ってはいるのだ。
モララーは、ここへ・・・“覚悟”を決めてやってきた。
それに報いる事が、自分の成すべき事だった。
今すべきなのは、ここに留まり、モララーに激励の言葉を投げかける事でもない。
海に飛び込み、モララーを助けるべく向かう事でもない。
この橋を――――――渡りきる事。
ただただ前進していく事のみが、今のブーンに課せられた使命なのだ。
.
- 861 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:55:52 ID:Dz2PjSzo0
(( ; ω ))( モララー・・・・・・!! )
(( ; ω ))
( ;^ω^)
ブーンは、キッと前を見据えた。
そして、毅然と力強く、再び歩み出す。
前へ。そう、ひたすらに前へ。
.
- 862 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:57:02 ID:Dz2PjSzo0
こちらにも、僅かに鳥の魔物が襲いくる。
だが、モララーの方へ向かった魔物の数とは比べ物にならぬ程少ない。
(♯^ω^)「・・・・・・どけおッッ!!」ザシュッ!!
キメラ「キゲアァァア・・・!?」バサッ
(♯ ω )「絶対に・・・渡りきって見せるお・・・!」
(♯゜ω゜)「 邪 魔 を す る な お ッ ッ !! 」
.
- 863 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 20:58:37 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)「おーおー、気持ち悪いくらい釣れたね。いやはや」
モララーは船上、無数の鳥の魔物に囲まれる。
敵は竪琴の魔力に取り憑かれたのか、
眼を爛々と光らせて襲い来る。
( ・∀・)「こいつぁ、骨が折れそうだな」
( ・∀・)「竪琴を鳴らしながらってのも中々、難しいがね」
キメラ「ギャアアアッッ」バサバサッ
( ・∀・)「ハッ・・・!!」ズバァッ
メイジキメラ「ギシィィイアア」ヒュザッ
(♯・∀・)「うおおおッ!《ギラッ・・・!!》ボウッ
.
- 864 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:00:20 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)+「しかし・・・竪琴を引きながら孤軍奮闘とか美し過ぎるだろ。
昔ちょっとだけ習っといて良かった」
魔鳥 「「「「「「 グギャギャギャアアアッッ 」」」」」」
( ・∀・)「うるせーよ・・・」
(♯・∀・)「ハァッ!!」ビヒュッ!
(♯・∀・)《・・・・・・ギラギラギラギラギラァッッ・・・!!》ドドドドドドゥッ
モララーは、凄まじい猛攻で、周囲の魔鳥を蹴散らしてゆく。
以前のモララーとは違う。鍛錬の成果か。
阿修羅の如き強さを奮う。
.
- 865 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:01:18 ID:Dz2PjSzo0
::(メ ・∀・)::《ホイミ・・・!!》シュウウ
( ・∀・)「せあッ!」ドカッ
そして突然、周りの鳥達がモララーの前から掃け出す。
一定の距離を保ち、傍観するような体勢に入った。
(メ ・∀・)「はっ」
(メ ・∀・)「おいでなすったな」
.
- 867 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:02:35 ID:Dz2PjSzo0
上空から、凄まじい速度で近づいて来る、点。
((((( ゚∋゚))) 「・・・・・・」
(メ ・∀・)「お前だけは許さないぜ」
超高速で、鳥の魔物が突っ込んで来る。
.
- 868 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:03:44 ID:Dz2PjSzo0
鳥の巨体と、モララーとが交差する瞬間――――――
(♯ ∀ )「・・・ッハァッ!!」
ザギュッ!!
( ゚∋゚)「!」
鳥の右翼が、斬撃で切り傷を付けられる。
尚も、鳥は――――――旋回。
再びさらに速度をつけ、矢の様な素早さと鋭さを持って・・・・・・
.
- 869 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:04:40 ID:Dz2PjSzo0
(♯ ∀ )「・・・つぁりゃあッッ!!!!」
ドシュァッ!!!!
(; ゚∋゚)「ッ!!」
左翼をも、切り刻む。
(メ ・∀・)「あの時の俺と一緒にするなよ」
(メ ・∀・)「貴様を倒す為に――――――地獄を見てきたんだからな」
.
- 870 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:05:53 ID:Dz2PjSzo0
( ゚∋゚)「・・・・・・」 バサッ
バサッ
“鳥”は、しばし滞空する。
( ゚∋゚)
(キ ゚∋゚) ミ゛キッ
鳥の筋肉が隆起した。その瞬間。
三三三三三 ゚∋゚))) ド ウッ!!
(メ;・∀・)「!!」
.
- 871 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:07:59 ID:Dz2PjSzo0
三三メ三土ド三三 ゚∋゚
シュパァッ!!
((メ; ∀ )));,. 「ガッ・・・?!!」
モララーは船上から忽然と消え、波の上をまるで石を飛ばすように、
二転三転しながら、吹っ飛ばされた。
((メ#; ∀ )))))「ぐはぁ・・・!」
なんという衝撃。これが奴の本気か。
海中に放られながら、焦燥を滲ませる。
先の体当たりで、鎧は完全に破壊された。
とにかく、足場が無くては。
泳いで船上に戻ろうとする。
.
- 872 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:08:58 ID:Dz2PjSzo0
(メ#;・∀・)「!!」
三三三三 ゚∋゚))) ギュンンッ!!
((メ#; ∀ ))「クオっ!?」
鳥が、海面から顔を出すモララーに突っ込んできた。
凄まじい水飛沫(みずしぶき)を立たせて、海中に潜る。
その後海面から飛び出し、モララーの片脚を銜(くわ)えながら、空に上昇。
.
- 874 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:09:44 ID:Dz2PjSzo0
(メ♯ ∀ )「 ぐ あ ぁああ あ ぁ ぁあぁ あ あ!!」
モララーの脚が、鉄の様な嘴(くちばし)に噛まれる。
脚の筋が、腱が、骨が噛み砕かれる感触が、肉を伝う。
( ゚∋゚)ミ 「・・・・・・」ブッ
そのまま、上空でモララー離す。空に放られ――――――
(メ♯・∀・)「・・・・・・ふぅおアッ!!」
モララーは腰から鎖の付いたフックを外し、鳥に投げつけた。
それが、鳥の脚に引っかかる。
( ゚∋゚)「!!」
.
- 875 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:10:52 ID:Dz2PjSzo0
落下の慣性を利用し、回転して鳥の背側に回った。
背中の羽毛をガッシリと掴む。
(メ#・∀・)「は・・・これでも・・・」
(メ#・∀・)「喰らえッ!!」
そして背中に、剣を思い切り突き立てる。
((; ゚∋゚))「〜〜〜〜ッッ」
鳥は暴れる。痛みを払い、背中のゴミを振り落とそうと。
しかし、深く突き刺された剣と、力強く捕まるモララーは
そう簡単には振り落とされない。
.
- 876 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:11:56 ID:Dz2PjSzo0
(メ#・∀・)「うおおおお・・・・・・!」
剣を更に奥深くまで差し込む。
だが鳥は巨体だ。
剣を根元まで刺したところで、すぐさま致命には至らない。
(♯゚∋゚)「・・・・・・」
鳥は、羽ばたいた。そして、どんどん上昇してゆく。
この高さでは、いかに下が海面とは言え、振り落とされれば間違いなく死ぬ。
.
- 877 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:12:43 ID:Dz2PjSzo0
(メ#;・∀)「く・・・」
((メ#; ∀ ))「・・・・・・ぐああ・・・ッ!?」
急激な上昇による気圧変化は、ただの人間であるモララーの身体に
凄まじい障害をもたらした。頭痛、嘔気、視界悪化、全身の痺れ。
目から、耳から、血が流れ出す。
(; ゚∋゚)「〜〜〜〜ッッ」
しかし、それでも。
((メ# ∀ ))「は・・・離さないぞ・・・」
((メ# ∀ ))「絶対に・・・離すものか・・・・・・!」
.
- 878 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:13:38 ID:Dz2PjSzo0
モララーを乗せたまま鳥は雲中まで達する。
凍り付く様な冷気の中、ついには雲をも突抜けた。
真っ赤な太陽が、モララー達を照らしだす。
((((; ゚∋゚)))) バサバサ
((メ# ∀ ))「・・・ぜったいに・・・ おちないぞ・・・!!」
.
- 879 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:14:41 ID:Dz2PjSzo0
もしここでコイツを取り逃がせば、奴はブーンを標的とし、
追ってゆくだろう。させない。絶対に。
モララーは、手を魔物の背中に添え当てる。 そして・・・・・・
((メ# ∀ ))《・・・ギラ・・・!!》
モララーは、呪文を唱える。直接炎を叩き込んだ。
(((; ゚∋゚)) 「〜〜〜、〜〜〜〜ッッ」カハッ
零距離からの魔法の爆熱は、
いかに屈強な魔物の肉体と言えども、損傷を与える。
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- 880 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:15:47 ID:Dz2PjSzo0
((メ# ∀ ))《・・・ギラ!・・・ギラ・・・・・・!!》シュバッ、ドバッ
(((((♯; ∋ ))))) 「・・・!・・・・・・ッッ!!」
モララーの体を朱に染めるものは、沈み行く夕日の暁と、己と魔物の血。
魔物に密着しているモララー自身も、魔法の熱を浴びて火傷を負う。
それでも、掴んだその手は離しは、しない。
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- 881 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:16:35 ID:Dz2PjSzo0
((メ# ∀ )) (――――――ああ)
((メ# ∀ )) (デレ)
――――――――――――――――――
ζ(゚ー゚*ζ
――――――――――――――――――
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- 882 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:17:57 ID:Dz2PjSzo0
((メ# ∀ ))「へへ・・・鳥公・・・ 焼き鳥に・・・」
((メ# ・∀ ))「なれよ・・・・・・!!」
((メ#・∀・)) 《・・・・・・ぅぅうおおおおああああああああ!!!!》ドゥッドウッドウッ!!!!
(((; ゚∋゚))「〜〜〜〜〜〜、〜〜〜、ギ・・」
(((メ;., ゚∋゚))「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」
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- 883 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:18:58 ID:Dz2PjSzo0
断末魔が響く。
やがて、暴れ狂う鳥の動きは次第に弱まり――――――
,,:(メ;. ∋;):.
遂に失速。力なく、落下してゆく。
(メ -∀-)
モララーは、魔物の体から離れ、フワリと浮いた。
そのまま、空に導かれるように。
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- 884 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:20:08 ID:Dz2PjSzo0
モララーは、昇る、昇る。昇ってゆく。
雲の上で、夕日の橙黄色の粒子を纏いながら。
光の中で、モララーは天に向かってゆく。
その表情は穏やかで、安らかで、あくまで満足気で。
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- 885 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:21:11 ID:Dz2PjSzo0
( -∀-)
( -∀-) ああ 疲れた
( -∀-) もういいのかな
( -∀-) なんだか暖かいや
ζ(゚ー゚*ζ モララー様
( ・∀・) デレ デレじゃないか
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- 886 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:22:19 ID:Dz2PjSzo0
ζ(゚ー゚*ζ ご立派でした さすがです
ζ(゚ー゚*ζ さすがは、モララーですわ
( ・∀・) ああデレ 会いたかったよ
( ・∀・) 寂しかった ずっと寂しかったんだ
( ・∀・) 母さんがいなくなって デレもいなくなってしまって
( ・∀・) とても寂しかったんだ
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- 887 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:23:05 ID:Dz2PjSzo0
ζ(゚ー゚*ζ モララー様 これからはずっと一緒ですわ
( ・∀・) ずっと一緒にいられるのかい
ζ(゚ー゚*ζ ええ そうですよ ずっとずっと一緒です
ζ(゚ー゚*ζ さあ、共に参りましょう
( ・∀・) デレ 好きだ 好きだよ
ζ(゚ー゚*ζ お慕いしておりますモララー様――――――
ζ(゚ー゚*ζ 愛して、おります
( ・∀・) ああ デレ デレ
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- 888 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:24:10 ID:Dz2PjSzo0
( -∀-)ζ(゚ー゚*ζ ああ 暖かい なんだろう こんなにも
暖かいよ。
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- 889 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:25:38 ID:Dz2PjSzo0
(メ -∀-)。゜
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- 890 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:26:21 ID:Dz2PjSzo0
モララーは、沈む、沈む。沈んでゆく。
冷たい海中の奥底へ・・・波の揺らめきに身を委ねながら。
闇の中で、黒髪を揺らしながら海の底へ向かってゆく。
その表情は穏やかで、安らかで、あくまで満足気で。
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- 891 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:27:51 ID:Dz2PjSzo0
彼が死の間際に触れたのは、安らぎの夢の蜃気楼。
一人の記憶の少女との愛の為に命を賭した――――――
孤高の戦士、モララー=ウィル・ブランカート。
――――――母なる海と、真実の愛の幻影を抱き、ここに眠る。
to be continued...!! and......
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- 892 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:29:38 ID:Dz2PjSzo0
(メ ω )「・・・・・・はぁっ、はぁッ・・・」
ブーンは、走る。そうして、森の茂みに飛び来み身を隠す。
あの橋を、渡りきった。
(メ ω )
(メ ω )「モララー・・・・・・」
(メ ^ω^)
(メ ^ω^)「・・・無駄にはしないお。きっと・・・必ず」
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- 893 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:30:44 ID:Dz2PjSzo0
ブーンは見上げる。
その眼光が捉えるものは――――――聳(そび)え立つ、巨大な漆黒の敵の牙城。
「待ってろお――――――」
――――――――――――竜王・・・・・・!!
And, his brave spirit was inherited......!!
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- 895 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:31:49 ID:Dz2PjSzo0
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV24
ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて
今回登場した敵:なし
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