5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:14:47.28 ID:WmYGqzyl0


第16話



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:16:30.01 ID:WmYGqzyl0


そこは、とてつもなく大きな城壁で囲まれた街だった。


石製の分厚い壁の上に、何人も憲兵が配置される。

この国は、圧倒的な軍事力を誇る都市だ。
一説には、その防衛力は大国ラダトームを凌ぐとすらも言われる。


その堅牢さをとって、人々はその街をこう呼んだ。


“城塞都市メルキド”――――――と。



('A`)





9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:17:37.64 ID:WmYGqzyl0


ドクオは、いったい何処から入って良いものか戸惑いつつ、
その巨大な石壁の外周を、なぞりながら歩く。


防壁は、とてつもなく高かった。

所々、草生していて緑色の蔦が外壁を覆う。


上にいる憲兵の姿は、思い切り見上げてようやく点として視認できる程度で、
ここから声をあげたとしても聞こえはしないだろう。


('A`)(やれやれ・・・・・・入り口を探すのも一苦労・・・か)


長旅で疲れた体を早く休めたい。

空腹と渇きを癒して、泥のように眠りこけたいものだ。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:20:02.65 ID:WmYGqzyl0




憲兵「何者か。・・・外来者のようですな。お通しましょうか?」

憲兵「他国の使節では無いようですが」


黒い点を見下ろす兵士は、長髪の白髪で、
白い衣服に身を包んだ隣の老婆に話しかける。


川д川「・・・・・・いや」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:22:21.10 ID:WmYGqzyl0


川д川「あの者より、邪悪な魔力をひしひしと感じる」

川д川「普通に通してはならん・・・魔の者かもしれん」

川д川「まずは、あれをけしかけなされ」

憲兵「あれですか・・・ はっ、かしこまりました」



川д川「ふむ。それにしても、おお」


老婆は禍々しきそれに目を細める。
幾層にも刻み込まれた顔の皺を、額の中心に寄せて訝しげな顔をする。


川д川「・・・・・・なんという、禍々しき力よ」



兵士には、それはただの点に見える。

老婆の目には、巨大な黒い魔力が渦を巻いて見えていた。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:24:50.30 ID:WmYGqzyl0




('A`)「・・・・・・」

('A`)(おかしい)

('A`)(随分みて歩いたが、一向に入り口のような物が見当たらない)

('A`)(これだけ大きい町なら、出入り口をいくつも設置する筈だ)

('A`)(上に憲兵らしき人間がいるから、そのうち梯子でも渡してくれるものと思っていたが)

('A`)(そんな気配も一切ない)

('A`)(さて、どうしたものか)


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:27:11.58 ID:WmYGqzyl0


ドクオは杖で、地面にガリガリと跡をつけながら歩く。

とてもこの巨大な砦を一周りできるとは思えないが、一応の目印の為だ。



そのとき。


ドクオの横の壁が、ビキリと重い音を立てた。


('A`)「ん――――――」



石壁が、煉瓦のブロックの切れ目に沿って、ゴトゴトと動きだす。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:29:49.02 ID:WmYGqzyl0


('A`)「!」

('A`)「こ・・・これは・・・・・・?!」


壁からどんどん剥がされ、一つの塊に集約し・・・
それは人型に構築されてゆく。


石片に、魔力を感じる。つまりこれは。


('A`)「・・・・・・魔導傀儡か!」


やがて石は、巨人になった。



ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオ!!!!」



('A`)「・・・・・・!!」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:31:38.89 ID:WmYGqzyl0


これも城塞都市の防衛手段の一つという事か。

それは、明らかにこちらに敵意を向けていた。



ゴーレム「ゴオオオオオ・・・・・・」


('A`)「・・・・・・くっ」



ドクオは上を見つめる。


相変わらず、憲兵に見下ろされている。
別段、慌てたり助けるそぶりも見せずに、こちらの様子を伺っていた。

つまり自分は今、理由は解らないが、メルキドに「敵」と認識されている訳だ。


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:33:48.40 ID:WmYGqzyl0


ゴーレム「ゴオオオオオオオオ」


石像が踏み出し、ズシンと衝撃が地面に響く。

やるしかない。



('A`)「ち・・・」


やれるか。この体力で。


ゴーレム「ゴオオオオオオオ!!」


石像は、鉄拳・・・いや、石拳をドクオに向かって振り下ろす。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:35:29.85 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・ふっ!」


あえてドクオは、素早く前方に飛ぶ。

そして石像の股の間を、転じて潜り抜ける。



後方で大きな音がし、砂煙と共にドクオは数メートル転がる。

起き上がり、振り返り様に。


('A`)《・・・ギラ!!》


石像の背中に、光り輝く爆発が起こる。


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオン!!」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:37:47.50 ID:WmYGqzyl0


巨体は前屈し、その体にビキビキと、ヒビが入る。
しかしすぐにこちらに振り返り、また手を繰り出してくるが。


('A`)《ベギラマ》


先ほどよりもさらに大きい爆熱が生じた。

石像の伸ばした片腕が粉々に砕け、破片が舞う。


ゴーレム「ゴオオオオオオオ」


辺りに黒煙と砂煙が立ちこめる。


('A`)「・・・・・・」


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:40:21.50 ID:WmYGqzyl0


しかし、巨人は腕が砕けても怯まない。

地面の土を蹴り抉り、自分の砕けた腕の石の破片ごとを、
凄まじい速度でドクオに浴びせる。


(; A )「うっ・・・・・・く・・・!?」


土が目に入り、石の弾丸がドクオの腹や胸骨などに突き刺さる。


(; A )「はぐ・・・ぐっ!!」


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


視界を奪われた一瞬の隙に、ドクオの胴体に打拳が放たれる。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:42:39.91 ID:WmYGqzyl0


(; A )「ぐはぁッッ・・・・・・!!?」


ドクオは宙を舞い、吹っ飛び石壁に叩き付けられた。


食らう寸前に、目が見えないながらも義手の腕でガードし、
衝撃を和らげていなかったら、死んでいた。


('A`)「げほ・・・ッッ」




39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:43:42.99 ID:WmYGqzyl0


('A )「う・・・・・・」

('A )

('A )「やってくれたな・・・」 クン・・・


鉄の味わいが口いっぱいに広がる。

ちょうどいい。喉が渇いていたところだ。


('A )「調子にのるなよ・・・石コロが・・・」 ドクン・・・


ドクオの、首もとが疼く。

見えない力がドクオの体から、陽炎のように揺らめき沸き立つ。



::川д川::「 ! 」 ザワッ・・・

川д川「あ、あれは・・・・・・」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:45:57.60 ID:WmYGqzyl0


('A`)《 ベギラマッッ!! 》



凄まじい閃光が放たれる。

石像の体に直撃した。先の威力よりもさらに増しているのか。

ドクオの百倍以上は重いであろう巨体が、グラリとのけぞり倒れそうになる。


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオッッ」


胴体が爆砕されるが、それでも尚むかってくる。

鷲掴みにしようと襲いかかる。


それをヒラリと交わし、石像の腕に乗る。

そして敵の顔面近く、目の前で。


('A`)《・・・レミーラ!!》


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:47:50.28 ID:WmYGqzyl0


ドクオの手から、パァッと光が溢れる。

それは、一瞬だけだったが・・・


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオ!!?」


敵の視界を奪うのには十分だった。

その隙に、よく狙いを定める。

先ほどのベギラマで砕いた胴体の中に、キラリと見える赤い光。
小さな宝石のような物がある。


それに向けて。


('A`)《 ギラ 》




46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:49:47.63 ID:WmYGqzyl0



赤い光が消えるとともに、石像の眼光も失われる。


そして、膝から崩れ落ちて――――――


その活動を停止した。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:51:47.63 ID:WmYGqzyl0



('A`)「・・・・・・ふぅ」

('A`)(うまくいった)

('A`)(本来なら、長時間に小さな明かりを灯し続ける魔法、レミーラ)

('A`)(その使用時間を、ほんの一瞬に集約、圧縮することで)

('A`)(敵の視界を遮る光を作る事が出来る)

('A`)(呪文の応用・・・って奴だ。研究段階だったが、成功してよかった)


ドクオは、呪文の使用に関しては天性の才能を持ち合わせていた。
こうして日夜研究し、自分のできる事の幅を広げているのだ。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:53:57.18 ID:WmYGqzyl0


('A`)《ベホイミ》


体の傷が柔らかい光に包まれ、癒えてゆく。

間接をパキパキと鳴らした。
土埃と血の混じった唾液を吐き捨てる。


ふと見ると、石像が出て来た壁に、そのままぽっかりと穴が空いていた。


('A`)「ここから入れそうだな」


穴を潜り、中に入る。すると――――――


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:56:21.78 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・」

憲兵「・・・・・・」ジャキッ!


入った途端、十数名の憲兵に囲まれ槍を突きつけられた。


('A`)「旅の者だが」


しかし、槍先はこちらを向いたまま。
ドクオは大きなため息をつく。


川д川「もし、そこな者」


兵士の横をすり抜け、白いローブの老人が現れた。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 19:58:27.56 ID:WmYGqzyl0


川д川「旅の者――――――冒険者かえ?」

('A`)「ええ、そうですが」


さっきもそう言ったろうと、心の中だけで呟く。


川д川「冒険者かい。して、この街へ来た目的はなんじゃ?」

('A`)「探し物をしておりまして」

川д川「探し物?」

('A`)「ええ。とある書物です」

川д川「・・・・・・」

川д川「お主は、魔の輩では無いのか?」

('A`)「違います」



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:00:29.96 ID:WmYGqzyl0


来たばかりの来訪者に、そんな質問をするのもどうかとは思うが、
ドクオにとっては、それは仕方のない事で、過去にもそんなケースはいくつもあった。

しかし――――――


川д川「なるほど。という事は・・・」

川д川「つまりお前さんは、呪われているという訳じゃな」


こんなに早く知れるとは。やりづらい。


('A`)「・・・・・・」

川д川「間近でみて、はっきり確信した」

川д川「邪悪の力が、ふつふつと溢れておる」



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:02:44.13 ID:WmYGqzyl0


兵士の間にどよめきが沸き立つ。
警戒の念を強くしたようだ。


('A`)「そうです。呪われています」

川д川「ううむ、ううむ」


老婆は考え込む。


川д川「呪われし身、か。しかし、お主も人間じゃ」

川д川「呪われているからといって追い返すのものう・・・」

川д川「よしんば人間だとしても、ただ者ではないわい」

川д川「魔導傀儡に対しての兵法まで知っておった。
     一般の民には到底知り得ぬ事じゃからの」




61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:04:37.72 ID:WmYGqzyl0


いきなり問答無用で武力行使をしておきながら、
ここでそんな反応なのか。よく解らない。


川д川「あいや解った。この街に入ってもよい」

川д川「ただし、もしお主が呪い故の何か問題を起こした場合は――――――」

川д川「即刻、出て行ってもらうでな。そこは肝に銘じておいてくだされ」

('A`)「ありがとうございます」


兵士たちは、顔を見合わせる。

そして、武器を降ろし、おそるおそる緊張を解いた。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:06:50.23 ID:WmYGqzyl0


川д川「わしの名は自警兵団の参謀、サダコと申す」

川д川「何かあれば、わしの所までおいでなされ。主の名は?」

('A`)「ドクオです」

川д川「ドクオ。くれぐれも問題は起こしてくれるなよ」


老婆は兵士を引き連れ、去っていった。
何名かの兵士を残し、その者達にドクオの入国手続きをさせた。


それが済んだ後、ドクオは自由になる。

まず宿を探すために、町中を闊歩する。


('A`)(ひとまず、安心か)


運が良かった。場合によっては、門前払いもあり得たのだ。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:08:40.67 ID:WmYGqzyl0



('A`)「・・・・・・」


('A )『調子にのるなよ・・・石コロが・・・』 ドクン・・・



首元に触れる。己の生命と、魔の脈動が入り交じる。


先ほどの戦いでは、驚く程魔力が充実していた。

長旅をして疲弊した体とは思えない。


また、首飾りと肉の同化が馴染んできた様にも感じる。

この首輪は確かに呪われてはいるが、
不思議と自分に力を与えてくれるような気もした。


そして、自分が自分でない、何者かに変わっていくような感覚さえも。





67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:10:24.86 ID:WmYGqzyl0


('A`)「すまない。この近くに、宿屋はあるかい?」

町人「ああ、宿屋の区画なら、あっちのほうだね」


ドクオは人に尋ね、礼を言う。


義手が、ガコガコと音を立てる。

先の戦闘の際に、損壊してしまった。

後で、義手屋にも行かねば。
この街は、その手の修理が得意と聞いている。


そして、宿屋のあるという区画の方向へ歩き出す。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:13:22.55 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)


(*゚∀゚)「おにーさん!」


('A`)「・・・ん?」


一人の子供に話しかけられる。


(*゚∀゚)「おにいさん、もしかして宿をお探し?」

('A`)「ああ、そうだが」

(*゚∀゚)「だったら、ウチにおいでよ!小さいけど、宿屋なんだ!」

(*゚∀゚)「ぜひウチに寄ってください!」


宿屋の子か。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:16:13.33 ID:WmYGqzyl0


('A`)「この近くかい?」

(*゚∀゚)「うん、すぐだよ!どうかな、ちょっとだけボロいかもしれないけど」

(*゚∀゚)「お願いします!」


子供は、懇願する様に勧誘する。
よほど不景気なのだろうか。


('A`)「わかった。そこへ行こう。案内してくれ」

(*゚∀゚)「や、やった!お客さんだ・・・」

(*゚∀゚)「こっちだよ、すぐだよ。ついてきて」

(*゚∀゚)「ちょ、ちょっちボロいけど・・・」


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:17:50.02 ID:WmYGqzyl0


ちくちくと、自分の宿屋のボロさを強調する。

それほど古めかしい家なのだろうか。


('A`)「かまわない。寝る場所さえあれば、どこでもいい」


かえってあまり豪華でないところの方が気兼ねがしない。
ドクオは、子供についていく。


そうだ。早く柔らかな寝床で、微睡(まどろ)みを貪りたい。


一刻も早く。


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:19:41.70 ID:WmYGqzyl0



(*゚∀゚)「ここだよ!」


すぐ近くとは言うものの大分歩いた気がしたが、着いたらしい。


なるほど、小さい。そして随分とボロボロだった。

それは宿屋としての体裁をとるには、考えた方がいい外見のようだ。


(*゚∀゚)「とりあえず、いらっしゃいませ!入って!」


子供は、カウンター側に回り込む。他に従業員はいないのか。


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:22:02.03 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「どのくらい泊まっていかれますか?」

('A`)「未定だが、長期の滞在になるかもしれない・・・いや、なるだろうな」

(*゚∀゚)「長期!やった!じゃあ、ここにサインを」

(*゚∀゚)「それと、ウチは前金制なんだ。長い宿泊になるなら、その分お支払いを・・・」

('A`)「ああ」


ドクオは、荷物から袋を取り出す。

そして中から、キラリと光る小粒を取り出した。

それを、カウンターにあるカップに入れた。
カリンと音がする。


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:25:12.14 ID:WmYGqzyl0


('A`)「これで支払いたい」

(*゚∀゚)「・・・・・・?」

('A`)「純金の粒だ」

('A`)「ゴールドに換えれば、相当の額になるはずだ」

(*゚∀゚)「き、きん!?」


子供は、小粒をまじまじと見つめる。


('A`)「釣りはいらない。足りなくなったら、また言ってくれれば支払う」

(*゚∀゚)「は、はわわわ!」


顔を紅潮させる子供。

そして、奥の方から人が出て来た。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:27:22.05 ID:WmYGqzyl0


(#゚;;-゚)「つー や。お客さんが来たのかい?」


女性がでてくる。

ゴホゴホと咳き込んでいる。
何やら、調子の悪そうな様子だ。


(*゚∀゚)「おかあさん!金だよ、きん!金を貰ったんだ!」

(#゚;;-゚)「え?」


つーと呼ばれた子供は、母親に駆け寄る。




83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:30:07.84 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「これでしばらく、食べものが買えるよ!」

(#゚;;-゚)「まぁ・・・すごいわ」

(#゚;;-゚)「お客様、旅の人かい?空気が違うね。
    とにかく、ウチに寄ってくれてありがとうございます」


女性は礼を言う。齢は幾つくらいだろうか。

母親にしては、若くも見えるし、
またその病弱そうな振る舞いから、老いているようにも見える。

そして目が悪いのか、杖でこつこつと地を叩く。


しかし、眠気で思考がおぼつかない。

早く、早く眠りたい。泥のように。


88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:33:04.13 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「とりあえず、寝床に案内するね!こっちだよ」


つーはドクオの袖を引く。

ドクオはついていこうとしたが・・・


(*゚∀゚)「あっ・・・」


入り口に人が立っていた。


(  ゚∀゚ )('e')


(;*゚∀゚)「・・・・・・」


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:35:33.05 ID:WmYGqzyl0


(  ゚∀゚ )「おいおい貧乏人。いつになったら、ここを立ち退くんだ?」

(  ゚∀゚ )「他の住民からも苦情がきてんだ。
      はえーとこ、あの邪魔臭い病原菌どもを追い出してくれってな」

(*゚∀゚)「・・・・・・」

(#゚;;-゚)


(  ゚∀゚ )「こんな店、流行らねーんだからよ。たたんじまえ。な」

('e')「そうだよ、たたんじまえ!」

(*゚∀゚)「・・・今日はお客さんが来たんだぞ!みろ!」


('A`)「ん」


(  ゚∀゚ )「はぁん?物好きな客だな。わざわざこんなボロの家に泊まるとはwww」

('e')「ほんと物好きだわ」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:39:59.53 ID:WmYGqzyl0


柄の悪い男は、ドクオの肩をばんばんと叩く。


(  ゚∀゚ )「出てけよアンタ。他にいい宿はいくらでもあるぜ?」

('A`)「・・・・・・触るな」


ドクオは、男の手を振り払う。

あまりの眠気で頭痛がしてきた。


(  ゚∀゚ )「あん。んだてめぇ、調子に乗ってんな?」

('A`)「おい、こいつら何なんだ?」

(*゚∀゚)「・・・・・・」


男の発言を意に介さず、ドクオはつーに話しかける。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:43:31.10 ID:WmYGqzyl0


(  ゚∀゚ )「・・・てめえ。ぶっ飛ばすぞコラ」


ドクオは、深いため息をついた。


('A`)「疲れてるんだ。明日にしてくれ」

(♯ ゚∀゚ )「・・・・・・っの野郎ォッ!」


男は、ドクオを顔面を思い切り殴った。
口元に血が滲む。


(;*゚∀゚)「ああっ!!」


しかし、ドクオは動じない。


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:47:07.65 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・」

(  ゚∀゚ )「んだその余裕しゃくしゃくの顔は・・・?」

(  ゚∀゚ )「シネっっ!!」


さらに殴り掛かってくる男の腕を、すっと交わす。

そして、それと交差する様に、相手の腹に拳の一撃を加える。


( ; ゚∀゚ )「ごえっっ!!?」

('e')「あ、アニキ!」


(♯ ゚∀゚ )「てめえええええええええええ」


激昂した男はさらに襲いかかるが・・・
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:48:27.92 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・ふぅ」 パシッ


ドクオに腕を掴まれ、捻り転じて地面に叩き付けられた。


( ; ゚∀゚ )「お、おおッッ」

('A`)「邪魔なんだよ」ブンッ


男の顔面を蹴り飛ばし、宿屋の外にぶち飛ばした。


('e')「えええええええ」


(*゚∀゚)「す・・・すごい」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:50:06.95 ID:WmYGqzyl0


ドクオは、魔法の使用に比べ、体術がそれほど得意ではない。
素の腕力の戦闘など、あのブーンなどには及びもしないだろう。


しかしそれでも、ドクオとて数々の修羅場をくぐり抜けて来た戦士なのだ。

その辺の気が早いチンピラを転がす事など、造作もない事である。


(  ゚∀゚ )「――――――」

('e')「あ、兄貴!アヒャ兄貴、しっかり!」

('e')「お、覚えてやがれうわぁ〜〜〜〜!」


小柄の男は、気を失った大柄を背負って、どこかへ去っていった。


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:53:10.41 ID:WmYGqzyl0


(;*゚∀゚)「・・・・・・」

('A`)「・・・・・・」スッ・・・

('A`)《ホイミ》


ドクオの顔面の腫れが、引いてゆく。


(*゚∀゚)「!?」

('A`)「さて・・・部屋に案内してくれ」



ああ――――――眠い。魔力を消費し過ぎた。


強烈な眠気がドクオを襲う。


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:55:34.01 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「い、今のは・・・?」

('A`)「呪文だ。お前には関係ない。早く寝たいんだ。さぁ」



瞼が重い。眩みもする。



(*゚∀゚)

(*゚∀゚)「おっ・・・お師匠様!」


('A`)「は?」

(*゚∀゚)「ぼ・・・僕にも、その力を教えて下さい!!」

('A`)

(*゚∀゚)「さっきの戦いも凄いです!ぜ、ぜひ」


111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 20:58:02.79 ID:WmYGqzyl0



(*゚∀゚)「ぼっ、僕を、僕をアンタの弟子に!!」



('A`)「――――――なんだって?」





本当に、早く眠りたい。ただそれだけなのに。



to be continued...!!




116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/24(木) 21:02:01.04 ID:WmYGqzyl0


('A`)ドクオの今のステータス


LV20

こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり


今回登場した敵

ゴーレム:石に魔導の力によって生命を吹き込まれた石像。
      体のどこかに核となる水晶をはめ込んでおり、そこからの魔力を動力源とする。
      その巨躯で、メルキドに侵入するものを迎撃する。

(  ゚∀゚ ):アヒャ。チンピラ。HP8。


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