16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:28:25.62 ID:Gmb7lSQD0


第14話



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:30:27.35 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは、その青白く輝く鍵を、巨大な扉に当てる。

扉全体が、震えだした。


( ^ω^)「今、助けるお」


触れた部分から、ビシビシと振動が伝わる。

まるで、自分の震えをかき消すように。


( ^ω^)「――――――姫君様」


光はどんどん大きくなり・・・・・・

ガラスが割れるような音と共に、その光は砕けてゆく。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:32:17.75 ID:Gmb7lSQD0



扉が、開いた。


( ^ω^)


ブーンは前進する。立ちはだかる――――――困難へと。





25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:33:16.61 ID:Gmb7lSQD0


その部屋の中には、燭台が一つあった。


炎の揺らめきが、その部屋を微かに照らしている。




( ;^ω^)「・・・・・・!」


ブーンのその目の前に現れたもの――――――





ドラゴン 「  ・・・・・・ グ ゴ ォ オ ア ァ ア ア ア ァ ァ ア ア ッ ッ ッ ! ! ! !  」



((( ;゜ω゜))「・・・・・・ッッ!!」ビリビリ





29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:35:10.67 ID:Gmb7lSQD0


吠え猛る巨大な怪物。魔物の中でも、強大で類強の種族。


    “ドラゴン” だった。


( ;゜ω゜)「おっ・・・おっ・・・おおッッ・・・!」


ドラゴンを目にするのは初めてだ。

伝聞でしか触れ合う事の無かった存在。
それと、今まさに相対している。

斧を握りしめる手に、汗が滲む。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:38:08.44 ID:Gmb7lSQD0


( ;^ω^)(・・・・・・はっ?!)



巨体に圧倒され、咆哮に気圧され、刹那意識が飛びかけた。

はっと正気に返り、ふと横を一瞥する。そこには。


ξ゚听)ξ


一人の女性が震えている。

そうか。彼女が――――――。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:39:25.11 ID:Gmb7lSQD0


( ;^ω^)「・・・・・・!」


ドラゴン


ξ;゚听)ξ




三つの生命の動きが止まる。



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:41:17.72 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「・・・・・・ニンゲンカ――――――」


( ;^ω^)「!!?」

( ;^ω^)「・・・・・・・・ッッ!!」

( ;^ω^)(人語を・・・話せるのかお・・・!)



ドラゴン「ココへナンのヨウダ・・・ヨワキモノよ」

ドラゴン「ソコのヒメをタスケルためカ」

ドラゴン「タトエなにヨウダとシテも・・・」

ドラゴン「オマエがドウナルカはカワラナイが――――――」


( ;゜ω゜)「・・・・・・ッッ」




37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:45:19.96 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴンは、腰を下ろし寝るような体勢で、ブーンを見下ろす。


そして低く低く・・・迫力を秘めた声で語る。
どうしようもなく脆弱な存在を、ただ諭すような口調で。


決して流暢な人語ではないが・・・余裕を持ったその語り口は、こう告げている。


『ここから、絶対に生かしては帰しはしない』 と。


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:47:14.05 ID:Gmb7lSQD0


( ; ω )「・・・・・・」


( ; ω )「ローラ姫かお」


ブーンは、女性に話しかける。


ドラゴンから視線を外さないまま。

いや、外せない。意識は、ドラゴンの方に向いている。


ξ゚听)ξ「・・・・・・そう」

ξ゚听)ξ「わたしは、ローラ=ツン・デリシア・ラルス」

ξ゚听)ξ「ラダトーム王の・・・娘よ」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:50:05.51 ID:Gmb7lSQD0


姫は震える。


しかしまた、ブーン自身も、震えていた。


怯えから来る震えと、武者震いが混じる。

それを、必至に押さえ込もうと、歯を強く噛み堪える。


( ; ω )


そして、竜は重い腰を上げ・・・また吠える。

恐らく、その身の丈はブーンの4倍以上はあるだろう。

ズズンと音がし、天井からパラパラと砂が落ちた。


心臓の鼓動の音が、高まっていく。


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:53:22.68 ID:Gmb7lSQD0


( ; ω )


ξ゚听)ξ「・・・・・・勇敢な人よ・・・どうか・・・」


( ; ω )



ξ゚听)ξ「 死なないで 」



願いの言葉が、開戦の合図。



(♯゜ω゜)「ッッ・・・ぉぉおおおおおおおおッッ!!」



ドラゴン「グルァああアアアアアアああアアアッッッ!!」


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:56:19.02 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは、地を蹴った。

斧を振りかぶり、ドラゴンに目掛け特攻する。


(♯^ω^)「はああぁっっ!!」



しかし。横から、ドラゴンの尻尾が薙ぎ払われた。

横腹に、激烈な衝撃。骨にメキメキと振動が伝わるを感じる。

折れたか。


( ;゜ω゜)「・・・カはぁッ・・・!!?」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:58:48.55 ID:Gmb7lSQD0


そのまま吹っ飛び、岩盤にめり込むほど叩き付けられる。

壁から剥がれるように倒れ、崩れ落ち膝をついた。



( ;゜ω゜)「ぐ・・・お・・・ げえぇ・・・がっ」


血の混じる吐瀉物をまき散らす。

意識が混濁する。視界が暗い。


今、武器は握れているか。敵は、敵はどこだ。



目の前だ。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:01:21.72 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「ガアアアアアオオオオオ・・・・・・ッッ!!」


( ;゜ω゜)「・・・は!!」


ドラゴンは、足を大きくあげ、ブーンを踏みつぶそうとする。

それを瞬時に横に飛び、転げるように間一髪で交わす。

巨大な足が地面を砕く。轟音が、洞窟内に反響する。


その衝撃に巻き込まれ、またさらに吹っ飛んだ。


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:04:59.78 ID:Gmb7lSQD0


( ;^ω^)「ぐ・・・」


ξ;゚听)ξ「あぶない!!」



ドラゴンが、また尻尾をしならせ、鞭のように横薙ぎに攻撃してきた。


( ;^ω^)「・・・くッッ」

(♯^ω^)「くぉおおあああッッ!!」


それにピタリとタイミングを合わせ、斧を振る。


斧で尻尾を受け止める。
斧が、敵の鞭に食い込み、黒い血がブシュウと噴出する。




53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:07:06.88 ID:Gmb7lSQD0


((( ; ω ))「ぬうううンンッッ!!」


体中に電撃のような衝撃が走るが、今度は吹っ飛ばされない。

ザリザリと後退し、ぴたりと止まる。そうだ。


ドラゴン「ゴルガァアアアアアアアアアアア!!?」


そのまま、斧を押し込み、尻尾を断ち切れ。

力を込める。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:10:13.18 ID:Gmb7lSQD0


( ;゜ω゜)「・・・おおっ!?」

しかし、そのまま尻尾に巻き取られた。


(♯゜ω゜)「うがああああああ!!」


ものすごい強さで締め上げられ、苦痛に顔を歪める。

口から血がゴポリと溢れ、喉に詰まりそうになる。

そして、投げ飛ばされた。またもや壁に激突。


(メ; ω )「が・・・」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:13:04.58 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )(つ、強い・・・今までの敵とは・・・比較にならない・・・)

(メ; ω )(桁が・・・違う・・・お)



今、自分とドラゴンが戦っている。

勝てるのか。


ドラゴン。 ドラゴンだと?

これは現実か。感覚が麻痺し、実感がわかない。

しかしこの痛みも恐怖も夢想の物だとしたら、なんという悪夢だろう。
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:15:42.43 ID:Gmb7lSQD0


いや、気を保て。何を考えている。雑念を払え。

これは全て現実の事だ。そう。


目の前の化け物の大きく開けた口の中が、赤く燃え光るのも。



ドラゴン「・・・・・・バオオオオオオオ大オオオオッッッッ」


(メ;゜ω゜)「うっ!・・・うわあああああああっっ!!?」


ドラゴンは、火炎の息吹を吐き出した。

狂熱がブーンに襲いかかる。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:17:21.04 ID:Gmb7lSQD0


斧で振り払い、バタバタと転げ廻る。
水気のある苔の部分に体をこすりつけ、火を消した。

しかしすぐには起き上がれない。

いや・・・そのまま、ブーンは倒れ伏し動かなくなった。


ξ;゚听)ξ「ああっっ・・・!」



(メ -ω-)



ブーンの意識は、遠のいてゆく。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:23:29.66 ID:Gmb7lSQD0


走馬灯のように、彼らの顔が浮かんでくる。



(,,゚Д゚)


ギコ。


今自分がこうしてここにいる所以は、お前だ。


お前の死と情熱が、己の人生を宿命づけた。


お前と旅が出来たら、どれほど楽しいものだっただろうか




65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:24:31.40 ID:Gmb7lSQD0


('A`)


ああ、こんなときに、ドクオがいてくれたら。


彼の呪文や聡明さは、頼もしい事このうえないのに。


やっぱり、無理にでもついていって、一緒に冒険していれば良かったかな。



( ゚∀゚)


それに、ジョルジュ。


彼の岩をも砕く鉄拳があれば、怖い物無しだ。


彼らとパーティーを組めば、どんな強大な敵にも立ち向かえる気がする。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:28:18.70 ID:Gmb7lSQD0


そういう可能性もありえたかもしれない。


しかし、一人だ。


自分は今、一人なのだ。


旅の中で、他人を思う事は出来る。


だが、現実に現れる訳ではない。


頼れるものは、己自身の刃のみ。


自分で決めた。 それがこの世界での自分の冒険だ。



ブーン・ホライゾンに許された、宿命の旅なのだ。



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:31:39.24 ID:Gmb7lSQD0



ドラゴン「グウウウウゥウゥゥゥウッッ」


竜は近づく。久々の御馳走の、その頭を噛み砕こうと。


ξ;゚听)ξ「い、いや・・・ッ・・・」


大口を開け、ブーンを・・・



(メ♯^ω^)「・・・・・・食われてたまるかお」


すかさず、斧は振り払われる。

ドラゴンの下顎の一部を粉砕した。


もう一撃。往復に斬る。

敵の喉もとから胸元に、大きな傷を負わせた。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:34:33.36 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「・・・グッ・・・グギャアアアッ!!」


ドラゴンはのけぞり、後退する。今だ。


(メ♯^ω^)「・・・・・・ううおおおおおおおオッ!!!!」バシュッバシュッ!


流れるように切り結び、脚、胴体を抉り斬った。


(メ;゜ω゜)(いけるお!)


ドラゴン「ギャアアアアアガアアアアア!!!」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:38:32.43 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴンの尻尾が振られる。
それは、ブーンには当たらない。


部屋の火の灯る、燭台を吹っ飛ばす。


(メ;゜ω゜)「!!」


「きゃっ・・・!?」



しまった。暗い。

唯一の明かりを消された。


77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:42:56.12 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )(く・・・視界が・・・)


光を失い、立ち尽くす。

しかし、ドラゴンはこの闇のなか、自分を見下ろしているだろう。

どうする。どう動く。



――――――ニンゲンよ――――――


(メ; ω )!


――――――ヨクヤッタ。ココマデキズをオワセタのは、キサマがハジメテダ――――――


――――――ツヨキモノよ。ケイイをヒョウして・・・ゼンリョクでキサマを――――――


――――――――――――――――――コロス――――――――――――――――――




78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:46:41.35 ID:Gmb7lSQD0


そして、静かになる。

自分の鼓動のみが、今この世界で一番大きい音だ。


(メ; ω )


(メ; ω )


ボボッ・・・


(メ; ω )!


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:54:45.01 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴン「ゴバハァアアアアアアアアアア!!!!」



突然周りが明るくなった。

手負いの竜に息吹かれた炎熱が、目の前から放射される。


(メ;゜ω゜)「オオオオオおッッ!!」


横転し交わす。

だが避けきれず、炎はジュバァと自分の足を飲み込む。


((メ; ω )「ああああおっ・・・!!」ジュウゥ


89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:59:54.20 ID:Gmb7lSQD0


ドラゴンがどすどすと移動する。


姫の悲鳴が聞こえる。


そしてまた、闇中へ。



(メ;゜ω゜)「ぬ・・・ぬ・・・ぅ・・・」




90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:01:19.03 ID:Gmb7lSQD0


足をやられた。

体中の骨も折れている。

強烈な吐き気と、止めどなく溢れる口内の血液の味から、
内蔵も潰れているかもしれない。

もう満足に動けはしない。
今、立っているのが不思議なくらいだ。


余力は、無い。


(メ; ω )「・・・・・・・・・」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:05:48.60 ID:Gmb7lSQD0


( ゚∀゚)『ブーン。お前が強敵に立ち向かう事があれば』

( ゚∀゚)『まず、その弱点を探せ』

( ^ω^)『弱点・・・』

( ゚∀゚)『ああ・・・敵は強大だ。なら、弱みを見つける事だ』

( ゚∀゚)『その時の状況や力量差を見極めて・・・』

( ゚∀゚)『もちろん敵わねぇと思ったら、逃げる事も大切だぜ』

( ゚∀゚)『逃げる事は、決して敗北じゃねえ。命を落としちゃおしまいなんだからな』

( ゚∀゚)『勇気と無謀をはき違えるなよ』

( ^ω^)『・・・おお!』


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:11:32.30 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )「・・・・・・」


逃げる等という選択肢は、無い。

簡単に逃がしてくれるような相手ではないのだ。



精神を集中する。
そうだ。この闇と、同化するのだ。

もうチャンスは、これしかない。

ブーンは、斧を構える。
これが、自分が繰り出せる最後の一撃になるだろう。


心の中で、十字を切る。


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:21:45.61 ID:Gmb7lSQD0


(メ; ω )



(メ; ω )



(メ; ω )



,; ,`



(メ; ω ) !!





((メ♯゜ω゜)づ 「  ・・・・・・見えたおッッッ・・・!!  」





101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:24:53.17 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは、斧を思い切り投げた。


血の一滴まで、絞り尽くすがごとく。


微かにほの見える、オレンジの灯火に向けて。


斧は疾風となり、主の心の様な、真っすぐな軌道を描いて・・・


オレンジの光に突き刺さる。


即ち・・・ドラゴンの口内へ!



ドラゴン「  ゴガァアアアアッァッァアァアアアアアアアア!!?!?  」


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:34:17.83 ID:Gmb7lSQD0


ドシュンと音を立て、斧はドラゴンの顔面に抉り込む。

そして、ドラゴンの溜めていた炎の息吹が、行き場を失い暴発する。

凶竜の頭が吹っ飛ぶ。

ゆっくりと巨体が崩れ落ち、ものすごい轟音を立てた。

その自身の炎に当てられ、メラメラと肉塊は燃え盛る。



(メ; ω )「・・・かはッッ・・・!!」




そして、ブーンも倒れた。

姫が駆け寄る。




106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:35:59.78 ID:Gmb7lSQD0


ξ;゚听)ξ「・・・・・・ああ!!」

(メ;^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・!」

(メ;^ω^)「や・・・たお・・・」

(メ;^ω^)「どらこん・・・たほしたぉ」



ξ゚听)ξ「・・・傷が開くわ。しゃべらないで」

ξ゚听)ξ《・・・ホイミ!!》


姫の手から、暖かな光が流れ込む。

ブーンの傷を、ほんの少しだけ癒した。


108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:38:04.00 ID:Gmb7lSQD0


(メ^ω^)「お・・・これは・・・」

ξ゚听)ξ「呪文よ・・・わたしのは、まだまだ未熟で完成していないものだけど」

ξ゚听)ξ「今の私には・・・これだけしかできないわ」

(メ^ω^)「ありがとうだお・・・ローラ姫様」


ξ゚听)ξ

ξ;凵G)ξ 「・・・あっ・・・ありがとう」

ξ;凵G)ξ「ありがとう・・・ありが・・・とう・・・」
ξ;凵G)ξ「・・・うぐっ・・・ひ、ひいぃ・・・あり・・・がと・・・」

(メ^ω^)


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:41:51.94 ID:Gmb7lSQD0


姫の眼から、大粒の涙がこぼれる。

炎を照らし出されるその顔は、青白く痩せこけていた。

どれだけの時間、どれほどの苦痛を耐えて来たのだろう。

それは永久とも思える時の中で、この暗闇に束縛されて。


だが、それも今日までだ。


(メ^ω^)「・・・大丈夫だお、ローラ姫」

(メ^ω^)「もう、怖くないお。外の光を・・・」

(メ^ω^)「浴びにいこうお」

ξ;凵G)ξ「ぐすっ・・・あああ・・・ああああぁぁん・・・!」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:46:15.93 ID:Gmb7lSQD0


ブーンは救った。


初めて人の命を。


例えようもなく尊く、儚い生命を。


何かが、心の中で溶けてゆく。


あの時救えなった命に対しての、贖罪のような気がした。




血みどろの死闘の末――――――ブーンは勝利の栄光を掴んだのだ。




114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:49:04.24 ID:Gmb7lSQD0


ξ;凵G)ξ「ぐしゅっ、ぐすっ・・・ああ・・・あなたの・・・名前を・・・聞かせて」

(メ^ω^)「僕の名前は・・・ブーン」


(メ^ω^)「ブーンだお」



心が、満たされていた。


晴れやかな気持ちだ。


まるで我々が望む、青空のように。


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:51:49.74 ID:Gmb7lSQD0

ああ――――――温かい。


なんて温かいのだろう。


彼女の頬を伝い落ちる涙の暖かみが、人の幸福の象徴であるなら。


それが、平和の温もりの断片であるなら。


ξ;凵G)ξ


(メ^ω^)



ブーンには――――――彼女の溢れ出る涙を、とめる事など出来ない。


to be continued...!!





120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:53:31.61 ID:Gmb7lSQD0


( ^ω^)ブーンの今のステータス


LV17

てつのおの
はがねのよろい
てつのたて


今回登場した敵

ドラゴン:強大な竜の魔物。魔物の中でも、最高ランクの強さを誇る種族。
      また、知能もすさまじく、多種族の言語を理解するなど、人間の
      知能を遥かに上回るとさえも言われる。
      体内に炎熱を発生させる器官をもっており、火の息で獲物を焼き殺す。


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