413 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 18:55:32.79 ID:YKuyITJqO
医者「気が付いたかい、ブーン君」

( ^ω^)「・・・・・・・・・・か・・・・」

医者「・・・・・・どうしたんだい??」


ブーンはカーチャンの居場所が聞きたかった。
しかしうまく声がでない。


( ^ω^)「・・・・か、か・・・・・か、か・・・か・・・・・」


医者「まいったな・・・・・・・・・・とりあえずここで待っていてくれ、すぐ戻るからね」


そういうとその男は部屋からでていってしまった。
416 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 19:03:52.52 ID:YKuyITJqO




医者「・・・・・・・そうか・・・・・・もとからブーン君はどもり症だったのか」

ナース「えぇ・・・・・・それがあまりのショックで悪化しちゃったみたい」

医者「・・・・・・・・・しかもあのお母さんが最後の身内だったとはな・・・・・・」

ナース「かわいそうな子ですね・・・・・・・」

医者「とりあえず、文字付きのプレートとってくれ、それがあれば会話はできる」

ナース「・・・・・はい」
424 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 19:13:30.86 ID:YKuyITJqO
ガチャッ

またさっきの男が入ってきた。


医者「おまたせ、ブーン君。ほら、これを使えば話せるだろ?」


そういってその男は、“あ”から“ん”までの文字が入ったプレートを渡してきた。
このもじを指差すことで、言葉を話さずに会話するための道具らしい。


( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・」


ブーンはゆっくりと指を動かした。
502 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 21:04:38.01 ID:YKuyITJqO
( ^ω^)“か”“あ”“ち”“ゃ”“ん”“に”“あ”“い”“た”“い”


ブーンは迷うことなく、そう伝えた。


医者「・・・・・・・そうか・・・・」


医者は少し困った顔をしていたが、やがて口を開いた。


医者「じゃあついてきなさい、ちゃんと歩けるね?」

( ^ω^)“は”“い”“だ”“お”
505 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 21:10:23.26 ID:YKuyITJqO
ブーンは黙って医者のあとについていった。

医者はどんどんと階段を降りていく。

どこに連れていかれるのか、ブーンにはだいたい想像がついた。


ギィィィ


医者が、鍵のついた重そうな扉を開けた。

中に、白い布をかぶった人が横たわっていた。
516 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 21:30:41.99 ID:YKuyITJqO
医者は静かに部屋から出ていった・・・・


( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・」


ブーンはそっと、顔の上にのっている布をとった。




( ^ω^)「・・・・・・・・か・・・ぁ・・・・」


声が出ない。どんなに頑張っても、前みたいには声が出せなかった。


( ;ω;)「・・・・・うっ・・・・・・・うっ・・・・・・」
528 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 21:53:38.26 ID:YKuyITJqO
( ;ω;)「・・・・・うっ・・・・・」


ブーンは悔しかった。

目の前にカーチャンがいるのに、声をかけることもできない。


( ;ω;)「な・・・・・・で・・・・で・・・・じさ・・・・・・つ・・・・・・」


ブーンはプレートを使って、カーチャンに自殺した理由を聞いた。

返事がないのはわかっていたが、聞かずにはいられなかった。
533 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 22:08:13.91 ID:YKuyITJqO
ギィィィィ

医者が入ってきた。


医者「ブーン君、悪いけどそろそろ消灯時間だから部屋に戻ろう」

( ;ω;)「あ・・・・・・うっ・・・・・・・う・・・・あ・・・・・・」


ブーンは最後に、プレートを使ってカーチャンに別れを告げた。
536 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 22:20:27.31 ID:YKuyITJqO
次の日ブーンは退院した。


その後、葬式や告別式を終わらせ、なんとかブーンの気持は落ち着いてきた。

しかしあいかわらずどもり症は悪化したままで、まともに喋ることは出来なかった。





(´・ω・`)「ブーン、今日も来ないな」

('A`)「あいつにはカーチャンしかいなかったからな・・・・・・」



ブーンを引き取ってくれようとした所もいくつかあったが、ブーンは断った。

カーチャンと暮らした家からは離れたくなかったからだ。
548 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 22:37:01.63 ID:YKuyITJqO
ある日、ブーンの家にドクオとショボンがやってきた。


(´・ω・`)「おーいブーン!!」


ブーンはドアを開けて外に出た。

ドクオとショボンが食べ物や新聞を持って立っていた。


('A`)「久しぶり、ブーン。上がっていいか?」


ブーンは手招きして二人を家に入れた。


(´・ω・`)「おじゃましまーす」

('A`)「これ、差し入れな」

( ^ω^)「あ、あ・・・・・・・・あ・・・・・・あ・・・・あ・・・・」

(´・ω・`)「どうした?」


ブーンは病院でもらったプレートを使って、喋れなくなってしまったことを伝えた。
552 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 22:42:46.92 ID:YKuyITJqO
(´・ω・`)「そっか・・・・・・気にすんなよ」

('A`)「あぁ、そのうち治るよ」

( ^ω^)“ありがとうだお”





二人が持ってきてくれたもねを食べたりしながら、
ブーンは久しぶりの楽しい時間を過ごした。
559 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 22:52:05.31 ID:YKuyITJqO
気付かないうちに外は暗くなっていた。


(´・ω・`)「でもブーンが元気そうでよかったよ」

('A`)「じゃあそろそろ帰るか、ショボン」

(´・ω・`)「あぁ、そうだな」

( ^ω^)“途中まで見送るお”


三人は外に出た。風が涼しくてきもちいい。
567 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 23:06:18.32 ID:YKuyITJqO
夜の道を歩く三人。人の通りはほとんどない。


('A`)「なぁ・・・・・・もし日本が本格的に戦争始めたらどうする?」

(´・ω・`)「どうするって言われてもなぁ・・・・・・・・」

('A`)「でも日本が攻撃されんのも時間の問題だぜ??こっちは軍隊送ってるんだし・・・」

(´・ω・`)「まぁな・・・・・・もう日本も駄目かもしんないな・・・・・・
     こんなことなら日本もミサイルとか核とかつくっといた方がよかったのかもな」

('A`)「それもそうだな・・・・・・・」
572 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 23:16:59.41 ID:YKuyITJqO
('A`)「だいたいあの首相が援軍派遣したからいけないんだよな」

(´・ω・`)「まぁアメソカの犬だからな、俺達は。石油がなくちゃアメソカも戦争は辛いんだろ」

('A`)「だらしねぇ国だな・・・・・日本は」


ブーンはずっと二人の話を聞いていた。
最近はラジオも聞いてなかったから、いま世界がどうなっているか分からなくなっていた。
586 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 23:36:37.09 ID:YKuyITJqO
ドクオとショボンが別れる所まで来た。
ここでブーンも引き返すことにする。


('A`)「じゃあな、ブーン。落ち着いたら学校も来いよ!」

( ^ω^)“わかったお”

(´・ω・`)「一人が寂しくなったら、いつでもうち来いよな」

( ^ω^)“ありがとうだお”



ブーンは引き返す。

『絶望こそ希望そのものだ』

カーチャンの言ってた意味がなんとなく分かった気がした。
590 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 23:42:34.05 ID:YKuyITJqO
その時だった。




「うわぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ」

( ^ω^)「・・・・・・・・!!!」


それは明らかにショボンの声だった。
598 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 23:49:36.37 ID:YKuyITJqO
ブーンは急いで二人と別れたところまで引き換えした。

ドクオも走って戻ってきた。


('A`)「な、なんだよ今の叫び声!!」

( ^ω^)「・・し・・・・し・・・・しょ・・・・・!!!」

('A`)「やっぱショボンの声だよな!?行ってみよう!!」


二人は急いでショボンが帰った道へ走った。
602 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/29(日) 23:56:01.24 ID:YKuyITJqO
角を曲がると、そこにショボンが立っていた。


そして、その正面にもうひとりのショボンが立っている。


('A`)「・・・あ・・・・・・あ・・・・・・・」



ショボンはまるで動こうとしない。
ブーンとドクオもあまりの怖さにただ見ていることしか出来なかった。

603 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/30(月) 00:00:49.90 ID:YKuyITJqO
そのうちに奥に立っていたショボンが、すっと消えてしまった。

まるでショボンのからだに溶け込むかのようだった。


('A`)「・・・・・しょ・・・・ショボン!!大丈夫か!??」


我に帰ったドクオが急いでショボンに近付く。
ブーンもそれをみて後を追った。



(´・ω・`)「・・・・・・・・・・・・・・」
614 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/30(月) 00:07:59.64 ID:R633c5FPO
('A`)「おい!!!ショボン!!!大丈夫か!!!」

(´・ω・`)「・・・・・・・・・・・」


ショボンは立ち尽くしたまま、動かない。


('A`)「おい!!なんか言えよ!!!ショボン!!!!」

(´・ω・`)「・・・・・・・・・大丈夫だ」

('A`)「ほんとか・・・・・・?・・・・さっきのは・・・・なんだ??」

(´・ω・`)「・・・・・・もう大丈夫だ。気にしないでくれ」

('A`)「でも・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・・もういいんだ・・・・・・・・僕は帰るよ」
621 : ◆xJiyHZHPtM :2006/01/30(月) 00:17:13.69 ID:R633c5FPO
そういうとショボンは行ってしまった。


('A`)「おい・・・・・・・どう思う??」

( ^ω^)“ショボン変だったお”

('A`)「だよな・・・・・・・だいたいさっきの消えたやつはなんだよ・・・・・・」

( ^ω^)“・・・・・・・・ドッペルゲンガー?”

('A`)「そんなまさか!・・・・・・・・でも気になるな・・・・・・・」

( ^ω^)“ショボンを追いかけるお”

('A`)「だな」
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