360 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 01:11:40.67 ID:HS4qNNHpO
館内は一瞬にして凍りついた。


ステージの上にのぼってきたのは、ブーンだった。

二人のブーンが、お互いに正面を向き合ったままつっ立っている。



あれは・・・・・・どう考えてもブーンのドッペルゲンガーだ・・・・・・・・


分かっているのに、あまりに突然すぎて、ドクオもショボンも
ステージの上で起こることを見ていることしか出来なかった。
370 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 01:21:20.17 ID:HS4qNNHpO
ブーンは驚いた。


突然ステージに、自分と同じ姿の人間がのぼってきたからだ。


そいつはゆっくりとブーンに近づいてくる。


( ^ω^)「・・・・・・・・・・・!!!」


大声で叫びたいが、声が出ない。

急いで逃げ出したいが、体が動かない。




やがてその人間はブーンの目の前まで来ると、にっこりと微笑み、ブーンに溶けるようにして消えていった。


( ^ω^)「・・・・・・・・・」
383 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 01:33:59.22 ID:HS4qNNHpO
(´・ω・`)「ブーン!!!!!!!!」


我にかえったショボンが、慌ててステージへと向かって走っていく。


それを見たドクオも、急いでショボンを追う。





二人がステージにあがったとき、ブーンはまださっきと同じ位置で立ち尽くしていた。





390 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 01:49:01.45 ID:HS4qNNHpO
ドクオとショボンは、念のためブーンの腕を抑えた。


('A`)「・・・・・・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・ブーン・・・・・・・・?」

( ^ω^)「・・・・・・・・放してお・・・・」

('A`)「・・ブーン・・・・・どうした・・・・・?」

( ^ω^)「・・いいから手を放すお・・・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・・・・・・・・・」

(#^ω^)「二人とも放せお!!カーチャンのところに行かせろお!!!」
414 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 01:56:33.45 ID:HS4qNNHpO
('A`)「カーチャン・・・・・・・・?」

(´・ω・`)「ブーン!・・・・・・落ち着けよ!」

(#^ω^)「うるさいお!!もう死ぬんだお!死んでカーチャンのところに行くんだお!!!」

('A`)「・・・・・・・・・・・ブーンまで・・・・・・」

(#^ω^)「放せ・・・・・・・・・ん?・・・・・・・カーチャン・・・?」

(´・ω・`)「・・・・・・・・・?」
424 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 02:02:53.14 ID:HS4qNNHpO
( ^ω^)「カーチャン・・・・・!!カーチャンだお!!」

('A`)「・・・・・・・・・・なんだ?」

(´・ω・`)「カーチャン・・・・・・・どこにいるんだ?」

( ^ω^)「カーチャン!!ブーンはここだお!!ここにいるお!!!」


ブーンには見えていた。

ブーンのカーチャンが、どんどんこっちに近づいてくる。


(#^ω^)「いい加減放せお!!!」
444 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 02:45:08.00 ID:HS4qNNHpO
やがてカーチャンはブーンの目の前までやって来た。


( ^ω^)「カーチャン・・・・・・・」


J( 'ー`)し「ブーン・・・・・・・・」


( ;ω;)「うっ・・・・・・・カーチャン・・・・・・・」
519 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 17:12:55.25 ID:HS4qNNHpO
J( 'ー`)し「ごめんね・・・・・・ブーン・・・ごめんね・・・・・・」

( ;ω;)「カーチャン・・・・・・・・」

J( 'ー`)し「ごめんね・・・・・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・・謝らなくていいんだお・・・・・・カーチャンは悪くないお」

J( 'ー`)し「・・・・ブーン・・・・・・」

( ^ω^)「僕もすぐにそっちに行くお!カーチャンのところに行くお!」

J( 'ー`)し「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「やっとカーチャンに会えたお・・・・・・・今まで寂しい思いをさせてごめんだお」
524 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 17:24:02.27 ID:HS4qNNHpO
J( 'ー`)し「ありがとう・・・・・・ブーン・・・」

( ^ω^)「なに言ってんだお・・・・」

J( 'ー`)し「じゃあ・・・・・・・早くこっちに来てちょうだい・・・・・・・・カーチャン待ってるわ」

( ^ω^)「わかったお!!すぐ行くお!!」

J( 'ー`)し「ふふふ・・・・・・・カーチャン嬉しいよ・・・」

(#^ω^)「ドクオ!!ショボン!!!早く手を放せお!!!!」


ドクオとショボンは、無言のままブーンの腕を掴んでいた。
528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/15(水) 17:37:09.30 ID:HS4qNNHpO
カーチャンはゆっくりとブーンから離れていく。


( ^ω^)「あっ・・・・・・カーチャン・・・・・・待ってお!!」

J( 'ー`)し「先に行ってるわ・・・・・・・・・すぐに来てね・・・・・・」

( ^ω^)「分かったお・・・・・・・・すぐに行くから待っててお!!」


やがてカーチャンは見えなくなった。


(#^ω^)「放せお!放せお!!放せお!!!放せお!!!!」


ブーンは手を振り足をばたつかせて暴れたが、腕を掴む二人の手は離れない。


(#^ω^)「死なせろお!!カーチャンのところに行くんだお!!カーチャンと一緒に行くんだお!!!!!」


ブーンが叫んだ、その時だった。
532 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 17:43:42.53 ID:HS4qNNHpO
『ブーン・・・・・・・・・』


どこからともなく、ブーンを呼ぶ声・・・・・・・この声は・・・・・・・カーチャン・・・・・


( ^ω^)「カーチャン!?戻ってきたのかお?・・・・・・・・どこにいるんだお?」


ブーンは辺りを見回すが、カーチャンの姿は見当たらない。


気のせいか・・・・・・・・・・ブーンがそう思ったとき、再びはっきりとカーチャンの声が聞こえてきた。
536 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 17:52:41.54 ID:HS4qNNHpO
『ブーン・・・・・・死んじゃだめ・・・・・・』

( ^ω^)「カーチャン!?どこだお?どこにいるんだお??」

『ブーン・・・・・・・死んでは・・・・だめよ・・・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・僕はカーチャンに会いたいんだお。そのためなら死んだっていいんだお」

『ブーン・・・・・・・・・・・・・話を聞いて・・・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・なんだお?」


ささやくような声でゆっくりと、その声は話し始めた。
539 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 18:03:31.86 ID:HS4qNNHpO
『ブーンは今・・・・・・・・どんな気持ちなの・・・・・・・?』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・?」


突然の質問にブーンは戸惑ったが、
少し考えたあと、返事をする。


( ^ω^)「幸せな気持だお・・・・・・・・カーチャンに会えたんだお」

『・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「早く僕もカーチャンのところに行きたいお・・・・・・・・そうしたらもっと幸せだお」
545 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 18:15:03.37 ID:HS4qNNHpO
『・・・・・・幸せ・・・・・・?』

( ^ω^)「そうだお。カーチャンに会えたから幸せなんだお」

『・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・なんか言ってお・・・・・」

『・・・・・・・・・違うわ・・・・・・ブーン・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・?」

『そんな幸せは違う・・・・・・・・分かるでしょ・・・・・・ブーン・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・」
551 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 18:22:23.73 ID:HS4qNNHpO
( ^ω^)「違わないお!僕は本当に幸せなんだお!そう思ってるお!」

『・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「・・・・本当に幸せなんだお・・・・・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「カーチャン、僕はドッペルゲンガーに会えてよかったって思ってるお」

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「ドッペルゲンガーが僕に幸せを・・・・・・・希望を与えてくれたんだお・・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「カーチャンだって・・・・・・・・・・そうだったんだお・・・・?」
560 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 18:49:38.33 ID:HS4qNNHpO
『・・・・・・・そうね・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「ブーンも一緒なんだお。だから・・・・・・死ぬんだお」

『・・・・・・・・・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・」



相変わらずブーンは二人に腕を抑えられている。



ブーンはカーチャンの声が聞こえてくるのを待った。



『・・・・・・・・ブーン、なぜドッペルゲンガーが現れているか・・・・・・・・分かる?』


( ^ω^)「・・・・・・・・・・・分かんないお・・・・」
575 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 19:09:34.93 ID:HS4qNNHpO
『ドッペルゲンガーはね・・・・・・・・人々の、深い絶望からうまれた・・・・・・・・・最後の希望なの』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・」

『不景気、石油の枯渇・・・・・そして戦争。世界が絶望に包まれていく中で・・・・・
ドッペルゲンガーがうまれた・・・・・・絶望を・・・・・・希望に変えるために・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・」

『でもね、世界はもうだめだった・・・・・・戦争はどんどん酷くなる・・・・・・・・・・・
そんな世界に、希望なんか与えられるはずがないのよ・・・・・・・・・』



カーチャンの声は喋り続ける。
580 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 19:20:55.76 ID:HS4qNNHpO
『そんな中で希望を与える唯一の手段・・・・・・・・・それが、死ぬことだったの・・・・・・・・・』


ブーンは黙って聞き続けた。


『死ぬことで、人間を絶望から救い・・・・・・・・・・希望を与えようとしたのね・・・・・・・・
・・・・・・・私は・・・・・それに従うことしか出来なかったわ・・・・・・・・・』


( ^ω^)「・・・・・・・・・・カーチャン・・・・・・」


『でもブーン・・・・・・ブーンには・・・・・・死なないでほしい・・・・・・』
588 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 19:33:38.81 ID:HS4qNNHpO
『ブーン・・・・・・・・・カーチャンが言った言葉・・・・・・・覚えてる・・・・・?』

( ^ω^)「・・・・絶望こそ・・・・・・希望そのものだ・・・・・・だお・・・・・・?」

『覚えていてくれたのね・・・・・・・・・ブーン・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・当たり前だお・・・・・・」

『絶望の中にこそ希望がある・・・・・・・・・・でもね、希望の中にだって絶望はあるのよ・・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・?」

『この世は戦争がどんどん悪化している・・・・・・・・・生きていても、絶望だらけかもしれない・・・・・』

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・」

『それでもブーンには、死ぬ希望よりも・・・・・・・生きる絶望を選んでほしいの・・・・・・・・』



『それがカーチャンの・・・・・・・・・なによりの希望だから・・・・・・・・・・』
595 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 19:44:48.57 ID:HS4qNNHpO
( ^ω^)「・・・・・カーチャン・・・・・・・・・」


『絶望の中を生きて・・・・・・ブーン・・・・・・・』


『戦争が終われば・・・・・・・・・・・きっと・・・・・・・・・』


( ;ω;)「・・・うぅ・・・・・・・・・・・・」


ブーンの目から、涙が溢れてきた。

カーチャンに会えたから・・・・・・・?・・・違う・・・・・・

・・・・・・カーチャンの気持ちが伝わってきたから・・・・・・・



『ブーン・・・・・元気に生きて・・・・・幸せになってね・・・・・・・・』

カーチャンの声が、だんだん薄れていく。


( ;ω;)「カーチャン!!!待ってお!!!」
634 : ◆xJiyHZHPtM :2006/02/15(水) 20:57:16.46 ID:HS4qNNHpO
『じゃあね・・・・・・・・ブーン・・・・・・』


( ;ω;)「カーチャン!!!・・・・・・」


『ブー・・・ン・・・・・・・』


( ;ω;)「待ってお!!カーチャン!!行かないでお!!!僕も・・・・・・・・」


『だめよ・・・・・・・ブーンには・・・・・・ブーンが帰ってくるのを待ってる友達がいるわ・・・・・・・』


( ;ω;)「・・・・・・・・・・・・」


J( 'ー`)し「バイバイ・・・・・・・ブーン・・・・・・・・」


一瞬、カーチャンの顔が見えた気がした・・・・・・・
inserted by FC2 system