61 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:44:36.59 ID:aLfjg49y0
12月14日。ブーンが独房室でツンと会話を終えて眠りについたころ。
ジョルジュとしぃはニューソクシティー南西部にあるデパートの屋上でT.N.E.と闘っていた。

(*゚ー゚)「そいやっ!」

しぃの矢で貫かれた最後のクリーピングボックス(絡みつく箱)は地面に倒れた。

クリーピングボックスは四角い箱からカエルの脚のようなものが4本生えており、
ピョンピョン飛び跳ねて攻撃してくるT.N.E.である。

(*゚ー゚)「5体のクリーピングボックス全ての沈黙確認しました。」

ジョルジュはドールコマンドを止めた。

( ゚∀゚)「ふぅ。これで全滅か。じゃあ、本部に連絡するか。あんまり気乗りしないけどな・・・。」

(*゚ー゚)「・・・7人目の死体のことは残念だったわね。」

ジョルジュは悔しそうな顔をした。

( ゚∀゚)「・・・ああ。今度は鼻が無かったな・・・何か意味はあると思うんだが・・・。」

ジョルジュは携帯を取り出し、調和機構に連絡をした。
しばらく会話をしていたジョルジュの表情が急に真剣になった。

62 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:45:38.54 ID:aLfjg49y0
( ゚∀゚)「えっ!?ブーンが独房室に入れられた?」

(*゚ー゚)「えっ!?」

ジョルジュはしばらく話をすると携帯を切った。
不安そうにしぃがジョルジュの顔を見ている。

( ゚∀゚)「調和機構内で仲間を襲っている者達がいるらしい。
その者達がブーンとツンらしく今調和機構に捕まっているそうだ。」

(*゚ー゚)「そんなっ!?あの2人がそんなことするわけないじゃない!」

( ゚∀゚)「俺もそう思うぜ。」

(*゚ー゚)「ブーン達なら最近私達と一緒に行動していたことが多かったわよね。
いつそんなことしてたのよ。ってことにならない?」

( ゚∀゚)「そうだよな。明らかにおかしいな・・・。」

(*゚ー゚)「・・・おかしいわよね。」

( ゚∀゚)「よし、ここにいても埒があかない。調和機構の方へ直接行ってみようぜ。」

(*゚ー゚)「そうね。行きましょう。」

2人がデパートの屋上から去ろうとしたその時、すさまじい波動が2人を襲った。

63 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:46:51.08 ID:aLfjg49y0
( ゚∀゚)「な、なんだこの波動はっ!?」

(*゚ー゚)「ジョルジュ、地面に霧が!」

いつの間にか屋上の地面から霧のような靄が発生していた。
そして、その霧の中からゆっくりと巨大な白い立方体が現れた。
立方体のすべての表面には黒いラインが縦と横に2本入っている。
つまり1つの面が9つの正方形で構成されていた。
大きさ的には一般乗用車程度の大きさであったが、
白い立方体から発せられる禍々しい波動はジョルジュ達を恐怖させるには十分だった。

( ゚∀゚)「なんかどっかでみたゲームみたいな形だな。
だが、この波動はこの前のビッグアイと似ている・・・。嫌な予感がするぜ。」

ジョルジュは携帯で写真を撮ると調和機構に照合解析を依頼する。そして、結果が出た。
『照合解析完了。ミステリアスキューブ(不思議な立方体)の可能性90%。戦闘パターンはデータなし。』

( ゚∀゚)「ミステリアスキューブ・・・聞いたこともないぜ・・・まいったな。
戦闘パターンなしってことはかなりヤバイのと遭遇しちまったことになるな。」

(*゚ー゚)「どうする?」

( ゚∀゚)「ま、俺達はツンと違って非力だしな。逃げるが勝ちだぜ。」

(*゚ー゚)「そうね。離脱しましょう。」

ジョルジュ達はデパートに外付けされている非常階段から降りようとした。

64 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:47:32.63 ID:aLfjg49y0
その瞬間、ミステリアスキューブが黒いラインを境目に分裂した。
そして、無数の小さくなった立方体がジョルジュ達を襲う。

( ゚∀゚)「まずいっ!かわせ!」

ジョルジュとしぃは突っ込んで来た小さな立方体の攻撃を横っ飛びでかわそうとする。
しかし、ジョルジュは反応が遅れてしまい左脚を負傷してしまった。

( ゚∀゚)「ウグッ!」

ジョルジュ達に飛んでいった無数の小さな立方体は、
再び合体するとミステリアスキューブ(不思議な立方体)に戻った。

(*゚ー゚)「ジョルジュ!大丈夫!」

( ゚∀゚)「金属バットで思い切り脚を殴られたような衝撃だぜ・・・。
悪い、脚が折れたかもしれない。」

(*゚ー゚)「そう・・・ならやるしいかないわね。」

( ゚∀゚)「おまえだけでも逃げて欲しいんだけどな。」

(*゚ー゚)「そんなことはしないわよ。」

しぃはキッパリと言った。

65 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:48:30.72 ID:aLfjg49y0
ジョルジュとしぃはミステリアスキューブを睨みつける。

( ゚∀゚)「あいつは分裂して攻撃してくるのが基本パターンみたいだな。
えーと、3X3X3で27個の小さい立方体に分裂するわけか。」

(*゚ー゚)「私の矢で落とすにしても数が多すぎるわ・・・。
逃げながら1つずつ落としていくしかないみたいね。」

( ゚∀゚)「・・・そうだな。それしかなさそうだ。頼む。」

(*゚ー゚)「わかったわ。ドールコマンドお願い。」

ジョルジュはドールコマンドを発動した。しぃの体に黄色いオーラが溢れる。
しぃは屋上の外周をぐるぐると逃げ回りながら追いかけてくる小さい立方体を打ち落とすことにした。
外周を走るしぃを確認したミステリアスキューブは分裂した。無数の小さな立方体がしぃを襲う。
しぃは横っ飛びやジャンプしたりしながら小さな立方体の攻撃をかわし続けた。

(*゚ー゚)(数が多すぎてかわすので精一杯だわ・・・。)

攻撃をかわしながらなんとか隙を見つけたしぃが小さな立方体の1つに狙いを定めて弓を撃つ。

(*゚ー゚)「えいやっ!」

弓から放たれた矢が小さな立方体に当たった。

( ゚∀゚)「よしっ!」

しかし、無常にも小さな立方体はその矢をはじき返した。

66 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:49:40.97 ID:aLfjg49y0
(*゚ー゚)「えっ!?」

( ゚∀゚)(くッ、しぃの攻撃力が低すぎるのか・・・。
いちおうしぃのオーラが矢尻に込められてはいるんだが・・・。)

(*゚ー゚)(同じ立方体に何度も攻撃を与え続けるしかないわね。
でも、形が同じ上に数が多すぎてどれが同じかもわからない・・・。)

しぃは外周を走り続け、攻撃をかわし、弓を撃ち続けた。
しかし、ミステリアスキューブにダメージを与えられている様子は全く感じられなかった。

( ゚∀゚)「くそっ!どうすりゃいいんだ!このままじゃ全滅だぜ!」

そして、逃げ回るしぃに疲労があらわれ始めた。走る速度が徐々に遅くなっていく。
とうとうしぃは小さい立方体の攻撃を背中にモロにくらってしまった。地面に激しく叩きつけられるしぃ。

(*゚ー゚)「ウウゥッ!」

しぃは立ち上がろうとするがダメージが大きすぎて立ち上がれなかった。

(*゚ー゚)(これはマズイかも・・・。)

( ゚∀゚)「しぃっ!」

ジョルジュは左脚を引きずりながらしぃの所へ向かおうとした。

(*゚ー゚)「来ちゃだめっ!」
68 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:51:22.37 ID:aLfjg49y0
( ゚∀゚)「おまえだけ危険な目に合わせられるかよ!」

いつの間にか合体して元の形に戻っていたミステリアスキューブはしぃの真上に移動してきた。

( ゚∀゚)「くそっ、しぃを押しつぶす気か。ま、間にあわねえ!」

(*゚ー゚)(この一撃に全てを掛ける!)

しぃは地面に寝転んだまま仰向けになると弓を構え、
自分の真上に移動してきたミステリアスキューブに狙いを定めた。
矢尻に集まるオーラが限界に達する。

(*゚ー゚)「えいやあああああぁぁぁっっ!!!」

しぃが最後の力を振り絞って放った矢がミステリアスキューブに激突する。
しかし、ミステリアスキューブには傷1つつかなかった。

( ゚∀゚)「あれでも駄目なのか・・・。」

(*゚ー゚)「・・・さようなら・・・ジョルジュ・・・。」

仰向きになりながら顔を横を向けたしぃはジョルジュにニッコリと微笑んだ。
しぃに狙いを定めたミステリアスキューブがしぃに向けて落下を始めた。

( ゚∀゚)「しぃぃぃ!!!!!!!」
70 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:53:44.71 ID:aLfjg49y0
無意識のうちにジョルジュはドールコマンドを止め、右手の拳を右上に突き上げていた。
そして、その拳を左胸の前に移動させる。自分でもわからないが何度もその動きを繰り返した。
その瞬間、しぃの体から赤いオーラが溢れ出す。

( ゚∀゚)「!」

そして、しぃの両胸から2つの光線が発射された。
その光線はしぃに向けて落下してきたミステリアスキューブを貫通すると夜空に向かって駆け上っていった。
ミステリアスキューブは血しぶきの様なものを飛び散らせながらフラフラと空中を彷徨い、
倒れているしぃの上を通り過ぎると屋上のフェンスに激突し、そのまま動かなくなった。

( ゚∀゚)「し、しぃ!大丈夫か。」

脚を引きずりながらジョルジュがしぃの所にたどり着いた。

(*゚ー゚)「私は大丈夫・・・。でも、この力はいったい?」

ジョルジュは我に返り、自分が拳を上下に動かしていることに気づいた。

( ゚∀゚)(俺、何やってんだろ。)

ジョルジュは腕を振るのをやめた。その途端、しぃが纏っていた赤いオーラが消えた。

(*゚ー゚)「あ、赤いオーラが消えたわ。」

( ゚∀゚)「・・・まあ、とにかく俺達は助かった。細かいことは後でいいだろう・・・。」

(*゚ー゚)「そうね・・・。」

ジョルジュはその場で腰を落とすと倒れているしぃを抱きかかえた。

71 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:55:35.57 ID:aLfjg49y0
12月14日。ニューソクシティー南西部にあるデパートの屋上で、
ショボンは煙草を吸っていた。

(´・ω・`)「・・・7人目か。」

外周に張り巡らされているフェンス越しに空を見上げるショボン。
死体を調べていたモララーがショボンの元に戻ってきた。

( ・∀・)「死亡推定時刻は12月14日の深夜0時から3時くらいの間ですね。
今度の死体は鼻がありません。今までの犯人と同一犯と見てよいかと思います」

(´・ω・`)「左目、右目ときて、今度は鼻か・・・。」

( ・∀・)「被害者の誕生日は24歳で7月3日。カニ座です。」

(´・ω・`)「蟹食いてぇ。」

ショボンは呟いた。

( ・∀・)「えっ?」

(´・ω・`)「ああ、いや何でもないよ。そろそろお昼だしね。おなかが空いてきただけ。」

72 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:56:55.47 ID:aLfjg49y0
ショボンは煙草を携帯灰皿に入れた。

(´・ω・`)「カニ座は7番目の星座だね。24歳、星座。
この2つのキーワードは間違いなく意味があるだろうね。」

( ・∀・)「そうですね。」

(´・ω・`)「そういえばフェンスがへこんでる部分があったよね。あれは何なのかわかった?」

( ・∀・)「フェンスの破損具合からは大きな箱がぶつかったようにみえると鑑識は言ってますが。」

(´・ω・`)「大きな箱なんて屋上のどこにも落ちてないけどね。」

( ・∀・)「・・・そうですね。」

ショボンはへこんでいるフェンスに移動した。モララーも黙ってついていく。
ショボンは黙ってフェンスのへこみ具合を眺めている。

(´・ω・`)(そもそもこれだけの大きさの箱なんて何に使うんだろう。)

結局、何もわからなかったショボンはフェンスの向こう側をボンヤリと見た。

(´・ω・`)(被害者の年齢と星座がわかってもまだ範囲が広すぎる・・・。もう少し手がかりが欲しい。)

ショボンはポケットから煙草を取り出し、口にくわえた。
74 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:57:36.39 ID:aLfjg49y0
その時、何気に眺めていたフェンス越しの風景にある共通点を発見した。

(´・ω・`)「ああっ!!!」

ショボンはポロリと口から煙草を落とした。後ろにいたモララーが煙草を拾う。

( ・∀・)「どうしたんですか?」

落ちた煙草を拾ってショボンに渡すとモララーは言った。

(´・ω・`)「ニューソクセントラルタワーが見えるんだよ!」

( ・∀・)「えっ?ああ、そりゃまあここからは見えますね。
ニューソクセントラルタワーはニューソクシティーの中心にありますし。」

モララーはへこんだフェンス越しに見えるニューソクセントラルタワーを見た。

(´・ω・`)「6人目の死体の時もビルの屋上からニューソクセントラルタワーが見えたんだよ。」

( ・∀・)「と、言いますと?」

(´・ω・`)「ニューソクシティーの地図を持ってきて。」

( ・∀・)「あ、はい。」

モララーはニューソクシティーの地図を持ってきた。

75 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/28(日) 14:59:02.49 ID:aLfjg49y0
ショボンは地面に地図を広げるとペンで地図に×印を書き込みはじめる。
7つ目の×を書き終えた時点で口を開いた。

(´・ω・`)「この×印が死体の発見された場所だよ。よく見てごらん。」

( ・∀・)「あ、×印を結ぶと弧を描いているように見えますね。」

(´・ω・`)「うん、そうなんだよ。もっと厳密に言うとニューソクセントラルタワーを中心に、
死体の場所で円を完成させようとしているように見えない?」

ショボンはペンでニューソクセントラルタワーを中心に1つの円を描いた。

( ・∀・)「ああっ!!ほんとですね!!」

(´・ω・`)「つまり、次の8人目の被害者は24歳、しし座生まれ。そして、場所はこのあたり。」

ショボンは自分で描いた円の上を指差す。

( ・∀・)「・・・今北産業の本社ビル・・・ですね。」

(´・ω・`)「これでかなり絞れたような気がする。」

ショボンは結局、煙草を吸わずに箱に戻した。
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