151 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:50:39.24 ID:gfY5ZAXO0
12月13日。待機状態のブーンはホテルシベリアで原稿作業を行っていた。
冬の昼は短い。窓から見えていた明るい空はいつの間にか真っ暗になっていた。

( ^ω^)「いくら書いても終わらないお。年末進行はほんと地獄だお。」

ξ゚听)ξ「私も何か手伝ってあげようか?」

( ^ω^)「ほんと!助かるお!」

ξ゚听)ξ「で、何すればいい?」

( ^ω^)「じゃ、ちょっと缶コーヒー買ってきてお。」

ξ゚听)ξ「パシリかい!!」

( ^ω^)「喉乾いたんだけど、ちょっと今手が離せないんだお。」

ξ゚听)ξ「はいはい、わかりましたよ。」

( ^ω^)「あっ。」

ξ゚听)ξ「わかってますよ。一般人には見つからないようにコッソリ買ってきますよ。」

ツンは部屋を出て行った。

152 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:51:32.83 ID:gfY5ZAXO0
ツンがホテル内にある自動販売機で缶コーヒーを買って部屋に戻ると、
ブーンが電話をしていた。表情の真剣さからT.N.E.関係であることがうかがえた。
やがて携帯を切るとブーンはツンに言った。

( ^ω^)「T.N.E.が出たそうだお。場所は北にある建設中のビルのあたりだお。」

ξ゚听)ξ「えっ!じゃあ、急がないと。」

( ^ω^)「うんだお。準備しようだお。」

ブーンとツンは準備をするとすぐにホテルシベリアを出た。
建設中のビルに着いたブーン達はあたりを見回す。
まだ、工事が始まったばかりで鉄柱の骨組みしか出来ていない状態である。

( ^ω^)「もう真っ暗だから誰もいないお。」

ξ゚听)ξ「そういえば、誰から連絡あったの?」

( ^ω^)「兄者さんだお。」

ξ゚听)ξ「あら?索敵は今日もクーじゃなかったっけ?」

( ^ω^)「何か急用でシフトが変わったそうだお。」

ξ゚听)ξ「でも、兄者ってクーのいる索敵でも私としぃのいる遊撃でもないわよね。」

( ^ω^)「うん、兄者さんは隠密だお。でも、急用だから出ることになったって言ってたお。」

ξ゚听)ξ「ふーん。」

153 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:52:16.38 ID:gfY5ZAXO0
その時、鉄柱の影から兄者が現れた。手にはアタッシュケースを持っている。

( ^ω^)「あ、兄者さん、こんにちはですお。」

( ´_ゝ`)「・・・。」

挨拶はしたがブーンの頭に疑問が浮かぶ。

( ^ω^)「あれ?何でここにいるんですかお?あとは遊撃の僕達がやりますお。」

兄者はアタッシュケースを開けると黒装束を着た人形を取り出す。
その人形はまるで忍者のような格好だった。
アタッシュケースの中から出てきた弟者はブーンに言った。

(´<_` )「残念ながらここにはT.N.E.はいない。」

( ^ω^)「えっ?」

ξ゚听)ξ「・・・。」

(´<_` )「おまえ達を抹殺するためにここに呼んだ。」

(;^ω^)「ええっ!?」

ξ゚听)ξ「そんなことだろうと思ったわよ。隠密が無意味に動くわけないわよね。」

154 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:52:55.12 ID:gfY5ZAXO0
(;^ω^)「ちょ、ちょっと、抹殺って意味がわからないお?それは、調和機構の指示ってことかお?」

( ´_ゝ`)「・・・。」

(´<_` )「まあ、そういうことになるな。」

(;^ω^)「!」

ξ゚听)ξ「穏やかじゃないわね。まあ、返り討ちにすれば問題はないわよね?」

ツンは弟者を睨みつけた。

(´<_` )「安心しろ、すぐに終わらせてやる。」

弟者は兄者を見た。兄者は紋章の描かれている手袋をはめた両手を軽やかに動かし始めた。
弟者に黄色いオーラが宿る。弟者は腰に装着されている2本の小太刀を両腕に持つとツンに突っ込んできた。

ξ゚听)ξ「ブーン、ドールコマンドよろしく!」

ツンはそう言うと大剣を鞘から抜き、弟者の小太刀の攻撃を受け止めた。
ガチンという金属音が鳴る。ブーンはその様子を見ながらすかさずドールコマンドを発動させた。
ツンの体から黄色いオーラが溢れ出す。

155 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:53:47.73 ID:gfY5ZAXO0
ξ゚听)ξ「一回ドール同士でガチで闘ってみたかったのよね。」

ツンの顔が笑顔になっていった。
ツンは小太刀の攻撃を受け止めていた大剣を振り回した。
弟者は後ろにジャンプすると空中でくるくると回転して着地した。

ξ゚听)ξ「身軽さが売りってわけね。」

ツンは着地した弟者に突っ込み、連続して大剣で突きを放つ。
しかし、弟者はその攻撃を全て紙一重でかわす。

(´<_` )(ビッグアイを倒しただけのことはあるな・・・。)

バックステップでツンとの距離をとった弟者は手裏剣を投げつけた。
しかし、ツンは大剣を盾がわりにしてすべて防ぐ。
そして、再び間合いを詰めたツンの斬撃が弟者の左腕を切りつけた。

(´<_` )(は、速い!)

黒装束が破れ、左腕の表面の部分も切れていた。
切れた隙間からは導線のようなものが少し見える。

(´<_` )「・・・。」

ξ゚听)ξ「どうしたの?すぐに終わらせるんじゃなかったの?」

156 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:54:43.05 ID:gfY5ZAXO0
(´<_` )(これは予想以上だ。長引かせると面倒だな。)

弟者は兄者に言った。

(´<_` )「兄者、レリック発動だ!一気に終わらせる!」

( ^ω^)「レリック?」

ξ゚听)ξ「レリックって何よ?」

(´<_` )「すぐにわかる。そして、すぐに終わる。」

兄者は指揮者のような両手を動かす動きをやめ、
パソコンのキーボードを叩くような動きに変えた。
その瞬間、弟者のオーラが赤くなった。そして、ブーン達にすさまじい波動が伝わる。

(;^ω^)「な、なんだお、この感覚は・・・。」

ξ゚听)ξ「さっきとは全く別人のような強さを感じるわ・・・。」

(;^ω^)「ああっ!こ、これはビッグアイの時の感覚かお??」

(´<_` )「さて、行くぞ。」

157 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:55:55.49 ID:gfY5ZAXO0
弟者がツンに向かって突っ込んでいく。そのスピードは先ほどとは比べ物にならない。

ξ゚听)ξ(は、速い!)

ツンは咄嗟に大剣を盾代わりにする。

(´<_` )「遅い。」

ξ゚听)ξ「えっ!?」

弟者はツンの後ろにいた。そして、小太刀でツンの背中を斬る。
ツンはすかさず前方に飛び込み前転をして地面をゴロゴロと転げまわった。
すぐに立ち上がったツンの背中は斬られていた。背中から血のようなものが流れている。

(;^ω^)「ツン!」

ξ゚听)ξ「大丈夫よ。かすっただけ。」

(´<_` )(あれをかわしたか。このまま接近戦でちょこまかと逃げられるのは面倒だな・・・。
ツンはパワータイプだけにうっかり一撃もらうのもまずい。確実にいくか。)

ξ゚听)ξ「どうやらレリックっていうのは単に能力が爆発的に上がるだけってみたいね。」

(´<_` )「それだけではないがな。」

(;^ω^)(弟者のあのすさまじい波動はビッグアイのものと似ていたお。
つまり、それほど弟者の能力が上がっているってことだお。このままではまずいお。)

158 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:56:26.94 ID:gfY5ZAXO0
弟者はツンと距離をとると手裏剣で牽制攻撃をはじめた。
ツンは手裏剣の攻撃を全て大剣で弾き飛ばした。

ξ゚听)ξ「フン、何よ。急に攻撃がしょぼくなったわよ。」

( ´_ゝ`)「・・・。」

無言でキーボードを叩く動きをしている兄者。

(´<_` )「・・・。」

牽制攻撃を続行している弟者。

(;^ω^)(なんだかわからないけど遠距離から手裏剣投げるだけならなんとかなるお。
接近戦はあっちの方が分がある感じだお。今のうちに打開策を考えるお。)

ブーンは急に消極的になった弟者の攻撃に不安を抱きながらも打開策を考えていた。

ξ゚听)ξ「イライラするわね!こっちから行くわよ!」

ツンが牽制攻撃に耐えられずに弟者に突っ込んでいった。

(´<_` )(そろそろだな。)

159 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:58:26.51 ID:gfY5ZAXO0
弟者は動かずにツンの攻撃を待っていた。

ξ゚听)ξ「もらったあああ!!!!」

ツンは弟者の頭上から大剣を振り下ろそうとした。
しかし、その瞬間ツンの全身にオモリが付けられた様な感覚が生じた。

ξ゚听)ξ「え!?」

ツンは大剣を振り下ろすことができず、その場に立ち尽くすと大剣を落としてしまった。

ξ゚听)ξ「か、体が重くてう、動けない・・・。」

(;^ω^)「ツ、ツン!」

(´<_` )「OKOK、終わりだな。」

( ´_ゝ`)「・・・。」

無言でうなづく兄者。

(;^ω^)「な、なんだお!?何が起こったんだお???」

弟者は何もしていないのにツンは体が動かせないようだった。
ブーンには何が起こったのかわからない。

160 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 18:59:43.78 ID:gfY5ZAXO0
(´<_` )「これが我ら流石兄弟のレリック『流石なる兄弟の絆(ブラザービート)』だ。
これは、兄者と弟者である俺を結んだ直線上に存在している物体に対する重力を変化させることができる。
重力変化の度合いは直線上に存在する時間に比例する。今、ツンの体は鉛のように重いはずだ。」

(;^ω^)「???」

(´<_` )「レリックとは単に能力が爆発的に上がるだけではない。
ドール固有の能力を発動することができるのだ。」

(;^ω^)「ぼ、僕はそんなの使えないお。」

(´<_` )「それはおまえがまだ未熟なだけだ。」

(;^ω^)(そ、そうか。だから牽制攻撃をして距離を稼いで兄者と弟者を結ぶ直線上に、
ツンがいるようにしてたのかお。)

(´<_` )「さて、では終わるとしよう。」

弟者は小太刀を構える。動けないツンは弟者を睨みつけている。

(´<_` )「さらば。」

弟者はツンの左胸に小太刀を突き刺そうとした。
しかし、ツンは力を振り絞り微妙に動いて心臓への一撃はかろうじてかわした。
小太刀はツンの左腕にぐさりと刺さる。
ツンの左腕を貫通した小太刀の刃から血のようなものが滴り落ちる。

161 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 19:01:16.48 ID:gfY5ZAXO0
ξ゚听)ξ「ウグゥッ!」

(;^ω^)「ツ、ツン!」

ブーンは思わずツンの側に駆け寄ろうとした。

ξ゚听)ξ「来ないで!ドールコマンド続行よ!」

(´<_` )「まだ動けるのか。驚いたよ。」

ξ゚听)ξ「こんなものハンデよ。ハンデ。」

痛みに顔を歪めながらもツンは言った。

(´<_` )「だが、これで本当に終わりだ。」

弟者はツンの左腕に刺さった小太刀を抜くと、ツンの肩を左手で抑えた。
そして、左胸に小太刀を突きつける。

(´<_` )「強がりもここまでだな。これでもう逃げられまい。」

ξ゚听)ξ「くっ。」

(;^ω^)(くそお!!!僕に力があれば、僕にもっと力があれば!!!レリックが僕にも使えればこんな奴ら!!!!)

162 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 19:02:54.14 ID:gfY5ZAXO0
ブーンがレリックの力を心の底から欲したとき、ブーンは無意識のうちに両手を水平に伸ばしていた。
その瞬間、ツンの体から赤いオーラが溢れ出した。

(´<_` )「こ、これは!」

ツンは急に自由になった体に戸惑いながらも小太刀を持っている弟者の腕を掴むと、
もう片方の手で弟者を殴りつけた。

ξ゚听)ξ「どっせええええいいいい!!」

吹っ飛んだ弟者は建設中のビルの鉄柱に激突した。
ゆっくりと立ち上がると弟者はツンを凝視する。

(´<_` )「極限状態の中でブーンがレリックに目覚めてしまったのか・・・。」

( ´_ゝ`)「・・・。」

ξ゚听)ξ(すごい!自分の体じゃないみたいに力が溢れているわ・・・。)

ツンは地面に落とした大剣を拾うと弟者に向かって構えた。

( ^ω^)「ツンの体から弟者と同じ赤いオーラが出てるお・・・。これがレリックの力かお・・・。」

(´<_` )「兄者!ブーン達がレリックの力を使いこなす前にこいつらを片付ける!」
164 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 19:03:58.92 ID:gfY5ZAXO0
( ´_ゝ`)「・・・。」

兄者は無言でうなづき、パソコンのキーボードを叩くような動きをしている。
弟者は無数の手裏剣をツンに投げつけた。

ξ゚听)ξ「そんなもの痛くも痒くもないわよ!」

ツンは手裏剣をすべてかわすと弟者に突っ込む。

( ^ω^)「ツ、ツン!弟者と兄者の間に入っちゃ駄目だお!」

ξ゚听)ξ「わかってるわよ!」

ツンは兄者と弟者を結んだ直線上には移動しないように弟者との距離を詰めた。

(´<_` )(我々のレリックはネタがばれてしまうと対策されてしまうのが弱点の1つ。まずいな。)

弟者は距離を離して戦いたいがレリックを発動したツンの動きが速すぎて距離を離すことが出来ない。
逃げる弟者と追うツンという構図になっていた。しかし、ツンは徐々に弟者を追い詰めていった。
フェイントなどを混ぜていったツンはとうとう壁際に弟者を追い詰めた。

ξ゚听)ξ「もらったあぁああ!!」

(´<_` )「くっ。ここまでか。」

ミ,,゚Д゚彡「やめろ、ツン!」

突然現れたフサギコが叫んだ。

165 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 19:05:40.15 ID:gfY5ZAXO0
ξ゚听)ξ「えっ!?」

ツンは動きを止めるとフサギコの方を見た。
そこにはフサギコに拳銃を突きつけられたブーンがいた。

ミ,,゚Д゚彡「残念だよ。まさか君たちが調和機構のメンバーを襲っていた犯人とは・・・。」

フサギコは悲しそうな顔をした。

(;^ω^)「フ、フサギコさん!ち、違いますお!僕達が襲われたんですお!」

ミ,,゚Д゚彡「ブーン、話は三村戦術作戦局長から全て聞いているよ。
最近、調和機構のメンバーを襲っている者がいるらしいとね。
そこで私が調査するように三村戦術作戦局長に頼まれたんだ。まさか君達が犯人だったとは・・・。」

(;^ω^)「だ、だから違いますお!」

166 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金) 19:06:12.38 ID:gfY5ZAXO0
ξ゚听)ξ「何言ってるのよ!私達は襲われたんだって!こいつらに!あんたらも何か言いなさいよ!」

ツンは弟者と兄者に言った。

( ´_ゝ`)「・・・。」

(´<_` )「ブーンにここに呼び出されて来たら、いきなり襲われたんでびっくりしたよ。」

(;^ω^)「ちょwww。あんたらヒドスwww。」

ξ゚听)ξ「だから私達の話を聞いてっていってるでしょ!」

ミ,,゚Д゚彡「詳しい話は調和機構で聞こう。全員来てくれ。」

フサギコの乗ってきた車に全員が乗ると車は調和機構へ向かった。
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