- 48 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
22:49:32.41 ID:fxalm6I80
- 12月12日になったばかりの深夜。ツンがビッグアイと戦った日以降、
フサギコ達の捜索も空しくT.N.E.は発見されなかった。
ホテルシベリアのブーンの部屋に集まったジョルジュ、ブーン、ツン、しぃは今日も待機状態にあった。
ξ゚听)ξ「いつになったらリベンジできるのかしらね。」
ジョルジュは時計に目を落とした0時15分と文字盤は刻んでいた。
( ゚∀゚)「まあ、焦るな。俺の予想だとそろそろ出るはずだ。」
( ^ω^)「えっ!?なんでわかるのかお?」
(*゚ー゚)「法則のようなものが見えてきたって感じよね。」
しぃがブーンにウィンクした。
ξ゚听)ξ「こっちは完全回復してるからいつでもいいわよ。」
ツンは既に背中に装着されている大剣の柄を握った。
- 49 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
22:51:33.22 ID:fxalm6I80
- ( ^ω^)「で、法則のようなものってのは何かお?」
( ゚∀゚)「ああ、それは・・・。」
ジョルジュがブーンに説明しようとしたとき、ブーンの携帯が鳴った。
ξ゚听)ξ(なぜ着信音が赤いスイトピー?)
携帯で話した後にブーンはその場にいる全員にいった。
( ^ω^)「T.N.E.が出たらしいお。場所は南の方にある雑居ビルの屋上だお。」
( ゚∀゚)「よし、行くか!」
ξ゚听)ξ「燃えてきたわぁ。」
(*゚ー゚)「ツン、私がサポートするから思う存分戦ってね。」
ブーン達はホテルシベリアを出ると雑居ビルへ向かった。
- 50 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
22:53:24.52 ID:fxalm6I80
- 雑居ビルに到着したブーン達は外に設置されている非常階段に無断で入り込み、階段を駆け上る。
ツンが1番手でものすごいスピードで階段を上がっていく。
階段の屋上に到着したツンはあたりを見回す。
ξ゚听)ξ「さあ、リベンジよ!」
しかし、ツンの視界にいたのはブラックアイだけだった。4匹ほど空中を浮遊している。
ξ゚听)ξ「何よ。あんた達の親玉を探してるのに。」
ツンは拍子抜けた顔をしたが鞘から大剣を抜き、正眼に構えた。
(*゚ー゚)「ちょっと待って。こいつらは私達がやるわ。」
屋上に駆け上がってきたしぃがツンに声をかけた。
( ゚∀゚)「ビッグアイがでるかもしれないしな。体力は温存しておいた方がいいぜ。」
( ^ω^)「ツン、ここはジョルジュ達にまかせようだお。」
しばらく考え込んでいたがツンは大剣を鞘に収めた。
ξ゚听)ξ「そうね。ここはお言葉に甘えさせてもらうわ。」
- 51 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
22:55:22.27 ID:fxalm6I80
- ( ゚∀゚)「ドールコマンド(人形指揮)発動!」
ジョルジュが両手を軽やかに動かし始めた。しぃの体の周りに黄色いオーラが溢れ出す。
しぃは背中に装着されている弓をはずすと腰につけてある矢筒から矢を抜き、構えた。
(*゚ー゚)「えいやっ!」
しぃが掛け声と同時に矢を次々と放つ。
その矢は正確にブラックアイの中心部にある目玉を打ち抜いていった。
最後の1匹に矢が刺さると地面に落ちていった。
( ^ω^)「あいからず、すごい腕だお。」
ξ゚听)ξ「ありがとう。おかげで体力温存できたわ。」
(*゚ー゚)「どういたしまして。」
しぃがぺこりとお辞儀をする。
( ゚∀゚)「さて、これで終わりだといいんだがな・・・。」
( ^ω^)「そうだ。誰かまた殺されてるかもしれないお。探さないと。」
( ゚∀゚)「そうだな。手分けして探そう。屋上はそう広くないからもし何かあったらすぐにわかるだろう。」
ジョルジュ達は屋上の探索をはじめた。
- 52 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
22:57:25.70 ID:fxalm6I80
- ブーン達が屋上の探索をはじめてすぐにしぃがみんなに声をかけた。
その表情は悲しみに満ち溢れていた。
(*゚ー゚)「みんな、遅かったみたい・・・。」
しぃは水道タンクの上に覆いかぶさるように倒れている死体を発見した。
そして、死体の左目は抜き取られていた。
( ^ω^)「また、後手だったかお・・・。」
( ゚∀゚)「・・・次は何とかしたいところだな。」
ジョルジュが力なく言った。その時、すさまじい波動をブーン達は感じた。
ξ゚听)ξ「この感覚は・・・!!」
ブーン達の上空で霧のような靄が突然発生したかと思うと、
その中からゆっくりと巨大な黒い球体が現れた。
( ^ω^)「ビ、ビッグアイだお!!」
-
- 54 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
22:59:12.72 ID:fxalm6I80
- ( ゚∀゚)「よしっ!俺達が援護する!ブーン、ツン頼んだぜ!ただし、絶対に無理はするなよ。」
( ^ω^)「わかったお!」
ξ゚听)ξ「任せなさい!!」
( ^ω^)「ドールコマンド(人形指揮)発動だお!」
( ゚∀゚)「ドールコマンド(人形指揮)発動!」
しぃとツンの体に黄色いオーラが溢れ出した。
しぃは屋上のフェンスの上に立ち、弓を構えた。
ツンは地面で大剣を正眼に構え、空から降りてくるビッグアイを待ちかまえている。
屋上の地面スレスレまで降りてきたビッグアイはいきなりその巨大な瞳を開いた。
ξ゚听)ξ「もうその手は読めてるのよ!」
ツンはビッグアイの目から放たれた光線をかわすとすかさず横から回り込む。
ξ゚听)ξ「どっせええええぇえい!!」
大剣をビッグアイの上から振り下ろす。
しかし、ビッグアイは高速で移動し、その攻撃をかわした。
- 55 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
23:00:02.63 ID:fxalm6I80
- ξ゚听)ξ「あいかわらず、チョコマカと動くわね。だけど、今日は一味違うわよ。しぃ、お願い!」
(*゚ー゚)「はいはーい。」
しぃがビッグアイの移動先を読んで矢を放つ。
しかし、ビッグアイは急停止や逆方向に進むことで矢の攻撃をかわした。
( ゚∀゚)「はー、デカイ玉のわりにはほんと器用に動くな。」
両手を動かしながらジョルジュは感心していた。
一方、闘いをずっと眺めているブーンは何か違和感のようなものを感じていた。
( ^ω^)(何かおかしいお・・・。)
その違和感はすぐに現実となる。
しぃがある程度パターン化した方向に矢を放つことでビッグアイの動きは制限されていた。
当然、そのことを理解しているツンはビッグアイの動きを先読みすることができた。
そして、とうとうツンの斬撃がビッグアイを横薙ぎに切り払おうとした。
ξ゚听)ξ「もらったああああぁあっ!!!」
しかし、その瞬間ビッグアイは消えた。そして、ツンの真後ろから現れると高速で体当たりしてきた。
ξ゚听)ξ「ウグゥッッ!」
ツンはビッグアイの体当たりをモロにくらい吹っ飛ばされる。
そして、屋上の入り口に激突した。
- 56 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
23:01:07.54 ID:fxalm6I80
- ( ^ω^)「ツ、ツン!」
ブーンは両手の動きが一瞬止まりそうなった。
しかし、ツンは大剣を杖がわりにしてよろめきながら立ち上がる。
そして、ブーンに力強く言った。
ξ゚听)ξ「ドールコマンド(人形指揮)続行よ!」
( ^ω^)「う、うんだお。」
ブーンは戸惑いながらもドールコマンド(人形指揮)を続行した。
ξ゚听)ξ「面白くなってきたじゃない。」
満身創痍ながらもツンの顔は笑顔になっていった。
( ゚∀゚)「消えるとは聞いていたけど実際に見るとキツイなこりゃ。」
( ^ω^)「あれにはきっと何かカラクリがあるんだお・・・。」
ブーンは両手を動かしながらもずっとビッグアイ攻略を考えていた。
- 57 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
23:04:37.97 ID:fxalm6I80
- ツンは先ほどのダメージからか徐々に動きにキレがなくなっていった。
しぃの矢の援護がなければもうやられていたかもしれない。
明らかに手数の減っているツンを眺めていたジョルジュはブーンに言った。
( ゚∀゚)「ブーン、このままで大丈夫か?やばそうだったら退却もありだぜ。」
( ^ω^)「・・・。」
ブーンはジョルジュの声も聞こえないくらい集中していた。
ずっとビッグアイを睨んでいる。それこそ瞬きする間も惜しむように。
するとビッグアイが揺らいでいる瞬間がブーンの目に映った。
( ^ω^)(ん!?なんだお今のは・・・?そうか!!!)
ブーンはツンとしぃに牽制の攻撃の指示をはじめた。ビッグアイはその攻撃を全てかわす。
しかし、関係のない場所にある屋上のフェンスが微妙に軋んでいるのをブーンは見逃しはしなかった。
( ^ω^)(思った通りだお・・・。)
- 58 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
23:09:47.23 ID:fxalm6I80
- ( ^ω^)「ツン!今僕達の目に見えているビッグアイは偽ものだお!
本体は右斜め後ろにいるはずだお!見えないけれどそこに攻撃してみてだお!」
ξ゚听)ξ「わかったわ!」
ツンは残っている力を全て振り絞るとビッグアイの右斜め後ろの何も見えない空間を斬りつけた。
ξ゚听)ξ(手ごたえがあったわ!!)
何もない空間から血しぶきの様なものが飛び散るとツンの大剣で切りつけられたビッグアイが地面に落ちてきた。
( ゚∀゚)「ええっ!?何で何もないところからビッグアイが落ちてきたんだ??」
ジョルジュは驚いていた。
( ^ω^)「ビッグアイは空間の屈折率を変化させることで僕達の目には見えなかったんだお。
そして、本体が偽物の映像を投射していたみたいだお。」
( ゚∀゚)「じゃ、じゃあ何でそれがわかったんだ?」
( ^ω^)「元々ツンが見えるけどそこにはいないような気がするって言ってたのと
さっき偽物のビッグアイのまわりが揺らいで見えたんだお。あれは投射していた映像が揺らいだと思ったんだお。」
( ゚∀゚)「ふむふむ。」
- 59 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
23:11:07.50 ID:fxalm6I80
- ( ^ω^)「で、次に本体がどこにいるかを確かめるために牽制攻撃をしてもらったんだお。
案の定関係ないところにあるフェンスが軋んだりしてたので場所は推測できたお。
偽物が攻撃される瞬間に本体が偽物を消す。
そして、隙が出来たときに本体が攻撃を行うっていうの戦闘パターンだったみたいだお。」
( ゚∀゚)「なるほど。ブーンやるなあ。」
ジョルジュは感心していた。
(*゚ー゚)「ターゲット沈黙確認しました。」
ビッグアイの動向をチェックしていたしぃがブーン達に伝えた。
ξ゚听)ξ「リベンジ完了!」
仁王立ちで大剣を地面に突き刺すとツンは言った。
- 60 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/25(木)
23:12:14.58 ID:fxalm6I80
- ( ^ω^)「なんとか勝てたお・・・。」
( ゚∀゚)「それにしてもビッグアイを倒すとはすごいなおまえら。」
( ^ω^)「何いってるんだお。ジョルジュとしぃの援護がなかったら勝てなかったお。ありがとうだお。」
( ゚∀゚)「いやー、でも実際に倒したのはおまえらだしなあ。まあ、お疲れさん。」
(*゚ー゚)「調和機構に連絡しておかないといけないわね。これはきっとみんな驚いてるんじゃないかしら。」
( ゚∀゚)「そうだな。連絡は俺がしておくぜ。後始末もやっておくから、ブーン達は先に戻ってゆっくり休んでくれ。」
( ^ω^)「ありがとうだお。」
ξ゚听)ξ「ありがとう。」
ジョルジュ達と別れたブーン達はホテルシベリアへ戻った。
- 80 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金)
01:09:11.85 ID:bSYjxpCV0
- 調和機構の会議室。真っ暗な部屋の中で球状のスピーカーが空中に浮遊している。
それぞれのスピーカーには番号が書かれていた。
(以下、Bは3と番号が書かれているスピーカーの発言を意味する。)
B「ブーンとツンがビッグアイを倒したというのは本当かね。」
C「はい、先ほどジョルジュから報告がありました。」
A「レリックを発動したんだろう。それしか考えられん。」
C「いえ、レリックは発動しておりません。それ以前にブーンはレリックを使えません。」
A「何だと!じゃあ、どうやってSクラスのT.N.E.を倒したというのだ!」
C「通常のドールコマンド(人形指揮)で倒したようです。」
A「信じられんな・・・。」
B「ツンのドールとしての能力が高いということではないかね。」
- 81 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金)
01:10:11.37 ID:bSYjxpCV0
- A「それでもレリックなしでSクラスのT.N.E.を倒すのは信じられんが・・・。」
C「ツンは荒巻博士の自慢の作品ですからね。何か秘密があるのではないでしょうか。」
A「荒巻博士か・・・あの変人が・・・余計なものを作りおって。」
B「そういえばツンは片方の目しか赤くないようじゃないか。
ドールマスターと儀式を行ったドールは両目が赤くなるんじゃないのかね?」
C「はい、通常『魂撃ち』と呼ばれるドールマスターとドールを結び付ける儀式を行った場合、
ドールの両目は赤くなります。片目だけが赤いという状況は普通はありえません。
これが何を意味するかは・・・荒巻博士にしかわからないと思われます。」
A「フン、どうせ荒巻がまた余計なことをしただけだろう。」
B「ツンを不良品扱いにして廃棄にはできんのかね。」
C「SクラスのT.N.E.を倒したドールを廃棄にすると他の者が怪しむと思われます。」
- 82 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金)
01:11:00.75 ID:bSYjxpCV0
- B「ふむ、これは早々に手を打ったほうがいいかもしれんな。」
A「なら、流石兄弟を使うか・・・。あいつ等ならブーン達の抹殺くらい簡単にやってくれるだろう。」
C「今彼らを使うのはどうでしょうか?」
A「なら他にどうすればいいんだ!このままじゃあ・・・。」
その時、1番のスピーカーの電源がオンになった。
ABC「一之瀬最高司令官殿、おはようございます。」
@「やあ、おはよう〜、と言ってもまだ夜中だけどね。遅れてごめんよ。ちょっとヤボ用があってね。
で、会議の内容は何、四谷君?」
C「はい、先ほどブーンとツンがビッグアイを撃破したという報告がありました。」
@「えっ!?ビッグアイ倒しちゃったの?レリック使えるんだっけ?ブーンって。」
A「いえ、ブーンはレリックを使えないようです。
その状態でビッグアイを撃破とは信じられませんが・・・。」
- 83 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金)
01:12:02.32 ID:bSYjxpCV0
- B「正直、我々ではどう対処してよいものか困っている次第であります。」
@「弐杉さんと三村さんは技術局長と戦術作戦局長なんだからもうちょっと堂々としちゃってよ。」
A「はぁ。と、言われましても・・・どうしたものか・・・。」
@「まあ、いいよ。この件はしばらく放置で。」
A「えっ!?そ、それはまずいのでは・・・。」
B「私もそれはまずいと思います。」
@「だって、ビッグアイ倒しただけでしょ?あいつがSクラスなのはその攻撃の特異性だけだからね。
カラクリ見破れば誰でも倒せるじゃん。」
C「いちおう流石兄弟を使おうという意見もあがっておりますが。」
@「そこまでやらなくてもいいよ。それに彼らは今、違う任務やってるし呼び出すのは駄目だよ。」
ABC「・・・。」
- 84 : ◆48/2rTdoiY :2006/05/26(金)
01:12:46.39 ID:bSYjxpCV0
- @「他に意見ある?なければブーンとツンは放置で。」
ABC「・・・。」
@「じゃ、今日の会議はこれまで。解散ね。」
1番のスピーカーの電源がオフになった。
C「では、そういうことになりましたのでこの件はこれで終わります。」
4番のスピーカーの電源がオフになった。
A「・・・納得できんな。」
B「私も同意だ。」
A「では、我々だけでも行動に移すことにするか。」
B「そうだな。うまくいけば一之瀬最高司令官殿も納得してくれるはずだ。」
2つスピーカーはその後、しばらく会話を続けていた。