5 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:46:57.55 ID:47nhLj770
『A’S DIARY』(荒巻の日記1)

○月×日

ついに妻が妊娠した。私達の愛の結晶とも言える存在がこの世に生まれるのだ。
妻の報告を受けた私はあまりの嬉しさに家を飛び出して町内を走り回ってしまった。
自分でもはしゃぎすぎたなと思ったが、家に帰ってきた私を妻は笑顔でやさしくを迎えてくれた。
妻の笑顔はいつ見てもかわいい。そしてその笑顔をみているだけで癒される。
私は本当に結婚をしてよかったと思う。


×月△日

妻の容態が日に日に悪くなってく。このままではお腹の中の子供共々、命が危ないそうだ。
原因は不明。今の医学では治すことができない難病らしい。
科学者である自分が妻に何もできないのは非常に歯痒く、辛い。
確かに科学は万能ではない。だが、自分の無力さをこれほど感じたこともなかった。


■月○日

今北産業から手紙がきた。妻を救うことができる薬品が完成するそうだ。
ただし、まだテストの段階なので副作用が起こる可能性もあるらしい。
そこで、投与するかどうかは我々の判断に任せることにするらしい。
藁にもすがる気持ちでその薬品を投与することにした。妻も快諾してくれた。
これでまた昔のような日々が戻ってきてくれることを私は祈った。

6 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:48:09.79 ID:47nhLj770
12月19日。調和機構の本部が倒壊して3日後。
ホテルシベリアの1室。ジョルジュとしぃは窓の外を眺めていた。
空から降ってくる真っ白な雪はニューソクシティーを白く染め上げていた。

( ゚∀゚)「雪が全然やまねえな・・・。」

(*゚ー゚)「これじゃあ、調和機構の瓦礫の中にいる生存者の捜索も厳しいわね・・・。」

( ゚∀゚)「ああ・・・。」

あれから3日経った、依然ブーンとツンの消息は不明だった。
ジョルジュとしぃはブーン達の無事を祈っていはいたが、この状況だとそれも絶望的だと思われた。
その時、部屋の中にショボンが入ってきた。

(´・ω・`)「いやー、雪が酷いよ。歩くのも大変。」

( ゚∀゚)「で、壊れた調和機構のビルの救命作業の方はどうだった?」

ジョルジュがショボンに詰め寄る。

(´・ω・`)「・・・ブーンとツンはまだ見つかってないみたい。
雪が降ってるから倒壊した今北産業ビルの救命作業の方も難攻しているんだよ。」

( ゚∀゚)「・・・そうか。」

7 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:49:23.86 ID:47nhLj770
ショボンは煙草を取り出したが、すぐにポケットに戻した。

(´・ω・`)「おっと、煙草は駄目だったんだよね。」

( ゚∀゚)「すまないな。煙草の煙は人形にはあまりよくない。匂いもつくしな。」

(*゚ー゚)「すみません。」

(´・ω・`)「いやいや、こっちこそごめんよ。」

(*゚ー゚)「コーヒー買ってきます。」

しぃは部屋を出て行った。

( ゚∀゚)「しかし、いいのかい?警察が調和機構に手を貸しても。
って言っても調和機構はもう機能してないけどな・・・。」

(´・ω・`)「ああ、構わないよ。ブーンは僕の命の恩人だし、
それに・・・今は連続殺人事件を解決するのが先決だよ。
君は調和機構の情報を話す、僕は警察の情報を話す。これでイーブンだ。」

( ゚∀゚)「そうだな。お互い持てる情報は出し合っていこう。」

(´・ω・`)「うん。じゃあ、さっそく話し合おう。
僕は被害者の年齢と星座と場所の関連性を考えてるんだよ。」

( ゚∀゚)「俺は殺害が行われた日について考えていることがあるんだ。」

ショボンとジョルジュは会話を始めた。

8 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:50:22.12 ID:47nhLj770
そこは窓も何もない真っ暗な部屋だった。
そして、そこにはメイドの服を着た人形が1人、ポツンと座っていた。
黙って虚空を眺め、ピクリとも動かない。

(*゚∀゚)「・・・。」

その時、ゴゴゴという音が鳴りドアが開いた。
外からの光が真っ暗な部屋を明るく照らす。
ドアを開けて部屋に入ってきたのはドクオだった。
顔が青白く、足元がふらついている。明らかに衰弱しているようだった。

('A`)「・・・。」

(*゚∀゚)「ドクオっ!大丈夫なの!」

('A`)「ううっ、す、すまない、つー。」

(*゚∀゚)「一体何がどうなってるの?」

('A`)「・・・何故かはわからんが奴の洗脳が解けた・・・。
だが・・・・またいつ洗脳されるか・・・・わからない。
・・・今のうちにおまえだけでも・・・逃げろ。」

ドクオは苦しそうに話を続ける。

(*゚∀゚)「で、でも・・・。」

9 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:51:15.05 ID:47nhLj770
('A`)「い、いいから行け・・・時間がない。
そ、そしてこの手紙をブーンに渡せ・・・。」

ドクオは手帳から破られたような紙切れをつーに渡した。

(*゚∀゚)「わ、わかったわ!きっとすぐに助けにくるからね!」

つーは手紙を握り締めると部屋から走り去った。

('A`)「た、頼んだぞ・・・。」

ドクオは走り去るつーを眺めていた。その瞬間、頭に激痛が走る。

('A`)「う、うがあぁぁぁ・・・!!!あ、頭が割れる!!!!
せ、洗脳がはじまったか・・・!!!」

ドクオは頭を抑えてその場にうずくまった。

10 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:52:45.36 ID:47nhLj770
しぃがホテル内の自動販売機で買ってきたコーヒーを飲みながら、
ショボンとジョルジュは話を続ける。

(´・ω・`)「つまり、僕たちの情報をあわせるとこうなる。被害者は24歳で星座の順番に殺されている。
そして、殺害された場所を結ぶとニューソクセントラルタワーを中心として円を描くようになっている。
さらに、12月の偶数の日の0時から3時くらいの間に殺害が行われている。」

( ゚∀゚)「そんな感じだな。まあ、時間的なものは殺害してるのがT.N.E.で、
奴らの活動時間が夜ってのもあるんだけどな。」

(*゚ー゚)「でも、これでかなり絞れたわね。」

(´・ω・`)「そうだね。次は20日の0時から3時の間で場所は・・・ここになる。」

先ほどテーブルの上に広げたニューソクシティーの地図のある場所をショボンは指差した。

( ゚∀゚)「スプー公園か。」

(´・ω・`)「そう、あのスプーっていう変なデザインの彫像が飾ってある公園だね。」

(*゚ー゚)「今は21時頃だからあと少しね。」

( ゚∀゚)「索敵にいってるフサギコさん達が帰ってきたら全員揃うから、
もう少し細かい作戦を練ろう。アンノウンの可能性が高いからな。」

その時、部屋のドアが開きフサギコとクーが帰ってきた。

11 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:53:25.08 ID:47nhLj770
(*゚ー゚)「おかえりなさい。」

川 ゚ -゚)「ただいま。」

ミ,,゚Д゚彡「ジョルジュの話を聞いたところだと何も起きそうもないけど、
とりあえず索敵はしてきた。やっぱり何もいなかったよ。」

( ゚∀゚)「そうですか。やはり今日の深夜が臭いですね。
フサギコさん、これから対策会議やるんで一緒にお願いします。」

ミ,,゚Д゚彡「あ、ちょっと待ってくれ。」

川 ゚ -゚)「実は、奇妙な反応があったんだ。」

(*゚ー゚)「何?」

川 ゚ -゚)「T.N.E.は見つからなかったんだが、ドール反応があったんだ。」

( ゚∀゚)「ドール反応!?ツ、ツンのことか!?」

ジョルジュはクーに詰め寄った。

川 ゚ -゚)「いや、違う。実は、つーのような感じがしたんだ。」

(*゚ー゚)「つー!?」

( ゚∀゚)「な、なんだと!!!」

12 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:55:06.33 ID:47nhLj770
川 ゚ -゚)「索敵のために街中にばら撒いていたサーチオーラを回収しようとした時に、
一瞬だけドール反応があったんだ。だけど、サーチ時間の限界にきてたから一旦回収して休憩して、
それから同じところを調べたんだがもういなかった。」

ミ,,゚Д゚彡「クーが言うにはそのドール反応がつーのような感じがすると言ってるんだ。」

川 ゚ -゚)「一瞬だから私も確証はないんだが、多分つーだと思う。」

( ゚∀゚)「ってことはドクオはニューソクシティーのどこかにいるってことなのか・・・。」

(*゚ー゚)「その可能性は高そうね。」

しばらく黙って話を聞いていたショボンだったがジョルジュに話しかけた。

(´・ω・`)「ちょっとごめんよ。そのドクオさんってのがドールマスターで、
つーってのがパートナーである人形ってことでいいのかな。」

( ゚∀゚)「ああ、そうだ。で、何で俺達が驚いているのかというと、
ドクオは1年前に行方不明になったんだよ。」

(*゚ー゚)「パートナーであるつーも一緒にね。」

ミ,,゚Д゚彡「ドクオは、調和機構内の隠密というグループにいたんだが、
彼はその中でもトップクラスの能力を持っていた。その彼が1年前急にいなくなったんだ。」

川 ゚ -゚)「当然、捜索も行われたが見つかることはなかった。」

13 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:56:00.19 ID:47nhLj770
(´・ω・`)「なるほど、その彼のドールがなぜ今頃現れたのか・・・。」

( ゚∀゚)「こいつがドクオだ。」

ジョルジュは自分の手帳に挟んでいる写真をショボンに見せた。
そこには、ブーンとジョルジュとドクオとツンとしぃとつーが移っていた。
後ろの風景が川原でジョルジュが肉が刺さった串を持っていたのでバーベキューにでも行っていたようだった。

(´・ω・`)「あれ?なんで四谷さんがいるんだろう。」

( ゚∀゚)「四谷さん?そんな人いないぜ。」

(´・ω・`)「ええー、ここにいるじゃん。」

ショボンは写真のドクオを指差した。

( ゚∀゚)「えっ!?こいつがドクオなんだけど・・・。」

ミ,,゚Д゚彡「四谷さんというのは誰なんですか?」

(´・ω・`)「ああ、今北産業の四谷さんのことだよ。
この前、ちょっと捜査で聞きたいことがあって時間を作ってもらったんだ。」

( ゚∀゚)「ええっ!?四谷さんって四谷副司令官のことか?!」

14 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/02(金) 20:57:25.18 ID:47nhLj770
ミ,,゚Д゚彡「クー。」

川 ゚ -゚)「任せろ。」

クーはポケットから携帯端末のようなものを出し、操作をはじめた。

川 ゚ -゚)「調和機構の構成員リストをチェックしたが、
四谷という名前の人物は四谷副司令官しかいない。」

( ゚∀゚)「どーなってるんだ?四谷副司令官がドクオ???」

ミ,,゚Д゚彡「確かに四谷副司令官は人前には決して姿を現さないからな。
・・・確か人間恐怖症や人見知りが激しいとか顔に酷い怪我があるとか言う噂もあったな。」

(*゚ー゚)「そう言えば、四谷副司令官が副司令官になったのは1年前・・・。」

川 ゚ -゚)「・・・ドクオがいなくなった後だな。」

ミ,,゚Д゚彡「四谷副司令官は副司令官になる前は調和機構にいなかったから、
副司令官になったときはかなり話題になってたな。どこの馬の骨かわからない者が副司令官になるとは!
って弐杉技術局長と三村戦術作戦局長はかなりご立腹だったよ。」

(´・ω・`)「部外者である僕には特に意識しないで会ちゃったってことかな。」

( ゚∀゚)「・・・これは調べてみる必要がありそうだな。」
104 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/03(土) 16:28:38.10 ID:CwUv75eM0
『A’S DIARY』(荒巻の日記2)

△月▼日

薬の作用で妻の容態が良くなっていった。非常に喜ばしいことだ。
このままいけば子供を生むこともできるそうだ。毎日不安だった妻の顔に再び笑顔が戻ってきた。
いまさらながら平穏な日々の素晴らしさが身にしみた。


☆月○日

とうとう私達の子供が生まれた。驚くべきことに双子の姉妹だった。
2人分の名前を考えていなかった私達は、
女の子だったらツンデレという名前にするつもりだったのでそれを分けることにした。
姉がツン、妹がデレ。妻に似てとてもかわいい顔だ。
私には似なくてよかったなと思ったが少し寂しかったりした。


☆月◆日

また、妻の容態が悪くなってきた。子供を生んでから日に日に元気がなくなっていく。
毎日ツンとデレのことをよろしくと私に言う。そんなことは言わないで欲しい。
私達は家族4人でずっと一緒に生きていくのだ。
そして、妻が退院したら4人でピクニックに行くのだ。

105 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/03(土) 16:29:10.09 ID:CwUv75eM0
12月20日0時30分。スプー公園でジョルジュ達はT.N.E.と闘っていた。
それは、グリタリートライアングラープリズム(輝かしい三角柱)だった。
一般自動車程度の大きさで紫色のそれは、三角柱の三角の部分から目潰しの光を発する。

( ゚∀゚)「クソッ!こうビカビカ光られちゃあ。眩しくてしょうがないぜ!」

ミ,,゚Д゚彡「サングラスでも持ってくればよかったな。」

( ゚∀゚)「おまけにこうも雪が積もってちゃ動きにくい。」

ジョルジュとフサギコはドールコマンドを発動していた。
黄色いオーラを纏ったしぃとクーは輝かしい三角柱に攻撃をしていた。
しぃは弓矢で攻撃、クーは薙刀で斬りつけていた。

川 ゚ -゚)「目くらましの攻撃が面倒だ。一気に決める。しぃ、やつの動きを止めてくれ。」

(*゚ー゚)「わかったわ。」

しぃは矢を連続して輝かしい三角柱に撃つ。
しぃの矢は威力は低いが輝かしい三角柱は攻撃をかわそうとしたため、
動きが読みやすくなった。

川 ゚ -゚)「フサギコ!」

ミ,,゚Д゚彡「レリック発動!」

クーの体から赤いオーラが溢れ出る。

106 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/03(土) 16:29:37.65 ID:CwUv75eM0
輝かしい三角柱に向かってクーは突っ込んでいく。

ミ,,゚Д゚彡「『素直でクールな美しさ(クールビューティー)』発動!」

その瞬間がクーの体が3つに分身した。

川 ゚ -゚)「せいっ!」

3人のクーが薙刀で輝かしい三角柱を斬りつける。
3本の薙刀は美しい弧を描きながら輝かしい三角柱を切り裂いた。
血飛沫のようなものを撒き散らしながら輝かしい三角柱は地面に落ちた。

川 ゚ -゚)「ターゲット沈黙確認。」

( ゚∀゚)「フサギコさんもレリック使えるんですか。」

ミ,,゚Д゚彡「ああ、使えるよ。も、ってことはジョルジュも使えるのか。」

( ゚∀゚)「はい、最近ですけどね。使えるようになったのは。」

(*゚ー゚)「クー、すごーい。」

川 ゚ -゚)「しぃの援護のおかげだ、ありがとう。」

107 : ◆48/2rTdoiY :2006/06/03(土) 16:30:16.78 ID:CwUv75eM0
( ゚∀゚)「あれって分身も攻撃力を持ってるんですか?」

ミ,,゚Д゚彡「そうだ。3人とも本体で全く同じだ。
しかし、その分体力の消耗も3倍になる。
使いどころを間違えると体力がすぐになくなるってわけだよ。」

( ゚∀゚)(全部本物かよ。すげー、おっぱいが6個かよ・・・。)

(´・ω・`)「おーい。」

倒された輝かしい三角柱の向こうの方から雪をサクサクと踏みながらショボンが走ってきた。

(´・ω・`)「・・・残念ながら10人目の被害者を見つけたよ。」

( ゚∀゚)「・・・そうか。」

ミ,,゚Д゚彡「次は2日後の22日と思ってよさそうだな。」

(´・ω・`)「そうだね。僕達の推理はほぼ当たっていると思う。」

( ゚∀゚)「じゃあ、それまではドクオとつーを探した方がいいかもしれないな。」

(*゚ー゚)「そうね。」

川 ゚ -゚)「少し休息したら索敵を開始しよう。」

ジョルジュ達はスプー公園を後にした。
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