1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 21:59:20.19 ID:fxalm6I80
12月9日。ニューソクシティーのオフィス街のビルの間の路地で死体が発見された。
朝の通勤時間なので出勤するサラリーマン達がショボン達刑事を横目に歩いていた。

(´・ω・`)「これで今月に入って4人目かあ。」

ショボンは死体から離れてタバコを吸っていた。
肺から吐き出される煙を見ながらボンヤリと考え事をしている。
死体を調べていたモララーがショボンの元に戻ってきた。

( ・∀・)「死亡推定時刻は12月8日の深夜1時から3時くらいの間ですね。
こんな路地で死んでいたので発見が遅れたようです。
そして、今度の死体は左腕がありません。今までの犯人と同一犯と見てよいかと思います」

(´・ω・`)「まあ、左脚、右脚、右腕とくれば次は左腕だろうしね。」

( ・∀・)「しかし、毎回体の一部を切り取っているのはどういう意味があるんでしょうね?」

(´・ω・`)「さてねえ。サッパリわからないないよ。」

( ・∀・)「猟奇殺人犯の考えはわからないって感じでしょうか?」

(´・ω・`)「猟奇殺人とは言い切れないけどね。」

( ・∀・)「え?なぜですか?」

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 21:59:48.12 ID:fxalm6I80
(´・ω・`)「猟奇殺人犯だったら毎回違う場所を丁寧に切り取るなんてするかなあ。
脚フェチや腕フェチだったらずっと脚とか腕とかばっかり切ってそうだけど。」

( ・∀・)「はぁ、そんなもんですかねえ?」

(´・ω・`)「まあ、まだ予想だよ。これからもっと調べて真相を突き止めるのが僕達の仕事さ。
モララー君、もうちょっと調べてきてよ。」

( ・∀・)「はい、では行ってきます。」

モララーが再び被害者の死体を調べに戻った時、ショボンのところに1人の男が現れた。
手には缶コーヒーを2本持っている。

( ^ω^)「ショボン刑事。差し入れですおー。」

(´・ω・`)「・・・。」

( ^ω^)「あれ?どうしたのかお?熱いうちにどうぞですお。」

(´・ω・`)「大学時代の友人としての差し入れかネタ集め大好きな週刊誌のライターとしての差し入れかどっち?」

( ^ω^)「そりゃもちろん週刊誌のライターとしての差し入れですお。」

(´・ω・`)「・・・。」

( ^ω^)「うそだお。大学時代の友人としての差し入れだお。」

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:01:01.12 ID:fxalm6I80
そういとブーンはショボンに缶コーヒーを手渡した。
ブーンは缶コーヒーの蓋を開けるとグビグビと飲み始めた。

( ^ω^)「で、犯人の目星とかはついてるのかお?」

(´・ω・`)「うーん、ついてないねえ。」

( ^ω^)「またまたご冗談お。名刑事ショボンさんならもう犯人とかわかってるはずだお。」

(´・ω・`)「うかつなこと言うとまた君の雑誌に書かれるからなあ・・・。」

ショボンは困った顔をした。

( ^ω^)「いやいや、僕は読者のニーズに応えているだけだお。で、捜査状況はどんな感じかお?」

(´・ω・`)「いや、今回は真面目なところまだ何もつかめていないんだよ。」

( ^ω^)「・・・そうかお。」

(´・ω・`)「ただ、まだ犯行は終わらないだろうね。」

( ^ω^)「それは次の犠牲者が出るってことかお。」

(´・ω・`)「いや、それは何としても阻止したい・・・んだけどね。」

ショボンはタバコを携帯灰皿に入れて消すと、ブーンからもらった缶コーヒーを飲みはじめた。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:01:32.76 ID:fxalm6I80
缶コーヒーを飲んでいるショボンはブーンの横に置いてある、
アタッシュケースとスノーボードが入っているような皮のケースを見つけた。

(´・ω・`)「そういえばブーンは旅行にでも行くの?」

(;^ω^)「え?あ、ああこれは缶詰用の準備だお。」

(´・ω・`)「カンヅメ?」

(;^ω^)「これから年末進行で原稿を死ぬほど書かなきゃいけないからホテルに篭るんだお。」

(´・ω・`)「そのスノーボードみたいなのは?」

(;^ω^)「あ、えと、これはテーブルだお。家にあるテーブルでないと落ち着かないんだお。」

(´・ω・`)「ふーん。そうんなんだ。やけに小さいテーブルだね。」

(;^ω^)「ま、まあいいじゃないかお。小さくても。」

ブーンがしどろもどろになりながら説明をしているとモララーがショボンを呼びにきた。

( ・∀・)「ちょっと気になることがあるんですが見てもらえますか?」

(´・ω・`)「わかったよ。じゃ、行こうか。」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:02:38.61 ID:fxalm6I80
ショボンはブーンの顔を見る。

( ^ω^)「あ、僕もそろそろ行くお。」

(´・ω・`)「うん、じゃあね。」

ショボンは死体の方へ向かって歩き出そうとしたが、立ち止まりブーンに向かって言った。

(´・ω・`)「ああ、そうだ。1つだけわかってることがあったんだ。
死体の年齢がみんな同じなんだよね。職業とかはフリーターとかOLとか主婦とかバラバラだけど。」

( ^ω^)「・・・なるほど。ありがとうだお。」

ブーンはポケットから手帳を取り出すとショボンの情報を書き込んだ。

(´・ω・`)「コーヒーありがとう。それじゃまたね。」

ショボンはブーンの元を去っていった。

被害者の死体へ向かって歩くショボンの背中を見ながらブーンは呟いた。

( ^ω^)「警察の方はまだ真相は掴んでいないと見てもいいかお。」

その時、ブーンの横に置いてあるアタッシュケースの内側からドンという音がした。

(;^ω^)「ちょwww。こんなところで騒がないでおwww。」

ブーンはアタッシュケースと皮のケースを両脇に抱えると急いでその場を走り去った。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:03:13.45 ID:fxalm6I80
ホテルシベリアの1室に入ったブーンはベッドの上にアタッシュケースを置き、開けた。
中には黒いゴスロリの衣装を着た人形が入っていた。

ξ゚听)ξ「まったく、いつまでアタッシュケースの中に閉じ込めておくのよ。狭いったらありゃしないわよ。」

人形はブーンに向かって話し始めた。右目が真紅のように赤く、左目がエメラルドブルー。
俗に言うヘテロクロミア(虹彩異色症)だった。人形なのであまり気には止められないが。

(;^ω^)「ご、ごめんだお。ちょっとショボンから警察の動向を聞くのに時間がかかったんだお。」

ξ゚听)ξ「で、状況はどうなの?」

( ^ω^)「警察の方はまだ何も掴んでいないようだお。だから僕達は今まで通りに動くことにするお。」

ξ゚听)ξ「わかったわ。じゃあ、夜になったらT.N.E.を探し始めるということね。」

( ^ω^)「そうなるお。」

ξ゚听)ξ「今日の索敵は誰かしらね。」

( ^ω^)「さあ、まだわからないお。調和機構の方からはまだ何も連絡来てないお。」

ξ゚听)ξ「そう。」

( ^ω^)「まあ、夜になるまでは待機だお。」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:04:02.86 ID:fxalm6I80
ブーンはアタッシュケースからノートパソコンを取り出すと電源を入れた。

( ^ω^)「さて、今のうちに一気に原稿を仕上げないと年を越せないお。」

ブーンはカタカタと原稿を打ち始める。

ξ゚听)ξ「・・・ねえ。」

ブーンは夢中になって原稿を打ち続けている。

ξ゚听)ξ「ねえってば。」

( ^ω^)「ん?何かお?」

ξ゚听)ξ「遊ぼうよ。」

( ^ω^)「こっちは仕事で忙しいんだお。TVでも見てててお。」

ブーンはツンの方をむかずにひたすらノートパソコンのキーボードを打ち続けている。

ξ゚听)ξ「朝やってるTVなんて面白いのないんだけど。」

( ^ω^)「・・・。」

ブーンはツンを無視して仕事に集中した。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:04:26.19 ID:fxalm6I80
ξ゚听)ξ(まあ、しょうがないか・・・。仕事やりつつT.N.E.退治なんて大変だしね。)

しばらくはTVを見ていたツンだがやはり面白くないらしく、暇を持て余しだした。
やがてブーンの横にやってきて、ノートパソコンを覗き見していた。

ξ゚听)ξ「・・・クリスマスイヴに過ごすならこんなホテルがお勧め・・・。
ホテルシベリア・・・ってこのホテルじゃない。」

( ^ω^)「取材も兼ねてこのホテルを予約したんだお。そうでないと経費で落ちないお。」

ξ゚听)ξ「しっかし、こんなクリマスイヴの情報の原稿を書いても空しいわよね。
ブーンにはクリスマスイヴに誘う相手もいないみたいだし。」

( ^ω^)「・・・いるお。」

ξ゚听)ξ「え!?」

( ^ω^)「僕にだって誘う予定の人くらいいるお。」

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと誰なのよそれは!」

( ^ω^)「それは教えられないお。」

ξ゚听)ξ「ちょっと!教えなさいよ!」

ツンはブーンの襟首を掴んだ。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:05:06.00 ID:fxalm6I80
(;^ω^)「ウグググッ!く、苦しいお。」

ξ゚听)ξ「あ、ご、ごめんなさい。」

ツンは手を離した。ブーンは咽ている。

(;^ω^)「ツンは普通の人形じゃないんだからちょっと手加減しないと危ないお。」

ξ゚听)ξ「ごめんね。」

ツンは素直に謝った。息を吹き返し落ちついたブーンは言った。

( ^ω^)「まあ、もうすぐお昼だしご飯でも食べに行こうかお。
屋上のレストランはおいしくて景色もいいらしいお。」

ξ゚ー゚)ξ「うん!行きましょう。」

ツンは笑顔で応えた。

ξ゚听)ξ(なんかはぐらかされたような気もするけど・・・ま、いっか。)

2人は部屋へ出ると屋上のレストランへ向かった。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:05:22.75 ID:fxalm6I80
その日の夜、ブーンの携帯に連絡が入った。

ξ゚听)ξ(なぜ着信音が走れ正直者?)

( ^ω^)「はい・・・はい・・・わかりましたお。
では、T.N.E.を発見次第連絡をお願いしますお。」

ブーンは携帯を切った。

ξ゚听)ξ「どうだった?」

( ^ω^)「今日の索敵はフサギコさんみたいだお。」

ξ゚听)ξ「じゃあ、クーが索敵するのね。それなら安心かな。」

( ^ω^)「まあ、僕達はいつでも出発できるように準備しておこうかお。」

ξ゚听)ξ「そうね。」

ブーンは部屋の壁に立てかけてある皮のケースの側面についているチャックを下ろした。
ケースの中には巨大な大剣が鞘に収めれられていた。
とは言っても人形が持つサイズの大剣なので人間が持つとそれほど大きくは見えない。
ブーンは大剣をツンの背中に装着させた。

ξ゚听)ξ「燃えてくるわぁああ。」

( ^ω^)「あんまりやりすぎないようにだお。」

そう言いながらブーンは手の甲の部分に紋章が描かれている手袋をはめた。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:05:55.54 ID:fxalm6I80
ニューソクシティーのオフィス街にあるビルの屋上にフサギコはいた。
手にしたアタッシュケースを開けると中にはクーが入っていた。

ミ,,゚Д゚彡「さて、索敵をはじめようか。」

川 ゚ -゚)「了解した。」

黒いスーツを着たクーは屋上の真ん中あたりへ移動する。

ミ,,゚Д゚彡「じゃ、ドールコマンド(人形指揮)をはじめるよ。」

フサギコは手の甲の部分に紋章が描かれている手袋をはめた。
そして、精神を統一すると指揮者のように両手を軽やかに動かし始めた。
その途端、クーの体から青いオーラのようなものが溢れ出した。
それはゆらゆらと炎のようにクーのまわりで揺らめいている。

川 ゚ -゚)「索敵を開始する。」

クーのまわりで揺らいでいるオーラが複数の丸い塊となりクーの側から離れて空へ散っていった。
そして、クーはゆっくりと目を閉じた。
それからしばらく時間がすぎたがその間ずっとフサギコは両手で指揮者のような動きを続けていた。

川 ゚ -゚)「ニューソクシティーの10分の1の索敵が完了した。T.N.E.は確認できなかった。」

しばらくすると丸い塊のオーラがすべてクーの元へ戻ってきた。

ミ,,゚Д゚彡「よし、一旦休憩しよう。」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:06:27.76 ID:fxalm6I80
フサギコは両手の動きを止めるとその場に座り込んだ。
クーのまわりで揺らいでいるオーラも消えた。

ミ,,゚Д゚彡「もうすぐ0時か。とりあえず0時過ぎたら索敵を再開することにしよう。」

川 ゚ -゚)「了解した。」

空を見上げながらフサギコは言った。

ミ,,゚Д゚彡「それにしても何でT.N.E.は人間の体の一部を切り取ったりしてるんだろうな。」

川 ゚ -゚)「確かにそこは腑に落ちないな。T.N.E.は無差別に人間を殺しているだけの存在だと思っていたが。」

ミ,,゚Д゚彡「今までにないパターンだけに簡単に終わるとは思えないな。」

川 ゚ -゚)「そうだな。まずはT.N.E.を見つけないと話が進まない。」

ミ,,゚Д゚彡「ああ。」

腕時計を見たフサギコは立ち上がると再び両手を動かしはじめた。
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:07:19.29 ID:fxalm6I80
( ^ω^)「どうだお!10のスリーカードだお!」

ξ゚听)ξ「残念。私はAのスリーカードよ!」

( ^ω^)「ま、また負けたお・・・。」

ξ゚听)ξ「これで明日、私の新しい服を買ってもらうの決定〜。」

ツンが嬉しそうにはしゃいでいる。

( ^ω^)「ま、まあ約束だからしょうがないお。」

その時、ブーンの携帯の着信音が鳴った。

ξ゚听)ξ(なんで着メロが異邦人?)

( ^ω^)「もしもしブーンですお。はい・・・はい・・・わかりましたお。」

ブーンが携帯を切った。

( ^ω^)「フサギコさんがT.N.E.を見つけたそうだお。」

ξ゚听)ξ「場所は?」

( ^ω^)「ニューソクシティーの南の方にあるラウンジ商業会館のあたりらしいお。」

ξ゚听)ξ「よし、じゃあ行くわよおお!!」

ブーンとツンはホテルシベリアを出るとラウンジ商業会館に向かった。

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:07:47.64 ID:fxalm6I80
ブーンとツンはラウンジ商業会館に到着した。

ξ゚听)ξ「さて、どこにいるのかしらね。」

( ^ω^)「うーん、とりあえずは地道に探してみようだお。」

ξ゚听)ξ「じゃあ、まずはガレージあたりから調べましょうか。」

ブーンとツンはラウンジ商業会館の隣にあるガレージに向かった。
ガレージは4階建ての立体駐車場だったがツンはその3階あたりの方を見上げると声を上げた。

ξ゚听)ξ「いたわっ!行っくわよおおお!!」

ツンは立体駐車場に向かって全力で駆け出していく。
人形なのにそのスピードは人間よりも遥かに速い。まるで獲物を狙うライオンかのように。

( ^ω^)「ちょ、ちょっと慌てすぎだお。」

ブーンが急いでツンの後を追う。
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:10:07.79 ID:fxalm6I80
ブーンが立体駐車場の3階に行くと既にツンはT.N.E.と戦っていた。

( ^ω^)「あれは・・・ブラックアイ(黒い瞳)かお。」

ツンの戦っているT.N.E.はブラックアイ(黒い瞳)と呼ばれているT.N.E.だった。
バレーボールくらいの大きさの真っ黒な球体の表面に巨大な1つ目があり、
背中には鳥の羽が生えている不気味な生物だった。
実際のところ生物かどうかもわからないのだが。
わかっているのはどこからか現れては無差別に人間を殺すことだけ。
そのため、T.N.E.(The Natural Enemy:天敵)と人間が勝手に呼んでいる。

( ^ω^)(まあ、3、4匹くらいなら僕が何もしなくてもツンなら倒せそうだお。)

ブーンの予想通りツンは自分の体と同じくらいの大きさの大剣をものともせずに、
ブンブンと振り回してT.N.E.を次々と切り落していく。
ブーンがその様子を黙って見ているうちにツンは最後のブラックアイを横薙ぎに切り落した。

ξ゚听)ξ「全然手ごたえないわあ。こいつら弱すぎー。」

( ^ω^)「ツンが強すぎるだけだお。」

ξ゚听)ξ「まあねえ。」

ツンはニンマリと笑顔になった。

( ^ω^)「じゃあ、フサギコさんにT.N.E.殲滅完了の連絡するお。」

ブーンは携帯をポケットから取り出した。
その時、ブーンとツンは何か激しい波動のようなものを全身に感じた。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:10:23.49 ID:fxalm6I80
(;^ω^)「な、なんだお!この感覚!」

ξ゚听)ξ「何か来るわ!」

ツンは立体駐車場の端まで走り寄り、ラウンジ産業会館の屋根の上の方を凝視した。

ξ゚听)ξ「な、何あれ・・・?」

ラウンジ産業会館の上空に巨大な黒い球体が浮かんでいた。
大きさ的には一般乗用車程度の大きさであったが、
黒い球体から発せされる禍々しい波動はブーン達にも感じ取れた。
全身が凍りつくような感覚。じっとしているだけでも体中の力を奪われてしまいそうだった。

(;^ω^)(こいつはヤバイお!)

ブーンは本能的に危険を察知した。そして、携帯で写真を撮るとすぐさま調和機構に画像を送った。
しばらくするとブーンの携帯に返事が返ってきた。ブーンは焦る気持ちを抑えながら返事を読む。
そこには『照合解析完了。ビッグアイ(巨大な瞳)の可能性95%。戦闘パターンはデータなし。』と書いてあった。

(;^ω^)「ビ、ビッグアイ!mjdk!!!」

ξ゚听)ξ「ビッグアイって何?」

(;^ω^)「ビッグアイって言えば強さ不明のT.N.E.だお!
ブラックアイの親玉みたいな存在らしいけどまさかほんとにいるとは思わなかったお!」

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:10:42.23 ID:fxalm6I80
ξ゚听)ξ「へー。そんなのいるんだ。」

(;^ω^)「や、やば過ぎるお!に、逃げるお!」

ブーンはツンを小脇に抱えて逃げ出そうとした。
しかし、ツンは大剣の平の部分でブーンの顔を軽く叩いた。

(;^ω^)「い、痛っ!何するんだお。」

ブーンは立ち止まった。

ξ゚听)ξ「あれ強いんでしょ?私とどっちが強いかしら?」

(;^ω^)「いや、だから強すぎて強さがわからないT.N.E.だお!!
いくらツンでも無理だお!!さっきのブラックアイはアレに比べたら雑魚みたいなもんだお。」

ξ゚听)ξ「やってみないとわからないじゃない。」

(;^ω^)「駄目だおっ!一旦退却して調和機構の指示を仰ぐお。」

ξ゚听)ξ「ま、それでも私が戦ったらブーンは手を貸してくれるわよね?」

ツンはブーンの顔を眺めると満面の笑みを浮かべた。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:11:00.20 ID:fxalm6I80
ξ゚听)ξ「じゃ、よろしくね!」

ツンは立体駐車場の3階から飛び降りるとそのままラウンジ産業会館へと向かって走っていった。

(;^ω^)「全くいつも無茶するお。」

ブーンはツンの後を追うために立体駐車場の階段を降りていった。
ブーンがラウンジ産業会館に着くと屋根の上でツンとビッグアイが死闘を繰り広げていた。
屋根の上に上がる手段がないのでブーンは地上でその様子を眺めていた。

ξ゚听)ξ「どっせぇぇえええいいい!!」

ツンが大剣をビッグアイに向けて突き刺す。しかし、ビッグアイの動きは速過ぎて当たらない。

( ^ω^)「ツン!いくお!!」

ブーンがツンに向かって大声を上げた。

ξ゚听)ξ「ドールコマンド(人形指揮)よろしく!」

ブーンは精神を統一すると指揮者のように両手を軽やかに動かし始めた。
その途端、ツンの体から黄色いオーラのようなものが溢れ出した。
それはゆらゆらと炎のようにツンのまわりで揺らめいている。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:12:13.15 ID:fxalm6I80
ξ゚听)ξ(力が湧いてくるわ!)

ツンの動きが先ほどよりもさらに速く、そして斬撃には力強さが加わった。
両手を動かしながらブーンはツンの闘いを見ていた。

( ^ω^)(すごいお。ビッグアイと互角に戦ってるお・・・。)

ξ゚听)ξ「おおりゃあっ!」

ビッグアイは巨体ながらも高速に移動してツンの攻撃をかわしていたが、
とうとうツンの斬撃がビッグアイを捉えた。
ジャンプしたツンが上空から落下しながら繰り出した斬撃はビッグアイを縦に斬り裂いた。
ように見えた。しかし、その瞬間ビッグアイが消えた。

ξ゚听)ξ「えっ!?」

( ^ω^)「き、消えたお!?」

ツンは着地した後まわりをキョロキョロしていた。

ξ゚听)ξ「どこにいったのかしら?」

(;^ω^)「ツ、ツン後ろだお!」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:12:54.90 ID:fxalm6I80
突然、ツンの後ろに現れたビッグアイが大きな目を開いた。
すると目から極太のレーザー光線のようなものがツンに向けて発射された。

ξ゚听)ξ「・・・しまっ・・・」

光線をかわせないと悟ったツンはとっさに大剣を自分の前に盾代わりに屋根に突き刺した。
夜の闇を切り裂く一筋の極太の光線は数秒間、光を放つとゆっくりと消えていった。
そして、ビッグアイもゆっくりとその巨大な瞳を閉じる。
屋根の上にはボロボロになったツンが片膝を付いていた。
しかし、ツンはやわらかい光に包まれていた。

ξ゚听)ξ「・・・う・・こ、これは・・。」

(;^ω^)(DEFフィールドの展開が間に合ったお・・・。)

ξ゚听)ξ「そうか・・・ブーンがドールコマンド(人形指揮)で私に防御用のバリアを張ってくれた・・のね。」

片膝を付いて辛うじて踏みとどまっていたツンだったが、やがてその場で崩れ落ちるように倒れた。

(;^ω^)「ツ、ツン!」

ブーンはツンを助けたいが屋根の上にいるために行くことができない。
ビッグアイはしばらく浮遊した後、ツンを向けて再び大きな目を開いた。

(;^ω^)「ツ、ツン!目を覚ましてだお!」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 22:13:23.50 ID:fxalm6I80
その時、屋根から1体の人形が降りてきた。その人形はツンを背負っていた。

(*゚ー゚)「何とか間に合ったみたいね。」

(;^ω^)「し、しぃ!どうしてここに!・・・ってことは・・・。」

ブーンが後ろを振り向くとジョルジュが立っていた。

( ^ω^)「ジョルジュ!」

( ゚∀゚)「話は後だ。まずはここから離脱するぞ。」

( ^ω^)「う、うん。」

ジョルジュとブーン、そしてツンを背負ったしぃはラウンジ産業会館から逃げ去った。
ビッグアイはその後、ラウンジ産業会館の上空を浮遊していたが、
突然発生した霧のような靄の中に消えていった。
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