- 28
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 17:50:51.76 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「おーい起きろ、朝だぞぉ。ますたー」
( A )「……ぐー」
ξ゚听)ξ「ふむ………」
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
/ `´ \
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「これくらいかな? よし……てってってってっとうっ!」
実は初め彼女が揺さぶった時には、既に起きていた。
だが、俺は昨日が徹夜ということもあり、まだ寝ていたかったから、狸寝入りを決め込んだ。
それは、大きな間違いだった。
事前に回避できたはずだ。彼女の零した独り言は、この結果を暗示させるものだった。
ξ゚听)ξ「ますたー! おっきろーっ!」
その掛け声と共に、彼女はフライングボディアタックを決めたのだ。
なお、アンドロイドたる彼女の体重は、約120kgもある。
……全治2週間だそうだ。
- 30
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 17:55:04.80 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「喉が渇いたぞ」
('A`)「そうか」
ξ゚听)ξ「脱ぐな! 何で脱ぐ!?」
('A`)「やれやれ、そんな簡単な理由がわからないのか? お前は喉が渇いたと言ったな?」
ξ゚听)ξ「ああ、確かに言ったぞ」
('A`)「つまり、お前は俺のミルクが飲みたいというξ#゚听)ξ三つ#)'A`)「じゅっぺるば!」
(#)'A`)「なんていうかその、すみませんでした」
ああ、風が股間に心地良い。
脱衣は良いな、人類はみんな裸族になるべきだ。
(;'A`)「あっごめん、穿く、ズボン穿くから握りつぶさアッー!」
- 33
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:00:57.33 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「おい、馬鹿ますたー」
('A`)「なんだ?」
ξ゚听)ξ「ギャルゲの世界に憧れて私を作ったんだよな?」
('A`)「ああ」
ξ゚听)ξ「ふむ、では……おにぃちゃんっ!」
キミはもし仮に、釘宮ボイスでそんな言葉を掛けられたら、どんな反応をするだろう?
おにぃちゃんっ!だぞっ? にぃでちょっと伸ばすんだぞ? 語尾はちっちゃい"つ"だぞ?
究極魔法とか目じゃないくらい威力で胸をえぐるんだぞ?
俺の反応か? 俺は抱き絞める。有無も言わさず抱き絞めて、頭をグリグリする。
ξ*゚听)ξ「うえっ? うあっ……なっななななっ!!! 」
('A`)「好きだ、毎朝俺に味噌汁を作らせて下さい」
ξ////)ξ「ばっばか〜〜〜〜っ!」
良いボディブローだ。口から肝臓が出るかと思ったぜ。
- 34
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:03:40.74 ID:dJwIkEGv0
- ξ )ξ「あのな……」
('A`)「………おう」
ξ )ξ「白くてちょっと黄色いクリームが、口から溢れるほど食べたいぞ」
('A`)「ちょっと待ってろ」
ξ )ξ「なあ、もう我慢できないぞ。あの大きさは病み付きになる、はやく……はやく」
('A`)「だから、少し待てって」
ξ )ξ「ぜんぶ、零さず飲み込むからっ! なあ、頼む」
('A`)「……あー、ごめん、もうないや」
ξ゚听)ξ「ええっ!? シュークリーム食べたいッ!」
('A`)「ないんだから仕方ないだろ? ああもう、ほら、じゃあ買ってきてやるから待ってろ」
ξ*゚听)ξ「うむ!」
おい誰だ、エロいこと考えた奴。
ちょっとこい、なでなでしてやるぜ。
- 36
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:07:16.93 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「おい、ますたー。暇だな? 遊ぶぞっ」
彼女はどうやら、遊ぶことを覚えたらしい。
こういう欲をなんていうんだ? ともかく、勤勉の真逆の欲求だ。
といっても、彼女の遊びは可愛いモノで、毎日遊んでくれと俺にせがむようなレベルだ。
先日チェスを教えたが、再帰がある地点でスパコン並みの演算力を持つ彼女には勝てない。
量子コンピュータ持っているから、将棋も無理だな。
彼女の理性的成長は目を見張るものがある。
恐らく、俺の予想を遥かに上回り、あと数週間で彼女はもっと高次の理性を得るだろう。
……夜の遊びを教えてみようかなぁ。
ξ゚听)ξ「それで、何で遊ぶんだ? チェスか? トランプか?」
('A`)「なに? 貴様っ! 夜の遊びを教えてもらいたいといったのかぁ!」
ξ////)ξ「誰が言ったぁあぁあぁ!」
今日も平和だ。
- 38
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:09:59.31 ID:dJwIkEGv0
- ( ・∀・)「博士だって知っているだろう? 哲学的ゾンビは傍目からでは見分けがつかない」
('A`)「電気パターンは、人間と同じ反応を示しているな」
それでもだよ、と、彼は返して、一口ウィスキーを喉へ流し込む。
氷が冷たい音を立てて、グラスの空になった事を告げる。
俺はそれを確認すると、新しいビンを開けて彼のグラスへと注ぐ。
( ・∀・)「チューリング・テストをパスした所で、俺達はそれが本当にゾンビでないと証明などできやしないんだ」
('A`)「愚問だな、絶対確認できないなら、自分自身がゾンビでないと誰が証明できる?」
( ・∀・)「それは……」
答えに窮し、ばつが悪そうに彼はウィスキーを嚥下した。
俺は彼のグラスが机を叩くのを待って、言葉を繋げる。
('A`)「それと一緒だよ、つまりは、彼女がゾンビでないと誰が証明できると言うんだ?」
- 39
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:13:29.69 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「……暇だ」
('A`)「そうか」
手に持つ本のページをめくりつつ、彼女の会話を受け流す。
悪いな、読書中は静かに集中するのが俺のジャスティスなんだ。
彼女が完成しようとも、勉強はもはやルーチンワークのように毎日続けられている。
どうやら俺はワーカーホリック患者のように、何か知識を詰め込まないといられない体質になってしまったようだ。
その為、絶え間なくページをめくる紙の摩擦音が、静かな部屋を満たしていた。
ξ゚听)ξ「よくそんな読み方できるな」
('A`)「こっちの方が効率的だろ?」
返事をするが目は逸らさず、パラパラとめくるように文字全てに視線を通す。
一冊の本を2分程度で読み終えると、俺は次の本へ手を伸ばした。
ξ゚听)ξ「……で、暇なんだが」
ため息一つ、新しく開いた本を置き、彼女へと向かう合う。
そして、その肩を掴むと無理矢理パソコンディスクへと座らせた。
('A`)「エロゲでもやってなさい」
彼女が不満の声を撒き散らし暴れ出したのは、言うまでもない。
- 42
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:16:06.21 ID:dJwIkEGv0
- ネコミミは、良いものだ。だが、犬耳も捨てがたい。ウサ耳という手もある。
そもそもネコミミは、獣の備える野性味、子猫の備える愛らしさ。
そして! それらが人間の頭上で揺れるアンバランスさが、その少女の美しさを最大限まで引き出す究極に最も近いアクセサリーなのだ!
この判断を誤れば、俺は生涯苦悩するだろう。
――色、形状、着ける位置、角度。
角度は先を下に向けた、垂れ耳型と言うのはどうだろうか?
いや、王道的に大型で行くべきか?
髪の毛と同化したタイプも、また良い。う〜ん……
ξ゚听)ξ「おい、ますたー。何を悩んでいるんだ?」
('A`)「お前の拡張パーツ」
ξ゚听)ξ「おー。どれどれっ見せてみよ……なっ」
ξ#゚听)ξ「こんなもの着けるかぁっ、ばかぁ! へんたい! エロますたー!」
(#'A`)「てめぇ! ネコミミを侮辱するんじゃねぇ! せっかく随意神経を取り付けたんだぞこんにゃろぉ!」
ξ#゚听)ξ「し・る・かっ!」
- 43
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:18:07.21 ID:dJwIkEGv0
- ∧_∧
ξ゚听)ξ「にゃあ」
('A`)「っっっっっっしゃああぁあぁあああぁぁあぁぁああぁぁ!」
∧_∧
買プ听)ξ「にゃっ!?」
(*'A`)「いい、すごくいい!」
∧_∧
ξ゚听)ξ「ますたー、この耳に付属された言語プログラムってなんなのだ? にゃ」
('A`)「ああ、それか。気にするな」
∧_∧
ξ゚听)ξ「いや、流石に気になるだろう、にゃ」
('A`)「あー、やっぱ不自然だな、もうちょい修正を加えるべきだったか」
∧_∧
ξ゚听)ξ「さっきから語尾がおかしいぞっにゃ」
(*'A`)b「ナイスネコミミキャラ!」
∧_∧
ξ#゚听)ξ「は・ず・せ・にゃ!」
- 44
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:20:08.64 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「ますたー、流星群ってなんだ?」
そういや、もうすぐ流星群が訪れるとニュースで言っていたな。
興味津々でこちらを見つめる彼女に、俺は流星に関する科学的見地と一般常識を説いてやった。
一言告げるごとに、その瞳が興味の輝きを増した事は言うまでもない。
特に、三回願いを唱えれば、という迷信を彼女はいたく気に入ったようだ。
ξ*゚听)ξ「うむっ、私の機能を使えば、問題なく言えるぞっ」
俺の言葉を訊いて早口プログラムを組んだらしい、演算力を会話機能へ優先的に割り当てるだけの簡単なものだ。
そら、処理速度を上げたら早口になるだろうが、なんて原子的な……
('A`)「実行不可能だから成り立つ迷信なんだぞ?」
ξ゚听)ξ「?」
彼女に幾度か説明したが理解してくれず、やがて俺は説明を諦めた。
- 47
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:23:11.16 ID:dJwIkEGv0
- 電磁筋肉の磨耗が酷いと言われ、全身の点検も兼ねて交換作業を施す。
スリープモードに移行して強制的に眠る彼女は、可憐という言葉の似合う、安らかな寝顔を浮かべていた。
その綺麗な髪の乱れを手櫛で整え、手術台に付属した電燈に明かりを灯す。
当初、彼女をツンデレキャラにしようと画策したが、今やその性格は別ベクトルを目指している。
そしてそれは、目指したものではないにせよ、確実に理想的なキャラクターの一つだ。
正直、思考パターンへ与えた影響が、どれほど、どのような形で出るか分かったモノではなかった。
数体の失敗を乗り越え、その先に理想の彼女のが生まれるものだと、覚悟を決めていた。
そんな後ろ向きな予想を裏切って、俺の生んだアンドロイドは確実に、萌えキャラに向けて成長していた。
今、新たな命題に直面している。
彼女は、電気羊の夢を見るのだろうか?
頭部パーツを外し、シリコンで出来た電磁筋肉を付け替える今も、その疑問は頭から離れる事はない。
('A`)「腕はマッスルパッケージの交換で済むが、脚はダメだな。関節ごと廃棄して新装するしか……」
体重を支えるべき右膝の関節部分が破損して、バンパーオイルが漏れていた。
これでは不調なわけだ。
新しい膝関節を倉庫から持ってこようと振り返る、瞬間、何かが鼓膜を振るわせた。
ξ--)ξ「む〜ん………ますたー……」
それは夢の中で俺を呼ぶ、アンドロイドの可愛い寝言だった。
何かが胸を軽く締め付けるような、そんな感触が優しく襲ってきた。
- 48
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:27:10.53 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「ますたー」
('A`)「なんだ」
ξ゚听)ξ「いや、暇だったから呼んでみただけだ」
('A`)「そうか」
本を閉じて、次の本を手に取ろうと腕を伸ばす。
左には読み終えた本の山、右にはまだ読んでいない本が積まれている。いつもどおりの光景だ。
だが伸ばした腕は空を切り、指先が床を叩いて、既に次に読む本がない事を知らせた。
仕方なく、俺は立ち上がって、数日前発表された論文のコピーを手に取った。
確か、ミュオン内部構造に関する実験をまとめた論文だ。
インドの研究グループが発表したままの原文なので、すべてヒンディー語で書かれている。
少々読むのに時間がかかるな、まったく、逆方向に書かれると読み難くいことこの上ない。
ξ゚听)ξ「……ますたー」
('A`)「ああ? どうした?」
ξ゚听)ξ「いや、呼んでみただけだ」
心なしか最近、俺を無意味に呼ぶ事が多い気がしてきた。
なあ、そんなに暇か?
- 50
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:30:15.98 ID:dJwIkEGv0
- 流星群の日がついに訪れ、俺達は星が見える小さな丘へ登った。
街の灯りが空を照らし、それでも星達は人工の光に屈せず、燦然と輝いている。
望遠鏡だとか、星図板だとか、そういった類の物品は一切持ってきていない。
彼女の網膜素子はそんなものなくても見えるだろうし、超高密度分子メモリは記憶しているだろう。
俺はただ流れ星にはしゃぐこの子を見れれば、それでよかった。
ξ゚听)ξ「あっ! 流れ星!」
指さす方向を見れば、それは瞬く間に流れて摩擦の熱に消えた。
彼女は願いを唱えるなんてすっかり忘れているのか、その場で飛び跳ねんばかりにはしゃいでいる。
('A`)「おい、お前、願い事はどうしたんだよ?」
ξ゚听)ξ「ふんっ! 願い事は、心の中で言うものだッ」
彼女は振り返りながら、満面の笑みを浮かべていた。
ああ、何でタバコを家に置いてきちまったんだろうな。何かを誤魔化すにはもってこいだと言うのに……
そうだよ、萌えたんだよ悪いか?
- 52
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:32:43.06 ID:dJwIkEGv0
- ('A`)「なあ、お前って好き嫌い多いよな?」
ξ゚听)ξ「うっ……そうか?」
('A`)「とりあえず、野菜嫌いが酷すぎるぞ」
彼女の嗜好の幅が大きいのは、きっと思考ネットワークに行った介入の影響だろう。
俺が人間の思考ネットワークに手を加えたからこそ、そこに妙な影響が出たのだ。
その辺りの事情は、幾度か繰り返し、手探りでも異変を見つけなければならないだろう。
だが、彼女自身を組み変える事など出来るわけがなく、どうやら次のアンドロイドで試す他ないようだ。
('A`)「なあ、ピーマンは嫌いだろ? トマトは?」
ξ゚听)ξ「くっ……食えなくもないぞ」
('A`)「う〜ん、俺は小さい頃トマトだけは食えなかったんだが……なあ、俺の事はどうだ?」
ξ////)ξ「え? うえ? まっますたー? ますたーは、好きとかそんな……」
('A`)「俺はお前が好きだぞ」
ξ////)ξ「え? え? え? わっ私も、ますたーは好きだぞっ! 大好きだ!」
どうも、俺は彼女に随分と好かれているらしい。
だがそれは、創造主だからなのか、個人としての感情なのか、彼女に聞いた質問は余計に難易度を増した。
- 53
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/09(日) 18:35:10.45 ID:dJwIkEGv0
- ξ゚听)ξ「お腹すいた」
('A`)「それは新しい食後の文句か? ご馳走様の代用か?」
ξ#゚听)ξ「文字通りの意味だ!」
彼女は今しがた昼食を食べ終えたばかりである。
だと言うのに彼女は、フォークとスプーンを両の手に握り、今にも皿を叩かんと俺を睨んでいた。
なお、彼女がその小さな体に収めた食料は、カレー3杯と随分多い。
('A`)「おかしいな、廃棄燃料生成装置が壊れたか? あーだったら夕食抜いて後で点検しないと……」
ξ#゚听)ξ「ちがうっ! 私は食後のデザートを所望しているのだ!」
(#'A`)「てめぇ! それは勉強が終わってからだっていつも言ってるだろうがっ!」
ξ#゚听)ξ「やーだー、シュークリーム食べたい、ドラ焼きも食べたいっ!」
('A`)「あーあ、せっかバケツプリン用意してあったのに、わがまま言うなら俺が食べちゃおうかなぁ……」
ξ*゚听)ξ「今すぐ超特急でやってきます。わたし、勉強だいすきッ!」
そういって彼女はエロゲをするためにパソコンと向かい合った。
洗脳は順調に進んでいる。
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