6 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:15:35.42 ID:YzyyO7ZlO
デリータが我が国に搭載されてから、強制指導所に運ばれた人間は多くはない

(;^ω^)「……」

ブーンは冷静になって、足元のデリータを見る

後悔とまではいかないが、取り返しのつかないことをしたという焦りもあった

ξ;゚听)ξ「………国境越えって本気?」

(;^ω^)「国境越えってどうやるんだお?」

ξ;゚听)ξ「知らないわよ!なに!?そんな甘い覚悟でデリータ壊したの!!?」

(;^ω^)「だってだって君を助けたい気持ちしかなかったから……」

君の涙を見たら体が勝手に動いた、とは言えなかった

7 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:17:52.28 ID:YzyyO7ZlO
ξ゚听)ξ「……津村ツン」

(;^ω^)「へ?」

ξ#゚听)ξ「これから一緒に国境越えすんだから名前ぐらい知らなくてどうすんの!!?」

(;^ω^)「ヒィ!!」

ξ#゚听)ξ「ヒィじゃないわよ!!それがアンタの名前!!?」

(^ω^;≡;^ω^)「違……!!ブーンだお!!」

ξ゚听)ξ「ブーン……?名字が無いってことはこの国の生まれじゃないの?」

(;^ω^)「うん……東の方にあるクオリティー国生まれだお……」

ξ゚听)ξ「あら、じゃあレミング政策でこっち来たの」

(;^ω^)「レミング……?」
9 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:19:18.79 ID:YzyyO7ZlO
ξ;゚听)ξ「……アンタわけもわからずこの国に来たの?」

(;^ω^)「政府の人が家に来て隣国に移住しろって言われたことしか知らないお……」

ξ;゚听)ξ「……いい?アンタの家はレミング政策の対象にされたの」

(;^ω^)「レミング…?」

ξ゚听)ξ「レミング政策ってのは、国の食料不足対策に行われた政策よ」

( ^ω^)「ほぉほぉ」

ξ゚听)ξ「ランダムに選んだ家庭を他国に移住させるって政策よ。だからアンタはこの国に来たの」

( ^ω^)「んじゃ、クオリティー国にツンと帰るお!!」

ξ;゚听)ξ「アンタ……本当に世の中のこと知らないのね」

(;^ω^)「へ?」

ξ;゚听)ξ「クオリティー国は経済が安定しなく壊滅したわよ」

(;^ω^)「えぇぇぇぇぇ!!!!?」
11 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:20:17.32 ID:YzyyO7ZlO
ξ;゚听)ξ「今じゃクオリティー国はただの誰もいない開拓地よ?」

(;^ω^)「それでも構………!!!」

腹に響く轟音が公園に近づいているのが聞こえた

辺りを見渡すが、特に異常は無い

ξ;゚听)ξ「……あれは!!?」

ツンが空を指差した
ブーンもその先を見つめると、ヘリコプターが飛んでいる

(;^ω^)「SWAT!!?」

ξ;゚听)ξ「連盟のヘリよ!!」

12 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:21:42.33 ID:YzyyO7ZlO
マイクを通した声がヘリコプターのスピーカーから聞こえた

ヘリコプターはブーンとツンの、公園の上空を飛んでいる

( ゚∋゚)『グォラァアアアア!!!反逆者共ォォォォ!!!テメェらを強制指導所に連行するゥウウ!!!』

(;・∀・)「クックルさん!!そんな声出さなくても聞こえてますから!!」

ξ;゚听)ξ「やばいわ連盟の人間よ!!」

(;^ω^)「これのせいかお!!?」

ブーンは足元の壊れたデリータを指差す

ξ#゚听)ξ「当たり前でしょ!!!?」

ξ゚听)ξ「でもあのヘリコプター……連盟の幹部のもののハズよ!!?なんでこんな……!!」
14 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:24:20.05 ID:YzyyO7ZlO
( ゚∋゚)『良いかぁアアアアア!!!俺が10数えるまでに両手を頭の後ろに付けろォォォォ!!!』

ξ#゚听)ξ(#^ω^)「いちいち声うっせぇよ!!!!」

( ゚∋゚)『1ィイイイ!!!2ィイイイ!!!さ………』

ξ;゚听)ξ「?」

(;・∀・)「どうしたんですかクックルさん」

( ゚∋゚)『やっぱり10まで待ってらんねぇェェエエ!!!』

Σ(・∀・;)「クックルさん!!!?」

ヘリコプターから筋肉隆々の男が飛び降りてきた

建物6階ほどの高さを男はいとも容易く飛び降りた

飛び降りた轟音と砂ぼこりが辺りを包む
16 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:26:31.63 ID:YzyyO7ZlO
( ゚∋゚)「ウォォォォォ!!!!我が肉体は正義の下に!!!」

筋肉隆々の男は両手を天に掲げ、雄叫びを上げた

(;^ω^)「あの高さから落ちて何で無事なんだお!!?」

ξ;゚听)ξ「アンタ何者よ!!?逮捕なら保安隊を遣いなさいよ!!!」

( ゚∋゚)「貴様らに名乗る筋合いは無いィイイイ!!!俺の名はクックル!!!」

ξ;゚听)ξ「クック……アンタやっぱりテレビで見たことあるわ!!幹部じゃないのよ!!」

クックルは体を捻らせて、ブーンを優雅に指差した

( ゚∋゚)「少年ブゥウウウン!!!」

(;^ω^)「な、なんだお!!?」

17 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:27:39.76 ID:YzyyO7ZlO
空から『クックルさん!!?無事ですか!!?』と聞こえたが誰も返事しない

( ゚∋゚)「大人しくすれば手荒な真似はしないィイイイ!!!強制指導所へ来いィイイイ!!!!」

(;^ω^)「や、やだお!!」

( ゚∋゚)「なァアアにィイイイ!!!??」

(;^ω^)「ブーンは!!!ツンのことを忘れたくないッッ!!!!!」

ξ゚听)ξ「……ブーン……」

( ゚∋゚)「悲しきかなァアア許されぬ愛ィイイイ!!!だが貴様らはァアア!!!!」

( ゚∋゚)「ロミオとジュリエットにはなれないのだァアアアアアア!!!!!!」

18 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:30:28.77 ID:YzyyO7ZlO
クックルが地面を蹴ったのち、電光石火のごとく長い足を突きだし、

弾丸のような蹴りをブーンへ向けた

(;^ω^)「ヒッ……!!!」

ブーンは恐怖のあまり体が動かなかった
蹴りが自らの間合いに入ったとき、ツンもブーンも絶望した



が、





(;'A`)「……なにやってんだよ。お前は」


ドクオがトンファーでその蹴りを止め、ブーンを庇った

(*^ω^)「ドクオ!!!」

( ゚∋゚)「ムッ!!!なかなかの手練れと見受けられるゥゥウウ!!!!」

19 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:32:04.52 ID:YzyyO7ZlO
('A`)「……今日部活無かったからブーンの遊び相手をしてやろうと来たが」

ドクオがトンファーをクックルに向ける

('A`)「どうやらテメェの遊び相手が先らしい」

( ゚∋゚)「上等ォォォォオオ!!!」

ドクオは華麗な曲線を描き、綺麗な蹴りをクックルの顔面目掛けて放った

クックルはそれをかわし、体を捻って真っ直ぐ素早いストレートをドクオ目掛けて打つ

(;'A`)「速ッ……!!!」

ドクオはトンファーでそれを弾いた

あまりの衝撃に、手が痺れる

( ゚∋゚)「良い反応ォォォォオオ!!!」

クックルは弾かれた衝撃を利用し、体を回転させてドクオの顔面目掛けて回し蹴りをした

ドクオは弾く暇も無く、しゃがんで避ける
21 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:33:37.21 ID:YzyyO7ZlO
('A`;)「何だコイツ強ぇぞ!!?」

(;^ω^)「ドクオ!!そいつは連盟の人間だお!!」

ξ;゚听)ξ「しかも幹部よ!!逃げなさい!!!」

(;'A`)「連盟の………!!?」

( ゚∋゚)「ウォォォォォ!!!!」

クックルはドクオの胸ぐらを掴んだ

('A`;)「ヤバッ……!!!」

ドクオはなすすべなくクックルに持ち上げられ、地面に叩きつけられた

(;'A`)「グェッホッ……!!!!」

(;^ω^)「ドクオ!!!」

( ゚∋゚)「コイツも強制指導所行きだァアアアアアア!!!愚かなナイトよォォォォ!!!」

22 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:35:08.96 ID:YzyyO7ZlO
クックルがドクオの首を掴んだとき、ブーンは無意識に体が動いていた

(#^ω^)「やめるお!!!!」

ξ;゚听)ξ「ブーン!!?」

ブーンはがむしゃらにクックルの背中にしがみついた

クックルはそれを振り払おうと体を振り回す

(#゚∋゚)「えぇぇい邪魔だァアアアアアア!!!!!」

(#^ω^)「どっかいけお!!ドクオは強いんだお!!!お前みたいな筋肉に負けないお!!!」

(#゚∋゚)「この筋肉は正義の現れだァアアアアアア!!!!!!」

ブーンは、クックルのポケットにあるものがあるのを見つけた

(;^ω^)「そうだお!!!」

ξ;゚听)ξ「え……!?」

23 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:36:17.94 ID:YzyyO7ZlO
そうだ。冷静に考えてみれば連盟の人間なのだから、それを持っている可能性は高い

ブーンはそれに手を伸ばし、奪い取った


('A`;)「ぐっ………ブーン………それは………?」

( ^ω^)「イヤホンタイプのデリータだお!!!」

(゚∈゚#)「ぬぅん!!?窃盗かァアアアアアア!!!!返せェェエエ!!!!」

ブーンはすかさずそれをクックルの耳に当てた

( ^ω^)「ブーンたちのこと忘れろお!!!」

( ゚∋゚)「何をすッッ…………!!!」

次第にクックルの力が抜けて行った

( ゚∋゚)「………?」

(;^ω^)「今のうちに逃げるお!!!」

ξ;゚听)ξ「でかしたわブーン!!」

(;'A`)「くっ……!!」

ドクオはブーンに肩を借り、逃げた

24 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:38:15.25 ID:YzyyO7ZlO
クックルは辺りを見渡し、呆然としていた

( ゚∋゚)「俺は寝ぼけていたのかァアア!!??」

(;・∀・)『なにやってんですかクックルさん!!!アイツら逃げちゃいますよ!!!』

3人は住宅街を走っていた

(;^ω^)「これからどうするお?」

ξ;゚听)ξ「東のクオリティーしか隣国は無いし……」

('A`;)「……なんかよくわからんが国の知識ならショボンが一番詳しいんじゃないか?」

(*^ω^)「ナイスアイディアだお」

25 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:39:25.02 ID:YzyyO7ZlO
ξ;゚听)ξ「ちょっと待った!!ショボンって渋沢ムトウの息子のこと!?」

( ^ω^)「それがどうしたお?」

ξ;゚听)ξ「馬鹿じゃないの!!?そんなとこ行ったら警備の人間に捕まるでしょ!!?」

('A`;)「ああそっか……」

ξ;゚听)ξ「あたしが思うに、もう四の五の言わず国境越えに出発した方が良いと思うの」

(;^ω^)「なんでだお?」

ξ;゚听)ξ「あたしたちはもう連盟の人間が直接来るほどの存在になってるのよ?」

ξ;゚听)ξ「家に帰ったら待ち伏せされてるに決まってるでしょ」

('A`)「……なら尚更行き先をハッキリさせねぇとな」

(;^ω^)ノ「あの…提案があるお」

26 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:40:55.46 ID:YzyyO7ZlO
('A`)「却下」

(;^ω^)「ちょwwww」

ξ゚听)ξ「なに?一応言ってみて」

(;^ω^)「実際に亡命を試みた人に話を聞きに強制指導所なんてどうかお?」

(;^ω^)「連盟もまさか本人たちが強制指導所に来るなんて思わないだろうし……」

ξ;゚听)ξ「………(な、なるほど……)」

(;'A`)「亡命…?」

(;^ω^)「やっぱダメかお……?」

('A`;)「いや、詳しい説明をだな」

ξ゚听)ξ「…賛成よ」


(*^ω^)「mjd!?んじゃ強制指導所に向かうお!!」

(;'A`)ノシ「オーイ」

27 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:45:01.88 ID:YzyyO7ZlO
一方、記憶治安維持連盟の廊下を、3人の男が歩いていた

( ∵)「小生、かのような事態は初めてでありまス」

(;ФωФ)「……私だってそうだ」

( "ゞ)「………犯罪者に………記憶を……消されるとは……」

( ∵)「クックルは何処ニ?」

(;ФωФ)「まだ現場だ。こちらへ戻ってきたら記憶回復を行うらしい。まあ今回の失態は減給ものだな」

( ∵)「減給など気掛かりにする輩でもないがネ」

( "ゞ)「私なら………すぐさま捕まえることも…………出来た」

( ФωФ)「ほう、言うなデルタ」

( "ゞ)「すまん…………嘘だ………」

(;ФωФ)「………」

28 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:46:19.61 ID:YzyyO7ZlO
( ∵)「イヤホンタイプのデリータの携帯を禁じますカ」

( ФωФ)「いや、今回のケースは希なものだから、その必要は無い」

( ∵)「そうですネ」

( "ゞ)「いま必要なのは………犯人への捜査………」

( ФωФ)「そうだな。鎮圧隊を出すまでもない」

鎮圧隊とは、連盟の兵のような組織だ

保安隊とは違い、武器を持っていて武力制圧を許された隊である

从 ゚∀从「いや、私の番だな」

噂をすれば、鎮圧隊の隊長が姿を表した

Σ(ФωФ;)「ハイン!!?いつからいた!!?」

从 ゚∀从「私に向かわせろ!!刀を抜かせるのだ!!」

29 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:48:47.42 ID:YzyyO7ZlO
( "ゞ)「ハイン………お前では役不足だ………」

从#゚∀从「何だと!!?」

( "ゞ)「すまん…………嘘だ………」

从;゚∀从「………」

( ∵)「たかだか子供に鎮圧隊を出す必要もありませんよ。ハインさン」

( "ゞ)「それも前科も無い…………必要以上の指令は必要無い………」

从 ゚∀从「こういったガキが付け上がれば国の秩序は乱れる!!今こそ私が刀を抜くとき!!」

30 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:52:29.00 ID:YzyyO7ZlO
(;ФωФ)「待て待て。鎮圧隊はそう簡単に出せるもんじゃない。それにあのクックルがやられたんだ。ただの子供じゃないだろう」

从#゚∀从「私とてただの女ではない!!」

ハインが刀に手を伸ばした瞬間、デルタが既に銃口をハインの頭に当てていた

( "ゞ)「抜刀は減給だ………ハイン………」

从#゚∀从「……貴様……」

(;ФωФ)「おいおい、ケンカなら国外でやれ」

( ∵)「仲良くしましょウ」

从#゚∀从「……銃は嫌いだ。火薬の匂いが鼻を突く」

( "ゞ)「私は銃が好きだ………火薬の匂いが心踊る」

从#゚∀从「……銃など臆病者が使う武器だ」

( "ゞ)「引き金は生命の電源装置………それを引く私の勇気もわかってほしいがね……」
35 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:56:45.25 ID:YzyyO7ZlO
互いが武器を収めたとき、ロマネスクの携帯が鳴った

( ФωФ)「はい」


( ФωФ)「モララーか?クックルの様子はどうだ」

( ФωФ)「そうか……わかった」

ロマネスクは電話を切った

( ФωФ)「さて、クックルに代わって会長に報告してくるか」

从 ゚∀从「………あの男が弱いからいけないのだ」

( "ゞ)「刀を振り回す君とは………戦い方が違うでしょ」

从#゚∀从「何ィ!!?」

(;ФωФ)「……もう好きにしろ」

ロマネスクは足早に会長の場所へ向かった
37 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:58:18.50 ID:YzyyO7ZlO
( ∵)「あ、ロマネスク行っちゃいましたネ」

( "ゞ)「……まあ……私らは私らで……出来ることはある………」

从 ゚∀从「出来ること?」

( "ゞ)「少年が津村の子と……関わったなら……行き場はわかる…先回りだ……」

( "ゞ)(;'A`)「敵よりも早く着くことが先決……」


(;'A`)「そうだろ?」

ドクオはそう言って、ブーンの肩を借りず一人で歩き始めた

(;^ω^)「大丈夫なのかお?」

(;'A`)「俺は平気だ……それよりも強制指導所へ……」

ξ;゚听)ξ「そうね……やっぱり歩いていくしかないわ。交通機関じゃ足がつくもの」

('A`;)「よし……じゃあ向かうか。あの筋肉野郎の仲間が来る前に」
39 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 15:59:42.86 ID:YzyyO7ZlO
(;^ω^)「……やっぱり何処かで休むお」

(;'A`)「ああ?」

ξ#゚听)ξ「ちょっとアンタ!!時と場合を考えなさいよ!!アンタが疲れたからってあたしたちまで……」

(;^ω^)「ち、違うお!!ドクオの体調が万全の方が良いと思うんだお!」

(;'A`)「………」

(;^ω^)「また連盟の人間がやってくれば……ドクオだけ逃げることが出来ないかもしれないお……」

(;'A`)「……」

ξ;゚听)ξ「…そうね、じゃあ何処かで……」

遠く、住宅街の向こう側に人影が見えた
41 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:00:51.69 ID:YzyyO7ZlO
3人は水を被った猫のように体を震わせ、警戒する
影が近づくにつれて、ブーンとドクオの表情が安堵した

(´・ω・`)「ブーンとドクオ?なにしてんの?」

帰宅途中の、ショボンだった

( ^ω^)「ショボン!」

('A`)「あー、ビックリした」

ξ;゚听)ξ「…この人がショボン?渋沢ムトウの面影無いわね……」

(´・ω・`)「ん?あなたは?」

ξ;゚听)ξ「……」

( ^ω^)「ツン、ショボンは信用してもいいお」

ξ;゚听)ξ「なんの確信があってよ?」

('A`)「信用に確信は要らねぇさ」

ξ;゚听)ξ「答えになってないわよ!!」

42 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:01:54.61 ID:YzyyO7ZlO
(;´・ω・`)「なになに?面倒ごと?」

('A`)「なあツンとやら、俺もまだ詳しい話を聞いてないんだ」

('A`)「ついでに話してくんないか」

ξ;-匆)ξ「……」

ξ;゚听)ξ「本当に信用して良いんでしょうね」

( ^ω^)「もちろんだお!」

4人は、商店街の裏路地にて場所を変えた

( ^ω^)「……ってわけなんだお」

('A`)

(´・ω・`)

( ^ω^)「うん」

ξ;゚听)ξ「フリーズしちゃったわよちょっと」

('A`)「ああ、亡命?良いんじゃないかな」←思考力低下中

(´・ω・`)「亡命ってなんだっけ」←著しく思考力低下中
45 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:03:45.58 ID:YzyyO7ZlO
(;^ω^)「本気なんだお!」

ξ;゚听)ξ「あなた達をこんなことに巻き込んでごめんなさい!でも協力してほしいの!」

(;'A`)「んなこと言っても突拍子無すぎて」

(´・ω・`)「……」

('A`)「ショボン?」

(´・ω・`)「悪いけど協力は出来ない」

(;^ω^)「へ!!?なんでだお!!?」

(´・ω・`)「……僕はこの国を守るために努力してる」

(´・ω・`)「なんで犯罪者に加担しなくちゃいけないんだ?」

(;^ω^)「……」

(#'A`)「ッ!!!」

ドクオはショボンの胸ぐらを掴んだ

ショボンは顔色一つ変えない

(#'A`)「この二人は俺らを信用して話してくれたんだぞ!!!テメェふざけてんのか!!」
47 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:04:41.26 ID:YzyyO7ZlO
(´・ω・`)「……離してよ。革命家にでもなったつもり?」

(#'A`)「ンだと!!?」

(´・ω・`)「馬鹿みたいじゃん。今のままでも十分平和なのに一人の女のせいでそれを乱すなんて」

ξ-匆)ξ「………」

(´・ω・`)「誰かが決めたことに従うのが平和。誰かがそれに逆らうのが革命?違う、馬鹿だよ」

(´・ω・`)「君らは間違ってることを正当化してるだけ。ひねくれた厨二病。亡命するなら勝手にしてよ」


ショボンは腕を振り払い、帰路へ足を進めた



(´・ω・`)「その時は僕らは敵だけどね」

48 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:06:04.72 ID:YzyyO7ZlO
やがてショボンの姿は見えなくなった
空が曇り始める

('A`)「……俺は協力するぜ。どっちにしろ連盟の人間に手を出したんだ」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「………」

('A`;)「……お前らなあ」

('A`)「ブーン!!」

(;^ω^)「はい!!?」

('A`)「お前はツンを忘れたこの国が好きか!!」

(;^ω^)「き、嫌いだお!!」

('A`)「えっと、ツン!!」

ξ;゚听)ξ「へ?」
51 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:08:45.99 ID:YzyyO7ZlO
('A`)「お前はお前を忘れたこの国が好きか!!?」
ξ゚听)ξ「………」


         ――ツンのお嫁姿、見たかったなあ……――
 
             ――あなたのパパはとても勇敢だったのよ――


    ――国を捨てた売国奴のガキか――


        ――デリータは脳の手錠だ!!!――

             ――世界の楔と連なるこの国を切り離す――

                 ――売国奴の血も赤いんだァ――



     ――パパぁぁぁああああああ!!!!――




ξ゚听)ξ「だいっきらい」

ツンはうつむき、もう一度同じ言葉を繰り返した
今にも泣きそうな空が、暗さを増す

52 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:09:54.33 ID:YzyyO7ZlO
3人は商店街の本屋にて地図を購入し、強制指導所へ向かった

強制指導所は電車を利用すれば30分で着くが、交通機関を用いるわけにはいかない

歩けば3時間程度の距離を、歩く他無かった

3人が強制指導所へ足を運ぶ中、連盟の車はVIP市内を走っていた

(;・∀・)「あの……申し訳ありません」

( "ゞ)「……なぜ…謝る……」

(;・∀・)「クックルさんの失態は私にも責任があると思いまして……」

( "ゞ)「失態?」

デルタはモララーの頭に銃を当てる

( "ゞ)「何も出来ない下っぱが幹部の行動を失態と呼ぶには自惚れじゃないか」

(;・∀・)「す、すみません!!」

( "ゞ)「……高速道路に……入れ………」

53 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:11:19.74 ID:YzyyO7ZlO
(;・∀・)「そういえばどちらへ向かわれますか?少年たちの自宅ですか?」

( "ゞ)「そんなの無能がすること」

( "ゞ)「頭のギアを働かせろ。奴らは亡命の知識が十分あるガキに思えるか?」

(;・∀・)「……いえ」
モララーはハンドルを回し、車を高速道路へ入れた

( "ゞ)「ならば奴らは逃走も兼ねて亡命の知識がある人間と接触を行うだろう」

フロントガラスに、水滴が付いた
モララーはすかさずワイパーを動かす
55 : ◆BoonFbjs1s :2008/09/18(木) 16:13:57.33 ID:YzyyO7ZlO
( "ゞ)「学生が考える逃走の距離。まさか最初から船や飛行機を用いて逃走を図るまい」

( "ゞ)「ならば電車……いや、電車も逃げ場が無いから選ぶほどバカではないだろう」

( "ゞ)「ならば歩いて2〜4時間の場所で、亡命の知識がある人間のいる場所」

( ・∀・)「……何処ですか?」

( "ゞ)「強制指導所だ」

銃にマガジンを込めて、デルタは答えた

( "ゞ)「……見つけ次第………眉間に弾丸を埋め込んでやる………」

(;・∀・)「は、発砲許可は?」

( "ゞ)「……すまん………嘘だ…………」

車は速度を上げて、強制指導所へ向かった
雨が、強くなっていく

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