- 52
名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 19:43:14.43 ID:oe1JP5V/O
- ( ^ω^)はあらゆるチート達と闘うようです
第七話。
『前回までのあらすじ』
最強能力決定戦と称し様々なチート能力者と戦うはめになったブーンは、安価内容をそのまま使える能力【気分次第《アンカーテイク》】を駆使して強敵を倒していく。
そして迎えたのはループした世界。
ロマネスクと世界改変の為に現れた『ダイアグラム』という存在たち。
果たしてブーン達の運命は……
- 58
名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 19:48:30.46 ID:oe1JP5V/O
- ※ブーンの能力【気分次第《アンカーテイク》】について
指定アンカーにかかれていた能力をそのまま使える能力
「〜能力」と、最後に「能力」とかかれていなければ再安価。
一人の敵につき、一回ずつ出来る。
今まで出てきた能力
『境界を曖昧にする能力』
『あらゆる値を2倍から1/2までの範囲で変更できる能力』
『触れた物体の時を巻き戻す能力』
『無敵のスタープラチナ・ザ・ワールドを自由に使える能力』
『相手の足の小指が色んな物の角に強打する能力』
- 63
名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 19:52:13.51 ID:oe1JP5V/O
- ――――――
鬱蒼とした緑の中をかき分けて進んでいた。
これは麦だろうか。
かき分けてもかき分けても跳ねっ返りに僕の体にアタックしてくる。
前回ここにきた時は、こんなのあったっけ。
うっすらと浮かぶのは、ナスに目がいったくらいか。
もともと詳しくはないし、そんな事はどちらでもいいのだが。
この畑にいた時の記憶を辿れど、出てくるのは一人だけ。
あの小人を操る少女だけだ。
- 67
名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 19:54:33.87 ID:oe1JP5V/O
( ω )「……」
そのうち、小屋が見えてきた。
しかし―――そこに人がいた痕跡など皆無。
( ω )「……いない」
かつてあの小人達を操った少女のいた大自然の中に、一人呟くしかなかった。
シューは、いなかったのだ。
得心も合点もいかないが、頭ではやはりそうか、とも考えていた。
まさかとは思っていたが、やはりそうだ。
これは、もはやループしていると考えるより、別個の物だと考えた方が良いという事。
ブーンは次にいく宛を、完全に失った。
- 76
名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 20:00:18.75 ID:oe1JP5V/O
- ( ω )「……どうすっかなぁー……」
そして僕は、一人になった。
でも、だからと言って何をするわけじゃあない。
僕はいつだってそうだ。
その場に合わせて、感情に任せているだけで行動している。
その内に一本筋の通ったものなんか、信念じみたものなんかないのだ。
別に悪い事じゃないのだろうが、主人公なんかには向かないタイプだろう。
高尚な精神など、持っていやしない。
( ω )(……まぁ安価の能力を持ってるんだから、らしいっちゃらしいのかも知れないのだけど)
- 89
名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 20:09:19.65 ID:oe1JP5V/O
( ω )
まぁ、そして。
( ω )「……う」
そして、ってのはなんだが
(;^ω^)「うああああああああああああああああちくしょおおおおおおおお!!!!キュートの馬鹿やろおおおおおおおおおお!!!!」
(;^ω^)「勝手にどっか行ってんじゃねーお馬鹿が!!!何を気負ってんだお馬鹿が!!そりゃ付き合い浅いし!?信頼出来ないとこもそりゃあるし!?でも!!」
(;^ω^)「でも!!助けて欲しかったんじゃねーのかお!?ならなんでどっか行くんだお!!何を責任感じてんだお!!馬鹿!!馬鹿やろう!!」
(;^ω^)「だあああああ腹立つうううううううううう!!!!」
そして僕は、また感情に全てを任せて行動するのだ。
今までと同じく。でも、今まで以上に。
キュートを、探しに行こう。
- 107 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
20:24:12.18 ID:oe1JP5V/O
(;^ω^)「ああああああああああああああああああああ!!!!」
(;^ω^)「ああああああああああああああああああああ!!!」
叫ぶ。
とにかく、叫ぶ。
何も出来ない自分を悔いる為。
為さねば成らない自分を鼓舞する為。
キュートを助ける為。
兄者と弟者を助ける為。
ドクオを助ける為。
渡辺を助ける為。
あわよくば、他の皆も。
ロマネスクを打ち破る為。
前世界で救えなかった全ての人を、助ける為。
(;^ω^)「やってやるお!!!なんでもかかってこいやああああああああああああ!!!!」
それが、「助けてもらう力」をもらった僕に出来る事だろう。
- 123 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
20:37:56.13 ID:oe1JP5V/O
- (;^ω^)「はぁ……はぁ……」
どさり、と。
大声がようやく響き終わる間もなく、豊かな土壌に倒れ込む。
やる気は出てきた。しかしどこから手をつければいいかはわからない。
先に挙げたものの中で、一番危ういのは――――――
( ^ω^)(たぶん、キュートだお……)
何が危ういと言えば、能力。
彼女の能力だ。
( ω )(まだ憶測の域を出ないけど……たぶん当たってるお。そんな事が出来る能力はあまり存在しないし……と言っても、僕の頭の中の話だけど)
- 129 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
20:42:30.72 ID:oe1JP5V/O
- ( ^ω^)(……キュートは)
彼女の能力。
いや、特性と言うべきか。
とにかくそれを考えたら、真っ先にかけつけなければならないのだろう。
だってそうだ。
キュートの能力が読み通りならば、彼女はこの世界の誰よりも『死に易い』。
そしてそれに関連して……他人をも巻き込みやすい。
( ^ω^)「……きっと、だから僕から離れたんだお」
恐らく、あのロマネスクという人物と出会った時か。
キュートは、能力の片鱗に気付いたのだろう。
そして、どこかへ行ってしまった。
ブーンを傷つけない為。
- 153 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
20:53:29.21 ID:oe1JP5V/O
- ( ^ω^)「……」
(;^ω^)「ああああああ!!!なんかまた腹立ってきた!!!助けて欲しいって言った相手に、なんで気をつかってんだお!!」
寝転んだまま手足をばたつかせれば、土はその衝撃を簡単に受け止めてくれた。
( ^ω^)「……」
では、助けてやるとして
彼女はどこに行ったのだろう。
それがわかればもう少しどうにかなりそうなものなのだが。
そして、シューは。
あわよくばドクオ達と知り合い、共に行動していると言ったところだろうか。
または、出会ってすらいないのか。
( ^ω^)「……あと」
あと、一番気になっている事。
それは、自分。
ブーンではなく、内藤ホライゾン。
- 166 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:05:22.33 ID:oe1JP5V/O
この世界における最大の人物、内藤ホライゾン。
あらゆるチートを操る能力を持つ、最大の化物。
あいつは今、何をしているんだろう。
と言うより……目的は。
自分の事ながら、どうしているかがわからないとは笑えてしまう。
( ^ω^)「……」
もしくは、いないのかも知れない。
それも、少し可能性としてある。
だってそうだろう。
あんな能力は、打ち破られた時点で必要とされない。
この世界で唯一全能に近かった能力だったが、失われれば意義もないのだ。
――――――【気分次第】で【人間】は簡単に滅ぶ。
( ^ω^)「……戯言だお」
- 179 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:17:46.47 ID:oe1JP5V/O
――――――
「……」
「『……う』」
「『う、あ、あああああよく寝たあああああああああ!!!』」
「『嘘だけどねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』」
「『ナベちゃんは低反発枕じゃないと寝れない子なんだよぉぉぉぉぉぉ!!!』」
「『……いやー、そりゃチートな人物にはなりたいけど、私さすがに上条さんにゃなりたくないわー』」
「『不幸《マイナス》なのは嫌な事だ』」
「『まぁ、だからって』」
「『不幸《マイナス》がそのまま不幸せ《マイナス》って事ではないんだけどね』」
从'ー'从「『ナベちゃん復活ッッ!!ナベちゃん復活ッッ!!ナベちゃん復活ッッ!!』」
从'ー'从「『……してぇ……巨人のドシンしてぇ〜〜〜〜』」
でかすぎる独り言と共に、とある少女は再びその足で立ち上がった。
- 189 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:26:35.07 ID:oe1JP5V/O
- ――――――
ブーンも気付くのが遅かっただろう。
あんなに大きな声で叫べば、そりゃあ人にバレる。
誰か来たっておかしくはないのだ。
がさり、と草を踏み分ける音。
( ^ω^)「――――!!誰だお!!」
まさかシューか、と淡い期待を描きながら、先を見やる。
- 194 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:30:58.34 ID:oe1JP5V/O
(;^ω^)「――――――!!!」
( ´∀`)「……まさかとは思ったら」
( ´∀`)「やっぱり君かモナ」
(;^ω^)「……」
えっと……誰だっけ
- 210 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:40:17.99 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「……で……君はどっちだモナ」
( ´∀`)「内藤なのか、ブーンなのか」
(;^ω^)「……?僕を知ってるのかお?」
( ´∀`)「覚えてなくて当然モナ。君にとっては、僕なんかモブキャラ当然だろうし……一応、君の最後の戦いを見届けた一人と、そう言っておくモナ」
(;^ω^)「……まさか前回の記憶が……?」
( ´∀`)「モナ」
ずりずり、土を鳴らし近づいてくる。
この歩き方は「擦り足」と呼ばれる。
日本の武道における、人間の一番自然体に近い歩き方。
つまり……
この男は、臨戦態勢だ。
- 224 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:45:52.63 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「どっちだモナ?……といっても、ブーン君みたいモナね。内藤は、もっと威圧的だったし」
(;^ω^)「……ああ、そうだお」
( ´∀`)「初めましてモナ。僕はモナー」
( ´∀`)「かつての君の仲間の、クーのお兄ちゃんだモナ」
(;^ω^)「……クーの」
( ´∀`)「モナ。仲良くしようモナ」
(;^ω^)
いやいや、モナーさんよ。
ならなぜ……君は構えている?
- 240 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
21:55:29.42 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「……とまぁ、その前にとりあえず」
( ´∀`)「戦ってみようモナ?」
(;^ω^)「お――――」
――――――同時だった。
ブーンが喉を震わせるのと、
モナーが掌を合わせるのと、
「それ」がブーンの耳の横を通過するのは。
(;゚ω゚)
( ´∀`)「……知ってると思うけど、一応名乗っておくモナ」
( ´∀`)「【百式観音】」
- 257 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:06:32.04 ID:oe1JP5V/O
- ある武人は、武道を極めるにあたり、とある極地へと至る。
それは、感謝。
彼は自分なりに武道への恩をかえそうと考え、「一日に感謝の正拳突き一万回」を始める。
構え、祈り、突く。この所作を、一万回。
最初は一万回突くのに2日以上かかっていた、この課題が数年かけて1時間にまで圧縮される。
そして代わりに――――――祈る時間が増えた。
その祈りが力と成り、ついにはあるものを還元させる。
――――――観音像を。
( ´∀`)「百式観音―――弐の掌。」
(;゚ω゚)
今度は見逃さなかった。
しかし、間に合わない。
間に合うはずもない。
神速の観音の掌を。
回避出来るはずもない。
- 269 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:13:08.52 ID:oe1JP5V/O
- (;゚ω゚)「……がふっ」
下が大地だから。
そんなのはあまり関係はなかった。
とてつもない勢いで振り落とされた観音の掌の衝撃を、吸収しきれるわけがない。
【百式観音】。
それは巨大な観音を具現化し、使用者の掌に合わせた観音による101通りの攻撃。
その恐るべき速度から、ほぼ必中攻撃と言えるだろう。
( ´∀`)
( ´∀`)「どうしたモナ?使わないのか?」
( ´∀`)「【気分次第《アンカーテイク》】」
(;゚ω゚)
- 273 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:16:29.40 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「使わないなら使わないでいいモナ」
( ´∀`)「仲良くは出来ないけど、それならそれで」
( ´∀`)「君に用はなかったモナ。このまま……大地に生きろ」
( ´∀`)「……間違えた、大地に死ね」
そして合掌。
また、何かが来る。
どこからかはわからない。
いつかはわからない。
けど、確実に。
ならば。
(;゚ω゚)(そんなに使って欲しいんなら――――――使ってやるお!!)
(;゚ω゚)「【気分次第《アンカーテイク》】!!」
- 286 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:21:27.89 ID:oe1JP5V/O
- ( ^ω^)「はい皆さんこんばんわ。ブーンです」
( ^ω^)「今回の的は百式観音さん。すっげーこえー。笑いながら襲ってきよる」
( ^ω^)「じゃあアレをなんとか潰せるような安価能力を。指定アンカーは――――――」
――――――>>300
- 300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/26(火) 22:22:30.80 ID:gwSghAEe0
- 5本だけ縫い針をどんな場所にでも生み出せる能力
- 323 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:25:04.16 ID:oe1JP5V/O
- 『能力が決定しました。』
>>300 5本だけ縫い針をどんな場所にでも生み出せる能力
( ^ω^)
(;^ω^)「せめて50くらいにして欲しかったなああああああ!!!!」
- 349 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:31:22.23 ID:oe1JP5V/O
(;^ω^)(……縫い針……!!)
まったく、使い勝手の悪い能力があったもんだ。
この能力は、決まった後に使い勝手を考えなければならないのだから。
( ´∀`)
あの神速が、それを待ってくれるわけもないのだ。
流れるように薙がれる、巨大な掌。
(;^ω^)「――――――!!!」
見えた時には、既に当たっていた。
(;゚ω゚)
ぼきり、と。
縁起の悪い音がする。
あばらが折れたのだろうか。
途端に呼吸が激痛に変わる。
- 359 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:37:20.32 ID:oe1JP5V/O
( ´∀`)「……どうやら能力は決まったみたいモナね」
( ´∀`)「しかし僕が即死してないところを見ると、大した能力はこなかったみたいモナ」
(;゚ω゚)
畜生、余裕こきやがって。
この力でそれを苦しみの表情に変える算段は、ある。
だが、5本。
そして、たかだか縫い針だ。
小さく、少なく、頼りない。
この力を、どうやって使うか――――――
(;゚ω゚)(……【メタリカ】)
頭に浮かぶのは、とある能力。
- 364 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:39:57.03 ID:oe1JP5V/O
- そうだ。
『5本だけ縫い針をどんな場所にでも生み出せる能力』
どんな場所にでも……なら。
(;゚ω゚)(こいつの体内に送ってやればいい……)
呼吸が辛く、息もしたくなくなってくる。
早いうちに終わらせなければ。
( ´∀`)
(;゚ω゚)(吠え面――――――)
(;゚ω゚)(かきやがれ!!)
右手を、モナーに向ける。
狙うは、その喉元。
( ´∀`)「!?」
縫い針を1つ、そこへ送りこむ――――――!!
- 377 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:46:37.28 ID:oe1JP5V/O
- その瞬間は、ブーンにとってはスローに見えた。
縫い針が生まれてゆく。
モナーの、喉元に。
それをモナーは
( ´∀`)「―――」
合掌。回避。
観音が生まれ、弾く。
縫い針は、宙を舞う。
(;゚ω゚)(な……)
( ´∀`)
モナーが華麗に、それを手で受け取ってみせた。
( ´∀`)「……あぁ、怖かった。こりゃなんだモナ。針?それを生み出す力ってとこかモナ」
( ´∀`)「でも、君自身の予備動作が遅すぎだモナ。そんな行動に、この【百式観音】の初速が遅れを取るとでも?」
- 391 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:50:55.07 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「いま、君は能力を使う前に右手を前に出したけど」
( ´∀`)「僕はその間に、100回は合掌出来たモナ」
(;゚ω゚)
( ´∀`)「決まりモナね」
そしてモナーはゆっくり、手を合わせる。
合掌。
そして、観音像は現れる。
(;゚ω゚)(あ―――)
( ´∀`)「【百式観音】」
「――――壱の掌」。
無慈悲な力が、降り下ろされた。
- 409 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
22:57:04.97 ID:oe1JP5V/O
- (; ω )「あ゛ぐっ……!!」
( ´∀`)
( ´∀`)「能力に恵まれなかったモナね」
ブーンはその場に無惨に倒れこむ。
微かに伸びる右手も、地に伏せた。それが一層悲惨さを物語る。
( ´∀`)「君がどこにこの針を生もうが……僕はその速度を上回るモナ」
( ´∀`)「未来予知でもされない限り―――こんな針。避けるのは苦じゃないモナ」
( ´∀`)「……って聞いてる?」
(; ω )「……さすがに……未来予知は出来ないお……」
( ´∀`)「だろうね」
- 425 名前: ◆BnhUepkPaA
:2011/07/26(火) 23:02:11.74
ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「……ちょっと買いかぶりすぎてたモナ?」
( ´∀`)「ひょっとしたら君はこの世界で一番強いなんて思ってたけど……なんの事はない。安価に恵まれてただけ」
( ´∀`)「君が強かったのは――――――たまたまだモナ」
(; ω )
( ´∀`)「じゃあ、とどめ――――――」
( ´∀`)
そこでようやく。
ホントにようやくだった。
(;´∀`)「――――――あれ?」
モナーは、今更異変に気付く。
- 448 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:08:33.74 ID:oe1JP5V/O
- どこかで聞いた事がある。
人間の手を固定するには――――――小さな力でも、3つの場所を押さえればいいらしい。
まず、手のひらど真ん中より少し小指側。
中指。
そして親指の付け根。
中世の拷問なんかでは、この3箇所を釘で打ち付け自由を奪ってたんだっけか。
(;´∀`)
モナーの手――――――というより、両手には
3本の縫い針が打ち込んであった。
(;´∀`)「な、なんで――――――!!」
(; ω )「……確かに、僕は遅すぎるかも知れない」
- 464 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:15:33.36 ID:oe1JP5V/O
(;´∀`)「なぜ!!」
そうだ。
モナーの力の一面は、その神速さ。
ブーンが縫い針を出そうものでも、簡単に反応出来るはずだ。
――――――普通なら。
(; ω )「僕は確かに遅い。未来予知も出来やしない。でも、一つだけ」
(;^ω^)「一つだけわかる事があるんだお」
(;´∀`)「――――――!!」
ここまで来て、モナーは気付く。
そうだ。予備動作が問題なんじゃない。
速度も問題なんじゃない。
問題は――――――所作だ。
(;^ω^)「【百式観音】の攻撃は―――全て合掌に始まる」
手を合わせるその一瞬。
必ず来るその一瞬。
そこでブーンは――――――3本の縫い針で、突き抜いた。
- 477 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:20:47.50 ID:oe1JP5V/O
- 合掌状態で縫い止められた両手。
それはつまり――――――このままでは、次の百式観音を呼べない事を意味する。
(;´∀`)「くっ――――――」
抜く。
何をするにしても、抜くしかない。
(;^ω^)「動くなお」
(;´∀`)
それをブーンが待ってくれるわけもなかった。
(;^ω^)「針は残り1本。動いたら――――――君の手が抜ける前に、今度こそ喉元にこの針を出現させる」
(;´∀`)
- 493 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:26:54.86 ID:oe1JP5V/O
- (;^ω^)「ひどい事言ってくれるもんだお。僕が勝っていられたのはたまたま、だって?」
(;^ω^)「僕は、どんな安価でもなんとかしてみせるお」
(;´∀`)
(;^ω^)「能力が問題なんじゃない。君らみたいなチートじゃないからこそ、僕は知ってる」
(;´∀`)
(;^ω^)
(;´∀`)
(;´∀`)「やれよ」
沈黙を打ち破ったのは、モナーだった。
(;´∀`)「やればいいモナ。どうせ僕は、負けた。その最後の針も、余らすのももったいないモナ?」
(;^ω^)
- 506 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:32:28.05 ID:oe1JP5V/O
- (;´∀`)
(;^ω^)「そうだおね」
(;^ω^)「余らすのはもったいないお」
(;´∀`)「……」
(;^ω^)「……だから!」
(;´∀`)「!?」
ブーンはぱん、と右手で軽く、脇腹を叩いた。
(;^ω^)「最後の一本は、僕の折れた肋骨の固定に使う事にするお……いてて」
(;´∀`)「……お前」
(;^ω^)「だいたい、あんた本気じゃなかったろ」
(;´∀`)
- 519 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:36:33.96 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「……やっぱバレてたモナ?」
(;^ω^)「わかって当たり前だろうがお」
(;^ω^)「一撃で大地を割るような【百式観音】の力が、不意打った生身の人間一人を倒せないわけがないだろうがお」
( ´∀`)「……」
(;^ω^)「でもこっからはホントにわからないお。あんた、僕に何をさせたかったんだお?」
(;^ω^)「手加減するくらいなら、なんの為に僕にこんな事を……」
( ´∀`)「……」
- 549 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:44:18.27 ID:oe1JP5V/O
- ( ´∀`)「……お前は」
( ´∀`)「僕の事を、クーから聞いていたモナ?」
(;^ω^)「……いや、聞いてないお」
( ´∀`)「そうかモナ……なら、話させてもらうモナ」
( ^ω^)「お」
( ´∀`)「さっきも言った通り、クーの兄は僕だモナ。だが……」
( ´∀`)「もう一人いるんだモナ」
( ^ω^)「もう一人……お兄ちゃんが?」
( ´∀`)「そうモナ」
( ´∀`)「エクストっていう、僕のお兄ちゃん」
( ´∀`)「……という設定のやつが」
(;^ω^)「お?」
- 568 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:49:33.29 ID:oe1JP5V/O
- (;^ω^)「設定って……どういう?」
( ´∀`)「いないんだモナ」
(;^ω^)「え」
( ´∀`)「僕にはお兄ちゃんなんか、いないんだモナ」
(;^ω^)「……?」
( ´∀`)「今のはみんな、クーから聞いた話モナ。びっくりしたけど、あいつはクーで間違いない。だったら……」
( ´∀`)「そのエクストってやつは、何者なのか。僕はそれが知りたい。そして……」
( ´∀`)「可愛い妹から守ってやりたいモナ」
(;^ω^)「……」
( ´∀`)「手荒な真似してすまなかったモナ。でもだからこそ、君の力も知れた。お願いだモナ」
( ´∀`)「一緒に……クーを救って欲しいモナ」
- 585 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:55:51.42 ID:oe1JP5V/O
――――――
|(●), 、(●)、|「【虚数的存在《ダイアグラム》】の中には……試運転として、昔から存在していた者もいるんです」
|(●), 、(●)、|「内藤くんがそれに御執心でね。そんなのを見つければ、片っ端から潰していたものですが……」
ζ(゚ー゚*ζ「この『ё』というのは?」
|(●), 、(●)、|「彼は、ずっといましたよ」
ζ(゚ー゚*ζ「?」
|(●), 、(●)、|「初回からね」
|(●), 、(●)、|「そしてようやく、今回が力の披露となります――――――」
「――――――動き出しましたね」
- 596 名前:
◆BnhUepkPaA :2011/07/26(火)
23:59:04.68 ID:oe1JP5V/O
――――――
おおきな声でご挨拶。
前を見つめて始めよう。
お顔は明るくほがらかに。
こころはそのままありのまま。
ろくな名もない僕だけど。
ステキな愛を、伝えるよ。
よろしくみんな、始めよう。
うきうきわくわく、始めよう。
(=゚ω゚)ノ「ぃょう」
――――――『 ё 』。
第七話、終わり。
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