- 8 :
◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
20:52:37.44 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです
第五話。
『前回までのあらすじ』
最強能力決定戦と称し様々なチート能力者と戦うはめになったブーンは、安価内容をそのまま使える能力【気分次第《アンカーテイク》】を駆使して強敵を倒していった。
【大嘘憑き《オールフィクション》】の渡辺との戦闘でツン達と離散するが、その後なんとか渡辺を追い詰めて倒し、荒巻との出会いを果たした。
今回の敵は!?今回の安価は!?
今日は腹痛がひどいのだが、果たして作者はトイレに行かずに投下を遂行出来るのか!?
- 15 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
20:54:22.12 ID:Vh67slpSO
- 一応、登場人物とその能力
( ^ω^)【気分次第《アンカーテイク》】(vip)
ξ゚听)ξ【拳王ラオウ】(北斗の拳)
・離散。
('A`)【一方通行《アクセラレータ》】(禁書)
/ ,' 3【都合のいい模写《コピーアンドペーストテイク》】
・共に行動中
( ´∀`)【百式観音】(HxH)
川 ゚ -゚)【火水木金土日月を操る程度の能力】(東方)
・????
- 16 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
20:56:01.35 ID:Vh67slpSO
- ※ブーンの能力【気分次第《アンカーテイク》】について
指定アンカーにかかれていた能力をそのまま使える能力
「〜能力」と、最後に能力とかかれていなければ再安価。
一人の敵につき、一回ずつ出来る。
今まで出てきた能力
『手から溢れんばかりのコーラを出す能力』
『座布団を一週間近く回し続けられる能力』
『髪の毛を急速に成長させる能力』
『超反射神経が身に付く能力』
『アンサートーカーを取得しそれを100%使いこなす能力
』
- 18 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
20:57:52.15 ID:Vh67slpSO
- ――――某所
かすれた老人の、声がした。
/ ,' 3「ただいま」
('A`)「おお荒巻。どこ行ってたんだ?」
そこには、明らかにタメ口を利けるような歳ではない少年が鎮座していた。
/ ,' 3「ちょっとな。面白いもん見つけたからよ」
('A`)「面白いもん?」
/ ,' 3「主謀者《オリジナル》の子じゃよ」
('A`)「……へぇ」
- 20 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
20:59:07.34 ID:Vh67slpSO
- / ,' 3「あの子は生き残りそうじゃったよ。なんというかこう、芯があるというか…」
('A`)「もういいよ荒巻。模倣者《フェイク》からしたらまったく面白くない話だって、わかるだろ」
/ ,' 3「そうかいそうかい。…あら?他のみんなは?」
('A`)「シューなら、また『おしごと。』だって言ってたぞ。でぃは…あいつは、散歩でもしてんじゃねーの」
/ ,' 3「まとまりがないのぅ」
('A`)「まとまってたまるかよ。だって俺ら」
――――みんながみんな最強の、チート達なんだぜ?
- 21 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:01:39.19 ID:Vh67slpSO
- ――――路地裏
( ^ω^)「……さて」
どうするかな、と単純に思った。
ツンを探す事に変わりはないのだが、ツンが戻ってくる事を予想し、つー達がいた所へ行くべきか
それともツンが飛んだ方向へ歩くべきか。
どちらにしろ結構な距離だと思うのだが、まぁそれは気にしないとして。
( ^ω^)「………」
…まぁとりあえず、歩くか。
路地裏から抜ける際、足元に何か人間の女性のような物体があたった気がしたが
気のせいだろう。
もしホントに何かあったとしても、そんなもんは《なかったこと》にしとこう。
- 26 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:04:43.47 ID:Vh67slpSO
- 無音の町をただただ歩くブーン。
路地裏を抜け、小さなビル街から外に出ると
いきなり飛び出してきたその光景に、素直に驚いた。
(;^ω^)「……お、おお…!?」
一面に広がったのは、豊かな植物が青々と繁る畑。
久しく見ない、自然を目の当たりにしたのだったのだ。
- 31 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:08:21.08 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)「おぉ……すっげ…」
吹き抜ける風すらが別のものに感じる。
とりあえず、畑を割るようにまっすぐ伸びる一本道をブーンは歩いた。
( ^ω^)「ほーぉ。緑の匂いってやつだお…あ、ナス植えてるお…」
この光景は、この前の躁鬱になるような事件に少し気分が優れないブーンにとっては最高の薬だった。
ほのぼのとした空気は、自然と心を癒してくれる。
そのまま少し歩けば、
小屋が、畑の中に見えた。
( ^ω^)「……お?」
さらに、何かが焦げた匂い。枯れ葉でも燃やしているのだろうか?
とにかく、誰かがいるようだった。
- 35 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:13:05.33 ID:Vh67slpSO
- 麦かなにかの畑を越えると、小屋の付近がよく見えてきた。
ここからはまだ遠くで詳しくはわからないが
誰かがいる事が、確認できる。
( ^ω^)
lw´‐ _‐ノv
それは小学生高学年くらいの、少女だった。
lw´‐ _‐ノv「ぐーすかぴっちゃん……すかぴっちゃん…」
睡眠中。
麦わら帽子を被ったかわいらしい少女が、小屋の前にある木製の椅子に座って眠っているのがわかった。
- 39 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:16:39.03 ID:Vh67slpSO
- 麦わら少女は当たり前だがこちらには気づいていない。
椅子の上で、小さく寝息を立てている
lw´‐ _‐ノv「すかぴー…すかー…れっと…置くだけ……」
( ^ω^)「……おお」
寝言に関しては全スルーで行くが、それにしても絵になる構図だった。素人のブーンから見てもそう言える。
少女を中心に、
この自然溢れる光景。
颯爽と広がる畑。
その背景に小屋。
その周りでせっせと農作業をする小人達。
まさに、調和。
( ^ω^)「こりゃあ目の保養になるお………」
( ^ω^)「………」
( ^ω^)
………え、小人?
- 46 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:20:05.04 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)
(;^ω^)「おおっ!?」
地面には大量の小人がせっせと働いていた。
正確には、人ではない。
全長は10センチか…20センチ?そこらへん。
赤、青、黄。色とりどりで、みな一様に頭に大きな葉っぱをつけている。
lw´‐ _‐ノv「すぴー…きんぐ…いんぐりっしゅなう……」
(;^ω^)「これが、この子の力かお……?」
しかし、こんなのが…チートと呼べるのだろうか。
まったく危険性を感じないのだが。
その小人達――――――いや、【ピクミン】には。
- 59 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:24:12.82 ID:Vh67slpSO
- 【ピクミン】。植物のような謎の生物。
「オニヨン」という謎の機械から肥料を元に種が生まれ、その種が発芽する。
その発芽したものを引っこ抜くとピクミンが出来る。
抜かれたピクミンは主人公であるオリマーを主人と思い、まさに奴隷というような扱いを受けるも、ずっと主人についていく。
そんな存在なのだが…
(;^ω^)「……なんで、こんなところに…」
そいつらが、せっせと農作業しているのだ。
まったく持って謎である。
- 74 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:32:43.08 ID:Vh67slpSO
- それ以外にも謎がある。
確か公式設定では、ピクミンは1センチだったはず。
しかしここのピクミンどもは、前述の通りでかすぎる。
(;^ω^)「人間寸法に合わされてるのかお……?」
lw´‐ _‐ノv「んあ」
麦わら少女が目を覚ました。
( ^ω^)「あ」
( ^ω^)「こ、こんにちわ、だお」
lw´‐ _‐ノv「やべぇ、うたた寝して気持ちよく起きたら目の前にロリコンそうな推定高校生をはっけん。このまま声をかけたらもしかすると私の初体験はこの椅子の上になってしまうかもしれない。だが勇気を振り絞り、声をだそう。こんにちわ」
オープニングヒットを盛大に奪われた。
- 82 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:36:35.19 ID:Vh67slpSO
- orz ←ブーン。
lw´‐ _‐ノv「あ、やめてそれ。目にくる。その光景、目にくる」
( ^ω^)「まて、僕は今お前の視覚を刺激するほどの恥態を晒していたのか?」
麦わら少女は、どこか異質な雰囲気を持っていた。
つーかぶっちゃけ、変だった。
lw´‐ _‐ノv「私はシューだよ。よろしくね、ロリコン」
( ^ω^)「僕はブーン。なぁお前さ、学校で人を見かけで決めちゃいけないって習わなかったのか?」
しかもかなりの鬼畜らしい。
将来が楽しみだった。
- 91 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:41:22.72 ID:Vh67slpSO
( ^ω^)「なぁ、シュー。一つ聞きたいんだが…」
lw´‐ _‐ノv「なぁに?ロリコン」
( ^ω^)「ここにいるピクミン、シューの能力かお?」
lw´‐ _‐ノv「そうだよロリコン。詳しく説明して欲しい?ねぇロリコン」
( ^ω^)「うん、お願いしたいけどちょっと待ってね。いま涙をこらえる作業に必死なんだ、僕」
lw´‐ _‐ノv「いいよロリコン。いくらロリコンだからってピクミンの事わかるロリコンがロリコンでもロリコンだとしたらロリコンだしロリコンだもんね?」
追い討ち上手だった。
はは、こいつめ。
- 102 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:47:11.86 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「私の力は、ピクミンを操る事だけど、それが主じゃない。」
――――【オニヨン】。ピクミンを生み出す力。
それが私の能力。
lw´‐ _‐ノv「簡単に言えば、この子達は私に食べ物を持ってくるのよん。その養分を摂取して、私はピクミンを生み出す」
( ^ω^)「生み出すって…どうやって?」
lw´‐ _‐ノv「得た養分を、手のひらに集めて……あ、これは私の感覚だから言ってもわかんないか。…とにかく、手のひらに光が集束して、それが『種』になる。後は撒いて抜いて、完成」
( ^ω^)「手に集束て、ファンタジーな」
lw´‐ _‐ノv「自然の摂理にしたがって肛門から出した方が良かった?」
( ^ω^)「見たいと言ったら?」
lw´‐ _‐ノv「見せてあげる」
( ^ω^)
lw´‐ _‐ノv
( ^ω^)「お前なかなかやるな」
lw´‐ _‐ノv「そちらこそ」
- 112 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:52:58.19 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「最初はちょっと養分を無理矢理ひねり出したり無理したけど、最近はもう完全に楽だよ。あとはギブアンドテイク。世の中うまく出来てるよね」
( ^ω^)「そうなのかお…」
ピクミン『ウー?』
一匹、ピクミンが足元によってきた。ブーンはかがみこんで、触れてみる事にした。
ギラつく赤いフォルムがかっこよく、そのつぶらな瞳がかわいい。
lw´‐ _‐ノv「かわいいでしょ?ちゃんと赤青黄、平均的にいっぱいいるんだよ」
( ^ω^)「うん、お前の方が」
lw´‐ _‐ノv「濡れた。抱けよ」
( ^ω^)「悪いが俺の股間のピクミンはそこらのとは違って凶暴だから遠慮するよ」
lw´‐ _‐ノv「……」
( ^ω^)「おい、そこで引くなよ。のってこいよ」
- 120 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
21:58:36.00 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)「でも、一つ疑問だお」
lw´‐ _‐ノv「ん」
( ^ω^)「なんでこんな大量に生み出す必要があるんだお?ピクミンってのは、絶対に裏切らない生物なんだし、別に意図的に【種】を作り続ける必要があるんだお?」
lw´‐ _‐ノv「あー、それ」
lw´‐ _‐ノv「答えなくちゃ駄目?」
( ^ω^)「ん?てっきり『別に意味はない』とか言うと思ったのに」
lw´‐ _‐ノv「……いや、まぁ。そりゃあ多くいるのに越した事はないでしょ」
( ^ω^)「そりゃそうだな」
lw´‐ _‐ノv「後はリーダーの命令にしたがってるだけですよん」
( ^ω^)「リーダー?」
lw´‐ _‐ノv「うん」
- 134 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:04:59.17 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「私達も必死なのにょん。選択者《アレンジ》とかいうやつになる為に。ブーンもそーでしょ?」
( ^ω^)「………」
アレンジ。どこかで聞いた。
そう。確か、ヒッキーの言葉に、あったような…
lw´‐ _‐ノv「?」
( ^ω^)「なぁシュー」
lw´‐ _‐ノv「なに?糞インポ短小包茎ド腐れ【ピー(自主規制)】野郎」
( ^ω^)「その、アレンジってなんなんだお。あと、オリジナルとか……」
lw´‐ _‐ノv「………」
ネタにのってこなかったからか、予想外のワードが出たからか。
シューは一瞬押し黙り、
lw´‐ _‐ノv「知らないの?」
今までの雰囲気を払拭するような声で、そう言った。
足元では、ピクミン達は変わらず作業をしている。
- 165 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:11:23.51 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)「僕は最近聞いた、つーか言われたんだお。お前は主謀者《オリジナル》だって」
lw´‐ _‐ノv「…ブーン」
( ^ω^)「ん?」
lw´‐ _‐ノv「あなた、主謀者《オリジナル》なの?」
( ^ω^)「まぁ、うん…」
lw´‐ _‐ノv「……どこから説明したものやら」
いきなり思い詰めたように、考え始めるシュー。麦わら帽子のせいで、その表情はよくわからない。
( ^ω^)「………」
そこでシューはようやく顔を上げた。そして真剣な顔をして、こう呟いた。
「――――オリジナルがあるからアレンジがある。フェイクがあるからアレンジもある」
(;^ω^)「へ?」
lw´‐ _‐ノv「ねぇ、ブーン」
- 184 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:16:45.81 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「あなた、うちのチームにこない?」
( ^ω^)「え?」
lw´‐ _‐ノv「あなたなら、ドクオさんも信用してくれると思う」
(;^ω^)「!? ちょ、ドクオ!!?」
lw´;‐ _‐ノv「え」
焦りを露に少女に掴みかかるブーン。
そのいきなりの行動に、シューも驚きの表情を見せる。
lw´‐ _‐ノv「ブーン、ドクオさんを知ってるの?」
(;^ω^)「ドクオって、あのドクオだお?身長低めの、幸薄そうな顔した高校生の!」
- 199 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:21:50.57 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「あなた、ドクオさんとどういう………」
(;^ω^)「僕は、あいつの親友だお!!大親友!!ずっとこっちに来てから探してたんだお!!ドクオ、無事なのかお!?早く合わせてくれお!!」
それは、やっと掴んだ糸口を必死に手繰りよせるように。
ようやく、ようやく会える。あいつは今何をしているのだろうか。
ずっと心配だった親友が、こんなに近くにいたとは、と思考が止まる事はなかった。
対して、シューはというと
lw´‐ _‐ノv
lw´‐ _‐ノv「ドクオさんの、友達?」
(;^ω^)「…そうだお。あいつの、一番の親友だお」
- 206 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:24:52.01 ID:Vh67slpSO
lw´‐ _‐ノv「嘘つけよ。」
その瞬間、ブーンの視界は流転する。
その原因として、足元にいたピクミンが飛び出し、いきなり自分の顎にヒットしたのだと気付くまでには時間がかかった。
- 227 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:30:18.08 ID:Vh67slpSO
- (;゚ω゚)「ぐはっ………!!」
ピクミンの一撃が予想外に痛かったというのが衝撃的だったが、それよりも目の前の少女の事だ。
lw´‐ _‐ノv「あなたは嘘つきだ」
lw´‐ _‐ノv「だってあの、あのドクオさんに」
lw´‐ _‐ノv「友達なんて、いるわけないじゃん」
当たり前のように、そう言ったのだ。
それは一見失礼とも取れる言葉だが、違った。
それはまるで、何か異質なものを相手取っているように。
ドクオと言う存在を考える時に、このシューはブーンの知らない『何か』があったのだ。
lw´‐ _‐ノv「アンタも、またあの連中?勘弁してよ」
lw´‐ _‐ノv「何回追い返しゃ気が済むのって」
- 240 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:34:58.83 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「さ、いきなされ我が子たち。私達の畑を荒らす不届き者をこらしめちゃいなさい」
『ピクー!!』
(;^ω^)「おおおおおおおお!!?」
シューのその一声を合図に、その場にいたピクミンは一斉に襲いかかってきた。
(;゚ω゚)「がっ………!!」
突如、後頭部に鈍器か何かで叩かれたような衝撃が走る。
ピクミンに張り付かれ、その葉で攻撃をされている。
見た目に反して力は強い。当たり前かも知れない。
彼らは、その小柄な体にありながら自分の15〜20倍の大きさの相手を手玉にとる戦闘力を持っているのだ。
- 254 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:39:22.64 ID:Vh67slpSO
- まず、勘違いしてはいけない。
ピクミンと聞いても、皆さんにその脅威性を伝えきる事は出来ないと思う。
実際、ブーン自身も考えが甘かったとここで反省する。「統率された大軍」が、まさかここまで怖いとは。
続いて、彼らは目的遂行の為に、「まったく躊躇がない」。
是が非でも主からの命令は遵守する。
人間には必ず生じる迷いがまったくないのだ。
その様は、まるで機械。いや、臨機応変に対応する知能などを含めれば機械よりよっぽど怖いのだ。
(; ω )「う゛っ!!」
そんなのが、100匹も200匹も集まってくる。
非常に、まずかった。
(; ω )(……やばい、お…意識が………)
3分とかからず、ブーンは戦闘不能に追いやられようとしていた。
- 274 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:44:32.01 ID:Vh67slpSO
- 外側から見れば、ブーンの体は赤青黄でうめつくされた何かにしか見えない。
そのような袋叩きを受けて、ブーンが取った行動は
(;゚ω゚)「鬱陶しいおおおおおおおおお!!!」
自分から思いっきり、後ろに飛ぶ。
背面を強く地面に打ち付けるが、それにより背面のピクミンを全て潰す事が出来た。
lw´‐ _‐ノv「ぬ」
そして遥かに軽くなった体の前面についているピクミンを、ようやく叩き潰す。
しかし、ピクミンはまだまだいくらでもいた。
そう、こいつらの一番の怖さは繁殖力でもある。
半端でなく増殖効率が良すぎるのだ。ほぼ無限といってもいいくらいだ。
まだまだまだまだ、ピクミンは大量に沸き続ける。
- 287 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:50:08.99 ID:Vh67slpSO
- (;゚ω゚)「ちっ……!!」
雨のように降り注ぐピクミンの中、シューに向かって叫ぶ。
(;゚ω゚)「なぁシュー!!!」
lw´‐ _‐ノv「?」
(;゚ω゚)「言っとくけどなぁ!僕は本当は紳士なんだお!!めったな事じゃ、女の子には手を上げないんだお!!」
lw´‐ _‐ノv「……」
(;゚ω゚)「今回だって、使う気はなかった!!」
( ゚ω゚)「だけど!!お前を越えなきゃドクオに会えないってんなら!!」
(#゚ω゚)「少しだけ紳士な僕はお休みだおおおおおお!!!」
降り注ぐピクミンの中、ブーンはあの言葉を叫ぶ。
「【気分次第《アンカーテイク》】!!」
- 311 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:53:18.91 ID:Vh67slpSO
- (;^ω^)「どーもみなさん!毎度おなじみ安価の時間だお!!」
(;^ω^)「その前に言っとく事がある!!多分、見た目的なインパクトは今までで一番ひくいだろうけど」
(;^ω^)「僕、今までで一番死にそう!!」
(;^ω^)「だからこんな状況を打破する、あなたの厨二妄想をお願いしますお!!指定アンカーは………」
>>320!!
- 320 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/26(火) 22:53:39.24 ID:6SoDohIS0 ?2BP(111)
- 手の平からピクミンを無限に出現させる能力
- 373 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:55:16.01 ID:Vh67slpSO
- 『能力が決定しました。』
>>320 手の平からピクミンを無限に出現させる能力
(;^ω^)「よっしゃ!!全面戦争だおおおおおおおおお!!!!」
- 397 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
22:58:01.43 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「………!!!」
シューは顔にこそ出さないが、驚いてはいた。完全に、ピクミン達が囲んだはずだった。
しかし
( ^ω^)「ふぃー…!!あぶね……」
彼の手から、自分と同じ、ピクミンが大量に溢れてきたのだ。
戦場は、小さな戦いの嵐となった。
- 414 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:02:22.10 ID:Vh67slpSO
( ^ω^)「………」
足元では、ピクミン達が相殺し合っている。
しかしその間も、ブーンの手からはピクミンが生み出され続ける。
( ^ω^)「……勝ったお、シュー」
lw´‐ _‐ノv「………」
( ^ω^)「有限と、無限。僕らの力には完全な上下関係があるお。」
lw´‐ _‐ノv「……」
シューは、何も言わない。
( ^ω^)「…口を開かないなら」
(#^ω^)「力づくだお!!!」
ブーンは、両手から生み出され続けるピクミンを一斉に投げつけた。
- 433 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:07:25.22 ID:Vh67slpSO
- 形勢逆転、その言葉が浮かんだブーンだったが
突如として、ブーンの足元から新たなピクミンが大量に飛び出してきた。
(;^ω^)「なっ…」
とっさにこちらもピクミンをガードに押しやる。
しかし、今シューに向かい投げてしまったところであり、ガードするには明らかに数が足りない。
シューのピクミン達は、足を押しやり、ブーンのバランスを崩す。
(;゚ω゚)「やば……」
また、当然のように転がされる。
そして頭上から
数多の敵ピクミンが、降ってきた。
- 441 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:13:14.71 ID:Vh67slpSO
- (; ω )「ぐああああああああああ!!!」
自身のピクミンを操り防御するブーンだが、それは瞬く間に潰されていく。
大量に降ってきたのは、紫ピクミン。
推定体重、2kgはあるだろうか。
そんなものが頭上から際限なく降り注ぐ。
防御する手だてはなかった。
lw´‐ _‐ノv「アンタ、なにいってんの?」
lw´‐ _‐ノv「ここ、私の畑だよ?」
lw´‐ _‐ノv「あなたは一つ間違えてる。確かに、有限と無限の差は埋められないけど」
lw´‐ _‐ノv「私はこういう時の為にピクミンを溜めに溜め続けていた」
lw´‐ _‐ノv「たぶん、あなたの今のピクミンを生み出すスピードじゃ、1時間は放出されても数は負けてないと思うよ」
(; ω )「………」
- 461 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:19:11.72 ID:Vh67slpSO
- lw´‐ _‐ノv「この戦いはそもそも、ピクミンの数勝負じゃない」
シューは、やっと椅子から立ち上がり、こちらに向かってくる。
lw´‐ _‐ノv「『どれだけピクミンを使いこなすか』。それだけ」
(; ω )「……!!」
ブーンの視界の半分が、赤いカーテンに覆われる。
頭から血が流れて、目に入ってしまっているのだ。
lw´‐ _‐ノv「あとこれはあなたも知ってると思うけど」
lw´‐ _‐ノv「この紫ピクミン、重いから。例えば」
lw´‐ _‐ノv「倒れ込んでるあなたに全力で叩きつければ、私の力でも致命傷になると思うよ」
(; ω )「な……!!」
lw´‐ _‐ノv「とどめくらい自分の手でさしてあげるよ、紳士さん」
シューは紫ピクミンを片手に笑いながら、こちらへゆっくりと歩いてきた。
- 476 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:22:53.52 ID:Vh67slpSO
lw´‐ _‐ノv「ばいばい、紳士さ――――」
――――そこでシューの声は止まる。
無理もない。
シューの目の前は、いきなり暗くなったのだから。
- 495 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:28:21.22 ID:Vh67slpSO
lw´;‐ _‐ノv「え!?」
シューは困惑したが、自分が何をされたかという事にはすぐに気がつけた。
lw´;‐ _‐ノv「くっ…やば…!」
lw´;‐ _‐ノv「落とし穴!!!」
簡単な事だった。シューは、ブーンのピクミンによって作られた落とし穴にはまっただけの事。それだけだった。
( ^ω^)「『どれだけピクミンをうまく使いこなすか』(キリッ)」
( ^ω^)「だっておwwww出し抜こうなんざ100年早いわwwww」
lw´;‐ _‐ノv「く―――――!!」
シューが這い上がろうとしたその時にはもう遅い。
ブーンのピクミンは、既にシューの回りの土を踏み固める作業に入っていた。
- 518 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:32:29.55 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)「お前の紫ピクミンに潰されかけてた時には既に、僕は左手をずっと地面につけて、ピクミンを地中に向けて大量に送ってたんだお。おかげで死ぬかと思ったけどね」
lw´;‐ _‐ノv「ぐっ――――!!」
動けない。もがいてどうこうなるレベルじゃなかった。
自分のピクミンがなんとか自分を掘り起こそうと頑張るが、戦闘と作業を両立は出来ない。
後ろからブーンのピクミンに襲撃され、死んでいく。
( ^ω^)「形勢逆転、だお」
- 531 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:37:39.90 ID:Vh67slpSO
- ( ^ω^)「さて、と。どうしてくれようか」
lw´;‐ _‐ノv「……」
今のシューはほぼ生き埋めに近かった。かろうじて顔だけが地上と面している状態である。
( ^ω^)「とりあえず、僕は君を乗り越えてもドクオに会いにいくお」
( ^ω^)「おとなしくするならこれ以上はしない。だから、居場所を言ってくれお」
( ^ω^)「それだけ」
(;゚ω゚)「で……っ…!!!」
いきなりブーンの視界が、ぐらつく。
背後を見た。シューのピクミンが、ピクミンを投げている。
自分の後頭部に、既に何匹か張り付いている。
- 554 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:41:47.30 ID:Vh67slpSO
- lw´#‐ _‐ノv「誰が負けるかハゲがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
シューが激昂する。そして、シューの体が掘り起こされ始める。
(;゚ω゚)「うっ……!!」
自分に張り付くピクミンを払い、シューがやった事を理解した。
自分と、ほぼ同じだ。
地中で手からピクミンを生み出し、地面を掘り進んで背後に回らせる。
そして中から掘り起こす。
これを埋められた咄嗟に思いついたのだから、シューの力量が伺えるというものだ。
- 568 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:46:53.21 ID:Vh67slpSO
- lw´#‐ _‐ノv「ぬぅぅぅぅぅぅぅああああああ!!!」
ピクミンがシューの体を着々と掘り起こす。
lw´#‐ _‐ノv「よし!もういい!半分はブーンに行け!!」
『ピクー!!!』
ようやく土に汚れた肩が見え始め作業が楽になったので半分をブーンへの反撃に移す。
(;^ω^)「おおおおお!!!」
それを手から生み出し相殺させる。
しかし、その間にもシューは片腕が地面から抜けていたのだった。
lw´#‐ _‐ノv「よっしゃ!覚悟しろブー……」
lw´;‐ _‐ノv「!?」
そこで異変に気付く。
地上に、上がれない。
まるで足に、何かがしがみついているかのように。
- 584 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:50:16.40 ID:Vh67slpSO
- lw´;‐ _‐ノv「くっそ……!!」
考える事は一緒のようだ。ピクミンを地下に潜らせ、自分を引き留めている。
(;^ω^)「うらあああああ!!負けるかよハゲ!!!」
lw´#‐ _‐ノv「はげてねーよハゲ!!」
(#^ω^)「うっせハゲ!!ばーか!!」
ピクミンはせわしなく動き、互いの動きを妨げ続けた。
- 591 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:53:07.48 ID:Vh67slpSO
- lw´;‐ _‐ノv「負けるかよ!!ピクミンの扱いにて、私の右に出るやつなんかいないんだ!!」
(;^ω^)「僕に拮抗してんじゃねーかお!!」
互いが互いを蝕み続ける、千日手。
しかし、シューの叫びがそれを大きく変える事になる。
lw´#‐ _‐ノv「お前に!!わかるのかよ!!」
(;^ω^)「何がだお!!」
- 607 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/26(火)
23:57:36.43 ID:Vh67slpSO
- lw´#‐ _‐ノv「ピクミンは私の友達だ!!お前にはわからないよ絶対!!」
lw´#‐ _‐ノv「自分に文句を言わずついてくるピクミンが、どれだけ感動的だったか!!」
lw´#‐ _‐ノv「リアルに友達がいないから!!飽きる事なくピクミン1、2をやって!!」
lw´#‐ _‐ノv「もしリアルにピクミンがいた時の事を真剣に一晩中考えたり!!」
lw´#‐ _‐ノv「相手がいないバトルモードを、自分でコントローラー2つ使って遊んだり!!」
lw´#‐ _‐ノv「最終的に気づいたら地面にうめられてないかなぁとか考えてた私の気持ちが」
lw´#‐ _‐ノv「お前にわかるもんかよォォォォォォォォ!!!」
(;^ω^)
- 626 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:01:17.55 ID:g/hXxgbLO
(;^ω^)「………」
lw´#‐ _‐ノv「はぁーっ!はぁーっ!……」
互いのピクミンの動きが、止まった。
その静寂の中に、ブーンが言葉を紡いだ。
――――――「僕も、同じだお。」
- 644 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:05:56.32 ID:g/hXxgbLO
( ^ω^)「ドクオ!遊びにいくお!」
('A`)「あ、ごめん。今日なんか用事あった気がするから嫌だ」
( ^ω^)「ツン!遊びにいくお!」
ξ゚听)ξ「あんたがそう言った時はめろんぶっくすにしかいかないんだから私を呼ばないで。もうそろそろ殺しちゃうかもしれないから」
( ^ω^)
――――――
( ^ω^)「みんな!探検いくお!」
『ピクー!』
みんな、ついてきてくれた。
はじめて、一人でもゲームが楽しかった。
- 655 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:09:31.76 ID:g/hXxgbLO
一人でも、楽しかった、けど。
それはなんか、違った。
ピクミンは誰一人、自分の意見を言ってくれなかった。
友達でも、なんでもなかった。
友達100人出来るかな、なんて。
100匹のピクミンを連れて、できたおー!!なんて叫んで
涙が出た事もあった。
- 664 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:12:27.12 ID:g/hXxgbLO
でも、それでも。
('A`)「なぁ、ブーン。遊びに行くか?」
ξ゚听)ξ「あ、私も暇だし、行ってあげない事もないわよ?」
――――――
自分をわかってくれる人はいた。
なぁ、シュー。
君もそのはずなんだ。
その余ったからって足で無理矢理操作してる2コンを
握ってくれる人が、いるはずなんだ。
- 680 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:16:26.79 ID:g/hXxgbLO
それでももし、裏切られて
打ちのめされた時は。
その時は。
( ^ω^)「その時は、僕が2コンを握ってあげるお」
lw´; _;ノv「あああああああああああああああああ!!!!」
掘り起こされたシューは、ブーンに抱きついて行った。
ピクミンは、もうそれ以上動かなかった。
lw´; _;ノv「寂しかった…寂しかったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
麦わら少女は、その畑全てに響くような声で、泣いた。
- 688 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:17:53.02 ID:g/hXxgbLO
――――――かけがえのない友を一人手に入れて
この戦いは、幕を閉じた。――――――
- 705 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:21:12.45 ID:g/hXxgbLO
- ――――――大通り
ドクオの仲間と呼ぶ存在に、でぃという女の子がいる。
彼女は散歩が大好きで、今もその最中だ。
(#゚;;-゚)「はぁ……」
でぃは一人ため息をついた。自分の力について、である。
(#゚;;-゚)「なんでこんな変な能力なんだろうなぁ…」
与えられたのは、お世辞にも強いとは言えない能力だった。いや、便利ではあるのだが、こんなバケモノだらけの世界じゃ利便性など見劣りするだけ、そう思っていたところだった。
(#゚;;-゚)「ん?」
曲がり角を曲がった先は、惨劇だった。
- 714 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:24:12.11 ID:g/hXxgbLO
- ビルの並びが、軒並み粉々になっている。
瓦礫が散乱し、その姿はまさに大災害後と呼ぶにふさわしかった
(#゚;;-゚)「うわぁ、誰がこんな―――」
すると、意外な事にその犯人と思われる人物はすぐ見つかった。
その破壊活動を、現在進行形で続ける女の子がいたのだ。
しかし、これがまたひどい。
誰かから精神系の攻撃でもうけたのだろうか?
完全に、発狂している。
おそらくその目には何も写っていないだろう。
- 724 : ◆BnhUepkPaA :2010/10/27(水)
00:26:33.51 ID:g/hXxgbLO
- ただただ、暴れる。
その純粋な暴力は、その場の瓦礫達をさらなる瓦礫に変える。
(#゚;;-゚)「あららぁ」
(#゚;;-゚)「どうしよ、この子」
んー、と考えてから、でぃは結論する。
(#゚;;-゚)(まぁこの際だし、連れて帰ろうか。私の能力、【幻視】……別に視界ジャックだけで十分と思ってたけど、『こっち』を使える機会が来るとはね)
(#゚;;-゚)「この『感応視』ってやつを」
清算される時が、近かった。
第五話、終わり
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