- 435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 21:01:21.33 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)はあらゆるチート達と戦うようです
第二話。
『前回までのあらすじ』
最強能力決定戦と称してチート野郎どもに囲まれてバトる事になったブーンは
安価で得た【溢れんばかりのコーラを手から出す能力】を駆使し、見事【世界《ザ・ワールド》】を操るモララーを倒したのだった!!
ねーよwwww
- 436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 21:03:46.09 ID:4gYOzM6fO
- 『おいおい、なんだよあのガキ。ブーンって言ったか?』
『あの野郎まじかよww惑星出現させやがったwwww』
『まさかなぁ…不確定因子もこれまた面白いかな、とは思ったけどありゃガチでチートだな』
『びびった。世界潰す気か?あいつ…。思わず結界作ってVIPと『平面的存在《グラフ》』どもをまとめて守っちまったよ』
『じゃあモララーも守ってやれよwwwwあんなの避けれっこねぇしズルすぎるwww』
『おいおい、お前何いってんだよ』
『チートって、そういうもんだろ?』
『………まぁ、そりゃそうか』
『それに、まだまだこんなの序の口だろうぜ』
『ほら、見てみろよ―――――』
- 441 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:06:31.78 ID:4gYOzM6fO
- ―――学校。
( ^ω^)「……」
ブーンは学校の校庭にいた。
目の前には見るも無惨に潰されてしまった元人間がいる。その犯人が自分だと言うのだから、苦笑いするしかない。
( ^ω^)「さーて、と……」
これからどうしようか。と、ブーンは考える。
今回のバトルは勝てたとは言え、その勝因はというと「能力を初めて使った相手のまだ不慣れな部分を突けた」という所によるものが大きい。
もし今後も【世界《ザ・ワールド》】のような能力が出てきたらと思うと、わからなくなくなる。
- 443 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:08:12.68 ID:4gYOzM6fO
- ブーンの能力、【気分次第《アンカーテイク》】。
これは、当たりがあるかもどうかもわからないルーレットを回すような能力だ。
一人では、戦闘の不確定要素が多すぎるのだ。
そう、一人では。
( ^ω^)「やっぱ、仲間が欲しいお……」
敵にするには怖すぎるやつらばかり。逆に言えば、仲間にすれば心強いものも多いだろう。
ブーンは半壊となった学校を出て、街の中心部へと向かった。
後片付けは…まぁ、気にしない気にしない。
- 444 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:11:26.07 ID:4gYOzM6fO
- ブーンはこの『仮想都市VIP』とやらが、どのような広さやどの程度の街なのかを知りたかった。
地図くらい用意してくれりゃあいいのにと思いつつも、とりあえずは大通りを目指し道なりに進む。
すると、すぐに商店街に出た。
( ^ω^)「…人が一人っ子いねぇお…」
商店街は、もしアニメなら木枯らしが吹き抜けて行きそうな状態だった。
この辺りには能力者はいないのだろうか。でないと、物音1つしないというのはさすがにおかしい。
能力者、それは一つ動けば何かが壊れる、そんな連中であるはずだ。
ξ--)ξ
そう、例えばこんな商店街に置いてあるベンチで横になって寝てる少女のような連中ではないはずだ。
- 450 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:15:23.15 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)
ξ--)ξ「むにゃ…いや、私はピーチ姫じゃございません。人違いです…」
( ^ω^)
(;^ω^)「つ、ツンんんんんん!!?」
クラスメートだった。
認めたくないが、この浮浪者ガールはブーンのクラスメートだった。
(;^ω^)「おい、ツン!ツンデレ!お前どうしたお!」
ξ-听)ξ「んぁ…?誰よアンタ。私はピーチ姫じゃないって言ってるでしょ」
(;^ω^)「いいから起きろお!つーかお前のその巻きグソ髪以外のどこにピーチ姫との接点があんだお!!」
ツンデレ、通称ツン。ブーンのクラスメートだ。
元の世界の学校では、ブーンとドクオとツンの三人コンビは仲良しとして有名であった。
その少女が、目の前にいる。
- 452 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:18:24.82 ID:4gYOzM6fO
- ( #)ωメ)「…つまり世界が嫉妬するほど綺麗な巻き毛をお持ちのツン様は、敵に追われてたけど命からがら逃げきって、ここに辿りついたお?」
ξ゚听)ξ「ええ、そういう事」
しこたまボコボコにされてからようやくツンの話を聞く事に成功したブーン。
ツンはどうやらこの世界に飛ばされ、初っぱなから強い能力者と出会い、そして逃走していたらしい。
ξ゚听)ξ「それで疲れたから、ここで休んでたらいつの間にか寝ちゃってたのよ」
( ^ω^)「なるほー」
でも、良かった。知り合いがいるというのは、やはり心強かった。
( ^ω^)「いや…よく逃げれたお。そいつはどんな能力だったんだお?」
ξ゚听)ξ「よくわからないわ。私、あんまり漫画とか読まないもの。ただ…」
( ^ω^)「ただ?」
ξ゚听)ξ「あんなの、勝てっこない。ひどいチートだったわ」
- 455 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:20:40.94 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「…断片でもいいから、何が起きたか教えてくれお」
ξ゚听)ξ「本当にわからないわ。でも、何をしても勝てないと思った。全部の攻撃が『そっくりそのまま跳ね返された』の」
( ^ω^)「跳ね返される?」
ξ゚听)ξ「文字通りよ。しかも、それだけじゃない。いきなり何の踏み込みも無しに、一回地面を蹴っただけで10mは飛んだり。何が起きてるのか…」
( ^ω^)「ッ!!」
それは知ってる。ブーンはそう思った。
もしかして、それって。
( ^ω^)「アクセラレータ……?」
- 457 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:22:31.89 ID:4gYOzM6fO
- 【一方通行《アクセラレータ》】。
とある魔術の禁書目録という小説に出てくる能力だ。
「最強の能力は何か」という話題の時には、いつだってこいつが現れる。
その力は「ベクトル操作」。
運動量・熱量・光・電気量etcといったあらゆるベクトルを観測し、触れただけで変換する能力だ。
平常時は「反射(ベクトルの反転)」に設定されており、ありとあらゆる攻撃を自動的に跳ね返してしまう。
つまり、傷つける事が出来ないのだ。殴っても斬っても撃っても、核爆弾を受けても生きていられる、まさにチート能力。
(;^ω^)「…そいつの見た目はどんなだったお?」
ξ゚听)ξ「………背の高い女だったわ」
( ^ω^)「首になにか、ついてなかったかお?こう、チョーカーみたいな…」
ξ゚听)ξ「? なかった気がするけど…」
しかも、制限無し。
一方通行全盛期だ。
- 461 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:25:17.95 ID:4gYOzM6fO
- とは言え、それも予測の域を出ないのだけれど。似たような能力があるのかも知れない。
そんなチート野郎が2人もいて欲しくないのは、事実だけれど。
( ^ω^)「とにかくまぁ、次にまたそいつとあったら絶対逃げるお。リベンジとか考えちゃ駄目だお?」
ξ゚听)ξ「……わかった。そう言えばブーン。アンタの能力はなに?」
( ^ω^)「ん?…つーかまず、よく考えたらツンの能力ってなんなんだお?聞いてなかったけど」
ξ゚听)ξ「あぁ、それなんだけどね…」
ξ><)ξ「能力説明書なくしたからわかんない☆キャピーン」
( ^ω^)「うっわマジかお前しねお」
- 464 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:29:48.28 ID:4gYOzM6fO
- ξ゚听)ξ「役に立たなくてごめんね?ブーン…」
( #)ωメ)「いいお。僕の能力があるし、か弱くてか弱くてか弱〜いツンに戦闘をさせるわけにもいかんお」
ひでぇ。グーで殴られた。ひでぇよ。
ξ゚听)ξ「それで?あなたの力は?」
( ^ω^)「ああ、それは………」
ブーンは話した。
自分の能力、アンカーテイクについて。
そしてそれを使い、既に一人倒した事について。
- 468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 21:34:39.55 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「――――ってな事がありまして」
ξ;゚听)ξ「…すごい。なんてデタラメな力よそれ…」
( ^ω^)「まさか僕も出るとは思わなかったけど、やってみるもんだおwww」
ξ゚听)ξ「とりあえず、それがあるならちょっとは安心ね。一緒に行動してくれる?」
( ^ω^)「オッケーだお。僕も、まさかこんなに早く目的達成出来るとは思わなかったお」
ξ゚听)ξ「目的?」
( ^ω^)「うん、一人じゃ心細いし、仲間を探したかったんだお」
ξ゚听)ξ「仲間……って言っても、私は役に立たないわよ?」
( ^ω^)「そんなの気にしてないおwww」
- 471 名前: ◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:39:09.26 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「僕はツンだからいいんだお。能力が使えなくっても、ツンは親友だお。僕からもお願いするお。共に行動して下さい」
ξ゚听)ξ「やば。超かっこいい。アンタ大好き」
( ^ω^)「知ってる。僕も自分が大好き」
( #)ωメ)「なぜなぐったし」
ξ゚听)ξ「なんとなく」
( ^ω^)「そんじゃま、行くお。ドクオも飛ばされてたりするのかな?もしそうなら、一刻も早く見つけないと」
ξ゚听)ξ「………そうね」
- 475 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:43:48.50 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「とにかく、なるべく戦わないように、かつドクオは見つかるようにいくお!」
ξ゚听)ξ「馬鹿かアンタ。そんなの出来るわけないでしょ?」
( ^ω^)「やらないと出来ないの違いはうんたらかんたら、だお!れっつらごー!!」
右手の握り拳を高々とあげ、反転し歩き始めるブーン。
ツンはあきれたようにブーンについていくのだった。
ξ゚听)ξ「まったく、この馬鹿は…」
ξ゚听)ξ(危機感なさすぎ。…本当に、馬鹿なんだから…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ドクオ?う、嘘でしょ?」
「何が?」
「やめてよ。私たち、友達でしょ?」
「ああ、そうだね。そうだったね」
- 480 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:47:17.16 ID:4gYOzM6fO
- 「だからって、でも見てよこの力。どんな攻撃も当たらないんだぜ?反射しちまうんだ。それどころか、紫外線とかも反射しちまってるからかな?色素いらずで髪の毛の感触が変わってきてて面白いぞww」
「あ、アンタ本当にドクオなの?」
「そうだよ。でも確認の必要はなくね?」
「………?」
「今すぐ殺してやるからよ」
「ど…ドクオ、ちょ……きゃあああああああああああああああ!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ξ-听)ξ「………」
- 482 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:52:14.48 ID:4gYOzM6fO
- ξ゚听)ξ(ブーン。今の状態のアンタを、ドクオに合わせるわけにはいかない)
( ^ω^)「〜♪」
ξ゚听)ξ(ドクオはもう完全に狂ってた。得体の知れない力を持って…)
ξ゚听)ξ(ブーンはドクオに手をかける事なんか絶対に出来ない。なら、せめてブーンだけでも私が救う)
( ^ω^)「早くいくお!ツン!…ん?考えこんだ顔でどうしたお?悩める私カワイイ(笑)みたいなスイーツ(笑)思考真っ最中かお?」
ξ゚听)ξ「殺す」
(;^ω^)「ギャアアアアア!!!!」
ξ゚听)ξ(もう一度、あの楽しい学校生活へ…)
- 486 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
21:56:34.96 ID:4gYOzM6fO
- 商店街を、道なりに進む二人。どこまで歩いても、寂れた雰囲気だけは消えそうになかった。
( #)ω^)「とりあえずは、仲間探しだお…」
ξ゚听)ξ「そうね。まともそうな人、どこかにいないかしら?」
( ^ω^)「うーん、知り合いとかならまだ安心出来るんだけど……」
と、言いかけたその時。
「も、もしかして………ブーン君に、ツンさん?」
後ろから、か細い男の声がした。
- 500 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:03:40.13 ID:4gYOzM6fO
(-_-)
そこにいたのは、身長の低い男だった。
髪がボサボサ服はよれよれの…一言で言うなら、わかりやすく引きこもりスタイルの男が、いた。
しかし、ツンとブーンには見覚えがあった。
( ^ω^)「………お、えっと……」
( ^ω^)「ヒッキー、君だお?」
(-_-)「そうだよ!良かった!」
ヒッキー。こいつもまた、クラスメートだ。
……二学期なってから、学校に一度も顔を出していないが
- 505 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:05:21.47 ID:4gYOzM6fO
- (;-_-)「不安だったよ。こんな得体の知れない世界に飛ばされて、しかも一人で…」
ξ゚听)ξ「アンタ、他に誰とも会わなかったの?」
(;-_-)「うん、怖かったよ……」
( ^ω^)「まぁ、良かったお!ちょうどこっちも仲間探ししてたとこだし、一緒に行動するお!」
(-_-)「ホントに!?」
ξ;゚听)ξ「ちょっ……」
( ^ω^)「? どうしたお?」
ξ;゚听)ξ「いや、なんでもないけど……」
- 509 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:10:22.00 ID:4gYOzM6fO
- ξ;゚听)ξ(ブーン…アンタ本当に危機感が無さすぎる…)
ツンは焦燥を覚える。こんな状況なのに、普段と変わらぬ神経でいられるブーンに。
クラスメートだと言うだけだ。しかも引きこもり。失礼だが、信用ならなさすぎる。それをいとも容易く許容してしまった。
ξ;゚听)ξ(もし敵なら、とか考えないもんかなぁ…?)
(-_-)「良かった!助かったよ!」
( ^ω^)「怖いのは誰でも一緒だお!助け合わなきゃ、だお」
ξ゚听)ξ(…少し、試すか?)
ξ゚听)ξ「………ねぇ、ヒッキー君」
(-_-)「? なんだい、ツンさん」
ξ゚听)ξ「あなたの能力ってなに?」
- 513 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:16:09.60 ID:4gYOzM6fO
- (-_-)「僕の能力?」
ξ゚听)ξ「そう、アンタの能力。使ってみてよ!私見てみたいな!」
(;^ω^)「? ツン……?」
ツンは最初からヒッキーを信用してはいない。
懸念事項があるからだ。
実は、ツンは学校で、一度もヒッキーとまともに話した事がないのだ。
なのに。
ξ゚听)ξ(こいつ、引きこもりでしょ?なんで、こんな流暢に私達と喋ってんのよ…)
まぁ、もし本当ならそれでよし。
嘘をついたりするならそれでもよし。
こいつの力を見極めて、ブーンを守る。
そう考えていた。
(-_-)「いいよ!信用してもらう為だしね!」
- 520 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:19:52.27 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「お、みたいお!どんなのだお?」
ξ゚听)ξ「………」
(-_-)「簡単に言うと、テレキネシスみたいなものだよ。この目で見たものを、操る程度のね」
ξ゚听)ξ「へぇ……」
(;^ω^)「そりゃまた、汎用性が高そうな能力だお」
(-_-)「そうなんだ。でも、一つだけ条件があってね」
(-_-)「僕の瞳が悪魔の瞳になった時にしかこれは使えないんだ」
- 530 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:24:20.26 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「悪魔の瞳?知らない能力だお…」
(-_-)「うん、悪魔の瞳。僕も知らないし、もしかしたらオリジナルの能力じゃないかな?ちょっと待ってね、いま悪魔の瞳を喚んでみる。これが中々難しくて……」
(*^ω^)「wktk」
ξ゚听)ξ「………?」
(-_゚)「ほら、これが悪魔の瞳だよ。見えるかな?変な色でしょ?」
( ^ω^)「おお、なんだこれ?なんか変な紋様みたいなのが見えるお」
まるで、ツバメのような紋様が、目の中に………ん?ツバメ?
この形、どこかで見た事あるような……。
- 535 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:27:03.38 ID:4gYOzM6fO
- ………ギアス?
ブーンが確信に至った時、総毛が逆立つのを覚えた。
まさか、こいつ――――――
(-_゚)「…根倉ヒッキーが命じる」
(;^ω^)(しまっ――――――)
ξ;゚听)ξ「ブーン、危ない!!」
(-_゚)「僕に逆らうな!!!」
――――――
- 542 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:30:02.73 ID:4gYOzM6fO
(; ω )「……」
( ^ω^)「………お?」
(-_-)「チィ………外したか。この女、いきなり突き飛ばしやがって。でもまぁ、結果オーライか」
ξ )ξ「………」
(-_-)「この女を、捕まえれたなら」
(;゚ω゚)「ツンンンンンンン!!!!」
- 555 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:35:10.88 ID:4gYOzM6fO
- (-_-)「あーあ、なんだかなぁ。お前、助けられちゃったなぁ」
(;^ω^)「ヒッキー君?なんで……」
(-_-)「あ、能力説明の途中だったね。聞く?」
(;^ω^)「いらねぇお!その力は【ギアス】!ルルーシュの、『絶対遵守』!!」
(;^ω^)「その目を見ながら命令されたやつは、その命令に絶対に逆らえない能力だろーがお!!」
(-_-)「ちゃんと説明ありがとね、アニオタ君」
(;^ω^)「なんで、なんでこんな事………」
- 564 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:40:17.74 ID:4gYOzM6fO
- (;^ω^)「………」
ブーンは狼狽する。
裏切られた?そんな事はどうでもいい。それより、自分のせいで、ツンが……。
(;^ω^)「ツンを返せお!!」
(-_-)「やだよ。え、何ムキになってんの?キモーイ(笑)なぁ、ツン?」
ξ )ξ「………」
(;^ω^)「お前………!!ただじゃおかねえお!!」
(-_-)「おいおい、わかるでしょ?そんな負け犬発言されてもなぁ」
(-_-)「こいつ、人質。お前、手を出せない。そんなベタな展開。オーケイ?」
(;^ω^)「………何が目的だお」
- 570 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:44:40.15 ID:4gYOzM6fO
- (-_-)「ああ、まだ危害を加える事はしないよ。聞きたい事がある」
(;^ω^)「………?」
(-_-)「『選択者《アレンジ》』。お前、知ってるか?」
(;^ω^)「………?なんだお、それ……」
(-_-)「……知らないか、ならいい」
(-_-)「おい、ツン」
ξ )ξ「はい」
(-_-)「そいつを殺せ」
ξ )ξ「わかりました」
(;^ω^)「――――――!?」
- 578 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:50:29.74 ID:4gYOzM6fO
- ξ )ξ
虚ろな目をしたツンが、こちらに向かって走り出す。
(;^ω^)「ちょ、ツン!!!」
ブーンの一言で止まるわけもない。走ったままの勢いで、ツンは右拳を振り上げ
目にも止まらぬ速度で、そのままブーンを殴り倒した。
(-_-)「?」
(;゚ω゚)「がっあ………!!!」
痛い。これが、女の拳なのか?鉄の塊をぶつけられたかと思った。
商店街のタイル敷きの地面に倒れ込み、ツンに見下される。そして、次の拳が握られた時
(-_-)「おい、ツン」
命令者の声が下る。
ξ )ξ「はい」
(-_-)「なんで素手なんだ?能力使えよ、能力」
ξ )ξ「能力は……使えません、説明書、なくしたから」
(-_-)「………ふうん」
- 584 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:55:32.68 ID:4gYOzM6fO
- (-_-)「まぁいい。それなら、素手でやっちまえ」
ξ )ξ「わかりました」
言うや否や。またツンに殴られる。
今度はがら空きの鳩尾に、強いのを一発。
(;^ω^)「う゛っ!!」
(-_-)「くく………楽しいなぁ」
(-_-)「学校じゃ、俺の欲しいものは何一つ手に入らなかったんだ。せめてこっちの世界じゃ、好き勝手やらせてもらうぜ?」
ξ )ξ
ドスッ!ゴスッ!と、殴打の鈍い音だけが響く
(-_-)「あんだけ殺したかったクラスメートも、こっちじゃこんな簡単になぶれるんだ!!こりゃ楽しい!!ひゃはははははははは!!!」
(; ω )「………」
- 586 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
22:59:13.17 ID:4gYOzM6fO
ξ )ξ
ドスッ!ゴッ!バコッ!
音は止まらない。しかし、ブーンは冷静に考える
(; ω )(ツン…ごめんな)
――――――必ず助けてやるお。
(;゚ω゚)「【気分次第《アンカーテイク》】!!!!」
- 593 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:01:31.79 ID:4gYOzM6fO
- (; ω )「さぁさあみなさん!お待ちかねの時間だお!!」
(; ω )「今回は仲間が操られる王道パターン!しかもヒロインといういらん付与効果!!」
(;^ω^)「これを打破する、あなたの厨二妄想をお願いしますお!!指定アンカーは………
>>605!!」
- 605 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/23(土) 23:02:17.31 ID:IRxxz9aU0
- 座布団を一週間近く回し続けられる能力
- 657 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:05:05.32 ID:4gYOzM6fO
- 『能力が決定しました』
[605]以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[] 2010/10/23(土) 23:02:17.31 ID:IRxxz9aU0
座布団を一週間近く回し続けられる能力
(;^ω^)「またこのパターンかぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
ブーンはツンに殴られた。
不思議と、今までで一番痛かった。
- 678 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:08:36.28 ID:4gYOzM6fO
- (;^ω^)「どうする………!!」
ξ )ξ
こうしてる間にも、ツンは止まらない。
しかし決まったものは決まったものだ。この能力、どう活用するべきだ?
(;^ω^)(幸い、ここは商店街……座布団がある店は、探せばあるだろう。そこからが問題なんだお)
(-_-)
あそこで気持ち悪い笑みを浮かべる男を、どうやって倒す?
- 694 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:13:38.88 ID:4gYOzM6fO
- (;^ω^)「まずは座布団を探す!!そっからだお!!」
ξ )ξ「ッ!?」
今までほぼ無抵抗だったブーンは、そこでようやくツンに抵抗を見せる。
ツンを突き飛ばし、斜め前に向かって一直線に走りきる。
目指すのは、『茶屋』の看板がある純和風の店。
座布団があるかも知れない。
ちなみに突き飛ばす時に少し胸に触れたが、そこはまぁ、うん。不可抗力。
成長してねぇな、ツン。
(-_-)「!?」
いきなりの固い意思がある行動に、ヒッキーは驚愕。
しかし、ツンがそれを追いかける様を見て落ち着きを取り戻し
(-_-)「ふん。何をしたって、ツンは救えないのがわからないのか?」
そう吐き捨てた。
- 716 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:20:13.92 ID:4gYOzM6fO
『茶屋』のドアを乱暴にあけ、室内を散策。
(;^ω^)「――――――あった!!!」
目当てのものは意外とすぐに見つかった。
柔らかく四角い、日本の良さが滲み出ている座布団。
これが今回のキーワードになるはずだ。
(;^ω^)「よし、これを………」
言いかけた時、ドアにはツンが追いついていた。
ξ )ξ「………」
(;^ω^)「やべっ!!」
座布団を脇に挟み、右拳を振り上げたツンの腕下を抜けるように交わし、
(;^ω^)「悪いツン、ちょっと我慢してくれお!!!」
そして後ろに回り込み、思いきり突き飛ばした。
ツンは派手に転ぶ。しかし、仕方ない。何も、この兵器座布団をツンに使う必要はないのだ。無駄な危害は加えたくはない。
- 726 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:24:55.09 ID:4gYOzM6fO
- (;^ω^)「んで、ちょっとここで待っててくれお!!」
店を出る。店頭にあったベンチをドアの前に動かし、即席のバリケードを作る。これでツンを少しの間は足止め出来るハズだ。
そして。
(-_-)「なんだ。座布団かかえて、どうした?大喜利でも見せてくれんのか?」
(;^ω^)「そんな戯言が吐けるのも今のうちだお、ヒッキー!!」
(-_-)「言っとくが俺に危害を加えれば、直ちにツンに自害するように言うからな」
(;^ω^)「はっ!脅しにもなんねーお!!」
とくと見やがれ!!
そう言い、ブーンは手に座布団をのせる。
- 737 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:28:58.48 ID:4gYOzM6fO
座布団は、回る。
回る。回る。回る。
綺麗に回る。美しく回る。雅に回る。
その様は例えるならまさに撫子。これは素晴らしい。
( ^ω^)「………」
ブーンは手の感触が気持ちよかった。
安定感が半端じゃない。
この安定感はまるで、サザンオールスターズの新曲を初めて聞いた時にも感じるそれに似ていた。
バレリーナの回転より、地球の自転より。
その座布団回しは、美しかったのだ。
- 743 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:30:45.93 ID:4gYOzM6fO
- (-_-)
( ^ω^)
小さく風を切る音だけが、その二人の間を取り持った。
(-_-)
( ^ω^)
(-_-)
言葉はなかった。
- 746 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:33:00.95 ID:4gYOzM6fO
(-_-)「なぁ」
( ^ω^)「ん?」
(-_-)「それなんの意味があr――――――」
その時、突如、ブーンの遥か左から
謎の黄色い波動が生み出され、ヒッキーを襲った――――――。
- 760 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:37:24.57 ID:4gYOzM6fO
- ( ^ω^)「………え」
( ^ω^)「えええええええええええええ」
どうもみなさんブーンです。語らせて下さい。
今僕は座布団を回しています。楽しく回しています。
そしたらなんと、左側から変な波動砲みたいなの出てきて
ヒッキーを吹っ飛ばしちゃいました。
いや、正確にはヒッキーだけじゃなく、直線上にあるものを軒並み破壊していきました。
そして、僕の左と言えば、今出てきた茶屋です。
茶屋の中にいるのは僕の友達です
ξ゚听)ξ「………ふぅ」
(;^ω^)「ええええええええええええええええええええ!!!?」
ブーンは座布団を回しながら驚いた。
- 768 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:39:35.87 ID:4gYOzM6fO
- (;^ω^)「なっ……!ツン、どういう………!ってゆーか今の………」
ξ゚听)ξ「あぁ、バレちゃったわね」
ξ゚听)ξ「説明書なくしたっての」
ξ゚听)ξ「あれ、うそ」
( ^ω^)
(^ω^)
/(^ω^)\ナンテコッタイ
↑
ちなみに、こうしている今も座布団は回っている。
- 781 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:44:22.45 ID:4gYOzM6fO
- ξ゚听)ξ「私の能力ってか、今のが私の力なんだけど……」
ξ゚听)ξ「見た事あるでしょ?」
(;^ω^)「あーあ。しっかりわかったお。ツンの能力と、なんでツンが能力を隠してたのか」
あの黄色い波動。力の収束もなく原理もなく、ただただ力だけをふるった技。
(;^ω^)「さっきのは北斗真拳奥義『天将奔烈』。しかもただの北斗真拳じゃなく、これが使えるのは剛の拳を持った人間のみ、お前………」
ξ゚听)ξ「そうよ」
ξ゚听)ξ「【北斗真拳】。詳しく言うなら」
――――――ラオウ。
- 797 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:49:03.04 ID:4gYOzM6fO
ツンは男勝りな性格をしていて、しかもそれがコンプレックスな女の子。
そんな娘が、能力がラオウだと知ったその時には、どうするだろうか?
その結果がこれである。
ξ゚听)ξ「言ってしまえば、あんな【ギアス】なんか最初っからかかってなかったわよ。」
(;^ω^)「まじで?」
ξ゚听)ξ「わたしを誰だと思ってるの?」
――――――世紀末の覇者ラオウの力があんな目から出る自己暗示程度で潰せると思う?
その威圧感に、ブーンは鳥肌が止まらなかった。
そして、ツンには逆らわないと心に誓ったのだった。
- 807 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:52:31.30 ID:4gYOzM6fO
- (((;^ω^)「あの、つまり殴ってたのは演技だったんですか?」
ξ゚听)ξ「手加減しない方が良かった?」
(((;^ω^)アワワワ……
ξ゚听)ξ「冗談よ。でも、感謝はしてるのよ?私の奥義、モーションがでかすぎるから、どうにかして相手に隙が出来ないと当てれないの」
(;^ω^)「お、じゃあ、座布団回しが……」
ξ゚听)ξ「そうよ。ありがとね」
- 816 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:57:14.73 ID:4gYOzM6fO
- ( *^ω^)「おっ………」
ξ゚听)ξ「まったく、役立たず」
(;^ω^)「う」
ξ゚ー゚)ξ「馬鹿」
……本当はこの能力を最後まで隠すつもりだったんだけどね。
ごめんなさいブーン、私はあなたを信用しきれてなかった。
その上アンタ、座布団て。その時点で逃げ出さないその神経、どうにかしてるわよ。
でも、アンタは自分に出来る事をやろうとした。
どんな不条理を突き付けられても、精一杯私を助けようとしてくれた。
ξ*゚ー゚)ξ(あは…本当にこいつは……)
だから、あなたにならついていける。そう思える。
- 824 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/23(土)
23:59:58.18 ID:4gYOzM6fO
- ξ゚ー゚)ξ(もしかしたら、ブーンならドクオを救えるかもしれない。だから私はそれまで、あなたを守る。どんな強敵に会っても、ね)
ξ゚听)ξ「ありがとね、ブーン」
( ^ω^)「礼を言うのはこっちだお。ありがとうお、ツン」
こうしてまた、一つの戦いが終わった。
- 836 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日)
00:04:05.70 ID:RaK+trrfO
- ――――――某所
/ ,' 3「………」
/ ,' 3「腹、減ったなぁ」
そこにいるのは、老人。
後ろには、
4人の死体。
/ ,' 3「そろそろ面白いやつ、こないかなぁ」
('A`)「お」
/ ,' 3「ん?」
- 847 名前:
◆BnhUepkPaA :2010/10/24(日)
00:05:59.37 ID:RaK+trrfO
- ('A`)「おじさん、強そうだね」
/ ,' 3「そんな事ないぞ。せいぜいお前をフルボッコに出来る程度じゃ」
('A`)「へぇ」
――――――
世界はまだまだ回る。
未だにブーンの手で回り続ける、座布団のように。
第二話、終わり。
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