- 694 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:41:52 ID:xbjSrQMM0
- .
── どいつもこいつも、バカで助かった。
カードをぎこちなくシャッフルしながら、田中ポセイドンは内心そう毒づいた。
.
- 695 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:43:29 ID:xbjSrQMM0
- _,
(::::A )
_,
(;-[]3[])
白いテーブルを挟んで、二人の男が対峙する。
傍らでは一人の少女が身を固くしている。
_,
( 'A`)
(*〓〓)
_,
(;-[]3[]) 「……」 シャッ シャッ…
グレーの壁に囲まれた室内(ギャンブル
・ ルーム)。
透明のバリアは無機質に三者を分かつ。
ポーカー勝負は、再開された。
.
- 696 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:44:24 ID:xbjSrQMM0
- .
ある意味では当然の成り行きだった。
ポセイドンは 『 催眠能力の支配下へ、しぃを完全に堕とす
』
ドクオは 『 しぃを呪縛から解放する 』
。
今もって、互いにその目的を果たせていないのだから。
閉ざされた空間には濃密な空気が満ちていた。
仕切りの向こう──不健康そうな顔つきの、痩せた男。
内藤ドクオは神妙な顔つきで、ポセイドンのほうを見つめていた。
(;*〓〓) 「……」
猫塚しぃ。
渦中の少女。 儚げな雰囲気をまとう高校生。
端正な顔はアイマスクで覆われ、うつむく姿はポセイドンの嗜虐性をくすぐる。
彼女は辛うじてその意思を保っているが、もはや傀儡も同然だ。
コ ト ダ マ
ポセイドンによる催眠能力の楔は、すでに半分打ち込まれている。
.
- 698 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:45:43 ID:xbjSrQMM0
- .
黒髪の女──クーたちの倉庫内への進入を許してしまったことで、
人質であったギコを奪還され、さらにはサイコキネシスト(兄者)も解放されてしまった。
だが最終的に、しぃが人質として機能している限り、ドクオ達も迂闊にこちらへ手出しできない。
未だアドバンテージは自分にある。
彼女をめぐる争いは、
結局のところ “ ゲーム ” を通じてでしか、解決されないのだから。
('A`) 「……いつまでシャッフルし続けるつもりだ? イカサマ野郎」
しびれを切らしたのか、眼前の相手が吐き捨てた。
ポセイドンは唇を噛むと、
テーブル上で腕組みするドクオに、カードの束を突きつけた。
.
- 699 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:47:04 ID:xbjSrQMM0
- .
(-[]3[]) 「……」
透視能力者の黒服 ── 滝沢は、彼らによってその身を拘束された。
ゲーム中、見張りの一人として外に立つ滝沢が、コンテナ内を
“ 透視 ”。
ポセイドンのカードを確認し、手の内の発信機を操作する。
ポセイドン側は胸ポケットの携帯でそれを受信。
手札(ハンド)のランク1〜13を、携帯のバイブレーション
・ パターンで “ 通す ” のが、
彼のおこなってきたイカサマの、一連の手口だった。
_
(;-[]3[]) (……ちっ! あいつらさえ来なければ……)
ポセイドンは先ほどまでの騒動を回想する。
黒服のチャネラー……滝沢が、水の大蛇に引き倒されたシーンを。
===
==
=
.
- 700 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:48:55 ID:xbjSrQMM0
- .
『 や、やめろっ! 離せ! 』
(#,,#)Д゚) 『 いまだ、つかまえろッ! 』
(;'A`) 『 グラサン! グラサン野郎のグラサンを取れ!
』
(; ^ω^) 『 おおおおっ! よ、よくわかんないおー!
』
川 ゚ -゚) 『 おらっ 』 ヒョコ
■■ヘと 彡
『 !! 』
_,
(; ゚ω゚) 『!? 眼がっ……』
川 ゚ -゚) 『! 碧い、な 』
( ´_ゝ`) 『 ガイジンか? 』
(; ^ω^) 『 お……でも、さっきまではめんたまに色なんてなかったお。
フツーの角刈りのおっさんだったお!
』
(,,#)Д゚) 『 オッドアイ、ってやつかぁ?
』
川 ゚ -゚) 『 なんだと……角刈りのくせに……
』
(* ´_ゝ`) 『 なんだかハートがうずくぜ
』
川д川 『 こ……これも……超能力の一種……ですか?
』
川 ゚ -゚) ( 角刈りが……?)
.
- 701 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:51:42 ID:xbjSrQMM0
- _,
(;'A`) 『 ずっとおかしいと思ってたんだ。
倉庫内は外より明るいとはいえ、夜だぞ。
サングラスをかけるほどの照度じゃない。つまりこれは……
』
( ´_ゝ`) 『 透視能力か 』
( 'A`) 『 そう、目の色を隠すためだったんだよ。 あと視線の方向も
』
( ^ω^) 『 ニーチャンが急に頭良くなったお!
』
(:::'A`)+ ( まあ今思いついたんだけど )
(,,#)Д゚) 『 おい見ろ! なんか手に持ってやがんぞ!
』
『 や、やめt 川 ゚ -゚) 『 おら 』
ぎゃああああ!! 』 ギリギリ
川 ゚ -゚) 『 なんだこりゃ? リモコン……?
』
そ
( n´_ゝ`)η 『 どかーん!! 』 l||!
川l|l゚ -゚) l|l ビクビクッ
- 702 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:53:21 ID:xbjSrQMM0
- .
川д川 『 でも……よく気付きましたね……ドクオさん
』
(;'A`) 『 現にさ、他の黒服は、誰もグラサンなんて着けてないだろ?
威嚇が目的なら最初からかけとくだろうし、
倉庫に入ってから急に着けるってのはちょっと変だと思ったんだ
』
( ^ω^) 『 そういえばこのオッサン……ボディチェックの時、
やたらジロジロ猫塚さんを見てた気がするお
』
(;゚A゚) 『 なにぃ!? こ、こいつどさくさに紛れてしぃちゃんの白パンを透視してたのか!?
』
(;,,#)Д゚) 『 ……なんで色とかわかるんだよ
』
(#)_ゝ(#)b 『 見えちゃったからな! 偶然!
今日!
まあ今日っつっても27話の107レス目だから投下日時で言ったら3年前で……
』
Σ(;,,#)Д゚) 『 3年前!? って、なんでせんせーがここにーッ!?
』
(;'A`)ノノ゙ 『 あーとりあえずストップ! あとで説明する! ていうか収拾つかなくなる!
』
川;д川 『 …… 』 オロオロ
( ^ω^) 『 ククク……黒の魅力がわからんとは皆まだまだ甘ちゃんだお……
』
川 ゚ -゚) 『 こいつらまとめて消し去りてえ……
』
=
==
===
- 703 名前:名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 21:54:37 ID:xbjSrQMM0
- .
透視能力の発動中、滝沢は瞳の色が変化する。
やっかいなことに、直接瞳を覆うと能力が使えなくなるらしい。
つまりカラーコンタクトの着用は不可。
『 ならばサングラスで隠せばいいじゃないか。
たかが黒服一人の動向に、
文字通り “ 目の色を変え ” る者など、ここには居やしないさ
』
そう指示を出していたが、結果的にその油断が仇となった。
_, ,
(;-[]3[]) (チッ。 ただのバカどもじゃなかったってことか)
援軍チャネラーの乱入、そしてイカサマの露見。
想定外に次ぐ想定外の騒動を経て、積み上げてきたゲームの流れは崩壊し、
あとは超能力者たちのガチンコバトル突入必至かと腹を括った。
ところが現在。
構築されし秩序は、肉を削がれ皮を切られつつも、
危ういバランスのまま、その骨組みを保っている。
ゲームのルールはほとんど変わることなく、ポセイドンは再び四角いテーブルに着いている。
全てはダイオードの鶴の一言が原因だった。
〜 〜 〜
.
- 714 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:46:50 ID:LqW4SQPE0
- .
『 ────で、ポーカーはどうするん?
早いトコ終わらせて欲しいケド 』
この物言いには、侵入者たちだけでなく、ポセイドン自身も驚かされた。
こちらの陣営には、黒服数名に加えて、タムラ、ダイオードがいる。
ドクオ側は今や七人ものチャネラーを擁する異能集団だが、
そのほとんどが “ ロッカー ”
によって超能力を封じられている。
単純な戦力は互角程度ではないかとポセイドンは踏んでいた。
とはいえ流れのままに超能力バトルへ突入するのは本意ではない。
ポセイドンは弱い。 蛮族どもの乱闘に巻き込まれるなんてまっぴら御免だ。
そしてなにより。
ポセイドンがしぃの 『 精神 』 を手中におさめるためには、
ゲームという一連の儀式を介し、勝利のフラグを完全に成立させる必要がある。
相手にとっても同じことだ。
しぃに掛けられた呪縛を解くには、ドクオはこのゲームに勝たなければならない。
それがわかっていたからこそ、
ドクオたちはポーカー勝負の続行を承諾せざるを得なかった。
綱渡りのバランスで、互いの利害が一致した。
.
- 715 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:49:18 ID:LqW4SQPE0
- .
ゲーム再開。
では、ルールはどう設定し直すべきなのか?
滝沢の存在が明るみになった以上、今までどおりとはいかないだろう。
その点についても、いち早く采配を振ったのはダイオードだった。
『 イカサマは、確かにあった 』
今後、滝沢はドクオたちの手によって無力化される。
当然の処置であり、ポセイドンサイドとしてもこの程度の要求は呑まざるを得ない。
.
- 716 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:51:54 ID:LqW4SQPE0
- .
『 ……つっても、見抜けなかったほうにも責任があるケド
』
ダイオードは続けた。
つまり。
ポセイドンサイドは、発覚した不正に対し、一切のペナルティなし。
勝った時の褒賞─── しぃへの “
コトダマ ” 行使も変わらず。
リスタートではなく、コンティニュー。
ゲーム中断前と変わらないチップ状況のまま、勝負を再開する。
もちろんドクオが勝てば、最初の約束通り、しぃを解放する。
その点は変わらない。
一触即発の雰囲気の中、こんな提案をしたダイオードの図太さにも驚かされたが。
.
- 717 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:53:26 ID:LqW4SQPE0
- .
(-[]3[]) (ま、まさか……)
この条件を、すんなり呑む馬鹿→('A`)
がいようとは!
(;-[]3[]) (チップ50枚からのやり直しくらいは覚悟していたが……)
正直言って、未だに信じられない。
だがそれは、
イニシアチブを握っているのが依然ポセイドン側だという事実の証明でもあった。
.
- 718 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:54:46 ID:LqW4SQPE0
- .
中断前とほぼ同じ状態でゲーム再開……とはいえ、まったく同じとはいかない。
黒服数名が気絶中。 滝沢はクーにボコられ、能力も封じられた。
ポセイドンサイドの戦力はいちじるしく低下している。
ドクオサイドで “ ロッカー ” を嵌めているのは、ドクオ、ブーン、兄者、ギコ、しぃの5人。
クーとサダコはロッカー装着を拒否。
イカサマ露呈で分の悪いポセイドンに、そこまでの強制権は残っていなかった。
その代わり、以降はタムラもロッカーを装着しない。
ダイオードもプレートを手元にたずさえ、いつでも解錠できる状態とする。
ポセイドンとタムラ、サダコにクー。
両サイド2人ずつ能力フリー状態ということで双方合意。
.
- 719 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:56:54 ID:LqW4SQPE0
- .
《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉
《〉 << 第11セット >> 〈》
〈》 〈》 〈》 〈》 〈》 〈》 〈》
.
_______________________________
|┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓|
|┃
┃|
|┃ ('A`) : 12
(-[]3[]) : 29 ┃|
|┃
┃|
|┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
──かくして。
破綻寸前と思われたギャンブル ・
ゲームは、
衆目監視の箱の中、仕切り直しとなった。
('A`) 「……そのカードでいいんだな?」
(-[]3[]) 「あ? あ、ああ」
両者カードを引き終わり、席を立つ。
トーキング ・ タイム移行。
めくった台札は─── [ 2 ] 。
.
- 720 名前:名も無きAAのようです:2014/03/30(日) 23:59:32 ID:LqW4SQPE0
- .
(-[]3[]) 「……」
後方へ移動してからも、ポセイドンはタイマーに手をかけたまま動けずにいた。
『 アップ 』 の声すら躊躇われる。
落ち着きなく周囲を見回しつつ、現状分析を試みる。
(-[]3[]) (懸念材料は山ほどある。 まず……)
ダイオードの真意がはかれないこと。
彼は頼れるチャネラーだ。
再びカード勝負に持ち込めたのは、ほぼ彼の功績といっていい。
だが決して従順な手下というわけではない。
(-[]3[]) (“ サムライソウル ”
だかなんだか知らないが)
正々堂々を信条とする彼は、
当初、ギコの誘拐計画にも難色を示していた。
.
- 721 名前:名も無きAAのようです:2014/03/31(月) 00:01:06 ID:J/69G0AQ0
- .
こうやってポセイドンとの主従関係が保てているのは、
ダイオードにダイオードなりの目的があるからだ。
『 オマエラののーりょく、イタダキだケド
』
彼はより多くのチャネラーと接触したがっており、
ポセイドンをその手段として利用しているに過ぎない。
信条と目的を天秤にかけ、後者がより重かったから、そうしているだけ。
前金は渡してあるものの、成功報酬に対する執着はなさそうだ。
このあたりが、金に尻尾を振るタムラ
・ ジャンヌと異なる点だ。
(-[]3[]) (扱いづらいヤツだ。 本当に)
ダイオードの能力のひとつ、“
嘘発見器(ポリグラフ) ” 。
敵の戦力を封じる有用な手段であると同時に、
ポセイドンにとってもクリアすべきハードルだった。
.
- 722 名前:名も無きAAのようです:2014/03/31(月) 00:02:58 ID:J/69G0AQ0
- .
イカサマのことは、ダイオードの性格を考えた結果、彼には伝えていなかった。
ゲーム再開に関わるゴタゴタの中でも、
ダイオードの口調にはわずかに、こちらの不正を咎めるような含みがあった。
状況は刻々と変化している。
“ 通し ” のカラクリは露見した。
ダイオードの心中、少なからず 『 騙された
』 と感じている部分があるのではないか。
かりそめの主従関係に、歪みを感じる。
はたして今のヤツをどこまで信頼していいものか。
('A`) 「……早くしろよ」
(-[]3[]) 「……フン」
そしてこの男、ドクオ。
圧倒的不利な状況だというのに、何故こうも落ち着いていられるのだ?
.
- 723 名前:名も無きAAのようです:2014/03/31(月) 00:04:41 ID:J/69G0AQ0
- .
事態に翻弄されているだけのバカかと思えば、ちゃっかり援軍を潜ませていた。
思った以上に抜け目ない。
そんな男が、『 ペナルティなし 』
などという条件を提示されて、
何の策もなくほいほい勝負に乗るだろうか?
_,
(;-[]3[]) (いや、やはりそれは)
あり得ない。
ポセイドンのチップ29枚に対し、ドクオのチップは残り12枚。
いくらイカサマを封じられたとはいっても、二人の間には17枚という巨大な壁がある。
ハンデなんてものじゃない。
このゲームは消耗戦。 そしてチップの残数は攻撃力という側面を備えている。
17の差は絶対的で、絶望的だ。
なのにそのまま勝負を続行した、その狙いはなんだ。
何か逆転の秘策でもあるというのか。
.
- 724 名前:名も無きAAのようです:2014/03/31(月) 00:05:50 ID:J/69G0AQ0
- .
(-[]3[]) (あるいは……)
('A`)
既に勝敗そのものにこだわっていないのか。
どうやって勝つかではなく、
負けたあとでどう立ち回る、という算段に入っているのか。
勝負の直前、ドクオたちは仲間たちとひそひそ話をしていた。
サダコ……とかいったか。
あの “ 精神汚染能力者 ”
がいるせいで誰も近づけず、
会話の内容は聞き取れずじまいだ。
なにか企てているのは疑うべくもない。
_,
(;-[]3[]) (くそっ! こいつ、こいつぅっ!!)
タイマーのスイッチを押す。
トーキング ・ タイム、スタート。
.
- 733 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:30:54 ID:5qjpsl7U0
- .
('A`) 「……どうだ。 翼をもがれた気分は。 ハリボテの翼だったみたいだけどな」
(#-[]3[]) 「……何を言ってるんだい? 負けすぎてとうとうヤキが回ったのかな?」
冷静をつくろうポセイドンだったが、むろん心中穏やかではなかった。
ひたすらに考える。
ポーカーの勝敗についてではない。
勝ちはほぼ決まっている。 問題はその後だ。
数手先に思考をめぐらす必要があった。
(-[]3[]) (こいつがゲームの続行を決めたのは、おそらく)
時間稼ぎか。
コンテナの外は、未だ緊迫した雰囲気に包まれていることだろう。
かりに能力者たちの力関係をイーブンだとしよう。
となると、奴らはさらなる援軍の到着を待っているのかも知れない。
それだけは避けたいが、今のダイオード達にその予防策まで期待するのは難しい。
ガードマンとしての役割すら怪しいものだ。
.
- 734 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:33:33 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) (ホールド ・
アップしてやるつもりはさらさらないが……)
いたずらに勝負を長引かせたくない。
勝負後、やつらとの激突はまぬがれない。
となれば。
従順な “ コイビト ” と化したサイアミーズ。
彼女のチャネルを開放し、戦いに投入する以外に道はない。
(-[]3[]) (内藤ドクオ。
もはやこの勝負の結果には固執していないのかも知れないが……)
“ しぃが手に入る ” という事実は、奴らが考えているよりずっと重い。
しぃのすべてを掌握するということは、
彼女の持つ並外れた戦闘能力すらも手中におさめるということ。
むろん盾としても十分活用できる。
.
- 735 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:35:12 ID:5qjpsl7U0
- .
幸い “ ロッカー ” の鍵はこちらにある。
勝負の行方がどうあれ、二度とわたすつもりはない。
あれの破壊は容易ではない。
奴らが解錠に手間取っているうちにしぃのチカラを解放し、
従順な駒として投入できれば、戦局は完全に覆る。
(-[]3[]) (それにしても、だ)
ポセイドンは対面するドクオをしげしげと眺めた。
正確には彼ではなく。
そのひたいに張り付いている……ロー
・ カード。
[4]⊂ヽ
( 'A`)ノ丿
(-[]3[]) (勝負はすぐにつきそうだ。
落ち着き払っている姿がいっそう滑稽だよ、ドクオさん)
.
- 736 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:37:12 ID:5qjpsl7U0
- .
続けてポセイドンは、ちらりと横を見た。
彼のずっと手に入れたかったものが、透明の壁の向こうにある。
チェックのスカートから伸びた細い足。
肩口より覗く、なめらかな絹の肌。
唇をきゅっと結び、両腕を膝に伸ばして、姿勢よく着席している。
が、その肩は小刻みに震えている。
毅然とした装いでいて、不安を隠し切れていない。
(-[]3[]) (君を見ていると、希望がわいて来るよ。 くっ、くくく……)
もうすぐだよ、サイアミーズ。
絶対に手に入れる。
この勝負を制し、僕と君は、晴れて恋人同士となる。
こんな殺風景な箱の中じゃないさ。
広く明るいプライベート ・ ルームで。
存分に愛してあげる。
美しく飾りつけてあげるからね。
.
- 737 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:40:58 ID:5qjpsl7U0
- .
その肩に、うなじに、唇に。
甘く柔らかい肌に……はやく。
たっぷりと、ボクのシルシをキザミツケタイ。
(;*〓〓)
ああ、たまらない。
たまらないよ、しぃちゃん。
僕こそが、白馬の王子様だ。
.
- 739 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:44:22 ID:5qjpsl7U0
- .
〜 〜 〜
11セット目。
運命のベット ・ ラウンド。
('A`) 「───ベットだ。 1枚」
言い放ち、ドクオは青のチップを4枚、扇状に広げて示す。
(-[]3[]) 「ふん。 いいのかい? 降りなくて」
('A`) 「イカサマできないお前なんて怖くはないね。
流れは完全に変わった。
これからの俺はとことんまでいく」
(-[]3[]) (はん。 何言ってんだこいつ)
考えるまでもない。 ハッタリだ。
残り12枚のドクオにとって、ここでのフォルドはジリ貧。
前のめりになる以外、選択肢など無いのだ。
.
- 740 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:46:44 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) (となれば、やる事は簡単だ)
ドクオのハンドはローカード [ 4 ] 。
台札として [ 2 ] が提示されているため、ポセイドンの勝率は9/11=81.8%。
いちじるしく高い。
ぎし、と椅子をきしませ、彼はテーブルにチップを撒いた。
(-[]3[]) 「レイズ。 5枚といこうか」
(;'A`) 「……!」
ほぼ負けはない。
ならばいっそ、9枚張り=アンティ込み12枚で、根こそぎライフを奪ってやるのも面白い。
心の中でほくそ笑んだポセイドンだったが、万一を考え、ベット枚数はほどほどに抑えた。
(-[]3[]) (まだこいつの真意が読めないからな。
ポーカー勝負そのものに策を弄している可能性も捨てきれない)
.
- 741 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:48:57 ID:5qjpsl7U0
- .
(;'A`) 「5枚……なるほどな」
とたんに脂汗が吹き出す。 わかり易い男だ。
口調は平静を装っているが、態度が、表情が、その動揺を物語っている。
テーブルに賭け金を投げはなったポセイドン。
彼と対照的に、ドクオは青チップを握り締めたまま、いまだテーブルに置こうとしない。
しかもその左手は小刻みに震えている。
生命線であるそれを手放すことがよほど恐ろしいのだろうか、
.
- 742 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:51:02 ID:5qjpsl7U0
- .
『 何がなるほどなのかなあ? 』
嫌味を言う間もなく、ドクオは小さく首を横に振った。
(;'A`) 「フォルド」
(-[]3[]) 「! ……降り、だって」
勝負は一瞬だった。
(;'A`) 「降りて、ねーよ。 戦略的撤退だ」
しぃが青い顔でアイマスクを外す。
震える左手を動かし、ドクオはぎこちなくチップをボックスに投入する。
('A`) 「どうやら、勝負をかけるタイミングはまだ先のようだからな」
青チップ1枚をつまみ上げながら、ポセイドンはいま一度ドクオの瞳を覗き込んだ。
いまにも大粒の涙をこぼしそうな、潤んだ目でドクオを見つめるしぃ。
ドクオはしらじらしい咳払いでそれらの視線をあしらう。
.
- 743 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:52:34 ID:5qjpsl7U0
- .
======== 【 STAGE 11 RESULT 】 ========
Up Card : [ 2 ]
('A`) : -4
(-[]3[]) : -1
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1st BET 1
RAISE 5
..2nd FOLD
Final
Ante 3 1
Hands [ 4 ] [
? ]
============================
('A`) 「流れは俺。 こっからが俺のターンだ。 覚悟してな」
何か仕掛けるつもりなら、タイミングはここしかなかったはず。
ポセイドンはメガネのつるを押し上げた。
(-[]3[]) (杞憂か……?)
やはりポーカーそのものについては無策。
狙いは別にあるのか。
もやのように湧く疑心は、着地点をもとめてさまよい続けていた。
.
- 744 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:54:33 ID:5qjpsl7U0
- .
●第三六話 『 Black dagger ── VS.
ポセイドンI 』
(-[]3[]) 「そろそろおしまいかな。
消化試合もはなはだしいが……残りのゲーム、せいぜい楽しむといいさ」
デジタルボードが数字を減らし、しぃは再び暗黒に幽閉される。
ポセイドンの28枚に対し、ドクオのチップは残り8枚。
(-[]3[]) 「ずいぶん寂しくなったもんだねえ」
ポセイドンはドクオのチップケースをあごで指した。
その差20。 もはや負けはない。
その気になれば、数セット消費し、アンティだけで削り殺すこともできる。
死のカウントダウンははじまっている。
勝負が終わった瞬間、しぃは自分の操り人形だ。
しかしそれは同時に、バトル突入への合図でもある。
残念だが、勝利の愉悦に浸る暇はなさそうだ。
ロッカーの鍵はポケットの中。
すぐさま取りだせるよう準備しておかねばなるまい。
.
- 745 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:56:59 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) 「……?」
しかし。
ドクオはカードを持ったまま、いっこうにシャッフルしない。
( ::A`) 「……」
(-[]3[]) 「どうした? 何をしている。 早くカードを……」
(::::A::) 「───タネは、割れてる」
(-[]3[]) 「は?」
(#'A`) 「とぼけんじゃねえっ!!」
怒号がこだまする。
次の瞬間、ドクオは後ろ手にカードを放り投げた。
(-[]3[]) 「なっ!? なにをして」
.
- 746 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 20:59:17 ID:5qjpsl7U0
- .
Σ(;-[]3[]) ⊂≡「!!」
そのまま。
仰天するポセイドンの鼻先へ、指を突きつける。
m9('A`#) 「いいか、聞け!」
雪のごとく舞い散るトランプカードをバックに、ドクオは言った。
m9('A`) 「ブーンとの勝負で、お前はダイヤのカード群を使っていたよな?」
(;-[]3[]) 「そ、それが、どうした」
('A`) 「で、俺との勝負ではハートマークのカードを使っている。
なぜだ?」
(;-[]3[]) 「なぜって、それは、イカサマ防止の」
言いよどむポセイドンの弁解を、ドクオは強い口調でさえぎる。
.
- 747 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:01:13 ID:5qjpsl7U0
- .
('A`#) 「防止じゃねえ! “
イカサマするため ” だろうが!」
煤i;-[]3[]) 「はあ? お前、何を言って……」
('A`) 「俺が言いたいのは、カードを替えたことじゃない。
俺との勝負で “ ハートを使い続けてる
” ことについてだよ。
途中、俺がイカサマを疑って勝負中断したことがあったよな?
その時お前は、カードのチェックを禁止しなかった。
にも関わらず、 “ じゃあ、カードを換えよう
” とは言いださなかった。
結果、傷や汚れ ・ 折れ目などがあってもおかしくない、
ハートのカードのまま勝負を継続した。
普通ならカードチェンジを申し出るはずだ。 ストックはあるんだから」
(;-[]3[]) 「な……?」
.
- 748 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:04:32 ID:5qjpsl7U0
- .
パーテーションを人差し指でぐりぐり押さえつけ。
ドクオは続けた。
('A`) 「理由はおおかた想像がつく。
透視能力者である黒服にとって、
赤いカードのほうが “ 見やすい
” とか、どうせそういうトコだろ。
ブーンとの勝負でダイヤを使用したから、残るスートはスペードとクラブ。
お前はできることなら黒いカードを使いたくなかった。
どうだ?」
煤i;-[]3[]) 「……う、ち、ちがっ」
一気にまくし立てると、返答も待たず、ドクオはきびすを返す。
('A`) 「とにかくだ。 ……よいしょっと。
赤いカードは……もう、使わない」
散らばったカードを拾い上げ。
('A`) 「ほらよ」
席に戻ったドクオは、カードの束をテーブルへ放った。
.
- 751 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:10:52 ID:5qjpsl7U0
- .
('A`) 「まだ他に協力者がいないとも限らないからな」
(;-[]3[]) 「あ、あんたがそれを言うか……」
( 'A`)σ 「そっちに置いている予備のカードを寄越せ。
残りの勝負はすべて、黒のカードでおこなう」
(((;-[]3[]))) 「くっ……いけしゃあしゃあと……好きにしろ!」
ポセイドンの歯軋りに、しぃの体が小さく反応した。
それでもドクオから目を切らぬよう、後ずさりでサイドテーブルへ向かう。
('A`) 「下手な動きはするなよ。 静かにこっちへ持ってきな」
(;-[]3[]) (いや、やはり)
カードの束に手を伸ばしつつ、ポセイドンは確信した。
.
- 749 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:08:28 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) (時間稼ぎか)
ドクオの指摘は確かに当たっている。
だがその内容は、半ばクレームに近い。
ハートを使うのが嫌だというのなら、
11セットの開始前にカードを替えようと提案するはず。
この土壇場になって言い出すことではない。
単なる負け犬のあがきだ。 怒って見せたのもポーズに過ぎない。
内容に深い意味はない。 “ たまたま
” 図星だったという、それだけ。
勝負を長引かせることが目的に違いない。
(#-[]3[]) (そんな手に乗るか、バカが!)
ポセイドンはカードを引っつかむと、早歩きでテーブルに戻った。
.
- 752 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:14:11 ID:5qjpsl7U0
- .
《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉 《〉
《〉 << 第12セット >> 〈》
〈》 〈》 〈》 〈》 〈》 〈》 〈》
.
_______________________________
|┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓|
|┃
┃|
|┃ ('A`) : 8
(-[]3[]) : 28
.┃|
|┃
┃|
|┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それぞれにカードを改めたのち、
ドクオはおぼつかない手つきで、新しいカードを切り始めた。
(-[]3[]) 「いくら難癖をつけたところで、この局面は覆らない。
何が目的だい?」
('A`) 「難癖だと?」
が。
ポセイドンの一言に、ぴたりとシャッフルの手を止める。
('A`) 「ふざけるなよ。
イカサマという目的のために、お前はいくつもの策を巡らせていた。
トーキング ・ タイムだってその一つだ」
.
- 753 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:19:11 ID:5qjpsl7U0
- .
せっかく再開ムードになったのに。
軽く探りを入れるつもりが、いらぬおしゃべりの引き金となった。
ポセイドンは心中で舌打ちしたが、時すでに遅し。
('A`) 「インディアンポーカー “ らしい ”
演出に見せかけて、
その実態は、全力でイカサマするためのお膳立てだったのさ。
わざわざ “ 後ろに下がる ”
ことにも理由もあった。
パーテーションへのカードの映り込みがどうとかお前は言っていたが、
本当の目的は別。
テーブルを挟む至近距離、かつ対面した状態では、なにかと不都合だったからだ」
反応を確かめるように、ドクオはポセイドンのほうをしげしげ眺めた。
のんびりと手を動かし、続ける。
(;-[]3[]) 「くっ、うるさいぞ、いい加減に……」
.
- 754 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:22:28 ID:5qjpsl7U0
- .
('A`) 「しぃちゃんもよく聞きな。
トーキング ・ タイムと称して “
席から離れる ”。
そして “ 絶えずしゃべりまくる
” 。
これらの行動には、カムフラージュの意味がこめられていたんだ」
(;*〓〓) 「──?」
煤i;-[]3[]) 「!!」
ポセイドンの心臓が跳ね上がった。
なおもドクオの口は止まらない。
('A`) 「受信機である携帯のバイブレーションと、そこに生じるわずかな衣擦れ。
そう、こいつは隠したかったのさ。 ポケットから発生する
“ 音 ” をな。
トーキング ・ タイムなんて名前だけ。 その実態はイカサマタイム……」
(#-[]3[]) 「ご、ごたくはいい! 寄越せッ!」
緩慢にシャッフルを続けるドクオの手から、ぶんどるようにしてカードを引く。
ドクオがテーブルに乗り出し、パーテーションの空洞と近い位置にいたことが幸いした。
.
- 755 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:33:58 ID:5qjpsl7U0
- .
数回のカットを経て、ポセイドンは乱暴にカードをテーブルへ広げる。
ドクオがそこから1枚引き、
じつに12回目ともなるギャンブル・ゲームが幕を開けた。
(;-[]3[]) (この男、次から次にべらべらと!)
台札 [ K ] を確認すると、互いに後方へ下がる。
息を荒げるポセイドンに対し、
タイマーのスイッチに手をかけたまま、ドクオは言った。
('A`) 「あ、そうそう」
(;-[]3[]) 「!?」
('A`) 「こうやって席を離したのにはもう一つ理由があるよな。
見えにくかったからじゃないか? カードが」
(#-[]3[]) (まだ言うか! こ、こいつ……!)
('A`) 「もちろん見せる相手は俺じゃないぜ。
斜め向かいに立つ、ゲームのもう一人の参加者──
壁の向こうの黒服野郎にさ」
.
- 756 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:40:06 ID:5qjpsl7U0
- .
ポセイドンは焦りに身を震わせた。
滝沢の超能力 “ 透過式遠隔視(イントロスコピー)
” には大きな欠点があった。
生体を透過することができないのだ。
“ 透視 ” を発動している間、
彼は対象物以外の全ての無機物を “
透過 ” して見ることができる。
だが人体だけは、黒い影となって視界に残り、“
透過 ” の進行を阻む。
(女性の裸はもちろん、
下着姿ですら黒いマネキンのように見えて、色気も何もあったもんじゃない。
ほんッッッと使えない能力ッスよ!!
─────とは本人の弁である)
(((#-[]3[]))) (クソッ、くっそお! なんでここまでわかる!?)
カードをこちらに向ける通常のポーカーだと、
プレイヤーの体が遮蔽物となり、手札がうまく見えないのである。
それでなくともポーカーというゲームは、カードをテーブルに伏せる場面が多い。
離れた位置からは角度的に確認が困難なのだ。
そんな折、ポセイドンは知る。
『 インディアンポーカー 』
というゲームの存在を。
.
- 757 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:42:27 ID:5qjpsl7U0
- .
('A`) 「一枚のカードを、相手に向けてずっと晒し続ける。
そういう意味じゃ、インディアン
・ ポーカーは
“ 透視 ” にもっとも適したゲームだった」
使用カードはたったの一枚。
そいつを地面から見て垂直方向に。
自分でなく、相手に向かってよーく見えるように。
ひたいに添え、じっと提示し続ける。
そんなパーティゲーム。
(#-[]3[]) 「うるさい! うるさい五月蝿いウルサイ!!
おしゃべりを続けたければタイマーを押せ!
早くしないと負けにするぞ!!」
('A`) 「焦りはツキを落とすぜ、おぼっちゃんよ」
(((#-[]3[]))) 「だまれッ! この……!」 ピッ>
こみ上げる怒声を、鋭い機械音がさえぎった。
('A`) 「トーキング ・ タイム、スタートだな。
いい反応を見せてくれよ」
.
- 758 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:51:57 ID:5qjpsl7U0
- .
(((#-[]3[]))) (許さない! ユルサナイゆるさない許さない!
覚えていろドクオ!
勝負が終わったら、しぃのチカラでギッタギタにのしてやる!)
震える手でコースターからハンドを掴み上げる。
カードを取り落としそうになりながら、対面するドクオへ怒りの視線を向けた。
(#-[]3[]) 「────!」
が、次の瞬間。
( -[]3[])
( -[]3[]) (えっ)
ポセイドンは顔面からすっと血の気が引くのを感じた。
.
- 759 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 21:56:14 ID:5qjpsl7U0
- .
(;-[]3[]) (こ、こいつ───!)
ドクオのやつ。
この正念場。
生きるか死ぬかの分岐点で。
そいつを、そのハンドを、引き当てやがった。
[A]⊂ヽ
( 'A`)ノ丿
ひたいに張り付くローカード── [ A ]
を。
(-[]3[]) (ふ、ふは、ふはははは!!)
自然、口角がつり上がる。
とんだお笑い種だ。
あれだけの講釈を垂れておきながら、たぐり寄せたカードは、最 弱 。
.
- 760 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:00:47 ID:5qjpsl7U0
- .
今にも笑い出しそうになるポセイドンだったが。
煤i-[]3[]) 「────!」
ヾ
//
\ヽ、
/ /
/ /
ヾ \
/ 丶
/ /
./ \ 『 ! ? 』
/ (−[]:3::::) .\
その脳裏に、さらなる雷鳴が轟いた。
.
- 761 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:02:23 ID:5qjpsl7U0
- .
(- []3:::) 「────こ、こっ」
(;-[]3[]) (こ、れ、は ……!)
ポセイドンはドクオに悟られないよう、ちらちらと周りを見るようなそぶりで、
テーブルのほうへ視線をおくった。
あった。
きちんと整えられた山札の最上段。
一枚だけ、仰向けに肌をさらすそれ。
勝負に使われることのない
【 死にカード 】 。
(;;-[]3[]) (─── まさか!)
タロン
テーブルに鎮座する 【 台札 】 。
その絵柄は、
[ K ] 。
.
- 762 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:03:38 ID:5qjpsl7U0
- .
(;;-[]3[]) (あ、ああ、あ)
[ A ] が唯一殺せる相手── [ K ] が。
台上にその身を横たえている。
死んでいる。
(;;-[]3[]) (あああ、う、おおおおおおおおおおお!?)
[A]⊂ヽ
( 'A`)ノ丿 「どうした? やけにおとなしくなっちまったじゃないか」
ポセイドンはその事実に身を震わせた。
イカサマが封じられた今、ポセイドンはヒラでの勝負を余儀なくされている。
彼のひたいに掲げるカードは、もはや彼自身にはわからない。
が、確かなことが一つある。
ポセイドンのハンドは [ A ] ではない。
そして。
.
- 763 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:05:32 ID:5qjpsl7U0
- .
( -[]3[]) ( [ K ] でもない! これは、つまり!)
[ 2 ] 〜[ Q ] のいずれかであることは間違いない。
その全てが [ A ] を凌ぐ、必殺必中の上位カード。
台札 [ K ] 。
敵の手札 [ A ] 。
それは、このゲームにおいて、唯一。
『 き た っ ……! 』
100%。
必勝。
絶対に負けない、奇跡の組み合わせ。
.
- 764 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:08:33 ID:5qjpsl7U0
- .
[A]⊂ヽ
( 'A`)ノ丿 「思えば、この勝負は最初からおかしいことだらけだった」
そんなポセイドンの興奮も知らず。
ドクオは淡々と語りだした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(-[]3[]) 『 話は変わるが、“ PSIジャマー
” をご存じかな?
我が社が極秘裏に開発し、
高い評価を得ているジャミング装置だが……
』
爪 ゚〜゚) 『 ウーハーに似た、でっけェ箱みたいな装置だ。
設置ポイントから特殊な電磁場を形成し、
いっさいの超能力を使えなくする機械だよ。
ありゃー確か……対象範囲は半径5メートルほどだっけか
』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
('A`) 「話によれば、
いちどロッカーの充電が切れてギコが大暴れしたそうじゃないか。
さっきそれを聞いたんだが、俺はどこか引っかかるものを感じた」
ドクオのさえずりなど、もはや耳に入らない。
高揚を見抜かれぬよう、表情を抑えるのに苦労した。
一分という時間が限りなく長く感じられる。
.
- 765 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:11:21 ID:5qjpsl7U0
- .
('A`) 「完成された【 PSIジャマー 】
ではなく、
あくまで試作品の【 ロッカー 】をゴリ押しした理由。
ジャマーを使うと、黒服が巻き込まれる可能性があるからだろ?
イカサマの性質上、お前は角刈り野郎をコンテナ(ギャンブルルーム)のそばに
配置せざるを得なかったもんな」
生返事を繰り返しながら、ポセイドンは精神の沈静につとめた。
('A`) 「不正で塗り固めたお前の城。
城壁が崩れ去ったいま、
天守閣が落ちるのは時間の問題だ」
.
- 766 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:13:45 ID:5qjpsl7U0
- .
自信たっぷりにドクオが告げる。
同時に、タイマーが機械的なリズムを奏でた。
('A`) 「さあ、お楽しみのベット ・
ラウンドだ」
それはこっちの台詞だ! バカめ!
言い返したい気持ちをぐっとこらえ、ポセイドンはハンドをコースターに伏せた。
願わくば、向かって来い。
返り討ちになったお前のバカ面、楽しみにしているぞ。
〜 〜 〜
.
- 769 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 22:59:52 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) 「ベットだ。 5枚」
テーブルに戻るや、ポセイドンは強い口調で言い放った。
今までのように 【 1枚ベット 】 などと悠長なことをしていては、
1枚レイズでのらりくらりかわされるのが目に見えている。
相手の目的が時間稼ぎだとしても、次ターン持ち越しはさせない。
勝負に乗らないのであれば、
ドクオはこのターン、即フォルドする以外に道は無い。
(-[]3[]) (もしそうではなく、ドクオが玉砕覚悟で攻めるつもりなら……)
5枚ベットはアンティ込みで実質8枚の勝負となる。
そしてドクオの残チップ数も8。
(-[]3:::) (ショーダウンに持ち込めば、この一撃で、確実に殺せる)
5枚ベット。
それはポセイドンが導き出した最適解だった。
.
- 771 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:01:32 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) (……とはいえ、そううまくはいかないだろうな)
ポセイドンにとって、ここで即フォルドされる展開が一番ダルい。
しかもその可能性は高い。
テーブルを包む緊張の中、ポセイドンは冷静さを取り戻しつつあった。
('A`) 「確認しておくが……。
デッドラインは0。
賭ける枚数にはアンティ3枚を考慮しなくていいんだったよな?」
(-[]3[]) 「! ……そうだけど? 」
胸がざわめく。
一時落ち着いたテンションが、ふたたびMAXまで跳ね上がる。
『 ならば 』
ポセイドンの期待を後押しするように。
ドクオはボックスごと掴み上げ、高らかに叫んだ。
.
- 772 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:04:05 ID:5qjpsl7U0
- .
(#'A`) 「レイズ、8枚!
オ ー ル イ ン だ !」
しぃがぎょっとした様子で体をふるわせる。
(-[]3[])
(#'A`)
::(-[]3[]):: 「ぶ、ぶぶっ」
(#'A`) 「?」
(*-[]3[]) 「ぶ、ぶぁ、ぶわ───っはっはっはははッ!」
こみ上げる笑いをこらえ切れず、ポセイドンは甲高い声をあげた。
これが落ち着いていられるか。
まさに理想の展開。
やはり、こいつ、バカだ。
大バカ野郎だ!
.
- 773 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:06:05 ID:5qjpsl7U0
- .
僕の頭上に、果たしてどんな希望の光(ローカード)を見たのやら。
[ 4 ] か [ 5 ] ?
はたまた [ 2 ] [ 3 ] ?
( -[]3:::) (そんなもの、砂上の楼閣さ)
残念だったな。
内藤ドクオ、今のお前は丸裸だ。
怖くもなんともないんだよ。
(*-[]3[]) 「ぶぁひゃひゃひゃ! はは! 面白い!
ドクオさん、そんなに玉砕したいのなら乗ってやるよ!」
なぜかって?
お前のカードは、最弱の [ A ] !
唯一勝てる [ K ] すらいない、正真正銘の必敗ハンド。
.
- 774 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:07:36 ID:5qjpsl7U0
- .
(*-[]3[]) 「コール!! コールだよ! 当然だ!
なんなら10枚にレイズしてやってもいいぞ! フォルドしないのならなァ!」
('A`) 「当然乗るさ。 コール!!」
あまりのおかしさに我を忘れてしまいそうだ。
ウェルカム、ドクオ。
白く四角い死刑台へ。
(*-[]3[]) (とんだオーバーキルだ。 自らのハンドに絶望しな、ドクオ!)
狂乱の中、しぃがおずおずとアイマスクを外す。
役者は出揃った。
最高のショーのはじまりだ。
.
- 776 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:12:13 ID:5qjpsl7U0
- .
<< S H O W D O W N >>
(l|l*゚−゚) 「ぁ、ぅ、ぁ」
(-[]3[]) 「サイアミーズ!
いいかっ! しっかり目に焼き付けるんだ!」
もはや昂りを隠そうともせず。
ポセイドンはテーブルの中央に手を伸ばした。
(*-[]3[]) 「最強 ・ 最上 ・ 最愛の! 王子様の凱旋シーンをなァっ!」
手札を摘み、力を込める。
(#-[]3[]) 「うおおおおおおおおおお!!」
.
- 777 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:15:12 ID:5qjpsl7U0
- .
.
!llll||| (-[]3[]) |||llli!
─── が、その途端。
煤i;-[]3[]) 「!?」
催眠能力者の勘、とでも表現するべきだろうか。
(;l|l-[]3[]) (な、なっ!?)
高揚した気分が一転。
水浸しのカーテンに包まれるがごとく、
ポセイドンの全身に悪寒がほとばしった。
::::(l|l-[]3[]):::: (なんだ!? こ、この言いようもない不安は……)
('A`) 「さあ、勝負だ」
おかしい、どういうことだ、こいつの落ち着き様は。
この一回で終わる可能性が高いというのに、あの自信たっぷりの表情。
.
- 778 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:16:49 ID:5qjpsl7U0
- そ
(l|l-[]3::) て (まさか、すり替え!?
ヤツのハンドは、既に別の……!?)
一瞬溜めて、ドクオも手札に指をかける。
(#'A`) 「 受 け 取 れ え ぇ ぇ ぇ ッ ! !」
煤il|l-[]3[]) 「や、やめッ……!」
制止する間もなく。
ドクオはハンドをつかみ上げ、なめらかに手を返した。
.
- 779 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:18:11 ID:5qjpsl7U0
- .
o
゚
・
・. ゚
。゚
゚ 。 ・
・
/\
゚
。 / \
o 。゚
/ \ 。
/ \ ゚
.
。 \
\ ゚ 。
o
\ \
\ / ゚
。・
\ / ゚
\ / 。
\/ 。o
.
- 780 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:19:00 ID:5qjpsl7U0
- .
鼠色のステージに降るは───
.
- 781 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:21:12 ID:5qjpsl7U0
- .
r'⌒ヽ.
(´ `) (⌒'´ ̄`ヽ
ゝ,___,ノ´ (
)
┌────┐ `ー/ /ー
│A │
│ /\ │
│ (__, 、__) .│
│ .Δ. │
│ A│
└────┘
r'⌒ヽ.
(´
`)
ゝ,___,ノ´
巨大にして、孤独。
黒いシンボルがひとつだけ描かれた、最弱のカード。
トーキング ・ タイムで、ポセイドンが眺め続けたハンド。
煤il|l-[]3[]) 「!!」
て
(*゚□゚) そ
スペードの [ A ] 。
.
- 782 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:22:18 ID:5qjpsl7U0
- .
(-[]3[]) 「くっ……」
(-[]3[]) 「は、ははは」
l|il
(;*゚□゚) 「そ、ん、な……」
(*-[]3[]) 「くは、ぶあっはっはっはっは!!」
やはり思い過ごしだった。
不安の黒雲は四散し、晴れやかな光が目の前に広がる。
.
- 783 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:23:26 ID:5qjpsl7U0
- .
(*-[]3[]) 「これでしぃは僕のものだ!
とくと見るがいい! そして……」
ポセイドンはハンドを掴み上げると、頭上高く振り上げ。
(#-[]3[]) 「 絶 望 し ろ お ぉ ぉ ぉ ぉ
ぉ お ぉ ォォォ!!」
l||l l||l
l||ll||ll l||l
l||l 从人 l||l
-一'''''''ー-、
(⌒_(⌒)⌒)⌒))
 ̄ (⌒
⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒
勢いよく、台上に叩き付けた。
.
- 784 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:24:46 ID:5qjpsl7U0
- .
(
)
)
(
::(
) ::)
//
ノ´
.__
/::::::::/
 ̄ ̄
_
/:.:.:.:
/:::: :::::\
、 /::.:.:.:.
::::::ヽ
|:.:.:..:. \
.::ノ
ヽ;.;..:.:
..:.:)
‐<
__て:.:.:__/
...::::::)
ヽ
, -= ::::ヽ (:.:.::::
_ノ
(::::::::::: :::::ノ ..:.:.::_,)
>:::: ::j ..:
:.::_
(_:::: :::::r'
/\ (_)
 ̄ (_::::ノ /::::::::::
\
Ο /:::::::::::::::::::::
\
。 /
::::::::::::::::::::::::: /
\ :::::::::::::::::
/
\
:::::::: /
\/
.
- 785 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:26:17 ID:5qjpsl7U0
- .
6つの視線が、その一点に注がれる。
ポセイドンの手の下から現れたカード。
それは。
.
- .
\\\
| | //
//
\\\
| | //
//
\\ |
/ /
\ | /
/
┌──────────┐
│ K
.│
│ /\
│
│
(__, 、__) . |
│
.Δ │
│
lVVVVl |
│
|____| .|
│
( ・∀・) |
│
/( ___) .|
│
/ |___┬__| ..│
│
~~ (__)_) │
│
/\.....│
│
(__, 、__)..│
│
.Δ .....│
│
.K ......│
└──────────┘
| \
/ |
\
/ |
\\
/ /
| |
\\
. / /
| |
\
.
- 788 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:29:38 ID:5qjpsl7U0
- .
(*-[]3[])
(-[]3[])
(l|*>−<)
(;*>−゚)
([]ε[]-)
(-[] 3[])
(-[] 3 []-)
(*゚ο゚)
(*゚□゚)
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- 789 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:31:21 ID:5qjpsl7U0
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((((;;-[[]]3[[]]))) 「 な に い い い い
ぃ ぃ ぃ い ぃ い い い ぃ っ っ っ っ !
?」
にごった叫びが灰色の部屋を揺らした。
('A`) 「俺の、勝ちだ」
無理もない。
台上にひるがえったそのカードは──
:::(;;;-[◎]3[◎])::: 「ば っ ! ば
か な っ !!
そんなはずはっ……!」
[ K ] だったのだから。
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- 791 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:32:32 ID:5qjpsl7U0
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(;*゚ワ゚) 「ど、ク……さん!!」
しぃがぱっと顔を輝かせる。
('A`) 「見てのとおりだよ、しぃちゃん」
:::(;;;-[ ]3[ ])::: 「え、な、えぐっ、がっ」
(;*>ワ<) 「やったぁ!」
:::(;l|l-[ ]3[ ])::: (違う! ありえないあり得るはずがないッ!!
だって [ K ] は!
死んで! 台札にィッ!)
て
(;l|l-[◎]3[◎])そ (そウだ、台ふダッ!!)
その事実に気づくや、ポセイドンは焦りの形相で振り向く。
(;-[◎]3[◎]-;)彡 「 ! ! ! 」
彼から見て右手、しぃからすると反対側。
山札の積んである部分。
そこには。
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- 792 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:33:15 ID:5qjpsl7U0
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┌──────────┐
│ Q
.│
│ /\
│
│ (__, 、__)
. |
│ .Δ
│
│ ,λ、、λ
. |
│ 彡*゚ー゚ミ
.....|
│ ..彡''.~゚~ミ
..|
│ ,;;彡,,,i,,ii,i,ミ
|
│ /\.....│
│ (__,
、__)..│
│ .Δ
.....│
│ .Q
......│
└──────────┘
クィーン
黒い衣装の女王が、ものものしく台座に腰を据えていた。
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- 793 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:34:35 ID:5qjpsl7U0
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___ ___ ___ ___ ___ ___ ___ ___ ___ ___
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|
| S H O W D O W N
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|___ ___ ___ ___ ___ ___ ___ ___ ___ __.|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌───┐
│ /\
│
│ (__,、.__)│
(-[]3[]) │
.Δ.K│
└───┘
\_人_人∧从_人_∧_人_从_//
)
>
< V S >
< (
/^Y ̄∨ ̄∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
┌───┐
│ /\ │ ('A`)
│ (__,、.__)│
│ .Δ.A│
└───┘
レ ヴォ リ ュ ー シ ョ ン
('A`)
「 下 克 上 ア タ ッ ク だ !
,,iill! ,,ill゙゙゙゙llii,、
.,ll゙llll| .illl′ 'llli、
.,,il゙` llll .llll llll
,,ill,,,,,,,llll,,,,,
llll、 llll
゙ llll ゙lll, .,lll゜
1 0枚ベットは ,,iilllllllii,, .゙゙!lllllll゙゙ 枚! 」
(((;l|ll-[◎]3[◎])))::: 「ふがあぁぁああぁあっ!?」
ポセイドンは椅子から転げ落ちた。
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- 794 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:37:05 ID:5qjpsl7U0
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見間違えた!? 台札を!?
[ K ] だと思っていたのは、実は[ Q ] で……!
違う、イカサマだ!!
叫ぼうとするポセイドンだったが、息が詰まってうまく声にならない。
(((;l|ll-[ ]3[ ]))) 「 ふ が 、 ふ ざ 、 ふ ぎ ゃ 」
必死で這い上がろうとする彼の眼前。
('A`) 「お前の手持ちは28……28枚ぽっちか。
ま、いいや」
ドクオは親指をぐっと突き上げる。
('∀`) 「アンティ3枚はおまけしといてやるぜ」
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- 795 名前:名も無きAAのようです:2014/04/01(火) 23:38:12 ID:5qjpsl7U0
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『 ふ、ふっ、ふざっ 』
断末魔とどろく、白い壇上で。
『 ふ っ っ じ ゃ け る な ぎ ゃ ぁ あ ぁ
あ ぁ ぁ あ あ ! ! ! 』
キング
漆黒の懐剣が、“ 海王”の心臓を刺し貫いた。
(続く)
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